• 検索結果がありません。

学習指導要領における持続可能な開発のための

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "学習指導要領における持続可能な開発のための"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1.はじめに

2016年(平成28年)に告示され,2017・2018年(平 成29・30年)に改定された学習指導要領(以下,新学 習指導要領)においては,随所に「持続可能」という 文言が盛り込まれている。これまでの学習指導要領 においても持続可能な社会の担い手としての人材育 成は目指されていたものの,今回改訂された新学習 指導要領においては,全学校段階においてほぼ全教 科にわたって「持続可能な社会の創り手」の育成を 視野に入れた教育目標が掲げられている。それ以前

において,こうした教育は「持続可能な開発のため の教育」(=Education for Sustainable Development:

以下,ESD)として,一部の学校や教育関係者の間 で行われてはいたが,今回の新学習指導要領におい ては,日本全国の幼稚園,小学校,中学校,中等教 育学校,および特別支援学校において,ESDの視 点を取り入れた教育を学校教育の正課として位置づ けることになったと言える。

期を同じくして,2000年に国連で採択されたミレ ニアム開発目標(MDGs:Millennium Development Goals)を継承・発展させる形で持続可能な開発目標 受付;2019104日,受理:20191226

337-8570 埼玉県さいたま市見沼区深作307,E-mail:[email protected]

教育の位置づけと今後の課題

Positioning of education for sustainable development in the course of study in Japan and future issues

谷田川 ルミ

1 *

・栗島 英明

2

Rumi YATAGAWA1* and Hideaki KURISHIMA2

1芝浦工業大学 工学部

2芝浦工業大学 建築学部

1College of Engineering, Shibaura Institute of Technology

2School of Architecture, Shibaura Institute of Technology

摘  要

2017・2018年(平成29・30年)に改定された学習指導要領においては,小・中・高等

学校の全学校段階のほぼ全教科にわたって「持続可能な社会の創り手」の育成を視野 に入れた教育目標が掲げられていることから,持続可能な開発のための教育(ESD)は,

新学習指導要領全体において基盤となる理念として組み込まれたということができる。

日本の学校教育におけるESDの取組は,以前から行われてきてはいるが,ESDの 教育目標である子どもたちの価値観や態度の変容にまでは行きついていない現状があ る。その背景には,教員の多忙と教員組織の硬直性,それに伴う教員のESDに対す る知識・理解不足とESDの理念や方法に対する理解の欠如などが考えられる。

こうした課題を解決し,真に持続可能な社会の構築に向けたESDを展開するため には,ESDのテーマに関連する専門的知識を有する研究者や地域社会で産業に従事 している専門家と連携した教員研修を行うこと,ESDの教育効果を測定し,エビデ ンスベースによるカリキュラムの評価・改善をはかることなどが必要になってくるも のと考えられる。また,ESDが特別な形で導入されるのではなく,全ての教科,全 ての学校教育活動,学校外の地域社会活動の中で「持続可能な社会」のための取組と して位置づけられ,次世代を担う子どもたちにとって,持続可能な社会の構築のため の理念が「当たり前」の価値観として定着することが重要である。

キーワード: SDGs,学習指導要領,教科横断,持続可能な開発のための教育(ESD),

総合的な学習(探究)の時間

Key words: SDGs, courses of study, cross-curriculum, education for sustainable development (ESD), the period for integrated studies

(2)

(SDGs:Sustainable Development Goals)が採択さ れ,教育の分野においても,SDGsを取り入れた学 習活動が注目されるようになってきた。ESDは持 続可能な社会の担い手づくりを通じて,SDGsの17 項目すべての目標達成に貢献するものとされている ことから,今後の学校教育においては,これまでの ESDの役割に新たな視点を取り入れつつ,積極的 に推進していくことが望まれているものと考えられ る(日本ユネスコ国内委員会教育小委員会,2017)。

こうした背景を受け,本稿では,SDGs時代にお ける新学習指導要領におけるESDの位置づけを明 らかにし,現状のESDの取組と課題を概観するこ とをとおして,持続可能な社会の構築のために求め られる教育のあり方について考察する。

2. 「持続可能な開発のための教育(ESD)」の理念と 目的

2.1 「持続可能な開発」とは何か

「持続可能な開発」とは,1987年に国連が設置し た「環境と開発に関する世界委員会」,通称ブルン トラント委員会の報告書『地球の未来を守るために

(Our Common Future)』の中で,「将来の世代の欲 求(ニーズ)を満たしつつ,現在の世代の欲求(ニー ズ)も満足させるような開発」と定義されているも のである(World Commission on Environment and Development,1987)。それまでは,その時代を生き る人々が自分自身のため,そして将来世代のために 開発を行い,経済発展を達成することこそが現在と 未来のためになるといった開発優先の考え方と,将 来のためには現代を生きる人々が己の欲求の達成の みを考えるのではなく,将来世代のために環境を守 っていくといった環境優先の考え方が拮抗していた が,この「持続可能な開発」という概念は,それま での開発と環境を対立的に捉えるのではなく,地球 の生態系が持続する範囲内で開発を進める考え方で あり,現在の世代が将来の世代のために資源を守る こと(世代間公正)と現代の世代の間での貧富の差を 拡大させない/解消すること(世代内公正)を目指す 概念である(田中,2014)。「持続可能な開発」の理念 としては大きく分けて,①環境,②経済,③社会・

文化の3つの領域における開発を目指したものであ る。具体的には,民主的かつ万人が参加できる社会 システム,環境への影響を考慮した経済システム,

文化の独自性の尊重,人権の擁護,平和の構築,異 文化理解,健康増進,資源の維持,災害対策,貧困 対策,企業責任の促進などを通じた次世代に向けて の公正で豊かな未来を創る営みである(北村,

2014)。このような,持続可能な未来の社会を構築 するためには,現代の若い世代に対する意識喚起が 必要不可欠となってくる。そのための教育が「持続 可能な開発のための教育」である。

2.2 「持続可能な開発のための教育(ESD)」とは何か

「持続可能な開発のための教育(ESD)」は,2002 年に南アフリカのヨハネスブルクで行われた「持続 可能な開発に関する世界首脳会議」で提案され,国 連総会で承認された後,2005年~2014年までの間,

「ESDの10年」として,国連が世界的にESDの推 進を働きかけ,各国で行われている様々な取組であ る。文部科学省・日本ユネスコ国内委員会は,「人 類が将来の世代にわたり恵み豊かな生活を確保でき るよう,気候変動,生物多様性の喪失,資源の枯渇,

貧困の拡大等,人類の開発活動に起因する現代社会 における様々な問題を,各人が自らの問題として主 体的に捉え,身近なところから取り組むことで,そ れらの問題の解決につながる新たな価値観や行動等 の変容をもたらし,もって持続可能な社会を実現し ていくことを目指して行う学習・教育活動」(文部科 学省・日本ユネスコ国内委員会,2008)と定義して いる。さらに,具体的な教育目標として,以下の三 点を提示している。

① 今のままでは環境,経済,社会の様々な面で「持 続不可能」となってしまうため,人類が将来の世 代にわたり恵み豊かな生活を確保できるよう,私 たちの世界を,「持続可能な社会」に変えていく。

② 持続不可能な社会の要因となる様々な地球規模の 問題の存在を知り,それらの問題が自分たちの生 活とつながっていることを理解した上で,自分で できることを行う。

③ 現代社会における様々な(地球規模の)問題を,各 人が自らの問題として主体的に捉え身近なところ から取り組むことで,「取組み」だけで終わらず,

持続可能な社会づくりに必要な価値観や能力・態 度の習得など,学習者の「変容」をもたらす。

(文部科学省・日本ユネスコ国内委員会(2008)の定 義をもとに著者が編集。)

これらの教育目標は,単なる知識の習得にとどま らず,ESDを通して得た知識が価値観や態度の変 容をもたらし,子ども自身が自分にできることを行 い,持続可能な社会へと変えていくといった行動面 の変容も視野に入れたダイナミックなものとなって いる。こうした教育目標を達成するために,子ども 自身が持続可能な社会づくりに関わる課題を見出す 視点として,国立教育政策研究所(2012)は「多様性

(いろいろある)」,「相互性(関わりあっている)」,「有 限性(限りがある)」,「公平性(一人ひとり大切に)」,

「連携性(力を合わせて)」,「責任性(責任をもって)」

などが挙げられる。また,これらにかかわる課題を 見出し,解決するために必要な能力・態度として は,①批判的に考える力,②未来像を予測して計画 を立てる力,③多面的・総合的に考える力,④コミ ュニケーションを行う力,⑤他者と協力する力,⑥

(3)

つながりを尊重する態度,⑦進んで参加する態度の 7つを挙げている(図 1)。

また,ESDの視点に立った学習指導を進める上 では,「教材のつながり」,「人のつながり」,「能力・

態度のつながり」の3つの「つながり」が重要であ ると指摘されている。「教材のつながり」とは,教 材や教科等の内容的な「つながり」,教室・学校と 地域・社会・国・世界との空間的な「つながり」,

過去・現在・未来といった時間的な「つながり」な どを図りながら学習を進めていくことを指してい る。「人のつながり」とは,児童生徒同士や多様な 世代との「つながり」を取り入れた参加体験型の学 習を展開したり,発達の段階に応じて,将来世代や 過去世代との「つながり」も想像させたりするなど の工夫をしていくことである。「能力・態度のつな がり」とは,各学校・地域の実情や児童生徒の実態 に応じた課題を取り上げて,教科等における学習と 活動との「つながり」や学校と家庭・地域社会との

「つながり」を図りながら,現実的な問題解決との

「つながり」になるように取り組んだりすることで ある(国立教育政策研究所,2012)。

これまで述べてきたESDの理念と目的は,後述 する新学習指導要領で示された方向性とほぼ一致し ている。これまで以上に学校教育の中で持続可能な 社会の実現のための学習活動が求められていること が伺われる。

2.3 SDGs 時代の ESD の位置づけ

2000年に国連で採択されたミレニアム教育目標

(MDGs)を継承・発展させる形で,2015年9月の国 連総会において,「持続可能な開発のための2030ア

ジェンダ」が採択され,持続可能な開発目標(SDGs)

が掲げられた。MDGsとSDGsの相違点の1つとし て,MDGsがどちらかというと世代内公正に重点を 置いていたのに対し,SDGsは世代内公正もさるこ とながら,次世代に向けての自然環境を有する地球 の環境収容力や自然生存権への配慮が重要になって きており,より「持続可能な開発」の理念を強く反 映しているものといえる(北村・佐藤,2019)。

SDGsは持続可能な世界を実現するための17の 目標と169のターゲットから構成されており,「教 育」は4番目の目標として掲げられている。そのう ちの4.7に「持続可能な開発を促進するために必要 な知識及び技能の習得に向けて取り組むこと」とい う項目があり,ESDに取り組むことそのものが,

SDGsのターゲットとして提示されている。しか し,教育については,SDGsのすべての目標の達成 の基盤ともなるものであり,特にESDにはその役 割が強く求められている。SDGs時代におけるESD の位置づけとしては,SDGsで掲げる目標をESD の活動における課題として取り入れ,達成を目指し ていくことで,SDGsの達成に直接・間接に貢献す るものであると言える(日本ユネスコ国内委員会教 育小委員会,2017)。

3.新学習指導要領における ESD の位置づけ

3.1 新学習指導要領全体における ESD の位置づけ 文部科学省が策定する学習指導要領は,日本の学 校教育における教科教育の内容と枠組み,指導の指 針を示した文書であり,およそ10年に1度ほどの 図 1 ESD の学習指導過程を構想し展開するために必要な枠組み.(国立教育政策研究所,2012 より抜粋)

(4)

ペースで改訂を重ねて現在に至っている。学習指導 要領の内容は,その世代の児童生徒たちの知識の範 囲と量,思考の枠組みを決定づけるものであり,そ の影響力は大きいものと考えられる。直近では 2017・2018年(平成29・30年)に改訂されている が,この新学習指導要領において,ESDはどのよ うな位置付けになっているのだろうか。

今回改訂の新学習指導要領の策定過程である2016 年12月の中央教育審議会の答申「幼稚園,小学校,

中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領 等の改善及び必要な方策等について」においては,

「教育内容の改善・充実」の項の中で「持続可能な 開発のための教育(ESD)は,次期学習指導要領改訂 の全体において基盤となる理念であると言える」(中 央教育審議会,2016)との記述がみられる。さらに 続けて「持続可能な社会の担い手として必要とされ る資質・能力を育成するには,どのようなテーマを 学習課題とするかではなく,必要とされる資質・能 力を育むことを意識した学習を展開することが重要 である。各学校がESDの視点からの教科横断的な 学習を一層充実していくに当たり,総合的な学習の 時間が中心的な役割を果たしていくことが期待され る(下線部著者)」(中央教育審議会,2016)とある。

それを受けて策定された新学習指導要領の「総則」

では,小学校,中学校,高等学校のすべての学校段 階において,「一人一人の児童(中学校,高等学校で は「生徒」。著者注)が,自分のよさや可能性を認識 するとともに,あらゆる他者を価値のある存在とし て尊重し,多様な人々と協働しながら様々な社会的 変化を乗り越え,豊かな人生を切り拓き,持続可能 な社会の創り手となることができるようにすること が求められる(下線部著者)」(文部科学省,2017)と 記されており,「持続可能な社会の担い手を作る教 育であるESDが,新学習指導要領全体において基 盤となる理念として組み込まれた」(日本ユネスコ国 内委員会教育小委員会,2017)ということができる だろう。

3.2  新学習指導要領で求められている資質・能力と ESD との関連

新学習指導要領で求められている資質・能力とし ては,①社会に出てからも学校で学んだことが生か せるよう,実生活で生きて働く「知識・技能」の修 得,②未知の状況にも対応できる「思考力・判断 力・表現力等」の育成,③学んだことを人生や社会 に生かそうとする「学びに向かう力・人間性」の涵 養の「三つの柱」が掲げられている(文部科学省,

2018b)。

また,今回の改訂では,これまでの教育課程の改 定の中心であった「何を学ぶか」という指導内容の 見直しに加えて,「どのように学ぶか」,「何ができ るようになるか」といった教育のプロセスと教育方 法を質的に改善することが目玉となっており,「主

体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニン グ)」の導入が目指されている。このように,実社 会で役立つ知識といったものは,各教科の縦割りの 知識では完成しないものであることから,各学校に おいて,教員たちが教科の枠組みを超えた教科横断 的な視点から教育課程の編成を行う「カリキュラ ム・マネジメント」を実施することが求められてい る。カリキュラム・マネジメントにおいては,子ど もたちや地域の実情に合わせたカリキュラムの編成 が目指されており,社会や地域を意識したカリキュ ラムを組むこと,また,地域社会の人々と協働した 学習をすることが重要とされている(文部科学省,

2018b)。

これに加えて,教育課程を通して「よりよい教育 によってよりよい社会を作る」という理念を学校と 社会が共有することを目指した「社会に開かれた教 育課程」が求められている。具体的には,目標を社 会と共有し,求められる資質・能力を明確化し,社 会と連携するということである(文部科学省,2018b)。

これらの新学習指導要領で求められている資質・

能力や「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・

ラーニング)」といった学習方法は,本稿の1.2の 図 1に示したように,ESDの視点に立った学習指 導に必要な能力・態度(批判的に考える力,未来像 を予測して計画を立てる力,多面的・総合的に考え る力,コミュニケーションを行う力,他者と協力す る力,つながりを尊重する態度,進んで参加する態 度)とほぼ一致していると言えるだろう。ESDの中 心的なテーマである環境,防災,エネルギー,気候 変動,貧困,平和,国際理解といった諸問題は,単 一の教科の知識や単純なアプローチでは解決できな い複雑なものであり,教科横断的視点による学びが 必要不可欠である。また,地域社会と連携すること で,子どもたちが自らの将来を視野に入れ,これか ら生きていく社会と結び付けた学びをすることがで きるものと考えられる。

このように,新学習指導要領においては,ESD が教育政策のメインストリームに位置付けられてい るということができるだろう(望月・永田,2019)。

3.3  教科教育における ESD の位置づけと総合的な 学習/探究の時間の活用

新学習指導要領における各教科の記述においても,

随所にESDの視点が盛り込まれている。

例えば,高等学校の「地理総合」の「2.内容」

の「B国際理解と国際協力」においては,「(2)地 球的課題と国際協力空間的相互依存作用や地域など に着目して,課題を追究したり解決したりする活動 を通して,次の事項を身に付けることができるよう 指導する。」として「(ア)世界各地で見られる地球 環境問題,資源・エネルギー問題,人口・食料問題 及び居住・都市問題などを基に,地球的課題の各地 で共通する傾向性や課題相互の関連性などについて

(5)

とを目的として導入された。導入から20年近くが 経っているが,その間,こうした協働学習的なスタ イルが基礎学力軽視につながるといった批判(苅谷,

2002)や,総合的な学習の時間の指導法が,各学校 の教員に十分に行きわたらず,当初の教育目標が果 たされないといった問題が残された。さらに,総合 的な学習の時間を時間割に組み込んではいるもの の,教科の補習や行事に充てられるなど,その機能 不全も指摘されてきた(水口,2015)。これを受けて,

今回の新学習指導要領においては,小・中学校では

「総合的な学習の時間」,高等学校では「総合的な探 究の時間」として,内容,指導法,評価方法の充実 が求められており,新学習指導要領において,これ までよりも一段と重要な教育活動として位置づけら れている。ESDについても学校教育活動全体で取 り組むべきではあるが,今後,具体的な学習活動と して正課で行うとするならば,「総合的な学習/探 究の時間」を活用する機会がますます多くなってい くものと思われる。

4.日本の学校教育における ESD の課題

日本の学校教育におけるESDは,主にユネスコ スクールの加盟校が拠点となって実績を積んでい る。ユネスコスクールとは,ユネスコ憲章に示され た理念を実現するために,平和や国際的な連携を実 践する学校をユネスコ本部が認定するものである

(日本ユネスコ国内委員会教育小委員会,2017)。日 本においては,「国連ESDの10年」の開始にあた り,ユネスコスクールをESDの推進拠点として位 置づけている。2017年度において,ユネスコスク ールの登録数は,小学校521校,中学校247校,中 高一貫校54校,高等学校145校,特別支援学校9 校となっており,年々,増加傾向にある(日本ユネ スコ国内委員会教育小委員会,2017)。これらのユ ネスコスクールにおいては,地域社会と密に連携し た取組や,教員組織のあり方から見直し,教員の連 携による教科横断型のESDを展開する取組,地域 の大学や企業と連携しての取組,海外の学校と連携 する取組など,様々な形でのESDが展開されてお り,好事例が蓄積されている。

しかし,このようにESDの取組は広がってはい るものの,日本の学校教育全体から見ると,一部の 取組に留まっており,裾野までには広がっていない という現実がある。また,通常のカリキュラムの中 に位置づけられず,エクストラの位置づけとして単 発のイベントとして実施されているケースも多くみ られている。

こうした日本のESDの課題として,永田佳之は

「日本は政策レベルではESDがメインストリームに 位置付けられている希有な国」であるにもかかわら ず,「変容をめざしたはずのESDは必ずしも変容を 大観し理解すること。(イ)世界各地で見られる地球

環境問題,資源・エネルギー問題,人口・食料問題 及び居住・都市問題などを基に,地球的課題の解決 には持続可能な社会の実現を目指した各国の取組や 国際協力が必要であることなどについて理解するこ と。」(文部科学省,2018a)が挙げられている。

「理科」においては,「内容の取扱い」の部分で

「(2)生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度 の育成を図ること。また,環境問題や科学技術の進 歩と人間生活に関わる内容等については,持続可能 な社会をつくることの重要性も踏まえながら,科学 的な見地から取り扱うこと。」(文部科学省,2018a)と 記載されている。

また,「家庭科」では,「2. 内容」の「C 持続可 能な消費生活・環境」の「(3)持続可能なライフス タイルと環境」において,「(ア)生活と環境との関 わりや持続可能な消費について理解するとともに,

持続可能な社会へ参画することの意義について理解 すること。(イ)持続可能な社会を目指して主体的に 行動できるよう,安全で安心な生活と消費について 考察し,ライフスタイルを工夫すること。」(文部科 学省,2018a)とある。

「体育」においても,「2. 内容」の「H 体育理論」

の項において,「(エ)スポーツを行う際は,スポー ツが環境や社会にもたらす影響を考慮し,多様性へ の理解や持続可能な社会の実現に寄与する責任ある 行動が求められること。」(文部科学省,2018a)との 記載が見られている。

上記以外の教科についても,「持続可能な社会」

についての記述が散見されており,ほぼすべての教 科において,「持続可能な社会の実現」といった理 念が反映された学習内容が提示されており,新学習 指導要領において,ESDの視点は,教科教育全般 に取り入れられたと言える。

前述のように,こうしたESDの視点を取り入れ た学習は,単一の教科の知識で完結するものではな く,教科横断的な視点で取り組むべき社会問題がテ ーマになることが多い。しかし,日本の学校教育に おいて,特に中等教育段階においては,教科ごとの 縦割り教育が長いこと行われており,自分の担当外 の教科の教科書を読んだことがない教員も少なくな い(中央教育研究所,2009)。こうしたことから,個々 の教員が各教科の時間内で教科横断的な視点を取り 入れた授業を実施することは容易なことではないも のと考えられる。

そこで最もESDの視点を取り入れた教育を行い やすいのが「総合的な学習(高校では「総合的な探 究」)の時間」である。「総合的な学習の時間」は,

1998年の教育課程審議会の答申によって,2000年 から小,中,高等学校において取り入れられた教育 活動であり,子どもたちが主体的に考え,問題解決 的視点を持って課題に取り組む姿勢を身に付けるこ

(6)

もたらさなかったこと,その原因として,ESDの 本来のダイナミズムがその実現過程でみられる断片 化によって萎縮した」と指摘している(望月・永 田,2019)。すなわち,旧来の教育システムのなか に,ESDという新しい教育の概念を組み込もうと した結果,ESDが十分に機能しなかったというこ とが,日本の学校教育の中で散見され,結果として,

形骸的な実践となってしまい,子どもたちの意識や 態度の変容,ひいては社会の変容には結びついてい ないということである。

このような,ESDの問題点は各所で指摘されて いる。2015年に日本ユネスコ国内委員会教育小委 員会によってまとめられた「持続可能な開発のため の教育(ESD)の更なる推進に向けて」において,

ESDの課題として以下の6点を挙げている(日本ユ ネスコ国内委員会教育小委員会ESD特別分科会,

2015)。

① ESDの概念が抽象的であり,また,環境,平和,

国際理解,人権等,多岐にわたる分野を包含 するものであることから,一般的に十分に理 解を得られているとは言い難い。

② 学校教育におけるESDの普及が十分に進まな い理由として,「教職員のESDに関する理解が 不十分」 を挙げたユネスコスクールは全体の

75%,「ESDの概念がわかりにくい」を挙げた

ユネスコスクールは約50%であった。

③ ESDが,既存の教科等で学んだ知識を活用し,

課題の解決に向けて生徒が自ら考え,行動する ことを促すものであり,教科間のつながりや地 域の人とのつながりを大切にするものであると いう趣旨が十分に理解されず,付加的なものと して捉えられることが多い。

④ 学校現場でどのような学習活動を行えば良いの かについての十分な情報がなかったり,適切な カリキュラムの編成上の工夫がなされていなか ったりするために,体系的・継続的な学習がな されず,ESDとなり得る活動を行っているに もかかわらず,ESDの目指す資質・能力の育 成につながらないことも多い。

⑤ ESDに熱心な教員がいても,異動等によりそ の取組が継続されなかったり,校内における理 解が十分に得られず,教科横断的な取組が困難 となったりするなど,必ずしもESDが学校内 で組織的に実施されていない。

⑥ 学校現場での効果的なESDの実践のために は,教職員の意識・指導力の向上が不可欠であ るが,ESDに関する教員研修が十分ではない。

(下線部は著者による。)

以上を踏まえて,現在の日本におけるESDの課題 を整理すると,以下の点にまとめられるだろう。

一点目は,ESDの概念が広く多岐にわたることか ら,教員が「ESDとは何か」ということを十分に理 解できていないことである。このことが,既存の教 科で学んだ知識を活用して教科横断的に行われると いうESDの趣旨が理解されず,ESDの目的が十分 に果たされていないことにつながっているものと考 えられる。二点目は,ESDのカリキュラム編成の 問題である。ESDのカリキュラムを作ろうにも,

十分な情報が得られないために,何をどうしたらい いのか分からないまま,せっかくの取組が十分に機 能しないままとなってしまっている。三点目には,

ESDの取組には,学校全体での組織的な取組が必 要であるにもかかわらず,一部の教員の努力の上に 成り立っていることが多いということである。これ では,教員の異動や担当替えがあった場合には,

ESDの取組が立ち消えになってしまう可能性が考 えられる。

これらの課題は,前述の永田が指摘するように,

旧態依然とした教育システムの中に,ESDを付け 加える形で導入した結果,ESDが当初の目的を十 分に果たせないまま,機能不全を起こしているもの と考えられる。加えて、日本の学校特有の教員の多 忙さも,こうした問題に拍車をかけている。こうし たことから,ESDが最も目指すべき,子どもたち の価値観や態度の変容といったところまで行きつか ず,ましてや実践や行動には結びつきづらい学びに 留まってしまったのではないだろうか。

5.まとめ:真に持続可能な社会の構築に向けて 前述のように,ESDがたくさんの課題を抱え,

思うように定着しなかった期間においても,我が国 の少子高齢化は進み,気候変動は世界規模で様々な 影響を与えている。日本各地でも,大雨による災害 が毎年のように起こり,持続可能な社会の維持のた めの対策は喫緊の課題となってきている。こうした 状況において,ESDによる持続可能な社会の担い 手の育成はより一層,重要なものとなっている。今 後,真に持続可能な社会の構築に向けて,これまで のESDの課題を乗り越えるためには,どのような 取組が必要なのだろうか。

まずは,ESDそのものに対する教員の理解の促 進である。日本において今後,抱えていく問題は地 域によって異なるものと考えられる。こうした地域 独自の問題に対する対応と地球規模で起こっている 問題への対応をどのように結び付け,どのように教 えていくのかといったこともESDにおいては重要 なテーマとなってくる。しかし,こうしたテーマに 必要な知識は分野横断的で幅広く,多忙な学校の教 員がテーマの全体を理解したうえで,生徒向けの教 育プログラムを考えることは困難であろう。こうし たことが「ESDは抽象的で分かりにくい」といっ

(7)

た印象を学校教員に抱かせてしまっているものと考 えられる。ESDが扱う,一見幅広い分野にわたる テーマを具体的な事例と結び付け,ESDのテーマ がいかに我々の身近な問題と結びついているのかと いったことを理解するためには,教員個人の努力で は限界がある。加えて,専門的な知識が問われるテ ーマの場合,担当教科の知識のみでは不十分なケー スもある。こうした課題の一助となるのが,研究者,

地域社会で実際に産業に従事している専門家と連携 し,具体的なESDのテーマに基づいた専門的知識 の提供を受けるかたちの教員研修である。真の意味 で持続可能な社会を目指すのであれば,子どもたち の意識喚起のみで終始するのでは不十分である。具 体的にどのような現象が起こっているのか,未来に 向けて緩和していくには具体的にどうすればいいの かといったことを,科学的な見地をもとに,真に効 果のある行動へと結びつくような知識を専門家が提 供することが重要である。こうして,専門的な知識 を教員が学ぶことで,ESDそのものに対する理解 も深まるものと考えられる。そして,専門的な知識 を基に生徒の発達段階や理解度の状況に合わせたカ リキュラム開発を行うことによって,ともすると形 骸化しがちなESDの取組が地に足の着いたものと なるのではないだろうか。

次に,ESDを正課として位置づけた上での学校 教育における組織的な取組の必要性が挙げられる。

これまでのように,ESDが学校教育において「付 加的」な位置づけにならないためにも,ESDを正 課の中に組み込み,教科横断的に展開することが必 要であると考えられる。その際,各学年,各教科で ESDに関連する単元の連関を明確にし,いつ,ど の教科でどのような内容を教えているのかというこ とを可視化するなどの取組を行うことで,一部の教 員のみがESDに関わるのではなく,学校全体で組 織的にESDに取り組む体制が整えられるものと考 えられる。この際,注意すべき点として,単に各教 科の単元の内容の連関のみに注視するのではなく,

「どのような能力を育てるのか」といった,生徒に 身につけさせたい能力の連関も視野に入れることが 重要である。

更に付け加えるならば,こうした教育活動の取組 の効果を何らかの手段で測定・評価し,エビデンス ベースでカリキュラムの改善をはかることも必要で ある。

次世代を担う子どもたちにとって,持続可能な社 会の構築のための理念が「当たり前」の価値観とし て定着することができれば,30年後,40年後の未 来予測を変える大きな原動力になり得るものと考え られる。こうした地道な教育の積み重ねこそが,将 来の地域社会を担う人材の輩出に繋がっていくこと が期待されるのではないだろうか。

最後になるが,現状のESDの課題を乗り越える

ことを目指して行っている著者らの取組を紹介した い。著者らは鹿児島県西之表市において,中学校,

高等学校の協力のもと,気候変動といった地球規模 的問題と少子高齢化,空き家の増加等の当該地域特 有の課題を合わせて,持続可能な地域社会を実現す るために何ができるのか,いま何をすればいいのか という視点から,生徒たちに具体的な施策のアイデ ィアを提案してもらうといった未来ワークショップ を中心としたカリキュラム開発に取り組んでいる。

この未来ワークショップでは,自治体ごとの30年 後の人口,産業などの変化をシミュレーションした データを子どもたちに提示し,未来から見て現在で きることを考える「バックキャスティング」の視点 を取り入れており,専門性,具体性,そして,バッ クキャスティングという子どもたちが既存の思考の 枠を破るような思考法自体を取り入れているところ が,従来のESDにない特長である。

この取組においては,いずれは学校教育の正課と して位置付けることを前提として,環境やエネルギ ー,人口問題の専門家による資料作成,教育の専門 家による教育方法,評価方法の検討を含めた総合的 な教育プログラムの開発を行っている。さらに,授 業の前と後,半年後の三時点において,生徒たちの 地域や環境に対する意識の変化の調査を行い,知識 の定着と意識,行動の変容の確認も行い,カリキュ ラム自体の評価と改善を試みているところである。こ のように,未来ワークショップの取組をとおして,

これまでの貴重なESDの成果とそこから明らかに なった課題を乗り越えるべく,新たな時代のESD のあり方を模索しているところである。

新学習指導要領は,移行期間を経て,2020年度 から小学校,中学校,高等学校と1年ごとに順次,

導入されていくことになっている。これからの子ど もたちは,持続可能な社会の構築,そのための人材 育成といった理念が,これまで以上に明確に位置づ けられたカリキュラムで学ぶこととなり,ESDは 新たな段階に入ったものと考えられる。真の意味で 持続可能な社会に向けた意識の変容と行動の変化を 目指した教育のあり方が問われている。

本稿は,JST-RISTEX「持続可能な多世代共創社 会のデザイン」研究開発領域「多世代参加型ストッ クマネジメント手法の普及を通じた地方自治体での 持続可能性の確保」(代表:倉阪秀史 平成26年~令 和元年度 JST-RISTEX)及び環境研究総合推進費 2-1910(代表:倉阪秀史 平成31年~令和3年度 環 境再生保全機構)による研究成果の一部である。

(8)

引 用 文 献

中央教育研究所(2009)教師と児童・生徒の教科書の使 い方及び教科書観に関する調査.研究報告,No.72.

中央教育審議会(2016)幼稚園,小学校,中学校,高等 学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び 必要な方策等について(答申). https://www.mext.

go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/

1380731.htm(2019年9月30日確認)

苅谷剛彦(2002)教育改革の幻想,筑摩書房.

北村友人(2014)ESDに基づく総合的な「安全教育」.

田中治彦・杉村美紀(共編),多文化共生社会におけ るESD・市民教育,上智大学出版,142–164.

北村友人・佐藤真久(2019) SDGs時代における教育の あり方.北村友人・佐藤真久(編),SDGs時代の教育 すべての人に質の高い学びの機会を,学文社,12–13.

国立教育政策研究所(2012)学校における持続可能な発 展のための教育(ESD)に関する研究〔最終報告書〕. http://id.nii.ac.jp/1296/00000448/(2019年9月30日 確認)

水口 洋(2015)総合的な学習の時間の行方.国際基督教 大学学報,I-A 教育研究,57号,35–45.

望月要子・永田佳之(2019)持続可能な開発のための教 育(ESD).北村友人・佐藤真久(編),SDGs時代の教 育 すべての人に質の高い学びの機会を.学文社,26–

50.(引用部分は永田執筆部分)

文部科学省・日本ユネスコ国内委員会(2008)ユネスコ スクールで目指すSDGs 持続可能な開発のための教 育. http://www.esd-jpnatcom.mext.go.jp/about/pdf/

pamphlet_01.pdf(2019年9月25日確認)

文部科学省(2017)小学校学習指導要領(平成29年告示).

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/

education/micro_detail/_icsFiles/afieldfile/2018/

09/05/1384661_4_3_2.pdf(2019年9月30日確認)

文部科学省(2018a)高等学校学習指導要領(平成29年告 示).https://www.mext.go.jp/content/1384661_

6_1_3/pdf(2019年9月30日確認)

文部科学省(2018b)新学習指導要領について. http://

www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/

044/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2018/07/09/1405957 _003.pdf(2019年9月30日確認)

日本ユネスコ国内委員会教育小委員会ESD特別分科会

(2015)持続可能な開発のための教育(ESD)の更なる 推進に向けて. https://esdcenter.jp/wp-content/

uploads/2016/04/bd15d8dae70f1f847d76052fd8f0ce7b.

pdf(2019年9月30日確認)

日本ユネスコ国内委員会教育小委員会(2017)今日より いいアースへの学び 持続可能な開発のための教育

(ESD)の更なる推進に向けて:学校等でESDを実践 されている皆様へ 日本ユネスコ国内委員会教育小委 員会からのメッセージ. http://www.esd-jpnatcom.

mext.go.jp/(2019年9月15日確認)

田中治彦(2014)持続可能な開発のための教育(ESD)の 歴史と課題.田中治彦・杉村美紀(共編)多文化共生 社会におけるESD・市民教育,上智大学出版,88–

103.

World Commission on Environment and Development

(1987)Our Common Future, Oxford University Press.

大来佐武郎監修(1987)地球の未来を守るために:環 境と開発に関する世界委員会,福武書店.

1969年,千葉県生まれ。上智大学大 学院総合人間科学研究科教育学専攻満期 退学。博士(教育学)。立教大学大学教育 開発・支援センター学術調査員を経て,

2013年より芝浦工業大学工学部に勤 務,主に教職課程を担当。専門分野は教 育社会学。主な著書に『ダイバーシティ時代の教育の原理

-多様性と新たなるつながりの地平へ』(編著),『大学生のキ ャリアとジェンダー -大学生調査にみるキャリア支援への 示唆』(単著),『子ども・若者の文化と教育』(編著)など。

谷田川 ルミ

/Rumi YATAGAWA

栗島 英明

/Hideaki KURISHIMA 1975年,愛知県生まれ。1998年に茨 城大学教育学部を卒業後,2003年に筑 波大学大学院地球科学研究科地理学専攻 修了。博士(理学)。独立行政法人(現,

国立研究開発法人)産業技術総合研究所 ライフサイクルアセスメント研究センタ ー研究員,芝浦工業大学工学部を経て,2018年より現職。

専門分野は環境政策,都市地理学,持続性科学。元々は基礎 自治体の廃棄物政策の評価等を行っていたが,最近は持続可 能な都市・地域を実現するための各種研究(評価指標開発,

ソーシャルキャピタル研究,消費者行動研究,地域人材育成 プログラムの開発等)を進めている。

参照

関連したドキュメント

〇 その上で、排出事業者は、 2015 年 9 月の国連サミットで採択された持続可能な開 発目標( SDGs )や、同年 12 月に第 21

土壌溶出量基準値を超える土壌が見つかった場合.. 「Sustainable Remediation WhitePaper

○ 我が国でも、政府の「SDGs 推進本部」が 2016 年に「SDGs 実施指針」を決定し、1. 同指針を

 KSCの新たなコンセプトはイノベーションとSDGsで

拠点校、連携校生徒のWWLCリーディングプロジェクト “AI活用 for SDGs” の拠 点校、連携校の高校生を中心に、“AI活用 for

SDGs

2018 年、ジョイセフはこれまで以上に SDGs への意識を強く持って活動していく。定款に 定められた 7 つの公益事業すべてが SDGs

 SDGs(持続可能な開発目標)とは、2015 年 9 月の国連サミットで採択された「誰 一人取り残さない(leave no one