災害時における無線メッシュネットワークを用いた 孤立無線ネットワーク復旧手法の提案
040430703 永井 順也 渡邊研究室
1. はじめに
災害等の被害により,無線ネットワークの無線 アクセスポイント(AP)を接続する有線ケーブル が切断されるという状況が考えられる.このとき,
無線端末が孤立したAP に接続し続け,外部ネッ トワークとの通信機会を失ってしまうことが懸 念される.本研究では,我々が無線メッシュネッ トワークの一実現方式として研究を行っている WAPL(Wireless Access Point Link)[1][2]を拡張して,
AP の孤立した状態を素早く復旧させ,無線端末 を元のネットワークに接続する方法を提案する.
2. WAPL
WAPLではWAPL独自のAPをWAP(Wireless Access Point)と呼称する.WAPはインフラストラ クチャモードとアドホックモードの無線インタ フェースを持つ.インフラストラクチャモードの インタフェースは一般のAPと同様に無線端末と 接続する.アドホックモードのインタフェースは WAP同士でアドホックネットワークを形成する.
無線端末は離れた通信相手に対して,WAPを中継 して通信する.無線端末が通信を開始する前に,
WAPと無線端末の対応関係がわかっている必要 があるが,WAPLでは対応関係をオンデマンドで 生成するため,制御パケットの負担が少ないとい う特徴がある.WAPLでは,利用するアドホック ネットワークをMANETのルーティングプロトコ ルから自由に選択できる.また端末が移動しても パケットロスのないシームレスなハンドオーバ ーを実現できる.
3. 提案方式
提案方式では,インターネットから孤立したAP の孤立ネットワークを WAPL が提供するネット ワークを介して元のネットワークに復旧させる.
孤立ネットワークとWAPLの接続はWAPが孤立
APの配下端末となることで確立する.
これを実現するため,図.1のように,WAPにAP 配下端末として接続できる機能を新たに追加し た . こ の AP の 配 下 端 末 と な る WAP を R-WAP(Relaying Wireless Access Point) と呼称す る.R-WAPを孤立ネットワークと元の無線ネット ワークにそれぞれ無線 LAN クライアントとして AP の配下に設置する.経路生成とパケットの中 継方法を図.2に示す.経路生成は端末からのARP をトリガにして,相手端末と WAP の関係テーブ ルLT(Link Table)を生成することで実現する.図.2 のように ARP 内の情報を用いることにより互い のR-WAPに相手端末へのLTが生成され,以後の データパケットはR-WAPのIPアドレスによりカ プセリングされて中継される.
宛先 送信元
端末1
孤立無線ネットワーク
AP2 元の無線ネットワーク
A.2
A.1 W.1 W.2 A.5 A.3 A.4
IPパケット
宛先 送信元 宛先カプセル化送信元
W.2 W.1 A.4 A.1 A.4 A.1
A.6R-WAP R-WAP
ARP Reqest LT Reqest 代理
ARP Reqest ARP Reply LT Reply
代理 ARP Reply ネットワーク部 ホスト部
英字.数字 IP
LT ARP←
ARP LT←
デカプ セル化 Infrastructure mode
adhoc network
宛先 送信元
A.4 A.1 AP1
カプ セル化
端末2
LT
→ARP ARP
→LT
図.2 経路生成とパケット中継シーケンス
4. むすび
孤立した無線ネットワークの復旧を実現する ためにAPとWAPLを介して,切断されたネット ワーク間のパケットを中継する方法を提案した.
今後は実装と評価を行う.
参考文献
[1] 加藤 佳之,伊藤将志,渡邊晃 無線アクセスポイント リンク ”WAPL” の提案と評価(DICOMO2007 シンポジウム 論文集, Vol.2007,No.1,pp.9-15)
図.1 R-WAP概要
災害時における無線メッシュネットワークを用いた 孤立無線ネットワーク復旧手法の提案
Proposal of method of restoring wireless isolation network at the disaster where wireless mesh network was used
渡邊研究室
永井順也
はじめに
The Internet
AP
無線端末 端末 端末
サーバ 端末
ルータ
ネットワークが破壊され外部との通信 が不能になるという状況が考えられる
近年,無線
LAN
が普及災害等の被害によりネットワーク が破壊されると全壊,半壊,健全 のネットワークが混在する
ネットワークに無線アクセスポイント (AP)が存在することが考えられる
半壊のネットワークに限定
課題 孤立無線ネットワーク
孤立無線ネットワークの AP 自体は正常
孤立無線ネットワークが 発生
無線ネットワークとインターネットとの間に 障害が発生した場合
無線端末
端末 端末
サーバ 端末
ルータ
孤立無線 ネットワーク
孤立無線ネットワーク内 に存在する AP を使って ネットワークの復旧がで
きないか
孤立無線ネットワーク内 に存在する AP を使って ネットワークの復旧がで
きないか
接続 復旧
孤立無線ネットワークの発生例
端末 端末
ルータ(デフォルト ゲートウェイ)
無線ネットワーク
ネットワ ーク部
ホスト 部
英字.数字
A.3 IP
A.5
A.1
A.4 A.2
孤立無線ネットワークの発生例
端末 端末
ルータ(デフォルト ゲートウェイ)
無線ネットワーク
ネットワ ーク部
ホスト 部
英字.数字
A.3 IP
A.5
A.1
A.4 A.2
孤立無線ネットワークの発生例 障害発生
孤立AP
外部ネットワークに接続 できる
外部ネットワークに接続 できない
復旧概要
端末 端末
孤立無線ネットワーク
ルータ(デフォルト ゲートウェイ)
元の無線ネットワーク
英字.数字
IP
A.3
A.5
A.1
A.4 A.2
ネットワ ーク部
ホスト 部
無線メッシュネットワークを使って 新たな経路を形成
無線メッシュネットワークを使って 新たな経路を形成
新たな 経路
具体的な説明の前に 無線 LAN の種類
インフラストラクチャモード アドホックネットワーク
⇒一般的な無線
LAN
⇒無線端末は無線アクセスポ イント
(AP)
を介して通信⇒
AP
間は有線⇒研究段階のネットワーク
⇒無線端末同士が直接通信
⇒遠くの端末とはバケツリレー 方式で通信
無線 AP間は
有線
具体的な説明の前に 無線メッシュネットワーク
インフラストラクチャモード
+ =
AP間が
有線 AP間が
無線
無線メッシュネットワーク
⇒研究段階のネットワーク
⇒
AP
間も無線のため有線の工事 がいらない無線メッシュネットワークシステム WAPL
WAPL(Wireless Access Point Link)
¾
我々が提案してきた無線メッシュネットワークシステム¾WAPL
独自のAP
をWAP
と呼称¾WAP
は2
つの無線インターフェースを持つ¾WAP-
無線端末間はインフラストラクチャモード,WAP
間はアドホックネットワークで通信無線メッシュネットワークシステム WAPL
WAPL(Wireless Access Point Link)
¾
すでに実装済み(
あいちITS
フォーラムに出展)
¾
アプリケーションレベルで動作¾WAP
間で形成するアドホックネットワークのルーティング プロトコルはWAP
の動作から独立アプリケーションレベル
ネットワークスタック
カプセル化処理 テーブル管理 メッセージ制御 近隣通信の監視
アドホック ルーティング プロトコル
802.11
802.11
WAP
IF1
端末 間通信
IF2
間通信
自由に選ぶ ことができる
WAPL を用いた無線メッシュネットワーク
無線端末2 宛のパケット
WAP2宛に カプセル化した
パケット
無線端末1 無線端末2
WAP1 WAP2
端末
1 データ
送信元 端末
2 データ
送信元
WAP1
カプセル化
各
WAP
の配下端末の情報 はWAP
間で自動的に交換端末 2
宛先
端末
1 データ
送信元
端末 2
宛先 宛先
WAP2 端末2に接続 しているWAP
端末 1
カプセル化
MACアドレスまで含めてカプセル化
デカプセル化
追加
R-WAP(Relay - Wireless Access Point)
¾ 孤立した AP に対してクライアントとして AP の配下に 入り,パケットを中継する
WAP の拡張 -R-WAP-
WAP
がAP
の機能 今までWAP
がAP
の配 下に入る追加
今までと逆の 立場で接続 今までと逆の 立場で接続
復旧方法
端末 端末
孤立無線ネットワーク
ルータ(デフォルト ゲートウェイ)
元の無線ネットワーク
ネットワ ーク部
ホスト 部
英字.数字
A.3 IP
A.5
A.1
A.4 A.2
復旧方法
AP1の配下端末 として接続
AP2の配下端末 として接続
APに変更を 加える必要
はない
復旧方法
R-WAP間の経路はア ドホックネットワークの ルーティングプロトコル
複雑なネット ワーク設定は
復旧方法
以後,R-WAPはブリッジ としてパケットを中継
復旧方法
以前の 経路
APは受け取っ たパケットをブ ロードキャスト
R-WAPはMACレベルで パケットを変えることなく
中継
送信元MACアドレス は端末1
端末2へ通信
時間が経過する とブリッジ経路
表がリセット ブリッジ経路表
が更新
復旧方法
以前の 経路
ブリッジ経路表 が更新
以後,パケットはR-WAP を通るようになる
復旧方法
以後,パケットはR-WAP を通るようになる
固定端末 も同様
実装
IEEE802.11
infrastructure Ethernet 変換
Ethernet IEEE802.11
adhoc
無線端末側 WAP側
MANET IP層
データリンク層 トランスポート層 アプリケーション層
ノートPC
パケット解析・
判断
無線AP SOCKET
パケット解 析・判断 カプセル化
デカプセル化 LT
処理 Link Table
LT message ARP
IP
Capsuled IP
IP Capsuled
IP
SOCKET WAP
パケット解析・
判断
パケット解 析・判断 SOCKET
IEEE802.11
infrastructure 無線クライアン
トカード
追 加
シンプルに提案方式を実現可能 実装済の
WAP
を改造検討の結果,WAP に無線クライアント カードを追加し,プ ログラムを改造する ことで実現できる
今後
The Internet
無線端末1 無線端末2
完全孤立無線ネットワークA
デフォルト ゲートウェイ
AP
The Internet
AP
デフォルト ゲートウェイ
Network C
無線ネットワークB
The Internet GWAP(Gateway WAP)
を利用してインターネット と接続
R-WAPを発展させて 異なるネットワークと
接続
R-WAPを発展させて 異なるネットワークと
接続
固定端末