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この資料集について この資料集は 分譲マンションの管理組合の理事の方が マンションの電気料金削減に取り組む際に役立つ 最新の情報を集め まとめたものです 分譲マンションは 全国に 590 万戸 1400 万人が住むといわれています この資料集は マンション の電気料金 という視点に絞り 管理組合の理

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<マンションの電気料金削減についての調査と検討>

――(管理組合が電気料金問題に取り組む際に役立つ最新情報)――

最新の情報については下記をクリックしてください。

2013 年 9 月 28 日 2015 年版 電力自由化とマンションの電気料金について NPO 日本住宅管理組合協議会 http://www.mansion-kanrikumiai.or.jp/information/4409.html 事務局 松田昌也

目次

1. 毎月の電気料金の基本構成

2. マンション共用部・専有部の主な契約種別と料金計算方法

3. 電気料金削減の基本的な考え方

4. 節電・省エネ・設備変更等による電気料金削減

【LED の導入など】

5. 高圧受電のマンションの電気料金削減

【一括受電の導入など】

6. 低圧受電のマンションの電気料金削減

【①電子ブレーカー ②低圧高負荷契約 ③ピークシフト ④電化上手 ⑤高圧一括受電化 など】

7. 各住戸・専有部の電気料金削減

8. 東京電力のホームページ・サービスの利用法

【でんき家計簿など】

9. その他の電力供給手段

【太陽光発電・蓄電池・コージェネ・EV 自動車など】

10. マンション共用部の電気料金メニューの疑問点

11. マンションの電力・今後の展望

【電力自由化、MEMS、HEMS の導入】

【省エネ・蓄エネ・創エネの三本柱を備えたスマートマンション】

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2

・・・・・ この資料集について ・・・・・

・この資料集は、分譲マンションの管理組合の理事の方が、マンションの電気料金削減に取り組む際に 役立つ、最新の情報を集め、まとめたものです。 ・分譲マンションは、全国に 590 万戸、1400 万人が住むといわれています。この資料集は「マンション の電気料金」という視点に絞り、管理組合の理事の目線で、東京電力、経産省、業界各社、電気の専 門家等にヒアリングし、調べ、考えた結果を書いてあります。 ・管理組合の理事が情報と知識を持てば、取組み姿勢が主体的になります。 ・電気料金の仕組み、計算方法は複雑、難解ですが、契約の種別と契約容量で決まる月額固定の『基本 料金』と、同じく契約の種別による単価と一ヵ月の電気使用量の掛け算で決まる『電力使用量料金』 の二つで、毎月の電気代の 95%以上を占めています。この二つを先に重点的に理解するのが早道です。 ・マンションには、6600 ボルトの高圧受電のマンション(主として大規模、超高層など)と、200 ボル ト・100 ボルトの低圧受電のマンション(中規模、小規模)の二つがあり、設備と電気料金の仕組みが、 それぞれ異なっています。 ・マンションの専有部の電気料金の仕組みは、通常は、一般家庭(戸建て)と同じです。 ・1 棟のマンション全体で考えたとき、専有部の電気使用量の総量は、共用部の電気使用量より、はるか に多いこと(おそらく 5 倍~10 倍)は、念頭に入れておくと良いと思います。 ・主に、東京電力の料金メニューについて述べてあります。他の電力会社でも、名称は異なりますが、 類似したメニューがあります。

(3)

3

1

1

.

.

(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ)

電気

料金

基本

料金

(固定)

+

電力量

料金

±

電力量料金 燃料費 調整額

+

再生可能 エネルギ ー発電促 進賦課金

+

太陽 光発 電促 進付 加金 (ア)

基本料金=基本料金の単価×契約電力(kW)

契約種別により、力率割引があるなど、多少の違いはあるが、この計算式が原則。契約電力により月額が固定。 (イ)

電力量料金=電力量料金の単価×使用電力量(kWh)

電力量単価は契約種別により決まっている。例えば、高圧では18 円/kwh 前後、低圧の従量電灯 B や C では、使 用量が増えるほど単価が高くなる3 段階の料金体系で、平均すると、26 円/kwh 前後。

(ウ)燃料費調整額=燃料費調整単価×使用電力量

燃料費調整単価は原油・LNG・石炭の 3 か月間の貿易統計価格より算定され、毎月自動的に上げ下げされている。

単価は、平成25 年 9 月現在、低圧契約で+1.98 円/kwh(最近の火力発電比率の上昇と円安の影響も受け、高騰)

(エ)再生可能エネルギー発電促進賦課金=単価×使用電力量

単価は、平成25 年 9 月現在、0.35 円/kwh 再生可能エネルギーの電気を電力会社が買取り、全消費者が負担。

(オ)太陽光発電促進付加金=単価×使用電力量

単価は、平成25 年 9 月現在、0.05 円/kwh 太陽光発電での余剰電力(自家消費分を差引いた余りの電気)を電力会社が買取り、全消費者が負担する仕組み。 (エ)と(オ)については、精算方法の違いにより、一時的に 2 つの賦課金が生じているが、2014 年 9 月以降は「再エネ賦課金」に統一される。今も、「再エネ賦課金等」として、合体して考えて支障はない。 (ア)基本料金と(イ)電力量料金で、毎月の電気料金総額の95%程度以上を占めている。 (エ)(オ)の再生可能エネルギー・太陽光発電促進賦課金は、再生可能エネルギーが大量導入されてく れば比率は高くなるが、現在は1%にも満たない。また、管理組合の自助努力で変えられるものではない。 電気料金の仕組みは複雑であり、多くの管理組合、住民には難解である。また、採るべき選択肢の周知 も足りなかった。そのため、管理費の経費適正化に努めた多くの管理組合においても、こと電気料金に ついては、今まで主体的な取り組みは遅れ、後回しにならざるを得なかったという側面がある。 業者、専門家に、燃料費調整額や、再生可能エネルギー発電促進賦課金、太陽光発電促進付加金の話も 一緒にされると、素人では、聞いても訳が分からなくなる。些細な事柄や、イレギュラ-な話は後回し にして、まずは、金額のウェイトが圧倒的に大きく、どの契約種別にも共通であり、そして、管理組合 の自助努力で最適化する方法がある、(ア)「基本料金」と(イ)「電力量料金」に絞って理解し、検討を 進めていくのが早道である。

(4)

4 その際、(ア)基本料金の契約電力単価(1kw あたり)と、(イ)電力量料金の電力量単価(1kwh あたり)、 という二つの単価が、極めて重要な数字となる。

重要ポイント

○マンションの共用部も専有部も、「基本料金」と「電力量料金」で、毎月の電気料金総額の95% 程度以上を占めている。この二つの仕組みについて、重点的に理解を進め、管理組合としての方 策を検討するのが早道である。

2.

高圧受電の仕組み 200V(動力).. 6,600V 100V(電灯) 6,600V 100V ○ 共用部は、管理組合の資産である自家用受変電設備で、200V、100V に変圧して供給する。専 有部は、借室の東京電力の変圧器で 100V に変圧して供給する。 ○ 高圧受電の共用部の電力量料金単価は、低圧受電より 20%~30%安い。 ○ 専有部の電気料金は、一般の戸建て住宅の家庭と同じ(従量 B)。 ○ 基本料金のもととなる契約電力は「過去 1 年間の中での最大需要電力」で、月毎に変わる。 30 分ごとに計量した月間の最大値で、同時に多くの設備を使うと大きくなる。この瞬間的な 最大需要電力(デマンド)の数字に、その月以降の 1 年間は縛られてしまう仕組みである。 東 電 の 変 圧 器

受 変 電 設 備 自 家 用

共用部

業務用契約(自由化部門の大口契約)

専有部(各家庭)

東電との個別契約 (従量 B の 3 段階料金体系) 送 電 線

(5)

5

低圧受電の仕組み

200V(動力) 200V( 6,600V 100V(電灯) 100V ↑ (状況によりパットマウントで可) ○ 共用部、専有部ともに、借室の東京電力の変圧器により、共用部動力は 200V に、共用部電灯 は 100V に、専有部は 100V に、それぞれ変圧して供給する。共用部動力の契約は「低圧電力」、 共用部電灯の契約は、「従量 C」であるマンションが、ほとんどである。専有部の電気料金は、 一般の戸建て家庭と同じ。(従量 B) ○ 共用部動力の低圧電力契約の基本料金のもととなる契約電力は、通常は、エレベーター、ポ ンプ等の設備容量の合計から決められる『負荷設備契約』である。 ○ 共用部電灯の従量C は、専有部の従量 B と全く同じ。 以下、マンション共用部・専有部の主な契約種別について、概要を説明。(料金計算方法の事例を、巻末参 考資料に掲載します。東京電力からの電気使用料のお知らせを見て、今月の電気代の計算根拠を納得しておき たい方には参考になると思います。) ①高圧受電「業務用契約」 (自家用受変電設備のある「高圧供給」のマンション) 値上げに政府の認可を要しない「自由化部門」と言われている、業務用の大口契約。超高層など、主に 大規模なマンションでの事例が多い。共用部分の契約電力が 50kw 以上の場合は、原則として、自家用 受変電設備が必要とされる。 6600V の高圧で受電し、借室変電室(東電の管理下にあり、カギも東電が保管)と自家用受変電設備(自 前で設置した管理組合の所有物=自家用電気工作物、法定の検査が毎年必要)に送られ、そこで、200V・ 100V に変圧されて、棟の共用部分と、各住戸専有部に送られる。 東電との契約種別は、この変形として、業務用季節別時間帯電力、さらに業務用季節別時間帯別 2 型 があり、これらは、季節により、あるいは、昼夜により、電力量単価が異なるもので、マンションでは 有利になる契約型。 自家用受変電設備を資産として持つことは、電気料金の上では単価が安くなるが、設備の維持費、法定 検査費用がかかり、将来の更新費用(数百万円~)も高価である。 東 電 の 変 圧 器

動力は低圧電力(負荷設備契約 or 主開閉器契約)

共用部

電灯は従量 C の 3 段階料金体系

専有部(各家庭)

東電との個別契約 (従量 B の 3 段階料金体系) 送 電 線

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6 つまり、高圧受電のマンションの管理組合は、大口契約で電気代の単価が安く優遇されている、という 言い方もある一方で、設備の設置場所の確保と維持管理のコストを自前で負担し続けている訳である。 〈1か月の料金計算方法と事例〉 基本料金=単価×契約電力×(185-力率)/100 電力量料金=単価×使用電力量 料金=基本料金 + 電力量料金 ± 燃料費調整 +「再エネ賦課金等」 業務用季節別時間帯別契約の場合、基本料金の単価は 1kw あたり 1638 円、電力量料金の単価は 1kwh あ たりピーク時 19.50 円、夏季昼 18.82 円、その他季 17.46 円、夜間時 12.10 円 ここで、基本料金における契約電力とは「過去1 年間の中での最大需要電力」で、月毎に変わる。30 分 ごとに計量した月間の最大値で、同時に多くの設備を使うと大きくなる。この瞬間的な最大需要電力(デ マンド値)の数字に、その月以降の1 年間は縛られてしまう仕組みである。 力率については、東電のホームページに、以下の説明がある。 「力率」とは・・・電気をモーターなどの機器に使った場合、エネルギーの損失が生じ、実際に働いた電力(有効電力) は電圧と電流の積(皮相電力)より小さくなります。この比率のことを力率といいます。 力率 (%) = 実際に働いた電力 (有効電力)/(電圧 × 電流 (皮相電力) )× 100 「力率割引・割増」とは・・・力率が悪くなると供給設備をより大きくする必要が生じます。そこで力率の改善をおすす めする意味で低圧電力の場合、力率 85%を基準としてそれより力率の良いものは 90%、悪いものは 80%に設定し、それぞ れ基本料金を 5%割引、割増します。 ※電気機器に基準どおりのコンデンサを取り付けて、力率を改善するようおすすめしています。 ②「低圧電力」+「従量電灯 C」 (自家用受変電設備を持たない「低圧供給」のマンション) 家庭用の料金などと同様に、値上げには政府(経産省)の認可を要するので「規制部門」と言われてい る。中規模、小規模のマンションの大半がこの契約種別である。 6600V の高圧電力の配電線から、棟の借室変電室(東電の管理下)に入り、そこで東電の責任で、200V・ 100V に変圧されて、直接、棟の共用部分と、各住戸(専有部)に送られている。 各住戸(専有部)の契約電力と、共用部の契約電力の総計が、50kw 以上になる場合は、借室変電設備が 必要とされ、管理組合は無償で東電に借室変電室を提供し、設備の維持・管理費用は東電が負担する。 管理組合は自家用変電設備を持たないので、その維持・更新費用は要らない。そのかわり、電気料金の 単価は高圧受電よりも高くなっている。 尚、近年は、大型パットマウント(集合住宅用変圧器)が開発され、概ね、72 戸までは借室変電室が不 要となってきている。(このパットマウントの維持管理も東京電力が行う。) ここで、エレベーターやポンプなどの動力(200V・三相)の部分が「低圧電力」契約、廊下や階段の電灯 (100V)の部分が「従量電灯 C」契約になっており、それぞれメーターは別になっている。従量電灯 C の契約の電気料金の計算の仕組みは、専有部(一般家庭)と同じである。 従って、マンション(棟)の共用部分の契約電力の仕様は、**マンション共用部分:電灯 15KVA、動力

(7)

7 27KW というような形になっている。 電灯部分の契約容量の数字15 KVA は、電灯の数・回路の数で決まり、動力部分の契約電力 27KW の数字 は、通常、エレベーター、ポンプ等の設備容量の合計から決められる『負荷設備契約』である。(上の例 ではエレベーター6.5kw×3 台+ポンプ 7.5kw×1台=27kw) 他に、大元のメインブレーカーにより契約容量を決める『主開閉器契約』という方法がある。 (⇒6 章(その 1)「電子ブレーカーによる主開閉器契約への変更」参照) 該当するマンション(棟)の契約は上記の「低圧電力」と「従量電灯 C」の 2 つの契約となり、電気料 金の請求のお知らせも毎月2 種類送られてくる。 複数棟からなる大規模な団地では、高層棟は、「業務用契約」の高圧受電、中層棟は、「低圧電力」+「従 量電灯C」であるなど、棟により契約種別が異なり、それが団地内で混在しているケースがある。 〈1カ月の料金計算方法〉 「低圧電力」(動力部分の契約) (契約電力および力率は、「電気ご使用量のお知らせ」(検針票) に記載してある。) 基本料金=単価×契約電力×(185-力率)/100 電力量料金=「夏季」または「その他季」の料金単価(税込)×使用電力量 料金=基本料金 + 電力量料金 ±燃料費調整額 +「再エネ賦課金等」 基本料金の単価は1kw あたり 1071 円、電力量料金の単価は 1kwh あたり夏季 16.50 円、その他季 14.99 円 「従量電灯C」(電灯部分の契約)

基本料金 1 kVA あたり 273 円(1 kVA は 10A に相当)

(kW=kVA×力率だが、ここでは、kW と kVA は同じものと考えて支障ない。) 電力量料金 最初の 120kwh まで (第 1 段階) 1kwh につき 18.89 円 120kwh をこえ 300kwh まで(第 2 段階) 1kwh につき 25.19 円 上記超過 (第 3 段階) 1kwh につき 29.10 円 料金=基本料金 + 電力量料金 ±燃料費調整額 +「再エネ賦課金等」 ③「従量電灯

C」という契約だけのマンション

4F 建て以下でエレベーターがなく、揚水ポンプの設備容量も小さいようなマンションでは、「従量電灯C」 だけの契約の場合も多くある。200V の三相三線式の電力が必要な動力がなければ、「低圧電力」の契約 はないことになる。 ④「低圧高負荷」(おまとめプラン) 動力の「低圧電力」と電灯の「従量電灯C」という二つの契約を一本化した「低圧高負荷契約」(おまと めプラン)という契約種別がある。二つの契約電力の数字の合計が15kw~50kw の範囲の場合に、希望 すれば、いつでもこの契約を選択でき、安くなるケースがある。東電のホームページの「でんき家計簿」 に会員登録(無料)すれば、料金比較のシミレーションができる。 〈1ヵ月の料金計算方法〉 基本料金は1kw あたり 1260 円、電力量料金単価は 1kwh あたり夏季 17.90 円、その他季 16.28 円

(8)

8 料金=基本料金+電力量料金±燃料費調整額+再エネ賦課金等 従量電灯C と比較すれば、基本料金が高く、使用量に比例する電力量料金の単価が安いことが分る。 ⑤専有部は「従量電灯

B」 (一戸建ての家庭と全く同じ)

〈1ヵ月の料金計算方法と事例〉 基本料金は、契約10A あたり 273 円。電力量料金は、従量電灯 C の場合と同じ三段階式の単価。 電力量料金 最初の 120kWh まで (第 1 段階) 1kwh につき 18.89 円 120kWh をこえ 300kWh まで(第 2 段階) 1kwh につき 25.19 円 上記超過 (第 3 段階) 1kwh につき 29.10 円 料金=基本料金 + 電力量料金 ±燃料費調整額 +「再エネ賦課金等」 (↑東京電力のホームページより、お知らせの見本)

3.マンションの

マンションでの電気料金の削減方法は、次の4 つに分けて考えられる。 ①使用電力量そのものを減らす。 スイッチオフを含めた節電の工夫、電灯の間引き、点灯時間の調整、待機電力の設定、空調設定温度の 緩和(夏期 28℃、冬期 20℃設定)、LED 照明など新式の省エネ設備への交換など ②使用電力量そのものは減らないが、使用時間帯を昼のピーク時間から、夜間などにシフトする。 ③東電との契約形態の変更により「契約電力」または「電力量」の二種類の単価をより安くする。 ④共用部・専有部を合わせた一括受電の検討(両方で高圧の安い単価を利用できる。)

(9)

9 ここで、①は、節電は直接、世の中全体の電気の節約・効率化に貢献する。②も、発電・電力供給の仕 組みは世の中の電気需要のピーク時間に合わせて考えられているので、ピークをシフトし平準化するこ とは、世の中全体にとって節電効果が大きい。 ③、④は、電力会社との契約を有利なものに変更して、コストを低減するもの。契約の変更とともに、 利用者の省エネへの関心が高まり、①、②の電気使用量の低減や使用時間帯のシフト、省エネ設備の導 入などに繋がることにより、世の中全体の節電・効率化に貢献していくものと考えられる。

kW(キロワット)と kWh(キロワット時)の違い

kW(キロワット) … 電気設備の容量、パワー

その設備を動かすために必要な、瞬間的な最大消費電力

kWh(キロワット時) … 消費電力×時間

実際に使われた電力の総量、仕事量

○基本料金の削減は kW の低減により、電力使用量料金の削減は kWh の低減による。

○電力使用量料金(円) = 消費電力(kw)×稼働時間(h)×電気料金単価(円/kwh)

4.

【LED の導入など】

(1)LED 照明

【LED の長所・メリット】 ①省エネ:消費電力(電気代)は白熱電球の20%、蛍光灯の 50%。 ②長寿命:LED の寿命は 40000 時間(=1 日 12 時間点灯で、年 4380 時間で、約 9 年の寿命)、白熱電 球(1000 時間)の 40 倍、蛍光灯(6000 時間)の約 7 倍。ランプ切れによる交換の手間とコストも削減。 寿命が来ても、蛍光灯のように急に点かなくなるのではなく、時間をかけて徐々に暗くなる。 ③紫外線の放射が少ないため、虫が付きにくく、清掃の手間が省け、屋外照明に適している。CO2 排出 量の削減、水銀などの有害物質不使用など、環境面、資産価値の面でも良好。 ④スイッチを入れると、直ぐに明るく点灯。 電球型照明器具比較(60Wタイプ) LED電球 電球型蛍光灯 白熱電球 消費電力 7.5W 10W 60W 寿命 40000 時間 10000 時間 1000 時間 概算価格 3000 円 1000 円 100 円 電球型照明器具での LED の電気使用量は、蛍光灯の約 50%、白熱電球の約 20%

(10)

10 【LED の短所・課題】 ①製品価格、導入費用が高いため、電気代が安くても、初期投資費用の回収に、1 年~数年かかる。 ②規格が未統一で、品質に差がある。普及が広まり価格が下がりつつある段階と言え、商品の種類も、 まだ豊富とは言えない。 ③既存の器具を利用する場合、電球取付けの際にバイバス工事(安定器の取り外しと配線の切り替え) が必要。器具本体の交換にも工事が必要。 ④本体器具一体型とランプ交換可能型があり、器具の寿命とLED ランプの寿命の兼ね合いがある。 【LED のメリットの活かし方】 駐車場、駐輪場、エントランス等の長時間の点灯場所は、費用対効果が大きいと考えられる。共用部分 のすべての照明をLED に代えて行くというよりは、ランプ交換可能型を基本に、費用対効果のあるとこ ろから優先的に交換を検討して行くことを奨める。 その際、投資費用回収年数の検討要素としては、「既存照明と LED との消費電力の差」、「東電との契約 種別・電力量単価」、「点灯時間」、「導入費用・製品価格と工事費、交換本数」、(「設置場所、既存照明の 交換頻度によるランプ交換の手間暇のコスト」)等がある。 東電との契約において、高圧契約ではタイプ別の夜間と昼、低圧契約では従量C と低圧高負荷(おまと めプラン)等における電力量単価の差を考慮。基本料金への影響もある。よって、特に、修繕積立金か らの高額の投資の場合は、LED 以外の他の削減策も併せて、総合的な助言のできる業者に調査を依頼し、 提案を求めることを奨める。 (2016 年には電力の小売り自由化、スマートメーターの導入等々、日進月歩の情勢においては、高額で 投資費用回収に3 年以上かかるような提案は、より慎重に検討したい。)

重要ポイント

LED 照明の導入は、長時間の点灯場所など費用対効果の大きいところに絞って、検討を進める。

(2)共用部の電気設備について

(ポンプ、エレベーター、空調など)

共用部の動力には、給水ポンプ、エレベーター、機械式駐車場、空調などの電気設備がある。電気容量 としては、それぞれ数kw 程度で大した差はないが、稼働時間は圧倒的にポンプが長く、使用量による電 気代の差は大きい。 例えば、インバーター制御で電気容量 7.5Kw(これは最大稼働出力で、常時この電力を消費しているわ けではない。)の給水ポンプの場合、仮に平均4Kw/時で、一日 18 時間稼働し、低圧契約の電気料金単価 が15 円/Kwh とすると、このポンプによる電力使用料は、月に 4×18×15×30 日=32400 円と概算さ れる。 一方、エレベーターの稼働時間は少なく、1階から10 階まで上がっても数円程度しかかからないようで ある。毎月の低圧契約(動力)の共用部の電気代の70%程度はポンプの稼働によるものという情報もあ る。 従って、古い旧式のポンプをリニューアルするときは、更新費用だけでなく、容量の減少と省エネ化に よる、毎月の電気代の減少効果も、業者に良く説明を聞いた方が良い。(家庭で、旧式のエアコンや冷蔵

(11)

11 庫を交換すると省エネへの改善により電気代の軽減効果があるように、新式のポンプは電気代の効率が 良いはずである。)新式の省エネ型ポンプへの交換で、低圧契約の電気代が数十%減る可能性がある。 また、昨今、ポンプを圧力タンク方式から増圧直結式に変更するケ-スが多い。圧力タンク方式は、水 道本管からいったん受水槽に貯め、0 から水圧を上げて上階へ送る仕組みだが、増圧直結式は、水道本管 の圧力も利用するため、電力使用量は明らかに少なくて済み、電気代も安くなるはずである。 例えば、容量が8Kw から 6Kw に下がれば、電力使用量が減り、東京電力に届ければ、基本料金も下が る。(低圧契約の場合、毎月の基本料金の方で、1071 円×(8-6)×0.95=2034 円下がり、電力使用量 料金の方でも省エネ効果により25%以上減る可能性がある。) 次に、エレベーターのリニューアルは、ポンプに比べ稼働時間が少ないので、電気使用量に比例した使 用料金への影響は小さいが、電気容量が減ることによる基本料金の低減には有効であり、特に、油圧式 をロープ式に変えたときに効果が大きい。(基本料金の減り方は、上で述べたポンプの場合と同じ計算で ある。) また、エレベーターの照明を高額のLED に交換するのは、単独の工事では費用対効果が少ない。むしろ お金をかけずにできる、一定時間経過後には消灯する設定や、エレベーターを停止階で待機するような 設定変更を検討した方が良いと思われる。 機械式駐車場は、マンションでは稼働時間が少ないため、使用量としての電気代への影響は小さいと考 えられる。しかし、契約容量として、基本料金には関係している。(→廃止すれば基本料金が減る。) 管理棟や大きな集会室、スポーツ施設があるような大規模マンションは、業務用の空調設備の数も多い はず。業界最大手のダイキン工業によると、1997 年製と 2012 年製では、年間の消費電力に 5 倍の開き があるとのこと。古いエアコンに高いメンテナンス代を毎年払っているケースもある。新品への交換を 検討する際は、電気代のコストも考慮した方が良い。 ゴミ処理施設や、その他の容量の大きな電気設備がある場合も、考え方は同じである。 電気設備を変更したときの電気代についての基本的な考え方としては、電気容量(kw)の増減は、「基本 料金」に影響し(低圧の負荷設備契約の場合は容量の和として直接的に影響し、高圧の場合は、最大需 要電力の値を通して間接的に影響する)、そして、消費電力(kw)に稼働時間(h)と電力量単価(円/ kwh)をかけて計算される「使用量料金」に影響する。 電力使用量料金(円)= 消費電力(kw)×稼働時間(h)×電気料金単価(円/kwh)

重要ポイント

〇最新の電気設備は、省エネ性能化が進んでいる。 〇特に、給水ポンプなど、長時間稼働する設備のリニューアルは、電気代削減への大きな効果 が期待できる。

3)その他の省エネ改修

外断熱、複層ガラス、屋上・壁面緑化等、省エネ効果のある改修工事は、電気代の削減にも貢献する。 共用部の改修ではあるが、専有部の電気代の削減への寄与があることも注目したい。大規模修繕工事と 合わせて検討すると良い。政府、自治体による各種の補助金も利用できる。

(12)

12

5.

【一括受電の導入など】

(その1)①業務用契約、②業務用季節別時間帯別、③業務用季節別時間帯別 2 型の 3 種類のうち、有利 な契約に変更する。 ⇒①よりは、②または③が有利なケースが多い。②と③では、基本料金の単価は②の方が安いが、電力 量料金の単価は③の方が安い。夜間に消費する電力が多いマンションでは③が有利なケースがある。経 費はかからないので、東電に問い合わせてみると良い。 (東電によると、2013 年 9 月現在、①または②から③への変更は認められず、また、新規の契約も①ま たは②に限られているようだ。既に、③で恩恵を受けているマンションは数多くあるが、現状は、毎年 の契約更新で、そのまま継続できる。) 東電のホームページの「高圧のお客様専用ページ」から会員登録を行うと、①または②の料金のシミレ ーションがPC の画面上でできる。 (その2)デマンドコントロール ⇒2.①で説明した高圧契約の最大需要電力(デマンド)をコントロールすることにより、使用を抑制すれ ば、向こう 1 年間の基本料金を低減できる。しかし、例えば、生産のための工場であれば、稼働をコン トロールすることは可能だが、生活のためのマンション共用部では、稼働をコントロール・抑制するこ とは、難しいと思われる。(11 章で述べる、エネルギー管理が徹底し、太陽光や EV 自動車、蓄電器など を備えた“スマートマンション”であれば有効だが。) (その3)デマンドシェービングプラン(東京電力) ⇒平成25 年度に東京電力が、高圧受電の対象者に、申込み不要で提供しているプラン。電気使用量が増 える夏期(3 ヵ月)及び冬期(3 ヵ月)に、前年と比べて各月の最大需要電力(デマンド)を抑えること により、電気料金が割引となる新メニュー。割引単価は、割引対象電力1Kw につき、420 円。節電を促 し、実現したらインセンティブ(報奨)を与える仕組みと言える。 平成24 年度に類似の趣旨のデマンドダイエットプラン、サマーホリデープランが実施された。年間、数 万円の低減が実現したマンションもあるようだ。 (その4)

「高圧一括受電」

【高圧一括受電の仕組み①】

200V(動力) 6,600V 100V(電灯) (業務用契約) (単価が安い) 100V 現状は分離している共用部と専有部の電気を高圧の安い単価で一括購入し、マンションの中の高圧受変 電設備(キュービクル)により、共用部と専有部に分ける。 サ ー ビ ス 会 社 の 資 産

共用部

一括受電サービス会社との契約料金

専有部(各家庭)

一括受電サービス会社との契約料金 電 力 会 社 の 送 電 線

(13)

13 電力一括購入のサ-ビス会社との契約になる。受変電設備の導入と維持管理、公的な手続き、各戸の検針 や請求業務など、全ての業務をこの会社が行う。 受変電設備やメーターは既存のものを取り外して交換され、サービス会社の資産となる。(もともと高 圧受電で、管理組合の資産であった受変電設備を、継続使用する場合もある。) スマートメーターにより、高圧一括受電と合わせてマンション全体の電力使用量を最適化する MEMS(10 章で後述するマンション向けエネルギー管理システム)を導入していけば、よりいっそう電気料金を引 き下げることが可能。さらに、HEMS(家庭向けエネルギー管理システム)に繋げれば、各種の省エネ家 電の導入とその自動制御や、高齢者見守りなどの付加価値も検討できる。(MEMS、HEMS については、P.23 ~P.25 に詳説)

【一括受電のメリット】としては、

〇高圧受電の利点(=電力量単価が安い)を専有部にまで享受できるので、共用部、専有部、合わせて、 電気料金が(かなり)下がる。 1 棟のマンション全体で考えたとき、専有部の電気使用量の総量は、共用部の電気使用量より、はるか に多いこと(おそらく 5 倍~10 倍)を考えれば、一括で購入するメリットは明らか。 ⇒(例えば、600 戸規模のマンションでは、専有部、共用部全体で、年間 1 億円以上の電気代を払ってい ると推定される場合があり、それが、下記のような率で削減されるわけである。) 〇電気代の削減分の還元を①共用部だけ(30%~40%)②専有部だけ(8%~10%)③共用部(5%)専 有部(5%)に振りわける。という 3 つの方法がある。この削減の率は、戸数規模、サービス会社の提案 内容により、ケースごとに異なる。 〇導入に際しての管理組合の費用負担はない(初期投資が不要)。事業者・サービス会社は、その点を “売り”にしている。

【一括受電の難点・留意点】としては、

〇総会(特別)決議の後、東電との解約に住民の全員の承諾が必要なので、ハードルは非常に高い。 〇受変電設備がサービス会社の責任で管理されるため、サービス会社の事業継続性や信頼性が重要。 〇サービス会社とは、長期(10 年)の契約となるケースがほとんどであり、また解約の条件も厳しい。 〇2016 年度以降、自由化になれば、選択肢が増える可能性があるが、解約条件が問題になりうる。 〇導入時と、3 年に 1 度の法定点検時に、専有部も停電になる。(1 時間程度) 〇低圧(従量制の 25 円~30 円/Kwh)と高圧(12 円~20 円/Kwh)の単価の価格差が削減の原資であるか ら、すでに、夜間割引型等の特殊な料金メニューを選んで単価が安くなっている管理組合は、必ずし も十分な削減メリットが得られるとは限らない。 〇継続的に、電力会社との料金価格差のメリットを提供できるのかどうかは確認していく必要がある。 などがある。 経産省により、①受変電設備を、東京電力から一括受電会社に資産譲渡する仕組みが出来つつあるため、 設備を交換しなくても済むようになれば、さらにコスト削減につながる可能性がある。また、 ②停電を伴わない点検方法や点検の頻度などについても規制緩和の方向で進んでおり、一括受電の追い 風になりつつある。

(14)

14 管理組合では、減額した分を、全て共用部の電気料金に還元する方法をとるケースが多く、この方が住 民の全員の承諾が得やすい。共用部で 40%下がる事例もある。(C 社) 560 戸の民間分譲マンションで、全員の承諾が得られて、導入した事例あり。(C 社) 諸経費がかかるので、50 戸以下のマンションでは、サービス会社の方で、利益を出しにくい。100 戸以 上になると、会社が積極的になるが、全員の承諾が難しくなる。(E 社)

【高圧一括受電②:設備を管理組合の資産とする方法】

200V(動力) 6,600V 100V(電灯) (業務用契約) (単価が安い) 100V 管理組合が事業主体となって、東電と管理組合との一括の契約とし、管理組合が各住戸(専有部)と個 別の契約を結んで、そのサポート(メーターの検針、請求等々のすべての業務)をサービス会社が業務 代行するというタイプがある。受変電設備(キュービクル)やメーターを管理組合の資産とするため、 高額の初期投資が必要だが、削減効果はさらに大きくなる。(共用部、専有部ともに20%~30%軽減) どちらのタイプも、電力の供給元・購入先は東京電力のままであるが、他の新電力(PPS:特定規模電気 事業者)に変わる(変える)場合もある。 (電力の購入先が他の新電力に変わってしまうと、東京電力としても痛手のような気がする。この資料 集の最後に再度述べるが、東京電力自ら一括受電のサービスを始めてくれないものだろうか。導入に最 大のネックとなっている全員の承諾も得やすいはず。)

重要ポイント

【高圧一括受電のメリット】 ○共用部、専有部を一括で受電し、両方で高圧の安い料金単価を適用でき、大きな削減が図れる。 ○専有部の電気使用量の総量は、共用部の電気使用量より、はるかに多い(5 倍~10 倍と推定) ことを考えれば、一括で購入するメリットは明らか。 【高圧一括受電の難点】 ○東京電力との戸別の契約を解約するため全員の承諾が必要。 ○一括受電会社との契約は、10 年の長期がほとんど。解約の条件も厳しい。 管 理 組 合 の 資 産

共用部

専有部(各家庭)

電 力 会 社 の 送 電 線

(15)

15

6.

+

+

C

C

(節電以外の方法) (その1)電子ブレ-カーを導入し、主開閉器契約にして、「低圧電力」の契約容量を下げ、基本料金を 安くする。(基本料金が下がるだけで、電力使用量料金の方には、影響しない。) 設備が同時に稼働することはなくても容量の合計で契約容量が決定されてしまう『負荷設備契約』から、 実際に稼働している電流の値をもとにしてメインのブレーカーの大きさで契約容量を決定する『主開閉 器契約』への変更である。 各家庭にある普通のブレーカーは、電流による熱を感知し制御を行っているが、電子ブレーカーは、電 流値をデジタル数値として感知する。コンピューター制御により、規格の許容最大範囲まで使用できる ようにプログラムされており、一定時間の電流値の平均値が契約容量内であればブレーカーは落ちない 仕組みになっている。 ⇒基本料金が40%程度(年間 10~20 万円程度)安くできるケースがあるが、電子ブレーカーの設置に 30~50 万円程度必要なので、投資資金を回収するのに数年を要する。多くの業者があり、今、盛んに管 理組合に勧誘している方法。信頼できる業者であることが肝要。 【事例】契約容量が現状の負荷設備契約で30kw を、電子ブレーカーを設置して 18kw まで下げる。低 圧電力の基本料金単価は、契約容量1kw あたり 1071 円であるから、毎月、1071×(30-18)×0.95= 12,209 円、年間で 146,512 円軽減。(0.95 は力率係数で、低圧電力契約の基本料金に固有の割引要素) (その2)動力は「低圧電力」、電灯は「従量電灯 C」という現在二本立ての契約を低圧高負荷契約 (おまとめプラン)に一本化する。 二つの契約電力の数字の合計が、原則として15kw~50kw の範囲の場合に、東電に希望すれば、いつで も、この契約を選択できる。変更に、設備や手数料等の追加費用負担はない。 ⇒契約電力が小さく、電灯の使用電気量が多い(月1000kwh 以上が目安)マンションでは、低圧高負荷 契約にすると、5%程度緩和されるケ-スがある。 ⇒東電のカスタマ-センタ-に聞けば、1 年間の電気代について、 ①料金の実績 ②低圧高負荷契約に変えた場合の料金 の数字を試算して、知らせてくれる。 ⇒東電のホームページの『でんき家計簿』でも、会員登録すれば、随時、シミレーションが可能。 この場合にも、電子ブレ-カーを設置すれば、基本料金が下がるので、(その 1)よりもさらに大きな削 減の可能性がある。『低圧高負荷契約』と『電子ブレーカーによる主開閉器契約』との併用は可能。 (その3)「従量電灯 C」の契約を、東電メニュ-の中の、夜間の電力量単価が安いピークシフトプラン に変更する。 ⇒「ピークシフト」などの夜間割引メニュ-は、通常は、マンション共用部の廊下、階段などの電灯に は使えないとされている。しかし、東電へヒアリングした結果、日中に使う電気を夜間に使う工夫(負 荷移動)ができる環境がある場合で、例えば、管理人室が棟の共用部に付属していて、メーターが同じ であるなど、一定の条件の下で、共用部の電灯にも夜間割引メニュ-を適用できるとのこと。 (参考:「ピークシフト」メニューへの変更が可能となる根拠や条件は、東電ホームページの選択約款「ピ ーク抑制型季節別時間帯別電灯」よる。)

(16)

16 (http://www.tepco.co.jp/e-rates/custom/shiryou/yakkan/pdf/250515sentak008.pdf) 共用部の「従量C」を、「ピークシフト」に変更して、大きな削減が実現された事例がある。 『ピークシフト』と『電子ブレーカーによる主開閉器契約』は併用可能。 (その4)「従量電灯C」の契約を、東電メニュ-の夜間の電力量単価がさらに安い電化上手に変更する。 ⇒「電化上手」のメニュ-も、通常は、家庭用の従量 B からの変更が可能なものだが、マンション共用 部に、日中に使う電気を夜間に使える「夜間蓄熱式機器」を設置すれば、一定の条件のもとで、共用部 の電灯に「電化上手」メニュ-を適用させる方策がある。 (参考:変更が可能となる根拠や条件は、東電ホームページの選択約款「季節別時間帯別電灯」による。) (http://www.tepco.co.jp/e-rates/custom/shiryou/yakkan/pdf/250515sentak007.pdf) この『電化上手』メニューと『電子ブレーカーによる主開閉器契約』も併用可能であり、電力量料金、 基本料金を“ダブル”で安くできる。 電子ブレーカーや夜間蓄熱設備の導入には設備投資が必要。契約を変更するには、設備の設置と東京電 力への申請などを、コンサル業者が請け負う。『マンション管理新聞』で、記事として、何度か紹介され ている。 尚、電子ブレ-カーはその機能・役割からも製品の信頼性が重要であるが、夜間蓄熱設備(業者が設置 する専用の設備)は、仮に故障しても実害は生じないと考えられる。 (その5)高圧一括受電化 共用部・専有部を一括契約とするもので、削減効果は大きい。5 章の(その 4)の『高圧一括受電』の説明 を参照。 (その6)自家用受変電設備を設置し、高圧受電の業務用契約にして、電力量単価を安くする。 ⇒動力と電灯の契約電力が合計で 50kw 以上の場合は、自家用受変電設備を設置すれば可能だが、場所 と費用、その後の維持管理費がかかる。 (その7)団地で、他の棟と組んで、自家用受変電設備を共用する形で、高圧受電の契約に変える方法。 ⇒東電に聞くと、原理的には不可能ではない、との回答なので、検討の余地があると思われる。 ⇒(その6)(その 7)は、(その 5)の『高圧一括受電化』と組み合わせて検討できる。 ⇒低圧受電のマンションの共用部の契約容量は、電気設備の大きな改修がなければ、竣工以来、一度も 見直されたことはないケースが多いと思われる。『負荷設備契約』の場合、対象の機器を同時に使うこと はなくても各機器の容量の合計から契約電力が決定される仕組みなので、消費量の実態によらず、ずっ と基本料金を多めに払い続けている可能性もある。また、今後、LED の導入が推進されれば、従量 C の契 約容量も下げられるはず。共用部の契約容量の見直しを行うサービスがあっても良いように思われる。

(17)

17 「低圧電力+従量 C」契約のマンションの電気料金削減 (方法) 変更する契約 部分 変更内容 削減効果 (参考例) 設備 投資 管理組合の 手続き 電子ブレーカー 低圧(動力) 主開閉器契約 に変更 基本料金が 30%~50%減 有り 総会普通決議 低圧高負荷 低圧+従量 C 一本化 総額 5%程度減 なし 理事会決定 ピークシフト 従量 C(電灯) 夜間割引メニュー 電灯料金が 10%程度減 (なし) (理事会決定) 電化上手 従量 C(電灯) 夜間割引メニュー 電灯料金が 20%程度減 有り 総会普通決議 高圧一括受電化 低圧+従量 C 専有部共用部 を一括受電 専有部も含めて 総額 5%~10%減 (なし) 特別決議後 全員の承諾 (注1) 削減効果は、あくまで目安であり、マンション個々の状況による。 (注2) マンションの規模、設備の状況により、検討対象にできない場合もある。 (注3) ピークシフトへの変更は、追加の設備投資なしの場合は理事会決定で可と考えられる。 (注4) 高圧一括受電化のための設備導入費用は、サービス会社が負担するやり方が主流。

7. マンション

(その1)東電のメニュ-の「おトクなナイト 8・10」、あるいは、「ピークシフトプラン」等のメニュー への変更は、夜に電気使用量が多い住戸は削減可能性あり。家族の生活スタイルによる。土、日、休日 の電気使用時間に注意。返って割高になるケースもありうる。無料で、いつでも変更可。 平成25 年 5 月に、東京電力は、ライフスタイルに合わせた、「朝得プラン」、「夜得プラン」、「半日お得 プラン」、「土日お得プラン」等のメニューを追加、新設している。上記(その1)のメニューも含め、東 電ホームページの「でんき家計簿」で試算でき、希望すれば、無料で変更できる。 (その2)契約のアンペア数を下げる。10A 下げると、基本料金が毎月 273 円安くなる。家電製品のア ンペア数の目安を利用して計算すれば、多くの家庭でアンペア数のダウンは可能と推測される。高齢者 の一人住まいの場合なども検討対象。無料で、いつでも変更可。 50A、60A といった、契約量が、今の生活に合っているのかどうかを考えてみると良い。 具体的には、同時に使用する電気機器が少なければ、契約電力量が少なくなるので、一時的な電気使用 量が大きい機器(例:電子レンジ、ヘアドライヤー、エアコン、など)を同時に使っていてもブレーカ ーが落ちない場合はそのままアンペアを下げることができる可能性が高い。 また、同時に使わないようにすれば、さらに契約電力量を下げることができると期待される。 なお、契約に関するブレーカーは、色がついて数字が書いてあるアンペアブレーカーの主幹部分であり、

(18)

18 黒い小さな分岐ブレーカー(配線用遮断器もしくは安全器)が落ちる場合は、そのブレーカーがつなが っている部屋やキッチン等の電気の使い過ぎが原因であり、契約量を変えても解決しない。同じ部屋で 同時に使用する機器を減らすといった対応をする。 ⇒東京電力ホ-ムペ-ジ、個人のお客様、ご契約アンペアの選び方、 (http://www.tepco.co.jp/e-rates/individual/basic/ampere/ampere01-j.html) では、“わが家のアンペアチェック”など、いたれりつくせりの説明がある。さらに、“無料ホームコン サルト”:「サービス員がお客さまのお宅へお伺いして各電気機器の容量を測定し、ご使用状況に最適な ご契約アンペアをご提案します。」とあるので、利用してみたい。 (その3)家庭の電化製品の使用における省エネ・節電 家庭内で消費電力が多い電気器具は、1 位エアコン(25.2%)、2 位冷蔵庫(16.1%)、3 位照明器具 (16.1%)、4 位テレビ(9.9%)で、この 4 つの電気料金は、料金全体の約 7 割を占めるといわれて いる。(平成 16 年経産省:「電力需要の概要」)そこで、これらの機器の使い方を工夫する。 尚、上記は、平成 16 年の経産省の統計資料だが、次ページの平成 21 年の東京電力の統計資料では、エ アコンの順位が 1 位から 4 位に変わっていることに気づく。これは、統計の対象基準の違いによるもの なのかもしれないが、むしろ、エアコンの製品そのものの省エネ性能化によるのではないだろうか? 最近のエアコンの新しい製品は省エネ性能が高まっており、例えば、2009 年(平成 21 年)製の製品は 1995 年(平成 7 年)製に比べて約 4 割も消費電力が少なくなっているとの資料がある。 家電製品を「~」時間使うといくらかかる?を計算するときのシンプルな考え方は、

消費電力

(kW)

×使用時間

(h)

×電気料金単価

(円/kWh)

【例 1】600 ワットのエアコンを 3 時間使用したときの電気代は? ⇒600 ワットを 1000 で割ってキロワットに直し、3 時間と、電気料金単価(24 円/kwh と想定)を掛け 算する。

600÷1000×3×24=43.2 円 【例 2】500 ワットの電子レンジを 5 分間使用すると、500÷1000×5÷60×24=1 円

(19)

19

<家庭用電化製品の消費電力の内訳・電気代>

(↑東京電力のホームページより) ((社)東京電気管理技術者協会のホームページ資料を参考→) おもな家電製品 1 時間使った ときの電気代 エアコン(定格運転) 冷房 約 15 円 暖房 約 19 円 冷蔵庫 約 0.8 円 照明(60W の白熱球) 約 1 円 照明(13W の蛍光灯) 約 0.3 円 テレビ 約 2 円 全自動洗濯機 約 2 円 掃除機 約 16 円 ジャー炊飯器 約 0.8 円 衣類乾燥機 約 73 円

8.

簿

簿

(電気料金グラフ化サービス・料金メニュー比較シミレーションの紹介) 東京電力は、ホームページにおいて様々のサービスを充実させている。 ここでは、各専有部及び低圧契 約のマンションで利用できる『でんき家計簿』と、高圧契約のマンションで利用できる『高圧のお客さ ま専用ホームページ』を紹介する。(低圧契約では、2013 年 5 月に料金メニューが増やされたが、「で んき家計簿」において、「料金メニュー比較シミュレーション」も一新された。) ①専有部(各家庭)及び②共用部が低圧契約の管理組合は、「個人のお客様メニュー」から入って、『で んき家計簿』に、また、③共用部が高圧契約の管理組合は、「法人のお客様メニュー」から入って、『高 圧のお客さま専用ホームページ』に、会員登録(無料)をすると、

〇当月分電気料金の詳細表 〇最大で過去 24 ヵ月分の電気のご使用量と料金の一覧表示とダウンロード 〇最大で過去 12 ヵ月分の電気ご使用量の前年同月との比較グラフ表示(同じ契約容量のお客さまの平均 使用量を月ごとにグラフ表示) 〇最大で過去 12 ヵ月分の電気料金の前年同月との比較グラフ表示 〇料金メニュー比較シミュレーション(お客さまの電気ご使用実績をもとに各料金メニューを試算) などが、グラフで ”見える化”される。(上記は、「でんき家計簿」の場合だが、「高圧のお客様専 用ページ」でも、同趣旨のグラフや資料を見ることができる。)

(20)

20 料金メニュー比較シミレーションでは、現在の契約メニューから他のメニューに変更した場合の電気料 金を、過去の使用実績から試算してくれるので、最適メニューが検討できる。 ①専有部では、通常は「従量 B」だが、「ピークシフト」や「おトクなナイト 8、10」などの他のメニュ ーに変更した場合での料金 ②共用部が低圧契約の管理組合は、通常は「低圧電力+従量 C」だが、「おまとめプラン」などに変更し た場合の料金 ③共用部が高圧契約の管理組合は、「業務用契約」と「業務用季節別・時間帯別契約」との料金の比較 などが、画面上で直ぐに見られる。これらは、以前は東京電力に調査を依頼しても回答に数日を要した が、今は、とても便利になっているので、是非、利用されると良い。 (尚、関西電力や東北電力、九州電力など、他の電力会社のホームページでも、同様の電気料金シミレーショ ンの仕組みがある。) 会員登録は無料で、登録の方法はホームページに詳しく書かれている。専有部(各家庭)は、電気使用 量のお知らせ(毎月の検針票)のお客様番号や、料金引落しの口座番号(下 4 桁のみ)などを入力して 行く。共用部(管理組合)の場合もほぼ同様で、契約者(代表者)と他 4 名まで登録でき、理事長や理 事が交代しても、都度、ホームページ上で変更ができるようだ。理事会で、登録した ID 等の管理のルー ルを決めて、引き継いでいけば良いと思われる。 尚、東電から、毎月送られてくるお知らせには、お客様番号が書かれており、下から 3 桁目(百の位) の数字が業務用契約(高圧受電)の場合は 8、低圧電力の場合は 3、従量電灯 C や従量電灯 B の場合は 1 となっているので、そこで契約型(=契約種別)を見分けることができる。 東電の所轄の支社(カスタマ-センタ-)に問い合わせをするときは、お客様番号、建物所在地住所、 契約名義、電話番号、を言えば、丁寧に対応してくれる。

9.

【太陽光発電・蓄電池・コージェネ・EV 自動車など】

(1)太陽光発電

マンションの屋上に太陽光パネルを設置する。総会の特別決議で可能と考えられる。平時、非常時にか かわらず、日中、太陽が出ているときの発電だけであるが、共用部の電力を補ったり、売電も可能。エ レベーターやポンプなどの動力までの利用は難しい。他に、発電した直流電力を交流に変えるためのパ ワーコンディショナーといわれる装置などが必要。 さらに蓄電池(高額になる)を追加して設置すれば、夜間にも使える。大容量であれば、エレベーター やポンプの動力にも使える。しかし、現状、蓄電池からの売電はできない。 投資したお金を、回収するのには、10 年以上かかる可能性もある。設備の保守、維持もあるので、コス ト的には、難しい。 太陽光パネルの寿命は 30 年、パワーコンディショナーの寿命は 10 年程度と言われている。 電気料金削減のためというよりも、非常時の電力供給手段の補完や、クリーンエネルギー利用・環境対 応型マンションとして、資産価値向上に資すると考えられる。

(21)

21 最近は、震災非常用、節電対策として、新築、既存マンションでの検討事例は多い。シャ-プ、京セラ、 パナソニック、三菱電機などで、ほとんどのシェア。マンションは、新築はやりやすいが、既存のリニ ューアルでの設置はコストがかかる。屋上、建物構造の強度の問題もある。また、屋上に限らず、敷地 の一部や壁面等にパネルを設置する方法もある。(D 社) 売電については、自家消費分を差し引いた余剰電力を売る場合(出力 10kw 未満)と全量買い取りの場合 (出力 10kw 以上)があり、様々の条件がある。固定価格買取制度を利用した『屋根貸し事業』という仕 組みも始まっている。 これらについては、経産省・資源エネルギー庁のホームページから、『再生可能エネルギー固定価格買 取制度ガイドブック』がダウンロードでき、詳しい説明がある。 http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/data/kaitori/kaitori_jigyousha2013.pdf …… 買取り価格と買取り期間(平成 25 年度)……(経産省ホームページより) 費用対効果や投資資金を何年で回収できるかのコスト計算の基礎となる項目と数字の事例は以下。 〇太陽光発電設備の平均設置単価(既存マンション):約 52 万円/KW 〇家庭向け電気料金の平均単価(東京電力の場合):約 23 円/KWh 〇自治体からの補助金の目安:2 万円~3.5 万円/KW 〇太陽光をどれだけ電気に変えられるかの発電効率:15%~20% 〇余剰電力の売電価格(2012 年):42 円/KWh ⇒2013 年度には、38 円/KWh に減。 自治体が補助金交付の条件として、10KW 未満としているケ-スが多いので、仮に、9.5KW 出力とすると、 9.5×(52-2)=475 万円の投資。これを、設備の維持管理のコストを考慮し、太陽光によって年間どれ だけの電気代を節約できるかの数字で割って、回収年数が計算できることになる。 東京都環境局のホームページでは、マンションでの『10 年以内に回収可能な太陽光発電システムの設置 プラン』を紹介している。(http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/06/20m6d300.htm)

(2)再生可能エネルギーの問題点

再生可能エネルギーとは、有限で枯渇する化石燃料とは違い、自然から得られ、継続して利用できるエ ネルギーで CO2 を排出せず、温暖化対策としても重要視されている。太陽光、風力、地熱、中小水力、 バイオマスの 5 種類の発電が対象。 電力会社は買い取りに必要な費用は電気料金に上乗せし、最終的に家庭や企業が負担する。報道では、 太陽光をはじめとする再生可能エネルギーには、以下のような問題点が指摘されている。 太陽光 10kW 以上 10kW 未満 10kW 未満 (ダブル発電) 調達価格 37.8 円(36 円+税) 38 円(税込) 31 円(税込) 調達期間 20 年間 10 年間 10 年間

(22)

22 〇2012 年度に稼働した設備の 95%が太陽光発電で、風力、地熱はわずか。風力や地熱はプラント建設に 時間がかかる。ここで、再生可能エネルギーの送電網の容量には限界があり、先行する太陽光で容量が いっぱいになってしまいかねない。 〇認定を受けた計画がすべて実現するかどうか不明。太陽光の買い取り価格は、年度ごとに決定される が、2012 年度に1kwh あたり 42 円が、2013 年度は約 38 円に下がった。事業者の計画が国から認定を受 けた時点の買取価格が適用されるので、42 円での認定を受けようと 2012 年度末までに申請が殺到した可 能性がある。認定だけ受けて建設は先送りしたり、権利の転売を目的にする悪質な事業者もいるといわ れている。 〇国民の負担として、現在は、毎月 120 円程度が、買い取り費用として全家庭の電気料金に上乗せされ ており、普及に伴ってこの額は増えていく。 〇太陽光発電の買い取り制度の導入で先行したドイツでは、再生可能エネルギーが大幅に増えた半面、 買い取り費用の負担増大への不満も表面化している。 ⇒管理組合にとっては、電気設備の大規模な改修やシステムの変更、長期にわたる契約を行う際は、5 年 先、10 年先の電力供給事情が劇的に変わっている可能性があることも良く考える必要がある。

(3)コージェネ

天然ガスを利用し、電力と熱を同時(コー)に、創りだす(ジェネ)、コージェネレーション(熱電併 給)のシステムを備えたマンションも分譲され始めている。通常は、共用部の照明や給湯などに使い、 災害時の停電では、非常用電源とできる。省エネと災害対応を兼ね備えたもので、省CO2 の効果もある。 北米からの安いシュールガスの流入により、エネルギー源の多様化が進む中で、コージェネ・マン ションの今後にも期待したい。

(4)電気自動車(EV)

電気自動車(EV)は、エコカーと言われる通り、環境にやさしい。充電器が、その電源も含めて、別 途、必要になる。 意外と知られていないのが、EVのバッテリーを蓄電池として災害非常時等に使えることだ。 また、マンション専用のEVに特化したカーシェアリングというサービス形態がある。EVであれば給 油の問題がなく、カーシェアリングに向いている。 高コストの機械式駐車場を潰して自走式に変えたり、今、多くのマンションでやっかいな悩みとなって いる「空き駐車場の問題」の解決策としても期待できる。駐車場が地下や屋内である場合、ガソリン車 ではないのだから、将来は、消防設備の設置基準が緩和される方向を期待したい。(地下に機械式駐車場 があるような大規模マンションでは、長期修繕計画上での消防設備の更新費用が巨額になっており、ま た、毎年の法定点検費用もかかっている。) 共用部分の変更、規約の変更、等々、管理組合の合意形成の手続きが必要である。「マンション計画修 繕施行協会」による『既存の分譲マンションへの電気自動車充電設備導入マニュアル』がネットで検索 でき、参考になる。

(23)

23

10.

(1)従量電灯 C という契約種別について

2 章の巻末参考資料において、②の共用部電灯の従量 C の事例と⑤の専有部の従量 B の事例を比べてみ ると、同じ仕組みの3 段式の計算方法のため、どちらも1段目の料金は 2266 円、2 段目の料金は 4534 円になっていて、3 段目だけが使用量によって大きく違っていることに注目していただきたい。 世帯数100 戸以上で従量 C の契約になっているマンションは、3 段階目の、単価がもっとも高く、そし て昨年の値上げ幅がもっとも大きかったところの料金が突出して大きく、従量C の電気代のほとんどを 占めている。(2 章③の巻末参考資料の事例では、1 段目 2,266 円、2 段目 4,534 円、3 段目104,876 円。) 少人数である一般家庭は、贅沢をせず、節電、省エネの努力をすれば、3 段目のもっとも単価が高い部分 の料金を減らすこともできるのだが、数十人~数百人が住み、防犯上の見地などからも節約の余地がほ とんどないマンション共用部の電灯で、しかも、ほとんどが夜間に消費する電気の料金の計算に、使え ば使うほど割高になる一般家庭と同じ仕組みを適用していること自体が、疑問に感じられる。

(2)電力会社の料金メニューの変更や新設について

電力会社の料金メニューの変更や新設は、省エネや需要のピークのシフトへの方向を向いている。電気 事業法19 条(11 項)(12 項)には、電力会社の料金メニューの変更(選択約款)は“設備の効率的な使 用その他の効率的な事業運営に資する場合に限って”認めるという趣旨が書かれている。 【参考】 <電気事業法19 条(11 項)(12 項)> (11)一般電気事業者は、その一般電気事業の用に供する設備の効率的な使用その他の効率的な事業運営に資すると見 込まれる場合には、料金及びその料金を適用するために必要となるその他の供給条件について第一項の認可を受けた供 給約款で設定したものと異なる供給条件を設定した約款を、電気の使用者が供給約款に代えて選択し得るものとして、 定めることができる。 (12)一般電気事業者は、前項の規定により約款を定めたときは、経済産業省令で定めるところにより、その約款(以 下「選択約款」という。)を経済産業大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。 “効率化に資すると見込まれる場合にだけ認める”、という趣旨自体は、合理的に感じる。しかし、こと マンションの共用部に限っては、(1)で述べたこととも重複するが、 ①共用部の電力は、専有部で生活を営むために必須の消費電力である。(値上げをされると、共用部、専 有部の二重の値上げとなり、工場やサービス業のように価格に転嫁できない。) ②(何十人~何百人が利用する)マンションの共用電灯の電力使用料金の計算方法(従量C の三段階体 系)が、(数人しか利用しない)一家庭の電力使用料金の計算方法(従量B の三段階体系)と全く同じ仕 組みになってしまっている。 という点において、公平性と合理性に欠ける点を感じる。管理組合の側からすれば、マンション共用部 対象の料金メニューは、この19 条(11 項)(12 項)のために、硬直化しているようにさえ感じられる。 その一例として、6 章の(その 1)(その 4)で述べた「電子ブレーカー」やマンション共用部専用の「夜 間蓄熱式機器」などは、電力会社との契約を変更して、基本料金を下げたり、安い単価の料金メニュー を適用するための設備であって、省エネや電力利用のシフトに、直接、機能するものではない。これら は、電力会社の料金メニュー改善への対応に柔軟さが欠け、消費者が苦渋する中で、企業・業者が知恵 を絞って、開発されてきた設備であるように、感じられる。

参照

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