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部材途中に降伏位置を計画した基礎梁の構造性能実験

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Academic year: 2021

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(1)

部材途中に降伏位置を計画した基礎梁の構造性能実験

安藤建設技研 ○田畑 卓 1.はじめに

鉄骨柱の埋込み柱脚においては,埋込み部 周りでの柱鉄骨と基礎梁主筋との緩衝を避け る方法として,図1のような基礎梁形式が考え られる。

本報では,基礎梁の曲げ降伏を許容するに あたって,基礎梁端の幅広な平行ハンチとク リアスパン側の基礎梁との境界面(以下,切替 面)に曲げ降伏位置を計画するものとし,主筋 の 付 着 ・定 着 条 件 が 基 礎 梁 の 曲 げ 性 能 に 及 ぼ す影響を実験的に調べた。

2.実験計画

表 1に試験体一覧を,図2に試験体形状・配

筋例を示す。試験体は柱鉄骨面から基礎梁反 曲 点 位 置 ま で を 想 定 し た 片 持 ち 梁 と し , 全 6 体を計画した。いずれの試験体も基礎梁の断

面寸法は b×D =240×540mm,切替面から加力

点までの距離は 1500 mmである。切替面での 曲げ降伏を先行させるために,主筋は梁端側

を 12-D16( 以降,ハンチ部主筋 ) ,スパン側を

6-D16( 以降,基礎梁主筋 ) とし,切替面に対し

てスタブ面 (加力スタブと平行ハンチの境界) の曲げ降伏耐力を 1.2 倍確保した。また,切替

面でのせん断伝達に配慮して,曲げ降伏時せ ん断力に相当するせん断補強筋を切替面近傍 に集中的に配筋した。

変動因子は平行ハンチの幅寸法,主筋定着 長さ,基礎梁主筋の定着形式である。平行ハ ン チ の 幅 寸 法 は 640mm と 960mm の 2 水 準 と し

Experiment on the Foundation Beam Planed Bending Yield Section at the Member Middle Part

Taku TABATA

124 B 26

790 200

2-D6@125 (pw=0.21%) 4-D6@125

640

2-D6×7

1500

124 26

950 200

2-D6@125 (pw=0.21%) 4-D6@125

800

2-D6×7

1500

1) 10-40R

5) 20-50R

640

540

240 960

A

A B

C

A

A C

A-A断面 B-B断面 C-C断面

図2 試験体の形状および配筋例

主筋間の ハンチ部寸法(mm) 基礎梁主筋定着

あき寸法 断面幅 長さ 定着長*1 形式

1) 10-40R 790 40db

2) 10-30R 630 30db

3) 10-55S 920 55db

4) 10-45S 760 45db

5) 20-50R 950 50db

6) 20-40R 790 40db

*1 折り曲げ定着の場合は2段目主筋の直線部長さを表す 試験体

10db 640

折り曲げ 直線

20db 960 折り曲げ

表1 試験体一覧

図1 埋込み柱脚工法

平行ハンチ 基礎梁

切替面

(2)

た。基礎梁主筋の定着形式は直線定着と 90 ° 折り曲げ定着とし,ハンチ部主筋は全て直線 定着とした。表 2 および表 3 に材料試験結果を 示す。

加力は変位制御による正負交番繰り返し載 荷とし,下端引張り時を正加力とした。

3.実験結果

3.1 破壊経過および履歴性状

図 3 に各試験体の荷重 (P) -変形角 (R) 関係,

写真 1 に最終破壊状況例を示す。いずれの試験 体 も R= ± 1/1000rad. ま で に 切 替 面 と ス タ ブ 面 に曲げひび割れが発生し,その後平行ハンチ および基礎梁側面に斜めひび割れが発生した。

R=1/150 ~ 1/120rad. で, 20-40R の負加力時を除 く全ての試験体で一般部主筋が降伏した。

主筋定着長さが短い10-30Rはその後まもな く荷重低下したが, 10-40Rおよび10-45Sでは 若干の荷重増加を生じた後, R= ± 1/100rad. で 最大耐力に至った。これらの試験体では,平 行ハンチ側面を対角に結ぶ斜めひび割れと平 行ハンチ上下面に発生した基礎梁主筋の定着 に起因するコーン状のひび割れが支配的であ

った。主筋定着長さが長い 10-55S や 20-50R で は,平行ハンチ側面の斜めひび割れの発生が 軽微であり,正加力時では最終加力まで安定 した履歴性状を示した。なお,各試験体では 正 加 力 時 に 比 べ て 負 加 力 時 の 耐 力 ・変 形 性 能 が劣る傾向がみられるが、これらは上端主筋 に沿う沈降ひび割れが付着割裂ひび割れとし て伸展したことが影響している。

降伏強度 引張強度 ヤング率 破断伸び

(N/mm2) (N/mm2) (kN/mm2) (%)

D6 SD295A 368 514 187 15.8

D16 SD345 390 568 193 22.5

呼び名 材質

表2 鉄筋材料試験結果

圧縮強度 ヤング率 割裂強度 (N/mm2) (kN/mm2) (N/mm2) 1) 10-40R, 3) 10-55S, 5) 20-50R 24.1 24.2 2.06 2) 10-30R, 4) 10-45S, 6) 20-40R 26.1 25.2 -

試験体

表3 コンクリート材料試験結果

写真1 最終破壊状況

10-40R 10-55S

10-40R

-150 -100 -50 0 50 100 150

-20 -10 0 10 20 30

R (×10-3rad.) P (kN)

bMy

cMc bMc

bMc cMc

bMy

-150 -100 -50 0 50 100 150

-20 -10 0 10 20 30

P (kN)

R (×10-3rad.) 10-30R bMy

cMc bMc

cMc bMc

bMy

-150 -100 -50 0 50 100 150

-20 -10 0 10 20 30

P (kN)

R (×10-3rad.) 10-55S bMy

cMc bMc

bMc cMc

bMy

-150 -100 -50 0 50 100 150

-20 -10 0 10 20 30

P (kN)

R (×10-3rad.) 10-45S bMy

cMc bMc

bMc cMc

bMy

-150 -100 -50 0 50 100 150

-20 -10 0 10 20 30

P (kN)

R (×10-3rad.) 20-50R bMy

cMc bMc

bMc cMc

bMy

-150 -100 -50 0 50 100 150

-20 -10 0 10 20 30

P (kN) 20-40R

R (×10-3rad.)

bMy

cMc bMc

bMc cMc

図3 荷重(P)-変形角(R)関係

(3)

3.2 主筋歪み性状

図 4 に 正 加 力 時 の 下 端 主 筋 の 歪 み 分 布 を 例 示する。変形角の増大に伴う切替面近傍の基 礎梁主筋の歪みの推移は各試験体でほぼ同様

である。 R ≒ 1/100rad. では基礎梁主筋の降伏域

が平行ハンチ内へ 200mm 程度伸展しており,

最終加力まで荷重が増大し続けた 10-55S では R=1/32rad.で500mm程度伸展している。

最大耐力時では,基礎梁主筋の弾性範囲内 における平均付着応力度は,折り曲げ定着の 有無によらず,平行ハンチの幅寸法が 640mm の試験体で 3.1 ~ 3.3N/mm

2

, 960mm の試験体で

2.6~3.0N/mm

2

であった。これらはRC規準[1]

において主筋のあきや被りの影響を表す係数 に 上 限 値 (C=5) を 適 用 し て 求 め た 直 線 定 着 の 短期許容付着応力度とほぼ等しい。平行ハン チ内では基礎梁主筋の側面被り厚さが通常の 梁より極端に大きく,このことが付着割裂強 度を増大させたものと推測される。

一方,ハンチ部主筋は未降伏ながら、変形 の増加に伴ってスタブ面側から歪み勾配が鈍 化する傾向を示しており、せん断ひび割れの 発生によってテンションシフトを生じた形と なっている。最大耐力時ではハンチ部主筋の 先端付近の歪み勾配は基礎梁主筋の弾性範囲 内のそれと同程度にまで達した。

4.付着性能の評価

実験結果を定量的に評価するため,各試験 体の付着余裕度と実験で得られた切替面の限 界回転角の関係を調べる。ここで,切替面の 限界回転角は,当該 M-θ 関係上の正加力時に おいて,計算曲げ耐力の 95% に耐力が低下し た時点の回転角と定義する。

4.1 主筋応力度分布の仮定

付着余裕度の評価にあたっては,図 5 のよう な主筋応力分布を想定して,切替面曲げ降伏 時の存在付着応力度(τ

d

)を求める。すなわち,

ハンチ部主筋ではテンションシフトの影響を 考慮するものとし,その範囲は実験結果を参 考にスタブ面から梁せいの 0.5 倍と仮定する。

ハンチ部主筋のスタブ面存在応力度は, 1 段目

0 500 1000 1500 2000 2500 3000

-1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 切替面からの距離(mm) 歪み(μ)

0 500 1000 1500 2000 2500 3000

-1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 切替面からの距離(mm) 歪み(μ)

0 500 1000 2000 2500 3000

-1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800

0 500 1000 1500 2000 2500 3000

-1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 切替面からの距離(mm) 歪み(μ)

切替面からの距離(mm) 歪み(μ)

R=1/609rad.

R=1/305rad.

R=1/153rad.

R=1/102rad. 10-40R

R=1/645rad.

R=1/323rad.

R=1/161rad.

R=1/108rad.

R=1/81rad.

10-55S R=1/32rad.

10-45S R=1/603rad.

R=1/301rad.

R=1/151rad.

R=1/100rad.

20-50R R=1/653rad.

R=1/327rad.

R=1/163rad.

R=1/109rad.

R=1/82rad.

R=1/54rad.

図4 下端主筋の歪み分布

図5 切替面曲げ降伏時の主筋応力度分布

min(dw, D/2)

σt σy

D/2

dw

D:基礎梁せい σy:主筋降伏強度 σt:切替面曲げ降伏時    スタブ面存在応力度

ハンチ部主筋 基礎梁主筋

ハンチ部主筋

基礎梁主筋

(4)

主筋を対象として断面曲げ解析より算出する。

一方,基礎梁主筋ではハンチ部主筋との応 力伝達を勘案して図中,点線で示すような,

ハンチ部主筋先端から45度の角度で発生する コーン状ひび割れを仮定する。ただし,この ひび割れの角度は本来,基礎梁主筋とハンチ 部主筋のあき間隔によって変化すると考えら れ,これを45度で一義的に仮定すると,ハン チ部の幅寸法が比較的大きいときに,付着劣 化域を過大に評価する可能性がある。改めて 図 4 を み る と , 主 筋 の あ き 間 隔 が 360mm の 20-50R で は , 基 礎 梁 主 筋 の 付 着 劣 化 域 は 200

~300mm程度となっている。そこで,同付着 劣 化 域 は 梁 せ い の 0.5 倍 に 相 当 す る 270mm を その上限と仮定した。

4.2 付着割裂強度の評価

各主筋の付着割裂強度は, RC規準の短期許 容付着応力度 (τ

a

) に基づき算定する。ただし,

基礎梁主筋においては,サイドスプリット型 の付着割裂破壊に対して,ハンチ内の側面被 り厚さが非常に大きいことの効果を勘案して,

式中の係数 C を上限の 5 で評価する。一方,ハ ンチ部主筋は明らかにコーナースプリットに 分類されるため,式中の係数 C は最小被り厚さ

の 3 倍によって評価する。

4.3 付着余裕度と限界回転角の関係

図6に正加力時の限界回転角 (θ

u

)と上記の評 価 方 法 に 基 づ く 付 着 余 裕 度 (τ

a

d

)の 関 係 を 示 す。同図では降伏応力に達した基礎梁主筋の みに着目すると、例えば、 10-40R と 10-55S と では同程度の付着余裕度を有することになる が、両者の限界回転角は大きく異なる結果と なっている。このことは試験体の付着余裕度 は基礎梁主筋だけでなく、ハンチ部主筋も含 めて評価すべきといえる。本評価方法では、

基礎梁主筋とハンチ部主筋の小さい方の付着 余裕度と、実験で得られた限界回転角との間 に明瞭な相関性があり、付着余裕度の増大に 伴う限界回転角の向上を良好に表現できる。

5.まとめ

本実験より以下の知見が得られた。

1) 基礎梁主筋の平行ハンチ内の付着強度は、 RC 規準による短期許容付着応力度の上限値程度 であった。また,ハンチ部主筋は応力増大側 の付着劣化が顕著であった。

2) 基礎梁主筋とハンチ部主筋の双方について応 力度分布を仮定した。これらに基づく付着余 裕度は実験で得られた限界回転角と良好な相 関性を示した。

<

参考文献 >

[1]

日本建築学会:鉄筋コンクリート構造計算規 準・同解説,

1999

表4 存在付着応力度と付着強度の評価方法

存在付着応力度(τ

d

)  τ

d

t

・a

s

/(L

e

・φ)  ここで、

  σ

t

: 検定断面の存在主筋応力度   a

s

、φ: 当該主筋の断面積および周長   L

e

: 定着長さから付着劣化域を減じた長さ     (ただし、折り曲げ定着では検定断面から       折り曲げ起点までの長さとする)

  

付着強度(τ

a

)  τ

a

=K・f

b

  K=0.3(C+W)/d

b

+0.4   W=80A

st

/(s・N)  ここで、

  f

b

: RC規準による短期許容付着応力度   C: 主筋間のあき、もしくは最小被り厚さの3倍     のうち小さい方で、鉄筋径の5倍以下

  A

st

: 想定付着割裂面を横切る1組の補強筋断面積   s: 横補強筋間隔

  N: 想定付着割裂面における主筋本数  ただし、

  折り曲げ定着の場合は上記τ

a

を1.5倍して評価する

図6 付着余裕度と限界回転角の関係

20-40R 10-30R

0 3 6 9 12 15 18 21 24 27 30

0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8

付着余裕度(τa d) 限界回転角θ(×10-3rad.)

  :一般部主筋   :ハンチ部主筋

10-45S 10-40R

20-50R 10-55S

参照

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