沖縄大学土曜教養講座(第 483 回)/NACS-J 生物多様性の道プロジェクト
報告書
フォーラム「地域を知るコツ!」
~生物多様性地域戦略につながる第一歩~
日時:2011 年 10 月 8 日(土)13:00 ~ 17:00
主催:日本自然保護協会(NACS-J)
共催:WWF ジャパン、沖縄大学地域研究所、沖縄・生物多様性市民ネットワーク
後援:沖縄環境ネットワーク、環境省那覇自然環境事務所、沖縄県サンゴ礁保全推進協議会
supported by Give2Asia
発行・2012 年 5 月
沖縄大学土曜教養講座(第 483 回)/NACS-J 生物多様性の 道プロジェクト
報告書 ・ フォーラム 「地域を知るコツ!」
~生物多様性地域戦略につながる第一歩~
日時:2011 年 10 月 8 日(土)13:00 ∼ 17:00 会場:沖縄大学 2 号館 306 教室 主催:日本自然保護協会(NACS-J)<プログラム>
13:00 開催挨拶・進行 安部真理子(日本自然保護協会) 13:05 生物多様性地域戦略とは 柴田泰邦 (環境省那覇自然環境事務所次長) 13:15 第1部:話題提供「地域を知るコトで見えてくる」 (1)「沖縄島のサンゴ礁の現状」 富永千尋 (沖縄県自然保護課課長) (2)「久米島応援プロジェクトによる久米島での活動事例」 権田雅之 (WWF ジャパン) (3)「地元の住民自身がモニタリングをすることの重要性−」 中野義勝(琉球大学/沖縄県サンゴ礁保全推進協議会会長) (4)「市民調査で自分たちの地域づくり」 開発法子 (日本自然保護協会事務局長) 15:00 第2部:グループディスカッション 「地域を知るコツ!を考えよう」 ファシリテーター:鹿谷麻夕 ( しかたに自然案内) 16:55 閉会の挨拶 桜井国俊 ( 沖縄大学/沖縄環境ネットワーク世話人) 17:00 終了<講演者プロフィール>
◆柴田泰邦(しばた やすくに) 環境省那覇自然環境事務 所次長 1993 年、京都大学農学部卒業後、環境庁(当時)に入庁。 北海道(大雪山)などの現地や環境省本省に勤務し、特に 野生生物課では久米島のキクザトサワヘビ保護区の指定や 漫湖鳥獣保護区のラムサール条約登録、仲の神島島鳥獣保 護区の現地調査などに従事。国土交通省局への出向のほか、 人事院在外研究員として米国国立公園局に派遣。2010 年 9 月より現職(那覇自然環境事務所統括自然保護企画官(次 長))。 ◆富永千尋(とみなが ちひろ) 沖縄県自然保護課課長 沖縄生まれ、沖縄育ち。琉球大学理学部大学院にて海洋学 を専攻する。沖縄の海と関わる仕事を目指し、卒業後、沖 縄県に就職、農林水産部漁政課、企画部科学技術振興課研 究評価班長、観光商工部新産業振興課技術支援班長、産業 政策課副参事を経て、環境生活部自然保護課長に就任する。 1993 年には沖縄県人材育成財団の援助で沿岸域管理(CZM) をテーマに米国留学の機会を得るなど、海と人との関わり に興味を持っている。 ◆権田雅之 (ごんだ まさゆき)WWF ジャパン 自然保護 室南西諸島プロジェクト担当 愛知県生まれ。日本大学農獣医学部 ( 当時 ) を卒業。在学 中 および卒業後、ワオキツネザルやコモドオオトカゲの 生態調査プロジェクトに参加。その後、オーストラリアの ニューイングランド大学地域科学・ 自然資源学部修士課程 で、国立公園のオーバーユースと地域に与える影響などを 調査。同課程修了後は、環境コンサルタント会社勤務を経 て、現 職。WWFジャパンでは、助成金支援事業担当、総 務担当などを経て、本年より現職に着任。 ◆中野義勝(なかの よしかつ)琉球大学 / 沖縄県サンゴ礁 保全推進協議会会長 琉球大学大学院理工学研究科生物学専攻修了(理学修士)。 サンゴの生物学とサンゴ礁の生態学、人とサンゴ礁の関わ りの基礎についての理解とその展開として環境教育などを 通してサンゴ礁保全に取り組んでいる。琉球大学熱帯生物 圏研究センター技術専門職員。 沖縄県サンゴ礁保全推進協議会会長、日本サンゴ礁学会サ ンゴ礁保全委員会委員長。 ◆鹿谷麻夕(しかたに まゆ)しかたに自然案内 東京生まれ。1993 年来沖、琉球大学理学部海洋学科にて 海洋生物学を学ぶ。東京大学大学院理学系研究科中退後に 沖縄に戻り、2002 年より「しかたに自然案内」主宰。県 内の小中学校や市民グループを対象に、海の自然観察や環 境教育、環境保全の活動を行なう。珊瑚舎スコーレ講師、 沖縄大学・琉球大学非常勤講師。 ◆開発法子(かいはつ のりこ)日本自然保護協会事務局長 日本自然保護協会に在職して 24 年。国立公園サブレン ジャーや自然観察指導員の養成、環境教育事業、東京湾三 番瀬の保全活動等に携わってきた。2010 年から事務局長 をつとめ、沖縄・泡瀬干潟の海草藻場モニタリング・保全 活動のほか、海岸植物群落、里やま調査など市民参加型地 域自然のモニタリング調査手法の開発と実施、「人と自然 とのふれあい」研究に取り組んでいる ◆安部真理子(あべ まりこ)日本自然保護協会 保護プロ ジェクト部 大学、大学院にて生物学と生化学を専攻し、WWF ジャパ ンに 8 年間勤務。オーストラリアのジェームズクック大 学院修士課程に留学し、続いて琉球大学博士課程にてアザ ミサンゴの多様性に関する研究で博士号(理学)を取得。 1997 年に日本国内でのリーフチェック立ち上げに関わっ た一人であり、以来コーディネーターをつとめている。沖 縄リーフチェック研究会会長、日本サンゴ礁学会評議員、 沖縄県サンゴ礁保全推進協議会理事。2010 年 4 月より日 本自然保護協会にて沖縄の問題や日本の沿岸の問題を担当 している。開催挨拶
安部真理子(日本自然保護協会) 皆さん、こんにちは。日本自然保護協 会の 安部と 申します。 台風 9 号の影 響で開催が遅 れてしまいま したが、たくさん の方々にお集 まり いただ き、あり がとうございます。 今回のフ ォーラム開催に至る趣旨 ですが、 地域の 現状を把握 するこ との 大切さを、いろ いろな立場の 方々に再認 識して いただきたい と思い この場を設け ました。モニタリ ング、つ まり継続して調査をする ことはつま らない と思 われがちです が、それがとて も大切であ るとい うことを各方 面から 説明して頂け るスピーカーをお願いいたしました。 一部では それぞれのス ピーカ ーからの事例 の紹介 を頂きます。そして二部で はス ピーカ ーの先生方も 交 え て、 沖 縄 と い う 地 域 を 守 っ て い く 方 向 を い っ しょに考え作業をしていきたいと考えています。 配付資料の中に「地域を知ること アンケート」 があります。これは第二部 で使 おうと 思っています ので、ご記入お願いします。 それでは 最初に、 環境省那覇 自然環境事務 所次長 の柴田さん から「生物多様 性地 域戦略 とは」という お話をいただきます。よろしくお願いします。生物多様性地域戦略とは
柴田泰邦(環境省那覇自然環境事務所次長) 皆さん、こんにちは。ご紹介いただき きま した環 境省の柴田 です。私からは 地域 戦略を 策定すること の意義や地 域戦略 をめぐる最近 の動き などについて お話ししたいと思います。 最初に生 物多様性の国家戦略と、都道府県 の地域 戦略があり、国家戦略の話 から してい きたいと思い ます。最初の国家戦略は平成 7 年に策定されました。 過 去 3 回 改 訂 さ れ て お り、 来 年 度、COP10 の 成 果 を受けて改訂する予定になっています。 その中で地域戦略の位置づけですが、平成 19 年 に第 3 次 国家戦略の中で 自治体参画の 重要性を明記 しました。その後、制 定さ れた法律にも地方自治体 の規定があります。また、COP10 の前の COP9 でも、 地方自治体の参画促進を促す議決がされています。 平成 21 年に環境省で、地方自治体に積極的に参画 していただ くため に自治体向け の手引 きを作ってお り、地 域戦略の意義等に関 して はこの 中に記してあ ります。 沖 縄 県 に 限 ら ず 各 地 で 地 域 戦 略 の 策 定 が 進 め ら れ て お り、 全 国 の 自 治 体 で 情 報 交 換 を す る た め の ネットワー ク作り も進 んでいます。自 治体が地域戦 略を作るこ との意 義で すが、国 家戦略 はどうしても 国土全体を 見て全 国的な視点か らの包 括的なものに なり、 また国の戦略ですの で条 約上の 義務であると か締約国会 議の議 決を受けてと いう形 になりがちで す。その中では地域の自然がそれぞれに違いがあり、 課題がある という ことはなかな か見え てこないので すが、 やはり生物多様性戦 略を 地域の 中で進めてい く上では、具体的な場所で どの 政策を 展開すべきか など、地域にあった提案をしていく必要があります。 そこに地域戦略を策定する意義があるわけです。 その戦略 に参加すべき 主体の 顔が見えてく るとこ ろが地域戦 略の意 義として非常 に大き くなってきま す。そ のような戦 略を作ること で、持続可能な地域 作りが実際 に、具体的に展 開さ れてい くというのが 地域戦略の趣旨です。 次に国の 目から見て地域に期待す る戦略です。沖 縄で生物多 様性が 語ら れる中で、アン パルのカニを 素材にした 民謡が ある のですが、その 唄は石垣島の アンパルと いう湿 地に住むカニ の誕生 日をほかのカ ニが助け合って恩返しするという趣旨の唄です。15 種類のカニ が民謡 の中 に登場します が、それぞれの カニの生態 を活か して唄ってい るとこ ろに特徴があ り、こ れはまさに 生物多様性で す。条約や国家戦略 など難しい ことが 言わ れる以前から、 沖縄では生物 多様性というものが生活の中に定着していたので、 そのような 地域の 個性を大事に してい ただきたいと いうのが一点です。 それから もう一点は、住民の 目線を取り入 れるこ とです。国家戦略ではなか なか 目が届 かないところ が地域の人 たちの 目線 です。こ れは国 家戦略そのも のの課題で すが、 なかなか実効 性の ある戦 略、計画 になってい ないと いう 指摘を受けま す。現場の人が知らない、あるいは現場に 届い ていな いという課題 が国家戦略 を進め る中 で常に出てき ますが、それを 補うことが できる のはやはり地 域戦略 ではないかと 考えております。 生物多様 性というと、どうし ても自然科学 や生物 学の狭い領 域に偏 って しまいがちで す。国家戦略で もいろいろ 努力は しま したが、 生物多 様性という言 葉自体なか なか認 知度がまだ低 いとい う現状があり ます。 その 中で、アンパル の民 謡のよ うに、生物多 様性という のは実 は日常の一般 生活と 密接に関係し ていますの で、こういう事 例を 住民の 目線でぜひ引 き出していただきたいと思っております。 データを 元に忠実に作業していく と、国家 戦略み たいになっ てしま いが ちですが、その 意味でもでも 住民の目線、地域の目線を 取り 入れる 工夫をして頂 ければと思っております。 県レベルで言いますと、全国で半分くらいの県が 既に策定さ れた、あるいは 策定 中とい う状況にあり ます。どのようなところが 有力な地域戦略ですか、 という質問 がよく 出て、千 葉県 の戦略 がよく取り上 げられます。しかしよその 場所 の真似 をして作るよ りも、 特に沖縄の場合は生 物多 様性と いう観点で言 うと、 いろいろな 独自の要素を 持っ ている ので、こ れを契機に 地域の 中で自然との つきあ い方を見直し てみよう、また逆に国家戦 略の 方に問 題を投げかけ るような、そのような意気 込み で作っ ていっていた だきたいと思っております。 最初に国 家戦略の見直しの話をし ましたが、少し 宣伝だけさ せてい ただ きますと、来年 度に向けて国 家戦略の見 直し を進め る中で、 今月、来月くらいで 地方 8 都 市にて国家戦略 を見直すため の地方座談会 を開 催し ており ます。那 覇 に関 して は、今月 の 25 日に県庁 の近くの八汐 荘で午後 2 時か ら開催する予 定です。今週からプレス発 表や チラシ を配ったりし たいと思っ ており ます ので、一 般の方 の参加も是非 よろしくお願いします。 この場が 意義あるフォ ーラム になることを 期待い たしまして、私の話を終わらせていただきます。
第1部 ・ 話題提供
「地域を知るコトで見えてくる」
安部:それでは次に「沖縄島のサンゴ礁の現状」と 題しまして、沖縄県自然保 護課 課長の 富永千尋さん お願いします。話題提供 「沖縄島のサンゴ礁の現状」
富永千尋(沖縄県自然保護課課長) 皆さま、こんにちは。ただいまご紹介 にあ ずかり ました沖縄 県自然 保護課長をし ており ます富永と申 します。どうぞよろしくお願いいたします。 本日は沖 縄大学土曜教 養講座 という非常に 歴史の 長い講座で、かつ日本自然保護協会のフォーラム「地 域を知るコツ」で発表する機会をいただきまして、 たいへん感 謝して おり ます。今 回のフ ォーラムの要 旨を見せて いただ きま して、私 なりに その中で大事 な点を 2 点ということで理解しております。 まず一つ は、生物 多様性を保 全して賢く利 用する ということ、それ から、そ れを子どもたちにつなげ るという一連のことです。このような取り組みの第 一歩として、地域の人たち が自 らの足 で自分たちの 自然を観察 し、そ の価値、 その恵みを理解していく こと、それが非常に大事であるということ。 それから もう一つは、地域が 主導してやっ ていく ような調査 と、我 々のような行 政と か大学、それか ら NGO がやる専門的で広 範囲な調査、こういった ものが融合 してい く、その こと によっ て市民と行政 が対話しな がら生 物多様性に関 する戦 略を作り上げ ていく。こ の 2 点が非常に 重要かなと私 は感じまし た。そこで私 からは、 いま県がサ ンゴ礁に関す る全県 的な調査を やって おり ますが、 その事 業からどうい うことがわ かっ たのか、それか ら、県のほうからど んな情報を 皆さま に提 供し、こ れを共 有して活用し ていくことができるのか、そういった点についてお 話をさせていただきたいと思います。 今日、 私がお話しす るのは 4 つ です。最初に、こ の調査の背 景と趣 旨に ついてお話し いたし ます。次 に、ど んなふうにして調査 して いるの かという調査 の概要、そ れから、その調 査の 結果、沖縄のサンゴ 礁はいまど んな状 態に なっているの か、そして最後 に、こ れからの取り組みに つい て紹介 させていただ きます。 沖縄県による全県的なサンゴ礁調査の背景 まず、調査の背景です が、サンゴ礁に 関す る全県 的 な 調 査 は、1990 年 頃 に 環 境 庁 が「第 4 回 自然 環 境保全基礎 調査 」を行 っていますが、それ 以降、そ う い っ た 大 規 模 な 調 査 は 行 わ れ て お り ま せ ん で し た。10 年くらい前から、白化現象とか赤土の問題、 それからオ ニヒト デの 大量発生など、 各地でいろい ろと報告が ありま す。そう いう ことで 健全なサンゴ 礁が非常に 減少し ているという ことが 危惧されてい て、全 県的な把握が必要だ とい うよう な背景があり ました。 調査の目 的として は、県内の 各地域に おけるサ ンゴの生育状況とともに、それらのサンゴに影響を 与える攪乱 を把 握し、地域特性 を踏 まえた 対策、サ ンゴ礁の適 正かつ 効果 的な保全・再生 を推進すると いうことです。 調 査 は お お む ね 3 年 か け て 行 わ れ て い ま す。 2009 年は沖縄島とその周辺、2010 年には八重山と 慶 良 間 諸 島、2011 年、 今 年 で す が、 宮 古 島と そ の 他の離島と いうふ うに 調査を行って おりま して、そ れをもとに、将来 的に はサンゴ礁の保全・ 再生・活 用計画につなげていくというのが一つの流れです。 どんなふうに調査をしているか 次に調査 の方法です。ご存じ のようにサン ゴ礁の 地形は、イノー=礁池とリ ーフ =礁斜 面という二つ に大きく分 けられ ます。そ のう ちの礁 斜面について は、マ ンタ法とい う調査方法で 行っ ていま す。これ は、調 査員が小型船に引っ 張ら れなが ら水中を目視 し、記 録するやり 方です。 リーフエッジをこのよう に船で引っ張られながら、ずっと観察していくわけ です。 次に礁池 内、イノーの 中です が、ここ につ いては ス ポ ッ ト チ ェ ッ ク 調 査 と い う 方 法 で 調 査 し て い ま す。これは、調査員がおよそ 50 メートル四方の範 囲を 15 分間遊泳し、サンゴの生育状況などを調査 する方法です。 沖縄のサンゴ礁はいまどんな状態か これが調査結果です。これは全県域の ものです、 地図の下に 被度の 線が 出ていますが、 赤いところが 5%以下、黄色が 5 ∼ 10%というふうに、色でサン ゴの被度を表しています。ご覧になってわかる通り、 赤いところ が多い というのが沖 縄本島 周辺の特徴で す。礁斜面のほぼ 8 割はサンゴ被度が 10%以下と、 全体的に低い状態にあります。ただし、そういう中 でも、 例えば大浦湾の礁斜 面と か今帰 仁崎山の礁斜 面、 それ から宜野湾 離礁、 そうい った 場所で一部、 サンゴ被度が 50%を越える高いところも確認され ているということです。 どういう 種類のサンゴ が多い かということ につい ては、右下の円グラフに出ていますが、水色の部分、 これ が 29%で すが、ハ マ サン ゴ類 で す。こ の 割合 がいちばん高いという状況です。 次に、これはイノ ーの中のス ポットチェッ ク調査 の報告です。少し見にくく て申し訳ありませんが、 赤や黄色、ブルー の点が出てい ると 思いま すが、こ こでも全体 的に サンゴ の被度は低い。しか し、部分 的に被度の 高い群 集が広い範囲 に存在 しているとい う状況です。ここ でも同じよう に、優占している種 (1) H21 (2009) H22 (2010) H23 (2011) 調査概要
はハマサン ゴ類が いちばん高い という ことがわかっ ています。 これは久 米島での 調査結果 です。ここ は比較的 寒色系 の色が多い。 要するに 25%以上 のところが 出てき ますが、久米島周 辺の礁斜面で は全体の 4 割 が サ ン ゴ被 度 25 ∼ 50% で す。1 割 が 50% 以上 で、 沖縄本島と 比べる と、比較 的に サンゴ 被度の高いと ころが多い。ここ の優占種は多 種混 成種か、もしく はミドリイシ類の割合が高いというのが特徴です。 スポットチェック調査の結果も、サンゴ被度 25 ∼ 50%のところが多いということで、イノーの中も高 いサンゴ群集の割合が多いという結果です。 これからの取り組み 最後に、今後の取り組 みとい うこ とで、こ のよう な情報を我 々とし ては発信して いきた いと考えてい ますが、一つはまず、沖縄県のサンゴ礁を地図とし て出したい。印刷 物として配布 する、それからデー タとして自 然保護 課の ページに掲載 してい く、でき れば関係団 体とも リン クしていただ いて、そこにた どり着けるようにしたいと考えています。 実際にい ま、自然 保護課のホ ームページを 見てい ただくと、沖縄本島につい ては 報告書 が全部出てい ます。それをご覧になっていただくと、こんな図が 出ています。これは三つか 四つ の地図 を合わせて加 工 し た も の で す が、 報 告 書 で 掲 載 さ れ て い る サ ン ゴ礁地図に は複数 の調査結果を 重ねて 表示していま す。こ れが 特徴で す。一つ は環 境省が 作成 した「サ ンゴ礁マッ プ 2008」の図が 入っていま す。この黄 色いところやブルーのところです、これは、当時、 環境省がまとめた調査における被度です。 その次に もう一つは、赤土等 流出危険度予 測調査 というもの があ り、これで流域 がわ かりま す。市町 村の区分で はな く、流域です。ここの水がどういう 方向に 流れていくか、そ の 1 単位の流域 を示してい ます。 それともう一つは、WWFJ さんが作成した「南西 諸島の生物 多様性 評価プロジェ クト」 の海域区分が あります。これも重ね合わ せているということで、 特徴として は、海と陸とい うの を一緒 に考えていく 場合に、ここの海域はこう いう 単位で 構成されてい るということがわかると思います。 この情報 を発信することによって、これか ら地域 で調査する場合も、そのバ ックグラウンドになる。 そのような 使われ 方が されていくと、 非常にいいと 考えています。 これは、同様に慶 良間の海域 を全部集めて 表示し ているもの ですが、例えば この ような ものをグーグ ルの上に落として見れるようにするということも、 いま検討しているところです。 この一つ 一つの帯が調査したライ ンですが、そこ をクリック したと きに、そ この 今まで の情報がテキ ストで出てくるというのも、いま予定をしていて、 どれくらい 取り込 める のかわからな いので すが、こ れまで出ていたサンゴ礁の状況や、場合によっては、 水質のデー タがあ ると ころは水質、そ ういったもの を重ね合わせていけたらいいと考えています。 あとは、こういった情 報をも とに して、ま だこれ は仮称ですが、サ ンゴ 礁の保全・再生・活用計画と いうふうなものにつなげていけたらということで、 今年はその 素案み たいなものま で作れ ればいいと考 えています。そう いうことをす るこ とによ って、最 終的には、豊かな美ら海の 再生 という ことにつなげ ていければと思っています。 最後に私の話のまとめです。県は 2009 年度から サンゴ礁調 査を 行っておりまし て、2011 年度まで に全県域を 調査し、その結 果を 広く情 報発信してい きたいと考えています。併せて、この結果を踏まえ、 サンゴ礁の 保全・ 再生・活 用計画の素案を作成して いくということです。いま、県の「21 世紀ビジョン」 の中では、特に生 物多様性の保 全や 陸域・水辺環境 (1) 8 サンゴ礁資源調査:調査結果(マンタ調査)
の保全が基本施策の項目として掲げられており、特 にサンゴ礁が持っている生物多様性は経済的価値に 加え、 防災や文化の面でも県民に多くの恩恵を与え ていると考えます。そういうことで、沖縄らしい豊 かな自然環境を劣化させることなく次世代に引き継 ぐために、サン ゴ礁の保全・再生・活用計画と、生 物多様性地域戦略の策定を進めてきたいと考えてお ります。 最 後 に こ の 場 を 借 り て 少 し PR さ せ て く だ さ い。 これは県の農林水産部が取り組んでいるイベントで すが、来年秋に糸満市で「豊かな海づくり大会」が 行われます。「美ら海沖縄大会」という名称になっ ていて、このテーマは「守ろうよ、奇跡の星の青い海」 というものです。この大会のホームページを、ここ に来る前にちょ っと見てき たいのですが、そこで最 新の情報として、本部町でのグリーンベルトの植栽 イベントが上が っていまし た。要するに、海を保全 する場合に陸が大事だということがだんだん皆さん わかってきて、こういうものが「海づ くり大会」の 中で出されてい るというこ とに、私は非常に感銘を 受け、 ようやくこのような時代になった、という感 じがしました。特に、この あと権田さ んの方からお 話しになる久米島のプロジェクトも、実は私も先日、 久米島に行った ときに地元 の人から聞いて、面白い 取り組みをしているなと思い、権田さんのお話を非 常に楽しみにしております。 自然保護課と しましても、サンゴ礁の保全をする 場合に、いろいろなところと連携していかないとい けない。これは県庁内でもそうですし、県庁外でも そうです。そうい うことで、今後もよろしくお願い したいと思 います。これで 私の 話を終 わらせていた だきます。 安部: 富永 さん、ありがと うご ざいま した。行政な らではの大きな取り組みに期待しています。 富永さん にご質問があればお一人、お二人 ならお 受けしたいと思います。 質問:沖縄市で翻訳・編集をやっております平松と 申します。富永さ んだけではな く、こういった取り 組み全体に つい てです が、二つ あり ます。一つは言 語的な側面です。「生物多様性地域戦略」という言 葉そのもの がすで に漢 語の造語です。 この語そのも のが、例 えば小学生 では理 解できない。一方、「守 ろうよ、奇跡の星の青い海」、これはヤマト言葉で すね。 こういう言 語的な面で、こういった活動の普 及を妨げて いる側 面が 必ずあると私 は思い ます。私 の考えですけれども、例えば「そもそも生物多様性っ て何なの?」と いうよ うな レベルから小学生にもわ かるような 出版物 を刊行するこ とを検 討する予定は ないでしょ うか。私は理数 系が さっぱ りわかりませ んので、まず、 言語的 なと ころでそういうことを思 いました。 それから もう一つは、たとえ ばサンゴ礁が 荒らさ れるという ことで オニヒトデの 存在は 無視できない と思います が、オニヒトデ の天 敵であ るホラガイを ハブとマン グース のようなこと になら ないような慎 重さを持っ てホラ ガイ を放す。 そして オニヒトデが 充分に減っ たら、 ホラガイを引 き上 げる、というよ うなことも ありな ので はないかな、と 私は思ってい ます。 質問 という より、こ んな 考えも ある、という ことで挙手 させて いた だいた次第で す。素人の考え ですが、心の片隅にでも止 めて いただ ければと思い ます。ありがとうございました。 富永: ありがとう ございます。特に言葉の問題はま さ し く そ の 通 り で す。 私 は 今 年 4 月 か ら 課 長 に な りましたが、最初 は「生物 多様 性って 何で すか、こ れ は?」 と い う よ う な 感 じ で し た。 最 近 よ う や く メジャー化 してき たと 思いますが、や はりこれをつ なぐような いい言 葉をこれから 考えて 行かなくては ならないと 思っ ていま す。これ は一 例です が、面白 21 200 8 W W F 200 9 沖縄県内のサンゴ礁の状況(沖縄島南部)
いなと思っ たの は、大阪でした か、生物多様性戦略 を大阪弁で 書いて いるというよ うな話 も聞いていま す。そうすると、沖縄でも方言でいい言葉はないか。 例えば「つながり 」だったら「ユイマール」みたい なイメージ もある でし ょうし、 我々も 戦略を作りな がらいろい ろ探し てい きたいですし、 今言われた普 及版みたい なもの も、子ど もた ちにど う伝えるかと いうことで取り組んで行きたいと思っています。 オニヒト デとホラガイ につい てはしばらく 考えさ せてください。 安部:続きまして WWF ジャパンの権田雅之さんか ら、久 米島応援プロジェク トに よる久 米島での活動 について、ご発表 いただきます。よろしくお願いし ます。
話題提供 「久米島応援プロジェクトに
よる久米島での活動事例」
権田雅之(WWF ジャパン) 皆 さ ん、 こ ん に ち は。WWF の 権 田 と 申 し ま す。 今回、 お話しさせ ていただく内 容は、資料の中にあ るように、南西諸島生物多 様性 評価プ ロジェクトと 久米島応援プロジェクトについてです。 実は私 がこのプロジ ェクトを担当 したのは 3 ヶ月 ほど前で、非常に短い時期 しか 関わっ ていませんの で、ア ウトライン的な話に なっ てしま うかもしれま せんが、できるだけ具体的 内容 につい てお話しさせ ていただきたいと思います、よろしくお願いします。 まず、この「 南西諸島生物多様性評価 プロ ジェク ト」について、書いてある通り、2006 年 10 月から 取り組みを始めました。WWF は南西 諸島に 長年関 わってきま したが、全体を 網羅 した生 物多様性評価 資料があり ません。まずそ れを 作る作 業が必要では ないか、と いう話 にな りました。その 資料 を、いろ いろな方々、団体、個人、企業も含めてさまざまな 場面で使っ ていた だく ということで、 南西諸島全体 の保全に資 するよ うな 活動になれば いいか な、とい うのが製作企画の始まりです。 このプロジェクトは WWF が旗振り役になりまし た が、50 名 を 超 える 多 く の 団体・ 個 人 に 関わ って いただきま して、 評価する方法 とし ても、かなり網 羅的に、動物分類も網羅し ましょうということで、 ほ乳類、鳥類、両生爬虫類、昆虫、魚類、甲殻類・・・等々 といった専 門家の 方々 にもご参加い ただき、全域の 実調査を交 えなが らや りました。ここ に書いてある 通り、全地 域の 3 割を各重 要地域として 抽出できる ようにしま しょう、という のを 一つの 指標として設 定しまして、それぞれの分類群ごとのエリアを GIS で重ね合わ せ、そ の生物情報を 整理 した結 果、この ように、生物多様性上重要 だと 考えら れる地域を全 域で導き出しました。 ほかにも、それぞ れの動物分 類ごとのデー タもあ りますし、そういったものをまとめた CD も入口の ところで無 料で配 布し ておりますの で、手に取って 見ていただ ければ いい かなと思いま すが、こういっ た 形 で 非 常 に 分 厚 い 内 容 の も の が で き ま し た。 こ れは研究者から NPO、NGO、場合によっては企業、 専門の調査 会社の 方も協力して 書いて いただきまし たで、 かなり大がかりに関 わっ たので はないかと思 います。ホームページから ダウ ンロー ドすることも できますし、紙媒 体であれば、フィールドレポート とプロジ ェクトレポー トという 2 冊に わたるもので すが、大きな地図付きのものを今日 10 冊くらい持っ てきていま すので、ご興味 のあ る方は お持ちいただ いて、 いろいろな 場面で使って いた だき、参考にし ていただければいいかな、と思います。 副産物的 な成果としても、絶 滅したと考え られて いたオキナ ワトゲ ネズ ミの発見があ ったり、社会学 的な面も多 少取り 入れ ましたので、千 件を超えるア ンケート結 果から 住民の意識調 査もま とめることも できましたし、私ではなく 前任者がやりましたが、 いいものができあがったと思っています。 次 に、WWF とし て実際に生物多様 性を守 ってい く 活 動 に 入 っ て い こ う と い う こ と で 立 ち 上 げ た の が、この久米島応援プロジェクトです。目的として は、地 域の活性化 を含めた形で、自然環境の保全と 持続的な利 用をし ていく地域モ デルを 構築しようと い う こ と が 一 つ で す。 も う 一 つ は、 こ れ は 3 年 の 短いプロジ ェクト で私 は実は今、石垣 島に在駐して いるのです が、久米島に通 って のアプ ローチをとっ ています。立ち上げ段階に 携わ った前 任者もこの通 い型アプロ ーチ で、同じスタイ ルを とりま した。常駐型ではなくそういう形で地域を支援していくこと が、結果として何ができあがるのか、成功なのか、 失敗なのか、これはトライアルだと思って我々は活 動しているので すが、その結果をとりまとめて、ほ かの地域で同様の活動をしていらっしゃる方々に参 考になるような 資料をまと める。これも出版にする かウェブサイト上で配布の電子ファイルにするか、 検討していると ころですが、結果を総括し、とりま とめをして、成果物として発表する予定です。 こちらもやはり、先ほどの 50 名まではいきませ んが、 いろいろな専門家に関わっていただき、海洋 生物学の専門家、赤土に関する専門家、地域協議会 の運営や地域作 りの専門家、振興に関する取り組み をやってきた人、社会学的な面の専門家、広報・PR に関して、広告代理店に勤務している方ですけれど も、そ ういったメンバーの合同チームとして久米島 応援プロジェクトを立ち上げることになりました。 3 年と申し上げましたが、2009 年 10 月にスター トし、今、2011 年 10 月ですので、3 分の 2 が終わっ たこと になります。 残り 1 年とい う中で、そろ そろ ラストスパート、最終ゴールをめざしているところ です。活動の資金としては、3 年間。資金は三井物 産の方から資金をいただいています。 先ほどの生物 多様性マップの結果、非常に重要な 島であるという こと、クメジマボタルやキクザトサ ワヘビなど、そういった固有のものもいる、その生 態系が、主に赤土によってですが、危 機に してい るという緊急性から久米島を選定しました。 その活動 のコアになる視点は、やはり赤土 対策を 進めていく、その活動を地 元が 行う基 盤を構築する ことを支援 する。 そのためには、そこにある自然そ のものも、我々がやろうとしている活動についても、 島の方々に 理解し てい ただく必要が ある、協力し参 加していた だく必 要が あるというこ とで、サブ活動 としての広 報・PRの活動 がは ずせな いのではない か。つまり学校での教育に も取り組む必要がある。 そういうこ とで、コア活動 とサ ブ活動 の両輪で動か しています。 これがさ っきのプロジ ェクト の構成メンバ ーです が、具 体的にはこういう方 々に 入って いただいてい ます。 東京の方の組織であ れば 国環研 や自然環境研 究センター の方、 広告代理店の 方、そして東京経済 大学の方に は社会 学的な側面か ら調査 をして頂いて います。沖縄の専門家とし ては 沖縄県 の衛生環境研 究所、琉球大学の研究者の方で NPO 法人を立ち上 げられておられ NPO として参加いただいています。 他に沖縄県 環境科 学セ ンターの方な ど、それぞれの 専門性を活かして取り組んでもらうということで、 その連合体で動いています。 久米島に もさまざまな ステー クホルダーが います の で、 町 役 場、 地 方 行 政 こ れ は は ず せ ま せ ん。 ま た、そ れに取り組んでいら っし ゃる地 域の自然保護 団体・NPO、これは今、3 団体の方々と一緒に活動 を進めています。 それ から学校、教育 委員 会、それ らが連携し てそれ ぞれの活動で 関与し ながら最終的 には農地へ の赤土 対策を進める という 取り組みにな りますので、農家さんへの 働き かけは 役場にもやっ ていただい てい ますが、その調 整員 として、例えば 久米島製糖 ㈱の現 業員の方に入 ってい ただいたりと いったような関係を構築しているところです。 赤土対策 を進めましょう、と 言った時に必 ず必要 になる点が、実際 にどこをどう 対策 するべ きか、そ の優先順位 をどう 付け るかというこ とが問 題で、国 立環境研究 所の専 門ス タッフに依頼 し、沖縄県から 提供いただ いたデ ータを元に作 付けの 作物や農地の 地形、 面積などを 圃場一筆ずつ 評価 した結 果、抽出 したものが要対策圃場として 2 段階、3 段階レベル で選定がで きまし た。そこ に関 して集 中的に取り組 むということで、10 ∼ 18%の赤土削減を地域全体 WWF 2006 10 ) 南西諸島生物多様性評価プロジェクト
でしていくことができます。 その結果、海域の調査 から導 いた ところでは、赤 土をそこまで減らすことができるのであれば、1 年 間で 10 ∼ 18%削減できるということなので、それ を 10 年間続けていけば、サンゴ礁が生育を回復で きるところ に持っ てい けるだろうと、 科学的にそう いう数値を生み出したということです。 これはと ても重要なことだと考え ていまして、対 策費、 とる べき方 法、これ らを、何をどういった優 先順位でや ってい けばいいのか という ことを考えて いく上で、こんなふうに科 学的 に情報 を整理して数 値として導 き出し てお くということ が大切 です。こ のあと、モニタリングしな がら 継続し て評価してい くわけです が、そのときに もこ ういう 数値で出して おくと継続 して見 てい くことができ る、対策シナリ オを作って いく上 では欠かせな い作業 だろうと考え ます。 これがそ の地 図ですが、今回、久米島 の中 でも赤 土の影響が 大きい と考 えられた地域 として、儀間川 流域を集中 して取 り組 んでいます。こ の地域に関し て、圃 場を拡大し ますとこんな 感じ ですが、色分け しながら、緊急で 対策を要する 圃場、緊急ではない が要対策圃 場、こ れらを対策す るこ とで、全域から 見ても相当 数減ら すことができ るとい う数値を地図 として出すことができました。 コアの活 動の①として はこの 赤土対策の活 動があ り、実 際その対策 をしていく中 で、我々が陰になり ながら働き かけ、基本的に は役 場主導 で農家さんへ の協力依頼 を働き かけ ていく。 その活 動として民間 の地域の団 体の方 々に参加して いただ くということ で、グ リーンベルトや緑肥 とい ったこ とを進めてい ます。 次のコ ア活動の②と して、地域 の NPO へ働 きか けると いうことで、さっ き 3 団体あると 申しました が、そ れぞれの団 体は、こ れまで活動を続けてこら れて、 それぞれの 特色や良さが ある。それらを集約 した、 結果として 赤土対策の促 進に 持って いく。そ んな流れが できな いか ということで、 例えば島外者 向け滞在交 流をさ れている団体 には赤 土対策のプロ グラムを組 み込ん でも らう。学 校教育 をされている 団体に関し ては、実際に現 場に 足を運 んだりしなが ら、子 どもたちに 身近な問題と して、地元の環境に そういった 問題が 起こっている のだと いうことを伝 えてもらう。さら には、地 元の企業で構成される社 団法人がありまして、民間助成という、たいへん珍 しいケース だと思 いま すが、島 内の地 元の企業がお 金を出し合 って地 元の 保全にお金を 付けて いく。そ のような民 間助成 制度づくりに 取り組 む活動を協議 しています。 サブ活動 としては保護活動のほか に、各メ ンバー が所属して いる団 体で の広報機会の ほか、地域の活 性化を図っ ていく ための久米島 の魅力 について広報 支援。併せて、石垣島白保の WWF サンゴ礁保護研 究センター(私が常時いる とこ ろです が)による石 垣島との交流を行ったり、いろいろな活動も含めて 動いています。 昨年 10 月には、久米島町と協定書を締結するこ と が で き、 資 材 を 提 供 い た だ け る こ と と な り、 い くつかの圃場ではグリーンベルト植え付け活動を 3 回、中 学生たちが 参加して行っ てい ます。グリーン ベルトとして、ベチバとい うイネ科の植物ですが、 こういったものを植えて赤土対策行っています。 こ ち ら は 先 ほ ど 触 れ ま し た 団 体 で す が、 地 元 の NPO が 旅行 者 滞在 型の プロ グ ラム や修 学 旅行 のプ ログラムを実施しており、そこに赤土問題を入れて いくとか、または学校の教 育現 場で赤 土の問題を取 り 上 げ て い く と い っ た よ う な こ と を 支 援 し て い ま す。 最後にも う一つ、 社団法人で 民間助成制度 準備を 行っている 団体が ある と言いました が、具体的には 20 件くらいの圃場に対してお金を付けることがで 要対策圃場の抽出
きるのではない かと見込ん でいます。いったん助成 制度を実施をし てみる、その支援金として、他の地 元連携団体らと 同様に委託 事業として、久米島応援 プロジェクトが お金を付け るというかたちで、いま 動 か し て い る と こ ろ で す。 併 せ て、SPSS( 底 質 中 懸濁物質含量) 法、赤土の評価手法ですが、先ほど の専門家のメンバーが技術供与をするというかたち で、この団体に働きかけ、「久米島海を守る会」と いう団体なので すが、調査法を習得されて、すでに 結果をこういった形でウェブにアップされていらっ しゃいます。これを継続していくことで、海の方の 状況も継続してモニタリングしていくことができる のではないかと考えています。 これもまた副産物的な発見というか成果ではある のですが、久米島のナンハナリという海域で日本最 大級のサンゴ群落が確認され、地元では以前から知 られていたので すが、正式に調査されていなかった ということで、研究者が入りました。これはかなり 話題になり、相当なものが見つかったと NHK ニュー スが取り上げた り、大手新聞にも記事として取り上 げられたり。また、海底の 鍾乳洞から は新種のヌマ エビ発見、といったような成果も上がっています。 難しいところや課題もあり、地域にある組織同士 の協力体制づく りには、やはり活動歴の違いがそれ ぞれありますし、構成メンバーも様々な方がいらっ しゃいますし、組織の母体がいろいろなものを抱え ているので、協力体制を作るのがなかなか難しい。 活動の思想や、それぞれがこれまでされてきたこと への自負、そういったものが要因になっているとこ ろもあります。ちょっとした意見の食い違いが遺恨 を残してい て、かなり個人 的な ものか なという気も しなくもな いので すが、す れ違 いが生 まれてしまっ たり、 方法論の違 いとか評価・認識の違いもありま す。ま た、行政 は非常 に重 要なキーパーソンだと考 えてい るのですが、担当 者が 3 年くらい で代わって しまう。せっかくの人脈と か経 験や知 見がリセット されてしま うとい う現 実もあります し、議会の方針 だとか国税 の地方 交付次第によ って付 けられる予算 が毎年変わってしまうとかいったような難しさは、 ほかの活動 もみん なそ うだと思いま すが、同様に感 じています。 最終 的に我々は、この 3 年の活動をと りまとめた 成果物として、「外部の者による通い型での地域作 りへの働き かけ 」の成 果を、成 功・失敗を含めてで きるだけ赤 裸々に 書けるところ までは 書きまとめた いと考えていますので、楽しみにしていてください。 今回のこ のフォーラム の趣旨 にも関係する と思う のですが、保全活動にはやはり専門家・技術者の存 在が必要だ という こと、そ れに 行政も プラスした形 で、地 域で活動している方 々や 団体と のつながりを コーディネ ートす る人も必要な のだろ うと感じてい ます。 もう 一つは、やはり お金 です。先ほど言いま した社団法 人のよ うに お金を生み動 かせる 立場、そ ういったか たちが あれ ばいいのです が、なかなかお 金が続かな いとい うこ とになると、継 続性が失われ てしまう。この三つは地域 作り におい て非常に大事 なポイントであると考えています。 私が今い る石垣島の白保でWWF は、常駐 型の地 域作りをや ってい ます ので、石 垣島に 来られる機会 がありまし たら、 ぜひお立ち寄 りく ださい。どうも ありがとうございました。 安部: 久米島のご 報告ありがと うご ざいま した。時 間が大幅に オーバ ーし てしまいまし たので、権田さ んへのご質 問はの ちほど休憩時 間に個 人的にお願い いたします。 それでは次のスピーカー、琉球大学、沖縄県サン ゴ礁保全推 進協議 会会 長の中野義勝 さん、よろしく お願いしま す。地元の住民 自身 がモニ タリングをす ることの重 要性に ついてお話し いただ きたいと思い ます。 効果的で現実的な土壌保全策の推進の仕方
話題提供 「地元の住民自身がモニタリ
ングをすることの重要性
把握→比較→展
望、 数字 (データ) から言葉 (認識) への脱却
」
中野 義勝 (琉球大学/沖縄県サンゴ礁保全推進協議会会長) こん にち は、 中 野 です。15 分間 お付 き 合 い く だ さい。 お話しに興味があり まし たら今 後ともよろし くお願いします。 8月の台 風のさなか浦 添まで 来て一度は名 護に戻 り、 そ の 後 2 ヶ 月 U タ ー ン し て、 や っ と 今 日 こ こ に り着きました。 その間、いろ いろ ありました。 今週のビッグニュースは、スティーブ・ジョブス亡 くなりまし た。彼 は今日のテー マに とって、とても 重要な人物です。 どういう ことかと言いますと、地域の調査 という のは、 そこに人がいる場所 では さまざ まな形で必ず 行われてき まし た。しかし、どこに何があるかとい うリストも ないこ とが 多いので、我々 研究者がその 地域のデータを見ることはほとんど不可能でした。 きちんと出 版され たものであれ ば大学 の図書館へ行 き全国の図 書館、世界の図 書館 に資料 要求ができま す。し かし、そ ういっ た埋 もれた資料を見ることは できません でし た。それが、彼がコンピューターを 誰でも使え るとい うアイデアを 出した とたんにネッ ト上で検索できるようになりました。 先ほど、多様性とは何かという話がありましたが、 僕なりの解 釈は、多様性と は関 わりで あるというこ とです。多様性を 紙に書くと、白い紙の上にいっぱ いいろいろ な点を 打っ たり、い ろいろ な形を書いた りする。でも、 それが 一個 だけで存在するというこ とはまったく意味がない。それが関わることがとて も重要です。 生物が 1 種くらい絶滅してもいいじゃないか、と。 いいですよ、じゃあ 2 種絶滅させましょう、3 種絶 滅させましょう、5 種絶滅させましょう……。それ が飛 行機 の部品 だった らど うなる か。10 個 目で落 ちるかもしれません。それはなぜかというと、1 個 1 個の部品はわずかな関わりしかありませんが、飛 行 機 を 飛 ば す、 あ る い は 高 度 を 維 持 す る と い う 大 きな目的に それぞ れの部品が何 らかの 関わりを必ず 持っている。意味を持って そこ に組み 込まれている からです。生物の 場合も、 今日のチラシにもありま すが、文化・地域との結びつき、関わりの中にある。 多様性=(イコール)ネッ トワ ークだ というふうに 僕は考えています。 そうする と、もう一つ、地域というも のを どう読 み解くかと いうこ とが 出てきます。こ れも簡単なよ うで難しい 言葉 です。つい最近 の新 聞によ ると、浦 添・宜 野湾・那 覇の消 防が 統合しようとして失敗し ました。な ぜか。浦添は、浦添市民の税金を使って 消防署を整 備して きた のに、な ぜよそ の消防区域の 分まで負担 しなく てはいけない のか説 明がつきませ ん。消 防の行政区 域と市民の行 動域・経済域が一致 していないことが問題です。そうすると、この「域」 という言葉 は「域圏」とい う言 葉に言 い換えて考え てみることができると思います。 先ほど久 米島プロジェクトの話が ありました。あ そこは島で す。島 の出入りは船 か飛 行機で す。それ 自 体 は ク ロ ー ズ ド と し て 域 圏 を 考 え る こ と が で き る。僕は名護に住んでいますが、陸続きであっても、 名護は経済・行政的に一つ の域圏を形成している。 これはつま り、どういう域 圏で あるか ということを まず考えな いと、 そこの保全も でき ないし、ネット ワークもで きない とい うことです。ネ ットワークが かすれたと ころが 域圏 のボーダーで す。完全に切れ ているはず はな い。ただ、 濃密に関わる場所とそう でない場所 がある とい うことになる。 それを地図の 上にいっぱ い重ね 合わ せますと、これ もコンピュー ターが進歩 しまし たから様々な 情報が 層状になって 沖縄県サンゴ礁保全推進協議会の中野さんいく。これは GIS という方法で、数字を使わなくて も、目 で見 た地図 で、なる ほど と、先ほど皆さんは 納得されたと思います。 もう 5 分くらい経っ てしまいまし たが、何を言い たいかといいますと、まず、その場所を知る。知って、 ほかの場所 と比 較する。すると、その関わりの密度 がわかります。そ うす ると、将 来、この関わりがど うなるかと いう展 望が 何となく見え てきま す。それ を、我 々研究者は データを作っ て議 論しま すが、先 ほど、 コーディネーターが 必要 だとい うことが出ま したけれど も、こ れを普通の言 葉に 代えて、みんな が共通の認 識を持 つことができ るよう にする必要が あります。この一 連のプロセス をや るため には、地 域でモニタ リング をす ることがとて も重要 です。一 連の作業を して みて、経験があ って 理解し、考える 力が着いて くる。それをネ ット ワーク 化することが 重要です。 ちなみにモニタリングといいますと、例えば今日、 ここに来る まで に何回、信号に 引っ かかっ たか。皆 さんが何人、車で来て、その車に何人乗っていたか。 それを全部 モニタ リン グする。 そうい うのを考えた らいいです。 僕は 毎日 1 回だけ、実 験所の桟橋 に出て、バケツ をボチャン と入れ て、温度 計を バケツ にボチャンと 入 れ て 水 温 を 測 る。 そ れ が 20 年 分 溜 ま り ま し た。 毎日たった 1 回ですよ。それをずっと見ていくと、 その年その 年にあ った生態学的 な大き なイベントが 温度と関わるのだということがよくわかる。 皆さんよ くご存じのマ ウナロ アという火山 の観測 点で 90 年間、二酸化炭素の濃度を測りました。90 年 で すか ら、1 人 の 人 間 で は絶 対 で き ま せん。「 あ なたお願いね」「お願いね」とバトンタッチして 90 年。最 初に発案し た人がコンセ プト、意味を説明し たから、みんなや ったのです。やっているうちによ く わ か る。90 年 経 った ら、誰 が 見 て も わ か る 右 肩 上がりのグ ラフに なり ました。 これは とても有名な 実証例です。 先ほど多 様性の話をしましたが、多様性の 多い生 態系、 これは生物 の話になりま すが、2つの代表的 なものをあげますと、一つはサンゴ礁、もう一つは 熱帯降雨林 です。沖縄の照 葉樹 林もこ れに含めてい いと思いま すが、 共通点は何か とい うと、とても温 度が高くて 安定し てい るということ です。温度が高 いだけでは ダメで す。安定 して いると いうことがむ しろ、 生物の進化 の実験の場合 には 重要で す。そこ でさまざま な種分 化が起こった ことが 生物多様性の 増加だということができます。 先ほど言 いましたネッ トワー クというのは どうい うことかと 言いま すと、サ ンゴ の中に 褐虫藻という ものがいま す。さまざまな 生き 物の生 態学的な骨格 をサンゴが 作っ ていま す。そこ に住 んだり、食べた り食べられ たり、 いろいろな関 係が できま す。先ほ ど新種が見 つかっ たと 言いましたが、 新種は新種で 必ず何かと 関わっ てい ます。そ の関わ りを線で見る 習慣をつけたらいいです。洞窟の中に生きているエ ビは、その洞窟がなくなったらいなくなるわけです。 そのエビを食っている何かがいるかもしれません。 あるいはそ のエビ 特有の病原菌 がある かもしれませ ん。い ろいろなふうにネッ トワ ークを 想像してみま す。 沖縄は島 そのものがサ ンゴで できているわ けです が、人 間もそれに関わって いる ことは すぐわかりま す。要するにネットワークの世界だということです。 簡 単 な ポ ン チ 絵 に す る と こ う な り ま す が、 こ れ は 70 年代に描か れています。 例えば時間 的に関わり の様子の違 いを見 てみ ますと、 これは 渡名喜の例で すが、最初はサンゴ礁ができていない。そうすると、 ここは台風 の時に 水が流れます から遺 跡がないです が、今から 3500 年前にサンゴ礁が完成すると、人 の定住の跡 が観測 され ます。現 在どう なっているか 生物がつくる生物の楽園
というと、水路が 切られて港が 整備 されて、外から 大量の物資が持ち込まれ、それがサンゴ礁のイノー の中へ出されるというような構造になっています。 その時々に よって ネットワーク の様子 がかわるわけ です。当然その中でさまざまな言葉が生まれます。 こ れ は備 瀬で す。 備 瀬 とい う場 所 も、2000 年 前 の遺跡が こ の集落の下 から出て きま した。2000 年 間、人 々はサンゴ 礁と、こ のサンゴ礁が作った陸地 と関わりな がら暮 らし てきたことが わかり ます。サ ンゴ礁の地 盤の中 には必ず地下 水が浸 透しています ので、こういう場所では人が 2000 年間暮らすこと ができます。そうす ると当然、文 化が 生まれます。 それを絵で 表現し ても いいですし、図 で表現しても いいです。要するにこれは 人間 が作っ たネットワー クの中でコミュニケーションの手段です。 その手段 としての言葉ですが、これは与論 で調べ たものです が、イノーの中 に方 言名で これだけの地 形を示す生 活言葉 が入 っています。こ のラインが年 取った漁師 さんの もの です。同 じ言葉 を漁業に就い ているけれ ども若 い人に聞くと これだ けに減ってし まいます。なぜ、これ だけ 言葉が消失したかという と、関 わり が薄れ たか らです。 イノー、クチという 言葉で若者 はすん でし まうわけです が、タコを捕っ たりしてい ると、それぞれ 地形 を言い 分けないとい けない。 最上段のラインは地形をさす地理学の用語です。 実際に写真 で見 ると、こういう ふう になり ます。こ れを平面図 で見る とこ うなります。ど ういうふうに その世界を認識するかは、その関わり方によって違 うということです。 これは北 谷町のサンゴ礁です。現在はこの 辺の埋 め立て地に いっぱ いダ イビングショ ップが あり、埋 め 立 て 地 前 面 の サ ン ゴ 礁 に た く さ ん の ダ イ バ ー が 入っています。これは 1945 年の米軍の写真ですが、 先ほどの埋 め立て 地にこんな広 大なイ ノーがありま した。 このことを今のダイ ビン グショ ップの従業員 は知りませ ん。埋め立て前 から ある元 の集落の人た ちは先ほど のよう にここを細か く言い 分けていたわ けですが、利用している、関わりがある限り、そこ に対する認識があるということです。 先ほど県 のサンゴ礁資 源情報 整備事業のこ とが出 ましたが、新たな認識のた めに 沖縄の 島々を科学的 に調査して いま す。その一部を 見ま すと、ここに海 岸線があっ て、こ こにサンゴ礁 があ ります よ、と地 理的な区分 毎の 境界に なっている。 そして、この線 がマンタ法 で調査 した 部分を示して いる、先ほどの 絵に戻りま すと、これは調 査区 分をマ ンタ法の調査 結果を基に ベタで 塗っ てありますの で、わかった気 になります。確かに全体を 見る ときに はこれは大事 です。 沖縄県全体でどうす るか という 議論の時には 大事ですが、自分の家の前を考えてみてください。 那覇市を 出してありますが、 実際に調査し たのは この色の付 いた 線のと ころ。あ とは 白地図 です。地 域で何か考えるときには、これを白地図として使っ てほしいと 言わ れてい ましたが、そ の通り で、地域 で空白部分 を埋め ないとあまり にも情 報が希薄でこ れは使えません。 例えば先 ほど見せまし た北谷 の埋め立て地 の前で コツコツと 1 個のサンゴを、もう 6 年になりますが 見ているグ ループ があ ります。 ダイビ ングショップ です が、50 セ ンチの 物差 しで枠 を作り 写真 を撮り 続ける、見ている ときはよくわ かり ません。それを 面積や直径 として 計っ て数値にしま す。とてもじゃ ないけど普 通の人 には 読み解けませ ん、これは理数 科の仕 事です。これを グラフにしま す。たった 1 個 のサンゴの 数値を その ままグラフに しまし た。そう すると、 途中で死ぬ もの、 どんど ん成 長するもの、 いろいろな ことが あり ます。い ろいろ なことがある ということ が、多様性とし ても う一つ 大切なことで す。つ まり、こ こで大事件 が起 これば、例えば大規 サンゴ礁の発達と人間の定住(渡名喜島の例)
模な白化みたい なことが起 これば、全部ゼロに収束 してしまう。あるいは意識的に人間がコントロール すれば、もう少しこれを上げることができます。こ の振れ幅がある というのが 自然な状態です。我々は 数学で平均を取 ったり、偏差を取ったりして、その ふらつきの様子を利用します。ですからこれを線で 結んでくださっ ただけでも、上がったり下がったり しているということを人に伝える手段になります。 仮 に GIS が で き な く て も、 今 GPS を 1 万 円 く ら いで購入し手に 持って歩け るわけですから、あれを 持って、みんなで大潮の時にイノーの中を歩き、地 点ごとの様子をサンゴのある・なしなどの決まりに 従って記録し、あとで星取り表を作ると、これだけ でも面的なイノーの中の調査ができます。あるいは、 水の中は見えな いから地図 がほしい。ダイビングの 雑誌なんかには ポンチ絵を 描いてありますが、もう 少し正確な地図 がほしい。すると、先 ほど言ったよ うにラインを引 いて升目を 取り、ラインを当てて作 ります。その上に何があるかを入れていきますと、 これもコンピューターの普及のおかげでこういう立 体図ができます。写真では狭い範囲の断片しか伝わ りません。ここで、こうい うふうな広 がりがありま す、と いうことを見て初めて、みんな が共通の空間 認識にしたがって議論のスタートができます。 もう一つ。これは名護市が今から 20 年ほど前に 作った都市計画 図です。僕はこれを見せていただい たときに、かなりよくできた都市計画図だと思いま した。 当時、担 当していた 方々が先見 の明があった のだろうなと思 います。ただし、担当 した人たちが 名護市の将 来にど ういう認識を 持って いたかという ことを示す ように、この図 には 海が漁 港しか入って いません。海に面したきれ いな 三日月 型の名護湾の 海岸線を思 い浮か べて みるとわかり ますが、あれは 開発をちょ っと 工夫す れば、今 頃、東洋のマイアミ と呼ばれる ように なっ ていたと思い ます。名護市が 観光に力を入れていれば、恩納村はあんなに潤って はいなかっ たと 思いま す。ただ 残念 ながら、当時の 皆さんの認 識で は、土地をきち んと 使う、海は防災 のために埋め立てる、とい うのが常識でしたので、 そのように作られました。 最近にな って名護湾の海岸部に、海に向か っても う 一 度 再 開 発 し よ う と い う こ と で、 さ か ん に 人 工 ビーチを造 って います。ここに も一 つでき た。その ときになって初めて皆さん、海の中を見たのです。 人工ビーチもいいですが、この生のままの海をその まま使いた いと考 える 人たちが出て きまし た。そう いったこと をもう 少し 早く議論でき たら、青写真が 作れたのです。その地域の コミュニケーションが、 ある一時期の規制の知見だけで済ますのではなく、 さらに海の 中を細 かく 知っていれば、 いろんな意見 が吸収でき ただろ うと いうことが言 えます。ここで はサンゴを 移植し て、その 様子 をきち んと見ていま す。科 学的なアプ ローチもされ てい ます。そういう も の と 議 論 の オ プ シ ョ ン も た く さ ん あ っ た わ け で す。 これはそ のすぐ横にある自然海岸 ですが、 こうい うものが隣 同士に あり、ど ちら をどう 使うのか全体 像(グ ランドデザ イン・都 市計画)についての議論 がないまま に、場当たり的 なミ ニ開発 になっていな いか心配です。 今言った ことで、 人間はどう いう意思決定 を行う の か。 関 わ り を 持 ち た い と い う 人 を ス テ ー ク ホ ル ダーと言い ます が、観光で利用 した いのか、漁業な のか、 研究 で利用 した いのか、 教育な のか、あるい は文化、あるいは宗教的・哲学的な利用をするのか、 あるいは国 土保全 のた めに防災なの か。必要なグラ ンドデザイ ンを一 気に完成する ような 巨額なコスト のことを考 えます と、バラ バラ にもの をやるとコス トはあまり かから ない けれども、そう いうものを統 合できるネ ットワ ーク を作れば、集約 して大きなも サンゴ礁資源情報カルテ
のが作れま す。そういう意 思決 定の仕 方を今後して いったらどうですかということです。 ちなみに、活動拠点というのは必ず小さいのです。 この模式図 の緑の とこ ろは活動拠点 です。一人で頑 張っている 方もい ます。あ るい は省庁 のように膨大 な予算を持 ってい ると ころもありま すが、たいがい は小さい。それらがどうい うア プロー チをどのよう にしたいの かと いうの を、後ろ で、こんなにしたら いいのでは ないか、という シン クタン ク的なものが あればいちばんよかろうと思います。 そういういろんな認識、歴史的な認識や現状の認 識をし、将来の課 題について話 し合 いをす ると、よ りよい将来 像とし てのグランド デザイ ンが出てくる ということです。例えば教育にしても、地域のこと を知っている人を頼めば、いろいろな教育ができま す。こ れがやがて、こ の地 域の親を教育することに な り ま す。 親 も 巻 き 込 ま れ る と い う 意 味 で 教 育 は すごく即効 性が ありま す。子ど もた ちは、自分たち が引き継い でいく というアイデ ンティ ティを持ちま す。 そうなっ て、最後 に今はやり のサンゴの移 植とい うことを考えるとき、林業との比較が可能でしょう。 林業いうの は地域 産業 です。そ の土地 に合ったもの を植え、その土地 の暦に合わせ て手 入れを し、最大 効率を追求 してそ れで作るのが 杉林の ような単一林 なのです。 これが、今、我々が持っている林業と言 う栽培技術 です。 例外がありま す。多種混植という 多様性原理 を利用 した 造林方法です。 それをやると 実は多様性 の高い 混合 林ができます。 サンゴの移植 では、 それぞれの種につい ても 栽培技 術的にまだ未 熟ですし、多様性の高いサ ンゴ 群集を 作り出するの はまだまだ遠い先のことでしょう。 先ほどサ ンゴ礁の保全の話をしま した。今 後どう 関わりたい かとい う話 をしました。今 後どう修復し たいかとい う話を する ときには、この 手間を考えて どこまで行 くのか とい うことを、さま ざまな試行や それぞれの 意義に つい て考えて、段階 を追って目標 を設定して持っていないといけません。 最後 に地図の話が 出ました。グーグ ルから 3 つの 海域を引っ 張っ てきて、同縮尺 で考 えまし た。先ほ ど環境省那 覇自然 環境事務所の 柴田さ んから石西礁 湖の紹介がありましたが、石西礁湖はこれくらいの 規模を持っ た海域、これと 同じ 規模を 持ったサンゴ 礁性の浅海 域は慶 良間 にあります。そ れからもう一 つ、こ れです。 この海 域を 一つの海域として捉える 考え方は今 現在な いは ずです。 そうい う認識は行政 的にはまだ持たれていません。しかし、ここにもそ ういう巨大 な浅海 域が 存在するとい うこと を、皆さ んここに住 んでい るわ けですから、ど う関わりたい かというこ とを、今後考え てい ったら いいのではな いかと思います。以上です。 安部: あり がとう ござ いました。お一 方だ け、質問 があればよ ろしく お願 いします。特に ないようでし たら、 休憩時間も ありますので、個別に中野さんに 質問していただければと思います。 それでは 最後のスピーカーになり ますが、 日本自 然保護協会事務局長の開発法子から、「市民調査で 自分たちの 地域作 り」について ご紹介 させていただ きます。