図書館実習報告
宝の山で働く
図書館実習事前指導Ⅰ講演録,2014年12月6日
古庄 もも(国立音楽大学附属図書館)
タイトルは、当時大学 4 年生の私が実習 に行った時の率直な感想です。図書館は宝 の山だ、と感激したことが今でも印象に残っ ています。
【自己紹介】
2012 年 3 月に立教大学の文学部文学科ド イツ文学専修を卒業し、現在の職場で働い て今年で 3 年目。司書課程を履修し始めた の は 必 修 の 関 係 で 大 学 2 年 生 か ら で し た。
現在は図書館に配属されていますが、国立 音楽大学の大学職員としての採用のため、今後他の部署への異動もあります。
【図書館実習について】
正直に言うと実習前は、立教の司書課程 を修了して資格がとれればいいという程度 に考えていました。ですが、受け入れ館の リストを見た時にその数に驚き、「こんなに たくさんの中から選べるなら自分のために なるところがいい」と考えました。そして、
元々大学職員を目指しており、かつ普段絶 対に行けないようなところに潜り込んでみ たいという思いから、音楽大学の図書館を 選びました。
当時は実家から通っていたので、電車で片道 2 時間ほどかけて実習に行っていました。
遠いところをよく通ったと思う人もいるかもしれませんが、一度就職してしまうと他の職場 を見る機会もなかなかありません。生涯自分の財産になる経験だと思うので、ぜひ自分のた めになる実習館を選んでほしいと思います。
2 週間。業務内容は、カウンター業務、書庫 の出納業務、雑誌の受け入れ、貴重書につ いてのレクチャー、目録作成など、盛りだ くさんでした。実習前はとても緊張してい たのですが、私を含め、周りの友達も最後 には楽しかったという感想が多く聞かれた ので、ご安心ください。
実習内容についてですが、私の実習で特 殊だと思ったのは、書庫の出納作業と目録 の作成です。国立音大は資料のほとんどが閉架で、利用者は書架の本を見て選ぶことができ ません。そのため OPAC から資料を請求し、それを図書館のスタッフが書庫からカウンター に出すという作業があります。目録作業はさらに貴重な経験でした。一般的には資料と一緒 に目録のデータも購入しますが、当館では音楽資料の特殊性に対応するため、楽譜などは館 員が独自に目録を作成しています。データは文字と数字の羅列で、実習では苦労したことを 覚えています。
実習に行って良かったことは、司書の資 格がとれたこと、図書館の裏側を見ること ができたこと、司書の仕事の奥深さを知る ことができたこと、卒論の文献収集に役立っ たこと、それに何よりも就職に繋がったこ と、です。私の話はあくまで実習の一例です。
公共図書館に実習に行った友人の話も十人 十色でした。実習館それぞれで違った経験 ができると思います。
今回、当時の感想を思い出すために、実 習後記や履歴書を読み返しました。紹介し ます。「何より専門性の高さに驚いた。利用 者のための図書館という一面の他に、音楽 文化の記憶の保存庫、または博物館のよう だと感じた。日常的に英語やドイツ語と向 き合い、日々試行錯誤している図書館員の 姿がとても印象的。静かで穏やかなイメー
図書館実習報告
き合う図書館員の仕事に触れました。この経験を通して、音楽文化の歴史を保存していくと いう使命感を持ち、貴校の図書館員として働きたいと思いました(履歴書)」。実習で司書の 仕事を目にし、素直に憧れを抱いたことを思い出しました。
【就活との関係について】
私は元々大学職員を目指して就職活動を していました。教員免許をとって先生にな るのではなく、人が成長する大学という「場」
に関わりたいと考えていたからです。働い てみて思った感想ですが、大学職員と図書 館員は「場を作る」という点で少し似てい ると思います。図書館員は資料と利用者を 結ぶ「場」を作る人だと私は考えています。
3 年の秋くらいから合同説明会に行ったり サイトに登録したりし、はじめは大学職員 を中心にエントリーしていました。最終的 には一般企業も少し受けました。大学職員 の生の声が知りたいと思い、説明会を聞き に行く他に OG 訪問をしていました。なん とか 4 年生の 6 月に大学職員の内定をいた だきましたが、これは現在の職場ではなく 別の私立大学でした。そしてその年の 10 月 に図書館実習に行きました。一ヶ月後くら いに国立音大から採用面接を受けてみない かというお話があり、12 月に内定をいただきました。どちらに就職するか非常に迷いまし たが、現在の職場で働くことを決めました。
ゼミで学んだ「音楽学」、司書課程で学ん だ「図書館学」、学科で学んだ「語学」。大 学で私が学んだものの組み合わせは非常に マニアックですが、運良くそのどれもが活 かせる職に就くことができました。音楽学 や語学は専門的に学んだ方には及びません が、資料にだいたいのアタリをつけて読む ことはできるので、とても役立っています。
と言われていたほど音楽の専門図書館として権威のある図書館です。音楽資料に関しては網 羅的に収集するというのが当館の使命です。音楽大学の図書館は、資料、利用者、利用目的、
全てにその特徴が出ます。資料は図書、雑誌、AV 資料の他に楽譜があります。図書と雑誌 に関しても、ほとんどのものが音楽に関係しているものです。利用者は音大生と教職員、音 楽学の研究者がよく来館します。
利用目的は非常に特殊です。読むための本を借りる他に、レッスンのための楽譜を借りる 利用が目立ちます。音楽資料は数も多く種類も豊富です。同じ曲の楽譜でも、用途によって 利用者が探している資料は異なります。視聴覚資料も様々な媒体のものがあります。音楽の 専門図書館としては、同じ人物が同じ曲を演奏していても録音年が異なれば別の資料として 収集しなければいけないからです。こうした特殊な音楽資料を管理するために国立音大の図 書館はほとんどの資料を「閉架」にしています。
図書館実習報告
私自身の仕事について。はじめの 2 年間 と今の 3 年目とは全く違う仕事をしていま す。はじめの 2 年間は主に楽譜や DVD の 目録を作成していました。作成した目録デー タを OPAC システムに流す作業は現在も私 の担当です。
3 年目の現在は図書の受入担当をしていま す。実際に自分で選書をして、図書を購入し、
番号をつけてシステムに登録、目録担当に 回して、購入したものの伝票を書くまでを 担当しています。これで資料を購入してか ら書庫に入るまでの一連の流れが分かるよ うになりました。もう一つ、広報担当として、
図書館のパンフレットやイベントのチラシ、
展示などにも関わっています。その他にも、
他大学の職員と一緒に活動している研究会 や、来年度から始まる耐震改修工事のため のリニューアル委員会などがあります。
現在の仕事をして嬉しかったことは、読 みたい本がすぐ手に入ること、学生のかけ がえのない 4 年間に関わることができるこ と、自分の時間が比較的多く持てるという こ と、 勉 強 で き る 環 境 が 整 っ て い る こ と、
大学職員として大学のイベントに参加でき ること、他大学の職員との交流があること、
などです。大変なことは、同期がいないこと、
マニュアルがあるようでないこと(常に試 行錯誤)、音楽の専門的な質問を受けること、
などです。最近は音楽の専門知識がなくて も、仕事で OPAC システムを扱っていることを活かし、資料の探し方などでサポートでき るように頑張っています。
る限り、学生を教育し何らかの形で社会に 貢献できるような卒業生を世の中に輩出す るということがやはり最終目的です。それ が国立音大の場合は音楽家です。大学 4 年 間の過ごし方はその後の人生に非常に大き な影響を与えます。大学で様々なことに興 味を持ち、それを自発的な行動に移してほ しい。そのための材料を揃え、環境を整え る の が 図 書 館 員 の 役 割 だ と 思 っ て い ま す。
学生がやりたいことを実現するサポートができるような大学図書館員になりたいです。
【質疑応答】
Q.お話ありがとうございます。文学部文 学 科 文 芸 思 想 専 修 の 松 本 と 申 し ま す。 今、
お仕事をされているのが専門図書館という こ と な の で す け れ ど、 他 の 図 書 館 で、 今、
仕 事 を し て き た 上 で 覗 い て み た い な と か 行ってみたいなとかっていうようなところ はありますか。
A.アメリカの議会図書館(LC)です。世 界最大規模の図書館を見てみたいです。海 外の音楽資料は LC のデータを参考にすることが多いので。日本の国立国会図書館も裏側を 覗いてみたいです。