ディカチオ、騙取金による弁済、預金の帰属者、転 用物訴権および直接訴権など』の構成(1)
著者 安達 三季生
出版者 法学志林協会
雑誌名 法学志林
巻 110
号 3
ページ 149‑202
発行年 2013‑02
URL http://doi.org/10.15002/00008590
試論 先取り特権の概念による
﹃価値のレイ・ビンディ
カチオ︑ 編取金による弁済︑ 預金の帰属者︑ 転用物訴
権および直接訴権など﹄ の構成
,,‑...,
一
、.̲/安達 三季生
目次
序説本帥問執筆の筏綿と目的︑例成
第 一 章 総 説 的 考 察
一先取り特権に関する私見の特色
二 術 論 直 緩 訴 継 そ の 他
‑加賀山鋭の紹介と批判
2鈴木様也説の紹介と批判
3平野俗之説の紹介と批判
第 二 殻 各 説 諸 制 度 の 先 取 り 特 権 に よ る 締 成
一金銭の価値のレイ・ピンディカチオ
二 騒 取 金 に よ る 弁 済
三誤振込と収納代行者を用いた鋭帥町
四預金の帰属者と山石原説(以上本号)
五 転 用 物 訴 権
六責任保険における被害者の保険者に対する直接請求権な
らびに腿行補助者責任と使用者責任
七委任契約における先取り特継│附人委託と販売委託
八転貸併における先取り符継 九三而関係における前筏請求縮 十他人物売買と直後請求権 補論三者不当利得論のために
終わりに代えて
以泊先取り特梅山崎念による﹁価悩山レィ・ピン
yf
カチォ︑脇取金による弁局︑熊金山川叩同符︑転刷物密柚ねよび自慢訴権江ど﹂の閉山叫(.){安達}一凶九
法学志休第
= o
巻
第三
号
一 五 O
序 説
本稿執筆の経緯と目的︑構成
わたしは数年前から一昨年にかけて慌込について論文を発表し︿志林百六巻二号・三号・四号︑百七巻一号および百九
巻三
号︒
なお
法律
時報
ニ
O
一O
年六月号にその慨嬰を悩峨している)またその後ひきつづいて口座慌替について見解を組めた(
志林
一
O
九巻三号・四号)︒その過程において︑誤損込に閑辿して︑また取立て代行機関を具えた口座慌智に閲辿して︑そこから生じる︑ある重要な付随的な問題について﹁先取り特権の法理﹂を用いた構成によって解決すること
を試みた︒それは具体的には︑誤振込のときに振込依頼人は︑受取人に対して不当初得返還訴求権を行使するにあた
って︑受取人が鈍行に対して取得する預金的備の上に先取り特掘を行使し得るとする柵成の試みであり︑また口座慌
替のとき︑銀行が代行機関に貸記をした後︑受取人が代行機関に対して取得する資金引渡請求橘の担保のために︑他
の債権者に優先して︑代行機関が銀行に対して取得する預金債権を行使し得るとする試みであった︒
このようは先取り特権の法理を用いた構成については︑とくに振込に閲して前々稿﹁振込の全体的構造﹂でかなり
詳しく説明したが︑その後︑これを根拠づけるための論証や使用すべき条文について︑不十分な処が見つかったので︑
これを補充訂正するためには︑ーー当初は︑それにつづく口座振替論文の中で︑捕説の形で︑とりあげることを考え
たが││むしろあらためて別個の論文の形で論じたほうが望ましいと考えた︒また先取り特権の法理による構成の試
みは︑かなり特異な考えかたであることを自覚することを契機として考察を重ねるうち︑先取り特権の構成は︑前記
のニつの制度の他の︑いくつかの制度についても広く採用し得るのではないか︑と考えるに至った︒それらの制度は︑
これまで他の法理︑例えば不当利得法理などの捜用によって解決が試みられてきたが必ずしも成功したとは言い難い
ような難解なケlスであり︑先取り特樫法理による構成の試みがより望ましい解決を提供しうるのではないか︑と考
えた︒それらは後述するように︑金銭の価値の返還舗求権(価怖のレイ・ピンディカチオ)︑騎取金による弁済︑預金の
帰属音は誰か︑いわゆる転用物訴権また間接代理の形式による商品販売あるいは購入の委託関係等であるが︑これら
の制度についての先取り特権による構成を
l l
詳しく論じれば︑それぞれが一一輔の論文になるような大きなテl
マな
ので︑ここでは
l l
ごく簡単に問題を指摘する程度以上のことはなし得ないが︑取り上げたい(第二章)︒
右のような幾多の個別的問題の考察を進めるにあたっては︑これと平行して︑縄を絢うようなかたちで︑その基礎
にある一般的法理についての考察が試みられた︒不完全ながらその考案をまとめたものを本稿の第一章総論的考察と
して掲げ︑これに関する私見の特色を述べることにした︒そして第二章では前記のような各論的諮問題を取上げるこ
とに
した
︒
なお所調直接訴掘は︑債権の上の先取り特権に近い関係にあるが︑これを巡る優れた研究として︑加賀山教控およ
び鈴木龍也教授の研究がある︒また平野裕之教授による﹁債権者代位権の転用による優先的債権回収制度の研究﹂も
これに迎なる研究である︒以上の研究の紹介と批判を第二百十の二術論で述べる︒これは間接的に︑私見の特色をより
明らかにする溜味をもつであろう︒
本稿で提示する諸制度の︑先取り特権による構成は︑それ自体としては︑筆者の独特な考えによるものであるが︑
いうまでもなく先学の研究から得た示唆と教示によるところが多い︒とりわけ四宮和夫教授の金銭価値のレイ・ピン
ディカチオの研究︑岩原紳作教授の預金の婦問に閲する研究︑加賀山茂教授の鼠控訴掘の研究︑平野裕之教授の上記
研 究 8
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法学志休第一一
O巻第三号
一五
趨んでお礼を申し上げたい︒
なおかえりみると︑本稿で扱うテlマは︑かなり大きなそれであり︑大風呂敷を広げ過ぎていると評されるかもし
れない︒しかも非常に難解な問題たるを失わない︒さらに筆者の見解は︑ある意味では従来の︑この問題に関連する
諸学者の研究の総合をこころみたものともいえるが︑他方では講者の見解は︑従来の諸学説の考えと異なる独自の立
場に立ち︑これを前面に押し出して記述するところが多い︒
これらのことを自覚すると︑本稿の論述は︑資料的裏付けが必ずしも十分でなく︑また本来は︑もっと長い期闘を
用いて熟考を重ねた上で執筆し︑発表すべきだったかも知れない︒このことはとりわけ本稿第一章の一
(私
見の
特色
︑
その
うち
でも
その
2で取上げた︑先取り持続の成立についての訟附はいし定式)についてあてはまる︒しかし私の個人的な他
康上の状況から︑その余裕は与えられなかった︒以上の諸事情が︑本稿の表題に︑敢えて﹁試論﹂の語を冠すること
にした所以である︒
なお本稿の論述にあたっては︑先学の方たちの所説から学ぷところが多いが︑しかし同時に︑読者の立場からの忌
仰のない批判をーーとりわけ法解釈学方体︑論に関辿してーーさせて頂いたところも少なくない︒礼を央するところが
あればお許しを得たい︒ただし学問の世界では︑法体学でもそうであるが︑学聞を進歩させ︑問題の把握を罷めるた
めには︑相互批判が不可欠の方法であることを私は信じている︒卑見に対しても半直な批判をお願いする︒
第一章 総説的考察
先取り特権に関する私見の特色
私見の特色の第一は︑先取り特備の成立する目的物を﹁物﹂に限ることなく︑償栂を含む他の財産槌にも成立
することを砲認したことである︒もっとも従来も︑例外的にではあるが︑債掘の上の先取り特植が会く認められてい
なかったわけではなかった︒例えば民法においても︑不動産賃貸借の先取り特権に関して︑転貸借のなされたとき賃
貸人は賃借入に対する賃料憤掘の担保のために賃借入が転借入に対して取得する賃料債権の上に先取り特極が成立す
るさご四条下段)︑また両法八四二条は運送債権の担保のために﹁米だ受け取らざる迎貨償描﹂の上に先取り特栂が
成立する旨を規定する︒その他︑物上代位の規定さ
δ
四条)の適用によって︑先取り特掘の設定された物の誠失︑襲慣の場合に︑代償物としての第三者に対する損害賠償債権や保険金債権の上の先取り特権が成立することを認めて
いる︒しかしこれは例外的な場合と考えられ︑原則は﹁物﹂についてのみ成立すると考えられた︒したがって後に詳
述するように︑例えば物上代位によって生じる先取り特植の場合︑情描それ自体の上の先取り特権が成立するという
よりも︑むしろ︑先取り特権を有する債権者が第三債務者から取り立てた﹁物﹂の上に先取り特権が成立し︑これを
行使
する
とす
る考
え方
が支
記し
てき
たよ
うで
ある
(詳
しく
は後
述す
る)
︒
なお後に取り上げるフランスの直接訴権の考え方においても︑ベールの﹁価値追求描﹂の考え方においても︑先取
り 特 権
器?
護主 語読
員 口
言 の
5 き 上 8
f 子
5
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5 王立 2
員 2
喜号
号 2
2
俗i
襲
安l!!
五
法学志休
第一
一
O巻
第三
号
一五
回
2
第二の特色は︑先取り特権の成立要件について︑一定の具体的な法則を提示することを試みた点である︒
ア
元来︑先取り特榔は︑甲の乙に対する附慣の発生と乙の財産櫛特に所有備の取得もしくは丙に対する情揃の取
得との聞に︑官接な関連性が認められるときに︑その発生が認められる︒このような極めて抽象的︑一般的な命題を
踏まえた上で︑﹁債権者平等の原則に対する問外として︑公益︑公平または当事者の意思の推測等の政策的理由によ
り︑特殊の償怖について優先的地位を認めるものである﹂とされ︑﹁目的である情務省の財産の租顕によって︑
般
の先取り特橋︑動産の先取り特権︑不動産の先取り特掘に分かれる﹂と説明される(有斐問・新法律学辞典第三版)︒し
かし具体的に如何なる場合に加何なる先取り特権が発生するかは︑もっぱら個別的な規定に委ねられている︒
民法
の先
取り
脇村
織の
鋭定
は従
米︑
制限
列挙
的な
縦定
とし
て解
され
てき
た︒
それ
はこ
の制
度の
歴史
的沿
革に
よる
︒す
なわ
ちこ
の制
度は
﹁個
々的
には
ロ
lマ法およびフランス古法に淵源を有する制度であるが︑フランス民法典は︑これを統一的な飽保物榔として詳細に規定した︒わが民法典はこれにならったむのである︒しかしこの制度は公示のない物槌を認めることになるので︑他の債権
者を害する可能性が多い︒このため︑取引安全を促進しようとする近代法法典は先取り特権に対して否定的であり︑ドイツ・スイ
ス民
訟は
原則
とし
て先
取り
特織
を認
めず
︑若
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場合
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質権
また
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有斐
問・
民事
法学
辞
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上巻
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十嵐
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︒わ
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法学
がそ
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たと
して
も不
思議
では
ない
︒ イ
筆者は先取り特権の規定の適用を︑従来の考えより︑より広く認めようとする志向から︑これら諸規定の類推
適用を提案し︑ひいてはこれらに通じる法則性を(つまり既述したような︑債務の発生と財産権の取得の聞の重要な閲迎性
という傾く仙象的なものよりも︑より具体性をもった法則性を)見出だそうと試みるに至った︿後述怠附)︒もっともこれは
至難の技であり︑せいぜいその手掛かりを得たといえるに喝さない︒それにしてもその際もっとも参考になったのは︑
松岡教授によって紹介されているベlル回目
Z
・の
見解
であ
る︒
彼の見解は﹁価値の追求権﹂に関する一般的な理論を比較法研究を踏まえて提示することを目指すものといえよう
が︑私の見るところでは︑彼のいう価値の追求権とは︑新しい衣装を被せているが︑詰局は先取り特権を指すものに
ほかならないのではなかろうか︒
ドイツ・スイスの民法では既述のように︑法定担保物備としての先取り特幅制度は否定された︒その結果︑
般先
取り特備は廃止された︒しかし動産・不動産のそれについては︑個別的な契約法の規定︿健貸附はど﹀の中で同悌な
役割を果たすものとして︑法定質権・法定抵当植が規定されている(耐火際上重要江差異としては︑ここでは売買代金俄俄
の担保のための目的物の上の先取り特憶がみとめられていないことであろう)︒なおフランスでも戦後一九五五年に民法典の
先取り特権制度に改正が加えられ︑公示の原則との調和が計られるに至ったとされる︒それに対してわが国では戦後
も改正は加えられないままであった︒それについては︑時代遅れとの批判も見られた(前記民事法学静興}︒
ところが近時︑主として弱小伯柿者を保護するために︑特別法による先取り特備の削設が続いていることが指摘さ
れている︒(前記・民事法学務典)︒それはわが国だけでなくドイツ・フランスなどの諸外国においても同様である︒そ
のような特別法の制定の社会的背景としてご九世紀の自由主義が国家的干渉を意味する法定の優先弁詰権を整理す
る方向をたどった後を受けて︑二
O
世紀の社会的法思想が弱小の債権者を保護するために国家による干渉を強化せんとする努力に対応するものなのであろう﹂と説明されている(柏木・高木﹁担保物船法・新版四回目﹂)︒その最近の状況
については︑平野前掲論文﹁俄髄者代位髄の優先的伯揃回収制度への転用‑﹂(法学論策七二巻二・=写四五百以下)に
五頁に亙って今中弁護士によって試みられた分類をより詳細に列挙・紹介されている︒それら特別法は産業法に属す
るものが多く︑また消費者保護の目的で損害賠償債権の履行確保のためのものが多い︒
先述
のベ
lルの論文は││松岡教授の紹介によれば︑ウイルプルグ毛色
5
・ 毛
5 5
・
m
が講演の形で発表した先駆的拭泊先取り符縦の慨をよる﹃題ωレイ・ピンヂィ字才︑制限定よる語︑倒金山富符ぷ刷物訴俗および提訴蝦江ど﹂出足(一)安述}一五五
法学怠体
指一
一
O
品 世 間 期 三 号
一五
六
研究
を受
け継
ぎ発
展さ
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もの
であ
るが
︿詳
細は
松岡
﹁﹃
錨鑑
追跡
説﹄
の展
開と
限界
﹂﹃
法と
民主
主義
の現
代的
課題
﹄三
ニ四
頁
以下参照}││以上のような社会的法思想を背景にした新しい状況に対応するため︑とまではいえないまでも︑それ
が一つのきっかけとなって︑一旦廃止されたはずの先取り特権制度を再生させ︑新しい活力を与えることを目指した
ものといえるのではなかろうか︒
その回田町﹃の論文は︑松岡教授の紹介によれば︑六
OO
買を超える大著であるが︑その主掘の要旨は︑その最後に邦文の形で示されている︒以下に前掲・松岡﹁﹃価値追跡説﹄の展開と限界﹂三三
O
頁以下に訳出された文章をそのまま
紹介
しよ
う︒
﹁﹃財産槌客体﹄が事実上(占有)あるいは物櫛法上(帰属割当)他人の財産に算入され︑その者が客体そのものの︑
あるいは少なくとも価値による返週義務を(ニ当事者関係で)負う場合︑原財産描者はさ一当事者関係で)返還義務者の
一般債権者に対し︑常にこの財産権客体に関する優先掘を有する︒添附によってあるいは法律行為その他によりその
代わりとして生じる経請上の代償物と交換によって原財産極客体が被る客体上の変化とは無関係に︑この優先権は存
続する︒価値追跡のそのような優先は︑原財産桶者がその客体を受傾者の責任財産とする目的で任意に受領者に帰属
を割り当てた(信用を付与した)場合には考慮されない︒価値追跡者に││客体上あるいは価値の上で││由来する財
産櫛客体が返還義務者の下で︑もはやその同一性を識別できない場合には︑価値追跡植は消滅する﹂︒
以上の命題の詳細について︑同論文は具体的に︑かつ比較法的な知見を論証の資料として論述がなされる︒ここで
これを詳しく紹介することは勿論出来ないロただ以上の要約の文章を読んだだけで︑著者が先取り特権一般に通じる
論述をしていることは明らかに理解できる︒例えば物上代位の問題︑また最後に挙げられている同一性の認識可能性
の問題がそうである︒また著者は先取り特権を情翠旬平等の原則に対する例外と考える従来の考え方とは逆に︑冒頭
に掲げているような極く通常に見出だされるような広い範囲の場合について︑
特別の事情のある場合に限って︑例外的に債権者平等を適用しようとしている︒ 原則として先取り特権の成立を認め︑
それは前掲文後段でいう﹁価値追跡
のそのような優先は::::任意に受領者に帰属を割り当てた(信用を付与した)場合には考慮されない﹂とする文言に
も現れていると思う︒ちなみにここでいう︑信用を付与した場合に技当するのは︑消世貸借や通常の消山氏寄託の関係
(雌
u週税金には絞当するが︑当血税金には該当しないと思われる)︑あるいは売買による代金債権と目的物の関係である(ド
イツ
では
︑前
述の
とお
り売
買代
金償
縮担
保の
ため
の先
取り
特備
に相
当す
る法
定質
織や
法定
低当
継は
認め
られ
てい
ない
)︒
そし
て従
来の考え方とは逆に︑債権者平等原則を理論上︑例外的なものとして捉えるところから︑大胆な推測であるが︑先取
り特権という名称自体がふさわしくないものとして︑代わりに価値追求権の語を用いることになったのではあるまい
なお著者は︑以上の提言をすべてドイツ法上認めらるべき解釈論として主張しているわけではない︒ドイツ訟の解 か
択として採用が阻まれる多くの問題点が指摘されている(俗間前鍋コールの﹃価値追跡﹂について﹂側法八九年二ニ巻ニ
号一七九頁以下)︒結局︑解釈論としては︑商法(旧)三九二条二項︑破産法(旧)四六条の類推適用の形で解釈論と
して主張するものもあるが︑多くは立法論として提示するに留める︒従来の民法の体系に対する果敢な挑戦がただち
には受け入れられにくいこと自覚した控え目な態度といえようか︒
田市可の所論に対して松岡教授は全体として支持されている︒
筆者も債権者平等の原則と先取り特権を根底から問い臨す試みとして︑とくに︑わが国の先取り特栴の規定を制限
列挙的に理解することなく︑類推解釈によってその適用範囲を従来よりも広く解釈しようとする筆者の志向を後押し
するものとして││個々の問題に閲しては私の十分に理解の及ばないところもあるが︑││基本的に支持したい︒
以泊先似り符継の慨念による﹃偏似のレイ・ピンヂィカチ才︑嶋収金日よる弁済ーまの帰属材︑保刷物鮮野よび限装織江主の地問時(一}(安述)一五七
法学
士山
林
第一
一
O巻第三号
一五
八
ただし同教授が︑その紹介論文の末尾でつけ加えられている回目
Z e
に対する批判は︑私からは支持しがたい︒それは同教授がドイツで宮写に臨接会われた際に︑﹁返還義務者の債権者が︑価値追跡の目的物を間取した場合︑無条
件に第三者異議が認められるとすれば︑差押債権者の手続的利益が害されはしないか︒この場合には︑第三者異議の
要件として︑債務者の無資力を必要としないか﹂と疑問を提出したのに対して︑回田町吋は︑これを受け容れて﹁債務
者に他に十分な財産があれば︑価値追跡者の価値追跡の利益は顕在化せず︑価値追跡問題の前掲となる利益の賠合が
発生しない﹂との理由から︑この質問を受け容れられた由である(松岡同前純一九
O
頁)︒しかしここでいう価値追跡権を先取り特権と実質的に同じものと理解する私見の立場からは︑この質問には否定的とならざるをえない︒
たしかに抽象的に考えると︑倒務者に他に充分な財産があれば債権者が先取り特権を行使すべき直接的利益はなく︑
当舘先取り特怖が公示されていないことをも考慮すると︑差押附揃者の手続的利請を優先すべきだとも考えられなく
もないが︑﹁他に充分な財産があるかないか﹂の判断は必しも容易でない(依終的に弁済を受けるまではわからない場合
もあろう)ことを考えると差押債権者の手続的利益よりも︑先取り特権を有する債権者の実質的利益を優先させるべ
きではなかろうか︒
そしてこのように解することは︑少くとも︑明文の規定により動産あるいは伯栴の上に成立する先取り特権につい
ては︑わが国の民法の先取り特権の規定の立法趣旨にも合致すると解すべきであろう︒
ちなみに債務者の資力の有無が問題になる他の事例として︑保証人に対する請求は︑主たる債務者に十分な資力があるときは
(具体的には似告︑検索の抗弁備により)据まれる(四五二条四五三条)という関係がある︒この勘合と価値追跡織の場合とを比
校し
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︑保
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債務
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有資
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債務
省の
有資
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松岡
教授
の提
案に
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差し
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えた
他の
一般
債総
者の
手続
き的
利益
が保
護さ
れる
︒具
体的
には
︑
債務省の他の財産に改めて差し押さえることが不必嬰となる︒このように保証人の場合は︑保証債務の履行義務の存否という重大
な問
題に
関係
する
ため
に︑
主た
る債
務者
の資
力の
有無
が重
要な
意味
をも
っ︒
それ
に対
して
価値
追求
権の
場合
は︑
執行
手続
きが
容易
か否
かと
いう
比絞
的に
小さ
い問
題に
関す
る︒
その
ため
に結
局の
とこ
ろ︑
償務
者の
資力
に係
わる
差押
え償
縦者
の利
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無視
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︑債
務省
の資
力の
有無
に関
わら
ず︑
価値
追跡
償者
によ
る第
三者
岡崎
織が
認め
られ
るこ
とと
はる
わけ
であ
る︒
ウ
筆者は先取特権の規定の適用を︑従来の考えより︑より広く認めようとする志向から︑以上紹介したような
図︒寄の掲示する﹁﹃価値追求﹄説﹂を参考にしつつ︑現行法体系の先取り特権制度を踏まえて︑今のところ荒削りで
不十分ながら一つの解釈論としての試見を提示しよう︒
乙の甲に対する俄務負担を生じる事実(意思的行為であると非窓恩的な事実を問わない)と同一の事実によって乙が財
産権︿所有織だけでなく︑第三債務省丙に対する俊樹など)を取得するとき︑甲は乙に対する債権担保のために当該財産
掘の上に先取り特権を取得する︒これが通常の形であり︑
ときはその限りではない︒そのときは︑債権者平等の原則に従う︒売買契約を例にとって説明すると︑売買契約にも 一般的原別である︒ただしそれを妨げる特別の事情がある
とづいて財産楠が甲から乙に移転したとき︑乙の債務負担と同時に乙は財産植を取得するという関係が成立するから︑
わが民法では甲のために目的物の上に先取り特権が発生することが認められる︒しかしドイツではこれが認められて
いない︒その違いが生じる理由は︑わが国では先述の本則にしたがって扱われるのに対して︑ドイツでは︑本則の適
つまり売買契約締結に当たって所有栂留保契約をむすぶなどの方
法を取ることができたはずなのに︑これを敢えてしなかったのは︑ベールの表現だと︑買い主に信用を与え︑債権者 用を妨げる特別の事情があると考えるからである︒
平等の原則が適用されることを意欲したものとして扱い得ると考えられるからである︒このようにして本則どうりに
扱うか︑それとも特別事情があると認めて例外的に扱うかは︑結局のところ価値判断の問題となり︑立法者の意思に
よって左右される︒
器援
り寝
室廷
によ
る﹃
揺の
レイ
・ピ
ンデ
ィカ
チオ
︑関
室に
よ鼻
汽預
金の
留者
︑転
用車
継お
よび
償援
継な
ど﹄
の農
{一
}︿
安途
}一
五九
法学窓林
消費貸借契約の場合︑本則に従えば債権者は︑目的物が別個に保管されて同一一位を維持している限り︑目的物
の上に先取り特掘を取得するはずである︒しかし契約締結時︑担保掘を設定しうる余地があるのにこれを怠ったこと
第一
一
O巻
第三
号
一 六 O
エ
は︑債務者に信用を与え︑債権者平等原則に服する意思があったとして扱うべきことになる︒それに度して純粋に委
託の意思で預金がなされたときは︑同一一世が保持されている限りは︑債権者平等原則に服する意思が存しない場合と
して扱うべきである︒いわゆる決済資金として預金された当座預金について︑このことは当てはまる︒それでは普通
預金についてはどうか︒普通預金は何時でも引き出すことができる点を考慮すると︑当座預金と定期預金の中聞に位
置するものであるが︑当座預金と異なって通常︑利息つきであり︑さらに無利息のときでも銀行に自由な処分権が与
えられているのであるから︑取引観念上︑後者に近い性質をもち︑情植者平等原則に服する意思があるものとして扱
われるべきであろう︒
ちな
みに
一方
で︑
右に
述べ
たよ
うな
︑銀
行預
金が
普通
預金
のと
きと
当座
預金
のと
きと
で︑
異な
った
彼い
がな
され
︑後
者の
ほう
が
預金
者の
保箆
が厚
︿さ
れる
が︑
この
こと
と︑
他方
で︑
金融
機関
の破
綻の
際に
預金
保険
機構
によ
って
なさ
れる
預金
者の
救済
にお
いて
以下
のよ
うな
異な
った
扱い
がな
され
るこ
とと
は︑
広い
意味
では
共通
した
経済
的意
味を
持つ
︑と
いえ
よう
︒す
なわ
ち当
座預
金な
どの
いわ
ゆる
決涜
性預
金は
預金
保険
機櫛
によ
って
金額
の支
払い
がな
され
るが
︑そ
の他
の普
通預
金に
おい
ては
︑‑
定額
を限
度と
する
(詳
細は
﹁預
金保
険法
﹂に
よっ
て規
定さ
れて
いる
︒後
に再
論す
る)
︒
なお消費貸借の場合でも︑貸し主の有効な意思によらないとき(騎取のときなど)︑本則にしたがって︑目的物に同
一性がある限り︑先取り特権が成立する︒以上︑消費貸借や委託︑奪取について述べたところは︑金銭の場合にとり
わけ問題になる︒これについての詳しい説明は後の章にゆずる︒また前稿で扱った誤掘り込みおよび口座撮替えにお
いて収納代行機関が定められている場合についても︑以上述べた本則が︿ここでは乙が取得する財産胞は︑債総であるが)
そのまま当てはまることについても後に詳論する︒
オ
以上述べたように︑本則として︑乙が甲に債務を負うのと同一の事実によって乙が同時に財産掘を取得したと
き︑甲は当該財産の上に先取り特権を取得するが︑しかし先取り特植の発生はそのような場合に隈られるわけではな
ぃ︒それ以外の場合でも︑両者の聞に特別の密接な関係があるときはこれが認められる︒
その重要な場合として︑
a
甲が物を占有し︑その上に留置権の成立している関係が存するときに︑留置権者たる
債権者の保謹を一層強めるため︑例えば旅庖・宿泊の先取り特権一三七条︑運輸の先取り特権一三八条がそうである︒
また
b
甲の乙に対する債権の取得が乙の財産櫛取得と同時ではないが︑その聞に因果関係があり︑乙の債務の負担がなければ乙の財産取得もなかったであろう︑という関係のあるとき︑これに属する崎合として︑極苗または肥料供
給のそれについての三二三条を︑また臨工業労役のそれについての三ニ四条を︑さらに土地の貸し主が賃料情栂確保
のために︑賃借入の占有にある果実につき一三三条︑また物の賃貸人が賃料償措担保のため︑賃借入の転借入に対し
て有する転借賃料債権の上に取得する六一三条を挙げることができよう︒以上のほかにも︑両者に密接な関係がある
として︑法が甲に先取り特権を認めた場合もあるが︑ここでは深く立ち入らないロ
以上の締めくくりとして︑先取り特権の規定は全体として︑必ずしも制限列挙的な規定とみるべきではなく︑場合
によってその類推適用を認めてよい︒個々の規定に共通する一般的な法理を探究し︑それにもとづいて類推適用を招
めることは可能である︒
3
私見の特色の第三として││前述したところと若干重複するが︑││従来︑学説・判例によって確立された
﹁金銭の所有権はその占有者に帰属する﹂との法理を前提にした上で︑騎取ないし奪取された金銭の原所有者甲は︑
占有者たる現在の所有者乙に対してまず債権的な金銭の返還請求植を取得する︒それと同時に︑その金銭が寝取者の
話先
取り
特飽
由自
閉廷
によ
る﹃
置の
レイ
・ピ
ンデ
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チォ
︑周
壁に
よる
弁巧
預金
の帰
属貧
富謀
御お
よび
砥控
訴備
など
﹄の
構成
(一
)(
安連
)一
六一
法 学 怠 休 第 二
O巻
第三
号
一六
‑
一般財産に混入しないで区別されて保管されているときは︑その金銭は物としての性質を有し︑原所有者はその物の
上に︑金銭の返還碕求掘の確保のために先取り特掘を取得する(その理治的根拠は︑2で前注した)︒
分別された金銭が乙の名義で銀行に預金されたとき︑預金債権の上に甲は先取り特掘を取得する︒これは物上代位
の規
定(
三
O
四条
)の
適用
によ
る︒
以上︑騎取金について述べたところは︑委託された金銭を保管するときにもあてはまる︒これについても
2
で前
述
した
4 ︒
第四の特色として︑すでに述べているように︑先取り特権という構成を用いて︑債権者甲︑債務者乙︑第三債
務者丙の関係を説明していることである︒その結果生じることの意味の一つとして︑この榔成は物栂法定主義に度し︑
新たな物植を昭めたことになるのではないかとの疑問が生じるかもしれない︒これについては︑すでに先取り特権の
規定を制限的列挙主義にしたがって定めた規定と厳格に解するべきでないことを論じたところを援用したいが︑さら
に付け加えると︑物権でも解釈という方法で事実上新しい物権が学説︑判例上認められた例はすくなくない︒例えば
土地所有権の効力を定めた相隣関係の規定で︑少なくとも当初は描利濫用法理を用いることによって所有権の行使の
制限を根拠づけつつ︿例えば大判昭和一
0
・ 一
0
・五
民娘
一九
六五
買│
宇奈
月温
泉事
件な
ど)
︑実
際に
は新
しい
相隣
関係
の法
理を承認するに至っている︒また仮登記担当制度も現在では明文の規定によって正式に法恕されているが︑かつては︑
法規の解釈によってこれに近い解決が導入された︒
先取り特権の榔成を用いることは︑凪WFb
骨骨
仙
wf
f小か笹野争意味するとともに︑先取り特描に関する幾多の既成
の規定を適用ないし準用することによって︑
l
│
ひいては槌利質などの約定損保物植の規定を期用することによって‑│具体的な法体関係の処理を可能にするというメリットをもっ︒それは前に紹介したベ1ルの価値追求理論や後述
のフ
ラン
スで
用い
られ
てい
る直
接訴
栂(
これ
は物
の上
の︑
では
なく
償抱
の上
の︑
優先
弁済
織に
閲し
て問
題目
いな
るが
)に
よる
構成︑あるいは後に取り上げる予定の平野教授による債権者代位槌の転用(償櫛の上の優先弁済織に閲する)という櫛
成と比較したとき見出だされるメリットといえるのではないか︒このことは前述1でとりあげた︑私見の特色の第一
点つまり︑物の上の優先弁済掘と債権の上のそれとをともに先取り特権という共通の構成で捉える点と結びつくこと
によって一届効力を発揮しうると思われる︒
というのは︑先取り特権はいうまでもなく法定担保物権であって︑当事者(償栂者と債務者)の聞の合意によらず法
律上当然に成立する︒それに対して動産や債掘の上の質描および不動産の上の質栂や抵当掘は当事者の合意によって
成立する︒しかしその効力の点では基本的に類似するからである︒
5
もっとも法定担保物栂としての先取り特掘は︑不動産上のそれが畳記によって公示される例外を除いて︑物の
上の質樹︑債櫛の上の値描質描いずれも公示方法がないという特色を有する︒このことは先取り特権に質描︑倒楠質
権の規定を類推適用するに当たって詰意する必要がある︒これに関連して︑第三取得者に対する対効力を定めた三三
三条と物上代位に関する三
O
四条
一項
但書
(物
上代
位に
よっ
て生
じる
︑債
務省
の受
くべ
き金
銭そ
の他
の物
に対
する
先取
特権
行
使の
ため
には
︑そ
の払
い渡
しま
たは
引き
渡し
前に
差押
えを
なす
こと
を要
する
)の
規定
も問
題に
なる
︒ ア
三三三条は﹁先取り特植は債務者がその動産を第三者に引き捜したる後はその動産につきこれを行うことを得
ない﹂旨を定めている︒この規定の立法趣旨について︑一般に︑先取り特櫛は﹁物の占有を要件とせず︑かつ動産は
占有以外に公示方法がないから︑第三者はその動産に先取り特掘が付着しているか否かを知らずしてこれを受け取る
のを通常とし︑したがってこのような第三者を保挫し︑取引の安全を図るを目的とする﹂(柏木・高木﹁新版・担保物櫛
法七八頁﹂)と説明されている︒しかし思うに︑取引の安全を図ることが同条の目的ならば︑第三取得者の善意無過失
試筒先取り誌の縫念による﹃震のレイ・ピンデイカチォ︑開預金による弁済1預金の帰属貫録用察権および値襲織などの抽麗(一){安逮)一六一‑一
法 学 志 林 第 二
O巻
第三
号
=ハ
四
を︑少なくとも無重過失を︑要件とすべきであり︑第三所得者の悪意・有過失を債権者が主張立証したときは︑債権
者はその物の.上に先取り特権を行使し得ると解すべきであろう︒同条の文言を条理に則して解釈すればそのような解
釈が要求される︒なおこのような解釈は︑動産の上の先取り特樹についてだけでなく︑償栂の上にそれについても妥
当すべきである︒先取り特植の設定されている倒掘が第三者に譲渡され︑かつ擁護人から第三鍋務者に譲渡の通知が
なされるとされが物の羽合の引き援しに栂当する)︑第三取得者が悪意・重過失のときは債植者は先取り特植を失わな
ぃ︒
(三
O
四条
の物
上代
位の
規定
の解
釈と
も関
連す
る
J
ちなみに道垣内教授は︑三三三条について独特の説を主損される︒それによると﹁先取り特植は︑その設定者たる
債務者にとって営業上︑あるいは生活の継続に必要な物であることが多いから︑債務者に処分植を与えるため﹂だと
される︒しかしはたして︑他の一般財産と比べて特別に扱うほど重要なものといえるか︑疑問である︒第三取得者の
善意思意を問わない同条の文言に忠実に沿った解釈ではあるが︑荷担しえない︒
︿な
お三
三三
条の
立法
趣旨
に関
して
︑第
三者
への
譲渡
によ
って
︑債
務省
は通
常︑
買い
主た
る第
三者
に対
する
代金
債権
を取
得し
︑債
権
者は物上代位の規定さ=三条﹀によりこの上に先取り特織を取得するから︑物の上の先取り特槌が︑引き渡し︑払い渡しによっ
て消
滅し
ても
俄術
者に
とっ
てと
くに
不利
益に
なら
ない
︑と
解す
る税
も考
えら
れる
︒た
しか
に売
買に
よる
移転
の濁
合に
は適
合す
るが
(も
っと
も三
O
四条一項但彼の制約を無視できないてしかしたとえば贈与による移転ゃ︑債務の支払いに代えて移転のなされる場合に
はあ
ては
まら
ない
︒し
たが
って
充分
な説
明と
なら
ない
J
物上代位に関する三
O
四条一項但し書き﹁但し︑先取り特権者はその払い置しまたは引き麗し前に差押えを為すことを要す﹂は本来は︑第三者に対する損害賠償債権などの代償物に変ったときに適用されるのが建て前であるが︑
これはこの制度の目的とされているところに照らしても︑先取り特栂が当初
‑ p v
物の上にでなく債栴の上に成立した
イ
ときにも適用されるべきであろう︒同条の目的については一般に︑﹁(代位の効果発生した代償物が金銭倒槌の場合に
ついて)もし金銭が支払われた後でもよいとすると︑金銭が債務者の一般財産中に混入して見分けが付かなくなった
場合でも権利を主強できることになり︑結局債務者の一般財産から優先弁済を受けると同様になるであろう﹂(我
妥・
有泉
・川
井︑
民法
一総
則・
物権
法四
O
三頁)と説明される︒判例も﹁物上代位の対象である債掘の特定性が保持され︑これにより物上代位掘の効力を保全せしめるとともに︑他面第三者が不測の損害を披ることを防止するところにあ
る﹂
(最
判昭
五九
・ニ
・二
︑最
判昭
六
0
・七
・一
九﹀
とい
う︒
以上述べたような通説の考えからすると︑もし第三債務者丙が乙に支払った金銭が分別管理容れていたとすると︑
その金銭の上に甲は先取り特植を行使しうることになるはずである︒
しかし翻って考えてみると︑以上のような考え方は︑第三債務者から取り立てた物の上に先取り特権を認めようと
する考え方であり︑先取り特権は物についてのみ認められるとする固定観念に拘泥しているのではなかろうか︒筆者
は︑この規定の本来の沿革と離れるかもしれないが︑また特異な見解と見られるであろうが︑乙が丙に対して取得す
る債権の上にいわば直接に︑甲は先取り特権を取得するとの立場から
l
│
債権質掘の設定と異なって乙から丙に対する通知を必要とせずに先取り特権が成立することに鑑み
ll
丙を保護するための規定と解したい︒すなわち甲あるい
は甲以外の一般債権者たる甲ダッシュが当該債楢を差し押さえることによって︑丙は︑乙にあらざる者が乙の丙に対
する憤掘について取り立てる槌利を有すること︑したがって丙は︑乙が有効な支払い受傾者でないことを確実に知る
に至る︒したがってもしその以前に︑丙がこのような事情を知ることなく乙に支払ったときは︑その支払いは普意の
支払いとして有効となり︑丙は乙に対する債務を免れることができると解しうる︒それでは甲もしくは甲ダッシュか
ら差し押さえられた場合でなくても︑丙が確実に︑乙への支払が禁じられていることを知ることは有り得ないであろ
H伺
説先
取り
持織
の霊
山に
よる
百也
のレ
イ・
ピン
ヂィ
均チ
ォ︑
羽取
金に
よる
弁済
︑預
金の
帰属
貫録
周幼
訴権
およ
び也
提訴
憾な
ど﹄
の抽
設(
一)
(安
幸一
六五
豊 玉 体
うか︒箪者は︑乙から丙に対して︑甲が優先弁済備を有していることを︑いいかえれば丙の乙への支払いが無効とな
第一
一
O巻第三号
一 占 ハ 占
ハ
ることを通知したときも︑同様に扱うべきだと考える︒ここで注意すべきことは︑乙からの丙への通知であり︑甲か
ら丙への通知ではない︒それはあたかも︑債権質の設定の場合︑設定者たる債務者から第三債務者丙に質橿設定の通
知をすることによって丙に対抗することができ︑質権取得者たる債権者甲から丙に通知したのでは︑丙に対抗できな
いのと同様である(もっとも両者を比絞した湖合︑償織質継投定では︑通常︑乙が甲から融資を受けるという利益を得る代わり
に︑
乙か
ら丙
への
質継
投定
通知
がな
され
るの
であ
るが
︑他
方︑
債継
の上
の先
取り
特惜
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は︑
すで
に乙
が甲
に債
務を
負怨
して
いる
のだ
から
︑乙
が丙
にそ
の設
定通
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なす
メリ
7 F
は︑
乙に
とっ
て通
常は
存在
しな
い︒
した
がっ
てこ
れを
促す
動機
付け
に乏
し
いJ︒なお甲もしくは甲ダッシ品からの差押えは︑民事執行法一四五条により︑甲から丙への単純な通知には認めら
れていない︑強い効力を有し︑丙に︑乙への支払いをなしえないことを砥知させる効力を有することはいうまでもな
ぃ 。
ウ
以上のように︑甲の乙に対する債権担保のための乙の丙に対する債権の上に先取り特権が成立する場合におい
て︑甲もしくは甲以外の債権者甲ダッシ品による当該債権の差押えや︑乙が丙への通知のほかに︑丙の乙への支払い
を差止め︑その支払いを無効とする方法はないだろうか︒筆者は︑甲から丙への単純な通知ではなく︑甲の先取り特
掘の取得を証明する確実な曹面︹例えば公正証書による密面)を甲が丙に提示して︑通知し︑また弁済を請求すること
によっても︑なし得ると解するべきだと考える︒このことは民事訴訟法一五四条一項が﹁文書により先取り特権を有
することを証明した﹂債栂者甲は︑配当要求して︑差し押さえたほかの債権者甲ダッシュに優先して弁済を受けられ
る旨を定めていることと整合的と考えられる(いうまでもなく差し押さえた他の僚樹者に対して優先的に弁済を受け得ること
は︑
他の
償栂
省か
らの
差押
えが
ない
とき
に︑
自ら
丙に
硝求
して
弁済
を受
け得
るこ
とを
前鑓
にす
る)
︒
それでは申が配当要求することなく丙から他の債権者甲ダッシュに弁済されたとき︑あるいは丙が乙から頼まれて︑
乙に払う代わりに直接に甲ダッシュに支払ったときはどうか︒原則として丙の甲ダッシ品に対する弁済は有効となり︑
丙の乙に対する債務および乙の甲ダッシュに対する債務は消誠し︑甲の乙に対する無担保の債権が残ることになると
解すべきであろう︒
もっともここでとくに銀行取引の場合︑手形法四
O
条三
項の
m m
が問題となる︒すなわち申が
m ‑
ダッシュに優先して弁涜を受けるべ
き地
位に
ある
こと
(言
い抽
問え
れば
甲ダ
ア
Y旦は弁済を受けるべき地位にないこと)を容易に証明しうることを知りながら︑もしくは重過失によって知らずに︑丙が甲ダッシュに弁済したときは︑その弁涜は無効となる(丙から乙に支払ったたときも同線の
問題を生じる)︒その征明の仕方は具体的には︑甲と乙の聞の関係によって異なるのは当然である︒例えば乙が甲から窃取した金銭を銀行に自己の名で預金したときについていえば︑甲が警察に聞け出て警察の銅貨が開始していることを丙が知・りされているこ
とが︑また甲から頼まれて甲ダッシュが預かった金銭を丙銀仔に甲ダッシュの名で預金したようなときは︑甲と甲ダッシュの間の︑
然るべき方式を備えた寄託契約書(預かり証)などが丙に提示されることがその証明方法となろう︒
エ
終わりに付け加えると︑以上の議論は︑伎に取上げる︑完全直接訴慣と不完全直接訴栂︿およびそれに伴う償愉
の上の先取り特権)の区別のうちの︑不完全直接訴権の場合を想定する︒完全直接訴権︑例えば︑自動車損害賠償保険
法における︑被害者の保険者に対する直接請求権のようなときには︑被者者の加害者︿すなわち保険契約者)に対する
損害陪償舗求髄の発生と同時に︑被害者の保険者に対する直接舗求栴が発生するとともに保険者の保険契約者への保
険金支払いは禁じられ︑その支払いは無効となり︑他の債権者に優先して弁済を受けうるからである︒
氏泊
先取
り躍
の恒
念に
よる
詔紐
のレ
イ・
ピン
ディ
カチ
オ︑
捜含
よる
語︑
矧金
損盟
会期
躍お
よび
凶器
織さ
﹄の
叫援
会}
︹安
述こ
六ヒ
法学志林第一一
O巻第三号
一六
八
柑 i
論 直 接 訴 楢 そ の 他 1
加賀山説の紹介と批判
直接
訴権
(田
n z o
ロ島
町市
n g )
とは元来フランス民法で認められた観念である︒従来わが国でもその紹介と研究が幾多
た主体ま の
判 に 例 よ よ て
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の 「債 直
樹 接
者 訴と 栂
富 良
閲 制
辿 定を 法
持つ債務者の第三債務者に対する債権を自己の名でかつ自己の描利として︑第三債務者に対して行便しうる描利のこ
とで
ある
﹂(
民法
六一
三条
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鑓訴
他日
江S
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ng
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大法
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O
ニ号一
九七
七年
八七
頁﹀
︒
この観念が私の考えている︑倒栂の上の先取り特描と関迎性が強いことは︑容易に推察されようが︑フランスでも
この制度の性質に関して︑これを先取り特栂の性質を有すると解する説が有力である︹但し反対説もある︒後述する﹀︒
ところで直接訴掘に対立する観念は間接訴横目丘
B o z ‑
a o
であるが︑これは債権者代位植を指すものとされる(同八八頁﹀︒さて直接訴掘に該当する具体的事例について説明すると︑これは不完全直接訴描
S E S
島町
民
z
宮 ﹃
g
E Z
)
と完全直接訴梱
p a s h
凶宮
内官
官三
区仲
間的
)に
分か
れる
︒前
者の
例と
して
挙げ
られ
るの
は l
賃貸人の転借入に対する直接訴描︿フ民法一七五三条)
2
建築工事の労働者の桂文者に対する直接訴権(フ民法一九九四条)
3
委任者の復受任者に対する直接訴権(フ民法一九九四条)
4
勝訴当事者の代訴士の相手方当事者に対する直接訴植(フ民法一三三条)
後者の例として挙げられるのは︑
事故の披笹者の責任保険会社に対する直接訴描︹一九
= δ
年二三日の法律五三号)
2
為替手形の所持人の引受人または裏曹人︑振り出し人に対する直接訴極(フランス商法典士一六条二項︹手形法二
八条
ニ項
)一
五‑
条(
手形
法四
七条
) 3
建物の承継所有権者の︑不動産の建築売り主に対する直接訴権(フ民法一六四七条の一)
なお不完全直接訴権は﹁債権者の権利行使によって初めてその効果を生じるものであり︑フランス民法典に根拠を
置く伝統的な直接訴植がこれに属する︒これに対し︑完全直接訴権は債権の発生と同時にその効果が生じるものであ
り︑保険法上の直接訴掘がその典型である︑とされる(同九
O
頁 ) ︒
それぞれの効力の違いに閲して︑さらにつぎのように説明される︒不完全直接訴掘の場合は︑直接訴描行使の時初
li め
6 宝五 議
笛 描 出窓
償 力 喜 Z
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2
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宅日
償 え
権発生と同時に債務者に弁請することが禁じられる︒(一般的にいえば︑直接訴権発生後︑前者に生じていた事由についても︑
直接
訴織
行使
者に
対抗
でき
る︒
﹀
この違いの生じる理由を私の立場から捉えるならば︑両者とも公示方法を伴わないことを前提にして︑不完全直接
訴掘では︑情栂者が第三債務者に対して直接訴植を行使してはじめて第三債務者は直接訴権の存在を確実に知るに至
るのが普通の場合である︿なお私見では前述のように︑行使の方訟をやや広く解する﹀︒そこでその前に第三債務者がなし
た行為は普意でなしたものとして扱われ︑その弁済︑契約解除︑相殺などは有効になされたと見なされる︒それに皮
して完全直接訴権の場合は︑その具体的な事例からも明らかなように︑債権の上の先取り特描の存在が償描発生の当
初から︑第三債務者に確実に知られている場合である︒
試論先取り持砲の続訴による﹃錨自由レイ・ピンディカチオ︑騎取舎hよる弁済︑預金町帰属賞伝用物訴徹および飽接訴継匂ど﹄の悌成(一){安途}一占ハ九