独立取締役の役割 : 米国一九四〇年投資会社法を 素材として
著者 三浦 康平
雑誌名 同志社法學
巻 61
号 5
ページ 131‑196
発行年 2009‑11‑30
権利 同志社法學會
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000012049
独立取締役の役割一三一同志社法学 六一巻五号
独立取締役の役割 ―米国一九四〇年投資会社法を素材として―
三 浦 康 平
(一四七七)
はじめに第一章.投資会社のガバナンスにおける独立取締役の役割
1顧主総会・投資問との関係につい株役.バ投資会社のガナ締ンス概観
―
取て
2.投資会社の取締役の主な義務
容役社の独立取締の資﹁独立﹂の内会投章二第. 3の投資会社.独立締役制度取
sttensoer pedrein1︵.﹁者係関害利︶﹂に関する
ES Cの見解
景役会社における独立取締の投役割
―
制度変遷とその背資.三第章 2害裁判例における﹁利.関のない﹂の判断基準係独立取締役の役割一三二同志社法学 六一巻五号
1監導役締取立独のてしと関機督営.経
―
実事法立と度制の時当法立入
2報と投資顧問の酬﹂の関係につい性立.正一九七〇年改と独その背景
―
﹁て
3一展の半前代年〇九九ら.か半後代年〇七九一開
4張事前後の展開
―
拡さ不れる独立取締役の役祥の.ー二〇〇三年のミュチ界ュアル・ファンド業割 ⑴ 独立取締役の役割の拡大―
一九九九年の投資会社法リリース24082について ⑵ ミューチュアル・ファンド業界の不祥事︵二〇〇三年︶へのES Cの対応 ⑶ 二〇〇四年の
ES めまと C対業則に決判所議会商す国規
―
断判法司る米はじめに
近時︑株式会社のガバナンスのあり方をめぐって︑証券取引所や行政︑さらには民間の審議会・研究会などで活発な 議論がなされている︒とりわけ︑﹁社外﹂取締役︵あるいは独立取締役︒以下﹁はじめに﹂において区別しない︶のあり方が注目されている (
締い︑ということにつて否︑あるいは︑社外取かか締るなわち︑社外取役︒の導入を義務づけす 1)
役における﹁社外﹂性についての議論である︒こうした論点については︑かなり意見が分かれているようである︒それは︑それぞれの論者が拠って立ついわば﹁コーポレート・ガバナンスの哲学﹂というものが異なるということも理由の
一つであると思われる︒社外取締役について言えば︑社外取締役の機能をどのように法的︵あるいは経済的︶に評価するか︑制度導入の必要性︵理由︶をどのように考えるか︑ということが論者によって異なっているようである︒
こうした株式会社のあるガバナンス機構に一定の独立性を持たせようという発想は︑米国ではすでに一九四〇年代に
(一四七八)
独立取締役の役割一三三同志社法学 六一巻五号 生じている︵たとえば会計監査人の独立性を確実なものにしようとするSECの一連の動きなど︶︒本稿で採り上げる一九四〇年投資会社法もその一つである︒同法が規律する﹁投資会社﹂は︑わが国では一般にミューチュアル・ファン
ド︵わが国の投資信託に相当する︶を対象とする法律として知られる︒周知のように︑米国のミューチュアル・ファンドは株式会社形態で運用されていることが少なくない︒
米国では︑投資会社には一般の事業会社とは異なる不正行為が存在すると認識されてきた︒そのため投資会社のガバナンスに関する法規律は︑通常の株式会社のガバナンスの仕組みの上に︑追加的に課されたものとなっている︒本稿で
取り上げる独立取締役制度は投資会社のガバナンスの中核をなすものである︵一九四〇年投資会社法は︑独立取締役を︑法律上強制される制度としている︶︒
本稿では︑この投資会社の独立取締役制度は︑どのような問題に対処するために設けられたものであるのか︑また︑どのような機能を果たすことが求められているのかを考察する︒さらに︑どのような場合に﹁独立﹂と言えるのか︑と
いうことについても検討する︒
前述のように︑米国の投資会社は株式会社形態で運用されるのが大半である︒とはいえ︑通常の株式会社とは異なる
という認識が一般であり︑また︑わが国の投資信託に相当することから︑そこでの独立取締役の位置づけは一般の株式
会社のそれとは異なるかもしれない︒しかし︑なぜ投資会社にはこのような制度が設けられたのかを探ることは︑一般の株式会社における社外︵独立︶取締役のあり方を考える上でも役に立つと思われる︒何よりも︑投資会社における独
立取締役の制度は︑一般の事業会社のそれに先んじて規範化されたという事実がある︒この事実に︑何か独立取締役の本質を象徴するようなものがあるかもしれない︒そのことを検討することは︑独立取締役の本質や機能の一側面を明ら
かにするものであるように思われる︒
(一四七九)
独立取締役の役割一三四同志社法学 六一巻五号
第一章.投資会社のガバナンスにおける独立取締役の役割
わが国の投資信託に相当すると言われる米国のミューチュアル・ファンド (
は︑一九四〇年投資会社法 2)(
では﹁投資会社 3)
︵
in ve st m en t c om pa ny
︶﹂と表現される︒﹁会社︵co m pa ny
︶ (式式会資投の型社会株をは稿本︒るれさ社検象で株︑に的本基は国討米︒るすと象対と対信あ託や組で合っても同法の も法︑のの﹂るいてしと式形会としては株式社だけでなく 4)
会社に関する法律は︑連邦ではなく州が制定したものである︒したがって︵株式会社である︶投資会社も州の︵株式︶会社法に基づいて設立される︒投資会社のガバナンスは︑基本的には州法の規律にしたがう︒つまり投資会社はそのガ
バナンスについて︑基本的に州法の規律に服した上で︑追加的に︑連邦法である一九四〇年投資会社法の規律に従うという仕組みになっている︒この連邦法規律の中心的なものが﹁独立取締役 (
﹂の制度である︒ 5)
この独立取締役制度の役割を検討する前に︑投資会社のガバナンスが一九四〇年投資会社法上どのように規律されているかをみる︒
1
問総会・投資顧の株関係について主と.バ投資会社のガナ役ンス概観―
取締 (6)(
7)
米国では︑多くの場合︑投資会社の投資の方針や実行について︑投資会社が契約している投資顧問が強い影響力を有している︒すなわち︑投資決定︑法令順守︑会計などの日々の業務については投資顧問のスタッフが行っているという
︵投資会社のスタッフであっても投資顧問のスタッフが兼任する場合がある︶︒そのため︑﹁実際上投資会社を運営しているのは投資顧問である﹂というような表現がなされる (
比般対のと社会式株む営を業事一︵の社会資投の国米がれこ︒ 8)
という意味で︶際立った特徴であり︑投資会社の﹁経営の外部化﹂と言われる (
投資は者設創の社会投︒︑上際実︑たま 9)
(一四八〇)
独立取締役の役割一三五同志社法学 六一巻五号 資顧問であることが多く︵投資顧問が資金を拠出する︶︑投資会社設立時の取締役会のメンバーはこの投資顧問によって選ばれた者であることが多いという (
︒ 10)
このような事情のもと︑投資会社と投資顧問の関係は︑構造上利益相反が生じる可能性が高い関係と言われる︒これは︑投資顧問が投資会社や投資会社の株主の利益のためではなく︑自分自身の利益のために行動する可能性があるとい
うことである︵またそのような状況になりやすいこと
―
投資会社はその経営のかなりの部分を投資顧問に依存しているため︶︒さらに言えば︑実際上投資顧問の多くは株式会社であり︑投資顧問自身の株主の利益のために行動しなければならないことがある︒これは︑投資顧問が投資会社から受け取る手数料の決定などがしばしば例にだされる︒すなわち︑投資会社とその株主にとっては︑投資顧問への手数料は低い方が良い︒しかし︑投資顧問の株主利益の最大化を実
現しようとすると︑投資顧問としてはより高い手数料を請求することになる︒この場面で︑投資会社の取締役会が投資顧問の利害関係人で占められている場合︑投資会社の株主の利益は非常に危うい状況にある︒このように一九四〇年投
資会社法の制定以来繰り返し言われてきたのである︵これについては第三章で述べる︶︒この投資顧問の利益相反問題が深刻なのは︑投資顧問が自身の株主の利益のために行動することは︑それ自体正当なものであり︑これを否定するこ
とはできないことにある︒
このような状況におかれている投資会社の株主の利益のために︑投資会社の取締役会には﹁投資会社の投資行動を監視する﹂という役割が期待されている︒その期待される役割︑および︑その意味は︑以上のような投資顧問との関係を
踏まえた上で理解されなければならない︒
(一四八一)
独立取締役の役割一三六同志社法学 六一巻五号
投資顧問契約の締結と株主による承認
米国の投資会社では︑実務上︑投資方針・投資戦略の最終的決定は取締役会で行われるが︑日々の運用は︑投資顧問やその従業員が行っている (
iso ve t ac tr on c ry in dv t a en m st
約︵締問︶が契顧締資の投資顧問と取役︒会との間には︑投こ 11)結される︒取締役会は投資会社の株主の利益に適うような条件で投資顧問契約を締結することが期待される︒
しかし︑実際上︑投資会社の創設者は投資顧問であることが多く︵投資顧問が資金を拠出する︶︑投資会社設立時の
取締役会のメンバーはこの投資顧問によって選ばれた者であることが多いという︒このように︑投資顧問と投資会社の取締役は緊密な関係にあることが多く︑投資顧問の利益が優先されることによって︑投資会社の株主の利益が害される
おそれがある︒そのため一九四〇年投資会社法第一五条⒜項は︑この二当事者間の契約は︑書面によることを要求し︑最終的には投資会社の株主の承認を受けなければならないと規定している (
︒ 12)
さらに︑同条は︑投資顧問契約の内容についても規制している︒同条は︑投資顧問と投資会社との間の投資顧問契約には以下のことを含むよう要求している︒
①当該投資顧問契約において投資顧問に支払われる全ての報酬についての正確な記載がされていること︒ ②締結される投資顧問契約は︑その効力発生日から︑継続して︑二年以上有効であること︒この場合︑当該投資顧問
契約は︑その継続について︑少なくとも年一回︑取締役会または当該会社の社外議決権証券の過半数の投票により︑承認されなければならないこと︒
③当該投資顧問契約は︑実質的に︑いつでも︑違約金なしで︑終了させることができるようになっていなければならないこと︒これは︑当該投資会社の取締役会の決定︑または当該投資会社の株主総会の過半数決議により︑当該投
資顧問契約を解約できる︒
(一四八二)
独立取締役の役割一三七同志社法学 六一巻五号 ④投資顧問が当該投資顧問契約を譲渡した場合︑当該投資顧問契約は︑その譲渡の発生により自動的に終了すると定めていなければならない︒
投資顧問契約の更新
実際上︑投資顧問と投資会社との間に締結された投資顧問契約を更新するかどうかは︑取締役会の判断が大きく影響するという︒契約条件が株主の利益に適わないものであれば︑あるいは結果としてそのようなものであることが判明し
た場合︑︵その後の株主総会での判断を待つことなく︶取締役会は契約の終了を選択できる︒しかしこのような選択をする取締役会はほとんど考えられないという︒投資会社の投資方針・戦略についての助言やその運営︑専門的知識・人
員・オフィスの提供にいたるまで︑投資会社は投資顧問に依存しているからだという︒
投資顧問契約の更新については︑その更新のために招集された取締役会において︑利害関係のない取締役︵つまり独 立取締役︶の過半数の承認を得なければならない︵第一五条⒞項 (
︶︒ 13)
投資顧問契約の重大な変更
―
投資顧問契約の譲渡と投資方針の変更投資顧問による他の投資顧問への投資顧問契約の譲渡は︑先に述べたように︵第一五条⒜項︶契約の自動的解除原因となる︒したがって︑投資顧問契約の譲渡の実現は︑投資会社の側から見れば新たな投資顧問契約の締結である︒この 場合には︑投資顧問契約の更新と同様︑利害関係のない取締役︵つまり独立取締役︶の過半数の承認を得なければならない︵第一五条⒞項 (
︶︒ 14)
投資会社から︑投資顧問の変更︵つまり契約解除︶をすることは︑前述したようにいつでも可能である︒この場合も︑
(一四八三)
独立取締役の役割一三八同志社法学 六一巻五号
投資顧問契約の更新と同様の手続が要求される︵つまり︑利害関係のない取締役︵独立取締役︶の過半数の承認を得な
ければならない︵第一五条⒞項 (
︶︶︒ 15)
こうした投資顧問契約主体の変更については︑︵年次総会での承認を待つのではなく︶株主の承認がなければ当該契 約は有効にならないとする判例がある (
︒ 16)
もっとも︑現実には取締役会は投資顧問を変更することはほとんどないと言われる︒なぜならば︑投資会社の株主は︑ 投資顧問の評判に基づいて︑投資先となる投資会社の選択をしているからであるという︒したがって︑投資顧問の変更は株主の失望を招く可能性が高いといわれている (
︒ 17)
投資方針の変更は投資会社の性質を変更するものである︒通常︑株主は投資会社の性質︵どのような金融商品に投資
し︑どのようなスタンスで投資を行うか︶に着目して投資すると考えられる︒したがって︑投資方針の変更︵投資会社の性質の変更と言える︶は株主の利害に重大な影響を与える︒そのため︑投資方針の変更には株主の過半数による承認
を得なければできない︵第一三条⒜項︒特に⑶号 (
項る同様に株主の過半数によ承認を必要とする︵第一三条⒜ 合︑も場るる資会社が事業の変更をすこ︶︒とにより投資会社でなくな投 18)
⑷
号 (︶︒ 19)
投資会社の株主への開示
―
議決権行使と独立取締役を中心に (20)
二〇〇三年︑
S E
すbる新規則︵三〇一求―四︶を採択した (C
にーの中オリォフトポ券のそ︑に社会資投証要関はする議決権行使状をう株主に開示するよ況行一社に︑最低年回資︑その議決権会投―︒理管録登︑は四型一b〇三則規 21)
使状況に関する開示をするよう要求している︒同規則は︑特に︑どのように議決権行使をしたかという︑方針と手続に
(一四八四)
独立取締役の役割一三九同志社法学 六一巻五号 ついて開示するよう登録管理型投資会社要求している︒加えて︑同規則は︑管理型投資会社が議決権を行使した対象会社について︑
E S C
つ則は︑投資顧問にいのても別途採択され規様とう株主に公表するよに同要求している︒なおており︑同様の義務が投資顧問に課せられている︒
こうした議決権行使状況を開示させる趣旨について︑
E S C
る大が模規の社会資投︒いはてしを明説なうよの次きくなり︑その保有する株式について︑これを処分するという選択肢を採用する場面が限定的になった︵株価下落を伴うため︶︒それは投資会社による積極的な議決権行使につながり︑投資会社が保有する株式の発行会社に対する投資会社
の影響力は大きくなった︒これは投資会社の議決権行使が︑株価に一定の影響を与えるということでもある︒しかし︑多くの投資会社は依然として︑保有証券についての議決権行使状況を開示しようとしない︒投資会社の適切な議決権行
使が保有証券の価値を維持・向上させるというのであれば︑投資会社がそれについて適切な行動をしたかどうかを監視するために︑投資会社の議決権行使状況を投資会社の株主に開示させるのが適切である︑と (
︒ 22)
E S C
資に︑様々なことを投会よ社に開示するよう義務うるは独︑投資会社の株主が立き取締役について評価でづけている︒これは︑年次報告書︑追加情報ステートメント︵いわゆる
S A on io St at em en t o f A dd iti n al In fo rm at I
︵︶ (︶︑ 23)
取締役選任のための委任状において開示しなければならないものである︒
これは︑取締役会中︑誰が独立取締役で︑独立取締役としてどのような役割を果たしたかを評価するためのものであ
る︒投資会社は︑次の内容を開示しなければならない︒
⑴当該取締役の名前︑住所︑年齢︑
⑵
て位地の在現るいてし有い当おにドンァフ役締取該︑⑶
当該取締役の在任期間と勤務時間︑
⑷
年業職るた主の五当去過の役締取該︑⑸
リ視監が役締取該当ちうのオォフフトーポるす成構をドンァし(一四八五)
独立取締役の役割一四〇同志社法学 六一巻五号
ている数︑
⑹
をおいて取締役しドているかどうかにン当該該取締役が︑当ファァンド以外のフ (︒ 24)
E S
︶︒述章三第︵るす
C
投い採択した︒これにつて則は後︑に年一〇〇二を規資相会社の取締役の利益反るに関する開示は強化すを 投資会社の株主による取締役・投資顧問に対する責任追及の訴え (25)
取締役・投資顧問が︑一九四〇年投資会社法によって課せられた義務に違反した場合︑株主によって訴えられる場合がある︒そのような責任追及は︑投資顧問の報酬に関する同法第三六条⒝項による明示的な私的訴権除いて (
︑裁判所が 26)
黙示の私的訴権を認めることによってなされてきた (
︒ 27)
2
.投資会社の取締役の主な義務 (28)
投資会社は州の会社法に基づいて設立される︒したがって︑株式会社の文脈で言われる取締役の義務は︑投資会社の 取締役の義務でもある (
るいてし ( 関払われる報酬に信するに任義務を規定支問項顧資会社法第三六条⒝は︒︑投資会社から投資投 29)
い投よりも高い注意義務を資義会社の取締役に課して務任社信かし︑これは︑州会法︒上やコモンロー上のし 30)
るわけではない (
明こることをが示したとろでに意味があるというき ( 任とこるえ訴で反違務義信定をしろ︑投資会社の株主が︑同規に︒問者事当の約契顧基資投︑ていづむ 31)
︒ 32)
以下では︑投資会社法およびその規則︵主要なもののみ︶によって要求される投資会社の取締役の義務について述べる︒
(一四八六)
独立取締役の役割一四一同志社法学 六一巻五号 コンプライアンス制度を設ける義務 一九四〇年投資会社法規則三八a―一は投資会社の取締役会に︑書面による︑連邦証券諸法違反を防止することを合 理的に意図した︑方針と手続︵
po lic ie s a nd p ro ce du re s
︶の採択を要求している︒このコンプライアンス制度の採択には︑独立取締役の過半数の承認がいる (︒ 33)
この制度は二〇〇三年のミューチュアル・ファンド業界の不祥事を契機に設けされた制度である︒したがって︑同年の不祥事で判明したミューチュアル・ファンドの不適切行為を特に防止するようとする意図がある︒すなわち︑ポート
フォリオ中の証券の評価︑ファンド株式の価格づけ︑情報漏洩防止︑ガバナンス関係の諸手続︑短期売買の防止などである︒
規則三八a―一は︑投資会社に︑作成した﹁方針と手続﹂を年一回︑その適切性と有効性について︑見直しの機会を設けることを要求している︒
また︑同規則は︑登録投資会社に︑法令順守担当役員︵
C hie f C om pli an ce O ffi ce r
︶を任命することを要求している (︒ 34)
独立会計士の選択
投資会社の取締役会は︑独立会計士︵
in de pe nd en t a ud ito r
︶を選任しなければならない︵第三二条 (のの必を認承す数半過主と株る︵第三二条⒜要 ( ︑は任選のこ︶︒ 35)
要有重に常非が定算の値価の券証価るす有保︑はていおに社会資投︶︒ 36)
となる︒したがって︑独立会計士は︑投資会社がその保有証券の価値の適正な算定を行ったかどうかを監視するために選任される︒独立会計士は﹁監視人のための監視人﹂と言われるのはこのためである (
︒ 37)
(一四八七)
独立取締役の役割一四二同志社法学 六一巻五号
投資顧問に情報提供を要求する義務
前述したように︵本章
定会しと問顧資投の社該定当を者るあ︑﹁は項⒞て常五は規をとこるせさ動行又的︑せさ事従に務職に条一法社会資第
1
新ったあに更変・約更のは契問顧資投︑て.︶取た投年〇四九一︒す果締を割役なき大が役会する契約の条件を評価するにあたって︑通常必要と認められる情報を請求してこれを評価することは登録投資会社の当該取締役の義務であり︑また当該情報を提供することは当該会社の投資顧問の義務である﹂と規定する︒
この条項を根拠に︑取締役会は︑投資顧問契約の評価に当たっては次の要素を考慮しなければならず︑そのために必要な情報を投資顧問に要求しなければならないと言われる (
︒ 38)
①享受しているサービスと比較可能な同種のサービスのコスト ②ファンド資産における総ファンド支出の割合の比較 ③規模の経済を反映した投資顧問料の縮減の可否 ④投資顧問による支出と利益 ⑤受け取った投資助言の質についての取締役会による評価 ⑥投資顧問が投資会社に対して果たしたその他のサービスの質 ⑦運用の内部化の可能性とそのコストについての考察 ⑧報酬に関する取決めの根拠
(一四八八)
独立取締役の役割一四三同志社法学 六一巻五号
3
.投資会社の独立取締役制度 (39)
投資会社法上要求される独立取締役の数的基準
独立取締役と言った場合の﹁独立﹂の意味︵これについては第二章︶や︑その沿革は後に述べる︵第三章︶︒ここで は現在の投資会社法上要求される独立取締役の数的基準について述べる︒一九四〇年投資会社法第一〇条⒜項は︑﹁登録投資会社の取締役会は︑その構成員の六〇パーセントを超える者が︑当該登録投資会社の利害関係者︵
in te re st ed pe rs on
︶であってはならない﹂と規定する (こる解誤ややういと﹂い招て役であるしとををき求用るあがとこるれさ引や・介紹で現表いす要 ( 役締の規定は︑﹁投資会社法は︑取締会︒の構成員のうち四〇%が独立取こ 40)
︒条文の文言をよく見 41)
れば分かるように︑法律は︑取締役会のうち利害関係者が六〇パーセントを超えてはならない︑ということを要求しているだけである︒要は︑独立取締役は四〇パーセント以上であればいくらいても構わないのである︒
C I In ve st m en t I
︵C om pa ny In st itu te
︵投資会社の業界団体であり﹁米国投資信託協会﹂などと訳されることもある︶の調査によれば︑少なくとも取締役会メンバーの七五%が独立取締役であるファンドの数は︑全ファンド︵C I I
の会員ベース︶の八 八%︵二〇〇六年時点の数値︶であるという (のる降以年九九九一べ述に後︑はれこ︒ 42)
E S
もあおいても︑比較的高い水準でっ年た︵四六%︶ことから︑必ずしに六のる政策九影響もあが強︑それ以前の一九化C
スンナバガの社会資投の法令による強制の結果ともいえない要素があることを示唆する︵次項参照︶︒
一定の独立取締役の設置による投資会社の義務の免除
投資会社のガバナンスにおいて独立取締役が一定の役割を果たすことが期待されるのは理解しやすい︒投資会社にと
って︑独立取締役を一定数以上置くことのメリットはそれ以外にもある︒それは︑通常であれば投資会社に要求される
(一四八九)
独立取締役の役割一四四同志社法学 六一巻五号
一定の手続︑あるいは︑禁止されている行為について︑取締役会における独立取締役が一定以上を占めている場合には︑
当該手続は要求されず︑当該禁止行為も許容される︑というものである︒一般に﹁一〇の適用除外ルール︵
te n ex em pt iv e ru le s
︶﹂と言われるものである︒それは︑ブローカー・ディーラーとの関係や︑投資会社の資産を投資会社 株式販売の費用にあてることなど︑投資会社の利害関係や費用に関する事項である (︒ 43)
これは︑投資会社において︑⑴独立取締役が取締役会の過半数を構成している場合︑
⑵
独立取締役が他の独立取締役の選択と指名をしている場合︑
⑶
合顧問である場︑法が条件である務立フ取ァンドの独立締独役の法務顧問が (︒ 44)
利益相反の可能性が大いにあり得る行為であるが︑独立性が十分に確保された独立取締役が取締役会に存在している ことにより防止可能であるという趣旨である (
︒ 45)
投資会社に対して提起された︑投資顧問契約に関する訴訟において︑独立取締役の判断は裁判所によって尊重される 場合がある (
︒ 46)
第二章.投資会社の独立取締役の「独立」の内容 (
47)
一九四〇年投資会社法は明文の規定をもって﹁独立取締役﹂の設置を義務づけている︒すなわち︑同法第一〇条⒜項 (
48)
は︑﹁登録投資会社の取締役会は︑その構成員の六〇パーセントを超える者が︑当該登録投資会社の利害関係者︵
in te re st ed pe rs on
︶であってはならない﹂と定めている (︒ういをとこの役 ﹂害関係者取でない﹁締利の﹁こ資会社の議論で独︒立取締役﹂とは投 49)
この﹁利害関係者︵
in te re st ed p er so n
︶﹂という用語は︑同法第二条⒜項⒆号︵投資会社の文脈における利害関係(一四九〇)
独立取締役の役割一四五同志社法学 六一巻五号 者範囲に関する規定 (
︶に規定されており 50)(
︑大要次のような者をいう 51)(
︒ 52)
①投資会社の関係者︵
aff ilia te d pe rs on
︶ ②自然人である関係者︵aff ilia te d pe rs on
︶の直近の家族︵大体三親等位であると言われている︶ ③投資会社の投資顧問または主たる引受人と利害関係がある者 (53)
④過去二年以内に投資会社の法律顧問︵
le ga l c ou ns el
︶として行動した者 ⑤一九三四年証券取引所法上登録しているブローカーまたはディーラーであって︑投資会社と関係がある者︑ある いは投資会社の関係者︵aff ilia te d pe rs on
︶と関係がある者︵ただし独立性を判断する時点から過去六ヶ月以内という期間の限定がある︶⑥投資会社または投資会社の関係者︵
aff ilia te d pe rs on
︶に対して金銭︵やその他財産︶を貸し付けた者︵ただし独立性を判断する時点から過去六ヶ月以内という期間の限定がある︶⑦過去二年以内に投資会社と重要な関係︑または︑専門家としてサービスを提供する関係があったことを理由に︑
E S te in n so er p ed st re C
係令者すなみと︶命に者より利害が関︵︒ ここで︑﹁関係者︵aff ilia te d pe rs on
︶﹂とは︑同法第二条⒜項⑶号 (d pe rs pe te ilia aff on rs pe aff ilia te d on rs on
し︒とるいて言った場合﹁のし画を関係者︑囲範の︶﹂︵た︶﹂︵者係関﹁の︶﹂ot an he r
︑にその定義があり﹁そこでは誰か他者︵ 54)がって︑﹁投資会社﹂の﹁関係者︵
aff ilia te d pe rs on
︶﹂と言った場合は︑大要次のような内容になる︒ 当該投資会社の社外議決権証券の五パーセント以上の議決権を行使する権限を有する者︒ 当該投資会社によりその社外議決権証券の五パーセント以上の議決権を行使する権限を有する︒(一四九一)
独立取締役の役割一四六同志社法学 六一巻五号
当該投資会社を直接又は間接に支配する者︑当該投資会社に直接又は間接に支配されている者︑若しくは当該投
資会社と共通の支配下にある者
当該投資会社の役員︑取締役︑パートナー︑共同パートナー︑若しくは︑従業員 当該投資会社の投資顧問又はその投資顧問委員会︵
ad vis or y bo ar d
︶の構成員 もっとも︑一九四〇年投資会社法第二条⒜項⒆号は︑但書において︑﹁何人も︑単に以下の場合であることを理由として投資会社の利害関係者︵in te re st ed p er so n
︶とされてはならない﹂として︑その取締役会の構成員︑又は投資顧問委員会の構成員︑若しくは当該投資会社の証券保有者であること︑の親族であること︑と定めている︒
なお︑右のでいう﹁支配﹂とは一九四〇年投資会社法第二条⒜項
⑼ on ol tr C
す︶﹂るあでとこのがる定義号︵配支﹁ (︒ 55)
st te n so er p ed re in 1
︵.﹁者係関害利︶﹂に関するE S C
の見解 一九四〇年投資会社法第二条⒜項⒆号の﹁利害関係者︵in te re st ed p er so n
︶﹂について︑E S
ーョてじ通をのタレ・ンシそク見解を示してきた︑ (C
はア・ーノ間い長︑︒ 56)
ここではもっとも重要とされる第二条⒜項⒆号の規定 (
︑供専門家としてサービスを提すはる関係があったことを理由に︑た︑係関ま 以二の説明でいう︑﹁⑦過去内年︑に投資会社と重要な先 57)
E S pe rs on
す討検ていつる︒﹂者すなみと︶に (C st re te in ed
り命令によが利害係者︵関︒ 58)
一九四〇年投資会社法第二条⒜項⒆号がいう︑投資会社と﹁重要な事業上の関係又は専門家サービス提供上の関 係︵
m at er ia l b us in es s o r p ro fe ss io na l r ela tio ns hip
︶﹂とはどのようなものかについて︑同法は何も規定していない︒し(一四九二)
独立取締役の役割一四七同志社法学 六一巻五号 かし︑立法過程において︑取締役の独立性を損なう可能性のある関係は﹁重要な﹂関係であるとされている (
関う︵以下﹁投資会社等﹂とい︶係に便益がもたらされるような者関の役単に︑投資会社害締取から投資会社やその利 ︒︑合場のこ 59)
係は︑﹁独立性を損なう﹂事業上または専門家サービス提供上の関係ではないという︒なぜなら︑当該取締役は︑そのことによって投資会社等に対して﹁恩義を受けている︵
be ho ld en
︶﹂と感じるわけではないからである (︒ 60)
S E C
にどうかは個別具体的判﹂断するとしているがかうス利タッフは︑取締役の益なと関係が﹁独立性を損 (け合るえ考てしてわ場しにつ二の下いると ( ︑以 61)
︶有らかの地位をすがる︵有していた何役会︒取ていおに等社締資投︑に一第 62)
場合である︒第二に︑取締役が投資会社等との重要な取引に関与している︵関与していた︶場合である︒
第一の場合について
E S C
かて取締役が何らのお地位を有する︵いにスうタッフは次のよに等述べる︒投資会社有していた︶ということは︑当該取締役が投資会社の株主の利益ではなく︑自分自身の利益のために行動するインセンティブを与える可能性がある︒そのような﹁独立性を損なう﹂可能性がある場合は﹁重要な事業上の関係又は専門家サー
ビス提供上の関係﹂であるといえる︒取締役が自分自身の利益のために行動するインセンティブを与える可能性があるかどうかは︑投資会社等において取締役のその地位が有する責任の程度や取締役が受け取る報酬その他の便益の水準に
照らして判断されるという (
い働ネージャーとしてい・ている者︵働いてマオ資リの観点から︑投会︒社のポートフォこ 63)
た者︶は独立取締役になれないという︒なぜなら︑投資会社のポートフォリオ・マネージャーは︑重要な責任を有しており︑相当な報酬を受け取っているからである︵つまり投資会社や投資顧問と﹁重要な事業上の関係又は専門家サービ
ス提供上の関係﹂がある︶︒
E S
︒重を受け取っていなくても﹁要報な地位﹂にあると考えている酬
C
場フネマ・オリォトジーポ︑はフッターャ合すはス相当なる有ーを任責な要重が︑ もっとも︑実質的な判断をするため︑同じ投資顧問によって運用されている別の投資会社で取締役の地位にある者は︑(一四九三)
独立取締役の役割一四八同志社法学 六一巻五号
単にその事実のゆえに︑投資会社等と﹁重要な事業上の関係又は専門家サービス提供上の関係﹂を有するとはされない (
︒ 64)
第二の場合について︑
E S
︒なもかるれさといはれで引取な要重もでしな数もるれさが断判質実でいここ︒るあでらか回複れさと︑
C
数なはで題問は引回のと取︑はフッタいスすり引取な要重もで限る回一︑ちわなす︒ 法律専門家・投資銀行・コンサルタントとしてサービスを提供することや︑事業上の融資または個人的な融資に関する取引︑不動産の売買に関する取引などが︑重要な取引をしたとされる可能性がある (︒ 65)
取締役の投資顧問口座またはブローカレッジ口座が︑投資会社の投資顧問によって運用されている場合︑当該取締役は﹁利害関係がある﹂取締役になる可能性がある (
ビ該ーサの常通るす供提が問顧資投当︑が役締取該当︑に特はれこ︒ 66)
スよりもよい条件で提供を受けている場合には︑その独立性が害されるからである︒このような場合当該取締役は︑株主の利益ではなく自分自身の利益を追求する可能性がある︒
投資会社の取締役が︑投資会社の投資顧問の最高経営責任者︵
C E O
︶が取締役を務めている会社のC E
会資なる︒なぜなら︑当該投会役社の投資顧問は︑当該投資に締取締︑当該投資会社の取役場は﹁利害関係がある﹂合O
るあで社の取締役の当該会社における
C E O
響るあでらかるす有を力影とに位地のそや酬報のてし︒ 取締役が会社を運営している場合︵当該会社に利害を有している場合含む︶であって︑当該会社が投資会社と取引をしている場合︑当該取締役は間接的に﹁重要な取引﹂に関与していると考えられ︑﹁利害関係がある﹂取締役になる可能性がある︒この場合︑その利害の性質や重要性に基づいて判断される︒すなわち︑当該利害により︑重要な経済的便
益やその他便益が取締役にもたらされているかどうかが問題となる︒したがって会社の支配権を有している場合には︑重要な便益が取締役にもたらされていると判断される可能性が高い︒なお︑当該会社と投資会社の間で重要な取引につ
いての交渉が行われただけで﹁重要な取引﹂に関与しているとされる場合がある︵つまり契約締結に至らなくてもその
(一四九四)
独立取締役の役割一四九同志社法学 六一巻五号 ように判断されることがありえるということ︶︒なぜなら︑そのような交渉は取締役の独立性を損なう可能性があるからである (
︒ 67)
2
関基断判の﹂いなの係害.利﹁るけおに例判裁準 投資会社の取締役の独立性は︑投資顧問との実体的な関係の実体によって判断され︑その形式ではない (︑あてはならないというものでるあ︒投資会社の支配者︑関係者っが締は性とは︑当該取係に役︑投資顧問等と利害関 ︒立独でここ 68)
従業員は︑投資会社法上︑利害関係のある者である (
事有ういは︑法が要求する独立性をし実はるあで分十不にてるすといないで (
d on aff ilia te rs pe
会︵かし︑単に関係者役る締取と︒の社︶であし 69)︒ 70)
社外取締役は独立取締役であるという推定が働くが︑これは反証可能な推定である (
高独け取る報酬がいてということは︑受しのはるあで分十不にとるす定否を性立そ ( 投︒締取の社会資役が役締取外社 71)
て投っよに問顧資の一単︑しかし︒ 72)
運用されている複数の投資会社の取締役会に︑取締役として勤めることにより報酬を得ている場合は︑投資顧問によって雇用されていると扱われる可能性がある (
︒ 73)
ある論者のまとめによれば︑社外取締役が実際上独立している︑という推定を覆せるかどうかの判断に際して︑裁判 所は次の一〇の要素を考慮しているという (
名取指はたま択選の役締るよに者事当配支⑴ ︒ 74)
⑶社会的関係
⑵
家族関係の存在⑷
の関の上スネジビ去取過の者配支と役締係(一四九五)
独立取締役の役割一五〇同志社法学 六一巻五号
⑸
る時たしや費が役締取該当け取おにグンィテーミの会役締間⑹
取締役らの年齢⑺
終合度の与関のへ了・投価評・奨推の針方資い⑻
会社業務についての独立した知識⑼
度るす慮考も有保式株︵程取の係関互相の員役︑役締︶⑽実際の支配と活動
第三章.投資会社における独立取締役の役割
―
制度変遷とその背景第一章において投資会社のガバナンスにおける独立取締役の法律上の位置づけと︑独立取締役を置くことの投資会社のメリットについて述べた︒ここでは投資会社のガバナンスにおいて︑独立取締役に期待されてきた役割をみる︒
二〇〇九年現在の一九四〇年投資会社法第一〇条⒜は︑﹁取締役の諸関係︵
A F F IL IA T IO N S O F D IR E C T O R S
︶﹂として︑﹁登録投資会社の取締役会は︑その構成員の六〇パーセントを超える者が︑当該登録投資会社の利害関係者︵in te re st ed pe rs on
︶であってはならない﹂と規定している︒以下この規定が設けられた理由やその変遷をみる︒1
監導役締取立独のてしと関機督営.経―
実事法立と度制の時当法立入 当初上院小委員会に提出された法案では︑一九四〇年投資会社法︵案︶第一〇条は﹁利益相反を伴う諸関係︵A ffi lia tio ns In vo lv in g C on flic ts O f I nt er es t
︶﹂と題した︑次のような規定であった︵下線は筆者が付加した︶ (︒ 75)
(一四九六)
独立取締役の役割一五一同志社法学 六一巻五号 第一〇条⒜ 本法の施行日の一年後において︑登録投資会社は︑以下に該当する者が多数派を構成する取締役会又は執行委員会︵
ex ec ut iv e co m m itt ee
︶を持つことができない ⑴当該登録投資会社以外の会社の関係者︵aff ilia te d pe rs on
︶は ; 又
⑵
ー会社のために︑マネジ投ャー︑投資顧問︑ブロ資録経資常的に︑当該登録投会登社の︑あるいは︑当該ー カー︑又は主たる引受人として行動する者︒あるいはそのような者の関係者︵aff ilia te d pe rs on s
︶︒この規定が設けられた理由は次のとおりである︒本来︑投資会社の取締役会は︑当該投資会社の株主の利益のために投資会社を運営すべきである︒しかし︑取締役が︑当該投資会社の株主の利益ではなく︑自分自身の利益のために行動 することがあり︑それが投資会社の株主の損失につながることを懸念したものである︵実際にそのような事例が多数あった (
投しえることである︒しか︑あ投資会社の業界では︑りも般でのような懸念は︑一事︶︒業会社である株式会社こ 76)
資銀行やブローカーが投資会社を設立し︑運営する︵つまりこれらの関係者が取締役となる︶ことが多かったので︑特にこのような利益相反の可能性が高かったという (
︑証例事たせさ入購に社会資投を券いたし分処が行銀資投︑ばえ例︒ 77)
銀行法を潜脱する行為に投資会社が利用された事例などがあった︵銀行役員は銀行から資金を借りることはできないが︑
銀行が投資会社に貸付を行い︑投資会社が銀行役員に貸付ける︑というスキームである (
︶︒ 78)
このように︑
S E C
問︑取締役が投資顧・し投資銀行・商業銀てとはる︑投資会社におけ不つ正行為の原因の一行と利害関係を有していたことにある︑ということを多数の事例を引き合いに出して証明したのである︒
しかしながら︑一九四〇年投資会社法は︑こうした金融機関が投資会社の取締役と利害関係を持つことを完全に排除 しようとはしなかった︒その理由は︵いくつか主張されているが︶はっきりとしない (
︒ 79)
(一四九七)
独立取締役の役割一五二同志社法学 六一巻五号
こうした制度を採用した理由ははっきりしないが︑投資会社の実態は︑取締役会が投資会社の運営をしているという
よりも︑投資顧問が︵そして銀行などが間接的に︶運営・管理しているという点に求められるのではないかと思われる︒すなわち︑投資会社においては︑﹁取締役会﹂から﹁経営︵業務執行︶﹂の機能が分離してしまっているのが常態︵いわ
ゆる﹁経営の外部化﹂︶であったということである (
︒ 80)
もしも︑取締役会から経営︵業務執行︶が分離していないのであれば︑特に投資会社の取締役会だけを︑﹁利害関係
のない者が相当数を占める取締役会﹂とする制度とする理由がないからである︒つまり︑こうした金融機関が投資会社の取締役と利害関係を持つことよる不正行為というのは必然ではなく︑︵かなり高い蓋然性を持つとはいえ︶潜在的な
可能性にしかすぎないと考える余地もある︒そもそも︑一九三二年の
B er le
とM ea ns
の共著が指摘するように (︑す者の︶利益のために行動る第危険性があるということは三のく外陣が株主の利益ではな自分自身の︵または株主以 ︑営経 81)
株主が分散した株式会社制度に内在する問題である (
ば自なはで益利の身分株自︵務義の来本がく主締るれいてした果を︶すの動行にめたの益利役取れこ︒るあでのるえは の役の連一の会締取の社正資不一行為もそ︒例に過ぎないとも言投 82)
防止可能な問題である︒したがって︑株式会社︵信託形式であれば信託︶制度の問題としてこうした取締役︵受託者︶の義務違反を抑止する方法を探るのが本来のあり方ということになる︒
しかし︑事実として
―
つまり抽象的な理論レベルではなく具体的事例として―
︑金融機関と投資会社の取締役会の間の利害関係を有していた場合には不正行為が行われる可能性が相当程度高いことがE S C
によって多数例証されている︒このことから︑このような利害関係を有していた場合には︑取締役がその義務を果たすことが期待できず︑このことに焦点をあてたより実効的な予防策を採用する必要は理解できる︒そうした理解が︑株式会社制度一般の問題と
はせずに︑投資会社制度固有の問題として手当てすることにつながったのではないかと思われる︒ (一四九八)
独立取締役の役割一五三同志社法学 六一巻五号 法案提出に当たり
S E
レこベルで︶を確保すると会にあると述べている (C
う条︑は旨趣の項⒜〇資一第︑はフッタ投会投の資について一ス独社立性︵取締役行の定︒ 83)
また︑実際問題として︑金融機関の影響を完全に排除することは投資会社の成立・運営の実態を考えれば現実的ではないという指摘もあった︒つまり︑投資会社の運営は︑ある程度外部化されることがやむを得ない現実であったともい
えるのである︒
このように︑投資会社の取締役会から﹁経営︵業務執行︶﹂が分離してしまっているという現実︑そしてそれを是正
することは︵法制度としては︶困難であるという現実︒この二つが
S E
︒たる制度を採用させるに至っ要と因ではないかと推測されるす﹂数当役締取るめ占を会
C
連邦議会︑﹁をしてと利害関係のい者が相な 前述した法案段階の第一〇条⒜項は︑経営者の経営権のあり方と︑独立した者による経営のチェックのバランスをとるため︑﹁本章の施行日の一年後において︑登録投資会社の取締役会は︑その構成員の六〇パーセントを超える者が︑当該登録会社の投資顧問︑投資顧問の関係者︵
aff ilia te d pe rs on
︶︑役員︑従業員であってはならない﹂︵下線は筆者が付加した︶というように修正され︑成立した︒すなわち︑独立した取締役が過半数を占める場合︑経営者の経営権の実 効性が危うくなることが懸念されたのである (︒ 84)
成立当時の一九四〇年投資会社法には現在の第二条⒜項⒆号︵﹁利害関係人の定義﹂︶にあたる﹁利害関係者︵
in te re st ed pe rs on
︶﹂の概念はなく︑﹁関係者︵aff ilia te d pe rs on
︶﹂だけであった︒そして︑独立取締役︵この場合は当該投資会社 の投資顧問︑投資顧問の関係者︵aff ilia te d pe rs on
︶︑役員︑従業員でないもの︶になれる者の範囲も現在よりも広いものであった︒なお﹁関係者︵aff ilia te d pe rs on
︶﹂の定義は制定当時も現在もほとんど変わらない︒(一四九九)
独立取締役の役割一五四同志社法学 六一巻五号
2
報と投資顧問の酬﹂の関係につい性立.正一九七〇年改と独その背景―
﹁て 一九七〇年︑一九四〇年投資会社法の定めるガバナンス機構をより実効あるものにするための改正がなされた (かる係人﹂の定義︶に相当す規害定が設けられた︒このこと関利よ︵﹁一九七〇年の改正にって現在の第二条⒜項⒆号 ︒のこ 85)
らも分かるように︑同年の改正においても︑投資会社の取締役会における利害関係のない取締役の重要性は強調された (
︒ 86)
このことは︑一九七〇年改正に先立つ一九六二年の
W ha rto n
報告書においても指摘されていた (W ha rto n
︒報告書では︑ 87)投資会社の取締役会と投資顧問が対等な交渉力を有していないことから生じる様々な潜在的利益相反の可能性を指摘した︒
W ha rto n
報告書において指摘された問題の一部は︑一九六三年のS E C
別報るす題と﹄究研特にの場市券証﹃るよ告 書においても強調された (のに年六六九一︑はのたいつび結正改法つか細詳りよ︑しかし︒ 88)
E S ca m Im pli tio n of In ve st en oli t C om pa ny G ro w th cy P lic ub P
がたっあで書告報う意含とする社会政い策︵︶﹄ (C
の長成の社会資投﹃︒そこでは︑ 89)
一九四〇年の投資会社法制定以来の投資会社業界の急速な発展により︑様々な弊害が生じ︑投資家を害しているという結論が下された︒投資会社の取締役会に関して言えば︑相変わらず投資顧問の投資会社に与える影響が強大であり︑投
資会社の株主の利益が害されているおそれがあると述べられていた (
︑つ摘指な要重かくしいもてし関にスをたナ機てっよに全不能の︒会役締取︑に特ンバにあ慣行焦点ガをてているが︑ 報の年六業六九一の書告界は︑投資会社︒の販売こ 90)
投資顧問が過大な報酬を得ているのではないかという指摘とそれに対する勧告が大きな波紋を呼んだ︒同報告書は︑投資顧問の報酬は︑投資会社が受けるサービスの対価に比して合理的なものでなければならず︑こうした基準のエンフォ
ースは民事訴訟によって是正される道を設けるべきであると述べたのである︒同報告書に対しては︑不正行為についての具体的事例が適示されていないとの批判もあった︒
(一五〇〇)
独立取締役の役割一五五同志社法学 六一巻五号 しかし︑以上述べた三つの報告書は︑連邦議会をして︑法改正をすべきであるという確信を抱かせた︒ 一九七〇年の法改正は︑投資会社のガバナンスについては︑前述の﹁利害関係人﹂の定義改正以上のことはしなかっ た︒しかし︑投資会社の取締役会が安易に投資顧問の報酬を認めることについて︑その抑止策を設けた︒それは︑投資会社の株主が信任義務違反を理由に︑投資顧問契約当事者の責任を追及することを可能にする条文を設けたことである (
︒ 91)
3
一展の半前代年〇九九ら.か半後代年〇七九一開 一九七〇年の法改正以降︑投資会社のガバナンスに関しては︑投資会社の定義が一九八〇年改正により拡大されたことに伴う技術的修正がされた以外は大きな動きはみられなかった︵ただし一九七五年の第一五条⒡の追加がある (︶︒ 92)
しかし全く動きがなかったわけではなかった︒投資顧問の影響の大きさは相変わらず指摘され続けた︒また︑この時期は︑一九七〇年改正により設けられた明示的な私的訴権をめぐる裁判例が次々と出された︒とりわけ︑取締役会が投 資顧問契約を検討する際︵特に報酬の額が適正であるかどうかについて︶に考慮すべき要因を列挙した
G ar te nb er g
判決 (︒なるあで象対の論議お今たし過経紀世半四︑は 93)
独立取締役の位置づけについて言及した
B ur ks
判決も重要である (取べ立独︑は会議邦連︒た述にうよの次は裁高最︒ 94)
締役を﹁投資会社の運営について独立したチェックを提供する﹂﹁独立した番人の役割﹂と位置づけた︒それゆえ︑独立取締役は︑投資会社の﹁株主の利益に気を配ることについて主たる責任﹂を有する︑と (
︒ 95)
この時期の
E S
いな (C
資い問題視する︑とうげことはしてい投︑て上会つ社のガバナンスにいりて︑これを特には採st ed re te in
て格取締役の資者独を増やそうとする動きも立定︑係︒むしろ︑﹁利害関のたある︵︶﹂者を限っしあ 96)(︒ 97)
もっとも︑一般事業会社については︑社外︵独立︶取締役の拡充を後押しする方針を打ち出していた (
︒ 98)
(一五〇一)