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平成 23 年 12 月改正 得者等 といいます ) で 次のⅰ 又はⅱ のいずれかに該当する者とされていました ( 旧所法 231の 2 1 旧所規 101) ⅰ その年の前々年分の確定申告書若しくは修正申告書を提出している者又はその年の前々年分の所得税につきその年の前年 12 月 31 日以前に

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所得税法の改正

一 事業所得等を有する者の帳簿書類の備付け等の見直し

1  改正前の制度の概要

⑴ 記帳・記録保存制度の概要 ① 事業所得者等で、一定の基準日において、 その年の前々年分又は前年分の事業所得等の 所得金額の合計額が300万円を超える者は、 帳簿を備え、その年の取引のうち総収入金額 及び必要経費に関する事項を簡易な方法によ り記録し、かつ、その帳簿(いわゆる帳簿代 用書類を含みます。)を一定期間保存しなけ ればならないこととされていました(記帳制 度)(旧所法231の 2 ①)。 ② また、事業所得者等で、一定の基準日にお いて、その年の前々年分又は前年分の確定申 告書又は総収入金額報告書を提出している者 その他これらに準ずる者は、その業務に関し て作成し、又は受領した帳簿及び書類を一定 期間保存するものとされていました(記録保 存制度)(旧所法231の 2 ③)。 ③ この記帳・記録保存制度は、昭和59年度税 制改正において、納税環境の整備を図るため に、納税者の実態に十分配慮した記録及び記 帳に基づく申告制度の法制化として設けられ たものですが(昭和60年 1 月 1 日以後の記帳 義務の対象者について適用)、その対象者の 範囲は一定規模以上の所得者に限定されてお り、当時の議論においても、事業活動を行っ ている者は何らかの記録を行っていると考え られることから、全ての事業者に対して自ら 所得金額の計算ができるように最低限の記帳 と記録保存を求めるべきという考え方もあり ました。しかし、零細な事業者にまで記帳義 務を課すことは、その必要性と新たな事務負 担とのバランスからみて必ずしも問題がない とは言えないことから、記帳義務については 事業所得者等のうち所得金額が一定額を超え る者に限定し、それ以外の事業所得者等につ いては記録の保存義務にとどめたという経緯 があったところです。 ⑵ 記帳制度 ① 記帳制度の対象者 イ 記帳制度の対象者は、その年において不 動産所得、事業所得若しくは山林所得を生 ずべき業務を行う居住者又はこれらの業務 を国内において行う非居住者(青色申告書 を提出することにつき税務署長の承認を受 けている者を除きます。以下「個人事業所 目    次 一 事業所得等を有する者の帳簿書類の備 付け等の見直し ………85 二 更正の請求範囲の拡大………89 三 前年分の所得税額等の更正等に伴う更 正の請求の特例の改正 ………90 四 減価償却資産の償却費の計算及びその 償却の方法の改正 ………91 五 税務調査手続等に関する改正………95

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得者等」といいます。)で、次のⅰ又はⅱ のいずれかに該当する者とされていました (旧所法231の 2 ①、旧所規101)。 ⅰ その年の前々年分の確定申告書若しく は修正申告書を提出している者又はその 年の前々年分の所得税につきその年の前 年12月31日以前に更正・決定を受けた者 で、その前々年分のこれらの所得金額の 合計額がその年の前年12月31日において 300万円を超える者 ⅱ その年の前年分の確定申告書若しくは 修正申告書を提出している者又はその年 の前年分の所得税につきその年の 3 月31 日以前に更正・決定を受けた者で、その 前年分のこれらの所得金額の合計額がそ の年 3 月31日において300万円を超える 者 ロ このように、個人事業所得者等が、その 年(記帳義務の有無の判定をしようとする 年をいいます。)において記帳義務がある かどうかを判定する場合に前々年と前年の 「前 2 年基準」により毎年判定することと されていますが、記帳・記録保存義務は、 恒常的に行う方が実効性があり、また、合 理的であると考えられることから、このよ うな基準を採ることによって各年の所得金 額の変動による記帳・記録保存義務の有無 の入れ替わりがなるべく起こらないように しているものです。  ② 記帳の内容 イ 記帳の内容については、帳簿を備え付け て、その適用を受ける年分の不動産所得の 金額、事業所得の金額及び山林所得の金額 が正確に計算できるように、これらの所得 を生ずべき業務に係るその年の取引(その 年の前年12月31日における判定で記帳義務 の要件に該当しない者が、その年 3 月31日 における判定で記帳義務の要件に該当する こととなった場合には、同年 4 月 1 日以後 の取引)でこれらの所得に係る総収入金額 及び必要経費に関する事項を財務大臣の定 める簡易な記録の方法に従い、整然と、か つ、明瞭に記録しなければならないことと されていました(旧所規102①②)。 ロ この総収入金額及び必要経費に関する事 項の財務大臣の定める簡易な記録の方法は 財務省告示において定められており、一般 の営庶業の場合には⒜売上、売上以外の収 入、仕入及び仕入以外の費用に関する事項 について、それぞれ、「取引の年月日」、「取 引先」、「金額」及び「日々の売上(仕入) の合計金額」を記載し、⒝小売業者の現金 売上の場合や原始記録によりその内容を確 認できる取引の場合は、日々の合計金額の みを一括記載することができるなど、中小 企業者の過重な負担とならないように配慮 して定められています(所規102⑥、昭和 59年大蔵省告示37号)。  なお、備え付けるべき「帳簿」については、 青色申告の場合と同様に税法では帳簿様式を 定めているわけではなく、法定の記載要件さ え満たしている書類であればよいこととされ ています。 ⑶ 記録保存制度 ① 記帳義務に基づいて作成した帳簿及び帳簿 代用書類の保存 イ 個人事業所得者等は、上記⑵の記帳制度 に基づいて作成した帳簿については 7 年間、 帳簿代用書類については 5 年間、その者の 住所地若しくは居所地又はその営む事業に 係る事務所、事業所その他これらに準ずる ものの所在地に保存しなければならないこ ととされていました(旧所規102④)。 ロ 帳簿代用書類とは、具体的にその年にお いてその業務に関して作成し、又は受領し た請求書、納品書、送り状、領収書その他 これらに類する書類(自己の作成したこれ らの書類の写しを含むものとし、総収入金 額又は必要経費に関する事項の記載のある

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ものに限ります。)で、帳簿にその総収入 金額又は必要経費に関する事項を記録する ことに代えて日々の合計金額を一括して記 録した場合のこれらの事項の記載のあるも のとされていました(旧所規102③)。 ハ 帳簿書類の保存期間は、この記帳義務に 基づいて作成した帳簿についてはその閉鎖 の日の属する年の翌年 3 月15日の翌日、帳 簿代用書類についてはその作成又は受領の 日の属する年の翌年 3 月15日の翌日から起 算するものとされていました(旧所規102 ⑤)。 ② 記帳義務に基づき作成した帳簿及び帳簿代 用書類以外の帳簿書類の保存 イ 記帳義務に基づき作成した帳簿・帳簿代 用書類は上記①で述べたように保存義務が 課されていますが、記帳義務に基づいて作 成したもの以外の帳簿書類(以下「記帳義 務によらない帳簿書類」といいます。)に ついても同様に保存義務が課されており、 その対象者は、その年において不動産所得、 事業所得若しくは山林所得を生ずべき業務 を行う居住者又はこれらの業務を国内にお いて行う非居住者で、次のⅰ又はⅱのいず れかに該当する者とされていました(旧所 法231の 2 ③、旧所規103①)。 ⅰ その年の前々年分の確定申告書若しく は総収入金額報告書をその年の前年12月 31日において提出している者、又はその 年の前々年分の所得税につきその年の前 年12月31日以前に決定を受けた者 ⅱ その年の前年分の確定申告書若しくは 総収入金額報告書をその年の 3 月31日に おいて提出している者、又はその年の前 年分の所得税につきその年の 3 月31日以 前に決定を受けた者 ロ 保存義務の内容は、上記イに該当する者 がその年において不動産所得、事業所得及 び山林所得を生ずべき業務に関して作成し、 又は受領した次に掲げる帳簿及び書類(上 記②の記帳義務に基づいて作成した帳簿・ 帳簿代用書類及び青色申告者の帳簿書類の 備付け・保存義務規定の適用を受けて保存 している帳簿書類を除きます。)を整理し、 5 年間、これをその者の住所地若しくは居 所地又はその営む事業に係る事務所、事業 所その他これらに準ずるものの所在地に保 存しなければならないこととされていまし た(旧所規103②)。 ⅰ その年においてその業務に関して作成 した帳簿及びその年の決算に関して作成 した棚卸表その他の書類 ⅱ その年においてその業務に関して作成 し、又は受領した請求書、納品書、送り 状、領収書その他これらに類する書類(自 己の作成したこれらの書類でその写しの あるものは、その写しを含みます。) ハ 帳簿書類の保存期間は、帳簿については その閉鎖の日の属する年の翌年 3 月15日の 翌日、書類についてはその作成又は受領の 日の属する年の翌年 3 月15日の翌日から起 算するものとされていました(旧所規103 ③)。

2  改正の内容

⑴ 改正の趣旨等 ① 納税者自らが税額の確定とその自主的な納 付を基本としている「申告納税制度」におい ては、所得税額を算定するのに必要な帳簿書 類を備え付け、収入金額や必要経費等を記載 し、それを基礎として申告を行うことが重要 であり、このような考え方に基づき、昭和59 年度税制改正において、事業所得等の所得金 額の合計額が300万円を超える個人事業所得 者等に対して記帳義務が課されることとされ ましたが、対象者を一定の所得金額を超える 者に限定しているのは、前述のとおり、零細 な事業者にまでこの記帳義務を課すことの必 要性やそれに伴う新たな事務負担とのバラン スを考慮したものです。

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② しかしながら、そもそも記帳は、税の申告 のためだけでなく経営管理にも資するもので あり、事業活動を行う限りにおいては、中小・ 零細な事業者であっても何らかの記帳・記録 を行っていると考えられ、また、近年の情報 技術の進展により、それほど困難を伴わず記 帳ができることになっていることや、納税環 境整備の一環として、国税通則法の改正が行 われ、国税に関する法律に基づく申請により 求められた許認可等を拒否する処分又は不利 益処分について、課税庁は行政手続法の規定 に基づき理由を示すこと(いわゆる「理由附 記」)とされたこと等を踏まえ、今回の改正 において、全ての個人事業所得者等に対して 記帳義務を課すこととしたものです。 ⑵ 改正の内容 ① 記帳義務及び記録保存義務の見直し イ 今回の改正では、その年の前々年分及び 前年分の事業所得等の所得金額の合計額が 300万円以下の個人事業所得者等について も、新たに記帳義務及び記録保存義務が設 けられました。これにより、全ての個人事 業所得者等は、その年の取引のうち総収入 金額及び必要経費に関する事項を簡易な方 法により記録し、かつ、その帳簿(いわゆ る帳簿代用書類を含みます。)を一定期間 保存しなければならないこととされました (所法231の 2 ①、所規102)。 ロ 具体的な記帳義務の内容として、個人事 業所得者等は、帳簿を備え付けて、その適 用を受ける年分の不動産所得の金額、事業 所得の金額及び山林所得の金額が正確に計 算できるように、これらの所得を生ずべき 業務に係るその年の取引でこれらの所得に 係る総収入金額及び必要経費に関する事項 を財務大臣の定める簡易な記録の方法に従 い、整然と、かつ、明瞭に記録しなければ ならないこととされました(所規102①②)。  また、帳簿に含まれる帳簿代用書類とは、 その年においてこれらの業務に関して作成 したその他の帳簿及びこれらの業務に関し て作成し、又は受領した次に掲げる書類を いいます(所規102③)。 ⅰ その年の決算に関して作成した棚卸表 その他の書類 ⅱ その年において業務に関して作成し、 又は受領した請求書、納品書、送り状、 領収書その他これらに類する書類(自己 の作成したこれらの書類でその写しのあ るものは、その写しを含みます。) ② 記帳義務によらない帳簿書類の保存義務の 規定の削除 イ 上記 1 ⑶②のとおり記帳義務によらない 帳簿書類についても保存義務が課されてい ましたが、今回の改正で、全ての個人事業 所得者等に対して記帳義務が課されるとと もに、その記帳義務に基づいて記録された 帳簿及び帳簿代用書類の保存義務が課され ることから、この記帳義務によらない帳簿 書類についての保存に関する規定が不要に なったため削除することとされました(旧 所規103)。 ロ これにより、従来、個人事業所得者等が 記帳義務によらない帳簿書類としてその年 の決算に関して作成していた棚卸表その他 の書類については、今後、記帳義務に基づ き記録された帳簿及び帳簿代用書類として 保存することになります(所規102②③)。

3  適用関係

 上記 2 の改正は、平成26年 1 月 1 日以後におい て個人事業所得者等に該当する者について適用さ れます(平成23年12月所法等改正法附則 8 )。

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二 更正の請求範囲の拡大

1  改正前の制度の概要

⑴ 当初申告要件  当初申告時に選択した場合に限り適用が可能 な「当初申告要件が設けられている措置」につ いては、当初申告時に選択がなされていない場 合、更正の請求によって、事後的に当初申告時 に遡って当該措置を適用することは認められて いませんでした。 ⑵ 控除額の制限  当初申告に記載した金額に限って控除等が可 能な「控除額の制限がある措置」については、 当初申告で計算誤り等がある場合でも、更正の 請求により控除額の制限を超えての増額はでき ないこととされていました。

2  改正の内容

⑴ 当初申告要件の廃止  「当初申告要件」がある措置の中には、当該 措置の目的・効果や課税の公平の観点からみて、 事後的な適用を認めても問題がないものも含ま れていました。こうしたことを踏まえ、「当初 申告要件」を求める必要性がない措置について は、「当初申告要件」を廃止し、更正の請求を 認める範囲を拡大することとされました。  具体的には、次のイ又はロのいずれにも該当 しない措置については、「当初申告要件」が廃 止され、更正の請求範囲が拡大されました。 イ インセンティブ措置 ロ 利用するかしないかで、有利にも不利にも なる操作可能な措置  所得税に関する制度では、次の措置が該当し ます。 ① 給与所得者の特定支出控除(所法57の 2 ) ② 資産の譲渡代金が回収不能となった場合等 の所得計算の特例(所法64) ③ 純損失の繰越控除(所法70) ④ 雑損失の繰越控除(所法71) ⑤ 変動所得及び臨時所得の平均課税(所法 90) ⑥ 資産に係る控除対象外消費税額等の必要経 費算入(所令182の 2 )  なお、上記①、②及び⑤の制度は、課税当局 側で要件を満たしているかどうかの確認を行う ため、当初の確定申告書に所要の事項の記載又 は所要の書類の添付をすることが必要とされて いました。今回、当初申告要件が廃止され、修 正申告や更正の請求においてもこれらの制度の 適用を受けることができることとされたことか ら、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に 所要の事項の記載をした書類又は所要の書類の 添付がある場合に限り、これらの制度を適用す ることとされました。 (注) 修正申告書に所要の事項の記載をした書類 又は所要の書類の添付がある場合に適用され るのは、修正申告時に初めて上記の制度の適 用を選択することにより課税標準又は税額が 減少する一方、その他の事由により、それ以 上に課税標準又は税額が増加する場合です。 ⑵ 控除額の制限の廃止  控除等の金額が当初申告の際に記載された金 額に限定される「控除額の制限」がある措置に ついて、修正申告又は更正の請求により、適正 に計算された正当額まで控除額を増額させるこ とができることとされました。  所得税に関する制度では、次の措置が該当し ます。 ① 試験研究を行った場合の所得税額の特別控 除(措法10) ② 試験研究を行った場合の所得税額の特別控 除の特例(措法10の 2 ) ③ エネルギー環境負荷低減設備等を取得した

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場合の所得税額の特別控除(措法10の 2 の 2 ) ④ 中小企業者等が機械等を取得した場合の所 得税額の特別控除(措法10の 3 ) ⑤ 沖縄の特定中小企業者が経営革新設備等を 取得した場合の所得税額の特別控除(措法10 の 4 ) ⑥ 雇用者の数が増加した場合の所得税額の特 別控除(措法10の 5 ) ⑦ 所得税の額から控除される特別控除額の特 例(措法10の 6 ) ⑧ 青色申告特別控除(65万円)(措法25の 2 ) ⑨ 電子証明書を有する個人の電子情報処理組 織による申告に係る所得税額の特別控除(措 法41の19の 5 )  なお、控除等の金額の記載を一切不要とする と課税当局側に金額の立証責任が転換するため、 上記①から⑦までの制度については、確定申告 書、修正申告書又は更正請求書に添付された書 類に記載された事項を基礎として計算した金額 を限度として適用することとされました。 ⑶ 宥恕規定の廃止  上記⑴の見直しに伴い、添付書類の事後的な 提出が認められることとされたことから、上記 ⑴②から⑤の制度に係る宥恕規定が廃止されま した。

3  適用関係

 上記 2 の改正は、平成23年分以後の所得税につ いて適用し、平成22年分以前の所得税については、 従前どおりとされています(平成23年12月所法等 改正法附則 2 、43、平成23年12月改正所令附則 3 )。

三 前年分の所得税額等の更正等に伴う更正の請求の特例の改正

1  改正前の制度の概要

 所得税法その他法令の規定に従っていなかった こと又は計算に誤りがあったことにより、個人の 確定申告書に記載した所得税額が過大であるとき 又は繰越控除の対象となる純損失の金額若しくは 雑損失の金額若しくは還付を受けるべき金額が過 少であるときに、法定申告期限から 1 年以内に限 り、税務署長に対して、その課税標準等又は税額 等について更正をすべき旨の請求(更正の請求) をすることができることとされています(旧通法 23①)。  また、個人の確定申告書に記載すべき所得の金 額等について、修正申告書を提出し、又は更正若 しくは決定を受け、その修正申告又は更正若しく は決定に係る年の翌年分以後の年の所得税額が過 大となる場合又は純損失の金額、雑損失の金額、 外国税額控除額若しくは還付を受けるべき金額が 過少となる場合には、その修正申告書を提出した 日又はその更正若しくは決定の通知を受けた日の 翌日から 2 月以内に限り、税務署長に対し、国税 通則法第23条第 1 項の規定による更正の請求がで きることとされています(旧所法153)。本制度は、 更正の請求の特例として設けられているものであ り、所得税額が過大となる年分の法定申告期限か ら 1 年を経過している場合であっても、更正の請 求ができる場合を定めているものです。

2  改正の内容

 国税通則法が改正され、更正の請求の期限が法 定申告期限から 5 年とされたことにより、修正申 告又は更正若しくは決定があった年分の翌年分以 後の各年分で所得税額が過大となる場合又は純損 失の金額、雑損失の金額、外国税額控除額若しく は還付を受けるべき金額が過少となる場合には、 国税通則法の規定による更正の請求ができること となることから、本制度の対象となる年分を修正 申告書又は更正若しくは決定に係る年分の翌年分 以後の各年分で決定を受けた年分のみとすること とされました(所法153)。  また、純損失の金額、雑損失の金額又は外国税 額控除額の控除不足による還付を受けるべき金額

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が過少となる場合については、本制度の対象外と されました(所法153二)。これは、決定に係る年 分においては、純損失の繰越控除(所法70)、雑 損失の繰越控除(所法71)、外国税額控除(所法 95)の適用がないことによるものです。

3  適用関係

 上記 2 の改正は、平成23年分以後の所得税につ いて適用し、平成22年分以前の所得税については、 従前どおりとされています(平成23年12月所法等 改正法附則 2 )。

四 減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法の改正

1  改正前の制度の概要

 個人が、その年12月31日において有する減価償 却資産について、その個人が選定した償却の方法 により、耐用年数に応じて計算した金額は、その 年分の不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所 得の金額の計算上、必要経費に算入することとさ れています(所法49)。 ⑴ 減価償却の方法  減価償却資産の償却費の額の計算上、選定を することができる償却の方法は、次の減価償却 資産の区分に応じて、次のとおり定められてい ます(所令120、旧所令120の 2 )。 ① 平成19年 3 月31日以前に取得された減価償 却資産(国外リース資産にあっては、リース 契約が平成20年 3 月31日までに締結されたも の) イ 建物(鉱業用減価償却資産を除きます。) イ 平成10年 3 月31日以前に取得された建 物 旧定額法又は旧定率法 ロ イの建物以外の建物 旧定額法 ロ 建物以外の有形減価償却資産(鉱業用減 価償却資産及び国外リース資産を除きま す。) 旧定額法又は旧定率法 ハ 鉱業用減価償却資産(鉱業権及び国外リ ース資産を除きます。) 旧定額法、旧定率 法又は旧生産高比例法 ニ 無形減価償却資産(鉱業権を除きます。) 及び生物旧定額法 ホ 鉱業権 旧定額法又は旧生産高比例法 へ 国外リース資産 旧国外リース期間定額 法 (参考) 上記の償却の方法による償却費の額の計 算は、次のとおりとされています。 1  旧定額法  減価償却資産の取得価額からその残存 価額を控除した金額にその償却費が毎年 同一となるように定められたその資産の 耐用年数に応じた償却率を乗じて計算し た金額を各年分の償却費として償却する 方法をいいます。 2  旧定率法  減価償却資産の取得価額(第 2 年目以 後の償却の場合にあっては、その取得価 額から既に償却費として各年分の事業所 得等の金額の計算上必要経費に算入され た金額を控除した金額(以下「未償却残高」 といいます。))にその償却費が毎年一定 の割合で逓減するように定められたその 資産の耐用年数に応じた償却率を乗じて 計算した金額を、各年分の償却費として 償却する方法をいいます。 3  旧生産高比例法  鉱業用減価償却資産の取得価額から残 存価額を控除した金額を、その資産の耐 用年数又は鉱区の採掘予定年数のいずれ か短い期間におけるその鉱区の採掘予定 数量で除して計算した金額に、各年の採 掘数量を乗じて計算した金額を、各年分 の償却費として償却する方法をいいます。 4  旧国外リース期間定額法

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 リース取引に係る国外リース資産の取 得価額から見積残存価額を控除した残額 を国外リース資産の賃貸借の期間の月数 で除して計算した金額に、その年におけ るその国外リース資産の賃貸借の期間の 月数を乗じて計算した金額を各年分の償 却費として償却する方法をいいます。 ② 平成19年 4 月 1 日以後に取得された減価償 却資産(リース資産にあっては、リース契約 が平成20年 4 月 1 日以後に締結されたもの) イ 建物(鉱業用減価償却資産及びリース資 産を除きます。) 定額法 ロ 建物以外の有形減価償却資産(鉱業用減 価償却資産及びリース資産を除きます。)   定額法又は定率法 ハ 鉱業用減価償却資産(鉱業権及びリース 資産を除きます。) 定額法、定率法又は生 産高比例法 ニ 無形減価償却資産(鉱業権及びリース資 産を除きます。)及び生物定額法 ホ 鉱業権 定額法、生産高比例法 へ リース資産 リース期間定額法 (参考) 上記の償却の方法による償却費の額の計 算は、次のとおりとされています。 1  定額法  減価償却資産の取得価額にその償却費 が毎年同一となるように定められたその 資産の耐用年数に応じた償却率を乗じて 計算した金額を各年分の償却費として償 却する方法をいいます。 2  定率法  減価償却資産の未償却残高にその償却 費が毎年一定の割合で逓減するように定 められたその資産の耐用年数に応じた償 却率を乗じて計算した金額(以下「調整 前償却額」といいます。)を、各年分の償 却費とし、その後、この調整前償却額が 償却保証額に満たないこととなった場合 には、改定取得価額にその償却費がその 後毎年同一になるような改定償却率を乗 じて計算した金額を、各年分の償却費と して償却する方法をいいます。 (注 1 ) 償却保証額……減価償却資産の 取得価額にその資産の耐用年数に 応じた保証率を乗じて計算した金 額をいいます。 (注 2 ) 改定取得価額……次の区分に応 じて、それぞれ次に定める金額を いいます。 ⑴ 調整前償却額が償却保証額に 満たない場合(その年の前年に おける調整前償却額が償却保証 額以上である場合に限ります。) ……その減価償却資産の未償却 残高 ⑵ 連続する二以上の年において 減価償却資産の調整前償却額が いずれも償却保証額に満たない 場合……連続する二以上の年の うち最も古い年における未償却 残高 3  生産高比例法  鉱業用減価償却資産の取得価額を、そ の資産の耐用年数又は鉱区の採掘予定年 数のいずれか短い期間におけるその鉱区 の採掘予定数量で除して計算した金額に、 各年の採掘数量を乗じて計算した金額を、 各年分の償却費として償却する方法をい います。 4  リース期間定額法  リース資産の取得価額をそのリース資 産のリース期間の月数で除し、これにそ の年におけるリース期間の月数を乗じて 計算した金額を各年分の償却費として償 却する方法をいいます。 ⑵ 取得価額  減価償却資産の取得に要した費用の額をいい、 取得の形態に応じて取得価額とすべき費用の額 等が規定されています(所令126)。

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⑶ 資本的支出の取得価額の特例  平成19年 4 月 1 日以後に資本的支出を行った 場合には、その資本的支出とされた金額を取得 価額として、その資本的支出の対象となった減 価償却資産と種類及び耐用年数を同じくする減 価償却資産を取得したものとされています(所 令127①)。  なお、資本的支出の対象となった減価償却資 産の区分に応じて以下の特例を適用することが できることとされています。 ① 平成19年 3 月31日以前に取得をされた減価 償却資産に資本的支出を行った場合の特例  資本的支出を行った日の属する年において、 既存の減価償却資産の取得価額に資本的支出 を加算できることとされています(所令127 ②)。 ② 定率法を採用している減価償却資産につい て資本的支出を行った場合の特例(減価償却 資産と資本的支出との合算)  前年分の所得税において資本的支出を行っ た場合には、その年の 1 月 1 日において、資 本的支出の対象となった減価償却資産(旧減 価償却資産)の取得価額等と資本的支出によ り取得したものとされた減価償却資産(以下 「追加償却資産」といいます。)の取得価額と の合計額を取得価額とする一の減価償却資産 を新たに取得したものとすることができるこ ととされています(旧所令127④)。 ③ 同一年分に複数の資本的支出がある場合の 特例(資本的支出どうしの合算)  前年分の所得税において資本的支出を行っ た場合には、その年の 1 月 1 日において、定 率法を採用している追加償却資産(②の適用 を受けるものを除く)のうち種類及び耐用年 数が同じものの取得価額等の合計額を取得価 額とする一の減価償却資産を新たに取得した ものとすることができることとされています (所令127⑤)。 ⑷ 償却の方法の選定  減価償却資産の償却の方法については、上記 ⑴①イからヘまで又は②イからへまでの減価償 却資産の種類の区分ごとに、かつ、上記⑴①イ イ、ロ、ハ及びホ並びに上記⑴②ロ、ハ及びホ の減価償却資産については設備等の種類の区分 ごとに選定し、その区分ごとに採用する償却の 方法を書面により納税地の所轄税務署長に届け 出なければならないこととされています(所令 123①②)。 ⑸ 法定償却方法  減価償却資産について、償却の方法を選定し なかった場合の償却の方法は、次に掲げる資産 の区分に応じて、それぞれ次に掲げる方法とさ れています(所令125)。 ① 平成19年 3 月31日以前に取得された減価償 却資産 イ 上記⑴①イイ及びロの減価償却資産 旧 定額法 ロ 上記⑴①ハ及びホの減価償却資産 旧生 産高比例法 ② 平成19年 4 月 1 日以後に取得された減価償 却資産 イ 上記⑴②ロの減価償却資産 定額法 ロ 上記⑴②ハ及びホの減価償却資産 生産 高比例法

2  改正の内容

 減価償却制度について、次の見直しが行われま した。 ⑴ 平成24年 4 月 1 日以後に取得をする減価償却 資産の償却費の計算上選定をすることができる 定率法の償却率について、定額法の償却率を 2.5倍した償却率(以下この償却率による償却 方法を「250%定率法」といいます。)から、定 額法の償却率を 2 倍した償却率(以下この償却 率による償却方法を「200%定率法」といいま す。)に引き下げられました(所令120の 2 ①二)。  この改正に伴い、改定償却率及び保証率につ

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いても改正が行われています(耐用年数省令別 表 9 、10)。 ⑵ 資本的支出の取得価額の特例のうち、上記 1 ⑶②の資本的支出をした日の属する年分の翌年 1 月 1 日において減価償却資産の取得価額と当 該資本的支出により取得をしたものとされた減 価償却資産の取得価額との合計額を取得価額等 として一の減価償却資産を取得したものとする ことができる措置について、平成24年 3 月31日 以前に取得をした減価償却資産と平成24年 4 月 1 日以後にした資本的支出により取得をしたも のとされた減価償却資産とを一の減価償却資産 とすることはできないこととされました(所令 127④)。

3  適用関係

⑴ 上記 2 ⑴の改正は、平成24年分以後の所得税 について適用し、平成23年分以前の所得税につ いては、従前どおりとされています(平成23年 12月改正所令附則 2 ①)。 ⑵ 平成24年分においてその有する上記 1 ⑴②ロ 又はハの減価償却資産につき定率法を選定して いる場合において、平成24年 4 月 1 日から同年 12月31日までの間に減価償却資産の取得をする ときは、その減価償却資産を同年 3 月31日以前 に取得された資産とみなして、250%定率法に より償却費の額を計算することができる経過措 置が設けられました(平成23年12月改正所令附 則 2 ②)。 ⑶ 平成24年分においてその有する上記 1 ⑴②ロ 又はハの減価償却資産(平成19年 4 月 1 日から 平成24年 3 月31日までの間に取得したものに限 ります。)につき定率法を選定している場合に おいて、同年分の所得税に係る確定申告期限ま でに、一定の届出書を納税地の所轄税務署長に 提出したときは、その届出書に記載された年分 以後の各年分においては、200%定率法により 償却費の額を計算することができる経過措置が 設けられました(平成23年12月改正所令附則 2 ③、平成23年12月改正所規附則 2 ①)。 ⑷ 上記 2 ⑵の改正は、個人が平成24年 4 月 1 日 以後に減価償却資産について支出する金額(経 過旧資本的支出額を除き、経過新資本的支出額 を含みます。)について適用し、個人が同日前 に減価償却資産について支出した金額(経過旧 資本的支出額を含み、経過新資本的支出額を除 きます。)については、次の⑸の場合を除き、 従前どおりとされています(平成23年12月改正 所令附則 2 ④)。 (注 1 )  経過旧資本的支出額とは、平成24年 4 月 1 日から同年12月31日までの間に減価 償却資産についてする資本的支出につき 新たに取得したものとされる減価償却資 産について上記⑵の経過措置の適用を受 ける場合のその支出額をいいます。 (注 2 )  経過新資本的支出額とは、平成24年 1 月 1 日から同年 3 月31日までの間に減価 償却資産についてした資本的支出につき 新たに取得したものとされる減価償却資 産について上記⑶の経過措置の適用を受 ける場合のその支出額をいいます。 ⑸ 平成24年 1 月 1 日から同年 3 月31日までの間 に減価償却資産について支出した金額(経過旧 資本的支出額を含み、経過新資本的支出額を除 きます。)について、上記 1 ⑶②又は③(改正 前の所令第127条第 4 項又は第 5 項の規定)に より平成25年 1 月 1 日において新たに取得した ものとされる場合には、その新たに取得したも の(上記⑶の経過措置の適用を受けるものを除 きます。)とされる一の減価償却資産は平成24 年 3 月31日以前に取得された資産に該当するも のとして250%定率法により償却費の額を計算 することとされています(平成23年12月改正所 令附則 2 ⑤)。 ⑹ 平成25年分における上記 1 ⑶③の適用につい ては、平成24年 4 月 1 日前に減価償却資産につ いて支出した金額(経過旧資本的支出額を含み、 経過新資本的支出額を除きます。)に係る追加 償却資産と同日以後に減価償却資産について支 出する金額(経過旧資本的支出額を除き、経過

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新資本的支出額を含みます。)に係る追加償却 資産で種類及び耐用年数を同じくするものとは、 異なる種類及び耐用年数の資産とみなすことと されています(平成23年12月改正所令附則 2 ⑥)。

五 税務調査手続等に関する改正

1  改正前の制度の概要

⑴ 当該職員の質問検査権  国税庁、国税局又は税務署の当該職員は、所 得税に関する調査又は調書等の提出に関する調 査について必要があるときは、次に掲げる者に 質問し、又はその者の事業に関する帳簿書類そ の他の物件を検査することができることとされ ています(旧所法234①、旧措法 9 の 4 の 2 ③、 29の 2 ⑧、29の 3 ⑦、37の11の 3 ⑪、37の14⑰、 41の12、旧国外送金等調書法 5 ①)。 ① 納税義務がある者、納税義務があると認め られる者その他所得税法の規定により申告書 を提出した者 ② 所得税法の規定による調書、源泉徴収票又 は計算書を提出する義務がある者 ③ 上記①に掲げる者に金銭若しくは物品の給 付をする義務があったと認められる者若しく は義務があると認められる者又は上記①に掲 げる者から金銭若しくは物品の給付を受ける 権利があったと認められる者若しくは権利が あると認められる者 ④ 租税特別措置法の規定による調書又は報告 書を提出する義務がある者 ⑤ 内国税の適正な課税の確保を図るための国 外送金等に係る調書の提出等に関する法律 (以下「国外送金等調書法」といいます。)の 規定による国外送金等調書を提出する義務が ある者 (注) 上記の当該職員の権限は、犯罪捜査のた めに認められたものと解してはならないこ ととされています(旧所法234②、旧措法 9 の 4 の 2 ⑤、29の 2 ⑩、29の 3 ⑨、37の11 の 3 ⑬、37の14⑲、41の12、旧国外送金 等調書法 5 ③)。 ⑵ 当該職員の団体に対する諮問及び官公署等へ の協力要請 ① 国税庁、国税局又は税務署の当該職員は、 所得税に関する調査について必要があるとき は、事業を行う者の組織する団体に、その団 体員の所得の調査に関し参考となるべき事項 を諮問することができることとされています (旧所法235①)。 ② 国税庁、国税局又は税務署の当該職員は、 所得税に関する調査について必要があるとき は、官公署又は政府関係機関に、当該調査に 関し参考となるべき帳簿書類その他の物件の 閲覧又は提供その他の協力を求めることがで きることとされています(旧所法235②)。 ⑶ 身分証明書の携帯等  国税庁、国税局又は税務署の当該職員は、上 記⑴の質問又は検査をする場合には、その身分 を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつた ときは、これを提示しなければなりません(旧 所法236、旧措法 9 の 4 の 2 ④、29の 2 ⑨、29 の 3 ⑧、37の11の 3 ⑫、37の14⑱、41の12、 旧国外送金等調書法 5 ②)。 ⑷ 罰則  次のいずれかに該当する者は、 1 年以下の懲 役又は50万円以下の罰金を科する処罰規定が設 けられています(旧所法242九・十、旧措法42 の 3 ④五・六)。 ① 上記⑴の当該職員の質問に対して答弁せず 若しくは偽りの答弁をし、又は上記⑴の検査 を拒み、妨げ若しくは忌避した者 ② 上記⑴の当該職員の検査に関し偽りの記載 又は記録をした帳簿書類を提示した者

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2  改正の内容

⑴ 質問検査権等に関する規定の改正 ① 質問検査権に関する規定の統合  税務調査手続の明確化を図る観点から、税 務調査の事前通知に関する手続を国税通則法 において国税の各税目にわたって横断的に規 定することとされたことを受け、その前提と なる質問検査権並びに団体に対する諮問及び 官公署等への協力要請に関する規定について も国税通則法において規定することとされま した。これに伴い、上記 1 ⑴から⑷に関する 規定が所得税法から削除されました(旧所法 234~236、242九・十、通法74の 2 ①一、74 の 8 、74の12①⑥、74の13)。  一方、租税特別措置法及び国外送金等調書 法に基づく質問検査権等に関する権限につい ては、これらの法律が国税通則法や所得税法 に対する特別法の位置付けにあたるため、引 き続き租税特別措置法及び国外送金等調書法 において規定することとされました(措法 9 の 4 の 2 ③、29の 2 ⑧、29の 3 ⑦、37の11の 3 ⑫、37の14⑰、41の12、国外送金等調書 法 5 ①)。 (注) 国税通則法における規定の内容は、後掲 の「国税通則法等の改正」の解説を参照し てください。 ② 物件の提示又は提出の要求に関する権限の 明確化  国税庁、国税局又は税務署の当該職員は、 租税特別措置法又は国外送金等調書法の規定 による調書又は報告書の提出に関する調査に ついて必要があるときは、その調書又は報告 書の提出義務者に対して、物件の提示又は提 出の要求ができることが法令上明確化されま した(措法 9 の 4 の 2 ③、29の 2 ⑧、29の 3 ⑦、37の11の 3 ⑫、37の14⑰、41の12、国 外送金等調書法 5 ①)。また、この物件の提 示又は提出の要求に対し、正当な理由なく拒 否し、又は虚偽記載の帳簿書類等を提示又は 提出する行為について、 1 年以下の懲役又は 50万円以下の罰金を科する処罰規定が設けら れました(措法42の 3 ④、国外送金等調書法 7 四)。 (注) この物件の提示又は提出の要求は、これ までも質問検査権の一部を成すものとして 行われてきたものです。 ⑵ 物件の留置きに関する規定の明確化  税務調査において納税者から提出された物件 を国税庁、国税局又は税務署の当該職員が預か り受ける「物件の留置き」については、これま でも実務上行われてきたところですが、調査手 続の透明化を図る観点から、この物件の留置き に関する権限が法令上明確化されました(措法 9 の 4 の 2 ④、29の 2 ⑨、29の 3 ⑧、37の11の 3 ⑬、37の14⑱、41の12、国外送金等調書法 5 ②)。  あわせて、当該職員が物件の留置きを行う場 合の手続についても定められ、当該職員が物件 を留め置く場合には、当該職員は、その物件の 名称又は種類及びその数量、その物件の提出年 月日並びにその物件を提出した者の氏名及び住 所又は居所その他その物件の留置きに関し必要 な事項を記載した書面を作成し、その物件を提 出した者に対してこの書面を交付するとともに、 その物件を善良な管理者の注意をもって管理し、 留め置く必要がなくなったときは、遅滞なくこ れを返還しなければならないこととされました ( 措 令 4 の 7 の 2 ③、19の 3 、19の 4 ⑱、25 の10の10⑨、25の13の 7 ④、26の21⑦、国外送 金等調書令10)。 (注) この物件の留置きに関する権限は、質問検 査権と同様に、犯罪捜査のために認められた ものと解してはならないこととされています (措法 9 の 4 の 2 ⑥、29の 2 ⑪、29の 3 ⑩、37 の11の 3 ⑮、37の14⑳、41の12㉗、 国 外 送 金 等調書法 5 ④)。

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3  適用関係

⑴ 上記 2 ⑴①の改正は、平成24年12月31日以前 に上記 1 ⑴①の所得税の納税義務者等又は②の 調書等の提出義務者に対して行った質問又は検 査(経過措置調査に係るものを含みます。)に ついては、従前どおりとされています(平成23 年所法等改正法附則 9 )。 (注) 上記の経過措置調査とは、平成24年12月31 日以前に開始された調査であって平成25年 1 月 1 日以後も引き続き行われる調査のうち、 同日以前に所得税の納税義務者等又は調書等 の提出義務者(すなわち、上記 1 ⑴に掲げる 者のうち③に掲げる者以外の者)に対して既 に質問又は検査を行っていたものをいいます。 ⑵ 上記 2 ⑴②の改正は、平成25年 1 月 1 日以後 に調書又は報告書の提出義務者に対して行う質 問、検査又は提示若しくは提出の要求(経過措 置調査に係るものを除きます。)について適用し、 平成24年12月31日前に調書又は報告書の提出義 務者に対して行った質問又は検査(経過措置調 査に係るものを含みます。)については、従前 どおりとされています(平成23年所法等改正法 附則44①、92①)。 ⑶ 上記 2 ⑵の改正は、平成25年 1 月 1 日以後に 提出される物件について適用されます(平成23 年所法等改正法附則44②、92②)。

参照

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