九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
A taxonomic study of Lithocarpus (Fagaceae) in Vietnam based on molecular phylogeny and
morphological observations
グエン, ヴァン, ゴック
https://doi.org/10.15017/1931742
出版情報:九州大学, 2017, 博士(理学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
(様式6-2)
氏 名 グエン ヴァン ゴック
論 文 名 A taxonomic study of Lithocarpus (Fagaceae) in Vietnam based on molecular phylogeny and morphological observations(分子系統学 と形態観察にもとづくベトナム産ブナ科マテバシイ属の分類学的研 究)
論文調査委員 主 査 九州大学 教授 矢原 徹一 副 査 九州大学 教授 舘田 英典 副 査 九州大学 准教授 粕谷 英一
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
ブナ科は、ヨーロッパ・アジア・北米の温帯から亜熱帯域に広く分布し、しばしば森林の優先種 となる樹木である。マテバシイ属はブナ科の中で 2番目に大きな属であり、約 350 種が知られる。
その多様性の中心は、123種が報告されている中国と117種が報告されているベトナムだが、ベト ナム産マテバシイ属の分類は 20 世紀前半に研究されて以後中断していた。本研究では、新たにベ トナム各地で採集した標本資料・DNA 試料にもとづき、次世代シークエンサーを活用した分子系 統解析を行い、ベトナム産マテバシイ属の分類を整理した。
第一章では、南部Lam Dong省で採集された1種がこれまで記載されたどの種とも異なることを 明らかにし、Lithocarpus dahuoaiensis Ngoc & L.V.Dungとして命名・記載した。
第二章では、Lam Dong省Bidoup-Nui Ba国立公園で採集された2種がこれまで記載されたどの 種とも異なることを明らかにし、Lithocarpus hongiaoensis Ngoc & Binh and Lithocarpus bidoupensis
Ngoc & Taganeとして命名・記載した。
第三章では、中北部Vu Quang国立公園で採集された1種がこれまで記載されたどの種とも異な ることを明らかにし、Lithocarpus vuquangensis Ngoc & Hungとして命名・記載した。
第四章では、形態による区別がむつかしいLithocarpus vestitus 群を対象に、ベトナム・ラオス・
カンボジア・タイから採集された標本資料・DNA 試料をもとに形態比較と分子系統解析を行った。
従来の分子系統学研究で用いられているrbcL, matK, ITS配列では種間の系統関係が十分な精度で決 定できなかったため、次世代シークエンサーを活用したMIG-seq法によってゲノム全体から多数の 短 い 配 列 を 増 幅 し 、 こ れ ら の 配 列 情 報 を も と に 近 縁 種 間 の 系 統 関 係 を 解 析 し た 。 そ の 結 果 、 Lithocarpus vestitus 群は13種に分類され、そのうち3種を新種L. chinhii Ngoc & Binh, L. pierreioides Ngoc, Tagane & Yahara, and L. pseudoannamensis Ngoc & Binh. として命名・記載した。
第五章では、中国からインドネシアまで広く分布するとされているLithocarpus elegans (広義)
を対象に研究を行った。MIG-seq 法による系統解析と形態比較の結果、L. elegans (広義)は L.blaoensis, L. elegans(狭義), L. grandifolius, L. syncarpus, 新種L. bokorensis Ngoc, Tagane & Yahara, 新種 L. monoromensis Ngoc, Tagane & Yahara.に分類され、葉に毛があり形態的に明瞭に区別されるが この群に含まれること、L.blaoensisは系統的に異なる群に属すことがわかった。
これらの研究は、ベトナム産マテバシイ属の多様性についての理解を深めた重要な貢献である。
よって、本論文は博士(理学)の学位論文に値するものと認める。