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市町村における発注者支援に関する提案

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2006 年度 修士学位論文

市町村における発注者支援に関する提案

A Proposal for the Support System for Employer

in Cities, Towns and Villages

2007 年 2 月

主指導教員 那須 清吾

副指導教員 草柳 俊二

高知工科大学大学院 工学研究科 基盤工学専攻

社会システム工学コース 1095519

中島 俊彦

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市町村における発注者支援に関する提案

目 次

第1章 はじめに 3 第2章 公共工事における発注者支援の現状 2.1 「品確法」における発注者支援 5 2.2 四国地方における発注者支援 6 (1) 「四国地方公共事業品質確保推進協議会」の設立 (2) 公共工事発注者支援技術者登録制度 2.3 道路局所管補助事業等における支援 7 第3章 市町村における発注体制の現状と課題 3.1 市町村発注工事の果たす役割 8 (1) 県内の土木事業費の推移 (2) 市町村における建設業の役割 3.2 市町村発注体制の現状と課題 9 (1) 財政力指数 10 (2) 職員数と技術職員率 11 (3) 市町村技術職員の年齢構成 13 (4) 必要な技術職員数・支援業務 14 (5) 土木工事(港湾・漁港・災害を含む)の年間発注額と件数 14 (6) 支援に関する補助制度 14 (7) 監督・検査体制の現状 15 (8) 発注業務及び支援を受けることの課題 15 (9) アンケート結果一覧表 15 第4章 市町村発注者支援に関する提案 4.1 市町村における発注者支援の必要性 16 4.2 支援を必要とする業務 16 (1) 発注者コア業務 (2) 支援業務委託

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4.3 市町村発注者支援に関する2つの提案 (1) 市町村における発注者支援体制 18 (2) 発注者支援に関する提案の概要 20 第5章 提案1.「交付金事業における支援促進策」 5.1 市町村発注力指数 21 5.2 市町村に対する国の交付金事業 23 (1) 「まちづくり交付金」の概要 (2) 「地域再生基盤強化交付金」の概要 (3) 「地方道路交付金事業」の概要 5.3 国の負担割合の引き上げ等による支援促進の提案 24 5.4 地方道路(市町村道)交付金事業へ適用した場合 25 5.5 国費負担率の引上げ等により期待される効果 (1) 発注関係業務の適切な実施の促進 30 (2) 国費負担率の引き上げによる事業の促進 33 第6章 提案2.「発注支援アドバイザー体制」 6.1 団塊世代の再雇用 34 6.2 発注支援アドバイザー体制の提案内容 39 6.3 発注支援アドバイザーの運営体制 40 (1) 運営体制 (2) 須崎土木事務所管内の事例 6.4 期待される効果 41 (1) 発注関係業務を適切に実施できる者の育成 (2) 発注支援アドバイザー体制の効率的な運営 第7章 おわりに 43 付録資料 (1)市町村における発注者支援に関するアンケート用紙 (2)市町村アンケート集計表

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第1章 はじめに 1.1 目的と背景 公共工事は、調達時点で品質を確保できる物品の購入とは異なり、施工者の技 術的能力により品質が左右される。そのため、発注者は個々の工事の内容に応じ て適切な技術的能力を持った企業を施工者として選定し、適切な監督・検査等を 実施することにより、公共工事の品質(建設目的物の品質と効率性、安全性、環 境への配慮等の工事実施段階における質)を確保する必要があります しかしながら、地方自治体、中でも町村においては、技術職員が少なく、また、 全くいないところもあり、工事費の適切な見積もりや適切な企業選択、適切な工 事の監督・検査の実施などの発注者としての責務が果たせない状況にあります。 また、低価格入札やくじ引きによる落札者の決定が増加しており、適切な技術 力を持たない業者が施工することによる不良工事の発生や発注者によるその見過 ごしが起こりうる、極めて憂慮すべき事態となっています。 このため、平成17年度に制定された「公共工事の品質確保の促進に関する法 律」では、発注者の責務として、発注関係業務の適切な実施と必要な職員の配置、 技術力・技術提案等の適切な審査・評価が規定されています。特に、公共工事の 品質を確保する上で、発注者による監督や検査、技術審査が適切に実施されるこ とが不可欠であることから、これらを義務づけるとともに、発注者自らが実施で きない場合は、必要な能力を持つ外部への委託等の活用に努めるべきであるとさ れています。 技術職員が不在・不足のために発注関係業務を適切に実施できない市町村が数 多く存在することは知られています。しかし、公共工事の品質確保の重要性を考 えると、このような発注能力の不足する市町村においても国、県等の適切な支援 を受けながら、品質確保の取り組みを着実に進めていくことが必要です。 本論文では、発注能力の不足する市町村における品質確保の取り組みを促進す るために、まず、市町村の発注体制の現状と課題を把握するとともに市町村にお ける発注者支援の必要性を考察し、次に、事業の流れに沿って支援が必要な発注 関係業務を洗い出し、最後に、発注能力の不足している市町村に対する具体的な 支援策の提案を行います。 次項に、本論文の体系と構成のフローを示します。

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1.2 本論文の体系と構成

本論文の体系

発注能力の不足する市町村における品質確保の取り組みの促進

国・県は発注関係業を適正に実施できる者の育成、

その他必要な措置を講ずる

自ら発注関係業務を実施することが困難な場合は、

国や地方公共団体等の能力を活用

支援業務の外部委託に要する経費に対

する補助等の実施【提案1】

四国地方公共工事発注者支援技術者

登録制度の活用

発注者支援アドバイサー体制の導入

【提案2】

【提案1.交付金事業における発注者支援促進策】

①「発注力指数=財政力指数×技術職員数」の設定

②発注支援業務の委託に要する経費を交付対象とし、品確

  法の取り組みを促進

③発注力指数1.0未満の町村の国費負担率を当分の間引

  き上げ、品確法の取り組みを促進

  引上率=1+0.5×((1.0-当該適用団体の発注力指数)÷

        (1.0-発注力指数の最小の適用団体の発注力指数))

④地方道路交付金事業へ適用した場合を例示

⑤期待される効果を示し、取り組みを推進 

【提案2.発注者支援アドバイザー体制】

①団塊の世代の県技術職員を再雇用

②5年間の期間限定

③県内6つの土木事務所に1名×6事務所=6名を配置

④業務内容

 ・現場において、監督業務に関するアドバイス、研修を実施

 ・管内町村の発注者コア業務を支援

⑤運営体制

 ・アドバイサーの給料を支援を受ける町村が年間発注額  

の割合で負担

 ・諸手当と公用車や備品は県が支給

⑤期待される効果を示し、取り組みを推進

本論文の構成

市町村発注体制の現状と課題の把握(市町村アンケートの実施)

・非常に脆弱な発注体制(技術職員不在・不足、技能・経験不足)  ・支援を受けることの課題は予算措置(補助等による負担減)

支援が必要な発注関係業務を「外部委託が可能な業務」 と「発注者コア業務」に分類

【外部委託が可能な業務】

【発注者コア業務】

市町村における発注者支援の必要性

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第2章 公共工事における発注者支援の現状 2.1 「品確法」における発注者支援 (1) 公共工事に関しては、厳しい財政状況の下、公共投資が減少している中で 受注をめぐる価格競争が激化し、著しい低価格による入札が急増するととも に工事中の事故や手抜き工事の発生、下請け業者や労働者へのしわ寄せ等に よる公共工事の品質低下が懸念されている。 また、入札参加者の技術的能力の審査、工事の監督や検査等を適切に実施 することができない脆弱な体制の発注者が存在することも、公共工事の品質 低下の懸念のひとつとなっている。 こうしたことから、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(平成17 年法律18号。以下「品確法」という。)が制定され、公共工事の品質確保を 促進するための諸規定が整備されている。 (2) 「品確法」の第6条では、発注者は第3条の基本理念に則り、仕様書・設計 書の作成、予定価格の作成、入札・契約方式の選択、契約相手方の決定、工 事の監督・検査、施工状況の確認・評価等の発注関係業務を適切に実施する こと及び施工状況の評価等の資料が有効に活用されるよう保存及び措置す ること。また、発注関係業務の実施に必要な職員の配置等に努力することが 規定されている。 (3) 第15条では、発注者は自ら発注業務を適切に実施することが困難な時は、 国、地方公共団体その他の者の能力を活用するよう努力することが規定され ている。また、「公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進す るための基本的な方針について」(平成17年8月26日閣議決定。以下「基 本方針)という。)では、発注関係業務を適切に実施することが困難な発注 者に対して、国及び都道府県は次のような措置を講ずるよう努めるものとさ れている。 ①発注関係業務を適切に実施することができる職員を育成するための講習 会の開催や国・都道府県が実施する研修への職員の受け入れ。 ②発注者より要請があった場合には、自らの業務の実施状況を勘案しつつ 可能な限りその要請に応じて支援を行う。 ③発注者による発注関係業務を公正に行うことができる条件を備えた者の 選定に関して協力する。 ④発注関係業務を適切に実施するために必要な情報の収集及び提供等を

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(4) また、発注関係業務の全部又は一部を行うことができる者の選定にあた っては、当面、公共工事を発注する地方公共団体等に対して設計、積算、 工事管理等の支援を行う公益法人等をその対象として活用しつつ、民間企 業等についても、技術的能力及び公正性を確保することで選定の対象とな ることができるよう必要な環境整備に努めるものとされている。 (5) 「品確法」では、支援内容についての具体的な規程は定められていない が、国、都道府県の支援内容としては、次のようなことが考えられる。 ①工事全体の受託も含めた、発注関係業務の受託 ②発注者間の協力・支援体制の整備 ③品質確保に関する各種研修の実施 ④個々の発注者が取り組みを進める上で参考となるガイドラインの 作成 ⑤国、都道府県等以外の発注者を支援する機関の育成 (6) これらの中で、①及び③は既に行われている。今後は②、④、⑤の支援 を積極的に進めることにより、地方自治体の品質確保の取り組みが確実 に進展するものと思われる。 2.2 四国地方における発注者支援 (1) 「四国地方公共事業品質確保推進協議会」の設立 当協議会は、「品確法」及び「基本方針」に基づき、発注者支援の具体的 な施策の検討と地方公共団体等への発注者支援施策の運営管理等を行い、 公共工事の品質確保の推進及び発注者支援に寄与することを目的に設立さ れており、四国地方整備局長を会長に、四国4県の土木部長等や主な市町 村の首長等で構成され、事務局は四国地方整備局企画部技術管理課が努め ている。 (2) 四国地方公共工事発注者支援技術者登録制度 前述 2.1(4)の民間企業等を発注関係業務を行うことができる者の選定の 対象とする取り組みとして、「四国地方公共工事発注者支援技術者登録制 度」がある。 ○登録制度の概要 「品確法」、「基本方針」において、国・県以外の者が発注者支援を行 うにあたっては、発注関係業務を適切に実施することができる知識・経

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公正な立場で、秘密保持を確保できる者でなければならないとされてい る。この制度は、四国地方公共工事品質確保推進協議会(以下、「協議会」 という。)において、四国地方公共工事発注者支援技術者(以下、「支援 技術者」という。)を登録し、国及び地方公共団体等への発注者支援等を 運営管理する任意制度となっている。 このように、四国地方においても発注者支援施策の検討や管理運営体制 は整ってきている。 今後は、具体的な施策を打ち出し、できるところから、段階的に実施し ていくことが必要である。 2.3 道路局所管補助事業等における支援 道路局所管の補助事業等においては、現場技術管理業務を適切に行うために、 現場技術担当職員が不足し、適正な現場管理に支障を生ずることが予想される 場合及び「品確法」を踏まえた適正な事業の執行を確保するために必要な場合 には、現場管理業務を外部へ委託する経費を補助対象とすることができるよう に通知の改正がなされている。(平成18年5月改正「道路局所管補助事業等 における現場技術業務委託について」) 改正された通知では、公共工事の品質確保の促進等を図るために、市町村が 施行する総合評価方式工事以外の工事において、下記の現場管理業務を外部に 委託できるようになっている。 ①積算に関する業務及び資料の作成等 ②競争参加者の技術的能力の審査に関する業務及び資料の作成等 ③工事監督及び検査に関する業務及び資料の作成等 ④工事中・完成時の施工状況の確認及び評価に関する業務及び資料の作成等 また、これらの委託に係る費用は、工事の「測量及び試験費」に計上するこ とになっている。 このように、道路局所管の補助事業等では、現場監督業務の外部委託に対す る補助等が可能になっているが、その他の補助事業等では、まだ規程されてい ない状況であり、早急に具体策を講じる必要がある。

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第3章 市町村における発注体制の現状と課題 3.1 市町村発注工事の果たす役割 (1) 市町村の土木事業費の推移 県及び市町村の土木費(一般公共事業費+一般単独事業費)と災害費の平成 12年度~16年度の推移(図3-1)を見てみると、全体では平成13年度 をピークに減少を続け、平成16年度はピーク時に比べ約3割の減少となって いる。特に県の事業費の減少が大きく、13年度のピーク時の68.7%とな っている。市町村については、平成16年度はピーク時の約83%、411億 円となっており県と比べると減少の度合いは少し緩やかになっている。しかし、 これは平成16年度の災害費が増加しているためであり、市町村の事業費につ いても、今後も減少傾向は続くと思われる。また、市町村事業費のシェアにつ いては、ここ5年間35~40%で推移している。 市町村の実施する事業は、規模は小さいものの、地域における必要最低限の 生活基盤を整備・維持していくための事業であり、持続して着実に実施してい かなければならない事業である。 地方交付税が削減され、地域間の格差が拡大している現状では、財政基盤の 脆弱な市町村に対する国の積極的な支援が必要不可欠な状況となっている。 図3-1 25,524 13,876 2,939 89,706 4,281 30,830 11,307 7,306 79,560 11,803 28,696 11,535 2,643 73,110 3,784 25,177 9,752 4,724 67,722 6,777 22,888 8,458 9,768 49,575 13,209 0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000 事 業 費 ( 百 万 円 ) H12 H13 H14 H15 H16 年度 市町村・県の土木費(一般公共+一般単独)及び災害費の推移 県災害費 県土木費 市町村災害費 町村土木費計 市土木費計 小計49,443 シェア35% 小計41,114 シェア40% 合計140,806 合計103,898 ピーク時の73.8%

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(2) 市町村における建設業の役割 図3-2は、経済成長率への寄与度が第1位の産業の推移をグラフにしたもの である。建設業が経済成長率寄与度第1位の市町村の数は、平成10年から平成 15年度の5年間では、全体の5~7割で推移しており、市町村の経済成長率は、 プラスの面でもマイナスの面でも建設業に大きく依存していることがわかる。 寄与度とは、全体の成長率に対しそれぞれの内訳項目の増減額がどのくらい寄 与したか(成長率を何%上下させたか)を表す数値であり、次式で表される。 寄与度=(当該項目の当年度額-前年度額)÷前年度の総額×100 さらに、地域の建設業者の重要な役割として災害への対応がある。 災害復旧工事の実施はもちろんであるが、台風時や集中豪雨時の被災状況の把 握や応急復旧の実施など、建設業者は地域になくてはならない存在となっている。 地域の実状に精通し、必要な技術力を備えた建設業者が地域で存続できるよう に、地域の建設業者を適正に評価していくことが市町村の発注者には求められて いる。 図3-2 33 0 8 7 2 3 39 1 4 7 2 30 3 5 5 1 9 38 1 7 2 2 3 37 1 4 8 1 2 27 5 11 7 2 1 0 10 20 30 40 50 60 市町村数(53) H10年度 H11年度 H12年度 H13年度 H14年度 H15年度

経済成長率(プラス・マイナス)寄与度第1位産業の推移

その他3次産業 鉱業 1次産業 製造業 政府サービス 建設業 3.2 市町村発注体制の現状と課題 市町村の発注体制の現状と課題を把握するために、中核市である高知市を除 く県内34の市町村を対象にアンケート調査を実施した。

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(1) 財政力指数 県内34市町村(平成19年1月時点)の財政基盤の強弱を示す「財政力指 数(H14~H16)」(図3-3)を見てみると、高知市を除く10市の財政 力指数は、0.243~0.538で平均0.349となっている。 また、18の町の財政力指数は0.115~0.399で平均0.202、 6村の財政力指数は0.115~0.269で平均0.190となっており、 市、町、村と規模が小さくなるにつれて、財政力指数が低くなっており、地域 を維持していくためには、国や県の財政的援助が必要不可欠になっている。 財政力指数は、標準的な行政活動に必要な財源をどれくらい自力で調達でき るかを表しており、普通交付税の算定基礎となる基準財政収入額を基準財政需 要額で除して得た数値の3ヶ年平均値で示され、基準財政収入額が基準財政需 要額を下回る場合は、それを補うために普通交付税が交付される(単年度の財 政力指数が1を下回る場合)。 財政力指数は、国が各種の財政援助措置を行う場合において、対象団体の財 政力に応じて援助の度合いを逓増または逓減させようとする場合に当該団体 の財政力を示すものとして用いられている。 図3-3

各市町村の財政力指数(H14~H16)

0.243 0.284 0.371 0.291 0.378 0.452 0.538 0.202 0.135 0.211 0.115 0.163 0.191 0.138 0.189 0.363 0.399 0.239 0.161 0.115 0.198 0.116 0.165 0.177 0.171 0.179 0.149 0.269 0.250 0.295 0.181 0.390 市平均 0.349 0.287 町平均 0.202 村平均0.190 0.000 0.100 0.200 0.300 0.400 0.500 0.600 香美 市 室戸 市 土佐 清水市 安芸 市 土佐 市 香南 市 須崎 市 宿毛 市 四万 十市 南国 市 市平 均 田野 町 東洋 町 津野 町 奈半 利町 四万 十町 黒潮 町 安田 町 本山 町 梼原 町 仁淀 川町 中土 佐町 大月 町 越知 町 いの 町 春野 町 土佐 町 大豊 町 佐川 町 町平 均 大川 村 馬路 村 北川 村 三原 村 日高 村 芸西 村 村平 均 0.268

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(2) 職員数と技術職員率 アンケートでは、技術職員を「技術吏員採用者又は土木系学科(高校・高 専・専修学校等・大学)を卒業し、5年以上発注者業務を経験した職員」と 定義した。 図3-4は市町村の一般職員数と技術職員数を、図3-5は技術職員率を グラフにしたものである。 市の一般職員数は296人~669人の範囲で、その平均は362人、そ の内技術職員の数は8人から31人の範囲で、その平均は23人、技術職員 の割合は6.1%となっている。 町の一般職員数は35人~510人の範囲で、その平均は142人、その 内技術職員の数は0人から26人の範囲で、その平均は7人、技術職員の割 合は4.3%となっている。また、技術職員不在の町は3町となっている。 村の一般職員数は23人~68人の範囲で、その平均は47人、その内技 術職員の数は0人から5人の範囲で、その平均は3人、技術職員の割合は 5.6%となっている。また、6村の内2村で技術職員が不在である。 このように、技術職員数の面からも市町村の発注体制が非常に脆弱なこと がわかる。 市町村の事業規模は小さいとはいえ、入札参加者の評価や工事の監督・検 査等を適切に実施することは必要であり、発注関係業務を適切に実施するた めの技術職員の確保と外部からの支援が課題となっている。 特に、技術職員が不在の町村や一般職員数が50人に満たないために、特 定の職員が継続して同じ業務を行わざるを得ない 町村における発注関係業 務への支援が大きな課題となっている。

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図3-4 各市町村の一般・技術職員数(H18年度) 435 185 342 304 355 264 296 296 669 470 362 35 55 85 64 349 234 59 78 100 182 155 85 79 510 174 80 101 131 150 23 40 40 46 68 67 47 18 8 16 14 14 14 25 31 53 35 0 0 0 1 7 6 2 3 5 8 7 3 4 26 9 4 9 0 0 5 5 5 4 22 23 7 3 0% 20% 40% 60% 80% 100% 香美 市 室戸 市 土佐 清水市 安芸 市 土佐 市 香南 市 須崎 市 宿毛 市 四万 十市 南国 市 市平 均 田野 町 東洋 町 津野 町 奈半 利町 四万 十町 黒潮 町 安田 町 本山 町 梼原 町 仁淀 川町 中土 佐町 大月 町 越知 町 いの 町 春野 町 土佐 町 大豊 町 佐川 町 町平 均 大川 村 馬路 村 北川 村 三原 村 日高 村 芸西 村 村平 均 %・人 一般職員数 技術職員数 市 平 均 技 術 職 員 率 6.1 % 町 平 均 技 術 職 員 率 4.3 % 村 平 均 技 術 職 員 率 5.6 % 図3-5

各市町村の技術職員率(H18年度)

4.6% 3.9% 5.3% 8.4% 10.5% 7.9% 7.4% 6.1% 0.0% 0.0% 1.6% 2.0% 2.6% 3.4% 3.8% 5.0% 4.4% 3.5% 5.1% 5.0% 8.9% 16.8% 4.3% 0.0% 12.5% 10.9% 7.4% 6.0% 6.1% 0.0% 0.0% 4.3% 4.1% 4.7% 5.2% 5.1% 4.5% 0.0% 2.0% 4.0% 6.0% 8.0% 10.0% 12.0% 14.0% 16.0% 18.0% 香美 市 室戸 市 土佐 清水 市 安芸 市 土佐 市 香南 市 須崎 市 宿毛 市 四万 十市 南国 市 市平 均 田野 町 東洋 町 津野 町 奈半 利町 四万 十町 黒潮 町 安田 町 本山 町 梼原 町 仁淀 川町 中土 佐町 大月 町 越知 町 いの 町 春野 町 土佐 町 大豊 町 佐川 町 町平 均 大川 村 馬路 村 北川 村 三原 村 日高 村 芸西 村 村平 均 技術職員数/一般職員数(%)

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(3)市町村技術職員の年齢構成 市町村の技術職員の年齢構成(図3-6)は、30歳未満が10%、30 歳代が24%、40歳代が30%、50歳以上が36%となっている。 市町村においても、昭和22年~24年生まれの「団塊の世代」が大量退 職を迎えることにより、技術と経験の豊富な技術職員が減少し、 技術の伝 承・継承が懸念される状況にある。 さらに、現在でも技術職員が不足している一方で、新規職員の採用は抑制 され、さらに今後10年間で4割近くが退職するという状況の中で、職員の 指導まで全く手が回らないという事態が生じることが予想される。

図3-6 市町村職員の年齢構成

市町村計

10% 24% 30% 36% 30歳未満 30歳台 40歳台 50歳以上

町計

10% 24% 34% 32% 30歳未満 30歳台 40歳台 50歳以上

村計

6% 29% 47% 18% 30歳未満 30歳台 40歳台 50歳以上

市計

11% 22% 25% 41% 30歳未満 30歳台 40歳台 50歳以上

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(4) 必要な技術職員数・支援業務 アンケートの中で、各市町村の発注業務を適切に行うために必要と思われ る技術職員数と支援の必要性が高いと考えられる業務について聞いてみた。 その結果、市では、ほぼ現在の技術職員数の25人程度、町では現在の約 1.5 倍の人数、村では必要最低限の3人以上が必要という結果になっている。 また、①技術審査、②積算、③調査・設計、④施工管理、⑤検査の業務の 内、発注者支援の必要性が高いと考えられる業務は、市と町では③調査・設 計、村では①技術審査が1番に挙げられており、町村では2番目に④施工管 理が挙げられている。 (5) 土木工事(港湾・漁港・災害を含む)の年間発注額と件数 市の平均年間発注額は1,112百万円で件数は193件、町の平均年間 発注金額は612百万円で件数は88件、村の平均年間発注金額は143百 万円で件数は10件という結果が出ている。 特別な事業を行う場合を除いて市、町、村と規模が小さくなるに従って発 注額、件数ともに少なくなっているが、公共工事において技術力を必要とす るか否かは、必ずしも金額の大小により定まるものではなく、工事の内容に より判断されるものである。 町村における工事の発注規模は小さく、その内容も小規模な維持修繕工事 等の割合が多いと思われるが、そのような工事であっても一定の期間で効率 的かつ安全に仕上げる必要があることから、例えば、安全性に対する配慮を 評価するなどの比較的簡単な技術審査は必要である。 (6) 支援に関する補助制度 発注者支援を受けるための経費に対する補助制度については、10市のう ち7市で補助が必要となっている。さらに、町村においては24すべての町 村で補助が必要という結果になっている。 市町村の発注する工事は、地域の生活を支える必要最低限の基盤整備で あり、工事の効率性、安全性、環境への配慮等の工事の実施段階における特 性と工事そのものの質を確保することは、大規模な工事と同様、発注者に課 せられた責務である。 厳しい財政状況が続く中においても、国及び県においては早急に市町村、 特に技術職員が不在或いは不足し、発注体制が脆弱な町村に対する効果的な 支援に取り組むことが必要となっている。

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(7) 監督・検査体制の現状 市町村における監督基準と検査基準については、ほとんどの市町村で県等 の基準を使用しているが、工事の成績評定については、10市の内4市で、 町では18町の内14町で、村では6村の内5村で実施されていない状況に あり、今後、県の工事成績評定書を使用するなど、適正な工事の成績評定が できるように支援を行っていく必要がある。 また、検査職員についてもほとんどの町村では、一般職員が検査を行って いる状況であり、検査に関する支援についても必要な状況となっている。 (8) 発注業務上及び支援上の課題 発注業務を行う上での問題点としては、市では「現体制である程度対応が 可能」、「支援に関する予算措置に苦慮している」といった意見が出されてお り、また、町村では「技術職員の不在・不足」、「技術力不足」、「経験不足」 といった意見がほとんどの町村から出されている。 さらに、支援を受けることの課題としては、市では「現場研修の実施」、町 村では「支援に関する予算措置が困難」、「補助等による負担の軽減」といっ た課題がほとんどの町村から出されている。 (9)アンケート結果一覧表 下記、図3-7に市町村アンケート結果の一覧表を示す。 市町村アンケート結果(回答:高知市を除く34市町村) 市(10市) 町(18町) 村(6村) 項 目 監督基準 支援委託補助 必要支援業務 必要技術職員 検査職員 発注業務上の 問題点 ほぼ現人数(25人) 現在の約1.5倍(9人) 最低限の人数(3人)確保 調査設計・(技術審査) 調査設計・(施工管理) 技術審査・(施工管理) 必要(7) 全て必要 全て必要 県基準(9) 独自(1) 全て県基準 県基準(5) 無(1) 検査基準 独自(1)県(8)無(1) 全て県基準 県基準(5) 無(1) 工事成績評定 独自(4)県(2)無(4) 独自(1)県(3)無(14) 県基準(1)無(5) 専門職(6)一般職(4) 専門職(1)一般職(17) 専門職(0)一般職(6) 現体制で対応可 予算措置 技術職員が不在・不足 技術力不足 技術職員が不在・不足 経験不足 ※印の項目の数値は平均値、( )内の数値は該当する市町村数 ※人口 29,577人 9,389人 2,593人 ※一般職員数 362人 142人 47人 ※財政力指数 ※技術職員率 ※年間発注額 ※年間発注件数 0.349 0.202 0.190 6.1% 4.3%(3町が不在) 5.6%(2村が不在)硬直 612百万円 1,112百万円 143百万円 88件 193件 10件 支援上の 課題 業務内容により支援 現場研修の実施 支援予算措置 補助による負担減 支援予算措置困難 補助による負担減

(17)

第4章 市町村発注者支援に関する提案 4.1 市町村における発注者支援の必要性 前章 3.2 で述べたように、町村においては技術職員が不足或いは全くいない 町村があり、さらに、工事の成績評定については、ほとんどの町村で実施され ていないなど、その発注体制は非常に脆弱であり、発注者が本来果たすべき責 務が果たせていない状態にある。 また、公共支出依存度が高く財政規模の小さい町村では、地方交付税減少の 影響が特に大きいことから、非常に厳しい財政運営を強いられている。 そのため、発注支援業務を委託するための予算を確保することが難しく、発 注者支援を受けたくても受けることができない町村が数多く存在することも アンケートにより明らかになっている。 しかしながら、公共工事の品質確保の促進の重要性や発注者の責務はすべて の発注者が果たすべきものであることを考えると、発注者体制が脆弱な町村に おいても、国や県等の適切な支援を受けながら品質確保の取り組みを着実に進 めていく必要がある。 例えば、市町村でも可能な取り組みの一つとして、約10万社が施工した延 べ130万件の工事データがデータベース化された工事実績データベース「コ リンズ」を活用して工事経験の審査を実施することが可能になっているが、市 町村では、その活用も思うように進んでいないのが実情である。 また、「品確法」の第15条では、地方公共団体の品質確保の取り組みを促進 するために、自ら技術審査や監督・検査等を実施できない場合は外部能力の活 用を促すと共に、国や都道府県に対して発注者を支援するための必要な措置を 講じるよう努めることが規定されている。 さらに、第15条の第2項では、国及び都道府県が専門的な知識又は技術を 必要とする発注関係業務を適切に実施することができる者の育成とその他の 必要な措置を講じるよう努めることとされており、その具体的な内容について は、国及び都道府県において検討されることになっている。 4.2 支援を必要とする業務 公共事業実施の流れに沿って、支援が必要と思われる発注関係業務を整理す ると、図4-1のようになる。

(18)

図4-1

発注者支援業務図(1)

調査・計画・予算

調査・計画・予算

委託設計書作成

設 計

入札・契約

委託業務の実施

成果品の受取

事業要望・認可

事業要望、認可

住民説明・協議

委託設計書・仕様書作成

入札参加者の評価・審査

委託業務に対する技術助言

照査項目のチェック

説明・協議資料の作成

【事業の流れ】

【支援業務】

【業務分類】

コア業務

委託業務

委託業務

調査・計画・予算の技術相談

協議資料等の作成

コア業務

委託業務

ヒヤリング等の立会

コア業務

地元協議

委託業務

地元・地権者等への説明・協議

コア業務

発注者支援業務図(2)

工事施工

実施設計書作成

入札・契約

工事施工

工事検査

工事成績評定

維持・管理

維持・管理

実施設計書・特記仕様書作成

入札参加業者の評定・審査

工事監督補助

設計変更内容審査・書類作成

関係機関の協議調整・資料作成

検査(材料、中間、完成)

評定点による評定

引渡し後評価

維持・管理技術助言

【事業の流れ】

【支援業務】

【業務分類】

コア業務

委託業務

委託業務

委託業務

コア業務

コア業務

検査(材料、中間、完成)補助

評定点による評定補助

コア業務

委託業務

(19)

さらに、これらの業務を外部委託することにより支援が可能な業務と、本来 発注者が行うべきコア業務(市町村においては県等の支援を受けることが妥当 な業務)に分類すると次のようになる。 (1)発注者コア業務(県等の支援を受けることが妥当な業務) ①調査・計画・予算等の技術相談及び協議資料等の作成 ②ヒヤリング等の立会 ③地元住民や地権者等への説明・協議 ④入札参加者の評価・審査 ⑤検査(材料・中間・完成) ⑥工事成績評定 ⑦引き渡し後の評価及び維持管理に関する技術的助言 (2)支援業務委託 ①委託業務設計書・仕様書の作成 ②委託業務に関する技術助言 ③委託業務の照査項目チェック ④地元説明・設計協議等の資料作成 ⑤工事実施設計書・特記仕様書の作成 ⑥工事監督補助、設計変更の内容審査及び書類作成、関係機関との協議調 整及び資料作成 ⑦検査(材料・中間・完成)の補助 ⑧工事成績評定の補助 ⑨会計検査対応の資料作成 このような「発注者コア業務に関する支援」及び「支援業務委託」に関して、 発注体制が脆弱な市町村に対する具体的な支援方策の検討が必要になっている。 4.3 市町村発注者支援に関する2つの提案 (1) 市町村における発注者支援体制 第2章2.2 の「四国地方公共工事品質確保推進協議会」において検討されて いる市町村等への支援体制と今回提案する支援策を整理すると図4-2のよ うになる。

(20)

図4-2 発注体制が脆弱な市町村では、 ①調査及び設計は、建設コンサルタントと委託契約を結び実施しているが、委 託設計書の作成や技術的検討、照査などで発注者としての責務が十分に果た せていない状況にある。 ②工事については、建設業者と建設工事請負契約を結び実施しているが、入札 参加者の技術審査や積算、工事の監督、検査などで発注者としての責務が十 分に果たせていない状況にある。 次に、市町村の発注者を支援する体制としては、 ①市町村は上記 4.2 で述べたような技術審査、調査設計、積算、施工管理、検

請負者

四国地方

公共工事

発注者

支援技術者

登録制度

(公益法人)

(民間事業者)

調査・設計

業務委託契約

技術審査・積算・

調査設計・

施工管理・検査

支援業務委託

建設

コンサルタント

施工管理・検査

支援業務

技術審査・積算・

調査設計支援業務

市町村発注者支援体制

提案1:交付金事業に関する提案

提案2:支援アドバイザー体制

支援

支援

建設工事

請負契約

監督

検査

委託

(21)

査などの支援業務を四国公共事業発注者支援技術者登録制度により登録さ れている公益法人や民間事業者に委託する。 ②市町村は、技術審査や積算、調査設計などに関する支援を公益法人や民間事 業者などの受託者から直接受ける。 ③工事の監督及び検査については、受託者から発注者及び工事請負者に対して、 施工管理や検査補助に関する支援を受けながら、適切に実施していく。 このような支援体制に加えて、アンケートの中で述べられている「現場研修 の実施」、「支援に関する予算措置が困難」、「補助による負担の軽減」といった 課題に対応するために、国及び県による支援体制を今回提案する。 (2) 発注者支援に関する提案の概要 一つ目の提案は、前述の公益法人や民間事業者への発注支援業務の委託によ る支援体制を促進するため、また、市町村へのアンケート調査の中で、ほとん どの町村が支援を受けることの課題として挙げている「補助制度による負担の 軽減」に対応するためのものである。 提案の内容は、 ①前述 4.2 に掲げる①~⑨の支援業務を委託するために要する経費を補助又は 交付の対象とする。 ②技術職員が不在或いは不足しているために発注関係業務を適切に実施でき ない市町村に対しては、当分の間、補助又は交付の国費負担率の引き上げを 行う。 というものである。 二つ目の提案は、前述 4.2 の「発注者コア業務(県等の支援を受けることが 妥当な業務)」に対する支援体制の提案である。 県内6つの土木事務所に「発注支援アドバイザー」を配置し、各土木事務所 管内の町村の「発注者コア業務」を支援するとともに、管内の県及び市町村の 工事現場において、監督業務に関するアドバイスや実地研修を行い公共工事の 品質確保の取り組みを促進しようとするものである。 次章以降で、それぞれの提案の具体的な内容について述べる。

(22)

第5章 提案1.「交付金事業における発注支援促進策」 5.1 市町村発注力指数 市町村における公共工事の発注関係業務を適切に実施する能力を表す指標 として、標準的な行政活動に必要な財源をどれくらい自力で調達できるかを表 し、国が各種の財政援助措置を行う場合の援助の度合いを増減させようとする 場合に用いられる「財政力指数」と公共工事の発注関係業務を実際に行う技術 職員の一般職員に占める割合の「技術職員率」に着目し、次式で求められる数 値を当該団体の公共工事の発注関係業務を適切に実施する能力を示す「発注力 指数」とする。 当該団体の発注力指数=当該団体の財政力指数×当該団体の技術職員率 上式を用いて算定した県内34市町村の発注力指数を表5-1、図5-2に 示す。 発注力指数を算定するに当たって、技術職員の定義は、「技術吏員採用者又 は土木系学科(高校・高専・専修学校等・大学)を卒業し、5年以上発注者業 務を経験した職員」としている。また、一般職員数が50人に満たない村につ いては、発注関係業務を特定の職員が行わざるを得ない状況もあることから 「人事の硬直化」を考慮し、技術職員率はゼロとする。 今回の提案では、ここで求めた各市町村の「発注力指数」をもとに、技術職 員が不在或いは不足しているために発注体制が脆弱な町村に対して、交付金事 業における国の負担割合を引き上げ、発注関係業務の適切な実施を促進しよう とするものである。 発注力指数が0.58 の梼原町の発注体制(アンケート結果)を見てみると、年 間発注金額は 1,000 百万円、年間発注件数は 200 件であり、人口 4、890 人、一 般職員数100 人、技術職員数 5 人、一人あたりの発注額は 200 百万円となって おり、典型的な中山間の町ではあるが、現行の体制でも発注関係業務を特に問 題もなく執行できている。 今回の提案では、この梼原町の発注力指数0.58 を基準に、これに満たない町 村に対して国費負担率の引き上げを行うものとする。

(23)

1 香美市 435 18 6 2 5 5 4.1% 0.250 1.03 2 室戸市 185 8 1 1 2 4 4.3% 0.243 1.05 3 土佐清水市 342 16 0 7 5 4 4.7% 0.284 1.33 4 安芸市 304 14 3 4 5 2 4.6% 0.295 1.36 5 土佐市 355 14 2 1 1 10 3.9% 0.371 1.46 6 香南市 264 14 3 3 6 2 5.3% 0.291 1.54 7 須崎市 296 25 0 1 9 15 8.4% 0.390 3.29 8 宿毛市 296 28 2 10 1 15 9.5% 0.378 3.58 9 四万十市 669 53 5 10 11 27 7.9% 0.452 3.58 10 南国市 470 35 0 12 13 10 7.4% 0.538 4.01 計 3,616 225 22 51 58 94 率(%) 6.2% 9.8% 22.7% 25.8% 41.8% 1 大川村 23 0 0 0 0 0 0.0% 0.115 0.00 2 田野町 35 0 0 0 0 0 0.0% 0.202 0.00 3 馬路村 40 0 0 0 0 0 0.0% 0.171 0.00 4 北川村 40 0 (1) (3) (0) (1) 0.0% 0.198 0.00 職員数50人未満 5 三原村 46 0 (0) (0) (4) (1) 0.0% 0.116 0.00 職員数50人未満 6 東洋町 55 0 0 0 0 0 0.0% 0.135 0.00 7 津野町 85 0 0 0 0 0 0.0% 0.149 0.00 8 奈半利町 64 1 0 0 0 1 1.6% 0.181 0.28 9 四万十町 349 7 1 2 3 1 2.0% 0.179 0.36 10 大月町 85 3 1 0 0 2 3.5% 0.138 0.49 11 黒潮町 234 6 0 1 2 3 2.6% 0.211 0.54 12 安田町 59 2 1 0 0 1 3.4% 0.165 0.56 13 梼原町 100 5 1 2 1 1 5.0% 0.115 0.58 国費率引上基準 14 本山町 78 3 0 0 3 0 3.8% 0.177 0.68 15 仁淀川町 182 8 1 6 1 0 4.4% 0.163 0.72 16 中土佐町 155 7 0 2 5 0 4.5% 0.191 0.86 17 越知町 79 4 0 0 2 2 5.1% 0.189 0.96 18 日高村 68 3 0 1 2 0 4.4% 0.269 1.19 19 土佐町 80 4 0 0 1 3 5.0% 0.239 1.20 20 大豊町 101 9 0 1 7 1 8.9% 0.161 1.43 21 芸西村 67 4 0 1 2 1 6.0% 0.268 1.60 22 いの町 510 26 3 8 8 7 5.1% 0.363 1.85 23 春野町 174 9 1 2 2 4 5.2% 0.399 2.06 24 佐川町 131 22 2 4 5 11 16.8% 0.287 4.82 計 2,601 123 11 30 44 38 率(%) 4.7% 8.9% 24.4% 35.8% 30.9% 財政力指数 B 一般 職員数 (b) 技術職員数 計 (a) 30歳 未満 30歳 代 40歳 代 50歳 以上 備 考 一般 職員数 (b) 技術職員数 計 (a) 30歳 未満 30歳 代 40歳 代 50歳 以上 技術職員率 A(%) (a/b) 発注力指数 C=A×B (1)発注力指数=技術職員率×財政力指数(H14~H16の3ヶ年平均値) (2)財政力指数は、地方公共団体の財政基盤の強弱を示す指数で、標準的な行政活動に必要な財源を   どれくらい自力で調達できるかを表している。 (3)技術職員率=技術職員数(技術吏員又は5年以上の発注業務経験者)/一般職員数 (4)職員数50人未満の場合は、人事の硬直化を勘案し、技術職員率はゼロとする。 備 考

表5-1 各市町村の発注力指数

技術職員率 A(%) (a/b) 発注力指数 C=A×B 番号 番号 町村名 財政力指数 B 市名

(24)

計算結果は、技術職員がいない7町村の発注力指数はゼロ、奈半利町の発注 力指数が最も低く0.28、支援の基準となる0.58に満たない町村は、四 万 十 町 ( 0 . 3 6 )、 大 月 町 ( 0 . 4 9 )、 黒 潮 町 ( 0 . 5 4 )、 安 田 町 (0.56)となっている。 発注力指数0.58~1.0は本山町など5町村、1.0以上の町村は7町 村、市は発注力指数1.0以上となっている。 室戸市 安田町 安芸市 芸西村 夜須町 香我美 町 赤 岡 町 吉 川 村 野市町 南 国 市 土佐  山田町 香北町 物部村 大豊町 本 山 町 高知 市 春野町 土佐市 須崎市 い の 町 日高 村 佐川町 仁淀川 町 大野見 村 中 土 佐 町 窪川町 大 正 町 十和村 四万十市 佐賀 町 大方町 宿毛市 土佐清水市 仁淀村 吾川村 池川町 室戸市 安田町 安芸市 芸西村 夜須町 香我美 町 赤 岡 町 吉 川 村 野市町 南 国 市 土佐  山田町 香北町 物部村 大豊町 本 山 町 高知 市 春野町 土佐市 須崎市 い の 町 日高 村 佐川町 仁淀川 町 大野見 村 中 土 佐 町 窪川町 大 正 町 十和村 四万十市 佐賀 町 大方町 宿毛市 土佐清水市 仁淀村 吾川村 池川町 安 芸 土 木 事 務 所 中 央 東 土 木 事 務 所 中 央 西 土 木 事 務 所 高 知 土 木 事 務 所 須 崎 土 木 事 務 所 幡 多 土 木 事 務 所 【香南 市】 【香美 市】 東洋町 馬路村 北川村 田野町 大川村 津野町 三原村 奈半利町 梼 原 町 四万十町 大月町 黒潮町 本 山 町 仁淀川町 中 土 佐 町 越知町  (発注力指数 1.0未満の町村) 東洋町・北川村・田野町・馬路村(0.00) 大川村・津野町・三原村(0.00) 奈半利町(0.28)  四万十町(0.36) 大月町(0.49) 黒潮町(0.54) 安田町(0.56) 梼原町(0.58)  本山町(0.68) 仁淀川町(0.72) 中土佐町(0.86) 越知町(0.96) ※他の市町村は、発注力指数1.0以上

図5-2 市町村の発注力指数

安田町 土佐町

(25)

5.2 市町村に対する国の交付金事業 現在、市町村を対象にした国の交付金事業は、「まちづくり交付金」、「地域 再生基盤強化交付金」及び「地方道路交付金事業」がある。 (1) 「まちづくり交付金」の概要 市町村が作成した「都市再生整備計画」に基づく事業等の実施に要する経費 に充てるため、国が市町村に対して交付金を交付するもので、対象事業は、ま ちづくり活動費から道路、河川、公園、地域生活基盤施設の整備など多岐にわ たり、該当経費の1/2を上限に、3~5年間交付される。 (2) 「地域再生基盤強化交付金」の概要 市町村が作成した「地域再生計画」に基づき、地域の経済基盤の強化や生活 環境の整備などのために活用される交付金で、道(市町村道・広域農道・林道) 整備交付金、汚水処理施設(公共下水、浄化槽、農集、漁集)交付金、港(地 方港湾・漁港)整備交付金の3種類があり、交付限度額は施設の整備に要する 経費に通常の補助事業の補助率を乗じて算定される。 (3)「地方道路交付金事業」の概要 交付金の交付を受けて対象事業を実施しようとする地方公共団体は、公共公 益施設の整備等に関連する事業、地域の自然的特性や社会的特性に即して行わ れる事業など概ね5年間で行う「整備方針」をとりまとめる。 国費の配分割合は0.55で、段階的に制度の運用改善が図られ、アウトカ ム指標を設定した目標達成型事業とすることや道路の修繕事業も対象とする など使い勝手の良い事業に改善されている。 5.3 国の負担割合の引き上げ等による支援促進の提案 前述の交付金事業は、市町村等が地域経済の活性化や地域における雇用機会 の創出、地域の個性あるまちづくりの推進などに取り組む場合に、国が一定の 交付金を交付し、その取り組みに対して支援を行うものです。 また、交付の前提として市町村が自主的に、地方の自由な発想で整備方針や 具体的な目標(アウトカム指標)、整備計画を作成する必要があります。 このような地域の活性化や個性あるまちづくりのための交付金事業を実施し ていくためには、市町村における発注関係業務を適切に行っていくことが重要 になってきます。 今回の提案は、このような市町村の自主的な取り組みに対して支援を行って

(26)

めに必要な市町村の発注関係業務に対する支援を行うものである。 以下に提案の具体的な内容を記述する。 【交付金事業に関する国の負担割合の引き上げ等に関する提案】 (1) 目的 国の交付金事業に係る経費に対する国の負担割合を当分の間引き上げる とともに、事業主体である市町村の発注支援業務の委託に係る経費を交付 の対象とすることにより、地域の自立と活性化を支える基盤整備を促進し、 市町村における適切な発注関係業務の推進を図ることを目的とする。 (2) 対象団体 対象とする団体は、「財政力指数×技術職員率=発注力指数」が0.58 に満たない町村とする。 (3) 対象事業 「まちづくり交付金」、「地域再生基盤強化交付金」及び「地方道路交付 金」の対象事業とする。 (4) 対象期間 市町村における行政改革の取り組みや三位一体の改革による地方交付税 の減額等に伴い、自主的な地域づくりの取り組みや生活基盤の整備が遅れ ることが懸念され、さらに、団塊世代の大量退職により発注関係業務に支 障をきたすことが懸念される5年間に限定する。 (5) 対象経費 交付金の対象事業の実施に要する経費及び発注支援業務の委託に要する 経費とする。 (6) 国の負担割合(※) 交付を受ける町村毎に、当該交付金事業に係る経費に対する通常の交付 割合に、次式で算定した数値(引上率)を乗じて算定する。 1+0.5×((0.58-当該適用団体の発注力指数)÷(0.58-発注力指数の最小 の適用団体の発注力指数))

(27)

・上式の係数0.58 は、現行の体制で発注業務に支障がないと思われる自治体 の発注力指数であり、引上げは発注力指数が 0.58 に満たない町村を対象と する。 ・係数「0.5」は、交付金事業の国費負担率の限度が 0.5 及び 0.55 であるこ とから、引き上げ幅の範囲を 0.5 とする。 ただし、対象町村の負担割合が1/10未満となる場合は、対象町村の負 担割合が1/10となるように国の負担割合を定めるものとする。 (※)負担割合の算定方法等は、「後進地域の開発に関する公共事業の負担割 合の特例に関する法律」の算定方法等に準じる。 5.4 地方道路(市町村道)交付金事業へ適用した場合 実際に市町村の行う地方道路交付金事業へ今回の提案を適用してみる。 (1)目的 ①地方道路交付金事業において、市町村に対する国の負担割合を当分の間(5 年間)引き上げることにより、地域住民の日常生活の安全性と利便性の向上 及び生活環境の維持のために必要な市町村道の改築及び修繕を促進する。 ②市町村が自主的にあらかじめ策定する「整備方針」に記載する対象事業の中 に、当該事業を適正かつ円滑に実施するための発注者支援委託業務を盛り込 み交付対象とする。このことにより、事業を適切に実施する能力が不足して いる市町村の発注関係業務を適切に行う。 (2)対象団体 対象団体は、「財政力指数×技術職員率=発注力指数」が0.58に満たない 町村とする。(5.1 の表5-1を参照) (3)対象期間 地方道路交付金事業の次期整備計画の実施期間である平成20年度~24年 度の5カ年間とする。 (4)対象経費 交付対象事業の実施に関する計画に記載された事業費の総額を交付の対象と する。この事業費の「測量及び試験費」の中に、発注者支援に関する業務委託 費を計上する。 委託については、「現場技術業務積算基準(案)について」(平成5年3月1

(28)

務等標準積算基準書」に準じて適正な委託基準により委託する。 (5)国費負担率の算定 前項5.2 (6)の引上率の算定式を用いて、国費負担率及び町村負担率を算定す る。その結果を表5-3、図5-4、図5-5に示す。

1 大川村

0.00

1.50

0.83

0.17

2 田野町

0.00

1.50

0.83

0.17

3 馬路村

0.00

1.50

0.83

0.17

4 北川村

0.00

1.50

0.83

0.17 職員数50人未満

5 三原村

0.00

1.50

0.83

0.17 職員数50人未満

6 東洋町

0.00

1.50

0.83

0.17

7 津野町

0.00

1.50

0.83

0.17

8 奈半利町

0.28

1.50

0.83

0.17

9 四万十町

0.36

1.37

0.75

0.25

10 大月町

0.49

1.15

0.64

0.66

11 黒潮町

0.54

1.06

0.59

0.41

12 安田町

0.56

1.03

0.57

0.43

13 梼原町

0.58

1.00

0.55

0.45 支援基準

14 本山町

0.68

1.00

0.55

0.45

15 仁淀川町

0.72

1.00

0.55

0.45

16 中土佐町

0.86

1.00

0.55

0.45

17 越知町

0.96

1.00

0.55

0.45

18 日高村

1.19

1.00

0.55

0.45

19 土佐町

1.20

1.00

0.55

0.45

20 大豊町

1.43

1.00

0.55

0.45

21 芸西村

1.60

1.00

0.55

0.45

22 いの町

1.85

1.00

0.55

0.45

23 春野町

2.06

1.00

0.55

0.45

24 佐川町

4.82

1.00

0.55

0.45

    ※国費引上率は、「後進法」の引上率算定方法に準じるものとする。

町村負担率

         (0.58-当該適用町村の発注力指数)

(1)国費引上率=1+0.5×

        (0.58-発注力指数が最少の適用町村の該当発注力指数)

(2)国費負担率=対象補助事業の国費負担率(0.55)×国費引上率

備 考

(3)町村負担率が1/10未満となるときは、町村負担率を1/10とする。

国費引上率

国費負担率

表5-3 町村の発注力指数・国費引上率・国費負担率(地方道路交付金事業の場合)

発注力指数

番号

町村名

(29)

各町村の発注力指数・国費引上率・国費負担率・町村負担率 -0.25 0.00 0.25 0.50 0.75 1.00 1.25 1.50 1.75 2.00 2.25 2.50 指数・率 発注力指数 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.28 0.36 0.49 0.54 0.56 0.58 0.68 0.72 0.86 0.96 1.19 1.20 1.43 1.60 1.85 2.06 4.82 国費引上率 1.50 1.50 1.50 1.50 1.50 1.50 1.50 1.50 1.37 1.15 1.06 1.03 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 国費負担率 0.83 0.83 0.83 0.83 0.83 0.83 0.83 0.83 0.75 0.64 0.59 0.57 0.55 0.55 0.55 0.55 0.55 0.55 0.55 0.55 0.55 0.55 0.55 0.55 大川 村 田野 町 馬路 村 北川 村 三原 村 東洋 町 津野 町 奈半 利町 四万 十町 大月 町 黒潮 町 安田 町 梼原 町 本山 町 仁淀 川町 中土 佐町 越知 町 日高 村 土佐 町 大豊 町 芸西 村 いの 町 春野 町 佐川 町 発注力指数 国費負担率 国費負担率引上 図5-4 国費引上率 室戸市 安田町 安芸市 芸西村 夜須町 香我美町 赤 岡 町 吉 川 村 野市町 南 国 市 土佐  山田町 香北町 物部村 大豊町 高知市 春野町 土佐市 須崎市 い の 町 日高村 佐川町 仁淀川町 大野見村 中 土 佐 町 窪川町 大 正 町 十和村 四万十市 佐賀町 大方町 宿毛市 土佐清水市 仁淀村 吾川村 池川町 室戸市 安田町 安芸市 芸西村 夜須町 香我美町 赤 岡 町 吉 川 村 野市町 南 国 市 土佐  山田町 香北町 物部村 大豊町 高知市 春野町 土佐市 須崎市 い の 町 日高村 佐川町 仁淀川町 大野見村 中 土 佐 町 窪川町 大 正 町 十和村 四万十市 佐賀町 大方町 宿毛市 土佐清水市 仁淀村 吾川村 池川町 安 芸 土 木 事 務 所 中 央 東 土 木 事 務 所 中 央 西 土 木 事 務 所 高 知 土 木 事 務 所 須 崎 土 木 事 務 所 幡 多 土 木 事 務 所 【香南市】 【香美市】 東洋町 馬路村 北川村 田野町 大川村 津野町 三原村 奈半利町 四万十町 黒潮町 土佐町 【仁淀川町】 【 中 土 佐 町 】 越知町 (国費負担率引き上げの町村) 東洋町・北川村・田野町・馬路村(0.83) 大川村・津野町・三原村・奈半利町(0.83) 四万十町(0.75) 大月町(0.64) 黒潮町(0.59)  安田町(0.57)    他の市町村の国費負担率は0.55(引上げ無し) ※(    )数字は、国費負担率 図5-5 地方道路交付金事業の各市町村国費負担率【引上後】 本 山 町 安田町 梼 原 町 大月町

(30)

【国費負担率引き上げのイメージ(最大の場合)】 計算結果は、次のようになる。 ○引き上げ後の国費負担率 東洋町・北川村・田野町・馬路村は(0.83) 大川村・津野町・三原村・奈半利町は(0.83) 四万十町(0.75)、梼原町(0.57)、黒潮町(0.60) 安田町(0.58) 他の町村の国費負担率は、0.55(引き上げ無し) 表5-3の黄色と黄緑の12町村の国費負担率が引き上げられる。 発注力指数ゼロの大川村~津野町の7町村と発注力指数が最小0.28の 奈半利町の国費負担率が0.83となる。 発注力指数0.28~0.58の四万十町、大月町、黒潮町、安田町の国費 負担率が各町村の発注力指数に応じて0.75~0.57まで引き上げられる。 檮原町から佐川町の12町村は、発注力指数0.58以上となり、引き上げ 対象とならず、通常の国費負担率0.55のままとなる。 表5-3をグラフにすると図5-4となる。また、地図に落とすと図5-5 のようになる。 県境の東洋町と大月町、中芸地区5町村、人口約500人の大川村、合併し たばかりで年間発注額・件数が比較的多い四万十町と黒潮町、技術者数ゼロの 三原村の国費負担率が引き上げられる。 国 0.55 町村 0.45 (0.45) 国 0.83 町村0.17 国費引上

(31)

5.5 国費負担率の引上げ等により期待される効果 (1) 発注関係業務の適切な実施の促進 発注者支援業務委託費を事業費の測量試験費に計上し、交付対象とすること によって、財政基盤が弱く発注支援業務の委託に必要な予算の確保に苦慮して いる町村において、発注者支援業務の委託が促進される。 このことにより、技術職員が不在或いは不足しているために発注関係業務を 適切に実施することが困難で、財政難から支援を受けたくても受けることがで きない前述の12町村において、負担が軽減され、発注者支援業務の委託が可 能になり、適切な発注関係業務の実施が促進される。 例えば、市町村の平成18年度地方道路交付金事業の実施状況(表5-6) を見てみると、県内の9市(59工区)、9町(39工区)、4村(10工区)、 合計22市町村の108工区で地方道路交付金事業が実施されており、その全 体事業費は17,078百万円となっている。 今回提案しているように、発注者支援業務委託費を測量試験費に計上し、交 付対象に加えることによって、支援業務委託に要する市町村負担額の軽減が図 られ、最大22の市町村において、支援業務の委託が進み、発注関係業務の適 切な実施が期待できる。特に、18年度に事業を実施しており、発注力指数が 0.58に満たない北川村、大川村、津野町、四万十町、三原村、黒潮町では、 町村負担額が軽減されることから確実に発注者支援の取り組みが促進される。 また、同時に発注者支援という新たな分野の委託業務が発生し、受託者であ る「四国地方公共工事発注者支援技術者登録制度」に登録されている民間コン サルタントや建設技術公社などの公益法人のビジネスチャンスが広がるとと もに、これら受託者の建設マネジメント能力の向上が期待できる。

(32)

(単位:百万円) 市町村名 番号 工区名 工 種 全体事業費 発注力指数 国費引上率 国費負担率 備 考 1 浮津 側溝・舗装 60 2 吉良川 舗装 20 3 伊尾木 改築 1,363 4 東浜 改築 70 5 伊尾木 改築 84 6 川北(1) 修繕 5 7 川北(2) 修繕 8 8 川北(3) 修繕 6 9 川北(4) 修繕 5 10 安芸 修繕 5 11 安芸 改築 100 12 井ノ口 修繕 7 安田町 13 安田 改築 825 0.56 0.918 0.55 県代行 14 柏木 改築 329 国費負担率引上 15 坂本~上分 改築 239 国費負担率引上 16 楮佐古 改築 427 17 横谷第2 改築 150 18 中組 改築 6 土佐町 19 田井第3 改築 480 1.49 1.000 0.55 20 朝谷第3 改築 350 県代行 21 大平第2 改築 208 国費負担率引上 22 天神 改築 750 23 沖田 改築 655 24 是友(1) 改築 100 25 是友(2) 改築 83 26 新町 改築 540 27 八田 改築 120 28 茂地裏 特改 6 29 八代 改築 40 30 本町 修繕 18 31 駅南町 改築 114 32 中平 改築 200 33 池ノ窪 改築 280 34 是友(2) 改築 115 35 八田(2) 改築 80 36 是友(3) 改築 40 37 三畠 改築 28 38 芦ヶ谷 改築 28 39 竹中 改築 22 40 衣笠 改築 13 41 下野田 改築 30 42 西山 改築 29 43 里改田 改築 23 44 丸山(1) 改築 9 45 丸山(2) 改築 10 46 伊達野 改築 35 47 住吉野 改築 12 48 関(1) 改築 7 49 関(2) 改築 2 50 田井 改築 80 51 久礼田 修繕 4 52 前浜 修繕 6 53 五台山 改築 22 54 七ツ淵 改築 90 55 上町 修繕 160 56 潮新町 修繕 86 57 土佐山 改築 150 58 追手筋 修繕 33 59 野田 改築 275 60 東新町 修繕 15 61 東町 修繕 61 北川村 安芸市 室戸市 南国市 いの町 大川村 香美市 土佐市 高知市 0.55 1.000 0.55 0.55 0.55 0.90 0.55 0.90 0.55 1.000 0.55 1.000 1.694 1.000 1.694 1.000 1.000 1.000 1.05 1.36 0.00 1.03 0.00 1.85 4.01 - 1.46

表5-6 平成18年地方道路交付金事業の実施状況【市町村分】

高 知 東 部 地 域 の 一 次 産 業 活 性 化 を 支 援 す る 道 路 整 備 県 都 と の ア ク セ ス を 改 善 す る 道 路 整 備

(33)

市町村名 番号 工区名 工 種 全体事業費 発注力指数 国費引上率 国費負担率 備 考 69 勝登呂3 改築 230 国費負担率引上 70 上井田 改築 160 国費負担率引上 71 旧宮 改築 80 国費負担率引上 72 奈路 改築 140 国費負担率引上 73 船戸 修繕 6 国費負担率引上 74 汢ノ川 改築 180 国費負担率引上 75 中津川 改築 470 国費負担率引上 76 つづら川第2 改築 300 国費負担率引上 77 戸川 改築 294 国費負担率引上 78 中の越 改築 80 国費負担率引上 79 田野々 改築 110 国費負担率引上 80 北ノ川 改築 100 国費負担率引上 81 小野 改築 133 国費負担率引上 82 戸川第2 特改 56 国費負担率引上 梼原町 83 梼原町 改築 60 0.46 1.056 0.58 国費負担率引上 84 奈路 改築 250 85 萩中口 改築 60 86 萩中 改築 130 87 有岡 改築 1,188 88 用井 改築 370 89 森沢 改築 180 90 本町 改築 24 91 名鹿 改築 40 92 佐田 修繕 40 93 用井 修繕 30 94 藤ノ川第5 改築 180 95 長生 改築 170 96 下家地 修繕 50 97 大島2 改築 710 98 中央 交安 50 99 平田 改築 83 100 下切 改築 1,000 国費負担率引上 101 柚ノ木 改築 150 国費負担率引上 102 皆尾 修繕 13 国費負担率引上 103 広野 交安 4 国費負担率引上 104 浮津 改築 9 105 鞭 改築 3 津波避 難支援 中土佐町 106 大棚 改築 35 0.86 1.000 0.55 107 千切第2 改築 210 108 坪井 改築 150 小計 7,528 合計 17,078   ②発注者支援業務委託を交付対象(測量試験費)とすることにより、上記22市町村において、「品確法」の取り組みが推進される。   ③国費負担率の引き上げ対象となる6町村の22工区において、「品確法」の取り組みが促進されるとともに、町村負担金が軽減    され、事業のスピードアップを図ることが可能になる。 四万十市 中土佐町 四万十町 津野町 香南市 黒潮町 ※①県内9市(59工区)、9町(39工区)、4村(10工区)、計22市町村の108工区で地方道路交付金事業を実施。    全体事業費は17,078百万円 三原村 宿毛市 1.000 0.55 0.54 1.000 0.55 1.000 0.55 1.694 0.90 1.000 0.55 1.000 0.55 1.694 0.90 1.196 0.66 0.86 0.00 0.36 1.54 観光施 設支援 「 幡 多 け ん み ん 病 院 」 へ の ア ク セ ス を 改 善 す る 道 路 整 備 四 万 十 流 域 を 中 心 と し た 住 民 の 定 住 を 支 援 す る 道 路 整 備 3.58 3.58 0.00

(34)

(2) 国費負担率の引き上げによる事業の促進 厳しい財政状況が続く中でも、地域の生活基盤の整備や修繕は持続的に実施 していく必要がある。財政基盤が弱く交付金事業の地方負担金の財源確保に苦 慮している町村では、町村の財政力に応じて国費負担率を引き上げることによ って、地方負担が軽減され交付金事業の促進が図られる。 また、地域の活性化或いは個性あるまちづくりのために優先的に実施する必 要がある事業があり、そのための予算が確保できる場合には、国費負担率の引 き上げ措置を有効に活用して、事業のスピードアップを図ることが可能になる。 例えば、表5-3の東洋町、北川村、馬路村、奈半利町、田野町、大川村、 津野町、三原村のように「発注力指数」が低く、自力で発注関係業務を行うこ とが難しい町村では、発注者支援業務を交付対象に加え、さらに国費負担率を 引き上げることによって、発注関係業務が適切に実施され、「品確法」の取り 組みがさらに促進される。 また、国費負担率を引き上げることによって、例えば、県道の改良工事に接 続する箇所で同時に村道の改良工事を実施し、県道と村道が連携して地域の生 活道路を整備しているような箇所では、下図に示すように、町が一定の負担額 を確保することができれば、国費負担率の引き上げ措置を有効に活用して事業 のスピードを最大2.65倍アップすることが可能になり、連携事業の効果を 早期に発現することができる。 【事業スピードアップのイメージ】

事業スピードがアップ(最大2.65倍)

町負担【0.45】 450万円 (1,650万円) 国負担【0.83】 2,200万円 (550万円) 町負担【0.17】 450万円 国費負担率の引上 <町負担額は固定> 現行事業費 1,000万円 引上事業費 2,650万円 国負担【0.55】 550万円 事業費が2.65倍

参照

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