日本 機 械 学 会 論 文 集(C 編)
74巻745号 (2008-9) 論 文 No. 08-0071
サ
ー
ビ
ス
工
学
の
提
案*
(第3報,サ
ー ビス 活 動 の導 入 に よ る機 能 ・属 性 表 現 の 統 合)
原
辰 徳*1,新
井 民 夫*1,下
村 芳 樹*2
Proposal
of the Service
Engineering
(3rd Report,
Integrating
Function-Atrribute
Representation
of
Service by Introducing
Service Activity)
Tatsunori
HARA*3, Tamio ARAI and Yoshiki
SHIMOMURA
*3Department of Precision Engineering, The University of Tokyo, 7-3-1 Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo, 113-8656 Japan
Manufacturing industry needs to supply services more than materialized products to customers recently. In marketing field, customer value and human activity are main topics in service system. However, literatures of this research lack the perspective on effect and meaning of activities to the customer. In traditional engineering field, effect and meaning of artifacts can be commonly represent-ed by function. Hence, the authors have mainly modeled service contents as a set of functions to change states of the receiver. This paper focuses on integrating the function model and the activity model so as to evaluate service deliveries according to the customer's point of view . In this paper, we describe activities of service with Service Blueprint by BPMN (Business Process Modeling Notation). We also correlate some of activities with functions as behaviors that realize these functions. The above method is implemented on Service Explorer, which is a CAD system to analyze, evaluate, and design services. Demonstrating an example, the followings are found : (a) separate function models are integrated through activities; (b) interactions between customer and provider are represented; and (c) functional activities and support activities are both incorporated into the delivery process of services.
Key Words : Service Engineering, Function Model, Service Blueprint, Business Process Modeling , CAD 1. 緒 言 社 会 の成 熟 によ り経 済 の 中心 は サ ー ビスへ と シ フ ト し,多 くの産 業 分 野 に お いて サ ー ビス と知識 が 一 層 重 視 され る 傾 向 に あ る(1).日 本 の 製 造 業 にお いて も,製 造 対 象 で あ る製 品 そ の もの か ら,製 品 を 介 して 供 給 さ れ るサ ー ビ スや 知 識 へ と価 値 が 移 行 して い る.以 上 の 背 景 の下,製 品/サ ー ビス,製 造 業/サ ー ビス業 と二 分 法 で 区別 せ ず,製 品 に もサ ー ビス に も共通 す るサ ー ビス 経 済 の 論 理 を 読 み 解 こ う とす る視 点 は,サ ー ビ ス ・ドミナ ン ト ・ロジ ック(2)と呼 ばれ る.近 年 の サ ー ビス研 究(3)の多 くが,完 全 な 無 形 の 財 と して の サ ー ビ ス で は な く,価 値 創 出 の行 為 と して の 広義 のサ ー ビス を対 象 と して い る.従 来 の製 品 製 造 ・販 売行 為 も また, 価 値 創 出行 為 と しての サ ー ビス の一 形 態 で あ る. (1)マ ー ケティング分 野 に お ける既 存研 究 と問 題 点 サ ー ビス は伝 統 的 に,対 面 販 売 で 代 表 され る提 供 者 と顧 客 との 関 わ りを 表 す活 動 を意 味 して きた(4).サ ー ビス ・マ ー ケテ ィ ング 分 野で は,物 財 の マー ケテ ィ ン グで 用 い られ る四 つ の 要 素 に加 え て 三 つ の要 素 に着 目 し,研 究 が 行 わ れ れ き た(5)(6).前者 の 四 つ は 製 品 (Product),価 格(Price),プ ロモ ー シ ョ ン(Promotion), 流 通(Place)で あ り,後 者 の三 つ は 参 加者(People), 提 供 過 程(Process),物 理 的 環 境(Physical environment) で あ る.参 加 者 には,顧 客 ・従 業 員 に 関 わ らず,サ ー ビス の 生産 に関 わ る す べ て の人 的 要 素 が含 まれ る.物 理 的 環境 は,サ ー ビス の性 質 を促 進 し伝 え るサ ー ビス 環 境 や他 の有 形 要 素 を意 味す る.サ ー ビ ス の提 供 過 程 は,サ ー ビ スの 提 供 に 貢献 す る活 動 の 手順 と流 れ を 意 味 す る. これ らに関 す る研 究 の 中で も,活 動 と して の サ ー ビ ス を 主対 象 と し,サ ー ビス の 提 供 過程 と顧 客 参 加 に 重 き を置 く研 究 が多 くみ られ る(5)(6)(7).本論 文 で は,先 に 述 べ た 広 義 の サ ー ビス と区 別 す る た め に,顧 客 との 関 * 原 稿 受 付 2008年1月30 日. * 1 正 員,東 京 大 学 大 学 院 工 学 系 研 究 科 精 密 機 械 工 学 専 攻 (〓113-8616 東 京 都 文 京 区 本 郷7-3- 1). * 2 正員,首 都 大学 東京 大学院 シ ステム デザ イン研究科 シス テム デ ザ イ ン専 攻(〓191-0065 日野 市 旭 が 丘6- 6). E-mail : [email protected]
わ りを表 す 「人 的活 動 と して の サ ー ビ ス」 を 「サ ー ビ ス 活動 」 と呼 ぶ.こ こで,本 論 文 の基 本 的 立 場 につ い て 述 べ る.サ ー ビス活 動 は,提 供 者 の有 す る潜 在 機 能 を発揮 す るた め に必要 なサ ー ビス提 供 上 の行 動 ・業 務 で あ る.サ ー ビス 活 動 を介 して,顧 客 に対 す る何 らか の 機能 が顕 在 化 した 時,顧 客 はそ れ を価 値 と して 認 識 す る.そ こで は,同 じサ ー ビス 活 動 で あ っ て も,状 況 や 意 図 に応 じて 異 な る機 能 が 認識 され 得 る と考 え る. しか しなが ら,先 に述 べ た先 行 研 究 で は,顧 客 価 値 とサ ー ビス活 動 と を直 接結 び つ けて 論 じる ことが 多 く, サ ー ビス 活 動 の機 能 的 な 意 味 に関 す る議 論 が十 分 に行 わ れ て い な い.そ の た め,図1に 示 す よ う に顧 客 価 値 とサ ー ビス活 動 の 問 の乖 離 を指 摘 で き る. (2)サ ー ビス工 学 の 既存 研 究 と課 題 点 サ ー ビス 工 学 研 究(8)(9)にお いて サ ー ビス は 「サ ー ビ ス の送 り手 で あ る プ ロバ イ ダ(提 供 者)が,対 価 を伴 って 受 け手 で あ る レシー バ(顧 客)が 望 む 状 態 変化 を 引 き起 こす行 為 」(8)(9)として 定義 され る.本 定 義 にお い て,受 け手 は顧 客 に相 当す る.サ ー ビス 工 学 で は,受 給 者 の望 む 状 態 変化 が サ ー ビス の価 値 で あ る と捉 え, サ ー ビス の 内 容 を,受 け手 の 状態 変 化 を 引 き起 こす 機 能 ・属 性 を用 い て 表現 す る.本 論 文 で は これ を機 能 ・ 属性 表 現 と呼 ぶ.す な わ ち,物 理 的 な製 品 とサ ー ビス 活動 の双 方 によ り生み 出 され るサ ー ビ ス の作 用 を,機 能 の 形式 に集 約 す る.一 方,サ ー ビ ス活 動 そ の もの に 関 す る議 論 は十 分 に成 され て お らず,抽 象 概 念 と して の機 能 と実 現 手 段 と して のサ ー ビス活 動 の 間の 関 係 が 明 らか に され て こなか った(図1). (3)本 論 文 の 目的 マ ー ケ テ ィ ン グ分 野 にお け るサ ー ビス活 動 の表 現 は, 提 供 過 程 に 関す る時 間 的 な推 移 を軸 に,参 加 主 体 問 の 連 続 的 な活 動 のや り と りに着 目 した 動 的 な表 現 で あ る. 一 方 ,(2)で 述 べ た 機能 ・属 性表現 は,受 給 者 に与 え る 影 響 を提 供過 程 に関 して 圧 縮 した静 的 な 表 現 で あ る. 本 論 文 の 目的 は,図1に 示 す様 に,製 品 設 計分 野 で 広 く用 い られ て きた 機 能 ・属 性 表 現 と,マ ー ケ テ ィ ン グ分 野 で 焦 点 を 当て られ て き たサ ー ビス 活 動 表現 と を, 整合 を保 ち な が ら繋 ぎ合 わ せ る こと に あ る.サ ー ビス を 総合 的 に分 析 ・評 価 し,設 計 す る 上で は,価 値,機 能,サ ー ビス 活 動 を 一貫 して扱 う こ とが重 要 で あ る. 特 に(2)で述 べ た 機能 ・属性 表 現 中 にサ ー ビス活 動 に関 す る 情報 を織 り込 む ことが で き れ ば,製 品機 能 が 生 み 出 す価 値 と,製 品 ライ フサ イ クル 全 般 に 関 わ るサ ー ビ ス 活 動 が 生み 出 す価 値 と を総 合 的 に分 析 ・設 計 で き る. サ ー ビス ・マー ケテ ィ ング の立 場 か ら も,サ ー ビス 活 動 によ り生 み 出 され る 機能 と顧 客 に対 す る 作 用 とを工 学 的 に議 論す る こ とで,先 に指 摘 した 乖 離 を縮 め る こ とが で き る. 本 論 文 の構 成 は 以 下 の通 りで あ る.第2章 で は,活 動 によ る サ ー ビ ス の表 現 手 法 につ いて 述 べ,顧 客 の行 動 と提 供 者 の活 動 とを 一枚 の図 上 に書 き表 す.第3章 で は,機 能 とサ ー ビス 活 動 を 再定 義 す る.次 に サ ー ビ ス活 動 を機 能提 供 の実 手 続 き と して 位 置 づ け,機 能 ・ 属 性 表 現 と活 動表 現 と を統 合 的 に扱 う枠 組 み に つ い て 述 べ る.第4章 で は 計算 機 上 へ の 実 装 と検 証 に つ い て 述 べ る.第5章 で考 察 を行 い,第6章 で結 論 を述 べ る. 2. サ ー ビス 活 動 の 表 現 2・1 サ ー ビス ・ブル ー プ リ ン ト技 法 サ ー ビス ・マー ケ テ ィ ン グ分 野 に お け る既 存 研 究 と して,シ ョス タ ック のサ ー ビス ・ブル ー プ リ ン ト(10) (11) とそ の関 連 研 究 が有 名 で あ る.以 下,本 論 文 に強 く関 わ る ので,そ の 内容 を説 明す る. サ ー ビス ・ブル ー プ リン トは,活 動 をチ ャー ト形 式 で 記述 す る こ とで,サ ー ビス の 提 供過 程 と顧 客 との 協 調 関係 の記 述 を 目的 とす る手 法 で あ る.サ ー ビス ・ブ ル ー プ リン ト中 の活 動 に は顧 客 か らの 深 さ(Depth of Activity)に よ る分 類(図2)が 与 え られ て お り,こ れ らの境 界 に基 づ い てサ ー ビス 活 動 を整 理 す る点 を一 つ の特 徴 とす る.顧 客 とサ ー ビス との相 互 作 用 の 境 界 は Line of Interactionと呼 ばれ,顧 客 側 か ら見 たサ ー ビス の 活 動や 有 形 物 の可 視 性の境 界 はLine of Visibilityと呼 ば れ る.ま たLine of Visibilityを境 と して,上 部 の活 動 は Fig.1 Key issue in this research: filling the gap
between function and activity of service
Fig.2 Structure of Service Blueprint and
フ ロ ン ト ・ス テ ー ジ,下 部 の活 動 は バ ック ・ス テ ー ジ と呼 ばれ る.ま た,図2に 示 した 様 に,サ ー ビス ・ブ ル ー プ リ ン トに はサ ー ビス の 受 給 に 際す る顧 客 の行 動 が 含 まれ る.こ の よ う に顧 客 行 動 と提 供 者 の 活 動 とを 一 枚 絵 中 に 時 系列 的 か つ 構 造 的 に 記述 す る こ とで ,サ ー ビス の提 供 過 程 と顧客 参 加 を表 現 す る. 2・2 BPMNに よ るサ ー ビス ・フウレー プ リン トの記 述 本 論 文 で は,サ ー ビス ・ブ ル ー プ リン トの 表 記 法 と し てBPMN(Business Process Modeling Notation)(13)(14)を 採 用す る.こ れ は,ブ ル ー プ リン トに関 す る既 存 研 究 に お いて 表 記 法 が 明確 に定 義 され て い な い か らで あ り, 今後 の工 学 的 な 取 り扱 い を可 能 とす る た め に,仕 様 が 策 定 され て い るBPMNを 採 用 した. 図3は,BPMNに よ るサ ー ビス ・ブル ー プ リン トの 記述 様 式 を示 して い る.BPMNは ビ ジネ ス プ ロセ ス モ デ リン グの 図 形 表 記法 で あ り,「 誰 が 何 を ど の よ うな 順 序 で 実 行 す る の か」 と い う観 点 か ら業 務 の流 れ をモ デ ル 化 す る.以 下,BPMNを 用 いた サ ー ビス ・ブル ー プ リン トの 記述 形 式 につ い て簡 潔 に述 べ る. (1)ア クティビテ ィ(図中 □) ア クテ ィ ビテ ィ とは,サ ー ビス の提 供 に 際 して 企 業 /組 織 内 で 遂 行 され る作 業/取 り組 み の総 称 で ある. BPMNに よ るブ ル ー プ リ ン トで は,顧 客行 動 は顧 客 の ア クテ ィ ビテ ィ,サ ー ビス 活 動 は 提 供 者 の ア クテ ィ ビ テ ィ と して 記述 され る. (2)プ ー ル(図 中 □) プー ル は ア ク テ ィ ビテ ィの 主 体(実 行 者/遂 行 者) を表 現 す る.顧 客,提 供 者 側 の 従 業 員,部 門 ・部 署 な どの他,顧 客 との協 調 が 必 要 とさ れ る主 要 な 機 械 ・情 報 シス テ ム が割 り当て られ る. (3)レ ー ン(図 中 〓) レー ンは プー ル の分 割 区画 に あ た り,プ ー ル 内で ア クテ ィ ビテ ィ の整 理 ・分 類 の た め に用 い られ る.本 研 究 で は,顧 客 か ら見 た 活 動 の可 視/不 可 視 の 区分 を レ ー ン によ って 与 え る .す なわち提供者側の各プールは, 可 視/不 可視 の ア ク テ ィ ビテ ィ を ま と め るVisibleレー ン とInvisibleレ ー ンか ら構 成 され る. (4)シ ー ケン ス ・フ ロー(図 中 →)/メ ッセ ー ジ-フ ロー (図中〓) シー ケ ンス ・フ ロー は 同 一 プー ル 内 の ア クテ ィ ビテ ィ が 実行 され る順 序 を表 し,メ ッセ ー ジ ・フ ロー は 二 つ の離 れ た プー ル,す なわ ち二 つ の 主体 問で の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン を表 す メ カニ ズ ム と して 定義 され る.こ こで,顧 客 の 行 動 と提 供 者 の 活 動,な らび に両 者 間 の メ ッセ ー ジ ・フ ロー に よ って,サ ー ビス ・エ ンカ ウ ン タ ー(6)(15)(図中〓)が 明 示 され る.サ ー ビス ・エ ン カ ウ ン ター によ り,顧 客 と従 業 員,ま た は顧 客 と設備. 製 品 との相 互 作 用 が 生 じ る場 が 示 され,各 々 の 役割 が 明確 化 され る. (5)デ ータ・オ ブジェクト(図中〓) デ ー タ ・オ ブ ジ ェク トは ア クテ ィ ビテ ィや メ ッセ ー ジ ・フ ロー に関 連付 け られ る こ とに よ り,客 体 と して 扱 われ る実 在 物 の情 報 を付 与 す る.デ ー タ ・オ ブ ジ ェ ク トが 提 供 者 の ア クテ ィ ビテ ィ に 関連 付 け られ る場 合, ア クテ ィ ビテ ィ に必 要 な 資 源,処 理対 象,生 成 物 を 明 示 す る.
以 上 の表 記 を基 本 と して,BPMNに よ る サ ー ビ ス ・ ブル ー プ リン トが 描 か れ る.次 章以 降 で は,混 乱 を避 け るた め にBPMNの 「ア クテ ィ ビテ ィ」 を 「活 動 」 と して 統 一 表記 す る. 3. サ ー ビ ス 活 動 の 導 入 に よ る 機 能 ・属 性 表 現 の 統 合 シス テ ム ・ダイ ナ ミ クス の分 野 にお い て,一 般 に活 動(Activity)は 状 態 変化 の 因果 関 係 の単 位 と して捉 え られ て お り(16),人間 系 を含 ん だ 人 工 物 シス テ ム の 分 析 ・改 善 の 多 くが,活 動 に着 目 して 行 わ れ て い る.本 章 で は,機 能 とサ ー ビス 活 動 の定 義 につ い て 再 度述 べ る。 次 にサ ー ビス 活 動 を機 能提 供 の実 手 続 き と して位 置 づ け,サ ー ビス 活 動 を 用 い た機 能 ・属 性 表 現 の統 合 手 法 に つ いて 述 べ る. 3・1 機 能 の定 義 とサ ー ビス 活動 の 定 義 設 計分 野 にお け る機 能 定 義 の 例 と して 「人 間 が 特 定 の意 図 を 持 っ て 主観 的 に挙 動 を観察 す る と き に,発 揮 して い る と認 め られ る はた らき 」(17)があ り,本 研 究 にお いて も この 定義 を踏 襲 す る.ま た,機 能 を挙 動 と状態 の組 に よ り表す 枠 組 み と してFBS (Function- Behavior-State)
モデル(17)が
知 られている.状態 とは 「
人工物の属性(群)
が特定の値 をとっていること」を表現 し,挙動 とは 「
人
工物の状態 の時間的な変化 ・
遷移」の ことで ある.FBS
モデルにおいて機能は挙動によって生起 し,挙 動は機
能の実現化 の手段 として見倣 される.FBSモ
デルは,
物理的な構造 により生起される機能 を主対象 として提
案 されたものである.
これに対 し本研究 では,情 報系や 人間系 による機能
を含めた,よ り一般的な意味での機能 を対象 とす る.
他の人工物の設計一般においても情報系や人間系によ
る機能 を多 くの場合対象 とす るが,こ れはサービスの
構造 において顕著な特徴である.本 研究では,人 間系
による機能 を中心に扱 うため,FBSモ
デル における挙
動 と状態の類推か ら,機 能をサー ビス活動 と実体(及
びその属性)に よ り表す.す なわ ち,サ ー ビス活動 を
「
人間系を中心 とした挙動の一種で あ り,サ ービス提
供上の行動 ・業務」 として再定義 し,サ ー ビス活動の
連鎖を機能提供のための一連 の手続 きとして位置づ け
る.サ ービス に潜在する機能 は,サ ー ビス活動の連鎖
を介 して顕在化 し,受 け手の状態変化 をもた らす と捉
える.
(a)
(b)
(c-1)
(c-2)
(c-3)
(d-1)
(d-2)
サ ー ビ ス 工 学 の 提 案 (第3報) 3・2 機 能 ・属 性 表現 と活 動 表 現 の統 合 化 の 枠組 み これ まで に 述 べ た サ ー ビス 活 動 の 概 念,な らび に機 能 ・活 動 問 の 関 係 を用 いて,機 能 ・属性 表 現 とサ ー ビ ス活 動 表 現 とを統 合 化 す る た め の枠 組 み を 図4に 示す. 図4は,サ ー ビス の受 け手 の 状 態 層(図4(a)),機 能 層(図4(b)),活 動 層(図4(c)),属 性 層(図4(d))か ら成 る.機 能 ・属 性表 現 は機 能 層 と属 性 層 上 に展 開 さ れ る.一 方 で 活 動 表現 は活 動 層 上 に 展 開 され,こ れ が 2章 で 述 べ たサ ー ビス ・ブ ル ー プ リ ン トに対 応 す る. 本 枠 組 み に よ り,機 能 は単 一/複 数 のサ ー ビス 活動 と して 活 動 層 に割 り付 け られ,割 り付 け られ た 活 動群 は時 間 ・場 所 ・順 序 の観 点 か ら再 構 成 され る。 これ に よ り,サ ー ビス提 供 の場 ・過 程,顧 客 と の相 互 作 用 が 決定 され,最 終 的 なサ ー ビス の 青写 真 が描 かれ る. 以 下,受 け手 の 状 態 層,機 能 層,活 動 層,属 性 層 問 に成 り立 つ 関 係 に つ いて 簡 潔 に述 べ る. (1)受 け手 の 状 態 層(a)と活 動 層(c-1)との 関 係 活 動 層 内 の(c-1)は,サ ー ビス の受 給 に伴 う受 け 手 の 行 動 を示 す.状 態 層 上 の パ ラ メー タ が 受 け 手 の状 態 空 間Sを 形 成 し,活 動 層 上 の 受 け 手 の各 行 動 が,状 態 の 時 系 変化 を もた らす.す なわ ち,サ ー ビス 全体 を通 し て の 受 け手 の 状 態 変化(RSP変 化)は,行 動 ごと に も た らされ る状 態 変 化 の総 和 と して定 義 され る. (2)受 け 手 の 状態 層(a)と機 能層(b)との 関係 受 け 手 の状 態 と,受 け 手 の状 態 変 化 を直 接 引 き起 こ す 機 能 との対 応 を示 す.す な わ ち,機 能 層 上 の最 上位 機 能(状 態パ ラ メー タ との リ ンク を持 つ)が,サ ー ビ ス ・コ ンテ ン ツ の機 能 表 現 と捉 え られ る.サ ー ビス ・ コ ンテ ンツ とは,受 け手 の 状 態 変化 を直 接 引 き起 こす サ ー ビス の構 成 要 素(8)を意 味 す る. (3)活 動 層 内 にお ける(c-1)と(c-2)の関 係 これ らは2.2節(4)で 述 べ た様 に,受 け手 と従 業員, ま た は受 け 手 と設 備 ・製 品 との 相互 作 用 が 生 じる場(サ ー ビ ス ・エ ンカ ウ ン ター)を 示 す .す なわ ち,受 け 手 とサ ー ビス 提 供組織 との 直接 的な 影 響 関係 を表 す 。 また,こ の こ と と(1)(2)で述 べ た 関係 と併 せ,受 け 手 の状 態 変 化 が サ ー ビス ・エ ンカ ウ ンタ ー 内の 相 互 作 用 に よ って もた ら され る こと を考 慮 す れ ば,サ ー ビス ・ エ ン カ ウ ンタ ー 内 に お いて サ ー ビス ・コ ンテ ンツ が 受 け渡 され る,あ る い は評 価 され る こ とがわ か る.こ れ は,受 け手 の 視 点 か ら機 能 層 と活 動 層 の 関係 を説 明 し た も ので ある. (4)機 能 層(b)と活 動 層(c-2)(c-3)の関係 一方,提 供 者 視 点 で の機 能 層(b)と活 動 層(c-2)(c-3)の 関 係 は,機 能 空 間か ら活 動 空 間へ の 対 応(Γfac: F→ AC)と して 示 され る.こ れ は,旧 来 か ら議 論 され て き た機 能 空 間 か ら挙 動 空 間 へ の対 応 の 考 え(17)を踏 襲 した も ので あ り,サ ー ビス 活 動 も挙 動 の 一 種 で あ る と定 義 した こ とに 因 る.し た が っ て,機 能 と活 動 の対 応 は多 対 多 で あ り,サ ー ビス が 提 供 され る場 や 意 図 に応 じて 対 応 関 係 は 異な る. (5)活 動 層(c)と属 性 層(d)の関 係 属 性 層 上 の 実 体 は,活 動 層 上 の 主 体,活 動 に 必 要 な 資 源 ・処理 対 象 ・生 成 物,ま た は 顧 客 を取 り巻 く 物 理 的 環 境 を構 成 す る実 在 物 に対 応 す る.ま た,属 性 層 内の(d-1)(d-2)の区分,す な わ ち 実 体 の可 視/不 可 視 は,自 身 が 寄与 す る活 動 の情 報 に基 づ いて 決定 され る も ので あ り,サ ー ビス の提 供 に応 じて 動 的 に 変化 す る. BPMNに よ るサ ー ビス ・ブル ー プ リン トを記 述 す る 際 に は,活 動 と実 体 との 関 わ りを視 覚 的 に 理解 し易 く す るた め,主 体 を表 す プー ル と客 体 を表 す デ ー タ ・オ ブ ジ ェ ク トを用 いて 実体 へ の参 照 を 明記 す る. 3・3 本 枠 組 み を 用 いた サ ー ビスの 記 述 手順 以 下, 本枠 組 み を用 い たサ ー ビス の 記述 手 順 を詳 述す る.各 手順 で 行 うべ き 内容 を明 確 化 す る た め,手 戻 りは発 生 しな い もの と し,一 通 りの説 明 を行 う. (1)顧 客分 析 と提 供 価 値 の 決定 本 手 順 で は,受 け手 の 状 態 層(a)と活 動 層(c-1)の関係 を用 い て,サ ー ビス の受 給 にお け る顧 客 視 点 の 分 析 を 中 心 に行 う.顧 客 視 点導 入 の 際 の 大 き な問 題 は,顧 客 の 主観 性 を どの よ うに扱 うか で あ る.サ ー ビス 工 学 で は 顧客 の行 動 とそ の 基準 をで き る だ け 明確 に定 義 す る こ とで,顧 客 の主 観性 を 固定 化 す る 。 このモ デ ル 化 の た め に,主 に ソ フ トウ ェ ア のユ ー ザ イ ンター フェ ー ス 設 計 で 利 用 され て い る仮 想 的な 人 物 像 を表 す 手 法 で あ るペ ル ソ ナ(18)を導 入 して いる(9). ペ ル ソ ナ によ っ て顧 客 の 人物 像 を明 確 化 した 後,サ ー ビス の 受給 に伴 う顧 客 の基 本 的 な 行 動(状 況)を 活 動 層 に書 き 並 べ る(図4(c-1)).こ れ ら顧 客 の行 動 群 は,既 存 研 究 にお け る シナ リオ(9)やサ ー ビス ・ス ク リ プ ト(6)等の 手 法 を 用 い て記 述 す る.同 時 に,顧 客 の 人 物 像 と各 行 動 を根 拠 に,状 態 層 に状 態 パ ラメー タ を列 挙 し,そ れ らの 中 か ら複 数 のReceiver State Parameter (RSP)(8)(9)を設定 す る(図4(a)).RSPは サ ー ビ スの 受 け手 の 状 態 変化 を表 現 す る パ ラ メー タ と して導 入 さ れ て い る.本 手順 に よ り,顧 客 の どの よ うな価 値 を対 象 と した サ ー ビ スで あ る か の概 略 を 決定 す る. (2)サ ー ビス の 機 能 の 具体 化 次 に,受 け 手 の状 態層(a)と機 能 層(b)の関 係 を 用 いて, 手順(1)によ り設 定 され たRSP群 に作 用 を 及 ぼす 機 能 構 造 をRSPご とに 記述 して い く(図4(b)).一 般 に, サ ー ビス が対 象 とす るRSPは 複 数 で あ る た め,図4(b)
に示 され る通 り,各 々 のRSPに 対 応 した 機能 構 造 を個 別 に 記 述す る.こ の よ うな機 能 構 造 が 意 味す る と こ ろ は,構 造 の最 下 位 に位 置す る機 能 が 発 現 す る ことで, 目標 とす るRSPの 変 化 が達 成 され る ことで あ る。 サ ー ビス工 学 研 究 にお いて,あ る 一 つ のRSPに 作 用 す る機 能 構 造 を 記 述 す る 枠 組 み は ビ ュ ー モ デ ル(8)(9)と 呼 ばれ る.ビ ュー モ デ ル で は表 現 の 自 由度 と柔 軟 性 を 重 視 し,「 動 詞+目 的 語 」 を基 本 とす る語 彙 形式 で機 能 を表 現 す る.こ の 時,機 能 は主 観 的 な 側 面 と客 観 的 な 側 面 を 持 つ(17).主観 的 な側 面 と は,先 に 述 べ た語 彙 的 な シ ンボ ル を意 味 し,こ れ は設 計 対 象 の 役割 を示 す 上 で 重 要 で あ る.客 観 的 な側 面 と はそ の 機 能 を実 現 す る挙 動(物 理 現 象や 人 間 の 振 る舞 い)の 集 合 を意 味 し, 機 能 を客観 的 に記 述 し,そ の 仕様 を明 確 にす る 上 で 重 要 で あ る. 本 手 順 で は,RSPに 作 用 を及 ぼす 機 能 構 造 を 語彙 に よ って 構 築 し,機 能 展 開 を行 う際 の視 点 が 機 能提 供 の 実 手 続 き に移 り変 わ る まで 段階 的 に詳 細 化 す る.機 能 提 供 の 実 手続 き に関 す る視 点 とは,例 え は時 間 ・場 所 ・ 順 序 で あ り,そ れ らは 機 能 を実 現 す る挙 動(活 動)の 検 討 段 階 に あ る こ と を意 味 す る.そ こで は,単 一機 能 を達 成 す る プ ロセ ス を検 討 す る だ けで な く,顧 客 との 関 わ り方 や と他 機 能 の 実 手 続 き と の関 係 等,全 体 性 を 考 慮 す る ことが 肝 要 で あ る.後 に述 べ る手 順(5)(6)では, 機 能 を一 旦活 動 層 に下 ろす こ とを通 じて,サ ー ビス活 動 の 立 場 か ら複 数 機 能 の 整合 性 ・全体 性 が 検 討 され る. (3)機 能 担 体 の 記 述 既 存 サ ー ビス を分 析 す る 場合 な ど,最 下 位 機能 に 関 す る 機 能 担 体(あ る機 能 を実 現 す る こ とが で き る実 体 ・属 性 の 集 合)が 明 確 で あれ ば,そ の 実 体 ・属性 群 を属 性 層(図4(d))に 予 め 記 述 す る.機 能 担 体 に は期 待 す るサ ー ビス活 動 へ の 参 照が 暗 黙 的 に含 ま れ る と考 え られ る た め,手 順(5)でそ れ らを活 動 層 上 に 明 示す る. 一 方,新 サ ー ビス の 設 計 の場 合 な ど,機 能 担体 が 明 確 で な け れ ば,属 性 層 へ の 記入 を現 時 点 で 行 う必 要 は な い.次 手順 以 降 で 機 能 と活 動,活 動 と属 性の 関係 を 検 討 した 上で,結 果 と して の 機能 担体 が 獲 得 され る. (4)サ ー ビス ・エ ンカウンター の 構 成 手 順(2)で記 述 した 機 能 構 造 を基 にサ ー ビス 活 動 の 主 体(実 行 者/遂 行 者)を 決定 し,活 動 層 上 に プ ー ル と して 配 置す る.2.2節 で 述 べ た 様 に,従 業 員,部 門 ・ 部 署 な どの他,セ ル フサ ー ビス機 械 や ウェ ブ ・サ イ ト の様 な 顧客 活 動 に関 与 す る 機械 ・情 報 シス テ ム を 主体 と して 配 置す る.次 に 手順(2)の結果 に沿 って 顧客 に期 待 され る 役割 と顧 客 との 関 わ り方 を明 確 化 し,顧 客 行 動 の追 記/修 正 とサ ー ビ ス ・エ ンカ ウ ン ター の記 述 を 行 う. (5)サ ー ビス活 動 の 記 述 機 能 層(b)と活 動 層(c)の関係 を用 い て,最 下位 機 能 の 提 供 の 手続 き を単 一/複 数 の活 動 群 と して活 動 層 に割 り付 け る(図4(c-2)).割 りつ け るサ ー ビス 活 動 に は, 提 供 者 の活 動 の他,顧 客 の行 動 が 含 まれ て も良 い.顧 客 の 行 動 が含 まれ る場 合,当 該 機能 の 発 現 に顧 客 参加 が 必 要 不 可 欠で あ る こと を示 す. (6)サ ー ビス 提供 過 程 の 構 成 サ ー ビス活 動 の割 り付 け を一通 り終 え た 後,サ ー ビ ス ・ブ ル ー プ リン ト全 体 の 活動 を再 構 成 す る.活 動 の 再 構 成 は,顧 客 か らの 可 視/不 可視 の 分 類,新 た な活 動 の 追 記,類 似 活 動 の 結 合,複 数 活 動 へ の 分 割操 作 に よ り行 う.ま た,顧 客 側 か らは見 えな い支 援 活 動(支 援 業 務)な ど,活 動 層 中 の 全 て の活 動 が 機 能 層 中 の機 能 に必 ず しも対 応 付 け られ る とは 限 らな い(図4(c-3)). こ のよ うに 対 応付 け られ な か っ た活 動 は,サ ー ビス の 実 行 に必 要 な活 動 で あ る一 方 で,顧 客 の状 態 変 化 に は 影 響 を与 え な い と解 釈 す る。 最 後 に活 動 間 の 影 響 関 係/順 序 関 係 を 考 慮 し な が ら シー ケ ンス ・フ ロー,メ ッセ ー ジ ・フ ロー を構 築 す る.BPMNの イ ベ ン トや フ ロー 制御 の記 法(13)(14)を用 い る こ とで,単 純 な シー ケ ン シャル の提 供 過 程 だ け で は な く,条 件 分岐 や 例 外 処 理 を含 んだ 提 供 過 程 が構 成 さ れ る.以 上 に よ り活 動 層 を通 じて,個 々 のRSPを 起 点 に記 述 さ れ た個 別 の 機 能群(図4(b))を 併 合 化 し,サ ー ビス の提 供 過 程 を構 成す る. (7)サ ー ビス を構 成 す る実 体 の 記 述 本 手 順 で は,手 順(3)(4)(5)(6)の結 果 を考 慮 し,機 能 ・ 活 動 の 両 側 面 か ら実 体 ・属 性群 を再 構 成 す る.ま ず, 各 活 動 の 実行 に必 要 な 資 源 ・処 理 対 象 ・生 成 物 を特 定 し,実 体 と して 属 性 層 上 に配 置 す る(図4(d)).手 順 (5)にて 機 能 と活 動 の 対応 付 けが な され た こ とか ら,こ れ らの 実体 に は,機 能 的 な観 点 に よ る実 体(す な わ ち 機 能 担体)も 含 まれ る. 加 え て,顧 客 の行 動,顧 客 と の関 わ り,活 動 の 可視 /不 可 視 の 詳細 な検 討 を行 う こと によ り,顧 客 を 取 り 囲む サ ー ビス の物 理 的 環 境 を構 成す る(図4(d-1)). 例 え ば,建 物 の装 飾 が 顧 客 の状 態 変 化 に直 接 関 与 しな い場 合 で あ っ て も,顧 客 に 認 知 され る場 合 に は 物 理 的 環 境 を構 成 す る要 素 と して 属性 層 に配 置 され る.活 動 に可 視/不 可視 が 与 え られ た の と 同様 に,サ ー ビス 中 の 実 体 に 対 して も可 視/不 可 視 が 与 え られ る(図 4(d-1) (d-2)).
以 上 によ り,各 層 が表 す 顧 客 状 態,機 能,活 動,属 性 のモ デ ル が 互 い に 関連 付 け られ る.一 通 りの 記述 が 終 わ った 後 は,各 層 の記 述 を相 互 に確 認 しな が ら,同 時 並 行 的 に 繰 り返 し修 正 ・詳 細化 を行 って い く.こ の 際,例 え ば以 下 の 点 に 着 目した 再 分析 が 考 え られ る. ・物 理的 環境 に基 づ く,顧 客の状態パラメータの再分析 ・支 援 活 動 とそ れ に 与 る 実体 に基 づ く,サ ー ビスの提 供 機 能 の再 分 析 4. 実装 によ る検 証 4・1 Service Explorerへ の実 装3章 で示 した 活 動 表現 と機 能 ・属 性 表 現 の統 合 手 法 の有 効 性 を検 証 す る た め,サ ー ビ ス の 設 計 支 援 シス テ ム で あ るService Explorer(8)(9)上に 追 加 実 装 を 行 っ た.最 新 版 で あ る Seryice Explorer [I]E(Xi)(19)ばEclipse Rich Client Platform (20)に基 づ いて 開 発 して お り,本 ア プ リケー シ ョ ンの プ ラ グイ ンの ひ とつ と して機 能 ・属 性 エデ ィ タが 既 に 開 発 され て い る.本 研 究 で は,Eclipseプ ロ ジ ェ ク ト(20)に よ り提 供 され るBPMN Modeler(21)ブラグイ ン を活 動 エ デ ィ タ と して拡 張 し,機 能 ・属 性 エ デ ィ タ との 統 合 化 を 図 った. 4・2 エ レベ ー タの 運 用 ・保 守 サ ー ビス の 記 述 追 加 実 装 を行 ったService Explorerを 用 い て,商 業 施 設 内 のエ レベ ー タ運 用 ・保 守 サ ー ビス を記 述 した.こ のサ ー ビス の 関 係 者 は ,施 設内の店舗 に訪れ るエ レベータ の利 用 者,エ レベ ー タ,エ レベー タ 管 理 会 社,警 備 保 障 会 社 で あ る. まず,最 終 的 な 顧客 で あ る利 用者 の ペ ル ソ ナ と して, 二 児 の 母 で あ る主 婦 「木村 直 美 」 を設 定 し,本 ペ ル ソ ナ に関 す る シナ リオ 「日曜 日に子 供 を連 れ て,自 宅 近 くの シ ョッ ピ ン グセ ンタ ーで 買 い 物 」 を 文章 化 した. これ らに基 づ き,本 ペ ル ソナ が 施 設 内 の エ レベ ー タ を 利 用 す る際 の 基 本 的な 行 動 列 を記 述 し,RSPと して 「移 動 に 要す る時 間 ・手 間(Time and effort to move)」 「安 全 ・安心(Security and safety of service)」 「快 適 な環 境 (Comfortable environment)」 「常時 利 用 性(availability of service)」 を設 定 した.次 に,各RSPに 対 応 す る ビ ュ ー モデ ル を記 述 し,サ ー ビス 全体 の提 供 過 程 をサ ー ビス ・ブル ー プ リン トと して 記述 した.以 下,本 事 例 に対 応 す るService Explorerの 実 行 画 面 を説 明 す る. (1) サ ー ビス活 動 の 表 記 図5は 本事 例 にお け るサ ー ビス ・ブル ー プ リン トの 一 部 を 示 し て い る .利 用 者(User),エ レ ベ ー タ (Elevator),エ レベ ー タ管 理 会社(Elevator company) が プー ル と して 配 置 さ れ,各 プー ル のVisible,invisible レー ン内 に 活 動 が記 述 され て い る.こ こで,エ レベ ー タ はエ レベ ー タ管 理 会 社 の 管 理下 で 制 御 され る実 体 で あ るが,利 用者 と の直 接 の 関 わ りが 多 いた め 主体 と し て 配 置 した.
(a)
(b)
(c)
図5の サ ー ビス ・ブル ー プ リン トは,エ レベー タの 利 用 中 に火 災/地 震 が 発 生 した場 合 の 対 処 方法 を 中心 に示 して お り,こ れ はRSP「 安 全 ・安 心 」 に対す る機 能 を達 成 す る た めの 手 続 き に相 当す る.ま た本RSPに 関 係 す る他 の 構 造 と して,利 用 者 とエ レベ ー タ(図 5(a)),利 用者 とエ レベ ー タ管 理 会社(図5(b)),エ レ ベ ー タ管 理 会 社 と警 備 保 障 会 社(図5中 で は省 略)の 協 調 関係 が 存 在 す る.特 に利 用 者 とエ レベ ー タ,エ レ ベ ー タ管 理 会 社 間 の協 調 関 係 がLine of Interactionを介 して 構 成 され て いる こ とが 分 か る. (2)サ ー ビス 活 動 の 可視 性 エ レベ ー タ,エ レベ ー タ管 理 会 社 内 の活 動 は,Line of Visibilityによ り示 され る 利用 者 か ら可視/不 可 視 の 区 分 に従 って 整 理 さ れ て い る.こ こで の可 視 性 は,視 覚 だ け でな く聴 覚 の 側 面 も含 めて,そ の活 動 が 利 用 者 に 認 識 され 得 るか ど うか を意 味す る.そ の た め,エ レベ ー タ の挙 動 「緊 急 停 止 を ア ナ ウ ン ス す る(Armounce emergency stop)」 や エ レベー タ管 理 会社 の活 動 「簡 単 な 質 問 をす る(Ask the user easy questions)」 は,Visible レー ンに 配 置 され て い る. (3)顧 客を取 り巻 く物 理 的環 境 3.2節(5)で 述 べ た様 に,図5の サ ー ビス ・ブル ー プ リ ン ト内の デ ー タ ・オ ブ ジ ェ ク トは,属 性 層 にお け る 実体 へ の参 照 を示 す.特 に利 用 者 の 行 動 に 関連 付 け ら れ た デ ー タ ・オ ブジ ェ ク トは,利 用 者 を取 り巻 く物 理 的 環 境 を構 成 す る実 体 を 表す(図5(c)).例 え ば,記 述 した モ デル に従 う限 りで は 「点検 証(Inspection sign)」 は ビ ュー モ デ ル に は含 まれ て い な いが,サ ー ビス の提 供過 程 にお い て利 用 者 に認 知 され る こ とを示 す.. (4)機 能 ・属 性 エデ ィタと活 動エ ディタの 連 携 図6は,機 能 ・属 性 エ デ ィ タ と活 動 エ デ ィ タ の連 携 の 様子 を示 して い る.図6(a)(b)(c)(d)は 「移 動 に要 す る 時 間 ・手 間」 「安 全 ・安 心 」 「快 適 な 環 境 」 「常 時 利 用 性 」の 各RSPに 対 応す る ビ ュー モ デル を表 して い る, 活 動 ノー ド右下 に付 与 され た ア イ コ ン は,本 活 動 が ビ ュー モ デ ル 中 の機 能 実 現 の 手 続 き と して 紐 づ け られ て い る こ と を 意 味 す る.例 え ば,活 動 「緊 急 停 止 す る (Make emergency stop)」(図6(e))を 選 択す る と,機 能 ・属性 エ デ ィタ の 文 脈 として 本 活 動 が 与 え られ,本 活 動 に よ り順 に生 起 さ れ る機 能 群 「火 災/地 震 発 生 時
にエ レベー タ を停 止す る(Detect fire/earthquake and stop elevators)」 「異 常 を検 知 しエ レベ ー タ を 停 止 す る (Detect abnormal condition and stop elevators)」 「緊急 時 の 対 応 を 迅 速 か つ 確 実 に 行 う(Respond to the
(a) View model regarding
RSP "comfortable environment"
(b) View
model regarding
RSP "availability of service"
(C) View model ref:larding
RSP "time and effort to move'
(d) View model regarding
RSP "security and safety of service"
(e)
(f)
(q)
emergency quickly and certainly)」 に加 え,当 該 活 動 の 影 響 を受 け るRSP「 安 全 ・安心 」,品 質 を決 定 づ け る エ レベ ー タ の 属 性 情 報 「地 震 ・火 災 セ ン サ の 精 度 (Accuracy of earthquake/ fire sensor)」 を確 認 で き る.
この 情 報 は,図6(f)に 示す ツー ル チ ッ プ に表 示 され る他,図6(g)に 示 す よ うに ビ ュー モデ ル 中の 当該RSP と機 能 ノー ドが 強 調 さ れ る.他 の ビュ ー モ デ ル 中 の RSPと 機 能 は,エ レベ ー タの 緊急 停 止 と関 係 を持 た な い た め に,白 枠 ノ ー ドと し て 表 示 さ れ て い る(図 6(a)(b)(c)(d)).この よ うに して,各 活 動 が果 た す 役 割 ・ 意 味 と利 用者 の状 態 に与 え る影 響 と を視 覚 的 に把 握 で き る. 同様 に して,機 能 ノー ド右 下 に付 与 さ れ た アイ コ ン を選 択 す る と,機 能 実 現 に必 要 な 活 動 の一 覧 を確 認 で き る(図7).図7に お い て機 能 「イ ンター ホ ンを 通 じて緊 急 事 態 を 知 る(Receive calls via intercom)」 は, 利 用 者 の 行 動 「イ ンタ ー ホ ン を取 り上 げ る(pick uo the intercom)」 「質 問 に答 え る(Answer the questions)」, エ レベ ー タ 管 理会 社 の 活 動 「連 絡 を受 け る(Receive the call)」 「簡単 な 質 問 を す る(Ask the user easy questions)」 が 関 連 付 け られ て い る こ とが わ か る.本 機 能 は 利用 者 と の協 調 によ りは じめて 実 現 され る機 能 で あ り,エ レ ベ ー タ管 理 会 社 だ けで な く,利 用 者 の行 動 も機能 実 現 の手 続 き に含 まれ る点 が特 徴 的 で あ る. 5 考 察-表 現 能 力 の 検 証 4章 で示 した 事 例 の 記述 を通 じて,以 下 の こ と を確 認 した. (1) サ ー ビス の提 供 過 程 と顧 客 との 協 調 関係 の 表現 先 の 事 例 で は,エ レベ ー タ 運 用 ・保 守 サ ー ビ ス の 提 供 過 程 に 関 し て,利 用 者 と エ レ ベ ー タ,利 用 者 と エ レ ベ ー タ 管 理 会 社 間 の 協 調 関 係 を含 め て 記 述 し た.本 論 文 で 示 し たBPMNに よ る サ ー ビ ス ・ ブ ル ー プ リ ン ト技 法 に よ っ て,従 来 の マ ー ケ テ ィ ン グ 分 野 に お け る サ ー ビス の 提 供 過 程 と顧 客 との 協 調 関 係 を 計 算 機 上 に て 扱 う こ と が で き た. 日 本 版SOX法(企 業 改 革 法)が 要 請 す る 内 部 統 制 を機 に,各 企 業 は 業 務 プ ロ セ ス の 整 備 と 可 視 化 に 対 応 を急 い で い る.こ う し た 動 き の 中,業 務 プ ロ セ ス の 作 成 ・管 理 の 重 要 性 が 再 認 識 さ れ て い る. 本 手 法 で は,業 務 プ ロ セ ス の 標 準 表 記 法 と して 広 く 普 及 し つ つ あ るBPMNを 利 用 した こ と に よ り, 業 務 活 動 一 般 を対 象 とで き る.加 え て マ ー ケ テ ィ ン グ 分 野 で 議 論 さ れ て き た サ ー ビス ・エ ンカ ウ ン タ ー,顧 客 か ら の 可 視 性,物 理 環 境 の 概 念 を 反 映 す る こ と に よ り,業 務 プ ロ セ ス に お け る サ ー ビス 活 動 の 側 面 が 強 調 さ れ る. 一 方 で,メ ッセ ー ジ ・フ ロー 中 に 定 義 さ れ る メ ッセ ー ジ ン グ の 具 体 内 容 の 記 述 は 十 分 で あ る と は 言 え な い.サ ー ビ ス 工 学 研 究 で は,サ ー ビ ス の 本 質 が 受 給 者 へ の 働 き か け で あ る と捉 え て お り,今 後 の 課 題 と し て,メ ッセ ー ジ ン グ に よ る 具 体 的 な 作 用 を 明 らか に す る こ と が 求 め られ る. (2) サ ー ビス活 動 による機 能 表 現 の統 合 先 の 事 例 で は,RSPご と に 記 述 さ れ た 四 種 類 の ビ ュ ー モ デ ル を 一 枚 の サ ー ビ ス ・ブ ル ー プ リ ン ト を 通 じ て 互 い に 関 連 付 け る こ とが で き た.ビ ュ ー モ デ ル 内 の 最 下 位 機 能 を サ ー ビス 活 動 に 展 開 す る 際 は,各 々 の 機 能 の 詳 細 よ り も,他 機 能 と の 関 係 や 提 供 過 程 全 体 に お け る位 置 づ け が 注 視 され る. 活 動 に よ っ て 個 々 の 機 能 間 に存 在 す る行 間 が 補 完 さ れ る こ と で,機 能 発 現 の 時 間 推 移,顧 客 関 与 を 明 示 で き る. 一 方 で,機 能 と活 動 の 表 記 の 違 い,活 動 の 単 位 な ど,本 手 法 を適 用 す る 上 で の 明 確 な 基 準 の 確 立 が 今 後 の 研 究 課 題 と して 挙 げ られ る. (3) サ ー ビス 活動 に対 する機 能 的 な意 味 の 付 与 サ ー ビス の 提 供 過 程 や 業 務 プ ロセ ス に 着 目 す る 手 法 は 多 く存 在 す る.こ れ ら の 手 法 の 共 通 点 は, 活 動 が 時 系 列 的 か つ 構 造 的 に 記 述 さ れ る た め に, サ ー ビ ス の 全 体 像 を理 解 ・整 理 し 易 い こ と で あ る. しか し な が ら手 続 き の 流 れ に 焦 点 が あ て られ る た め,成 果 物 が 業 務 指 向,マ ニ ュ ア ル 的 に な り が ち で あ り,結 果 と し て 提 供 側 の 視 点 で の 記 述 に 陥 り や す い と さ れ る(12)(22)(23).これ に 対 し本 論 文 で 示 し た 手 法 で は,(a)サ ー ビ ス 活 動 の 機 能 的 な 意 味 と(b) 顧 客 の 状 態 に対 す る 影 響 を常 に 確 認 しな が らサ ー ビ ス の 提 供 過 程 を構 築 す る こ とが で き る.こ れ に よ り顧 客 視 点 で の サ ー ビ ス 活 動 の 記 述 が 担 保 さ れ る.
6. 結 語 製 造 業 が 顧 客 に 提 供 して い る も の は,製 品 を コ ア とす る サ ー ビ ス で あ る.そ こで は,製 品 機 能 そ の も の が 生 み 出 す 価 値 と,属 人 的 な 活 動 に よ っ て 生 み 出 され る 価 値 と が 一 体 と な り顧 客 へ と 受 け 渡 さ れ る.本 論 文 の 目 的 は,製 品 設 計 分 野 に お い て 広 く 用 い ら れ て き た 機 能 ・属 性 表 現 と,サ ー ビ ス ・ マ ー ケ テ ィ ン グ 分 野 で 焦 点 を 当 て られ て き た サ ー ビ ス 活 動 表 現 と を 整 合 を 保 ち な が ら繋 ぎ 合 わ せ る こ と に あ っ た.そ の た め に,サ ー ビ ス 活 動 を 人 的 な 機 能 の 実 手 続 き と して 位 置 づ け,顧 客 価 値,機 能 ・属 性,活 動 の 三 者 を 総 合 的 に 扱 う 手 法 を提 案 し た.本 手 法 を 計 算 機 上 に 実 装 し,実 事 例 へ の 適 用 を 通 じて そ の 有 効 性 を検 証 した. 本 研 究 の 成 果 を 工 学 研 究 の 立 場 か ら 見 た 場 合, サ ー ビ ス 活 動 に よ り示 さ れ る 時 間 的 ・空 間 的 な 文 脈 を 機 能 に織 り込 む こ と に よ っ て,機 能 実 現 に お け る 時 間 推 移 と顧 客 との 協 調 関 係 を 明 示 で き る 点 が 新 し い.マ ー ケ テ ィ ン グ 研 究 の 立 場 か ら 見 た 場 合,活 動 に よ り 生 み 出 され る 機 能 と顧 客 の 状 態 に 対 す る 作 用 の 双 方 を 明 示 で き,顧 客 視 点 で の サ ー ビ ス 活 動 の 記 述 が 容 易 と な る 点 が 新 し い.顧 客 価 値,機 能 ・属 性,活 動 と い う複 数 の 視 点 を使 い 分 け る こ と で,分 析/設 計 対 象 と し て の サ ー ビス を よ り立 体 的 に 捉 え る こ とが 可 能 で あ る. 今 後 の 課 題 と し て,本 論 文 で 示 し た 枠 組 み を 基 に し た サ ー ビ ス の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン技 法 の 開 発 が 挙 げ られ る.サ ー ビス に お け る 製 品 の 振 舞 い と 人 間 の 振 舞 い と を 統 合 的 に 扱 う シ ミ ュ レー シ ョ ン技 法 を 開 発 す る こ と で,サ ー ビ ス の 改 善 と 生 産 性 向 上 を 期 待 で き る. 謝 辞 本 研 究 の 一 部 は,平 成18年 度 日本 学 術 振 興 会 特 別 研 究 員 制 度 に よ る 補 助 の も とで 行 わ れ た. 文 献