4.2 マクロ的電位変動
通常「脳波」といっているのは、頭皮上に付けた巨 視的な電極から導出した電位変化を時間経過に従っ て記録したものと定義されています。 ここで、巨視的というのは、大脳皮質のかなりの範 囲から発生する電位変化を、距離的に離れた位置か ら積分値としてマクロ的にみているという意味で す。 頭皮上に皿電極を付けた場合、頭皮や頭蓋骨、何層 もの膜や髄液などを経てかなり離れた距離にある大 脳皮質からの電位を受け取ることになります。ひと つの電極に入力されるのは電極の直径のおよそ 3 倍 (約 3 c m )程度に相当する範囲の大脳皮質からの電 位であり、そこに含まれる神経細胞は数 100 万個に もなるといわれます。結局、脳波はこれら膨大な数 の神経細胞が発生する電位、しかもさらに多くのシ ナプス電位の集積を見ているマクロ的電位変化であ るといえます。 図 1.14 大脳皮質と電極4. 脳波とはなにか(脳波の基本的な性質)
4. 1 シナプス後電位の集合
脳波として観測し得る波形は、1 0 H z のα波で1周 期 100msec、β波領域の 30Hz でさえ1周期 30msec 程度であることから、持続時間が 1msec ときわめて 短い神経細胞の活動電位そのもの、あるいはその集 積と考えるには無理があります。現在では、数多く のシナプスにおけるシナプス後電位が集積されて比 較的ゆるやかな脳波の波形を形成していると考えら れています。 大脳皮質表面にある錐体細胞の頂上樹状突起は垂直 に皮質表面に向かって伸びていて多くの興奮性シナ プスを有しています。ここが興奮性シナプス後電位 を発生すると、表面に近い部分の細胞内がプラスの 電位変化を起こし、細胞外がマイナスになります。 すると、細胞体(分極していて、内部がマイナス、 外がプラス)から表面に向かって細胞外電流が流 れ、これがある程度揃っていると、体表面にマイナ スの電位変化として現れます。脳波計の入出力は逆 極性なので、これは上向きの変化(陰性波)として 記録されます。 とくにてんかんでは、このような状態が過剰に揃っ て発生するため(過同期放電)、上向き(陰性)の スパイクとして記録されると考えられます。 1msec 活動電位 EPSP IPSP 加重電位(EPSP-IPSP) EPSP;興奮性シナプス後電位 IPSP;抑制性シナプス後電位 これは見えない 脳波はこれの集合 図 1.12 シナプス後電位の集合 図 1.13 頭皮表面に現れる電位変化 + + + + ++ + + - - - - - - - - - - - - - - 興奮性シナプス(EPSP) 0 - 脳波計の出力波形 上下逆に記録される + + + + ++ + + - - - - - - - - - - - - - - 頂上樹状突起 細胞体 細胞外電流 - 0 4 . 脳波とはなにか( 脳波の基本的な性質) 頭皮 頭蓋骨 髄液 大脳皮質 電極 筋肉 硬膜 クモ膜 数百万個のニューロンが含まれる6 . 誘導法(導出法)
基準電極の活性化に注意すべき場合
基準電極の活性化が起こりやすい場合として、側頭部に現れる脳波があります。側頭部に大きな振幅の波形 が存在するとすぐ近くの耳朶にも波及するため、耳朶基準法では基準電極の活性化がおきます。 (1) カッパ(κ)波 側頭部に現れる脳波にはいくつかありますが、中でも比較的よく見られるのがカッパ(κ)波です。高齢者 で発生率が高くなることが知られていますが、若年者でもそれほどまれではありません。注意しないと、 Diffuse αと間違われたり、アーチファクトと誤認されることもある脳波です。 これが出現すると、耳朶基準法では基準電極が強く活性化されるために図 1.35 のように正しい脳波が表示 されません。本来はあるはずの T3,T4 にはκ波が現れない一方、他の部位に本当はないはずの波形が現れる ことが起きます。これは、T3,T4 に存在するκ波が基準電極の A1,A2 にも波及して活性化させたために、κ 波がないところにこれが現れ、逆に T3,T4 は相殺されて表示されなくなったためです。このような場合には、 活性化している耳朶は基準電極としては用いず、A V 法にすると正しく表示されます。κ波は左右逆極性な ので、T3-T4 の双極誘導を記録しておくとκ波が出現した場合ここに大きな波形が現れ、見逃したり誤認す る可能性が低くなります。 κ波についての詳しい解説と波形の比較は、第 2 章 脳波の読み方(1)正常脳波と境界領域脳波(P65)および 図 2.14(P64)を参照してください。 (2)側頭葉てんかん 高電位の異常波が側頭部に出現すると、耳朶基準法では患側の基準電極が強く活性化されてしまうことが しばしば起きます。図 1.34 のように、耳朶基準電極の誘導で、耳朶付近の電極では振幅の減少、他の部位 では逆極性の波形が出現し、正しい判定ができなくなります。図 1.41 はこのような例で右の耳朶(A2)が活 性化されている場合です。図 1.42 は同じ被検者で活性化されていない左耳朶を基準電極とした場合(A1 ← A2)です。その他の基準電極法でも A2 の活性化の影響を免れることができます(図 1.43 ~ 47)。 Fp1-AV Fp2-AV F3-AV F4-AV C3-AV C4-AV P3-AV P4-AV O1-AV O2-AV F7-AV F8-AV T3-AV T4-AV T5-AV T6-AV Fz-AV Cz-AV Pz-AV T3-T4 Fp1-A1 Fp2-A2 F3-A1 F4-A2 C3-A1 C4-A2 P3-A1 P4-A2 O1-A1 O2-A2 F7-A1 F8-A2 T3-A1 T4-A2 T5-A1 T6-A2 Fz-A1 Cz-A2 Pz-A1 T3-T4 本当はない 波形 κ波が左右逆極性で 正しく表示される 図 1.35 カッパ(κ)波の耳朶基準法と AV 法の比較 同側耳朶基準法 AV 法 本当はない 波形 κ波があると大きな波形が記録される (基準電極が活性化している) (基準電極は活性化していない) κ波は本来ここ にあるはず(1)左右差のあるμ rhythm(ミューリズム、アルソー波)
脳外科的には開頭術後、硬膜下血腫治療後、脳腫瘍などで、患測に見られることがあります。本律動が 出現した例に 6Hz spike & wave complex や prolonged spindle を伴うことがあるので、その場合には 視床の機能障害も示唆されます( 図 2.2 3) 。
(2) Mitten pattern
Gibbs, F.A. & Gibbs, E.L.,1964. の分類では、B-type(B-mitten)は精神病に、A-type(A-mitten)は パーキンソン症状群に、A-1 type(A-1 mitten)は深在性脳腫瘍、脳血管障害や変性疾患 などに多く出 現すると云われていますが、脳波の判定に影響するものではなく、脳波検査で見られる mitten pattern の多くは B-type です(図 2.24)。
(3) sss(小鋭棘波: small sharp spike)
入眠期から軽睡眠期に出現する 20 ~ 50 μ V の単発性の陰性スパイクで、徐波を結合することはなく、一 見して急峻な small spike です。 30 ~ 50 才で最も多く出現し、10 才以下には出現しません。 臨床的に は頭痛、めまい、悪心、嘔吐、自殺企図に多く出現しますが、てんかんでの検討では small spike と混 同して判定されていることもあり、振幅が高く顕著な場合にてんかんとの関連が指摘されており、その 場合の判別のポイントは波形が棘波より急峻であることです( 図 2 . 2 5 ) 。
(4) Pseudo petit mal
熱性痙攣に多く出現し、hypnagogic hypersynchronous θ wave(入眠期過同期性θ波)に small spike が結合した波形で、s p ik e と徐波が独立していないことです.本波形は 8 才頃に消失します( 図 2 . 2 6 ) 。
(5) Diffuse α pattern(広汎性α)
広汎性に出現するα波で頭頂部から前に出現するα波は位相が逆転している場合があります。diffusea α pattern で、7 ~ 8Hz と周波数が低い場合は異常とし、10Hz 前後でも 50 歳以下では問題とされます。 脳動脈硬化などの軽度大脳機能低下を示唆します。また、α波が耳朶を活性化させて広汎性αを呈する とする説がありますが,論拠に乏しく否定的です。正常なα波が耳朶に波及することはほとんどありま せん(図 2.27)。(6) Alternate spindle(alternation)
左右中心部に交代性に出現する spindle wave で、これが生後 6 ケ月以後に出現した場合には視床正中 中心核を主とした広汎視床投射系の機能低下を示唆します( 図 2 . 2 8 ) 。(7) Prolonged spindle(持続が長い紡錘波)
spindle の持続が2秒を越えるもので、脳疾患(脳腫瘍、脳血管障害、頭部外傷、てんかん)の約 20% に見 られ、日常生活がほぼ行える程度の軽症例のみに出現します( 図 2 . 2 9 ) 。正常成人( 8 1 例) の紡錘波の持 続時間は 0.28 ~ 1.13 秒(平均 0.63 秒)であったのに対して、脳疾患患者の prolonged spindle では 2 ~ 1 2 秒であったという研究があります( 堀,1 9 7 8 ) 。なお、睡眠薬の服用等で紡錘波が増強するいわゆる Drug spindle でも見られ、この場合の優位部位は前頭部で、10 ~ 12Hz の紡錘波が出現します。 3 . 境界領域の脳波3 . 2 正常脳波に分類されやすい脳波( 境界脳波)
5. 4 おもなてんかんの脳波
以下、好発する年代別に分けて主要なてんかんとその代表的な脳波を示します。 乳児期~幼児期には、熱性けいれんなどよく似た病態が出現しますが、てんかんとは区別します。乳児期(infantile period =言葉が喋れない時期 1ヶ月~ 18ヶ月)
症候性てんかんが多く現れます。(1) 早期ミオクロニー脳症
( 好発年齢生後 3 ケ 月以前) Suppression Burst(図3.18)が覚醒時、睡眠時に出現し、やがてHypsarrhythmiaに移行します。(2) 早期乳児てんかん性脳症
(好発年齢生後 4-6ケ月) Suppression Burst(図3.18)が覚醒時、睡眠時に出現し、やがてHypsarrhythmiaに移行します。(3) West 症候群
(好発年齢生後 4-7ケ月 1 歳未満) 発病初期は睡眠時にHypsarrhythmia(図3.19)が出現します。2歳ころからHypsarrhythmiaに鋭徐波が目立 つようになり、 睡眠でmultiple spikeの量が多くなり、rapid ryhthmが出現するなどLennox-Gastaut症 候群への移行を示唆します。 H y p s a r r h y t h m i a は、瀰慢性の高振幅徐波の失律動異常波で、棘波や鋭波を伴いますがそれらは局在は せず散在的に出現します。 光に過敏に反応し、 3 ~4 歳以降には見られなくなります。(4)良性乳児けいれん・胃腸炎に伴うけいれん
部分発作や多焦点性の間代発作が見れ、脳波異常は稀です。幼児期(18ヶ月以降)
(5)熱性けいれん(1 ~ 2 才)
3 8 ℃以上の発熱に伴い生ずる発作性疾患 中枢神経感染症、代謝異常および無熱性けいれんは除外します。発症率は7%(欧米では3%)程度と されています。 脳波検査は一般的に発症後10日以降に実施するとされていますが、臨床的な意味は少ないようです。 僞小発作パターンPseudo petitimal patternが見られることがありますが、8才を過ぎると見られな くなります(境界領域の脳波 図2.26 参照 P79 )。(6) Lennox-Gastaut 症候群
(好発年齢 1-8 歳)基礎波は徐波が多く、不規則です。 睡眠でSharp wave(big slow spike)やRapid ryhthm(recruting rhythm) が多焦点性に出現します( 図3 . 2 0 ) 。
Rapid ryhthm(recruting rhythm)は、本症例の約30%に出現すると言われており、周波数は15-25Hzの spikeが1~5秒持続するものです(図3.21)。
1. 賦活法の意味
異常脳波のなかで、徐波性のものは反復性のあることが多いのですが、てんかん性のスパイクなどは比 較的反復性が少なく、ごく限られた時間にだけ出現するものが多くみられます。この場合、短時間の検 査では検査時間内に異常波が出現することはむしろまれで、検査の目的を達せないまま終わる恐れがあ ります。しかし、異常波の出現まで待つことは、いろいろな制約から日常の検査では不可能です。そこ で、患者が潜在的にもっている、あるいは出現が不明瞭な異常波を、短い検査時間内に人為的に誘発す る目的で行う手法を賦活法といいます。 賦活法にはこのような異常波の誘発という目的のほかにも以下のような効果があるので、それぞれの被 験者にあわせた最適な方法で実施することにより、効率的でよりよい検査を行うことができます。 ①潜在性の異常波を誘発させる。 ②現在出現している異常波をより増強させて、その波及を観察する。 ③刺激に対する反応性をみる。 ④過呼吸ではリラクゼーション効果があるので、緊張している被検者では過呼吸後に安静時の記録が円 滑にできる。2.2 開閉眼のやり方
①記録の途中で 10 秒間程度開眼させるのが一般的ですが、これは記録紙の見開き 2 ページの中心に収 まることからきていることと思われます。 ②一方、さらに長く開眼させると以下のような理由から一層情報量が増えますので、できれば 40 秒以 上の開眼をすることが薦められます。 ③あまり勢いよく、かつ大きく目を開けると筋電図アーチファクトが混入しやすくなりますので、静か に開眼するように指示します。 ④開眼時には、前頭部の筋電図アーチファクトを少なくするため、正面よりやや下方の一点を見つめさ せるようにします。特に瞬きの多い被検者の場合は注意します。4 0 秒開眼の根拠
(a)開眼によって抑制されたα波は、40 秒程度の長時間の開眼でほとんどの被検者に再現がみられます。 特に高齢者ほど顕著で、これは加齢に伴ってα波の抑制機構の機能の方が出現機構の機能よりも先に低 下するためです。また、開眼してからα波が再現するまでの時間は、正常成人で 2 0 ~ 6 0 秒であるのに 対し、脳血管障害や 頭部外傷のような脳機能の低下を伴う疾患では 2 0 秒以内が多いとされています。 (b)光 of f 反応は閉眼直後にスパイクが出現する現象ですが、この反応は 40 秒以上の開眼後が効果的と いわれています。 ( c ) μリズムなど開眼中に出現する波形の確認が容易です。2. 開閉眼試験(Eye opening test)
2.1 開閉眼の目的
開閉眼は異常波を誘発するという本来の賦活法としての目的以外にも、次のような利点がありますので、 検査中可能な限り継続的に実施するようにします。また、小児の被検者では長時間目を閉じていること が難しいので、頻回に開眼させることで長時間の記録が可能になるという利点もあります。 ①覚醒状態の維持、観察 ②基礎波の反応性の判断 ③患者の協力度の評価 ④異常波の誘発、抑制 1 . 賦活法の意味同側耳朶基準 両側耳朶基準 反対側耳朶基準 κ波が出現していると、耳朶のA1,A2に逆極性の波形が波及しているので、A1-A2に大きな波形が現れている。 このような場合、反対側耳朶基準にすると、C3,C4に、より大きな波形が現れてしまう。 図 5 . 2 カッパ(κ)波が出現している場合の基準電極の影響
1. 睡眠脳波の検査法
睡眠時は生理的に特異な状態になるため、脳波だけではなくさまざまな生体現象を同時に測定すること が必要になります。脳波についても、覚醒時の通常の脳波検査とは異なる手法や条件で行います。 睡眠中の脳波などの多現象を同時に記録する方法については、かつては睡眠ポリグラフィといっていま したが、近年は、ポリソムノグラフィ(Polysomnography: PSG)と称されています。1.1 睡眠脳波の検査法
1968 年に Rechtschaffen と Kales によって睡眠脳波アトラス(R & K マニュアル)が出版されてから、こ れ に よ る 測 定 法 と 判 定 法 が 長 く 国 際 基 準 と さ れ て き ま し た 。 し か し 、 2 0 0 7 年 に 米 国 睡 眠 医 学 会 (American Academy of Sleep Medicine:AASM)から「睡眠および随伴イベントの判定マニュアル」(以 下、A A S M 判定マニュアルと表記)で記録法と判定方法が詳細に提唱され、2 0 1 2 年に一部が改変された ので、ここではこれに準拠して、その方法と睡眠深度の判定法を紹介します。1.2 電極配置と誘導
判定に必要な要素として脳波だけでなく、筋電図、眼球運動(眼電図 E O G )があげられています。 図 5.1 睡眠脳波の電極配置図(AASM 判定マニュアルによる) A1 A2 F3 F4 3 C 1 O O2 4 C 1 M M2 装着部位 F4,C4,O2(予備F3,C3,O1) 基準電極 M(mastoid process:乳様突起) 誘導 F4-M1,C4-M1,O2-M1 または、F3-M2,C3-M2,O1-M2(1)脳波(EEG)
F4,C4,O2(代替として、F3,C3,O1)で判定します。基準電極は、この AASM 判定マニュアルでは乳様突 起となっていますが、一般的に基準として使われる耳朶でかまいません。また、電位を高くとるという 理由から反対側を用いるとされています。しかし、高齢者に多いカッパ( κ) 波が出現している場合は、 側頭部に左右逆極性で現れるので、反対側の乳様突起や耳朶を基準にするとかえってこれが増強され判 定を困難にします。睡眠段階の判定に必要な脳波は頭頂部に出現し耳朶には波及しませんので、あえて 反対側にせず、同側耳朶基準法あるいは両側耳朶基準法で記録する方がよいともいえます(図 5 . 2 )。 1 . 睡眠脳波の検査法6
ア チ フ ク ト と そ の 対 策 ァ |3. 外部から入るアーチファクト
外部から入るアーチファクトは、なんといっても交流障害(ハム)が最大のものですが、そのほかにも、 周囲の機器の発生する雑音や静電気などさまざまなものがありますので、環境には十分に気をつけます。3.1 交流障害(ハム)
交流障害は、基線が一定周期で規則的に振れるという現象で現れます。もし筋電図などと区別が難しい ようであれば、記録速度を速くしてみると確認できます。 交流障害はその現れ方と、入る原因によっていくつか種類があり、それぞれ対策が異なります。(1)現れ方による違い
全チ ャ ネ ル に 入 る 場合
図 6 . 1 6 のように、すべてのチャネル、あるいは多くのチャネルに同じように入る場合は、機器のアー スに問題があることが最も多く、また環境の影響も考慮し、次のようなことをチェックします。 ①アースが確実にとれているか確認します。場合によっては、部屋のアース端子が効果のあるものであ るかどうかを調べる必要のあることもあります。被検者のベッドや椅子が金属製の場合はそのアースも とります。シールドマットを敷くと効果のあることもあります。この場合のアース点は脳波計と同じ所 にする必要がありますが、一般には脳波計のアース端子に接続します。 ②被検者のニュートラル電極(ボディアース)を付け忘れていたり、その接触インピーダンスが高いと 交流障害が入ります。 ③標準的に設定されているシステムリファレンス C 3 と C 4 の入力に電極が装着されていなかったり、専 用のシステムリファレンス R e f になっている場合にこれを付け忘れていると交流障害が入ります。 ④周辺に他の装置や電気器具類がないかチェックします。もし、必要でない機器があれば、その電源 コードをコンセントから抜いてしまいます。どうしても動かさないといけないものであれば、可能な限 り距離を遠ざけます。また、その機器の電源コンセントを脳波計のコンセントとは別にしてみるとよい こともあります。特定 の チャ ネ ル に入 る 場合
図 6 . 1 7 のようにあるチャネルにのみ入る場合は、そのチャネルだけ条件が違うわけで、次のようなこ とをチェックします。 ①その電極の接触インピーダンスが高いと入ります。特定のチャネルだけ入る場合は、実際にはこの原因が かなりの割合を占めます。場合によっては電極を付けなおします。 ②電極コードが別のルートを通っていると入ることがあります。1 本だけ垂れ下がっていたり、電源コー ドなどに近づいていたりすることのないよう、すべての電極コードは束ねてまとめます。 ③電極の付け忘れ。 ④電極コードの断線。電極ボックスに断線チェック用の端子がついている機種では、電極をそこに接触 させてインピーダンスチェックをしてみると分かります。 図 6.15 交流障害の入る経路 3 . 外部から入るアーチファクト 電磁誘導 静電誘導 洩れ電流 (磁力線) (他機器) 交流障害が入る3 つのルート ①漏れ電流 接触面から体に流れ込む ②静電誘導 体に生じて電極を通して入力される ③電磁誘導 電極コードに生じて直接入力されるFp1-A1 Fp2-A2 F3-A1 F4-A2 C3-A1 C4-A2 P3-A1 P4-A2 O1-A1 O2-A2 F7-A1 F8-A2 T3-A1 T4-A2 T5-A1 T6-A2 Fz-A1 Cz-A1 Pz-A1 Fp1-A1 Fp2-A1 F3-A1 F4-A1 C3-A1 C4-A1 P3-A1 P4-A1 O1-A1 O2-A1 F7-A1 F8-A1 T3-A1 T4-A1 T5-A1 T6-A1 Fz-A1 Cz-A1 Pz-A1