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Microsoft Word - ②春秋コンクリート

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Academic year: 2021

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1.はじめに

覆工コンクリートは、構造および施工上、14~20時間で 脱型し、その後は坑内環境で養生を行う。そのため、夏期 施工のコンクリートは、練上がり温度が高く、ピーク温度 も高くなることから、脱型時にコンクリート表面が急激に 冷却・乾燥され、収縮に起因したひび割れが発生しやすい。 逆に冬期施工のコンクリートは、練上がり温度が低く、ピ ーク温度も低くなることから、脱型時に強度不足によるひ び割れや剥離が発生しやすい。 図1は、当社施工のASトンネルにおけるひび割れ発生状況 をまとめたものである。この図によると7~9月の夏期施工 のコンクリートは、練上がり温度が26℃以上と高く、ひび 割れが多数発生しており、一方、5月、10月の春期および秋 期に施工したコンクリートは、練上がり温度が20℃程度と 低く、ひび割れがほとんど発生していないことがわかる。 このことから、コンクリート温度を春秋環境に調整するこ 図1 ASトンネルにおける0.1mm以上のひび割れ発生状況 *1 土木事業本部 技術部 *2 大阪本店 土木部 とは、ひび割れを抑制するのに有効であることがわかる。 一般にコンクリート温度を調整するためには、コンクリ ートの練上がり温度をコントロールする方法と、打込み時 および打込み後のコンクリート温度をコントロールする方 法が考えられる。前者は、骨材温度の調整や生コン自体を 液化ガス等で冷却する方法が、後者は、散水やパイプクー リングにより冷却する方法や、ジェットヒータや遮風シー トにより加温する方法がある。しかし、一般に覆工コンク リートの施工は、冬期に加温するケースはあるが、夏期に 冷却するケースはほとんどない。 今回、開発した「春秋コンクリート」は、養生期間中の 型枠温度を調整し、コンクリートを冷却・加温して、一年 を通して春秋期に打設したコンクリートと同じ温度環境で 施工することを可能にしたもので、これにより収縮ひび割 れや強度不足による剥離を防止し、長期耐久性を向上させ る。 春秋コンクリートのトンネル現場への適用にあたっては、 事前に室内試験において、コンクリートの温度特性、型枠 との剥離性、若材令と長期材令における強度特性、および 収縮ひずみ特性についての基礎性状を確認した。また、実 現場として、美浜東バイパス 佐田トンネルにおいて大型 空調機と送風用配管を使用した専用セントルを用いて、覆 工コンクリートを冷却・加温することで、春秋コンクリー トの性状について確認した。 本報告は、春秋コンクリートの室内試験および実現場で の適用結果について紹介する。

Concrete-Curing System Using Temperature Controlled Forms

要旨 覆工コンクリートは、構造および施工上、収縮変形による拘束や早期脱型(強度不足)に起因するひび割れ・剥離が 発生しやすい。これらのひび割れは、それぞれ夏期、冬期において顕著であり、コンクリートのひび割れの発生が少な い適度な温度、すなわち春期または秋期の温度環境下に維持することが重要となる。「春秋コンクリート」は、型枠養 生期間中の型枠温度を調整し、コンクリートを冷却・加温することで、上記問題を解決したものである。 本報告は、春秋コンクリートの室内試験で得られた基礎性状を踏まえ、実現場として美浜東バイパス 佐田トンネル において適用した効果について紹介する。 キーワード:山岳トンネル 覆工コンクリート 春秋コンクリート 型枠 養生温度 冷却 加温 若林 宏彰*1 藤本 和成*2 富澤 直樹*1 Hiroaki Wakabayashi Kazushige Fujimoto Naoki Tomisawa

森山 祐三*1 内田 博之*1 長沼 *1 Yuzo Moriyama Hiroyuki Uchida Satoshi Naganuma

0 2 4 6 8 10 12 14 16 5月 6月 7月 8月 9月 10月 ス ハ ゚ン 数 16 18 20 22 24 26 28 30 32 コ ン ク リ ー ト の 練 上 が り 温 度 (℃ ) ひび割れ発生スパン 打設スパン 練上がり温度

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2.室内試験

2.1 実験目的 既住の実験データが少ない若材令コンクリートに対する 冷却の影響や効果などの基礎性状を確認するために、夏期 施工のコンクリートと春秋コンクリートに対して、①コン クリート温度測定、②剥離性試験、③若材令強度試験、④ 長期強度試験、⑤収縮ひずみ測定を実施した。 2.2 実験内容 2.2.1 コンクリート配合 実験に使用したコンクリートの配合は、適用現場である 佐田トンネルの覆工コンクリートの配合とした。 表 1 に使用材料、表 2 に覆工コンクリート配合を示す。 表 1 使用材料 表 2 覆工コンクリート配合 2.2.2 養生条件 コンクリートの練上がり温度は、夏期施工のコンクリー トを想定して 30℃とした。次に打設後 24 時間の養生温度 は、写真1に示す温度調整装置を用いて、夏期施工のコン クリートは 40℃(夏期におけるセントル天端の空間温度相 当)、春秋コンクリートは 10℃(大型空調機の最大冷却温 度相当)とした。その後、型枠を脱型し、室温 25℃、湿度 70%(トンネル坑内温度および湿度相当)の恒温室で気中養 生を行った。 写真 1 温度調整装置 2.2.3 実験方法 ①コンクリート温度測定 型枠は、実物大の覆工コンクリート(t=30cm)を模擬し た直径 30cm、高さ 30cm のボイド型枠を使用した。型枠上 部にはセントルのスキンプレートを模擬した鉄板蓋(t=6 mm)を、残りの 5 面には断熱材として発泡スチロール(t=5 cm)を設置した。また、型枠の上下 5cm と中間の位置に熱電 対を設置し、コンクリート温度を連続的に測定した。 上面図 側面図 図 2 コンクリート温度測定用型枠 写真 2 供試体作成状況 写真 3 鉄板蓋設置状況 ②剥離性試験 春秋コンクリートでは、型枠を 10℃に冷却することを想 定したため、脱型時の強度発現不足によるコンクリート表 面の剥離の有無について確認した。型枠は、コンクリート 温度測定用型枠と同様の大きさ、形状のものを使用した。 鉄板蓋の脱型時期は、セントルの脱型時期に相当する 16 時間および 18 時間とした。 ③若材令強度試験 供試体は、φ100×200 を 3 本とし、写真 4,5 に示すよう にコンクリート温度測定用型枠にコンクリートで埋設した。 鉄板蓋の脱型時期は、14~24 時間とし、脱型後にコンク リートを破砕して円柱供試体を取り出し、脱型時の必要強 度が確保できるかを確認した。 写真 4 型枠設置状況 写真 5 供試体作成状況 熱電対 鉄板蓋 (t=6mm) 発泡スチロール (t=5cm) 基準強度スランプGmax W/C S/a (N/mm2) (cm) (mm) (%) (%) W C S1 S2 G WR 18 15 20 60 47.3 170 283 383 468 1026 3.57 単位重量(kg/m3 円柱供試体(φ100×200) 熱電対 種類 記号 セメント C S1 S2 粗骨材 G 混和剤 WR 細骨材 福井県坂井市三国町産 陸砂 表乾密度2.60g/cm3、粗粒率1.82 高炉セメントB種、密度3.04g/cm3 物理性質など 福井県敦賀市葉原産 砕砂 表乾密度2.60g/cm3、粗粒率3.42 滋賀県今津町椋川産 砕石 表乾密度2.81g/cm3、実績率58.0% AE減水剤(リグニンスルホン酸化合物) 鉄板蓋:400×400 発泡スチロール ボイド管 温度測定位置 エアキャップ

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④長期強度試験 型枠は、コンクリート温度測定用型枠と同じものを使用 し、材令 7,28,56,91 日のコア供試体(φ86)を採取して、 圧縮強度試験を実施した。 ⑤収縮ひずみ測定試験 若材令強度試験で作成した供試体を用いて、材令 24 時間 でひずみゲージを設置し、その後の収縮ひずみを計測した。 2.2.4 試験ケース 室内試験ケースを表 3 に示す。 表 3 室内試験ケース 2.3 室内試験結果 ①コンクリート温度測定結果 コンクリート温度測定結果を図 3 に示す。 春秋コンクリートは、夏期施工のコンクリートと比較し て、型枠の深度によっては最大 20℃程度の冷却効果がある が、一番深い位置でも 17℃程度冷却できることがわかった。 図 3 コンクリート温度測定結果 ②剥離性試験結果 材令 16 時間と 18 時間の剥離性試験結果を写真 6 に示す。 春秋コンクリートでは、型枠を 10℃に冷却しても、コン クリート表面は 20℃程度と温かく、コンクリート表面に剥 離が発生していないことがわかった。 写真 6 剥離性試験結果 ③若材令強度試験結果 若材令強度試験結果を図 4 に示す。 春秋コンクリートは、材令 16 時間以降で脱型時の必要強 度(2.1N/mm2)を満足していることがわかった。 図 4 若材令強度試験結果 ④長期強度試験結果 長期強度試験結果を図 5 に示す。 春秋コンクリートは、材令 7~91 日で夏期施工のコンク リートの圧縮強度を 20~30%程度上回ることがわかった。 図 5 長期強度試験結果 ⑤収縮ひずみ測定結果 収縮ひずみ測定結果を図 6 に示す。 春秋コンクリートは、材令 91 日で夏期施工のコンクリー トの収縮ひずみより 200μ程度小さいことがわかった。こ れは、春秋コンクリートのピーク温度が、夏期施工のコン クリートよりも 17~20℃程度低いため、温度および乾燥収 縮ひずみが減少したものと考えられる。 -700 -600 -500 -400 -300 -200 -100 0 0 7 14 21 28 35 42 49 56 63 70 77 84 91 98 材令(日) ひ ず み ( μ ) 夏施工Con 春秋Con 200μ (a)材令 16 時間 (b)材令 18 時間 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 経過時間(日) コ ン ク リ ー ト 温 度 ( ℃ )

上5cm-夏施工Con 中間-夏施工Con 下5cm-夏施工Con 上5cm-春秋Con 中間-春秋Con 下5cm-春秋Con

17℃ 脱型 20℃ 冷却 断熱 上 5cm中間 下 5cm 練上り 温度(℃) 24hrまで24hr以降 夏施工の コンクリート 30 40 25 - 春秋コンクリート 30 10 25 16,18hr 7,28, 56,91日 材令91日 まで測定 材令7日 まで測定 14,16,18, 20,24hr 養生温度(℃) 種類 ⑤収縮 ひずみ ①コンクリート 温度 ②剥離 性 ③若材令 強度 ④長期 強度 必要強度 2.1N/mm2 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 14 16 18 20 24 材令(時間) 圧 縮 強 度 ( N / m m 2) 夏施工Con 春秋Con 28日基準強度 18N/mm2 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 7 28 56 91 材令(日) 圧 縮 強 度 ( N / m m 2 ) 夏施工Con 春秋Con 水中養生 図 6 収縮ひずみ測定結果

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2.4 室内試験結果まとめ 春秋コンクリートの基礎性状について以下にまとめる。 ① 春秋コンクリートは、10℃に冷却しても、コンクリー ト表面まで水和反応が起こり、脱型時にコンクリート 表面が剥離しない。 ② 春秋コンクリートは、脱型時の必要強度を満足できる。 ③ 春秋コンクリートは、夏期施工のコンクリートに比べ て水和反応が緩やかになるため、長期強度が増進する。 ④ 春秋コンクリートは、ピーク温度が低いため、初期の 急激な乾燥や温度変化が小さくなり、収縮ひび割れを 抑制できる。その効果は、一般的な膨張コンクリート の効果に相当する。

3.現場への適用

3.1 目的 実現場において、春秋コンクリートの性状を確認するこ とを目的として、以下の測定を行った。 測定項目は、室内試験と同様、夏冬期に施工するコンク リートと、春秋コンクリートの①コンクリート温度測定、 ②ひび割れ・剥離状況、③若材令強度試験、④長期強度試 験、⑤収縮ひずみ測定とした。 表 4 に適用現場の工事概要、図 7 に標準断面図を示す。 表 4 トンネル工事概要 図 7 標準断面図(DⅢa パターン)の一例 3.2 春秋コンクリート専用セントル 図 8 に春秋コンクリート専用セントル概要図、表 5 に使 用機材の仕様、写真 7 に使用機材を示す。トンネルの覆工 コンクリートに適用する春秋コンクリートでは、大型空調 機で冷却・加温した空気を補助ファンにより、セントル型 枠に設置した送風用鋼管に風速 10~15m/s で圧送し、型枠 図 8 春秋コンクリート専用セントル概要図 表 5 使用機材の仕様 (a)セントル全景 (b)大型空調機 (c)分配器 (d)補助ファン (e)分流器・送風ダクト (f)送風ダクト・送風用鋼管 φ500 空調温度:10~40℃ 送風量:165m3/min 空調機から 海側補助ファンへ 山側 補助ファンへ 中央補助ファンへ 分配器から 分流器へ 送風用鋼管へ 送風ダクト 分流器(各 12 箇所) 送風ダクト 送風用鋼管 工事名称 発注者 施工者 工事場所 上半先進ショートベンチカット工法) 美浜東バイパス 佐田トンネル工事 近畿地方整備局 福井河川国道事務所 株式会社 鴻池組 福井県三方郡美浜町佐田地先 工事概要 ・工事延長680m、トンネル延長464m (NATM、機械掘削、内空断面積65.9m2 ・地質状況:丹波層群 砂岩・頁岩・チャート 写真 7 使用機材 使用機材 仕 様 ・能力 ;冷房56kW/暖房63kW(60Hz) ・送風機;定格風量165m3/min 分流器 ・送風方式;12P同時送風 補助ファン ・風量 ;80m3/min 送風用配管 ・送風ダクト;φ75mm 大型空調機 海側 山側 エアコン 分流器 補助ファン 分配器 補助ファン 分流器 補助ファン 分流器 大 型 鋼管12本 送風用 鋼管12本 送風用 鋼管12本 送風用 2 2 50 4 3 00 3 50 2 50 7 1 5 0 送風ダクト 大 型 空調機

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表面を冷却・加温するもので、これにより脱型までのコン クリート温度を春秋期環境に調整した。 3.3 測定内容 3.3.1 養生条件 夏期は、温度調整を行わないコンクリートと空調機の温 度を 15~20℃に調整した春秋コンクリート、冬期は、ジェ ッ ト ヒ ー タ で 加 温 し た コ ン ク リ ー ト と 空 調 機 の 温 度 を 40℃に調整した春秋コンクリートについて、脱型まで養生 し、各測定項目を比較した。また、秋期に温度調整を行わ ないコンクリートのデータも採取した。 3.3.2 測定方法 ①コンクリート温度測定、および収縮ひずみ測定 10.5m の覆工スパンの中央部の天端、肩部および脚部の 3 箇所における地山側、中心、坑内側のコンクリート温度と 収縮ひずみを連続的に測定した。 図 9 コンクリート温度および収縮ひずみ測定位置 ②ひび割れおよび剥離状況の確認 セントル脱型後のコンクリート表面を定期的に観察した。 ③若材令強度試験 PT 型テストハンマーを使用し、覆工コンクリート天端の 褄部における材令 14~20 時間の若材令強度を測定した。 ④長期強度試験 NR 型テストハンマーを使用し、天端、肩部および脚部の 3 箇所の覆工コンクリート表面における材令 7,28,56,91 日 の長期強度を測定した。 3.3.3 測定ケース 施工条件に応じて比較した測定ケースを表 6 に示す。 表 6 測定ケース 3.4 計測結果 ①コンクリート温度測定結果 夏期、秋期および冬期施工時のコンクリート温度測定結 果を図 10~12 に示す。 春秋コンクリートのピーク温度は、夏期では 10℃程度 (練上がり温度を考慮すると 8℃程度)低下し、冬期では 脚部で 3℃程度上昇することがわかる。また、秋期施工の コンクリートと、夏冬期施工の春秋コンクリートのピーク 温度差を比較すると天端、肩部で 6℃程度と小さく、春秋 環境を適切に模擬化できていることを確認できた。 図 10 夏期施工のコンクリート温度比較 図 11 冬期施工のコンクリート温度比較 図 12 秋期施工のコンクリート温度比較 ②ひび割れおよび剥離状況 セントル脱型後における春秋コンクリートの表面状況を 20 25 30 35 40 45 50 55 9 :0 0 1 5 :0 0 2 1 :0 0 3 :0 0 9 :0 0 1 5 :0 0 2 1 :0 0 3 :0 0 9 :0 0 1 5 :0 0 2 1 :0 0 3 :0 0 9 :0 0 1 5 :0 0 2 1 :0 0 3 :0 0 9 :0 0 コ ン ク リ ー ト 温 度 (℃ ) 夏天端-無対策 夏肩部-無対策 夏脚部-無対策 夏天端-春秋Con 夏肩部-春秋Con 夏脚部-春秋Con

10℃ 破線:温度調整なし 実線:春秋コンクリート 5 10 15 20 25 30 35 40 45 9 :0 0 15 :0 0 21 :0 0 3 :0 0 9 :0 0 15 :0 0 21 :0 0 3 :0 0 9 :0 0 15 :0 0 21 :0 0 3 :0 0 9 :0 0 15 :0 0 21 :0 0 3 :0 0 9 :0 0 コ ン ク リ ー ト 温 度 ( ℃ ) 冬天端-ジェットヒータ 冬肩部-ジェットヒータ 冬脚部-ジェットヒータ 冬天端-春秋Con 冬肩部-春秋Con 冬脚部-春秋Con

3℃ 破線:ジェットヒータ養生 実線:春秋コンクリート ひずみ計 熱電対 ひずみ計 熱電対 天端 肩部 脚部 練上り 温度(℃)脱型まで脱型後 夏-無対策 30 - 夏-春秋con 28 15~20℃ 11月 秋-無対策 18 - 冬-ジェットヒータ 10 ジェットヒータ 冬-春秋con 10 40℃ ⑤収縮 ひずみ 8月 坑内 環境 材令7日 まで測定 随時 材令 14,16, 18,20 hr 7,28, 56,91日 材令60日 まで測定 1月 ①コンクリート 温度 ②剥離性 試験 ③若材令 強度 ④長期強 度 施工 時期 ケース 養生条件 5 10 15 20 25 30 35 40 45 9 :0 0 1 5 :0 0 2 1 :0 0 3 :0 0 9 :0 0 1 5 :0 0 2 1 :0 0 3 :0 0 9 :0 0 1 5 :0 0 2 1 :0 0 3 :0 0 9 :0 0 1 5 :0 0 2 1 :0 0 3 :0 0 9 :0 0 コ ン ク リ ー ト 温 度 ( ℃ ) 夏天端-春秋Con 夏肩部-春秋Con 秋天端-無対策 秋肩部-無対策 冬天端-春秋Con 冬肩部-春秋Con 6℃

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写真 8 に示す。 夏期施工の春秋コンクリートでは、脱型後の急激な乾燥 や温度低下による収縮ひび割れもなく、緻密なコンクリー トを施工できた。 同様に、冬期施工の春秋コンクリートでは、強度不足に よるひび割れや剥離もなく、緻密なコンクリートを施工で きた。 (a)夏期-春秋コンクリート (b)冬期-春秋コンクリート 写真 8 春秋コンクリートの表面状況 ③若材令強度試験結果 材令 14~20 時間の若材令強度試験結果を図 13 に示す。 春秋コンクリートを含め、いずれのケースも脱型時の必 要強度(2.1N/mm2)を満足していることがわかった。 図 13 若材令強度試験結果 ④長期強度試験結果 材令 7,28,56,91 日の長期強度試験結果を図 14 に示す。 春秋コンクリートは、夏期施工のコンクリートの圧縮強 度を 10~20%程度上回ることがわかった。 図 14 長期強度試験結果 ⑤収縮ひずみ測定結果 収縮ひずみ測定結果を図 15 に示す。 春秋コンクリートは、材令 60 日で夏期施工のコンクリー ト脚部の収縮ひずみより 60μ程度小さいことが、また、秋 期施工のコンクリートと比較して同程度であることがわか った。これは春秋コンクリートのピーク温度が、夏期施工 のコンクリートよりも 10℃程度低いため、温度および乾燥 収縮ひずみが減少したものと考えられる。 図 15 収縮ひずみ測定結果 3.5 現場適用結果まとめ 春秋コンクリートの現場適用結果を以下にまとめる。 ① 空調機の温度を調整することで、一年を通して春秋 施工時に近いコンクリート温度に調整できる。 ② 春秋コンクリートは、夏期施工や冬期施工のコンク リートにおける収縮ひび割れや剥離を抑制できる。 ③ 春秋コンクリートは、通常の養生時間で脱型できる。 ④ 春秋コンクリートは、長期強度が向上する。 以上より、室内試験で得られた基礎性状を実現場でも確 認することができた。

4.おわりに

今回、春秋コンクリートの室内試験および実現場での適 用にあたり、優位な結果が得られた。 今後、春秋コンクリートの現場への適用にあたっては、 使用機材の適正配置、空調機の冷却・加温能力のさらなる 向上、設備・電力コストの縮減といった施工上の問題点を 解決し、導入していきたいと考える。 本報告の執筆にあたり、現場適用をご承認頂いた近畿地 整 福井河川国道事務所、および本工法の開発に協力頂い た㈱岐阜工業、㈱流機エンジニアリングに心より謝意を表 します。 -200 -150 -100 -50 0 50 0 10 20 30 40 50 60 70 材令(日) ひ ず み (μ ) 夏脚部-無対策 夏脚部-春秋Con 秋脚部-無対策 冬脚部-ジェットヒータ 冬脚部-春秋Con 60μ 28日基準強度 18N/mm2 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 32 7 28 56 91 材令(日) 圧 縮 強 度 (N / m m 2 ) 夏天端-無対策 夏天端-春秋Con 秋天端-無対策 冬天端-ジェットヒータ 冬天端-春秋Con 必要強度 2.1N/mm2 0 1 2 3 4 5 6 7 14 16 18 20 材令(時間) 圧 縮 強 度 (N / m m 2) 夏-無対策 夏-春秋Con 秋-無対策 冬-ジェットヒータ 冬-春秋Con

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