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個別栄養指導のスキル学習における効果的な教育方法の検討 一客観的対人面接試験 ( os c E 評価方式)の検討‑
Exami nat i onofEf f e c t i veEduc a t i onMe t hodsi nt heSki l lSt udyof l ndi vi dualNour i s hme ntGui danc e
‑ Exami nat i ono fObj e c t i vePe r s onalI nt e r vi e ws‑
(2006年3月31日受理)
北島 葉子 川上 祐子 小宮 山展子 久保 田 恵 川上 貴代 YokoKltaJlma YukoKawakaml NobukoKomiyama MegumiKubota TakayoKawakami Keywords:栄養指導,客観的臨床能力試験,スキル学習
要 約
客観的臨床能力試験(OSCE)は医学部など医療系大学や医師の研修に取 り入れ られている。われわれは臨地実習を目前 にした学生を対象に医療面接,食生活調査聴 き取 りを実施 し,具体的項 目を用いて評価 し得点化 した。終了後直ちに, 患者側か らの印象,観察者の評価等を学生にフィー ドバ ックした。また試験終了後,学生に試験を受けた感想 をアンケー
ト形式で記入 してもらった。
客観的臨床能力試験(OSCE)を実施 した結果,学生の認識度,実践力を把握す ることができ,今後の講義 ・実習の改善 点が明 らかになった。 さらに,学生か らも,臨地実習前にす ることは勉強になるとい う意見が多 く,本試験を実施す る ことが管理栄養士養成における教育上有用であると示唆 された。
研 究 目 的
平成17年10月からの介護保険制度の改定をは じめ,平 成18年4月か ら病院等医療機 関においても,患者個々に 応 じた栄養管理が重視 されるようになってきた。栄養ア セスメン トを行い,栄養ケアプランを作成,実施 し,そ のアウ トカムが評価 されてお り,管理栄養士の手腕が問 われている。 さらに健康 日本21,食育基本法など管理栄 養士が住民 と接 し,栄養改善を行 う際にも,個人の特性 に合わせた教育,指導が望まれる。 このような個人指導 の現場において,指導者は指導回数や経験年数を多 く重 ねることで,観察力,知識量を充実 させ,遭遇す る具体 的問題点を導き出し,対象者 に応 じた解決を試みること ができる。
しか しながら,管理栄養士は他の医療職種に比べ臨地 実習の期間が短 く,個別の栄養指導に関 しては受け入れ 施設により実習内容の差が大きく,見学のみで実際に指
導できる回数はほとんどない とい う施設が多い。多 くの 管理栄養士養成施設は附属病院や施設 を持たないことか ら,実質的な教育を受ける場を得 ることが困難であるこ とが問題 として挙げ られ る。また,これまでの大学のカ リキュラムの中では,講義による解説や学生同士による 管理栄養士 と患者のロールプ レイにより栄養指導の経験 を持つ程度にとどめられ ることが多 く,その内容 を評価 することは困難であった。 このような現状を うけて個別 面接の技法を客観的に評価す るシステムの確立がこれま での教育課程に必要 となっている。そこで,個別対人指 導の訓練の一つ として客観的臨床能力試験を学生に実施 す ることが有効であるかの検討を行 う。
客観的臨床能力試験 【ObjectiveStructuredClinical Examination ;OSCE(オスキー)】の特徴 は,学生が司り 練を受けた模擬患者 に対 して医療面接 を実施 し,試験官 は学生 と模擬患者 とのや り取 りを観察 し,「何を
」
「どの 程度」聞き取ることができたかを点数方式で評価 を行 うこ とで あ る。試 験官 が あ らか じめ設 定 した評価 表 の チェック項 目に従って,学生側 に直ちにフィー ドバ ック す ることが可能になる。 このよ うなoscEシステムは,日 本では
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年 に伴 らによって川崎医科大学で基本的臨床 能力の評価法 として初 めて導入 され 1),その後医学部な どにおいて医療系大学機 関や医師の研修 において取 り入 れ られている。本学科においても管理栄養士課程の1期 生か ら導入 してお り,上記のよ うな現状が改善 され る教 育効果が期待 され る。OSCEの利点は,第‑に臨地実習の機会が少ない学生に とって,対象者 との良好な関係 を築 くことの重要性 を認 識できることや,対象者 に接す る際の対人マナーの習得, サー ビスの提供者 として栄養指導に従事す る自覚を持つ
ことができることである。第二に,栄養指導において必 要な情報を限 られた時間内に十分に収集する技術を養 う 訓練の場 となることである。また,そのために科 目間の 知識の統合能力の強化,専門知識 を深 めるための学習の 動機づけになるな どの効果が予想 され る。
対 象 と 方 法
1.対 象
対象は中国学園大学現代生活学部人間栄養学科に所属 す る3年生 とした。実施 に際 しては,3年次の臨地実習 前を目安 として,主な専門基礎分野 (社会 ・環境 と健康, 人体の構造 と機能 ・疾病のな りたち,食べ物 と健康)お
よび専門分野 (基礎栄養学,応用栄養学,栄養教育論, 臨床栄養学,公衆栄養学,給食経営管理論)の科 目を履 修 した者 を条件 とした。
2.実施要領
OSCEでは模擬患者 と観察者 を主な役割 とした。実施に 際 して模擬患者はあらか じめ演技 と応答を標準化 し,規 則 に従って行動す ることを条件 とした。従って,複数の 患者役が試験 に携わる際に悉意的にな らないよ うに事前 に訓練を行った。
観察者 は評価項 目を記 したチェ ックシー トに従 って, 学生1人につ き制限時間内 (5分間)に行われたや りと
りか ら行動の評価 を行った。以下の場面を設定 し,具体 的項 目を用いてチェックし,得点化 した。終了後直ちに 評価設定 と患者側か らの印象,評価等のフィー ドバ ック
を学生に行った。試験終了後,試験 を受けた感想 をアン ケー ト形式で学生に記入 させた。
3.課題 と評価項 目 (1) 医療面接
医療面接では,患者 として検診時尿糖 (2+),空腹時 血糖
1 3 2 m g / d l ,H b AI c 6 . 8
%, 自覚症状 (+) を設定 し, 検診後の要指導者 として病院内科外来初診 時の栄養指 導の場面設定を行 った。学習者 には5分間以内に栄養指 導時に必要な事項 を問診 によ り聴 き取ることを課題 とし た。評価には観察者用 と模擬患者用の2つの評価 シー トを 用いた。観察者用評価 シー トには,マナー,患者‑の配慮, 話 し方,共感的態度の面を評価す る 「イ ンタビューの過 程」 (11項 目) と,医師の指示 内容の確認,患者 の病気
‑の理解度,栄養指導歴 とその内容 を聴 き取れたかを評 価す る 「情報収集」 (6項 目)の評価項 目を設 け,点数 化 した。模擬患者用評価 シー トは,マナー,患者‑の配慮, 話 し方を評価す るための11項 目の評価項 目を設 け,点数 化 した。
(2) 食生活調査聴 き取 り
食生活調査聴 き取 りでは,あ らか じめ患者 に記入 して もらった食生活調査票 をもとに必要な事項 を5分間以内 に聴 き取 ることを課題 とした。主食 の分量,副食の量, 噂好飲料,間食,油 ・調味料の記入 もれ,家族の人数, 調理担当者,アル コール,外食の頻度等の確認 を行った かを観察者が評価 した。今回の食事調査票の内容は,
朝食 :トース ト,コー ヒー,バナナ 昼食 :きつね うどん
間食 :ケーキ,オ レンジジュース
夕食 :ごはん,焼き魚,おひた し,きんぴ らごぼ う とした。評価 には観察着用評価 シー トを用い
,1 3
項 目の 評価項 目を設 け,点数化 した。 また,学生が調査票 の 項 目のどこまでを聴 き取 ることができたかを評価するた め,到達度 とい う評価基準を設定 した。到達度の評価基 準は 「夕食まで聴 き取れた人」を3点, 「昼食 まで聴 き 取れた人」を2点,「間食まで聴 き取れた人」 1息 「ばらば らな聴 き取 りの人」を0点 とした。
17 個別栄養指導のスキル学習における効果的な教育方法の検討
結 果
(1) 医療 面接 (観察者評価)
総合得 点 で は,18点満 点 の うち,10.0±2.3点 で あ り 達成度 は55.6±12.8%であった。その うち 「イ ンタ ビュー の過程」では,12点満 点の うち,7.3±1.2点で あ り達成 度 は60.9±9.9%であった。 また, 「情報収集」では,6 点満 点 の うち,2.7±1.6点であ り達成度 は45.2±26.9%
であった。
得 点結果 (表1) として, 「自己紹介 を した」の項 目 を達成 した人 は100.0%で, 「挨 拶/患者 の名 前 を確認 し た
」
「聞 き取 りやすい声の大 き さだった」
「イ ンタ ビュー全体 の流れ (印象)
」
「視線 を向 けた」
「患者 が話やす い よ うに配慮 した」の項 目を達成 した人 は90.0%を超 えた。一方, 「後 半で要約 を述べ,確認 した
」
「質 問 したい と思 うこ と,食事 について疑 問,不安 に思 うこ とはないかを 尋 ねた」を達成 した人 は5.0%以下 に とどまった。表 1 医療面接の評価項 目と採点結果
評価項 目 しなかつた人 (%) した人 (%)
イ ンタ
どユl の 過
荏 1 挨拶/患者の名前を確認した 1.6 98.4
2 自己紹介をした 0.0 100.0
3 患者が話ができるように配慮した 9.8 90.2
4 視線を向けた 6.6 93.4
5 聞き取りやすい声の大きさだった 3.3 96.7
ー6 分かりやすい言葉を用いた 27.9 72.1
7 受療行動を尋ねた(前医) 21.3 78.7
8 後半で要約を述べ,確認した 96.7 3.3
9 共感的理解の態度を示した 77.0 23.0
10質問したいと思うこと、食事について疑問、不安に思うことはないかを尋ねた 96.7 3.3
llインタビュー全体の流れ (印象) 1.6 95.1 3.3
情 戟収
集 12医師にどういう説明を受けてきたかを確認した 32.8 67.2 13自分の状態を理解しているか確認した‑ 49.2 50.8 14 13を具体的に聴いた 75.4 24.6 15栄養指導を受けたことがあるか尋ねた 62.3 37.7 16 15の内容を聴いた 34.4 65.6 17 15の程度を聴いた 68̲9 31.1 評価項 目目については不可、可、良の3段階を表す。
(模擬 患者評価)
総合 得 点 で は,21点満 点 の うち,12.7±1.9点 で あ り 達成度 は60.7±9.2%であった。
得 点結果 (表2)として, 「マナーや言葉遣 い は適切 であった
」
「言葉 の早 さは適切 であった」の項 目で 「良」と評価 され た人 が80.0%を超 えた。 「質 問が ない か確認 して くれ た
」
「自分 の話 をちゃん と聴 いて も らえた」
「話しやす い工夫, 開い た質 問 を した
」
「自分 の話 を正確 に 理解 され た と思 う (確認 ,要約 ,話 の内容 な どか ら)」
「こ の次 もこの栄養士 に話 を したい」の項 目で 「良」 と評価 され た人 は5.0%以下 に とどまった。 その うち, 「質 問が ないか確認 して くれ た」の項 目を 「不可」 と評価 され た 人 が95.0%で あった。表2 医療面接の評価項目と採点結果 (模擬患者評価)
評価項 目 不可 (%) 可 (%) A(.%)
1 マナーや言葉遣いは適切であった仕草、姿勢、動作は適切であった 0.0,00 1598..00 82.41.00
言葉の早さは適切であった 0.0 18.0 82.0
2 自分の話をちゃんと聴いてもらえた ll.5 85.2 1.6 うなづきゃ視線、間を持って話せた 3.3 83.6 13.1 話しやすい工夫、開いた質問をした 13.1 85.2 1.6
自分の話を遮らなかった 0.0 67.2 32.8
質問がないか確認してくれた 95.1 4.9 0.0
3 自分の話を正確に理解された阜思う(確認、要約、話の内容などから) 9.8 88.5 1.6 4専門用語を用いず分かりやすい言葉だった 0.0 39.3 60.7
(2) 食生活調査聴 き取 り
総合得点では,21点満点の うち,6.81±2.83点であ り 達成度 は32.4±13.5%であった。
得 点結果 (表3)として, 「晩 (ご飯) の分量 の確認 を した」の項 目を達成 した人は70.0%を超 えた。 「油 (き んぴ らごぼ う) の記入 もれ を指摘 した」「家族 の人数 を 確認 した」「アル コールの確認 を した」「規則正 しく3食 食事 を してい るか確認 した」の項 目を達成 した人は5.0%
以 下 に とどま った。 そ の うち, 「′ 油 (きんぴ らごぼ う) の記入 もれ を指摘 した」「家族 の人数 を確認 した」の項
目を達成 した人は0%であった。評価項 目の うち「朝 (パ ン) の分量 の確認 を した」「昼 (うどん) の分量の確認 を した」「晩 (ご飯)の分量の確認 を した」「副食 (焼 き魚) の量 を確認 した」については,フー ドモデル を使用 した か どうかを評価 したo用意 してあったフー ドモデル を用 いて聴 き取 りを行 った人 は, 「朝 (パ ン) の分量の確認 を した」 の項 目で35.5%, 「昼 (うどん) の分量 の確認 を した」の項 目で0%,「晩 (ご飯)の分量の確認 を した」 の項 目で51.6%, 「副食 (焼 き魚 ) の量 を確認 した」 の 項 目は22.6%であった。 また,評価項 目の うち 「バ ター, ジャムの確認 を した」「コー ヒー の ミル ク,砂糖 の確認 を した」については,両方確認 できたか どうかを評価 し た。 両方確認 できた人は 「バ ター,ジャムの確認 を した」
の項 目で45.2%,「コー ヒーの ミル ク,砂糖 の確認 を した」
の項 目で48.4%であった。 さらに,食生活調査聴 き取 り は どこまで行 えたか ど うかを評価 した。昼食 まで聴 き取 るこ とがで きた人 は9.7%,夕食 まで聴 き取 るこ とがで きた人 は67.7%,朝食 ・昼食 ・夕食 ・間食 と順序良 くで はな く,ば らば らな聴 き取 りを した人 は22.5%であった。
(3) OSCE終了後アンケー ト
OSCE終了後,学生 にア ンケー トを実施 した結果 (図1) か ら,設問1「今 まで講義や実習等で今 回の課題 につい て学んだ事があ りますか」 について 「ある」と答 えた人 が医療面接 では68.9%,食生活調査聴 き取 りでは79.0%
であった。設 問2「試験時間は十分で したか」 について 医療 面接 では 「余裕 が あった」「丁度 良かった」 と感 じ た人 が66.ケ%に対 して,食 生活調査聴 き取 りでは, 「少
し足 りない」「足 りない」が87.1%であった。設問3「ど の程度試験問題 ができま したか」について どの課題 にお いて も 「できなかった」と答 えた人が70.0%以上であっ た。設 問4「試験教官の総評 (フィー ドバ ック)で良い 点を指摘 され ま したか」について どの課題 において も「さ れた」と答 えた人が55.0%以上であった。設 問5「試験 教官の総評 (フィー ドバ ック)で悪い点 を指摘 されま し たか」について どの課題 において も 「された」と答 えた 人が90.0%以上であった。設問6「あなたが よかった (勉 強になった) と思 う順 に順位 をつ けて下 さい」について 医療面接 を1位 とした人が67.2%と多 く,次いで食生活
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個別栄養指導のスキル学習における効果的な教育方法の検討
表3 食生活調査聴き取 りの評価項目と採点結果
評価項 目 しなかつた人 (%) した人(%) 用いてした人(フードモデルを%)
1 朝 (昼 (うどん)パン)の分量の確認をしたの分量の確認をした 4386..78 5235..82 305.0.5 晩 (ご飯)の分量の確認をした 27.4 21.0 51.6 2バター、ジャムの確認をした 54.8 0.0 45.2 3コーヒーのミルク、砂糖の確認をした 41.9 9.7 48.4
4間食の確認をした 35.5 64.5 0.0
5副食 (焼き魚)の量を確認した 58.1 19.4 22.6 6調味料 (しょうゆ)の記入もれを指摘した 75.8 24.2 0.0 7油 (きんぴらごぼう)の記入もれを指摘した 100.0 0.0 0.0 8家族の人数を確認した 100.0 0.0 0.0
9調理担当者を確認した 90.3 9.7 0.0
10アルコ‑ルの確認をした 96.8 3.2 0.0 ll1パターンであるかの確認をした日分の食事記録であるが、これが通常の 87.1 12.9 0.0 12外食の頻度を確認した 74.2 25.8 0.0
評価項 目2、3については、しなかった、した、両方したの3段階を表す。
評価項 目8については、しなかった、した、最初にしたの3段階を表す。
調査聴 き取 りの32.8%の順であった。設問
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「このよ う な形式の試験を学外実習前に行 うことに関 してあなたの 考 えを下記か ら一つ選 んで下 さい」については100%の 人が 「学外実習前に実施す ることは勉強になる」 と答 え た。考 察
客観 的臨床 能力試 験 (oscE)はHardenらに よ り開発 さ れ,1975年 にMedicalJournal誌 に最初 の論文が発表 さ れた2)。以後臨床能力 を客観的に評価す る画期的な方法 として,世界的に用い られ るよ うになってきてい る3)0 平成18年 4月か ら導入 され る入 院栄養 管理料 において
も,管理栄養士の業務 は食事の提供のみでな く患者 と接 す る機会が多 くな り,患者の立場で考 えることが要求 さ れて くる。基本的な患者 に対す る姿勢 についてカ ウンセ リングのスキルが必要 とされ る4,5)。 しか し,患者 が実 際に食生活 を変容 し健康 を維持 ・回復 させ るために十分
な食事療養 を実践す るためには,当然のことなが ら,カ ウンセ リングスキルのみでは解決できない。正 しい知識 と実践技術 を獲得 し本人 の
Q O L
を損 な うことな く継続 し て実践す るためには,管理栄養士 として患者 との信頼関 係 を構築す るとともに,正確 な患者の実情 を把握 し,逮 切な栄養 ケアプランを作成できる能力が要求 され る。管 理栄養士 を 目指す学生においてもカ ウンセ リングスキル を身につ けると共に患者 の情報 を的確 に把握す る教育 をしてい くことが重要である。
臨地実習に出る直前に,カ ウンセ リングスキル を生か した医療面接 と正確 な食事調査 を試験方式で実施 し,学 生の到達度 を把握 し学生 にフィー ドバ ックす ることは, 臨地実習先で患者 と接す る際に役立っ と考 え られ る。
医療面接では観察者 による評価 で 「挨拶/患者 の名前 を確認 した
」
「自己紹介 を した」
「患者が話 をできるよ う 配慮 した」
「視線 を向けた」
「聞きとりやすい声の大 き さ だった」 とい う基本的態度 についてはほ とん どの学生が 実施できてお り十分な理解 と実践ができていた と考 え ら設 問7このような形式の試験を学外実習前 に行うことに関してあなたの考えを下記から一つ選んで下さい。
巨 )41.9
. ㍍ ④0.0 80 90 100
を実施することは勉強になると思う○
ヽが、学外実習前にこのような試験を 0 10 20 30 40 50
El① 自分の理解度や実践能 力を客観 的に知ることができるので学外実習前にこのような試験
田②模擬試験のロールプレイを見学後、何度か学生同士で練習をした後、試験を行う方がいし 実施することは勉強になると思う。
③学外実習前よりも学外実習後にこのような試験を実施する方が勉強になると思う。
④勉強 にならないので(意味がないので)実施しなくてよい。
図1
0 S C E
終 了後 ア ンケー ト結 果設 問1‑6に お いて,課題1は医療 面接試験 ,課 題2は食 生活調査 聴 き取 り試験 の結 果 を示す 。
21 個別栄養指導のスキル学習における効果的な教育方法の検討
れ る。 「分か りやすい言葉 を用いた」 「受療行動を尋ねた (前医)」についてはやや実施 できてない学生がみ られ, 相手に対す る気配 りな どの配慮に気がまわ らないためで はないか と考えられ る。 「後半で要約 を述べ,確認 した」
「共感的理解 の態度 を示 した」 とい うカ ウンセ リングス キルで要求 され る項 目はほとん どの学生が実施できてい なかった。 このことは栄養教育論や臨床栄養学の授業で 何度か聞いてはいるが,実践に結びついていないことが 伺 える。授業の中でのモデ リングを実際に行わせ,その 場で評価 させ るな ど工夫が必要である。 「質問 したい と 思 うこと,食事についての疑問,不安に思 うことはない か尋ねた」 とい う項 目もほとん どの学生で実施できてお らず,相手の立場に立って考えるとい うことがまだまだ 実施できていない,あるいは試験時間が短いためと考え られ る。情報収集 についてはできている学生 とできてい ない学生の差が大きかった。そのことは学生 自身の認識 に差が生 じたためと考えられ る。
医療面接 における模擬患者 の評価 では, 「マナーや言 葉遣 いは適切 であった」 「言葉 の早 さは適切 であった」
とい う基本的項 目は多 くの学生が実施できていたが,「仕 草,姿勢,動作は適切であった」 とい う項 目はやや評価 が低 く,試験 とい う状況の緊張感や平素の態度がつい出 て しま うことが考え られ る。 「自分の話 をちゃん と聴い てもらえた」 「うなづきゃ視線,間を持って話せた」 「話 しやすい工夫,開いた質問をした」 とい うカ ウンセ リン グスキルで要求 され る項 目は不可の学生 もみ られ,良に 該 当す る学生が非常に少 なかった。 「自分の話 を遮 らな かった」 とい う項 目は不可の学生はお らず観察者による 評価 よ りも模擬患者 の評価 において良い傾 向であった。
「質問がないか確認 して くれた」 とい う項 目は観察者 に よる評価 と同様であった。 「自分の話 を正確 に理解 され た と思 う」 「この次 もこの栄養士 とに話 したい」 とい う 項 目はカ ウンセ リングスキルで要求 され る項 目に近い評 価 となっていた。 「専門用語 を用いず分か りやすい言葉 だった」 とい う項 目で不可に該当した学生はな く,配慮 ができていた と思われ る。
食生活調査の聴 き取 りは,患者の食事スタイルや摂取 量の把握 を正確 に行 うことを 目標 とした。医療関係者の 中でも管理栄養士に しかできない項 目であ り,栄養ケア プランの作成 において重要な部分である。 しか し,今回
の評価では医療面接 よりもできていない学生が多 くみ ら れた。短時間で聴 き取 り調査 を行 うためには,熟練を要 す ると思われ,学生に とってはこの試験問題の難易度が 高かったことが示唆 された。また,食生活調査の聴 き取 りの時間不足 と答えているため,今後にむけ,制限時間 内に試験内容が無理 な く行 えるか とい うことを検討 し, 制限時間の緩和や試験問題 の削減 も考 える必要がある。
アンケー ト調査の結果では,医療面接や食生活調査聴 き取 りについて学習 していると回答 した学生がほとん ど であったが,一部学習 していない と認識 していた学生が いた。試験教官か らのフィー ドバ ックに関 しては良い点 よ りも悪い点について意識 に残 っていた と考え られ る。
また,全ての学生が,臨地実習前に客観的臨床能力試験 (oscE)を実施す ることが勉強になると答えていることか ら,学生教育を行 う上で有用であると示唆 され る。学習 していない と認識 していた学生 も一部いたものの,本試 験を受けることによって授業の再確認 に繋がったのでは ないか と考えられ る。また,われわれ教員 にとって学生 の理解度や実行 に移 しに くい内容 を把握す ることがで き,今後の講義での改善点が理解できた。
参 考 文 献
1)伴信太郎,津 田司, 田坂佳 千,佐 々木宏起,葛西 龍樹 ,桶皮満 ,東理 ,青井‑展 ,越智則 晶, 山本 康博,伊藤克浩,Kachur K E:OSCEによる 「臨床入 門」実習の評価,医学教育 (1994)25,221‑229 2)Harden RM,StevensonM,DownieWW andWilson,
GM. Assessment ofclinical comperence using objective structured examination. Br Med∫,
(1975)1:447L451
3)Harden RM,Hart IR and Mulholland H (Eds) ,Approaches to the assessment of clinical competence. Dundee,Scotland,Centre for MedicalEducation (1992)
4)小松龍史 臨床栄養(2002) vol.10ト7 756‑762 5)小森 ま り子,鈴木浄美 ,橋本佐 由理 カ ウンセ リ
ングマイ ン ドを使 った栄養指導 のた めの面接技法 (2002)20‑25