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実施事項 1: 生鮮品等の輸出拠点となっている海外主要空港の事例調査 スキポール空港 (Amsterdam Airport Schiphol/ AMS) Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.

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実施事項1:生鮮品等の輸出拠点となっている海外主要空港の事例調査

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Schiphol概要

 オランダ政府が筆頭株主(69.8%)、アムステルダム市(20%)、ロッテルダム市(2.2%)、 Aéroport de Paris (ADP)社(8.0%)。

 貨物地区の概要

 ハンドリング会社が7社「dnata, swissport, DHL, WFS,skylink, MENZIES,AF-KLM」

 25以上のトラック会社の拠点。

 貨物地区の上屋面積52.5ha、従業員は26,000人

 トランジット(航空機での継越貨物)は微小。

 スキポール空港では、トランジットはRFSと認識しており、高速道路との接続を重視してい る。

 航空会社は、RFS(Road Feeder Service)のコンテナ、パレットの番号を管理。

 オランダ税関、スキポール、オランダ航空貨物協会(ACN)が官民一体で貨物誘致への 取り組みを行っており、その旗振り役となっているのがSchiphol。  ターゲット貨物は食品、花卉、ファッション、ハイテク、航空機エンジン、医薬品、動物、自動車、 EC等。近年はECの取り扱いが増加。  オランダ税関とも良好な関係。  税金の還付金の戻りが早く、キャッシュフロー回転が良い。1回税金を払えば、都度の支 払いは不要など。この様な運用が行われているのも、国の財政が安定しているからと思慮 される。

スキポール空港は、7つの航空貨物ターミナルオペレータ、貨物コミュニティ(航空貨物関

連企業の組織化)、ITシステムの導入などを積極的に展開

スキポール空港概要

名称 Amsterdam Airport Schiphol 所在地 Evert van de Beekstraat 202,

1118 CP Schiphol, Nederland 運営者 スキポール 敷地面積 2,787 ヘクタール 滑走路 6本 旅客ターミナル 1ターミナル 貨物量 166万t (2015年) AMS概要 出所)Schiphol Webサイト、Schipholヒアリング内容/ヒアリング時提供資料、貨物量はACIより

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実施事項1:生鮮品等の輸出拠点となっている海外主要空港の事例調査 Amsterdam Airport Schiphol (AMS)

北部の貨物地区には、旅客ターミナルに面した好立地にKLMが自社上屋を保有してお

り、dnataもエアサイドに面した場所で大規模な上屋を運営している

Source) Schiphol Runway:Kaagbaan KLMの自社上屋(建物KLM所有) ベリー貨物は旅客ターミナルへ フレータ貨物は、南部スポットで搭載 KLM上屋の上に通路を設置して、 搭乗スポットを整備するプラン KLM(第1貨物ビル)の前 は、工事が進む 第1貨物ビルの方が古い dnata上屋(NCA等) エアサイド(機側)に面する好立地施設 Pharma&Perishable Center Animal Hotel dnata dnata

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スキポール空港 第5、6貨物上屋

生鮮貨物専用エリアを持つdnataの運営施設

貨物上屋から出ると すぐ機側 上屋の反対側に はトラックドックが 連なる

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実施事項1:生鮮品等の輸出拠点となっている海外主要空港の事例調査 Amsterdam Airport Schiphol (AMS)

dnataの第5、6貨物上屋は輸出入一体型で運営され、機側に面しており利用しやすい

Perishable Center

(生鮮食品と医薬品を対象に保冷環境を保っている)

 ターミナル5が輸入と動物保管施設。6が輸出専用と切り分けている。貨物と作業の流れが輸入と輸出で異なるため、それぞれ専用化してい る。  施設は横に長く、各ターミナルで260m、合計550m以上の長さがあり、トラックドックが80以上ある。  輸入ゾーンの一角にPerishable 専用エリアを設けている。

輸出エリア

輸入エリア

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dnataが運営するPerishable Centerの様子(1/2)

 センター内は+5℃以下に保たれており、保管場所が個別温度設定可能なセルに分かれている。  機側からはドーリーでコンテナを直ぐに運びこめる設備が設置されている。 エアサイドからは直接保冷室に コンテナを引き込める設備

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実施事項1:生鮮品等の輸出拠点となっている海外主要空港の事例調査 Amsterdam Airport Schiphol (AMS)

dnataが運営するPerishable Centerの様子(2/2)

複数の専用セルに分かれている

温度帯はセル毎に管理している

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インタビューメモ:スキポール空港(dnata:1/2)

 貨物ターミナル施設の現状

 生鮮食品を輸入する際、機側からターミナル内までに専用のドーリーを配備し、機側から温度管理されたターミナルまでの時間を最短化 する。生鮮貨物は息をしているため、温度変化にさらされる時間を最短化している。

 貨物ターミナル内では、Fast Track Laneを設けており、エアサイドからトラックドックまで専用のドーリーでコンテナのまま運べるルートを 設けている。花、果実、野菜が対象となる。  生鮮食品は独立したドライコンテナ(パッシブコンテナ)の中に、アイスを引きつめて冷蔵状態を保っているケースが一般的である。これ は、ポリコーンと呼ばれる箱の中に食品とアイスが詰められている。同施設では10分でコンテナからブレイクダウンし、専用の冷蔵セルに 一時保管する。冷凍もチルドも基本的に作業工程は変わらない。  例えば、北欧のノルウェーサーモンは、18時間かけてトラックでオランダに運ばれてきた氷漬けの貨物を、パッキングし、10時間かけてドラ イコンテナ+氷で成田に運んでいる。合計2日間かけているが、保冷コンテナを使うのと品質的には変わらない。  保冷コンテナは、医薬品にしか使われていない。荷主にとって保冷コンテナを使うことは、コストがあまりに高くなってしまう。食品の場合、 他の商品に臭いなどが移らない独立したセル環境を保つことが重要ではあるものの、保冷コンテナを使うほど経済的な負担力は無い。あ まりに高い食材になってしまうと、スーパーマーケットでは選ばれない。 Laneはトラックドックに直結 Fast Track Lane

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実施事項1:生鮮品等の輸出拠点となっている海外主要空港の事例調査 Amsterdam Airport Schiphol (AMS)

航空貨物の電子情報管理システム「E-Link」

 保安手続きやチェックポイント毎の確認作業の簡素化を目的に、ACN、Cargonaut、スキポール空港が共同で作った仕組み。

ACNが会員企業向けにACNカード(スマートカード、ICチップ搭載)を発行。ドライバーのACNカードに、全ての書類情報を電子化して記 録。フォワーダー、トラックドライバー、ハンドリング会社のシステムと連動する

官民共同の電子化プロジェクト「Smart Gate Cargo」

 全ての段階における貨物情報を電子的に運用し、輸出入手続きや審査・検査などを簡素化・迅速化。また、空港において政府当局が行う 全ての検査を税関が一元管理し、フォワーダーなどの上屋内での遠隔検査を可能にする取り組み  通関申告等の手続きの効率化から、セキュリティ強化にステップアップしている。  通関申告の透明性、セキュリティの時間短縮、追加コストがかからないことから、事業者(上屋会社(dnata等)、エアライン(NCA等)、その 他荷主やフォワーダー)から評価されている。

電子情報管理システム「E-Link」が導入されており、さらに官民共同のプロジェクトである

「Smart Gate Cargo」により、官民一体で手続きの効率化、セキュリティの強化に取り組む

税関情報 AWB ドライバー情報 トラック情報

E-Link導入イメージ

電気信号での 情報読み取り 上屋でも同じ ACNカードを使用可能 ACN、Cargonaut、 スキポール空港が 共同で製作、導入 EU法に基づく セキュリティを 短時間で 通過可能

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インタビューメモ:スキポール空港(dnata:2/2)

 ITシステム導入の状況  dnataでは倉庫運営のIT化を進めている。物を動かした際に、バーコードで位置を記憶させる方法を取っている。商品の出発や着地の時 間、荷主や輸送業者の情報などを全ての船主に対して公開し、情報をトラッキングできるシステムを構築している。  E-Link  E-Linkの最大の特徴は、ターミナルでの商品の検査を行わずに、Green Laneのようにノーチェックで税関が商品を運べる仕組みである。  事業主体はACN(Air Cargo Netherland)という任意組織。航空貨物に関わる全ての関係者、つまりキャリア、ハンドリングオペレータ、ト

ラッカー、エージェント(フォワーダー)が参加し、主導して作り上げた情報システムである。コンセプトを作った後に、空港警察と税関を巻き 込み、空港内業務の安全と環境にやさしい(ペーパレス)を目的に、書類を削減することを行った。  従来は、輸出の場合、トラッカーは貨物ターミナルに到着してからAWBの入力をし、税関職員が商品の検査を終えてから、ようやく荷物を 引き渡せるため、4~6時間ほど手続きに時間を要していた。システム導入後は、エージェントが輸送情報を事前に登録し、Green Channel での輸出承認を税関から受けておけば、荷物を引き渡して直ぐに、30分ほどでトラッカーが帰れるようになった。これにより、ター ミナルの混雑も解消し、書類点検業務も無くなった。Green Channel化で(一時保管が不要となり)、ハンドリング業務も効率的になった。  投資費用は不明である。但し、費用の40~50%を政府が負担し、残りをCANの会員が負担したと聞いている。

 Smart Gate Cargo

 トラック内の貨物をX線で事前に検査し、危険物が無い状態で貨物ターミナルに搬入する仕組み。税関とセキュリティの検査をさらに効率 化させようとするものである。

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実施事項1:生鮮品等の輸出拠点となっている海外主要空港の事例調査

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空港は新旧二つに分かれており、将来は貨物を第二空港に移転させる予定である。

 ドバイには新旧二つの空港で貨物を取り扱っており、総取扱い容量は180万t/年である。  現在稼働している貨物ターミナルは、第一空港(DXB)でメインに扱っているが、第二空港(マクタン)も若干稼働している。  ドバイ空港は商業貨物(旅客便のベリー貨物)を、第二空港ではフレーター貨物を扱っている。  第二空港は、ドバイの市街地の南端に位置して いる。  第一空港と第二空港の間は約60km離れている が、高速道路で結ばれており、空港間は30分~ 1時間でトラックの往来ができる。  トラックはエミレーツの貨物専用のもので、外部 のトラッカーにアウトソーシングしている。  ドバイは内陸ほど工業用途が多く、第二空港の

周辺はFree Trade Zoneに指定されている。  第二空港の周辺にて、2020年博覧会が開催さ れる予定であり、その時期に合わせて一般旅客 向けの開港が行われる。  政府は、2020年に現第一空港の機能を本格的 に第二空港へ移転させる予定であり、商業貨物 についても2025年の移転を目指している。但し、 詳細は未定である。

 第二空港は、ドバイ最大の貨物港Jebel All Port から10数kmと非常に近く、SEA-AIRが実現され ている。

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貨物ターミナルは手狭になっており、第二空港で大幅な拡張を目指している。

 第一空港の容量は、メインビルとエミレーツの上屋で約70万t。但し、エミレーツだけで年間約90万tの貨物を運んでおり、第一空港のターミナル はかなり混雑している。  メインビルの床面積は、約2.5万㎡。ハンドリングスペースを広く取っており、その1/3の約8,300㎡が確保されている。  エミレーツでは2008年の設立後毎年のように貨物ターミナルを拡張しており、今年で5回目の拡張計画を提案した。  また、政府は第二空港に貨物機能を全て移転する予定である。2020年の万博を契機に、商業貨物は2025年の移転を目標としている。第二空 港のターミナルは、120万tと巨大な施設を計画している。

ドバイ国際空港の貨物ターミナル施設概要

Total Handling Capacity

総取扱容量

About 1,800,000 tonnes/year

Main building

メインビル(第一空港)

350,000 tonnes/year

Mega Cargo Terminal

メガカーゴ(第二空港)

1,200,000 tonnes/year

Temporary Facility

メガカーゴの暫定容量

100,000 tonnes/year dedicated to EK Skycargo operations

EK Skycargo warehouse

エミレーツ上屋の容量(第

一空港)

350,000 tonnes/year

Cargo building (Main)

メインビルの床面積

Ground area 24,985 sq.m.

Handling area

ハンドリングスペース

8,300 sq.m.

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生鮮貨物の輸送実態:ドバイ空港(Emirates Cargo:1/4)

 エミレーツの扱う生鮮貨物の取扱高は年間14万t。一般貨物に比べると量は多くないが、貨物取扱全体量の約1/6である(即ち、エミレーツの年 間の航空貨物取扱量は約90万t)。生鮮貨物は、同社が戦略的に重視している商品である。  生鮮貨物は薬品と食品に分けられるが、食品はほぼ全てが輸入又はトランジット(再輸出)貨物である。UAEはほぼ全ての食品を輸入に頼って おり、その一部が航空貨物で運ばれてくる。実際にジャガイモのような根菜も航空貨物で運ばれていた。  貨物の80%はトランジットであり、国内向けの輸入は20%に過ぎない。それは食品でも同じである。輸出はトランジットとして外国に運ばれる。  食品の発地はアフリカがメイン(特にケニアからの食料品の輸出が近年増えてきている。)であるが、世界各国から輸入されている。代表品目は ヨーロッパ産の果物や野菜、またオーストラリア産やブラジル産の肉など。  別図に示すように、再輸出の多い国は、中東・インドアフリカ諸国であるが、欧州・米国・中国なども含まれる。これらの国への輸送手段は、多く が船ではなく航空便である。  再輸出の多い商品は、宝石、機械、自動車部品、電子部品などである。金額でみると食品はそれほど多くはない。 ドバイから再輸出の多い国 ドバイから再輸出の多い商品

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エミレーツのネットワーク:ドバイ空港(Emirates Cargo:2/4)

 エミレーツの航空輸送の実態と強みは以下の通りである。  1985年に事業を始め、21年で商業用及び専用貨物で世界一の取扱量を誇るエアラインとなった。  ドバイは世界各国の1/3に6時間以内で、2/3に10時間以内で、全ての国に24時間以内で運べる地理的な優位性を持っている。  各国でのトラックネットワークの充実に力を入れている。例えば最近路線ができたハノーバーにも生鮮用に冷蔵倉庫を置いている。  貨物専用便がある寄港地は、世界各国で活躍する大型顧客がいる所である。スペインのサラゴサ(zara本社)、フランスのリエージュ(ボ シュ本社)、オスロ(サーモンの輸出会社ダーモン)。それ以外は、旅客便で貨物を集めている。  貨物専用の機材は15機。777が13台で747が2台であるが、全て777のLongに替えようとしている。777は効率的で形が美しい。今後は貨物 も大型化していくので、大型機材が望ましい。旅客機は255あるが、今後は777と380を主体に調達する予定である。 エミレーツのネットワークは10時間以内がほとんど エミレーツの新規就航地は年間6か所前後

出所)Emirates Skycargo Corporate Presentation

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第一空港のカーゴビレッジは空港の南西端に位置している。エミレーツの貨物ターミナルも

その一角を占めている。

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第一空港の貨物ターミナルの運営実態:ドバイ空港(Emirates Cargo:3/4)

 温度管理施設の温度帯は、三つに分けている。15-25度の常温帯(50度に達する外気より低温で、食品の品質を保つのに必要である。)、3-8 度のチルド、-18度の冷蔵。  貨物の荷姿は、個別にULD上で梱包を行うものがほとんどであり、コンテナを使っている物は少ない。輸入品のブレイクダウンと輸出品のビルド アップを、輸送先の顧客毎に梱包し、輸送先到着後に直ぐに運べるようにしている。  貨物ターミナル内の貨物の滞在時間は、最低2時間。通常は5時間以内に搬出している。  輸出貨物のエアサイドの手前には、自動ラックが設置されており、ロケーションシステムで管理されている。輸出貨物は、トラックドックから運び 出された後、上屋内の平場でビルドアップされ、ULD単位で自動ラックに運ばれる。梱包後の機材までの輸送を自動化することで、輸送の安定 性を確保している。  サーモキングという温度管理がされたコンテナに車両を付けた装置を開発している。庫内を-18~+25度までの温度に保つことができ、酸素を供 給することもできる。花や果物、生き物などを対象にしている。ドバイ空港は広いため、貨物ターミナルから機側まで最大で45分も車を走らせな ければならない時もある。薬品などセンシティブな貨物を扱う際に、顧客への追加サービスとして用意している。  一般貨物はULDで1,200ユニットを通常扱っている。  輸出貨物は出発の8時間前からビルドアップし、90分前にはターミナルを出る。空港が広いため機側に45分かかり、そこで搬入して出発となる。  一般貨物に関しては、出国の5時間ぐらい前から空港内の外に陳列されている。食品貨物に関しては90分前をめどに飛行機に届けられるよう にトラックドックを出る。

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第二空港では、エミレーツが大規模なフレーターターミナルを整備し、ノルウェーサーモンを

日本に輸出する経由地にするなど産地と需要地を結ぶ貨物を取り扱っている

 エミレーツスカイカーゴは、2014年に新たなアルマクトウム空港に隣接するドバイワールドトレードセンター(DWC)内に7万㎡の貨物上屋を建設し た。110ヶ国以上から既に生鮮貨物を30万t運んでいるため、1.5万㎡の生鮮専用施設を整備し、コンテナごと自由に出入りできる保冷セルを72基 持つ施設を整備した。

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第二空港の貨物ターミナルの運営実態:ドバイ空港(Emirates Cargo:4/4)

 新ターミナルの施設設計コンセプトは、シンプルで、クイックに搬入・搬出ができること。自動ラックは一切導入せず、フラットで水平なハンドリン グスペースを多く持つ施設とした。コストもかからず、ハンドリング業務も効率的にできる。  トラックドックから機側まで10分で届けられるスピードが売りである。エアサイドの駐機スペースに並行してターミナルを横長に配置している。12 のスロットから何時でも貨物を出入りさせることができるような設計である。  72のドックのうち9つが冷蔵対応。機側のドックの扉は二つに分けられ、外気が入らないようにしている。

 loose cargoのトラックドックは46台分。またintact bridge systemを採用しているトラックドックは9台ある。それを将来は2倍に拡張できるようにし ている。  生鮮貨物専用のトラックドックもある。そこは扉を二重にして、50度に達する外気をターミナルに侵入させることを防いでいる。  一般貨物の所蔵がULD単位で2282であるのに対して、生鮮貨物は約1割の218。ただし、生鮮貨物の輸送は毎年のように増えている。  貨物のトランジット比率は約50%。トランジット貨物もターミナル内で保管している。航空機の到着時に保管貨物を搬出している。  生鮮貨物として、薬品と食品を扱っている。薬品を取扱うためにEUの許可証を二年前に得た。  運用は24時間。何時でも輸送が可能である。  税関職員は(フライトに応じて濃淡はあるが)24時間体制となっている。検疫も99%通るためやり易いが、アフリカからの貨物が通らない時があ る。  温度帯は、10-25度、2-8度のチルド帯、-20度の冷蔵帯の三温度帯に分けている。外気が夏場50度と高くなるので、三つに分けているゾーンの うちドッグに近い所から、常温、チルド、冷蔵の順としており、ゾーン間には扉を設けている。貨物ターミナルの低温維持にはエネルギーコストも かかるので、温度差が大きく生じない工夫をしている。  この施設は多くの労働力を必要とする。現在は安く抑えられていても、組合が組織化され、労働コストが高まる10年後になってみると人件費を かけられなくなり、施設を立体的かつ機械化していかなければならなくなる。  食品の荷姿は、ドライコンテナにドライアイスを敷き詰めるパターンか、保冷コンテナを用いるかのどちらかである。ドライアイスも2時間を超える と溶けてくるが、どちらを選択するかはエアラインや荷主次第である。  生鮮貨物所蔵庫の稼働率はほぼ100%である。今後拡張する計画もある。

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実施事項1:生鮮品等の輸出拠点となっている海外主要空港の事例調査 Frankfurt airport (FRA)

Fraportの運営するフランクフルト空港は、Lufthansaが拠点を置く、欧州最大規模のハブ空港である

CargoCity Sourth 第1旅客 ターミナル 第2旅客 ターミナル 第3旅客 ターミナル 予定地 フランクフルト空港概要 名称 Frankfurt airport 所在地 60547 Frankfurt, Germany 運営者 Fraport AG 敷地面積 2,100ヘクタール 滑走路 4本 旅客ターミナル 2ターミナル(第3ターミナル建設予定) 貨物量 208万t (2015年) FRA概要 FRAレイアウト

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2015年の取扱貨物量は208万t。

フレーター:ベリー=60:40  トランジット比率(Ship to ship含む)は、20~30%

2020年に320万tの取り扱いを目指す

 南部地区の拡張用地と第3ターミナル整備で、320万tにキャパ シティが増加  今後の貨物量増加に最も寄与するのは、 医薬品と化学品関係だろう。  定温ドーリー(-30℃~+30℃)を、20年前から導入。18台をフラ ポートが所有し、事業者に貸し出している。

貨物上屋の運営スキーム

 1990年までは、建物をフラポートが整備した  1990年代は経済的に厳しく、建物を整備することができなく なったため、事業者に土地を貸して、投資、開発をさせるス キームに変更し始めた。生鮮棟はその最初のプロジェクト。南 部地区は、基本的にそのスキームを踏襲している。  ただし、2005年頃からEU法の解釈変更(ハンドリング会社の 独占緩和)のため、自社で保有する必要が生じ、再び自社で投 資するスキームに変更した。南部の拡張用地の新上屋は、フラ ポートが所有し、賃貸する予定。 ▪ なお、ハンドリング会社の参入規制緩和により、スイス ポート、アクティーナが参入した。Fraportのシェアは85% である。

208万tの貨物を取り扱い、南部地区の整備を進めることで更なる拡大を目指す

0 500,000 1,000,000 1,500,000 2,000,000 2,500,000

フランクフルト空港 貨物量(トン)

出所)Fraport

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実施事項1:生鮮品等の輸出拠点となっている海外主要空港の事例調査

フランクフルト空港の生鮮棟(Perishable Center Frankfurt)

北部地区に生鮮棟がありエアサイドから直接搬入可能。空港会社と事業者のJVが整備している。

Perishable Center外観

Perishable Center レイアウト

Perishable Center Frankfultの株式構成

LUG/Dettner Group 40%, Nagel Group 50%, Fraport 10% (Fraportは10%の出資にとどまり、開発や運営には未関与)  機能  上屋面積 9,000㎡(事務所面積は2,600㎡)  20区画を、‐24℃~+24℃で、各々に温度管理可能20トラックドック ▪ 生鮮品(花卉、フルーツ、野菜、肉)14、医薬品3、魚2、Rollerbed(コンベヤ)1  従業員数:120名  うち2/3以上は5年以上従事。特殊貨物取り扱いのため、新規  従業員に対しては教育投資が必要  取扱貨物  12万t(航空10.5万t、海上1.5万t) ▪ あと30%増加分くらいまでのキャパシティはある。  品目  果物・野菜40%, 鮮魚・冷凍魚21%,花卉19%,医薬品13%,食肉5%,他2%  顧客・収入  顧客はフォワーダーで、平均すると、1kgあたり10セントの収入。  作業工程ごとに、40程の作業価格が設定。

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フレータ:ベリー=

50:50

輸出:輸入≒

50:50、トランジットは約5%(機移しは微小)

CargoCity North

 LCC(Lufthansa Cargo Center)という大規模施設を保有。  年間100万tの取り扱い。  バラ荷を搬入し、行き先別にパッケージングを行い、直接航空 機に貨物を運んでいる。

CargoCity South(視察を実施)

 DBシェンカー等、フォワーダーが集積しているエリアに立地。  年間10万tを取り扱い、その6割が輸入、4割が輸出。  1階はより荷量の多い輸入利用、2階は輸出利用。ただし、混 雑する土曜日等は輸出貨物を1階で取り扱うこともある。

North, Southともに自社での冷凍・冷蔵施設は未保有。温

度管理貨物は全て

Perishable Centerで処理される。

Fair@Link

 支援を行ってきて、自社でも南部地区にて導入。  FRAで事業を行っているフォワーダーの10%程度しかまだ導入 しておらず、今後どのようにマーケティングを進めるかが課題。

施設の更新計画

 5億円を投資する大規模な更新計画があったが、中止となっ た。  投資額の確保が厳しかったことも理由のひとつだが、FRAにお ける貨物事業の重心を南北のどちらに置くかが社内で十分に 議論されていなかったため。

ルフトハンザ・カーゴはフランクフルト空港をハブとし、南北両地区でオペレーションを実施している

1階概観(輸入向け) 1階概観(輸入向け):左奥の部屋はエレベーター 2階概観(輸出向け)

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Air Cargo Community (航空貨物ターミナル運営者等の集まり)ではユーザー(荷主、フォワーダー、港湾運

営者、トラック輸送事業者など)がワンストップサービスをうけることのできるプラットフォームづくりを目指して

いる。そのモデルは、以下にあるハンブルグ港の

DAKOSYという情報システムにあるという。

DAKOSYは、通関情報システムと物流情報システムが一体となったものである。そのため、ユーザーは一回

の情報入力で通関手続き及び物流手配(コールドチェーン用のトラック手配等)を一度に実施することが可能

である。

フランクフルト空港のAir Cargo Communityの目指す情報プラットフォーム

参照

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