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Table 1. Cases with permanent pacemaker implantation No.=number of cases; SD=standard deviation; M=male; F=female; AVB=atrioventricular block; SSS=sic

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Academic year: 2021

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24時 間 ホル ター心 電 図 に 関す る研 究

第2編 人 工 ペ ー ス メ ー カ ー の 作 動 状 態 と 合 併 不 整 脈 お よ び 血 行 動 態 岡 山 大 学 医 学 部 第 一 外 科 学 教 室(主 任:折 田 薫 三 教 授) 畑 隆 登 (昭 和61年4月16日 受 稿) Key words:ホ ル タ ー 心 電 図,ペ ー シ ン グモ ー ド, ペ ー ス メ ー カ ー 作 動 状 態 , ペ-ス メ ー カ ー 合 併 不 整 脈 , ペ ー ス メー カ ー 血 行 動 態 緒 言 徐 脈 性 不 整 脈 に対 す る人 工 ペ ー ス メー カ ー 治 療 の 目 的 は,最 初 は 主 に 房 室 ブ ロ ッ ク に 併 う Adams-Stokes発 作 に 対 す る救 命 的 手段 で あっ た.し か しペ ー ス メ ー カ ー 治 療 効 果 よ り,そ の 適 応 は 洞 不 全 症 候 群 や 徐 脈 性 心 房 細 動 に も拡 大 さ れ て きた1).さ らに 従 来 の 心 室 抑 制 型 ペ ー ス メ ー カ ー(VVIペ ー シ ン グ)に 加 え,血 行 動 態 上 の 優 位 性 を 目的 と し た 生 理 的 ペ ー ス メ ー カー (AAIお よびDDDな い しDVIペ ー シ ン グ)の 導 入 に よ り治 療 効 果 は 明 ら か に 改 善 さ れ た 。 し か し生 理 的 ペ ー ス メ ー カ ー に よ る,新 た な 問 題 点 も生 じて い る.す な わ ち心 房 機 能 温 存 を 目 的 と した 各 種 ぺ ー シ ン グ モ ー ドで 発 生 し て き た個 々 の 合 併 不 整 脈 に 対 し,必 ず し も充 分 な 対 応 が な さ れ て い る と い い が た い 点 が あ る こ とで ある. こ れ ら不 整 脈 は,ホ ル タ ー心 電 図 法 に よ り検 討 され て き た2)-5).し か しペ ー ス メ-カ ー植 え込 み 症 例 の 合併 不 整 脈 を,ペ ー ス メー カ ー 介 在 性 と非 介 在 性 に,か つ 一 過 性 と恒 久性 に 分 類 し, ホ ル ター 心 電 図 法 で 詳 細 に分 析 した 研 究 は な い. 本 研 究 で は, 24時 間 ホ ル ター 心 電 図 法 に よ り ペ ー ス メ ー カ ー植 え込 み 症 例 の ペ ー シ ン グ 作 動 状 態 お よ び合 併 不 整 脈 を 分 析 し,併 せ て ペ ー シ ン グ モ ー ド別 の 血 行 動 態 よ り,徐 脈 性 不 整 脈 疾 患 別 の 至 適 ペ ー シ ン グ モ ー ドの 検 討 を 行 っ た. 対 象 国 立 岩 国 病 院 で1981年 よ り1985年 ま で の 過 去 5年 間 に,人 工 ペ ー スメー カー 植 え込 み を行 い, 24時 間 ホ ル タ ー 心 電 図 にて 経 過 観 察 を施 行 した 124症 例 を 対 象 と した(表1)ー こ の う ち35症 例 に,心 室 ペ ー シ ン グ と生 理 的 ペ ー シ ン グ に お け る血 行 動 態 検 査 を施 行 した. 徐 脈 性 不 整 脈 診 断 基 準 は 第161と 同 様 で あ るが,洞 不 全症 候 群 の 分 類 はRubensteinら7) の 基 準 に よ り3群 に 分 類 した. こ れ ら 対 象 の 人 工 ペ ー ス メ ー カ ー 植 え 込 み 手 術 条 件 は,以 下 の ご と くで あ っ た.ぺ ー ス メ ー カ.電 極 の 心 臓 挿 入 部 位 の 条 件 と し て,刺 激 閾 値 は ペ ー ス メ ー カ ー 標 準 出 力 の1/3以 下 とし,検 出 心 内 心 電 位 は ぺ ー ス メ ー カ ー 標 準 セ ン シ ン グ 感 度 に 対 し心 房 で2倍(1.5mV)以 上,心 室 で 3倍(6mV)以 上 と し た.全 例 ペ ー ス メー カ ー 本 体 は,単 極 型multiprogrammable typeを 使 用 した.セ ン シ ン グ感 度 は,心 房 で0.7mV, 心 室 で2mVに 設 定 した.ま た 心 房 抑 制 型 ペ ー ス メ ー カ ー(AAIぺ ー シ ン グ)適 応 条 件 は 次 の ご と くと した. (1)心 電 図 に お い てPQ間 隔 が 0.22sec未 満 で2枝 ブ ロ ック を認 め な い. (2) 24 時 間 ホ ル タ ー 心 電 図 に お い て 房 室 ブ ロ ッ ク な い 563

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Table 1 . Cases with permanent pacemaker implantation

No.=number of cases; SD=standard deviation; M=male; F=female;

AVB=atrioventricular block; SSS=sick sinus syndrome; Af=atrial fibrillation; SVR=slow ventricular response.

Table 2. Symptoms in patients with permanent pacemaker implantation

AVB=atrioventricular block; SSS=sick sinus syndrome; Af=atrial fibrillation SVR=slow ventricular response.

し基 本 調 律 の 心 房細 動 を認 め な い. (3) Overdrive supprresion testの ペ ー シ ン グ レー ト120/min 以 上 の 心 房 ぺ ー シ ン グ に お い て1対1房 室 伝 導 が 得 ら れ る. (4) His束 心 電 図 に お い てHV時 間 が55msec未 満 で あ る. 方 法 1. 24時 間 ホ ル タ ー 心 電 図 検 査 24時 間 ホ ル タ ー 心 電 図 法 は 第1編6)と 同 様 で あ る が,全 症 例 の24時 間 圧 縮 心 電 図 を記 録 した. この 分 析 に よ り,自 覚 症 状 を含 め たぺ ー シングモ ー ド別 の 作 動 状 態 と 合 併 不 整 脈 を比 較 検 討 した. 2.血 行 動 態 検 査 心 臓 カ テ ー テ ル 法 に よ るぺ ー シ ン グ 中 の 血 行 動 態 評 価 に は,大 腿 動 脈 に お け る観 血 的 動 脈 圧 測 定,心 拍 出 量 測 定,お よ び 心 内 圧 測 定 を行 った. 動 脈 圧 測 定 およ び心 内 圧 測 定 に は, SIEMENS社 カ テ ラ ボ シ ス テ ム(siedocお よ びtransducer 746)を 用 い た.ま た 熱 稀 釈 心 拍 出 量 測 定 に は, Swan-Ganzカ テ ー テル お よびEDWARDS社 Model 9520を 用 い た. ぺ ー シ ン グ作 動 時 の 動 脈 圧 変 化 測 定 で は,高 度 房 室 ブ ロ ッ ク10症 例 に お い て,自 己 洞 調 律 よ り ぺ ー シ ン グ調 律 に変 化 す る際 の 収 縮 期 動 脈 圧 変 化 を, VVIぺ ー シ ン グ とDVIぺ ー シ ン グ に て 比 較 検 討 した. ぺ ー シ ン グ モ ー ド別 血 行 動 態 測 定 で は,洞 不 全 症 候 群25例 に お け る血 行 動 態 変 化 を同 一 症 例 に お いて, VVIぺ ー シ ン グ とDVIぺ ー シ ン グ に て 比 較 検 討 した.ま ず ぺ ー シ ン グ レー ト100 imp/minに て 全VVIぺ ー シ ン グ調 律 と な っ た の を確 認 後,平 均 動 脈 圧,平 均 左 房 圧 お よ び 心 拍 出 量(心 係 数)を 測 定 した.さ ら に こ れ ら症 例 に お い て ぺ ー シ ング レー ト100imp/minに て 全DVIぺ ー シ ン グ調 律 に なった の を確 認 後,同 様 の 測 定 を行 つた.な おDVIぺ ー シ ングの 心 房 心 室 刺 激 間 隔 は180msecの 条 件 で 行 っ た. 成 績 1.ペ ー ス メ ー カー 植 え込 み 後 自覚 症 状 表2に ペ ー スメー カー植 え込 み後 の 自覚 症 状 を 示 す.同 期 間 中 に 死 亡 した の は, VVIぺ ー シ ン

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24時 間 ホ ル ター 心 電 図 に 関 す る研 究 565 グ4例(心 不 全2例,脳 梗 塞1例 ,悪 性 腫 瘍1 例)で あ っ た.ま たAAIぺ ー シ ング には 死 亡 例 は な く, DDDぺ ー シ ン グで は1例 が心 筋 症 の 心 不 全 に て 死 亡 した.し か し 直接 ペ ー ス メ ー カ ー に 起 因 す る死 亡 は 認 め られ な か っ た .ぺ ー シングモ ード別 の 自 覚 症 状 で は,特 に 洞 不 全症 候 群 のVVIぺ ー シ ン グ に お い て,動 悸,胸 痛, 全 身 倦 怠 感 等 が 著 明 で あ っ た.洞 不 全 症 候 群 の VVIぺ ー シ ン グに て も 自覚 症 状 が 無 か っ た の は,ホ ル タ ー 心 電 図 で み る と 自己 脈 が 少 な く,

Fig. 1 . Pacemaker mediated arrhythmias detected on 24-hour Holter recordings in patients with VVI pacing. (a) Pacing failure.

(b) Undersensing of normal R-wave. (c) Undersensing of premature ventricular constraction. (d) Myopotential inhibition

Table 3. Arrhythmias detected on 24-hour Holter recordings in VVI pacing cases

()=atrial rhythm: AVB=atrioventricu lar block; SSS=sick sinus syndrome Af=atrial fibrillation: SVR=slow ventricular response.

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Table 4. AAI pacing cases with sick sinus syndrome

(19 cases)

SSS=sick sinus syndrome; II. III=Rubenstein's classification: PM=pacemaker implantation; Min=minimum; Max=maximum; M=male; F=female.

ほ ぼ 全 ぺ ー シ ン グ調 律 の 症 例 で あ っ た. 2. VVIぺ ー シ ン グ合 併 不 整 脈 VVIペ ー シ ン グ に お け る24時 間 ホ ル ター 心 電 図 で は,各 種 の合 併 不 整 脈 が記 録 され た(図1). 表3にVVIぺ ー シ ング に お け る合 併 不 整 脈 を, ペ ー ス メ ー カ ー 関 与 の 有 無 に分 け て 示 す ペ ー ス メ ー カ ー に 起 因 しな い 不 整 脈 と し て は,洞 不 全 症 候 群 に 多 く記 録 さ れ た.心 房 レベ ル が洞 調 律 で 高 度 房 室 ブ ロ ッ クの 症 例 は1例 の み 心 房 細 動 調 律 と な っ た の に比 し,洞 不 全 症 候 群 で は5 例 と 高 率 に心 房 細 動 化 した(P<0.05).ぺ ー ス メ ー カ ー に 起 因 す る 不 整 脈 と して,ぺ ー シ ン グ 不 全 は2例 に認 め ら れ た が,い ず れ も ペ ー ス メ ー カ ー 本 体 の 出 力 を増 加 させ る 事 で 解 消 され た. セ ン シ ング 不 全(R-undersensing)は 計5例 に発 生 した が,こ の 内2例 の み 正 常 収 縮 のR波 セ ン シ ング 不 全 で,他 は 心 室 性 期 外 収 縮 のR波 を セ ン シ ン グ 出 来 な い も の で あ っ た.セ ン シ ン グ感 度 を増 強 させ る こ と で1例 を除 き解 決 され た が,こ の1例 もspike on Tに よ る不 整 脈 は 認 め ら れ な か っ た.筋 電 位 に よ る抑 制(myo potential inhibition)は 計17例24%と 高 率 に 記 録 された が,し か し自覚 症 状 を併 う もの は2例 の み で あ っ た.セ ン シ ン グ感 度 を低 下 させ る こ と で 対 応 し た が,全 ぺ ー シ ン グ 調 律 で か つ 筋 電 位 が2.5∼3.0mV発 生 した 症 例 で はVOOモ ー ドに 変 更 し た. 3. AAIぺ ー シ ン グ作 動 状 態 と 合 併 不 整 脈 表4にAAIぺ ー シ ン グ症 例 を 示 す.ペ ー ス メ ー カ ー 植 え込 み 後 の24時 間 ホ ル タ ー 心 電 図 で は 全 症 例 に多 少 な り と も 自 己 洞 調 律 が 記 録 され た. 自 己 洞 調 律 で はPQ時 間 の延 長 は 認 め られ な か った が, spike-Q時 間 は 最 高0.42秒 の症 例 が 認 め られ た.し か し比 較 的 短 期 間 の 経 過 観 察 で は あ る が, II度 以 上 へ の 房 室 伝 導 障 害 の 進 行 は 認 め られ な か っ た. 洞 不 全症 候 群 のAAIペ ー シング でも, 24時 間 ホ ル ター 心 電 図 で 合 併 不 整 脈 が 記 録 され た(図2).

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人 工 ペース メー カー の 作 動 状 態 と 合 併 不 整 脈 お よび血 行 動 態 567

Fig. 2. Pacemaker

mediated

arrhythmias

detected

on 24-hour Holter

recordings

in patients with AAI pacing.

(a) Undersensing

of

P-wave.

(b) Myopotential

inhibition.

Table 5. Arrhythmias detected on 24-hour Holter recordings in AAI pacing cases

SSS=sick sinus syndrome; II, III=Rubenstein's classification.

AAIペ ー シ ン グ に お け る合 併 不 整 脈 を,表5 に ペ ー ス メ ー カ ー 関 与 の 有 無 に 分 け て 示 す.第 皿群 に上 室 性 不 整 脈 発 作 が 多 く記 録 され た.セ ン シ ン グ不 全(P-undersensing)は5例26% に発 生 し, VVIぺ ー シ ン グ の セ ン シ ン グ 不 全 に 比 し有 意 に 高 率 で あった(P<0.05).筋 電 位 に よる抑 制(myopotential inhibition)は2例 12%とVVIぺ ー シ ング の そ れ より低 率 で は あ っ た が,統 計 的 有 意 差 は 認 め られ な か っ た. 4. DDDペ ー シ ン グ作 動 状 態 と合 併 不 整 脈 表6に 高 度 房 室 ブ ロ ック に お け るDDDぺ ー シ ン グ 症 例 を示 す 心 房 同 期 心 室 ぺー シ ング(VAT ぺ ー シ ン グ)の 作 動 は よ く保 た れ て い た.表7 に洞 不 全 症 候 群 に お け るDDDぺ ー シ ン グ症 例 を示 す 本 来,洞 不 全 症 候 群 に お い てDDDぺ ー シ ン グ を選 択 す る の は ,何 らかの房 室伝 導障 害 が 合 併 す る場 合 で あ る8). 15症 例 に お け る房 室 伝 導 障 害 およびoverdrive suppression test

等,著 者 が洞 不 全 症 候 群 にDDDぺ ー シ ン グ を 選 択 した 理 由 を示 した.こ れ ら症 例 で はVATぺ ー シ ン グ レ ー トが あ ま り上 昇 し な い症 例 もみ ら れ た.ま た3例 に ぺ ー ス メ ー カ ー 介 在 性 不 整 脈 や ペ ー ス メ ー カ ー 本 体 感 染 の た め モ ー ド変 更 を 施 行 した. 高 度 房 室 ブ ロ ッ ク と洞 不 全 症 候 群 に お け る DDDぺ ー シ ン グ症 例 に て, 24時 間 ホ ルター 心 電 図 で 検 出 さ れ たVATぺ ー シ ン グ作 動 状 態 下 に よる安 静 時 と運 動 時 の 心 拍 数 を比 較 した(図3). 高 度 房 室 ブ ロ ックの 運 動 時 心 拍 数 は108.6±14.2/ mmで あ り,洞 不 全 症 候 群 の 運 動 時 心 拍 数94.5 ±21.6/minよ り有 意 に 増 加 し た(P<0.05). 24時 間 ホ ル ター 心 電 図 に記 録 さ れ た合 併 不 整 脈 は, DDDぺ ー シングの場 合 多様 で あった(図4). 表8にDDDぺ ー シング における合 併 不 整 脈 を, ペ ー ス メ ー カ ー 関 与 の 有 無 に 分 け て 示 す.ペ ー ス メ ー カ ー に起 因 し な い 不 整 脈 と し て は,洞 不

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Table 6. DDD pacing cases with advanced atrioventricular

block (20 cases)

Max HR=maximum heart rate: CAVB=complete atrioventricular block; M=male; F=female.

Table 7. DDD pacing cases with sick sinus syndrome

(15 cases)

SSS=sick sinus syndrome; AVB=atrioventricular block: RA=right atrial; Max=maximum; HR=heart rate; M=male; F=female; I, II, III=Rubenstein's classification; *=reprogrammed mode.

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人 工 ペ ースメー カー の 作 動 状 態 と合 併 不 整 脈 お よび 血 行 動 態 569

Fig. 3. Comparison of heart rate detected on 24-hour Holter recordings in patients with DDD pacing of ad

vanced atrioventricular block and sick sinus syndrome. A-V sequen tial pacing at rest and VAT pacing on exercise. 全 症 候 群 第III群 に の み 上 室 性 不 整 脈 発 作 が 認 め ら れ た.ぺ ー ス メ ー カ ー に起 因 す る もの と して, ぺ ー シ ン グ 不 全 は 心 房,心 室 と も に 認 め られ な か っ た.セ ン シ ン グ 不 全(undersensing)は, 心 房 で 計4例11%と 高 率 に発 生 した が,心 室 で は1例 の み で,そ れ も心 室 性 期 外 収 縮 を認 識 で き な い もの で あった.筋 電 位 に よ る抑 制(myo potential inhibition)はVVIやAAIぺ ー シ ン グ と 同 様 に計4例11%も 記 録 さ れ た が,こ れ に 伴 う 自覚 症 状 は 認 め ら れ な か っ た.筋 電 位 な い し異 常 心 房 収 縮 を セ ン シ ン グ(oversensing)し て 発 生 す るぺ ー ス メ ー カ ー 頻 脈 は5例14%に 記 録 さ れ た が,動 悸 を 自 覚 した の は1例 の み で あ った.遅 延 した 室 房 逆 伝 導(slow VA conduc tion)に よ り発 生 す る ペ ー ス メ ー カ ー 介 在 性 頻 脈 は,植 え込 み 術 後 の モ ニ タ ー 心 電 図 で 記 録 さ れ,動 悸 お よ び 胸 痛 の 自覚 が 強 くぺ ー シ ング モ ー ド変 更 を必 要 と す る こ と が 多 い が,術 後 急 性 期 に は 認 め られ ず24時 間 ホ ル ター 心 電 図 で確 認 さ れ た 症 例 も あ っ た. 5.ペ ー シ ン グモ ー ド別 血 行 動 態 高 度 房 室 ブ ロ ッ ク10症 例 に お い て,自 己 洞 調 律 よ りペ ー シ ン グ調 律 に 変 化 す る 際 の収 縮 期 動 脈 圧 変 化 を図5に 示 すVVIペ ー シ ング が作 動 す る際 に は, 85.5±5.1%と 有 意 に動 脈 圧 は 低 下 した(P<0.01).こ の 最 高 値 は40mmHgの 低 下 で あ っ た.こ れ に 対 しDVIぺ ー シ ン グ が 作 動 す る際 に は,動 脈 圧 の 低 下 は 認 め られ な か っ た. 洞 不 全 症 候 群25例 に お け る ぺ ー シ ン グ モ ー ド 別 血 行 動 態 測 定 を同 一 症 例 に お い て 行 っ た が, DVIぺ ー シ ン グの 心 房 心 室 刺 激 間 隔 は180msec の 条 件 で あ り, spike-Q間 隔 が こ れ 以 下 の5症 例 で はAAI的 作 動 と な っ た. 平 均 動 脈 圧 は 図6に 示 す ご と く, VVIぺ ー シ ン グの 場 合 に は80.1mmHgで あ っ た が, DVIぺ ー シ ン グ の場 合 に は88 .6mmHgに 上 昇 し た(P <0.01).平 均 左 房 圧 は図7に 示 す ごと く, VVI ぺ ー シ ン グ7.3mmHgよ りDVIぺ ー シ ン グ5.8 mmHgに 低 下 した(P<0.01).ま た 心 係 数 は 図8に 示 す ごと く, VVIぺ ー シ ン グ3.00L/min/ M2よ りDVIペ ー シ ン グ3.64L/min/M2に 上 昇 し た(P<0.01). 考 案 1.ぺ ー シ ン グ症 例 の ホ ル タ ー 心 電 図 解 析 Kelen2), Michael3), Hoffmann4),佐 藤5)ら の 報 告 で は,ペ ー ス メ ー カ ー 植 え込 み 後 の 経 過 観 察 に ホ ル ター 心 電 図 の 必 要 性 を強 調 して いる. しか しDDDぺ ー シ ン グの24時 間 ホ ル タ ー 心 電 図 まで 高 速 解 析 が 可 能 な 装 置 は 無 く, 24時 間 全 心 拍 の 分 析 に よ りぺ ー ス メ ー カ ー 作 動 状 態 お よ び合 併 不 整 脈 を検 討 す る必 要 が あ っ た, 2. VVIぺ ー シ ン グ VVIぺ ー シ ン グ の 高 度 房 室 ブ ロ ッ ク に お い て は,心 房 レベ ル は 洞 調 律 が 維 持 された.一 方, 洞 不 全 症 候 群 で は,高 率 に心 房 細 動 を発 生 した. 洞 不 全 症 候 群 に お い て, VVIペ ー シ ン グ で は 心 房 細 動 が 基 本 調 律 に 固 定 化 し た の に対 し,生 理 的 ぺ ー シ ン グ に お い て は 心 房 細 動 は 発 作 性 で あ

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Fig. 4. Pacemaker mediated arrhythmias

detected on 24-hour Holter

recordings

in patients with DDD pacing.

(a) Undersensing

of

P-wave.

(b) Myopotential inhibition.

(c) Pacemaker tachycardia

due to myopotential oversensing.

(d) Pacemaker mediated tachy

cardia.

Table 8. Arrhythmias detected on 24-hour Holter recordings in DDD pacing cases

AV B=atrioventricular block; SSS=sick sinus syndrome; II, III=Rubenstein's classification. り,基 本 調 律 に 固 定 化 した もの は 認 め ら れ な か っ た.洞 不 全 症 候 群 の 経 過 中 に血 栓 塞 栓 症 を発 生 しや す い こ と が, Rubenstein7), Aroesty9), Fairfax10)ら によ り指 摘 され て い る. Rubenstein の 報 告 に よ れ ば 洞 不 全 症 候 群 第 皿 群 の 平 均9年 の 追 跡 調 査 で24%の 脳 塞 栓 症 を発 生 して お り,

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人 工 ペ ースメー カー の 作 動 状 態 と合 併 不 整 脈 および血 行 動 態 571

Fig. 5. Comparison of systolic blood pres sure in VVI and DVI pacing, chang ing from auto-rhythm to pacing rhythm.

Fig. 6. Comparison of mean blood pressure in VVI and DVI pacing.

Arceskyの 報 告 に よ れ ば 洞 不 全 症 候 群 第 皿 群 VVIぺ ー シング中 の21%に 末 梢 動 脈 塞 栓 症 が発 生 した と して い る.さ らにFairfaxの 報 告 に よ れ ば,洞 不 全 症 候 群10年 の 経 過 観 察 にて 血 栓 塞 栓 症 の 発 生 は16%で あ り,心 房 粗 細 動 の7.3%,慢 性 房 室 ブ ロ ックの1.3%に 比 較 し,か な りの 高頻 度 で あった.著 者11)の 報 告 で は ペ ー シ ン グ モ ー ド 別 の 洞 不 全症 候 群 に おけ る血 栓 塞 栓 症 発 生 率 は,

Fig. 7. Comparison of mean left atrial pres sure in VVI and DVI pacing.

Fig. 8. Comparison of cardiac index in VVI and DVI pacing.

(10)

VVIペ ー シ ン グ2.27%/患 者 ・年 ,生 理 的 ペ ー シ ン グ0.89%/患 者 ・年 で あ り, VVIペ ー シ ング で 有 意 に 高 率 で あった(P<0.01).こ れ は洞 不 全 症 候 群 の 生 理 的 ペ ー シ ン グ で は,心 房 機 能 が よ く温 存 さ れ た 結 果 で あ る と 考 え ら れ た. 筋 電 位 による抑 制(myopotential inhibition) は, VVIペ ー シ ン グの み な らず 各 ペ ー シ ン グ モ ー ドに て 発 生 した.こ れはGaitaら12)や 佐 藤 ら5)の 報 告 と同 一 で あ っ た.使 用 し た ペ ー ス メ ー カ ー が 単 極 型 で あ る以 上 ,筋 電 位 は 常 に 問 題 と な っ た.し か し会 田13)の 報 告 の ご と くペ ー ス メー カー本 体 の 植 え込 み場 所 とmultiprogrammable の 特 性 を考 慮 し,さ ら に ペ ー シ ン グ モ ー ド変 更 お よ び ホ ル タ ー心 電 図 の 経 過 観 察 に て充 分 対 応 は 可 能 で あ っ た.現 在 臨 床 使 用 さ れ て い る電 極 の 多 く が 単 極 型 で あ り,単 極 型 の 利 点14)や 将 来 の ペ ー ス メ ー カ ー 本 体 交 換 手 術 を 考 慮 す れ ば, 筋 電 位 の 問題 だ け で 必 ず し も 双 極 型 を選 択 す べ き と も 考 え ら れ な か っ た. 3. AAIペ ー シ ン グ 本 研 究 対 象 の19例AAIペ ー ス メ ー カ ー 植 え 込 み 症 例 に お い て は,明 ら か な 房 室 伝 導 障 害 の 発 生 は 認 め ら れ な か っ た.著 者 と同 じ基 準 で 行 って い る 井 原15)の25例 に つ い て も同 様 で あ った. しか し66例 のOheら16)の 報 告 によ ると2例 に慢 性 の 房 室 ブ ロ ッ ク が 発 生 して お り再 植 え 込 み を 必 要 と した と して い る.さ ら にAAIペ ー シ ン グ 症 例 に お け る 洞 不 全 症 候 群 の 房 室 伝 導 障 害 進 行 に 関 す る 追 跡 調 査 は 必 要 と考 え ら れ た.一 方 心 房 ペ ー シ ン グ 不 全 は1例 も発 生 して い な い が, AAIペ ー シ ン グ に お け る も う一 つ の 問 題 点 は, 心 房 セ ン シ ン グで あ っ た.著 者 の 使 用 した 心 房 電 極 計54本 中, life table法 に よ る5年 後 の セ ン シ ン グ維 持 率 は65%に す ぎ な か っ た.特 に洞 不 全 症 候 群 第 皿 群 で,セ ン シ ング 不 全 が発 生 し た 場 合,自 己 調 律 下 に お い て は 上 室 性 期 外 収 縮 の 原 因 と な っ た.し か しAAIペ ー シ ン グ は,心 房機 能 を温 存 し,か つ 心 電 図 に おける本 来 のQRS 波 形 お よびST波 形 の認 識 出 来 る唯 一 の ペ ー ス メ -カ ー モ ー ドで あ る.洞 不 全 症 候 群 に は 高 齢 者 が 多 く7),17)-19),血 行 動 態 お よ び心 電 図 上 の 虚 血 性 変 化 の 判 定 が 必 要 で あ る 点 よ り も そ の 有 効 性 は 大 で あ っ た. 4. DDDペ ー シ ン グ DDDペ ー シ ン グ に お け る運 動 時 有 効 心 拍 数 の 増 加 は,明 らか で あ っ た.し か しDDDペ ー シ ン グ に お け る心 拍 数 の 増 加 は,ペ ー ス メ ー カ ー の 合 併 症 と して 発 生 し う る こ と に も充 分 注 意 す る必 要 が あ っ た.房 室 ブ ロ ッ ク症 例 の 洞 機 能 の 評 価 は 困 難 で あ り,こ の よ うな 例 の 異 常 心 房 収 縮 を セ ン シ ン グ した 場 合,不 整 脈 の 原 因 と な っ た.ま た遅 延 した 室 房 逆 伝 導(slow VA con duction)に よ り起 こ るペ ー ス メ ー カ ー 介 在 性 頻 脈20)の 合 併 は,ペ ー ス メ ー カ ー 植 え込 み 後 遠 隔 期 に も,逆 伝 導 時 間 の 延 長 に よ り発 生 し う る こ と に も注 意 す る 必 要 が あ っ た.さ ら に心 房 以 外 の 電 位 を,セ ン シ ン グ(oversensing)し た 場 合 も 問 題 で あ っ た.筋 電 位 をセ ン シ ン グ し て 起 こ る ペ ー ス メ ー カ ー 頻 脈21)は そ の 一 つ で あ る が,心 房 が セ ン シ ン グ不 全(undersensing)を き た し た状 態 で は,ペ ー シ ン グ 調 律 と して の 心 拍 数 の 増 加 は 筋 電 位 を セ ン シ ン グ した 場 合 の み 生 ず る こ と に な っ た.こ れ ら合 併 症 と して の ペ ー ス メ ー カー 不 整 脈 が生 じた 時 の 対 応 と しては, 積 極 的 にDVIペ ー シ ン グへ の モ ー ド変 更 が 必 要 と 考 えられた. DVIペ ー シ ン グ で もBarold ら22)が 定 義 して いるpseudo-pseudofusionが 問 題 に は な っ た が,こ れ は 心 房 心 室 の刺 激 時 間 の 短 縮 で 解 決 され た23). 5.ペ ー シ ン グモ ー ド別 の 血 行 動 態 生 理 的 ペ ー ス メ ー カ ー の 血 行 動 態 に 対 す る 有 効 性 の 報 告 は す で に1966年Sametら24)に よ つ て 行 わ れ て い る.し か しペ ー ス メ ー カ ー 開 発 の 関 係 で,長 期 ぺ ー シ ン グ には 問 題 が 有 り,国 内 で の 使 用 はAAIペ ー シ ン グ で 過 去10年, DDD ペ ー シ ン グ で 過 去5年 で あ る .そ れ 以 来,生 理 的 ペ ー ス メ ー カ ー の 普 及 は 著 しい25).心 室 ペ ー シ ング で は,特 に 洞 調 律 と心 室 ペ ー シ ン グ 調 律 が 交 互 に出 現 す る症 例 で,い わ ゆ る ペ ー ス メ ー カ ー 症 候 群 とされる自覚 症 状 が 強 い.本 研 究 に お い て も,洞 調 律 よ り心 室 ペ ー シ ン グ に 変 化 す る 際 著 明 な 動 脈 圧 の 低 下 を み た が,こ れ は 心 房 収 縮 が 心 室 収 縮 と無 関 係 に 生 じ る こ と に よ る た め で あった.完 全 ペー シ ング 調 律 に おいて,Dreifus8) は 心 房 収 縮 が 心 室 収 縮 に対 し100 msec遅 れ た 場 合 動 脈 圧 が20%低 下 しペ ー ス メ ー カ ー 症 候 群 の

(11)

人 工 ペ ー ス メ ー カ ー の 作 動 状 態 と合 併 不 整 脈 お よ び 血 行 動 態 573 原 因 に な る と した,ま た 洞 不 全 症 候 群 で は 逆 行 性 伝 導 す る際,心 室 収 縮 と心 房 収 縮 の 時 間 的 関 係 に よ り心 室 ペ ー シ ン グ に よ り心 不 全 を誘 発 す る こ と も報 告 され て い る26).笹 生 ら27)に よ る とVVIペ ー シ ン グ に 比 しDVIペ ー シ ン グ の 心 拍 出 量 増 加 率 は, 16∼42%で あっ た と 報 告 し て い る が,こ れ は 著 者 の 成 績 と同 一 の 傾 向 で あ っ た.特 に 心 不 全 の 合 併 す る症 例 で は,血 行 動 態 よ り 考 え て も 心 房 機 能 を温 存 す る 生 理 的 ペ ー ス メ ー カ ー を使 用 す べ きで あ っ た. 6.至 適 ペ ー シ ン グ モ ー ド 生 理 的 ペ ー ス メ ー カ ー の 有 効 性 は, 24時 間 ホ ル タ ー 心 電 図 に よ る 心 房 機 能 の 温 存 や 血 行 動 態 の 有 意 性 よ り明 ら か で あ っ た,し か し心 房 電 極 の セ ン シ ン グの 安 定 性 や 心 房 セ ン シ ン グ の た め の 合 併 不 整 脈 も 考 慮 す る と,徐 脈 性 不 整 脈 別 の 至 適 ペ ー シ ン グ モ ー ドは 以 下 の ご と く考 え ら れ た.高 度 房 室 ブ ロ ッ ク で は,基 礎 疾 患 に よ る心 不 全 の 合 併 や 社 会 的 活 動 能 の 増 加 を 目的 とす る 症 例 以 外 で は,必 ず し もDDDペ ー シ ン グ を 必 要 と しな か っ た.こ れ に 対 し洞 不 全 症 候 群 で は, 房 室 伝 導 障 害 が な け れ ばAAIペ ー シ ン グ を選 択 し,房 室 伝 導 障 害 が あ れ ばDDDペ ー シ ン グ を選 択 す べ き で あ っ た.い ず れ に して も 洞 不 全 症 候 群 で は 心 房 ペ ー シ ン グ を必 要 と し た が,第 III群に は 房 室 伝 導 障 害 の 有 無 に か か わ らず,心 室 側 に セ ン シ ン グ を有 す る使 用 法(DVIな い し AVIペ ー シ ン グ)が 望 ま しい と考 え られ た.し か し遠 隔 期 ペ ー ス メ ー カ ー作 動 状 態 お よ び 合 併 不 整 脈 の 状 態 は 変 化 して お り, 24時 間 ホ ル タ ー 心 電 図 は,ペ ー ス メ ー カ-植 え込 み 症 例 の ペ ー シ ン グモ ー ド別follow-upに は 不 可 欠 な検 査 法 で あ っ た. 結 論 1. 124症 例(高 度 房 室 ブロ ック62例,洞 不 全 症 候 群51例,徐 脈 性 心 房 細 動11例)の 単 極 型 人 工 ペ ー ス メ ー カ ー植 え込 み 症 例 で, 24時 間 ホ ル タ ー 心 電 図 法 に よ る検 討 を行 っ た.ペ ー シ ン グ モ ー ド別(VVI 70例, AAI 19例, DDD 35例)に た 作 動 状 態 と合 併 不 整 脈 の 分 析,お よ び血 行 動 態 の 測 定 よ り以 下 の 結 果 を得 た. (1)ペ ー ス メ ー カ-植 え込 み 後 の ホ ル タ ー 心 電 図 に よ る検 討 に お い て 心 房 機 能 は,高 度 房 室 ブ ロ ッ ク で は ペ ー シ ン グモ ー ドに か か わ らず 温 存 さ れ た が,洞 不 全 症 候 群 で はVVIペ ー シ ン グ に 比 し,生 理 的 ペ ー シ ン グで よ く温 存 さ れ た. ま た 洞 不 全 症 候 群 第 皿 群 に お い て,ペ ー ス メ ー カ ー に起 因 し な い 合 併 不 整 脈 が 多 く記 録 され た. (2)ペ ー シ ング 不 全 は 心 房,心 室 ペ ー シ ン グ と も に 問題 な か っ た.セ ン シ ン グ 不 全(under sensing)は,心 房 ペ ー シ ン グの25%,心 室 ペ ー シ ン グ の7%に 認 め ら れ た.筋 電 位 に よ る抑 制 は す べ て の ペ ー シ ン グ モ ー ドで11∼24%合 併 し た が 自覚 症 状 を 伴 うもの は2例 の み で あった. DDDペ ー シ ング は 心 房 の セ ン シ ン グ を有 す る が 故 に,有 効 心 拍 数 の 増 加 も得 られ た が,ペ ー ス メ ー カ ー 頻 脈 お よ び ペ ー ス メ ー カ ー 介 在 性 頻 脈 の 原 因 と な っ た.こ れ らペ ー ス メ ー カ ー 合 併 不 整 脈 の 診 断 お よ び 対 応 に, 24時 間 ホ ル ター 心 電 図 は 不 可 欠 な検 査 法 で あ っ た. (3)ペ ー シ ング モ ー ド別 の血 行 動 態 比 較 検 討 で は,生 理 的 ペ ー シ ン グ はVVIペ ー シ ン グ に 比 し動 脈 圧,左 房 圧,心 拍 出 量 で 有 意 の 効 果 を認 め,血 行 動 態 の 改 善 を必 要 と され る症 例 で は 選 択 さ れ るべ き ペ ー ス メ ー カー モ ー ドで あ っ た. 2.こ れ らの 結 果 に よ り,不 整 脈 別 の ペ ー ス メ ー カ ー 選 択 モ ー ドは,高 度 房 室 ブ ロ ッ クで は, 血 行 動 態 改 善 を必 要 とす る基 礎 心 疾 患 の な い 症 例 に 限 り,必 ず し も 生 理 的 ペ ー シ ン グ を必 要 と し な か っ た.し か し洞 不 全 症 候 群 で は,生 理 的 ペ ー シ ン グ の 選 択 を 行 う こ と が 必 要 な治 療 法 で あ っ た. 稿 を終 える に臨 み,御 校 閲 い た だい た折 田薫 三 教 授 に深 甚 な る謝 意 を表す る と と もに,御 懇篤 な御指 導 を いた だ い た原 岡昭 一 教授 に深 謝 い た します 。 ま た本 研 究 に際 し,直 接 御 協 力 い た だい た 国立 岩 国病 院(院 長:井 出 愛 邦博 士)に 厚 く御 礼 申 し上 げます. (本論 文の要 旨 は,第45回 日本 循環 器 学 会 中国四 国 地 方 会,日 本 循 環 器学 会.日 本ME学 会 第9回 心 臓 ペ ー シ ン グ研 究 会,第1回 日本 心 臓 ペ ー シ ング学 会 で発 表 した.)

(12)

1. A Report of the Joint American College of Cardiology/American

Heart Association

Task Force

on Assessment

of Cardiovascular

Procedures

(Subcommittee

on Pacemaker

Implantation).:

Guideline for permanent

cardiac pacemaker implantation,

May 1984. Circulation

70, 331A-339A,

1984.

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(13)

人 工 ペ ー ス メ ー カー の 作 動 状 態 と合 併 不 整 脈 お よ び血 行 動 態 575

pacing.

Proceedings

of the Mith World Symposium

on Cardiac Pacings.

Steinkopff

Verlag,

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(14)

Studies

on 24-hour

Holter

electrocardiography

Part

II:

Pacemaker

function,

arrhythmias

and hemodynamics

of

cases

with permanent

pacemaker

implantation

Takato

HATA

The First Department

of Surgery, Okayama University

Medical School, Okayama

(Director : Prof. K. Orita)

One hundred twenty-four

patients

with unipolar permanent

pacemaker implantation

(advanced atrioventricular

block, 62 cases;

sick sinus syndrome, 51 cases;

and atrial

fibrillation

with slow ventricular

response,

11 cases) were studied by 24-hour Holter

electrocardiography.

Analysis

of pacemaker

function

and arrhythmias

with various

pacing modes (VVI pacing, 70 cases;

AAI pacing, 19 cases;

and DDD pacing, 35 cases)

and measurement

of hemodynamics

revealed the following.

In all pacing modes, atrial

contraction

was observed

in cases of advanced atrio

ventricular

block.

However, in the VVI pacing mode with sick sinus syndrome, atrial

contraction

was often lost.

In sick sinus syndrome group III, pacemaker

non-mediated

arrhythmias

were often recorded.

Pacing failure was not noted with any atrial or ventricu

lar pacing. Undersensing

was observed in 26% of the AAI pacing group and 7% of the

VVI pacing group.

Myopotential

inhibition was observed in 11-24% of all pacing modes,

but only two patients

complained

of subjective

symptoms.

DDD pacing with atrial

sensing yielded effective

increase

of heart rate, but caused pacemaker

tachycardia and

pacemaker mediated tachycardia.

In making these diagnosis and managing of pacemaker

mediated arrhythmias,

24-hour Hotter recordings were the most effective.

In comparison

of hemodynamics

in any pacing mode, physiological

pacing was significantly

different

from VVI pacing as to blood pressure,

left atrial pressure and cardiac index.

Patients

who require improvement of hemodynamics

should be treated

with physiological

pacing.

As for the optimal choice of pacing modes, patients

with advanced

atrioventricular

block without underlying disease do not always require physiological

pacing.

However,

the patients

with sick sinus syndrome should receive physiological

pacing.

Table  1  .  Cases  with  permanent  pacemaker  implantation
Fig.  1  .  Pacemaker  mediated  arrhythmias  detected  on  24-hour  Holter   recordings  in  patients  with  VVI  pacing
Table  4.  AAI  pacing  cases  with  sick  sinus  syndrome  (19 cases)
Table  5.  Arrhythmias  detected  on  24-hour  Holter  recordings  in  AAI  pacing  cases
+5

参照

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