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特集 リハビリテーション科専門医のロールモデルとリハビリテーションのエビデンス Jpn J Rehabil Med 2016;53: 回復期リハビリテーション病棟をさらに進化させるために リハビリテーション科専門医に期待すること The Role Which is Expected

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特集

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回復期リハビリテーション

病棟をさらに進化させる

ために

―リハビリテーション科専門医に期待すること―

The Role Which is Expected of Medical Specialists in

Rehabil-itation Medicine to Make More Kaifukuki RehabilRehabil-itation Wards

Evolve

石川 誠

Makoto Ishikawa

Key Words

回復期リハビリテーション病棟/チームアプローチ/質の評価/FIM 利

得/リハビリテーション科専門医

要旨 日本のリハビリテーション(以下,リハ)医療は人口の高齢化とともに発展し, 2000 年に介護保険制度施行とともに回復期リハ病棟が創設された.その後,現在までにリ ハに関する診療報酬は改定ごとに変化したが,理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の国家 資格保持者数の増加,回復期リハ病棟の増加などによりリハ医療は各地域に普及した.しか し,回復期リハ病棟における患者 1 人あたり疾患別リハの平均実施単位数は増加したが functional independence measure(FIM)利得の変化は乏しく,回復期リハ病棟の質 は医療機関間で大きな差があると指摘されることとなった.回復期リハ病棟を有する病院に リハ科専門医が勤務している病院は 2015 年 4 月の時点で 29.4%にすぎない.今後,回復 期リハ病棟にはリハ科専門医の配置を必須とし,質の向上が期待されるところである. * 医療法人社団輝生会(〒110-0015 東京都台東区東上野 1-28-9 5F) E-mail:[email protected]

1990~2000 年までのリハビリテーショ

ン医療

1990(平成 2)年 10 月に『「寝たきり老人」 のいる国いない国』(大熊由紀子著)が出版さ れた.「寝たきり老人」のいる国は日本であり, いない国は北欧である.この本はベストセラー となり,以降「寝たきり老人」が社会問題と なった.「寝たきり老人・寝かせきり老人」を 生み出したわが国は,その解決を病院への長期 入院という方法で対応していた.その結果,一

リハビリテーション科専門医のロールモデルと

リハビリテーションのエビデンス

(2)

1

回復期リハビリテーション

病棟をさらに進化させる

ために

―リハビリテーション科専門医に期待すること―

The Role Which is Expected of Medical Specialists in

Rehabil-itation Medicine to Make More Kaifukuki RehabilRehabil-itation Wards

Evolve

石川 誠

Makoto Ishikawa

Key Words

回復期リハビリテーション病棟/チームアプローチ/質の評価/FIM 利

得/リハビリテーション科専門医

要旨 日本のリハビリテーション(以下,リハ)医療は人口の高齢化とともに発展し, 2000 年に介護保険制度施行とともに回復期リハ病棟が創設された.その後,現在までにリ ハに関する診療報酬は改定ごとに変化したが,理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の国家 資格保持者数の増加,回復期リハ病棟の増加などによりリハ医療は各地域に普及した.しか し,回復期リハ病棟における患者 1 人あたり疾患別リハの平均実施単位数は増加したが functional independence measure(FIM)利得の変化は乏しく,回復期リハ病棟の質 は医療機関間で大きな差があると指摘されることとなった.回復期リハ病棟を有する病院に リハ科専門医が勤務している病院は 2015 年 4 月の時点で 29.4%にすぎない.今後,回復 期リハ病棟にはリハ科専門医の配置を必須とし,質の向上が期待されるところである. * 医療法人社団輝生会(〒110-0015 東京都台東区東上野 1-28-9 5F) E-mail:[email protected]

1990~2000 年までのリハビリテーショ

ン医療

1990(平成 2)年 10 月に『「寝たきり老人」 のいる国いない国』(大熊由紀子著)が出版さ れた.「寝たきり老人」のいる国は日本であり, いない国は北欧である.この本はベストセラー となり,以降「寝たきり老人」が社会問題と なった.「寝たきり老人・寝かせきり老人」を 生み出したわが国は,その解決を病院への長期 入院という方法で対応していた.その結果,一 般病床,精神病床,その他の病床ともに増加し 続け,1990 年には合計 167.6 万床に達し対人口 比で世界最大の病床保有国となっていた. 当時の日本は,リハビリテーション(以下, リハ)医療の充実には積極的ではなかったので ある.ところが疾病構造の変化,人口構造の変 化,国民の価値観の多様化,ノーマライゼー ションの普及,経済状況の変化,医療・介護費 用の増大などから,社会はリハ医療に大きな期 待を寄せるようになっていった.とりわけ人口 の高齢化はそれに拍車をかけた.「寝たきり老 人」の発生防止に,リハ医療は必要不可欠と国 も社会も気がついたのである.厚生省(当時) は「寝たきり老人ゼロ作戦」を展開し,1992 (平成 4)年に診療報酬にて理学療法という章 立てをリハに変更し,総合リハ施設の制度化な どリハ医療の充実に努めた.しかし,リハ医療 の現場はそう簡単には変化はしていかなかっ た.第 1 にリハ医療のリーダーシップをとる医 師が少なかった.リハ医療は按摩・マッサージ と同じであり,医師が関与するものではないと の誤解もあった.第 2 にリハ医療は理学療法士 (以下,PT)・作業療法士(以下,OT)・言語 聴覚士(以下,ST)が訓練室で行うものであ るとの誤解があり,特に病棟では看護職との チームアプローチが育まれなかった.第 3 にリ ハ医療は病状が安定してから開始するものとの 誤解があり,良質なリハ医療の普遍化は遅々と していたのである.1990 年代の 10 年間は,こ れらの誤解を正すために費やされたといっても よい.すなわちリハ医療は医師,看護師,介護 職 員,PT,OT,ST,ソ ー シ ャ ル ワ ー カ ー (SW)などによるチームで実践し,急性期か ら回復期さらに維持期まで,入院から在宅まで 継続することが必要と関係者は努力したのであ る.その結果,2000(平成 12)年の介護保険 制度の施行と同期して診療報酬の特定入院料に 「回復期リハ病棟入院料」が新設され,回復期 リハは名実ともに具現化したのである(表 1). すなわち日本のリハ医療は人口の高齢化ととも に充実したと考えられる.

2000 年 か ら 現在ま で のリハ ビ リテー

ション医療における診療報酬の変化

2000(平成 12)年に回復期リハ病棟は,回 復期リハの適応のある患者を,急性期病院から 可能な限り早期に入院させ,集中的なリハを実 施することにより寝たきりを防止し,日常生活 活動(activities of daily living,以下 ADL)を 向上させ,在宅復帰に導くことを使命とする病 棟として診療報酬制度の特定入院料として発足 表 1 高齢化とともに充実した日本のリハビリテー ション医療 高齢化率 1963 年 日本リハビリテーション医学会創設 5.7% 1965 年 理学療法士及び作業療法士法施行 1980 年 日本リハビリテーション医学会 専門医制度 9.1% 1987 年 社会福祉士及び介護福祉士法,義肢 装具士法制定 1989 年 日本リハビリテーション病院・施設 協会設立 12.0% 日本リハビリテーション看護研究会 (のちに日本リハビリテーション看 護学会と改称)発足 1996 年 リハビリテーション科(標榜科名)認可 14.5% 1998 年 言語聴覚士法施行 1999 年 地域リハビリテーション支援体制整 備推進事業開始 2000 年 介護保険法施行 17.4% 回復期リハビリテーション病棟創設 急性期~回復期~生活期(維持期) リハへ機能分化 2001 年 回復期リハビリテーション病棟連絡 協議会(現回復期リハビリテーショ ン病棟協会)創立 2013 年 障害者総合支援法施行 24.1%

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した. かつてのリハは,構造設備と人員配置基準に よるリハ施設基準と,複雑・簡単に区分された 理学療法,作業療法,言語療法を訓練室で行わ れた実施時間により評価されていた.回復期リ ハ病棟では,訓練室におけるリハと同等に, 日々の病棟生活におけるリハの重要性を認めた ところに特徴があり,チームアプローチを評価 し た 病 棟 で あ る.2002(平 成 14)年 に PT・ OT・ST は複雑(40 分)・簡単(15 分)の区 分から 1 単位 20 分に変更され,2006(平成 18)年には PT・OT・ST のリハ施設基準が廃 止となり,疾患別リハ料となり,同時に患者 1 人 1 日あたり 6 単位(2 時間)から 9 単位(3 時間)の評価となったが,算定日数上限が設定 された.2008(平成 20)年には急性期に早期 加算が新設,回復期リハ病棟に質の評価が導入 され,維持期リハは月 13 単位まで評価される こととなった. 2010(平成 22)年にはがん患者リハ料が新 設され,2012(平成 24)年急性期に初期加算 が新設,回復期リハ病棟の質の評価として 3 区 分が設定された.2014(平成 26)年には急性 期に ADL 維持向上等体制加算が新設され,地 域包括ケア病棟も創設された.そして本年(平 成 28 年)には急性期の ADL 維持向上等体制 加算の評価が見直され,廃用症候群リハ料が新 設された.また,回復期リハ病棟にはアウトカ ム評価として一定の水準に達していない場合, 1 日 6 単位を超えた疾患別リハ料は入院料に包 括されるという厳しい改定が行われた.以上の ように 2000 年からの 18 年間でリハ医療の診療 報酬はめまぐるしく変化した(表 2).一方, 1990 年頃と現在のリハ医療専門職を比較する と,リハ専門医は 187 人から 2,050 人,PT・ OT は約 2 万人から約 20 万人へ増加し,資格 制度がなかった ST は 2 万 5 千人も養成され た.こうした専門職の増加と診療報酬の改定に より,リハ医療の普遍化は格段の進展を遂げた (表 3).このため総医療費におけるリハ医療の 表 2 リハビリテーションに関する診療報酬の推移 2000 年 廃用症候群をリハ適応に追加(介護保険法施 行) 回復期リハ病棟入院料の創設 2002 年 複雑・簡単(40 分・15 分)→個別・集団(1単位 20 分) 2006 年 疾患別リハ料 算定日数上限の設定 患者 1 人 1 日あたり 6 単位 → 9 単位の評価 2008 年 算定日数上限超の 13 単位の評価 早期リハ加算の新設 回復期リハ病棟の質の評価(2 区分) 2010 年 がん患者リハ料の新設 回復期リハ病棟の質の評価(休日加算・充実 加算) 2012 年 初期リハ加算の新設 回復期リハ病棟の質の評価(3 区分) 2014 年 急性期病棟のリハの充実(ADL 維持向上等体 制加算) 回復期リハ病棟の質の評価(体制強化加算) 地域包括ケア病棟の創設 2016 年 急性期病棟のリハの充実(ADL 維持向上等体 制加算の見直し) 回復期リハ病棟のアウトカム評価 廃用症候群リハ料の新設 表 3 リハビリテーション医療資源の 25 年前と現 在の比較 25 年前 (1990 年) 現在 (2015 年) 診療報酬 低 適正化 リハ専門医 187 人 2,050 人(11 倍) リハ看護・ リハ介護 回リハ病棟により発展 理学療法士・ 作業療法士 20,000 人 205,000 人(10 倍) 言語聴覚士 資格制度なし 25,000 人 社会福祉士 3 年経過 回リハ 1:体制強化に規定 リハ専門病棟 なし 回リハ病棟の創設 回リハ病棟:回復期リハビリテーション病棟

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占める割合は,1999(平成 11)年に 1.8%で あったものが,2014(平成 26)年には入院で 5.2%となり,15 年間で約 3 倍に増加すること になった(図 1).当然のことながらリハ医療 に対して厳しい目が注がれることになり,2016 (平成 28)年の診療報酬改定はその第一歩であ り,今後もリハ医療の成果が厳しく問われる時 代が続くことが予測される.

回復期リハビリテーション病棟の整備状

況と実績

回復期リハビリテーション病棟協会(以下, 回リハ協)の調査1)によると,2015 年 11 月の 時点で全国に 1,348 病院,1,714 病棟,76,631 病床の届け出が確認されている.届出数は増加 の一途をたどっており現在も増加中である.人 口 10 万人あたり病床数は 59.8 床となり,回リ 図 1 リハビリテーション医療費の総医療費に占める割合 (%) (年) 6.0 1.8% 5.2% 6単位 9単位 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0 1999200020012002200320042005200620072008200920102011201220132014 入院 入院外 (厚生労働省社会医療診療行為別調査,各年 6 月審査結果) 図 2 都道府県別人口 10 万あたり回復期リハビリテーション病床数 (回復期リハビリテーション病棟協会調査,2015 年 11 月 1 日) 1 348 病院/ 1 714 病棟/ 76 631 病床 (床) 0 20 40 60 80 100 120 140 160 全国平均 沖縄 鹿児島 宮崎 大分 熊本 長崎 佐賀 福岡 高知 愛媛 香川 徳島 山口 広島 岡山 島根 鳥取 和歌山 奈良 兵庫 大阪 京都 滋賀 三重 愛知 岐阜 福井 石川 富山 長野 静岡 山梨 新潟 神奈川 千葉 東京 埼玉 群馬 栃木 茨城 福島 山形 秋田 宮城 岩手 青森 北海道

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ハ協が目標とした 50 床を超す整備状況である. しかし,都道府県別にみると,上位から高知 県:146 床,鳥 取 県:120 床,鹿 児 島 県:117 床,山梨県・徳島県:107 床,下位では茨城 県:34 床,秋田県・福島県・神奈川県:40 床 となっており,都道府県格差は 3.7 倍に及びこ の 解 消 が 大 き な 課 題 と な っ て い る(図 2). 2015 年 11 月の時点で入院料 1 の病棟が 745 病 棟(43.5%),入 院 料 2 が 829 病 棟(48.4%), 入院料 3 が 140 病棟(8.1%)であり,入院料 1 の病棟において体制強化加算を算定する病棟は 435 病棟(28.2%)病院となっている. 回リハ協による全国実態調査報告によると, 入院患者の疾患構成は,脳血管系が 2001 年の 70.8%から徐々に減少し,2014 年には 48.0%と なっているが,整形外科系は 2001 年の 15.1% から 2014 年には 43.3%へ増加し,廃用症候群 は 10% 前 後 を 推 移 し て い た が 2014 年 に は 7.5%と減少した(図 3).疾患別の平均入院日 数は,脳血管系は 89.2 日,整形外科系,廃用 症候群が 2006 年から 57 日前後でいずれも一定 しており短縮はしていない(図 4).自宅復帰 率は 2001 年の 64.8%から 2014 年の 71.6%へ上 昇している(図 5).結果的に 2014 年の 1 年間 で回復期リハ病棟を通過した患者は,286,551 人となり,そのうち 205,170 人(71.6%)が自 宅復帰したと推計される.2014 年の調査では functional independence measure (以下,FIM) 利得は脳血管系が 17.6 点,整形外科系が 16.7 点,廃用症候群が 11.8 点である(図 6).注目 すべきは疾患別リハの実施単位数と FIM 利得 の関係である.2006~2014 年までの推移をみ ると,患者 1 人あたり疾患別リハの平均実施単 数は 2006 年が 3.74 単位,2014 年が 5.80 単位 であり 8 年間で 1.55 倍に増加したが,FIM 利 得は 16~17 点でほとんど変化していない点で ある(図 7).厚生労働省保険局医療課による 2015(平成 27)年度検証調査にても,回復期 リハ病棟における入院中の ADL 向上の度合い には,医療機関間で大きな差があると指摘され た.このため 2016(平成 28)年の診療報酬改 定では,回復期リハ病棟における質の評価とし てアウトカム評価が実施されたのである.

回復期リハビリテーション病棟とリハビ

リテーション科専門医

2010(平成 22)年の診療報酬改定により回 復期リハ病棟に質の評価が導入されて以降,改 定ごとに質の評価が強化されている.一般的に 質の評価は,構造指標,プロセス指標,アウト カム指標の 3 種類の指標が用いられているが, 回復期リハ病棟の質の評価にも多彩な視点が必 要である.構造指標としては,病室の面積,廊 下幅,障害者用トイレおよび障害者用浴室・浴 槽の整備はいうまでもなく,多種類の車いすや 歩行補助具の整備などが指標となる.人員配置 に関しては,リハ科専門医の配置,看護必要度 (日常生活機能評価)に対応した適切な看護・ 介護職員数の配置,適切な病棟専従の PT・ OT・ST・社会福祉士などの配置に加え,栄養 士・管理栄養士などの配置も重要である. プロセス指標としては,多職種によるカン ファレンス実施体制やリハプログラムの策定, 日々の情報交換システムなどのチームアプロー チ体制,看護・介護職員による基本的ケア体 制,さらに PT・OT・ST による 365 日間必要 十分な個別リハを実施できる体制などが該当す る.アウトカム指標としては,急性疾患の病状 安定化および基礎疾患のコントロール,患者・ 家族の心理的安定化(患者満足度),発症から 入院までの期間,重度例の積極的受け入れ体 制,機能障害および ADL の改善度,入院日 数,在宅復帰率,さらに退院後 1~3 カ月後の 生活場所と状態などとなろう.これらの中で最 (年) (回復期リハビリテーション病棟協会調査, 2001 ∼ 2014 年) 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 脳血管系 整形外科系 廃用症候群 57.3 57.2 (日) 平均:76 7日 89.2 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 図 3 回復期リハビリテーション病棟における疾 患別入院患者割合の推移 図 5 回復期リハビリテーション病棟における退 院経路の推移 図 6 回復期リハビリテーション病棟における疾 患別平均 FIM 利得の推移 脳血管系 整形外科系 廃用症候群 (%) (年) 48.0 43.3 7.5 (回復期リハビリテーション病棟協会調査, 2001 ∼ 2014 年) 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 0 10 20 30 40 50 60 70 80 (%) (年) (回復期リハビリテーション病棟協会調査, 2001 ∼ 2014 年) 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 0 10 20 30 40 50 60 70 80 自宅 転院・転棟・ 老健 急変・死亡 21.6 6.9 71.6 (点) (年) 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 脳血管系 整形外科系 廃用症候群 平均:16 8 点 17 6 16 7 11 8 (回復期リハビリテーション病棟協会調査, 2006 ∼ 2014 年) 図 4 回復期リハビリテーション病棟における疾 患別平均入院日数の推移

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で回復期リハ病棟を通過した患者は,286,551 人となり,そのうち 205,170 人(71.6%)が自 宅復帰したと推計される.2014 年の調査では functional independence measure (以下,FIM) 利得は脳血管系が 17.6 点,整形外科系が 16.7 点,廃用症候群が 11.8 点である(図 6).注目 すべきは疾患別リハの実施単位数と FIM 利得 の関係である.2006~2014 年までの推移をみ ると,患者 1 人あたり疾患別リハの平均実施単 数は 2006 年が 3.74 単位,2014 年が 5.80 単位 であり 8 年間で 1.55 倍に増加したが,FIM 利 得は 16~17 点でほとんど変化していない点で ある(図 7).厚生労働省保険局医療課による 2015(平成 27)年度検証調査にても,回復期 リハ病棟における入院中の ADL 向上の度合い には,医療機関間で大きな差があると指摘され た.このため 2016(平成 28)年の診療報酬改 定では,回復期リハ病棟における質の評価とし てアウトカム評価が実施されたのである.

回復期リハビリテーション病棟とリハビ

リテーション科専門医

2010(平成 22)年の診療報酬改定により回 復期リハ病棟に質の評価が導入されて以降,改 定ごとに質の評価が強化されている.一般的に 質の評価は,構造指標,プロセス指標,アウト カム指標の 3 種類の指標が用いられているが, 回復期リハ病棟の質の評価にも多彩な視点が必 要である.構造指標としては,病室の面積,廊 下幅,障害者用トイレおよび障害者用浴室・浴 槽の整備はいうまでもなく,多種類の車いすや 歩行補助具の整備などが指標となる.人員配置 に関しては,リハ科専門医の配置,看護必要度 (日常生活機能評価)に対応した適切な看護・ 介護職員数の配置,適切な病棟専従の PT・ OT・ST・社会福祉士などの配置に加え,栄養 士・管理栄養士などの配置も重要である. プロセス指標としては,多職種によるカン ファレンス実施体制やリハプログラムの策定, 日々の情報交換システムなどのチームアプロー チ体制,看護・介護職員による基本的ケア体 制,さらに PT・OT・ST による 365 日間必要 十分な個別リハを実施できる体制などが該当す る.アウトカム指標としては,急性疾患の病状 安定化および基礎疾患のコントロール,患者・ 家族の心理的安定化(患者満足度),発症から 入院までの期間,重度例の積極的受け入れ体 制,機能障害および ADL の改善度,入院日 数,在宅復帰率,さらに退院後 1~3 カ月後の 生活場所と状態などとなろう.これらの中で最 図 7 回復期リハビリテーション病棟における FIM 利得とリハビリテーション実施単位数の推移 (年) (回復期リハビリテーション病棟協会調査,2006 ∼ 2014 年) 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 (FIM) 6 5 4 3 (単位数) 単位数 FIM 利得 60 65 70 75 80 85 90 95 100

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も重要な点はリハ科の医師配置である.2014 (平成 26)年の診療報酬改定で,入院料 1 の体 制強化加算としてリハ科の病棟専従医が 1 名以 上とされたが,リハ科専門医は義務づけられて いない.2015 年 4 月の時点で,回復期リハ病 棟を有する病院にリハ科専門医が勤務している 病院は,栃木県 61.5%,京都府 56.5%を上位 に,滋 賀 県 12.5%,福 井 県 11.1%,山 口 県 10.5%と大きな地域間格差が存在し,全国平均 は 29.4%にすぎない(図 8).筆者は 2016(平 成 28)年の診療報酬改定で,回復期リハ病棟 の質に医療機関間で大きな差がある理由にリハ 専門医の配置が影響していると考えている.今 後,全国の回復期リハ病棟にリハ科専門医が配 置され,より質の高い回復期リハサービスの提 供が課題と考える次第である. 文 献 1)全国回復期リハビリテーション病棟協会:回復期 リハビリテーション病棟の現状と課題に関する調 査報告書(2002~2014 年版). 図 8 回復期リハビリテーション病棟を有する病院におけるリハビリテーション科専門医配置率 (日本リハビリテーション医学会調査,2015 年 11 月) (%) 0 10 20 30 40 50 60 70 全国平均 沖縄 鹿児島 宮崎 大分 熊本 長崎 佐賀 福岡 高知 愛媛 香川 徳島 山口 広島 岡山 島根 鳥取 和歌山 奈良 兵庫 大阪 京都 滋賀 三重 愛知 岐阜 福井 石川 富山 長野 静岡 山梨 新潟 神奈川 千葉 東京 埼玉 群馬 栃木 茨城 福島 山形 秋田 宮城 岩手 青森 北海道 386 病院/ 1 312 病院(29 4%)

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