• 検索結果がありません。

12p171

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "12p171"

Copied!
20
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

道の駅にユニバーサル・デザイン  指針展開編

ユニバーサル・デザインの練習ノート その一 石田 享平  1 はじめに 近年マスメディアを通じてユニバーサル・デザイン(以下U.D.と記す)にかかる話題 を目にする機会が増えた。しかし、そんな折に紹介される事例に「障害者のため」 の「特別の設備」を設けた建造物が、「U.D.施設」と喧伝されることがある。もち ろん、階段しかない建造物にエレベータを増設するなどして、物理的障壁を除く改 造は意義深く、そのことに異議を差し挟むなにものもない。しかし、それだけの改 造が大まじめにU.D.として紹介されることに困惑を覚える。海の向こうでメイス博 士らがバリア・フリー(以下B.F.と記す)の壁を越えて開いた新境地1)に、B.F.のかけ らを押し込む技に思われるからである。 U.D.は環境と製品の設計に係る新たな概念装置であり、その適用方法や適用範囲 は定式化されていない。また、与えられた環境に新たな環境要素を加え、それらを 綜合する方法は定式化しないことがその特徴にさえ見える。その上、U.D.の成功事 例は誰にもそれと知られることなく、ひっそりと存在することをもって成功とする となると、壊された壁の向こうに乗り出そうとする者にとってコンパスも海図もな い航海になってしまう。この10年ほどは公共空間のB.F.化が大幅に推進され、今後 U.D.を効果的に適用すれば更なる改善が期待できるものと思われる。そこで、本技 術資料では道の駅を対象とし、U.D.の理念を具体の計画、設計に落とし込む事例研 究を行った。 2.道の駅登場の背景と役割 2.1 道の駅の位置付け 道路交通サービスの中に道の駅をどのように位置づけるかにより、検討の枠組み

(2)

が大きく変わる。即ち、道路交通サービスを自動車が安全かつ円滑に走行できる物 理環境の整備だけと見るのであれば、従来からの道路改良を中心とした施策にて十 分である。しかし、道路交通において必然的に介在する人間の属性や一時的な状況 まで視野に入れたサービスを目指すのであれば、おのずと道の駅の施策が重みを増 す。道の駅が提供するサービスのうち、休憩に関連する部分は道路管理者がその整 備を担うとする2)ことから推測すると、道路交通サービスの枠組みは運転者や同乗 者の問題まで視程に納めているように思われる。 2.2 道の駅登場の時代  本道では道の駅の整備が始められるしばらく以前からモータリゼーションの波が 押し寄せ、一般家庭にも自家用車が普及した。また、幹線道路や観光地周辺の道路 の改良が進められた結果、長距離ドライブをする人々のすそ野は拡大した。これと 期を一にして、国民の生活水準の向上は職場や家庭でのトイレの水洗化や衛生環境 の改善をもたらした。そこで、道路交通サービスでも自動車の走行環境だけでな く、一緒に動く人間の活動環境を含め、休憩等のサービスへの要求水準が高まっ た。一方、道の駅の登場以前は休憩等のサービスは主に民間のドライブインなどが 担い、衛生的なトイレ、気兼ねの要らない休憩場所やおいしい食事を提供する店な どは職業運転手らの独占情報であった。そこで、時代は「誰もが」安全、円滑かつ 迅速に走行できるだけでなく、「快適なドライブ」を可能にする環境の創出を求め ていた。 2.3 道の駅で提供するサービス  国土交通省のホームページ2)で利用者のニーズとして次の三項目に整理してい る。 《国土交通省HPからの引用》 −「休憩」ニーズ 「道の駅」利用目的は、休憩とトイレの利用が最も多くなっています。また、「道 の駅」利用者の大半が「道の駅」を旅行の行程に組み込んでいます。

(3)

−「情報発信」ニーズ 「道の駅」利用者の大半に、地域の道路情報や歴史・文化・観光等の情報発信等 の公的な施設としての役割が評価されています。 −「地域の連携」ニーズ 「道の駅」利用者は、食事や地域の特産品の買い物を目的としており、地域から の提供の場が求められています。 《以上引用部分》 長距離ドライブにおいて運転者と同乗者は自動車という狭い密室内で限定的な姿 勢の継続を長時間強いられることから、「休憩」ニーズはある時間間隔で誰にでも起 きる。道の駅による上質な休憩サービスの提供、特に気兼ねの要らない駐車場と衛 生的なトイレの整備は、時宜を得たものとして多くの運転者、同乗者から熱く迎え られた。「情報発信」ニーズはその地域に不案内な人々が安全、安心に走行する上 で、また活動する上で有用な情報提供に大きな役割を果たす。それは日常的な行動 圏から解き放たれた人々が、不案内な地域で運転と活動を行う際の情報支援を担っ ている。 2.4 道の駅の整備状況 本道において同制度による整備が始められた1993年以降、2005年10月までのわず か13年の間に90箇所、年平均約7箇所のペースで道の駅がオープンした。道の駅が導 入される以前は上質な休憩サービスが希薄であったところ、道の駅が新たな環境 サービスを提供したことから、その設置効果は例外なく大きかった。しかし、道の 駅の設置密度が高まるにつれ、後発の道の駅がサービスの内容と質を問われること は必定である。そこで、事業者は周辺自治体との連携や棲み分けなども考慮しつ つ、より効果的な事業展開が必要になるものと考える。 3 道の駅へのUD的な視点 3.1 道の駅の環境特性

(4)

 U.D.の観点から道の駅の計画、設計を検討する際、留意すべき特殊要因として 次の二つの要件を考えた。第一に主要な利用施設である駐車場が野外にあるこ と、第二に一日24時間のサービスの提供を前提とする一方で夜間を含む半日以上 が無人施設となることである。何れの要件も人為的な管理の及ばない利用要素を 抱えることを意味する。その人為の及ばない要件が利用に及ぼす影響を把握し、 必要な施設的な配慮を設計に落とし込むことで「誰もが」利用できる環境の創出 を目指すことが望まれる。 3.1.1 野外施設としての特性 道の駅が野外に主要な機能を備えることから、「誰もが」を「可能な限り多く の人々」と読むだけでは不十分と考え、「いつでも」という時間的な視点の導入 が必要と考えた。即ち、年間を通じた視点からは気候的又は気象的な影響、日間 を通じては夜間の利用環境に留意することが必要である。 通年の視点では風、雨、雪、寒、暑などが移動制約者や老人を含む多くの人々 の利用に対して、野外における利用の障壁となる可能性が考えられるからであ る。特に、雪は降っている間だけでなく、止んだ後も障壁となりうる。除雪が不 十分または不適切であるなどすると長期間に渡り移動障壁として残ることがあ る。更に、たとえ除雪が適切に成されたとしても、スロープなどはひと風が吹け ば移動障壁となることもある。日間の視点からは、夜間の利用環境に対する配慮 が必要と考える。多くの道の駅は街外れや郊外にあり、夜になると辺りが広大な 闇に包まれる場所が多いからである。特に地方の町村では道の駅自体で明度を確 保しないと、周辺からの明かりを期待できない場所が多く、利用に対して不安と いう障壁を醸成する可能性がある。 3.1.2 無人施設としての特性  道の駅は誰もが使える関係上、誰がいつどれだけ居ても理由の立つ施設であ る。他方、道の駅は夜間に施設周辺が暗い上、他人の目が届かない時間帯が長く 続く場所が多い。この二つの要件は利用者にとってプライバシーの侵害やその恐

(5)

れをもたらし、精神的な負担となる。また、道の駅は日中に人の目と手があるこ とから、移動障壁が潜在化する傾向がある一方、夜間誰もいない状況で顕在化す ることがある。そのようなケースでは移動制約を抱える人々が夜間に孤立無援の 困難に陥る可能性があり、施設の計画、設計の段階からかかる利用形態に留意す ることが必要である。 3.2 利用機会の多寡と利用の質 U.D.の「誰もが」使える環境創出を目指すとの考え方を異なる切り口で見る と、多数者はもちろんのこと少数者を含め「可能な限り最大限」多様な人々が使 える環境を目指すと読み替えられる。少数者は多数者に比べ人口が少ないばかり でなく、その割合以上に利用の機会は少ない。サービス提供の方法を検討すると き、一般にその需要の多寡が重要な判断基準となる。しかし、道の駅のサービス を考えるに当たっては、利用の質についても考慮する必要がある。即ち、道の駅 で提供するサービスが中断する場合において、代替サービスを見出すことの難易 度について考慮することが必要と考える。 「休憩」ニーズであるトイレの代替性ついて例示する。多数者である健常者は道 の駅のトイレが使えない場合、夜間でもコンビニや公衆トイレなどの選択肢があ る。他方、障害者用トイレを必要とする人々の場合、特に夜間などに使えるトイ レを見出すことが困難で、現実的対応は目星を付けて何処か確実に使える場所へ 移動することである。排尿の遅延は膀胱内の細菌感染や腎臓への負担などを通じ て合併症発症への誘因ともなることから、障害者用トイレのサービスは一般トイ レに比べその重要性が高い点に留意が要る。 「情報発信」ニーズにかかる地域や道路の情報の代替サービスについて考えると、 土地に不案内な人々が各種情報を容易に得られる場所として、道の駅は大きな役 割を果たしている。しかし、日中であれば道の駅等に寄らずとも道端にいる人に 声をかけ、情報を得る選択肢もある。しかし、日没後によそ者が人通りの途絶え かけた道で、車内から声を掛けて、相手に警戒心や恐怖心を覚えさせないケース

(6)

は少ない。このように考えると、情報への需要の多いのは圧倒的に昼間である が、その代替困難性を考えるとき、むしろ需要の少ない夜間にこそサービスの重 要性が高まる。 4 U.D.的なサービスと設計対象者群 U.D.は設計目標に「誰もが」という表現を用いるために、設計の限界条件を与え る対象者の姿が曖昧に扱われるからである3)。そのような例では「誰もが」と言い つつ、車いす使用者と視覚障害者だけを念頭に、スロープ、身障者用トイレと点字 ブロックを配しただけのU.D.施設が多い。それでは身障者の一部の「ためにする」 整備であり、従来のB.F.と変わるところがない。U.D.により設計するのであれば、 サービスの提供対象者群を多面的に考えることが必要である3)。本章では道の駅の 利用特性を踏まえ、設計条件に影響を及ぼす可能性のある利用者群について概観す る。 4.1 道の駅の利用特性  道の駅は利用者が構内に入ってから実質的なサービスの提供が始まる点で、公 共の用に供する他の一般的な施設と同じである。しかし、他の施設は施設自体が 活動の目的地となる場合が多いのに対し、道の駅は単なる通過点となる場合が多 い。更に、道の駅は運転者や同乗者が利用行動に向かう発端が、生理的な欲求に 基づくこと、及び人々が移動中の任意の場所で利用を思い立つ点が特徴である。 その結果、道の駅は特に休憩ニーズにおいて利用箇所の不特定性が、即ち利用者 の意図に基づくというより偶然が利用箇所を決めることが特徴である。  一般的な施設の計画、設計では、施設構内とその外部との節点における連続性 を考慮すれば十分である。他方、道の駅の計画、設計ではどこか近傍を移動中の 運転者が、場合によってはその道の駅の存在さえ知らない運転者が適切に利用で きるシステムの構築が求められる。換言すると、前者は環境に係る検討範囲が施 設内で完結する自己完結型として扱える一方、後者は施設外までサービス提供の

(7)

範囲を拡大しなければならない構成要素型の取り組みが必要となる。道の駅を自 己完結型として考えるのと、構成要素型と考えるのでは要求されるサービスの内 容はおのずから異なる。本文では両者を視野に入れつつ、サービスの対象者群に ついて検証する。 4.2 構内のアクセシビリティと設計対象者群  道の駅構内に入った利用者に対するサービスは、公共の用に供される一般的な 施設と同様に考えられる。そこで、設計上考慮する対象者グループとして、移動 制約のある(a)「老人」、(b)「乳幼児」、(c)「障害者(移動制約者、視覚障害者 等)」が挙げられる。また、道の駅が情報提供を本来的役割と規定することか ら、(d)「日本語を母国語としない人々」や「視覚障害者等」が対象者群として考 えられる。また、長距離運転では道の駅の利用が深夜に及ぶ可能性があることを 考慮すると、安全と安心への要求水準の高い(e)「女性」や「老人」、及び夜間に 情報の取りにくい(f)「外国人」などという括りが対象者群として考えられる。 4.3 道の駅への誘導と設計対象者群 道の駅を構成要素型として計画、設計する場合には、運転者に対して道の駅の存 在を知らしめること、及び道の駅まで安全、確実に誘導することが必要になる。そ こで、国道を走行中の運転者の誘導を念頭に、サービスを必要とする対象者群を検 証する。 道の駅への誘導が必要な利用者として、第一に(a)「土地に不案内な人々」が挙げ られる。多くの運転者は道路地図や道の駅mapなどにより情報を得るとしても、生 理的欲求が差し迫る地点は特定できない。不案内な土地の交通量の多い幹線道路を 走行しつつ未知の施設を探すとき、誰もが注意力を運転以外に割かねばならず、交 通事故の発生要因を一つ重ねることになる。そこで、運転者を確実に誘導すること は当該車輌だけでなく、他車輌を含め安全かつ迅速な通行に寄与する。また、運転 者が頭の中に地図を展開するとき地名は重要な構成要素であるが、北海道の地名は 当て字が多いため読みにくく、道外の人(a1)にとって覚えにくい名前がある。しか

(8)

し、北海道民(a2)であっても慣れ親しんだ地域外は道外の人と大差がないので、土 地に不案内な人々は道外の人だけにとどまらない。最近、東アジアからの旅行客 (a3)が増えており、それらの方々も土地に不案内な人々に含まれる。 道の駅への誘導が必要な利用者群の第二は、地元の人々を含むすべての人であ る。運転者に土地勘があったとしても、(b)「運転技術が未熟な人々」や(c)「過度に 疲労している人々」など運転者の個人的な状況により判断力が低下し、確実な誘導 が必要となるケースがある。更に、薄暮や深夜、雨天、降雪や荒天などの外的な条 件によって、(d)「熟練運転者」でも土地に不案内な人と同程度の認識能力しか期待 できない状況も考えられる。このような発想に立つならば、適切な誘導はUDの目 標とする「誰も」がサービスの対象者として位置付けられる。 5 U.D.の視点 5.1 道の駅への適用方法 本技術資料では「道の駅」を事例研究の対象とし、U.D.の原則とその指針に則し て計画、設計上の課題を逐条的に展開した。U.D.の原則とその指針は一般的な表現 で達成目標を示すのみであることから、それらを道の駅の計画、設計に適用して条 文を具体の目標に読み替えた。ただし、ここでは施設の各構成要素の具体設計にか かる細部ではなく、どのようなサービスが必要となるのかの観点から読み替えた。 従って、実際の設計に当たっては、アクセシビリティにかかる個々具体の方法につ いて別途検討が必要である。 本検討を進めるに当たり依って立つ処は、「ユニバーサル・デザインの原則1)(以 下同原則と記す)」である。同原則は三つの部分で構成され、まず大本の理念があ り、つぎに7原則がおかれ、最後に附則で他の要件等との関係について述べてい る。各原則には一つの定義と4ないし5、計30の指針が付されている。今回の検証に おいては達成目標が示される30の指針を手がかりに、道の駅にどのような環境サー ビスが必要であるかを検証した。ここに、道の駅の環境を自己完結型と構成要素型

(9)

の両面から検証した。ただし、ここに示す読み替え目標は個々の指針から導かれた それぞれ独立的な要求で、切り口が違えばまったく逆の目標が導かれることもあ る。U.D.という概念装置を如何に使うか、使わないか、またどの条項の要求に重き を置くかは、計画に携わるものの裁量にかかる。 5.2 指針の逐条的な展開 ここでは各原則に付された各指針を道の駅の計画、設計に適用し、逐条的に三段 階で展開した。その概要を表1に示す。展開に当たっては、まず指針に基づき 道の 駅の利用における現状の「問題意識」を探り、次いで提供するサービスの目標に 「読み替え」、最後にそれを計画、設計の形に「落とし込む」手順を踏んだ。各段 階を整理すると次のようになる。 指  針:U.D.の各原則に附されている指針。各指針は「 」で表した。  問題意識:指針を道の駅のサービスに適用するとき、現状から見える問題意 識。  読み替え:問題意識に対応して、道の駅の整備目標に書き直したサービスの内 容。語尾を「考えられる」で統一したのは、個々の駅の状況により対 案が無数にある点を留保したもの。 落し込み:道の駅に読み替えたサービス目標を具体の形にするための方策。 指針毎に示した計画、設計への「落とし込み」の方策は他の要件に対して完全に独 立的な目標である。そこで、「落とし込み」の方策の間で相反する要求内容を含む ことがある。更に、実際の設計ではアクセシビリティ以外にも、経済性その他、多 くの要求項目の間で価値を綜合することが必要となる。それら相反する目標や要求 項目を計画、設計の総体に如何に組み込むかは、次の段階における検討課題であ る。 5.3 サービスの対象者群 前節の表1でU.D.の原則の指針を道の駅に適用し、読み替えたサービス目標を表

(10)
(11)
(12)
(13)

2に再整理した。指針を読み替えるに当たり、念頭においたサービスの提供対象者 群を同表に記した。前節での展開を経て、その対象者群の多様さが提供するサービ スとの関係と共に具体になった。各指針を展開する際に想定した限界条件付近の利 用対象者群は、二つの視点から抽出されていることが分かる。即ち、その対象者群 自体に由来する問題意識と、利用者を取り巻く環境に由来する問題意識とがある。 前者については次のように整理できる。   属人的な特性(土地に不案内な人、老人、乳幼児、女性等)   能力的な特性(移動制約、視聴覚制約等)   状態的な特性(運転未熟、疲労等) また、後者については次のように整理できる。   気象条件(強降雨、降雪、吹雪、強風等)   環境条件(薄暮、深夜、樹木、隣接施設等) 後者については人間的な要件に関わりなく、周辺状況等により「誰もが」対象者と なりうることを示す。なお、本文では道の駅のサービスを包括的に扱うことから、 同表では網羅的に対象者群を示した。そこで、個々具体の計画、設計においては個 別的な視点からサービスの対象者群を絞ることが必要となる。 5.4 目標課題の再整理 前節で個々の指針から導かれたサービスの目標課題は、計画、設計の観点から次 の4グループに大分類し、表2に示した。   − マクロの配置計画   − ミクロの配置計画  − 利用者の誘導計画   − サービス提供の方法 上の大分類毎にサービス目標の概要を以下に再整理した。 5.4.1 マクロの配置計画  各道の駅が個別、独立的にサービスを提供するのではなく、総体で機能を発揮す

(14)
(15)
(16)

るシステムとして捉え、北海道内を走行する人々に等しくサービスを提供するとの 目標が提起された。即ち、網状に張り巡らされた国道を利用する人々に対して、何 処にいても或る水準以上のサービスを提供する環境の創出である。これに関連する 課題は四つで三つの内容に分類できる。 (1)道の駅の設置密度の総体管理(課題1と22) 生理的欲求は任意の場所で起こり、急速に昂進しがちであるが、必要を覚えると きに誰もが的確にサービスを利用できるシステムの創出が求められる。道の駅 の利用者は通常移動しているので、何処で要求が起きるか想定できないことから、 道の駅の設置時間間隔に上限を設けるなどの方策が考えられる。 (2)代替ルートのサービス水準の維持(課題5) 各自治体がそれぞれの利便性だけで道の駅の設置場所を選定すると、路線間の サービス水準に偏りが 生ずる可能性がある。そこで、均衡あるサービスの提供のた め、道の駅の設置計画において分布密度と機能分担に配慮することが求められる。 (3)利用度の高い路線の重視(課題12) 幹線道路が分岐・合流、交差、また並行する自治体では、路線毎の交通量に基づ く重要性に鑑み配置場所を決めることで、限られた資源で効率的なサービスを提供 することが求められる。 5.4.2 ミクロの配置計画(課題6と16)  ミクロの配置計画では走行中の車輌を安全、確実に流れから離脱、復帰させられ る場所の選定が求められる。流れから離脱する運転手が判断に紛れの少ない場所、 また多くの運転者が多様な運転操作を要しない場所などが主な配慮事項となる。 5.4.3 利用者の誘導計画  移動する利用主体に対し北海道内に分散する道の駅が総体で一定水準のサービス を提供するには、任意の地点から道の駅まで、運転者を安全、確実に誘導するシス テムの構築が求められる。本文では道路案内標識による誘導を前提とし、U.D.の指 針の読み替えから五つの課題で三つの要求項目が提起された。

(17)

(1)認識し易い案内標識(課題9と14) 道の駅へ向かおうとする運転者にその誘導標識を確実に認識させられる方策が求 められる。即ち、道路区域内及び周辺の各種標識、看板類の中から、案内標識がそ れと分かる差別化が求められる。 (2)判りやすい駅の名前(課題15) 案内標識は道の駅を利用しようとする人々が高速で走行中の車内から確認するも のである。誰もが容易かつ正確に判読できる簡明な名称が望まれる。 (3)確実に誘導する設置方法(課題13と17) 案内標識は任意の地点を走行中の運転者に対し、その先に道の駅があることを知 らしめ、そして最寄りの駅まで確実に誘導する設置方法が求められる。 5.4.4 サービス提供の方法  道の駅構内において提供するサービスの方法に関して、多岐にわたる目標が13課 題提起されたが、四つの要求項目に分類、整理した。 (1)共用化の環境整備(課題2、19、21、23と24) (1.1) 標高差への適正な対応(課題2と21) 道の駅構内の駐車場G.L.と利用施設F.L.との間に標高差を設けない。地形条件等に より標高差の導入が避け難い場合には、できる限り多くの人が自律的に利用できる 環境に整えることが求められる。 (1.2) 人と車輌の動線管理(課題19) 施設利用者の安全を図るため、人と自動車が交錯する区域を集約すると共に、そ れが分かるように明確に区切ることが求められる。 (1.3) 誰もが使える平面的、立体的環境(課題23) 道の駅の施設内通路とサービスの利用空間がしばしば重なることから、平面構成 への配慮が求められる。また、誰もが見たり触れたりし易い立体的な空間構成への 配慮が求められる。

(18)

(1.4) 誰もが止め易い駐車空間(課題24) 車の運転に不慣れな人々を含む誰もが駐車や発進がし易い大きさと動線への配慮 が求められる。 (2)サービス維持の管理運営(課題7と18) (2.1) 衛生や積雪の日常的管理(課題7) 誰もが物理的にも精神的にもアクセシブルな環境を通年で維持するため、利用施 設の除雪や清掃等、日々の管理を適切にすることが求められる。 (2.2) 故障の発生時の対応策(課題18) 道の駅が提供するトイレや情報のサービスが停止する事態に備え、代替サービス の入手困難な利用者群への対応策の事前準備が求められる。 (3)快適に使える環境整備(課題3、4、8と20) (3.1) 安心して24時間利用できるトイレ(課題3) 道の駅は街外れや郊外に多いため、夜間など他人目の希薄な時間帯の利用があ る。他方、どのような人々がいるか判らない施設なので、誰もが安全、安心に利用 できる環境の創出への配慮が求められる。 (3.2) 誰もが立ち寄りたくなる誘因(課題4) 疲れるまで、また疲れても停車したくない運転者心理に働きかけ、疲労が蓄積す る以前でも立ち寄ろうと思わせるサービスの展開が求められる。 (3.3) 各自のペースで使える駐車空間(課題8) 自動車の乗り降りに時間と空間を要する人々が自分のペースを守れ、同時に他の 人々も自らのペースを妨げられない空間の使い分けが求められる。 (3.4) いつでも使える休憩施設(課題20) 一年365日、一日24時間のいつでも利用者が必要と感じるときに、安全かつ安心し て休憩をとられる環境の整備が求められる。 (4)説明要らずの使用法(課題10と11)

(19)

(4.1) 何処でも同じ基本的サービス(課題10) 道の駅がいつでも何処でも誰にも等しく提供するサービスの項目と条件を選定 し、基本的サービスと決めることが望まれる。 (4.2) 誰もが使いやすい情報提供(課題11) 情報を必要とする人々が必要なときに入手できるシステムの構築が求められる。 また、コンピュータ操作に経験の少ない人や日本語の読めない人への配慮も望まれ る。 これらの課題認識を踏まえ、道の駅の整備状況に関する現況調査、分析と如何な る対応策が考えられるかに関して、次回の現況調査編にて述べる。  指針展開編あとがき  本技術資料ではU.D.の原則を道の駅の計画、設計に適用し、各指針を読み替える こと通じて要求項目を展開した。本文では各指針とも読み替えを一つだけ例示した が、実際の設計過程では複数の読み換えの必要な場合が多い。いくつかの要求項目 は相反する性格を持っている。また、附則まで視野に入れると経済性その他を加味 した上で妥当性の検証が必要であり、個々に例示した個別の項目について鵜呑みに しないで頂きたい。従って、北海道の道路交通環境改善の観点からは、その他多く の視点を包括する研究が必要になると思われる。 U.D.の理念を具体の設計に落とし込むのはこの課題を洗いだした後の作業であ り、それは一般論ではなく個々の道の駅の置かれる周辺環境等に合った解決策を採 る必要がある。また、相反する価値を折り合わすのではなく、綜合3)する取り組み もU.D.の真骨頂であり、設計の醍醐味でもある。更に、計画、設計の過程で施設に よる対応が困難な要求が少なからず残るが、その課題を施設管理者に適切に伝える こともU.D.的な取り組みである。なぜなら、U.D.に基づく設計は何処までも完全な どあり得ず、ハードで及ばないサービスをソフトで補うことも有効な手段だからで

(20)

ある。   謝  辞  本文を調査し、まとめるに当たり、環境研究室の佐藤嘉昭君が趣味のツーリング の折り撮影した道の駅の写真を提供してくれた。また、利用環境等について実体験 に基づき貴重な助言してくれた。筆者とは異なる視点からの指摘が多く、また触発 される内容を含んでいたことを記し、謝意を表する。 参考資料 1) ユニバーサル・デザインの原則:石田享平、http://river.ceri.go.jp/envcom/ udabc31.html 2) 道の駅:国土交通省道路局、http://www.mlit.go.jp/road/station/road-station.html 3) アクセシブルな園路の設計計画:石田享平、http://river.ceri.go.jp/envcom/ udtry2.html 土木研究所寒地土木研究所月報2006年6月号掲載

参照

関連したドキュメント

算処理の効率化のliM点において従来よりも優れたモデリング手法について提案した.lMil9f

ちな みに定理の名前は証明に貢献した数学者たち Martin Davis, Yuri Matiyasevich, Hilary Putnam, Julia Robinson の名字に由来する. この定理により Halt0 を

ひかりTV会員 提携 ISP が自社のインターネット接続サービス の会員に対して提供する本サービスを含めたひ

第 1 項において Amazon ギフト券への交換の申請があったときは、当社は、対象

張力を適正にする アライメントを再調整する 正規のプーリに取り替える 正規のプーリに取り替える

システムであって、当該管理監督のための資源配分がなされ、適切に運用されるものをいう。ただ し、第 82 条において読み替えて準用する第 2 章から第

個別の事情等もあり提出を断念したケースがある。また、提案書を提出はしたものの、ニ

層の項目 MaaS 提供にあたっての目的 データ連携を行う上でのルール MaaS に関連するプレイヤー ビジネスとしての MaaS MaaS