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Microsoft Word - 総選挙のその後を考える

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総選挙の総括とその後の展望

2017.11.25 高知県労連執行委員長 田口 朝光

1.全体の概括

1)解散総選挙から選挙までの流れ

9月25日 安倍首相 9 月 28 日の臨時国会冒頭解散を表明 9月26日 市民連合は、4野党(民進、共産、社民、自由)に7項目の要望書を提出し、基本合意。 9月27日 希望の党・結党会見 9月28日 衆議院解散 民進党・両院議員総会 ⇒ 希望の党への合流を了承 共社・選挙協力で合意 9月29日 市民連合は、「立憲主義に反する安保法制を肯定する希望の党と市民連合が共闘することは ありえません」との見解を発表。 10月2日 立憲民主党・結党会見 10月5日 市民連合・立共社3党と7項目合意・記者会見 <市民連合の7項目の要望書> 市民連合:安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合 1.安倍政権が進めようとしている9条改正への反対 2.特定秘密保護法、安保法制、共謀罪法などの白紙撤回 3.福島第1原発事故の検証のないままの原発再稼働を認めない 4.森友・加計学園、南スーダン日報隠蔽(いんぺい)の疑惑を徹底究明 5.保育、教育、雇用に関する政策を飛躍的に拡充 6.8時間働けば暮らせる働くルールを実現し、生活を底上げする経済、社会保障政策を確立 7.LGBT(性的マイノリティー)への差別解消施策、女性に対する雇用差別や賃金格差の撤廃など

2)野党共闘を崩壊の危機から守りきり、憲法改悪阻止の陣地を確保した

①民進党の希望の党への合流は、これまでの市民と4野党の合意を覆すものであった。 ②その動きは、野党共闘破壊であり、安保法容認、憲法改正推進の保守2大政党つくりを目指すものであり、日 本の民主主義を危機に晒すものであった。 ③この危機的状況の中で立憲民主党が結党され、市民と3野党(立共社)の新たな野党共闘を作り、憲法改悪阻 止の陣地を確保した。共産党は議席を減らしたが、立憲民主党が野党第1党になり、3党合計では改選前の 38 議席から 69 議席へ 1.6 倍化した。 ④自公で 3 分の 2 を確保したが、それは小選挙区による「数の虚構」である。また、一方、野党がまとまらなければ 勝てないということも示した。 ⑤改憲推進政党の中には、改憲についての温度差が存在し、「改憲勢力 4 分の 3」という表面的な数だけで判断 できない。最後の決め手は国民世論である。

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2.総選挙の全国の結果

【議席数】

NHK 選挙 web 自民 希望 公明 共産 立民 維新 社民 こ こ ろ 大地 幸福 支 持 なし 諸派 無 計 改選前 284 57 34 21 15 14 2 0 0 0 0 0 45 472 今回 284 50 29 12 55 11 2 0 0 0 0 0 22 465 選挙区 218 18 8 1 18 3 1 0 0 0 0 0 22 289 比例 66 32 21 11 37 8 1 0 0 0 0 0 0 176 全体± 0 -7 -5 -9 +40 -3 0 0 0 0 0 0 -23 ※前回で見ると自民は290(選挙区 222、比例 68、計 290)、公明は 35(選挙区 9、比例 26、計 35)。 ※前回議席定数は475(選挙区 295、比例 180。ただし欠員 3)。 ※今回定数は、選挙区は-6、比例-4 となって 465(選挙区 289、比例代表 176)。 【議席数比較】 別視点の比較 自民党 284 議席 ※過半数:233 自公 313 議席 ※3 分の 2:310 自公維 324 議席 自公維希 374 議席 ※4 分の 3:349 立共社 38 ⇒ 69 1.8倍 自公 318 ⇒ 313 -5 ※改選前比 ※前回比では -11 希維 71 ⇒ 61 -5 〇各党の小選挙区の勝率 分子(当選者数)/分母(立候補者数) 自民党 218/277(78.7%) 公明党 8/9(88.9%) 維新 3/47(6.4%) 希望 18/198(9.1) 立憲党 18/63(28.6%) 共産党 1/206(0.55%) 社民党 1/19(5.3%)

【投票率】

①選挙区 全国平均 53.68(男 54.08 女 53.31) 前回 52.66 前々回 59.32 高知県平均 51.87(男 51.28 女 52.38) 前回 50.98 前々回 53.89 1区48.71 2 区 55.20 ※小選挙区投票率 高知県は 48 回ワースト 13 位 47 回同 17 位 46 回同 1 位 ②比例代表 全国平均 53.68(男 54.08 女 53.31) 前回 52.65 前々回 59.31 高知県平均 51.85(男 51.26 女 52.37) 前回 50.97 前々回 53.88 1区48.71 2 区 55.18

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【得票数・率】

今回:共同 前回:総務省 今回 自民 希望 公明 共産 立民 維新 社民 計 選挙区 26,500,722 11,437,601 832,453 4,998,932 4,726,326 1,765,053 634,719 55,422,087 47.82 20.64 1.50 9.02 8.53 3.18 1.15 比例数 18,555,717 9,677,524 6,977,712 4,404,081 11,084,890 3,387,097 941,324 55,757,552 比例率 33.28 17.36 12.51 7.90 19.88 6.07 1.69 前回 民主 選挙区 25,461,448 765,390 7,040,169 11,916,849 4,319,645 419,347 52,939,789 48.1 1.45 13.30 22.51 8.16 0.79 比例数 17,658,916 7,314,236 6,062,962 9,775,991 8,382,699 1,314,441 53,334,447 比例率 33.11 13.71 11.37 18.33 15.72 2.46 比較 希立:民主 立:民主 選挙区 +1,039,274 +4,247,078 +67,063 -2,041,237 -7,190,523 -2,554,592 +215,372 -0.28 +6.66 +0.05 -5.4 -13.98 -4.98 0.36 比例 -896,801 +10,986,423 -336,524 -1,658,881 +1,308,899 -4,995,602 -373,117 +0.17 +18.91 -1.2 -3.47 +1.55 -9.65 -0.77 希+立 選挙区 16,163,927(29.17) 比例 20,762,414(37.24)>自民比 18,555,717 〇18 歳、19 歳の小選挙区投票率(総務省の抽出調査) 18,19 歳 41.51% 前回参議院選挙 46.78% 18 歳 50.74% 前回参議院選挙 51.28% 19 歳 32.34% 前回参議院選挙 42.30% (高知県) 18,19 歳 28.07% 前回参議院選挙 30.93% 18 歳 43.41% 前回参議院選挙 35.29% 19 歳 23.46% 前回参議院選挙 26.58% ※18 歳、19 歳投票率は全国最低(前回参議院選挙も) ※高知市の年齢階層別抽出投票率 20 代前半 22.64 30 代前半 28.11 40 代前半 43.36 50 代前半 46.95 60 代前半 62.04 60 代後半 64.29 70 代前半 60.85 80 代前半 41.22 18 歳有権者のうち高校 3 年生の投票率は 55.69%(高新 10/27) 〇期日前投票 今回2137 万 838 人で、前回 1315 万 298 人と比較して約 1.6 倍 全投票者数の 37.5% 高知県 12 万 4475 人で前回 6 万 5651 人と比較して約 1.9 倍 全投票者数の 38.7% 1 区 39.6% 2 区 38.7%

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3.その数をどう見るか

1)あの議席数は安倍内閣の信任を意味するのか?

選挙制度の問題と投票率を加味した絶対得票率の視点で見る+野党がまとまればの視点 ①小選挙区で見る 自民議席:小選挙区218 得票率 47.82%(絶対得票率 25.67%)で 75.43%の議席 ※絶対得票率:得票率×投票率÷100 ▲小選挙区制度の矛盾:相対的第1党(大政党)に有利。中小政党に不利(大量の死に票発生)。 各党の死に票率:自民 6.4 公 9.9 共 94.8 希 66.5 維 65.1 立 19.5(高新 10/24 夕刊) ②比例で見る 自民議席:比例代表66 得票率%33.28(絶対得票率 17.86%)で 37.5%の議席 ▲比例代表も11の区域のドント方式であり、全国1区の完全比例ではない。 ※北海道8、東北 13、北信越 11、北関東 19、南関東 22、東京 17、東海 21、近畿 28 中国11、四国 6、九州 20 計 176 ※ドント方式:各政党の総得票数をそれぞれ1,2,3,4・・・と自然数で割っていき、得られた商(得票数)の大き い順に議席を配分する方式。 ※自民は33.28%で議席は 37.5%。完全比例なら 66 議席 ⇒ 58.6 議席 共産は7.90%で議席は 6.25%。完全比例なら 11 議席 ⇒ 13.9 議席

2)野党が小選挙区でまとまっていればどうなった

(比例はそのままの議席で試算) ①野党を「立共社+希望+維新」とすれば、84 選挙区で逆転(共産党が候補者を取り下げた選挙区で17、 候補者を立てた選挙区で67) 自民284-84=200 自公313-84=309 ②野党を「立共社+希望」とすれば、63 選挙区で逆転(共産党が候補者を取り下げた選挙区で13、候補者 を立てた選挙区で50) 自民284-62=222 自公313-62=251

4.野党共闘と勝敗の状況

野党共闘の定義:立共社の枠組み

1)小選挙区289の内248選挙区で野党統一が実現した

。85.9% ①248のうち83選挙区で共産党は候補者を立てなかった。33.5% ※候補者の取り下げは67 83のうち32選挙区で勝利した。38.6% 32勝:立18、無13、社1

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5 51選挙区で3野党敗北。61.4% 51勝:自 46/48 公 3/3 希 2/26 ②165選挙区で共産党は候補者を立てて戦った。野党統一の66.5% 勝ったのは沖縄1区のみ。1/165(0.6%) 164勝:自 141/162 希 16/141 公 3/3 維 3/34 無1(前原) ※165中、事実上の自共対決になったのは12選挙区(自民分裂の2候補との戦い含めて)。 公共対決は3にとどまっている。多くは、共産党が共闘対象と見なしていない希望の党、維新の会も含めた三 つ巴、四つ巴の戦となった。 ※自民立候補者数には、当選後自民に鞍替えの 3 人も含む。

2)41選挙区で共闘が不成立

14.1% ①3野党は全敗 立憲民主党 0/21 共産 0/41 社民党 0/6 ②民系無 7/11 ※7/41 ⇒ 17% ③他 34 勝:自 31/39 公 2/2 自系無 1/4 ※希:0/23

3)自民19県で議席独占

※東京新聞 2017 年 10 月 25 日報道を基に 青森(3区 野党共闘3 自希共) 秋田(3区 野党共闘3 自希共) 山形(3区 野党共闘3 自希共) 群馬(5区 野党共闘1:自立 野党共闘3:自希共 非共闘1:自希共社) 岐阜(5区 野党共闘1:自無無諸 野党共闘1:自共 野党共闘3:自希共) 富山(3区 野党共闘1:自社 野党共闘1:自希共 野党共闘1:自維共) 福井(2区 野党共闘2:自希共) 滋賀(4区 野党共闘2:自希共 野党共闘1:無自社 野党共闘1:自希無諸) 奈良(3区 野党共闘2:自希共 野党共闘1:自希共維) 岡山(5区 野党共闘1:自立希 野党共闘2:自希共 野党共闘1:自希共諸 野党共闘1:無無希共) 山口(4区 野党共闘1:自立 野党共闘1:自希共諸 野党共闘1:自共 野党共闘1:自希共無無) 鳥取(2区 野党共闘1:自共 野党共闘1:自希共) 島根(2区 野党共闘1:自立 非共闘1:自社共) 徳島(2区 野党共闘1自:希:共 野党共闘1:自共諸) 愛媛(4区 野党共闘2:自希共 野党共闘1:自維希共 野党共闘1:希自共諸) 福岡(11 区 野党共闘5:自希共 野党共闘1:自共 野党共闘1:自維共 野党共闘1:自立 野党共闘1:自希社 非共闘1:自立希共 非共闘1:自無共諸) 大分(3区 野党共闘1:自社諸 野党共闘1:自立 野党共闘1:自希共)

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6 宮崎(3区 野党共闘2:自希共 野党共闘1:自共諸) 熊本(4区 野党共闘1:自共 野党共闘1:自希 野党共闘1:自無社諸 野党共闘1:自立) ※自公独占 兵庫(選挙区9 自7、公2) ⇒ 3 選挙区を除いて「野党共闘」が成立している県で自民独占。どうして?多くの選挙区で自民、希望の党との 三つ巴となっている(野党統一の 68 選挙区中 54)。また、自民との「1:1」との構図でも14選挙区(自共諸、自社 諸含む)でも野党が敗北している。立共社の枠組みの「限界性」?

4)野党が勝ち越し

※東京新聞 2017 年 10 月 25 日報道を基に分析。野党統一は、立共社の枠組み、勝敗は自公 vs 立共社希の枠 組みで分類。( )の勝敗は立共社の枠組み。 〇岩手 野党の2勝1敗 (1勝2敗) 1区 野党統一× 希 87,534 自 57,381 共 21,549 2区 野党統一〇 自 129、884 希 98,842 3区 野党統一〇 無 130,229 自 96,571 〇新潟 野党の4勝2敗 (3勝3敗) 1区 〇 立 128,045 自 113,045 2区 × 無 97,808 自 81,705 共 10,055 無は元民進 3区 〇 無 95,644 自 95,594 無 3,375 4区 〇 無 112,600 自 87,524 5区 〇 自 91,855 無 79,655 諸 5,735 6区 〇 自 94,292 無 92,080 〇長野 3勝2敗 (1勝4敗) 1区 〇 無 131,883 自 85,460 維 22,817 諸 3,784 2区 〇 希 78,343 自 67,210 社 41,274 維 34,073 3区 〇 希 127,542 自 74,722 共 34,462 諸 3,687 4区 〇 自 68,673 共 40,898 希 40,863 5区 〇 自 91,542 無 48,588 希 43,425 〇佐賀 2勝0敗 (1勝1敗) 1区 〇 無 105,487 自 78,972 諸 5,086 2区 〇 希 105,921 自 99,103 共 7,920 〇沖縄 3勝1敗 (3勝1敗) 1区 〇 共 60,605 自 54,468 維 34,215 諸 2,594 2区 〇 社 92,143 自 64,193 3区 〇 無 95,517 自 66,527 諸 3,031 4区 〇 自 82,199 無 75,887 諸 4,650 ※北海道 野党の5勝7敗 愛知 野党の7勝8敗 ⇒ 自公vs 立共社希の枠組みで分類すれば、勝ち越しであっても、立共社の枠組みで見れば、沖縄を除 き負け越し、ないしは同一勝敗となる。

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5.出口調査の分析

【共同通信 出口調査】

図は日経新聞 10/23 〇共同通信の出口調査で、無党派層(「支持政党なし」と回答した人)は、全体の 18.8% 〇無党派層の投票先/前回比 今回比例 前回比例 自民・公明 27.3 -1.2 ※公明-1.2 維新 8.5 -13.2 立憲・希望 48.8 +28 ※前回民主との比較 共産 9.8 -7.9 社民 2.1 -1.1 その他 3.5 -4.6 ※次世代、自由、その他計との比較 ※立憲・希望以外のマイナスを足し合わせると 28 になる。

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8 〇無党派層の投票先/3極別での比較 ・「立憲・共産・社民」 42.8% ・「自民・公明」 27.3% ・「希望・維新」 26.4% 〇安倍首相を「信頼していない」(51%)と回答した人の投票先 全体 ⇒ 立憲36% 希望 24% 共産 14% 自民 10% ※無党派層の68.8%が「信頼していない」と回答 ⇒ 革新性 ・安倍首相を「信頼している」(44%)と回答した人の投票先 ⇒ 自民64% 公明 13% 〇「民進党支持」と答えた人の投票先 全体 ⇒ 立憲55.0% 希望 19.8% 共産 7.4% 自民 5.2% 〇各党支持層の投票先比率 全体 立憲支持層の 91.0%は立憲に投票。希望支持層の 89.9%は希望へ投票。自民支持層の 82.1%(前回は 79.4%)は自民へ投票。公明に 6.9%流れた。公明は 94.4%を固めた。共産は 90.4%を固めた。4.7%は立 憲へ流れた。 各党支持層を見ると、8~9 割が比例代表で支持政党に投票したと答え、他党へは大きく流れなかった。 (共産党票の分析) しかし、共産党支持層の 4.7%の立憲への移動は大きいとも言える(実際の共産党の比例票4,404,081 票と、固 めたとされる90.4%から逆算すると、共産党の支持票は 4,871,771 票と推計できる。その 4.7%は 228,973 票

となる)。 ⇒ 一方、無党派層における支持の流れが立憲に変わったことは出口調査に表れている。共産は 2014 年の 17.7%から 9.8%に減少している。これは、「自民1強、安倍 1 強」への批判票が、第 3 極がしぼむ中で共産党にも 及んだ 2014 年選挙の「ふくらまし」効果(P15)が元に戻ったと見ることもできる。または、支持基盤自体の縮小も考 えられる。 無党派層は、出口調査では投票者の 18.8%なので 10.706,192 票と推計できる。その 7.9%(17.7-9.8)は、845,789 票

となる。 A+Bは、1,074,762 票となる。 〇10代の「保守的」傾向(図右) 全体 全体と比較して自民、公明への投票比率が高い。逆に立憲、共産へは低くなっている。

【読売・日テレ出口調査】

読売10/23 「民進支持層」の 58%が立憲、26%が希望に投票した。 北海道 11 区:立憲の石川香織氏は無党派層の74%の支持を得た。共産党支持層の 9 割弱を固めた。 新潟 4 区:無所属の菊田真紀子氏は無党派層の61%、共産党支持層の 8 割強を固めた。

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9 東京 11 区:自民の下村氏が、立憲の前田氏、希望の宍戸氏、共産の小堤氏を破った。 ※「1:1」の構図に持ち込めば、無党派層の支持を野党候補が得やすい。また、投票率を見ると北海 道は、60.3.0%、新潟県は 62.56%と全国でも上位の高さとなっている(当該選挙区の投票率もその前後 と推測できる)。投票率の高さも、統一候補にプラスに働いている。

【朝日出口調査】

朝日10/23 A 型:希望と立憲がともに候補者を擁立 B 型:希望だけが擁立 C 型:立憲だけが擁立 <無党派層の投票行動の特徴> A:立憲に 46%、希望 17%と立憲に圧倒的に票が流れた。希望が当選可能性の低い刺客を出したケース も多く、結果として与党を利した場合も。 希望への投票は各年代とも一様だった。立憲への投票は、50 代以上で 50%を超えた一方、30 代以 下は30%台と「高齢無党派層」に強く支持された。 B:希望に 42%、与党に 36%、共産に 14%と分散した。 C:立憲 54%、共産には 2%。 ※A 型での与党支持層の投票先:自民支持層の7%が希望、11%が立憲に投票。公明支持層は希望に 10 %、 立憲に12%投票している。公明支持層ではどちらかというと男性が希望、女性が立憲に多く入れている。 ※A 型では、共産支持層の52%が立憲に入れ、共産党への 30%を上回っていた。希望には 8%。 B 型では、共産支持層の 71%が共産党に入れ、希望に入れた人は 15%にとどまった。 C 型では、共産党が候補者を降ろしたところも多く、共産支持層の 68%が立憲に、21%が共産にと、 立憲への肩入れぶりが際立った。

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【カギを握る無党派層の動向】

〇今回選挙の無党派層(「支持政党なし」)は、共同の出口調査で全体投票者の18.8%。 無党派層は、下表の通り野党に多く投票する傾向にある。 〇今回有権者数106,091,229 小選挙区投票者数 56,952,674 棄権者数 49,138,555 投票率 53.68% 比例代表投票者数 56,947,831 棄権者数 49,143,398 投票率 53.68% 前回14 年衆 有権者数 103,962,784 ※投票率が10%上がった場合、その数は、約 1000 万人 その 19%が無党派とするなら 190 万人となる。 〇今回比例の投票率53.68%、共同通信社が 2017 年1月から9月まで行った9回の世論調査における「支 持政党なし」=無党派層の平均は38.6%。 無党派層は、有権者数×38.6%として 40,951,214 人と推計できる。そのうち投票行動を起こしている 無党派層は、比例の投票者数56,947,831 人の 18.8%として 10,706,192 人と推計できる。 ここから無党派層の投票率を計算すると26.1%になる(10,706,192÷40,951,214×100。または 53.68 ×18.8÷38.6)。 無党派層の投票率が、10%上がれば、4,095,121 票が増えることになる。その 6 割を野党統一候補が獲得 できたとして2,457,072 票となる(統一候補は、無党派の 6 割を獲得できる傾向にある)。これは、当落 を決める大きな要素である。 〇無党派に関する全国の数値を高知県に当てはめると、無党派層は有権者 620,580 人の 38.6%として 238,543 人と推計できる。そのうち投票行動を起こしている無党派層は、比例の投票者数 321,794 人の 18.8%として 60,497 人と推計できる。推計投票率は、25.36%。 無党派層の投票率が10%上がれば、62,058 票増えることになる。その 6 割を野党統一候補が獲得できた として37,234 票となる。県内の与野党の勝敗を左右するに足る数字である。

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11 ⇒ 無党派層は、革新的である!

6.野党共闘をどう見るか

1)「立共社」の枠組みで見るのか「立希共社」の枠組みで見るのかで変わる

-当面は前者、後者は課題とする立場で見る。 ①選挙区制度の下では、政党がまとまることによる「1+1」の効果は間違いなくある。 但し、それが他方の「大政党+α」に対抗しうるだけの「数」になっているかどうかは課題として 残る問題。その点で、「立共社」のボリュームを勘案する必要がある。民進が3 分裂の中で、大義か ら希望の党を除いて、それを作り出すことができるのか。「立共社」の共闘か「立共社希」なのか次 回の国政選挙へ向けて課題になってくる。 ②「1:1」の構図に持ち込めれば、「1+1+α」の効果も期待できる。 「+α」としては、「無党派層の投票行動への誘因」と「保守からの引き離し効果」が考えられる。ただし、 後者は、候補者の特質によるところが大きい。 ③選挙区共闘の質の問題。 候補者統一(一本化)の協定書、確認書なのか「推薦」まで行くのか。高知の場合、前者に留まった。 2区の場合、無所属候補であるだけでなく、敢えて「無所属」戦略を取ったのでそれ自体の影響はな かった。むしろ、前者の方を敢えて取ったということが言える。 しかし、1区の場合、その違いは大きかった。広報やTVの政見放送で、「公認」だけしか出ず、「推 薦」が付かないため、一般の有権者に「野党共闘候補」としての受け止めが広がらなかったように思 われる。 また、選挙区のみなのか、比例も含むのか(全国一本の比例代表ではないので、ブロック毎の議席獲 得のための戦略はあり得る)も共闘の質の問題として課題となる。 「効果」と「相互のメリット」の存在の問題でもある。 比 例 全体 無党派層(共同出口) 自民 公明 自公 33.28 12.51 45.79 21.1 6.2

27.3

維新 希望 維希 6.07 17.36 23.43 8.5 17.9

26.4

立憲 共産 社民 立共社 19.88 7.9 1.69 29.47 30.9 9.8 2.1

42.8

(12)

12 ④勝てる候補者(政党)であるかどうかの視点。 「一本化」がすべてではない。候補者の問題がどうしても残る。

2)共産党は身を切らせて骨を断ったのか?

【各界識者の評価-赤旗掲載】 ・「ぶれず、ゆるがず、たじろがず」市民との共同の路線を堅持し、新たに結党した立憲民主党をはげまし、 社民党とともに、今後の市民と立憲野党の安倍政権に対するたたかいの条件を確保した、そういう選挙だった と思います。・・・「共同」を支えた力強い誠実な活動は多くの市民が評価しています。(広瀬清吾東大名誉教授 10/25) ・(権力が)怖いのは立憲民主党の数ではなく、共産党の献身。普通あり得ないその戦略である。他党のため 覚悟して身を削って、それで議席を減らしても相手を祝福し、感謝している。・・・ひたすらの善意は権力を脅 かす。(寄稿 作家しょうの頼子氏 10/25) ・立憲民主党の躍進の裏には、共産党が立候補している区の立候補者を取り下げたことがある。・・・狭義の利 益からは共産党はマイナスを被った。・・・もし共産党の自己犠牲を行っても民主主義を守る側につくという行 動がなければ、民主主義を守る勢力は一気に瓦解する危険すらある。(孫崎享氏 10/25) ・民進党の希望の党への合流という野党共闘に対するクーデター的破壊の動きを、日本共産党は身をていして 止めました。・・・共産党の身を切るような貢献で市民と野党の共闘はさらに深まりました。・・・何のための共闘 なのかを見失わない、ブレない共産党を心強く思います。・・・立憲野党の連携強化とともに、各党の良さや持 ち味が十分に生きるような共闘のあり方をつくっていく必要があると思います。(中野晃一上智大教授 10/26) ・民進党が希望の党に合流する突然の事態に日本の民主主義、立憲主義の危機を感じました。・・・ひっくり返 したのは劇的でした。立憲民主党の結成は大きいですが、市民と野党共闘の流れをつくる大きな力となったの が日本共産党です。困難を承知で8選挙区で候補者を降ろした共産党の力があったから、結果につながったと いうのはだれも否定できません。・・・共産党への信頼度は今回のたたかいでぐんと増しました。今後は、共産 党そのものを市民に理解してもらう機会をさらに増やしていく必要があるでしょう。(川原茂雄札幌学院大教 授 「戦争させない市民の風・北海道」共同代表 10/27) ・今回の総選挙で共産党のたたかい方は見事であったと思う。議席は減らしたが、日本社会の崩壊を薄皮一枚 でつなぎとめたからだ。もてるすべての力を合わせて、野党共闘を走り抜き、立憲民主党を野党第1党として 世に送り出したからだ。(辛淑玉氏 10/28) ・共産党の議席が減少したことは残念ですが、がっかりする必要はなく、立憲勢力全体の台頭を見なければな りません。・・・いままでの方向性に間違いはありません。立憲野党と市民とのますますの連携を、自信を持っ て進めるべきだと思います。(高山佳奈子京大院教授 10/28) ・志位さんが、「立憲野党の勢力が全体として大きく議席を増やしたことは大きな喜び」と奮われたのは本当 に立派だと思います。大きな文脈を見て、日本が戦争に向かわないために何をするかという視点に立っている という点で、党利だけを旨とする他とは次元が違う発言だと思います。市民の側から見れば、野党共闘へと一 歩踏み出した共産党が、率先して21 世紀型の政治スタイルを示してくれた。組織優先で上意下達の権化とい うイメージだった党が、市民社会の申で、自己変革的に進む姿は、私たちの生き方の次の指針にもなると思っ ています。(佐々木寛氏 新潟国際情報大学教授・「市民連合@新潟」共同代表)

(13)

13

【日本共産党常任幹部会声明 10/23】

(議席減は)私たちの力不足。次の国政選挙で捲土重来を期す。立憲民主党が躍進し、市民と野党の共闘勢力 が全体として大きく議席を増やしたことは、私たちにとっても大きな喜びです。67 の選挙区で候補者を降ろ す決断をしたことが、共闘勢力が全体として議席を伸ばす上で貢献した。今回の対応は、安倍政権の暴走政治 を止め、日本の政治に民主主義を取り戻すという大局に立った行動であったと確信するものです。 「共闘の絆」「連帯の絆」がつくられ、私たちはたくさんの新しい友人を得ることができました。 市民と野党の共闘を前進させながら、いかにして日本共産党の躍進をかちとるか-これは、新しい努力と探究 が求められる課題となっています。第1は、日本共産党の綱領、歴史、理念をまるごと知ってもらい、まるご と支持してもらえる人を広げて行く活動。第2 は、地力を強めること。 【トッピック】 長島昭久 9:28 - 2017 年 10 月 24 日 長島昭久さんが志位和夫をリツイートしました 民進党の執行部に対し、共産党との共闘は彼らを利するだけと叫び続けて来たが、この結果には驚きを 禁じ得ない。共産党は、ここまで肉を切らせて骨を断つの覚悟だったのかと。ただ、換言すれば、立憲 民主党と共産党との親和性を如実に示しているとも言える。希望の党には到底できない芸当だ。 ↑ 志位和夫 10:45 - 2017 年 10 月 23 日 共産党は、沖縄1区で赤嶺再選を勝ち取りましたが、議席を12に減らす結果となりました。私たちの 力不足であり、たいへんに残念です。ご支援に心から感謝いたします。 同時に、立憲民主党が躍進し、市民と野党の共闘勢力として議席を増やしたことは大きな喜びです。共 闘をさらに発展させる決意です。

3)共産党と野党共闘

①革新自治体の誕生と全国的な共闘の課題 この時期の野党統一は、「社共共闘」か「全野党共闘」かが問われたかのようであったが、後者は結局、 社会党の側からする社共共闘に踏み出さないための1つのレトリックであったと言える。 革新自治体が70年代末に次々と敗北する中で、1980 年に共産党排除の社公合意が結ばれ、社会党は「非 自民非共産」の路線へ転換することになる。背景には、「反共主義」の存在があった。 この時代は、革新自治体、革新統一への期待感で社共が共に伸びた時期と言える。 【革新自治体】 京都府 蜷川虎三 (1950-1978) 東京都 美濃部亮吉 (1967-1979) 神奈川県 長洲一二 (1975-1995) 大阪府 黒田了一 (1971-1979)

(14)

14 1969 衆 32 回 1972 衆 33 回 1976 衆 34 回 1979 衆 35 回 1980 衆 36 回 自民 288 271 249 248 284 公明 47 29 55 57 33 社会 90 118 123 107 107 民社党 31 19 29 35 32 共産 14 38 17 39 29 ②8党会派政権の成立とその崩壊過程での自さ社政権の成立 93 年の衆議院選挙で自民党は 223 議席にとどまり、単独過半数に達しなかった。 8 党会派の細川政権が誕生し、1955 年以来 38 年間続いてきた自民党政権が退場に追い込まれた。 しかし、弱小政党の連合政権で内部の矛盾が大きくなり崩壊した。その過程で下野していた自民党と社 会党、さきがけのいわゆる「自さ社」政権が誕生することになる。 55 年体制で対峙してきた自民党と社会党が連立政権を組むという想定外の事態が生まれた。保守的なさ きがけが加わり、社会党の村山富一氏を首相とするという離れ業がそれを可能にした。 しかし、それ以上に重要な点は、社会党の政策面での変容だ。即ち、「非武装中立」「反安保」「自衛隊違 憲」の立場から、「安保容認」「自衛隊容認」への転換だ。首相の座と引き換えに差し出したものは、あ まりにも大きかったと言わなければならない。これが日本の世論が右に寄った瞬間だ。 この政権の崩壊・自民党政権の復活過程で自民党流の政治への「批判の受け皿」に共産党がなった。 しかし、再編をくり返してきた野党勢力が民主党に収れんする中で、共産党への「批判の受け皿」とし ての期待はしぼんでいく。共産党排除体制は、続いて行くことになる。 93 衆 40 回 95 参 17 回 96 衆 41 回 98 参 18 回 2000 衆 42 回 2001 参 19 回 2003 衆 43 回 自民 223 111 239 103 233 111 237 公明 51 11 22 31 23 34 社会 70 37 15 社民⇒ 13 19 8 6 新進党 57 156 民社 15 新生党 55 日本新党 35 さきがけ 13 社民連 4 民主党 52 47 127 59 177 自由 12 22 8 共産 15 14 26 比 726 万 23 比 819 万 20 比 671 万 20 9 比458万 ③民主党政権の成立と失敗、自民党政権の倍返しの復活 政権交代への世論の盛り上がりの中、2009 年の総選挙(政権選択選挙)の結果を受け、民主党政権が成 立する。しかし、政権運営のまずさ、東日本大震災の発生とその中での混乱を受け、2012 年の選挙では

(15)

15 自民党政権が復活する。本来であれば、「受け皿」として共産党が伸びる選挙のはずが低迷する。 共産党にとっての受け皿効果は、自民党への批判の場合である。同じ「野党」の民主党への批判は、当 然自民党に行くし、第3 極としての維新、みんなに向かった。 自民1強、安倍1強への批判票は、2014 年選挙で第 3 極への期待がしぼむ中で共産党にも及ぶ。民主党 にとっては、国民の抱く失望からの復活(修復)過程の選挙であったと言える。 2005 年衆 44 回 2009 年衆 45 回 2012 衆 46 回 2013 年参 23 回 2014 衆 47 回 自民 296 119 294 115 291 公明 31 21 31 20 35 維新 54 54 9 41 みんな 5 18 18 未来 9 9 民主 113 308 57 73 社民 7 7 2 3 2 共産 9 9 8 11 21

7.高知の野党共闘と選挙結果をどう評価するか

1)高知憲法アクションの取組み

4月11日 衆議院選挙に当たっての23項目の政策を発表。民進党、日本共産党高知県委員会に野党共闘の 推進と候補者一本化を申し入れ。 7月22日 市民と野党の政策討論会を開催。 9月26日 (安倍首相の臨時国会冒頭解散の表明の翌日)アクションとしての態度表明を記者発表し、民進党、 日本共産党高知県委員会に候補者一本化を申し入れ。 10月5日 高知憲法アクションは、1区で共産党公認の松本顕治さんと2区において無所属の広田一さんと確 認書を交わした。 この協定書を評価する形で1区では日本共産党高知県委員会、社会民主党高知県連合、新社会党高知県本 部が、野党統一候補の勝利に向けて協定書を交わした。2区では、同じく民進党高知県総支部連合、日本共産 党高知県委員会、社会民主党高知県連合、新社会党高知県本部が、野党統一候補の勝利に向けて協定書を 交わした。この結果、1区は共産党公認候補の松本顕治さん、2区は無所属候補の広田一さんが市民と野党の 統一候補となった。 11月6日 この間の経過とアクションの立場を記者発表。

2)選挙結果

結果は、別表参照。 2区では広田一氏が衆議院小選挙区では21年ぶりに自民独占の壁に風穴を開ける見事な勝利を勝ち取った。

(16)

16 (1996 年 41 回総選挙・小選挙区高知1区での共産・山原健次郎氏の勝利から 21 年ぶりの快挙。2000 年 6 月の 第 42 回総選挙以降、衆議院高知選挙区での自民党独占が続いてきた。17年間に終止符) ※第 40 回衆議院選挙までは高知全県区で中選挙区定数 5 であった(中谷、山原、石田、五島、山本が当選)。 1区では、希望の党の候補者が立ったこともあり、勝利することはできなかった。 2区の勝因は、野党共闘が実現し「1対1」の戦いの構図に持ち込めたこと、広田氏の保守人脈と山本候補の不 人気によると見られる。

3)高知新聞の分析/記者の目

①高知新聞「検証 予野激突」

10 月 25 日上 26 日中 27 日下

<2区>

:全国的には政権批判票が割れているが(注:民・立・共)、高知 2 区は全くそうではない(石破)。 山本陣営:大票田の高知市は共産市議の支援と無党派の票で広田優位。保守基盤の郡部で引締め、全体で守 りきる戦略だった。しかし、郡部でも勝ったのは山間部の3町(仁淀川町、越知町、梼原町)のみ。 本人の運動不足(「山本氏の顔が見えない」)TPP での失言(「農相経験が必ずしもプラスではない」「安倍農政へ の逆風」)、広田の無所属戦略。何といっても共産票で互角の戦いに持ち込まれた。(以上 上) 広田の運動の中心は、民進党、連合高知、県議会の「県民の会」(8人)。「どぶ板選挙」による県議時代からの保 守票。「純粋無所属」をアピールしての無党派層への浸透。そこに共社などの「野党共闘」が上乗せされた。「立 民の風」は、広田氏の後押しになった。 「安倍政権に対峙するには、今はこの手しかない」(民進県連の近藤強代表) (以上 中) 共同通信の出口調査:広田は共産、立憲民主党支持層の9割前後を固めた。また、自民支持層の 23.6%、公明 支持層の 34.9%も固めた。与党の支持基盤が切り崩された格好。 (以下の分析は、高新 10/25)県西部はここ数年、衆議院は山本、参議院は広田で使い分けて投票してきた保守 層、無党派層が厚く存在する。これが直接対決で「2 者択一」を迫られ、山本の票が広田にオセロのようにひっくり 返った。10 年参で広田に、14 衆で山本に投票した 100 人を対象に調査。今回は広田 63 人、山本 37 人であった。 広田投票者:人柄・実績31人。相手が与党候補だから 25 人(自民支持だが、加計問題あり、保守だが、安倍は 怖いも)。 広田陣営には、当初から「山本氏を支持する6千票をひっくり返せば勝負になる」との目算があった。 出口調査で無党派層の 72.4%の支持。

<1区>

:全市町村で希望の党と共産の新人を上回った。「1区も野党が一本化していたらどうなっていたか分 からない。野党はこれからも共闘で向ってくるだろう。中谷もいつ負けるかわからない。対策が必要だ」(自民県連 桑名幹事長) (上)

<全県>

:高知県出身の国会議員は、衆議院では4人から6人。衆参合わせて9人になり、中央に届ける「声」 は厚みを増すことになった。(下) 「悔しいが、国会議員が2人増えたのはいいことと思う」「(予野が)対立しない国土交通、農林水産、防災の予算 で情報交換できれば」(高野光次郎 高新 10/29)

②10 月 24 日高知新聞 記者座談会

「異例づくめの選挙」「全国では与党大勝。が、高知では別の風が吹いた」「衆議院小選挙区で2000年 7 から続

(17)

17 いた自民独占の壁に風穴をあけた」「一騎打ちで野党が勝利。高知の選挙史に残る戦い」 「民進県連出身者が 2 人当選。党の分裂がプラスに働いた格好。民主、民進の名前を捨てたことで、政権時代の “呪縛”から逃れた側面もある」 「自民党にとっては、内閣不支持率も高いのに、与党で 3 分の 2 を確保した。結果オーライではなかったか」 「投票率は史上最低だった前回 50.98%を上回り、51.87%だった。大荒れの天気でまずまず?・・・当選者は有 権者の半分の審判しか受けていないことになる。『白紙委任』を得たと思ってもらっては困る」

<2区>

「自民党独自の世論調査でも公示前から 2 区は厳しい判定が出ていた。党本部は 2 区を『重点区』に位置付けた」 「安倍政権への反発、多選批判、TPP 承認をめぐる失言・・・・マイナス要素が多すぎた」「地域の支持者との間に 距離が出来ていたのでは?」「一方、多くの市町村長が積極支援で前面に立った。・・・利益誘導の訴えには違和 感もあるが、中央での発言力への期待は高い」 「広田の最大の勝因は、野党の候補者一本化で一騎打ちに持ち込んだことだ」 (しかし)「旧民主と共産候補の得票は計約 7 万 2 千票。ここに 2 万票近く上乗せした。野党の基礎票だけではこ こまで突き抜けられない」 「仮に民進公認の野党統一候補だったら、これだけの票をたたき出せたか。無所属で退路を断ち、有権者が感 情移入しやすい構図をつくった」 「『共産党系無所属』のレッテル貼り、旧民主の稚拙な政権運営も批判したが、『純粋無所属』をアピールする広 田に打ち消される面もあった」「山本への 2 枚舌批判も PR に有効だった。参議院議員12年の『即戦力』も訴えた」 「防衛政務官など安全保障政策のキャリアは有権者に響いたと思う」 「地上戦では、県議会第 2 会派の『県民の会』や、安倍政権に疑問を持つ保守系の市町村議員ら地域の手勢に 厚みがあった。安保法制の廃止など政策面の訴えは分かりやすく、政権批判票の受け皿になる戦略が奏功した」 「(古いしがらみを断ち切ると連呼したが)保守から共産までの幅広い支持を得たことが、“新しいしがらみ”のはじ まりにならないか」

<1区>

「中谷は、個人後援会を基盤とした厚い支持基盤、本人の知名度の高さを生かし、安倍政権への逆風を跳ね返 した。全市町村制覇の完勝」 「安倍政権に苦言を呈した『あいうえお作文』で、言うべきことを言うイメージが好感された」 「公示後5日間も県外に応援に行ったが・・・野党の分裂に助けられた面もある」 「大石は、民主県議当時から保守的なスタンスで、共産との共闘には距離を置いてきた。勝つための共闘よりも政 治家の筋を大事にしたのなら、責められる話ではない」「しかし、安保法や憲法など中谷との対立軸が見えにくか った」「3年間地域を丹念に歩き、前回より7千票あまり増やしたが、中谷には遠く及ばなかった」 「憲法9条堅持や安保法廃止などを訴えた共産の松本は、中谷との対立軸ははっきりしていた」「弁舌やキャラク ターは引きつけるものがあった」「しかし、共産党支持層への呼びかけが中心で、横への広がりに乏しかった」「共 産は1区を全国16の『必勝区』の1つに位置付けたが、前回より5千票あまり減らした」 「共産は候補を取り下げた2区で存在感を示す一方、候補を立てた1区で埋没した。皮肉な結果だ」

<比例四国>

「自民3、希望1、公明1、立憲民主1。改選前の民進、日本維新の会の議席が消え、2つの浸透が議席を得た」 「希望は公示直後には2議席目が視野に入っていたが、『排除』発言で終盤にかけて失速した」「立憲は尻上がり

(18)

18 に勢いを増していた」 「共産の目減りは目立つ。前回の県内得票率 20.31%に対し、今回は約2万票も減らして 13.44%」 「(野党共闘で2区の候補者を降ろした影響というより)立憲に食われたのが大きい。出口調査で首相を『信頼して いない』と答えた人の投票先は共産党 13.3%、立民 27.4%。『死に票』にしたくないと、勢いのある立民に投じた人 も多かったと思う」 「公明は 1 区、2 区とも自公協力に懸命だった。ただ、公明に投票した自民支持層は 17.0%。バーター協力は今 回も限定的だった」

4)別表を使った分析

<2区>

〇2014 年選挙区 民共計は 72,475 A 山本 14 年 83,764 との差は、11,289 ※広田陣営の 6 千ひっくり返せば勝てるの意味 〇2区広田一票 92,179 B B-A=19,704 C この 19,704 はどこから来たのか? 山本今回得票数 71,029 と 2014 年選挙区山本得票数 83,764 との差は、12,735 D C-D=6,959 これが、野党共闘効果なのか? 2 区の立共社希の比例票は 78,273 E E+D=91,008 (推論)⇒ 野党共闘の「1+1」効果 + 広田の保守票取込み(山本の不評)効果 ※野党共闘の爆発力(+α)の効果は発揮されていない。むしろ、民進分裂効果が見て取れる。 それら以上に広田の保守基盤のへのウイングの広さ(純粋無所属のアピールは保守にも効いたのではない か。勿論、世代交代論の効果はあった) 〇広田の「9・6・3」戦略 広田氏が描く勝利の方程式は、「9・6・3」。共闘組織の支持の9割を固める、無党派層の支持の6割を獲得する。 保守の3割を崩すというもの(高知憲法アクションで民進党に申し入れた際の広田氏の発言。2016 年 10 月 28 日)。 出口調査の結果からこの戦略通りの勝利を勝ち取ったとも言える。 立憲、共産の 9 割を固め、無党派層の 72.4%の支持を獲得し、自民支持層から 23.6%、公明支持層から 34.9%を 獲得。もう1つ挙げれば、期日前投票の伸びともあって、悪天候にもかかわらず投票率が、前回衆議院選挙より若 干ではあるが伸びたことも奏功した原因の一つと言える。 ※投票率6割を加えて、「9・6・6・3」を盤石の勝利の方程式と言うこともできるか。

<1 区>

〇松本の得票数は、25,542 前回 14 年の春名と比較して 5,152 票減らしている。 野党統一(共産・社民・新社)の統一効果は限定的と見るべき。

(19)

19 元々共社の基礎票が勝てるボリュームにない。今回の1区の両党の比例票合計は、22,317 それより松本の票は多く出ており、これを共闘効果と呼べば呼べないことはないが。 また、社民党は松本推薦ではなく、アクションの確認書を追認して「勝利をめざす」に留まっており、マスコミで も「共産党公認」の紹介。「野党統一候補」のアピールも限定的であった。 【共同出口調査結果を基に】 共産党支持層の 89%は、松本に入れている。今回 1 区で野党共闘の一角を担った社民党の支持層は、60%が松 本に入れている。社民党については、今回初めてにしてはそこそこの「共闘効果」とも言えるが、ボリュームの問題 は残る。 松本への投票は、立憲支持層は 28%、希望支持層は 5%に留まっている。2 区での共闘との正式の「バーター」は 存在せず、元民進の希望の党の候補者がいるという中での立憲支持層の 28%をどう評価するかは微妙なところ。 無党派層の投票先は、中谷5、大石3、松本2の割合となっている。

<比例>

〇2017年衆立憲比例全県 53,545+同希望 52,567=106,112 2014年衆民主比例全県 58,414 14 年民比+47,698 ⇒ 民進の分裂による「みそぎ」と「掘り起し」効果か? 〇共産は 2014 年衆比例対比で-20,410。対 2016 参比例 46,933 比でも-5,289 となっている。 選挙区別でみると選挙区候補を立てていない 2 区の方が、減り幅が低くなっている。これをどう見るか? 2017年衆議院選挙 2014年衆議院選挙 2014年比 1区 20,117 30,891 -10,774 ‐34.9% 2 区 21,527 31,163 -9,636 -30.9% 合計 41,644 62,054 -20,410 -32.9%

8.野党共闘の位置付け-

歴史的な流れ

1)民主党政権の目指したもの

①政権交代可能な社会にする 1993.8.9~1994.4.28 細川連立政権 1994.4.28~1994.6.30 羽田連立政権 1994.6.30~1996.1.11 村山連立政権 ※自さ社連立政権 2009.9.16~2014.12.26 民主党政権 ②コンクリートから人へ 2010年度予算で公共事業2割減。こども手当、農家戸別補償など、国の予算 組み替え。 ③政治主導-官僚統制の打破 事務次官会議の廃止、政務副長官の多用、事業仕分け 自民党・官僚合作の「予算配分型・裁量政治」からの脱却

(20)

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2)目指したものの挫折とその反動としての安倍 1 強

(単なる自民党政権の復活ではない) ①自民党による「疑似政権交代」制の復活、それどころか2重の意味の「自民党1強体制」 の出現(①自民党政権の固定化・独裁化、②安倍1強体制) ※「小選挙区制度」の弊害:「相対多数の意思を絶対多数に増幅」する。 ※「ネジレ解消」という罠。2院制の機能停止。民主主義は手間がかかることの忘却。 ②小泉政権による新自由主義路線(福祉削減、緊縮財政)と民主党の改革競争への転換。 小沢代表の「生活者第一」路線への修正。しかし、野田政権で官僚に屈服、取り込まれる。アベノ ミクスによる「ごった煮政策」(バラマキ公共事業の復活と日本型緊縮財政) ③民主党政権下の内閣機能の強化と安倍による「首相独裁型政治」の誕生。 自民党政権下ではできなかったことを官僚にからめ捕られ、「野党(非自民政策勢力)」不在の 中で、遂行した。 〇2011年11月 野田首相は11日、「TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と 述べ、交渉プロセスに参加する方針を表明した。 〇2012年2月17日 民自公、国家公務員の給与削減で合意。 〇2012年3月30日、野田内閣が消費税増税法案を提出。6月15日、民自公三党間で 「社会保障・税一体改革に関する確認書」が6月21日交わされた。8月10日、法案成立。 「子ども・子育て支援法」成立。 〇2012年11月16 赤字国債発行法、衆議院の小選挙区「0増5減」案、身を切る改革 などで民自公が合意、国会解散。 3)東日本大震災-民主党政権の挫折-自民党政権の復活‐その中での市民運動の前進 ①原発事故による意識の変化 〇2011年3月11日 東日本大震災 日本(人)は変わるかもしれない ⇒ 価値観のゆらぎ:55年体制、高度経済成長と物質優先主義 〇2011年9月 「首都圏反原発連合」結成 民脱原発の市民運動の興隆 ②原発事故が民主党政権下で起きた歴史のいたずら もし、自民党政権下で起きていたならば、過去の自民党政治の総清算につながっていた 可能性がある。 しかし、それでも「複雑な国民の意識変化の過程を通じて、過去の清算」が進みつつある。 ③脱原発、戦争法廃止、特定秘密保護法反対などの「ワン・イシュー」(個別課題)の運動 による幅の広がりから「統合」の過程。その契機が国政選挙へ向けた「野党は共闘」の声の 広がり。 ④政治への市民参加(政治とそれを選び取る過程へ) (政権交代は)政治家の世界でのメンバーチェンジでしかなかった。政治に市民がコミットメント(強 い関与)するという契機が不在であった。 民主党にとっての起死回生の策は、候補者の擁立と政策基軸の樹立に向けて、広範な市民の参加を誘 い入れることで、エネルギーを受け入れることである。憲法問題だけではない。

(21)

21 格差貧困問題、年金基金による株価下支えの失敗など、安倍政権の失策を正面から批判し、論戦の構 図を作れば、参院選は日本国民にとって久々の意思表示の機会となる。民主党指導部の決断が求めら れる。(山口二郎週刊東洋経済2016年2月20日号 4)野党・市民共闘の歴史的な位置づけー社会の質を変える ①民主党政権の失敗の2重の意味での克服過程 と政権交代可能な体制への移行 〇民主党(民進党)にとっての失敗(国民の失望)の克服過程 ※失敗から学ばず、夢よ再びではダメ! 〇日本社会にとって、「非自民政権失敗のトラウマ」の克服過程 ※「もう一つの日本」があることの(再)発見。政策は官僚のものではない! ②共産党排除、全労連排除の体制の崩壊過程 1980年の共産党排除の社公合意。1989年の連合結成と全労連排除。 国民にとって非共産政権というマインドコントロールの克服 国民にとって「特定勢力排除」という反民主主義的思想と体制からの解放(戦後民主主義の第1の質 的転化) ③市民、国民が直接参加する政治、権利の主体としての個人と政党の共同する政治の実現 (戦後民主主義の第2の質的転化=平成の自由民権運動)

9.野党共闘の今後‐3 つのハードル

1)政策のハードル

90年代後半の橋本龍太郎政権から2000年代の小泉純一郎政権にかけて、自民党が改革のシンボル を野党から奪った。改革保守。そして、それが安倍政権になり、「革命」とでも言うべき戦後の憲法体制 のリセットまで行き着く。自民党が「改革」を言いだし、「反対」が変革の旗印ではなくなり、「保守」「守 旧派」の臭いを国民に与えるようになる。それでも明確な対抗軸を打ち出せないまま、「自民党穏健派の ような軽武装や再分配を主軸」にすることが精々。 その元となったのは、自社さ政権(1994 年から 4 年間)。「社会党が自衛隊と専守防衛+日米安保の枠組 みを認めた。自民党穏健派の作った戦後パラダイムを革新の側も認めた」。 そして、戦争法以降、立憲主義というイデオロギー的には右でも左でもない主張が中心になってきた。(そ して、この衆議院選挙では、立憲主義と草の根の政治を訴えた立憲民主党が躍進した) 世論の軸が、極端に右に寄る中で従来の「自民党穏健派」の主張が、野党の主張になっている。対抗軸 が、明らかに右に移動している。 (一方で、ここまで右に行ったことで、自民党穏健派を取り込むことも可能にもなる) 反安倍、安倍9 条改憲 NO!までは、このラインで行けるが、その次には「政策の壁」が出てくる。

2)政権交代のハードル

反安倍、安倍9 条改憲 NO!までは、一緒に共闘して行けるが、「政権交代」が主要課題に浮かび上がっ

(22)

22 てくれば、野党共闘が壁にぶつかる。 「政権交代可能な組み合わせ」が優先されれば、国会内の数の組み合わせの論議がどうしても先行し、 下からの運動の観点が弱くなる。 立憲民主党の枝野代表の胸の内で「下からの民主主義」「国会内の数の組み合わせの論議に走らない」と いう思いと、「政権交代の実現」という思いとが、どう折り合いをつけるのか。市民の運動がどの程度盛 り上がるかが、カギとなる。

3)ギブ&ギブの共闘構築のハードル

本気の共闘は、相互支援の関係(比率はあるにしても)。今は、「選挙区で降ろす・比例は共産(と言っ てくれている他党支持者もいる)」に留まっている。それが、どう相互支援関係に踏み出せるのか(一方 的な対応から少しでも抜け出せるのか)。 ⇒ いずれ、これらの問題で、市民と野党の間で根本的な議論が必要になってくると思う。 @「例えば立憲民主党の候補の応援をする場合に、共産党と連合系の保守的な人たちがもっと一緒に力を合わ せてやっていけるようにしなければいけません。実際、一緒に選挙をやったのですが、昨年の米山知事の選挙の 時のような合同選挙事務所をつくって、そこで人間的にも混じり合っていくということは、まだまだこれからのところ があります。 また政策的には日米同盟の問題などで政党間の隔たりもある中で、党勢の足し算、引き真とか、イデオロギーの 掛け合わせということでは乗り越えられないところがあります。 そこは、もっと市民と政党が一緒になってこの先の日本の国のかたち、安全保障や外交、エネルギー政策などを 論議し、意見をぶつけあって新しい社会の姿を模索していかなければなりません。 原発と共存できるのか、抑止力や軍事力だけで平和を維持できるのか、リアリズムで考えて市民社会のエネルギ ーを引き出し、市民全体が政治に参加する形を創り出せば、日本は変えられる。」 (赤旗11/14 佐々木寛氏 新潟国際情報大学教授・「市民連合@新潟」共同代表)

10.今後の安倍 9 条改憲 NO!の闘い

1)各党首の発言等

・安倍首相 10 月 22 日 TV インタビュー(朝日 10/23) (来年の通常国会での発議をめざすかどうかは)時期ありきではない。しっかりと(国会の)憲法審査会において議 論していく。そういう中で国民の議論も深まっていくことを期待したい。与党だけで発議しようとは考えていない。 (2020 年に新憲法を施行するという自身の案について)一つの目標として掲げたが、スケジュールありきではなくし っかりと議論を深めていきたいし、より多くの方々に賛同をいただきたい。そのことを優先すべきだと考えている。 ・朝日 10/24 安倍首相は 23 日、憲法改正は「与党、野党に関わらず幅広い合意を形成するように努力を重ねる」 「合意形成のための努力は(野党)第1党であろうと第2党、第3党、第4党であろうと行って行かなければならない。 政治だから、皆様すべてにご理解を頂ける訳ではないが、そういう努力を払っていくことは当然だ」

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23 ・立憲民主党枝野代表 10 月 22 日 TV 東京インタビュー (赤旗 10/24) 市民連合との合意に基づき候補者を降ろした共産党、社民党に「われわれ以上に厳しい選択をされた」と謝意を 示した。「市民連合と合意した 7 項目は国民のみなさんとの約束でもある。しっかり実現できるように頑張っていく」 と表明しました。 高知新聞 10/23 枝野氏「国民に寄り添った政治を進める。立憲民主党の旗の下で政権をめざして行きたい。こ れからがスタートだ」「有権者が今回の主役」「これからもわれわれに対して叱咤し、注文を付けていただきたい」 「今までの政治が国民から離れた、上からのものになっていた。想像していた以上に距離を感じていた国民が多 かった」「今の日本にある政治の対立軸は右、左ではない。国民の草の根に寄り添った政治をするという姿勢が 期待を頂けたのではないか」「集団的自衛権を追認するような憲法改正には反対する。そういうことに進もうとする なら国民世論に呼びかけ、阻止するために全力を挙げたい」「(今後の野党の結集について問われると)すぐそう いう話しになって応じると国民から遠いところになり、権力ゲームや数合わせをやっていると受け止められる」 公明党山口那津男代表 10/22 TV 番組 (赤旗 10/24) 総選挙後の改憲の動きについて、「衆参の憲法審査会で議論が深められていくことが大事だ」と述べ、憲法審査 会での改憲論議を促進する立場を示しました。他方、「国民の理解が伴っていくものでなければならない。これが 成熟していくことではじめて発議や国民投票の機が熟する」と述べ、国民の支持が広がらなければ発議は難しい という認識を示しました。 〇10月23日の自公党首会談で交わされた連立継続の合意文書(朝日 10/24) 焦点となったのも改憲に関する表現だった。自民は当初、「憲法改正を目指す」と明記するよう主張。公明は「国 民の間に改憲のマグマはたまっていない」(党幹部)と難色を示した。最終的に自民が譲り、「(憲法改正の)合意形 成に努める」という表現に落ち着いた。衆院に比べて改憲に前向きな勢力が少ない参院では公明の協力は欠か せず、自民は公明に配慮せざるを得なかった。 希望の党・細野豪志氏 朝日 10/23 「(選挙結果は)非常に厳しい数字だと受け止めている。これまで、改革保守政党はなかなか存在しなかった。こう いう政党ができた意味は非常に大きなものがあるので、これから党として前に進みたい」(ニッポン放送のラジオ番 組で)

2)今後の野党共闘の枠組み

①「立共社」の枠組みなのか、希も加わってくるのか ②民進党は選挙前 4 分裂 (希望へ44 人、立憲へ 15 人、無所属 21 人、民進参議院 47 人) 選挙後の国会内会派 立憲民主・市民クラブ54 人 希望の党・無所属クラブ54 人(衆 51、参 3) 無所属の会60 人(無所属 13+参議院 47) ③国会での共闘 国会内の野党連携と国政選挙での共闘の区別と関連、そして発展 ※11 月 1 日 6会派国対委員長会談(立憲、共産、社民、希望、無所属の会、自由党) ※社民党、自由党は参議院で会派「希望の会」を結成

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3)対立の構図は改憲推進・容認の「自公維希」VS 改憲反対の「立共社」、

前者は 1 枚岩ではない - 改憲グラディエーション 朝日新聞 10/24 国会議員アンケート(左) ※立候補者へのアンケートから当選者を分析 高知新聞 10/24 共同通信衆議院選当選者アンケート(右) ※当選者の分析

4)参議院は改憲勢の安定「3分の2」ではない

自公 150 (自 125 公 25) 維新 11 希望 3 以上 164 民進・新緑風会 47 共産 14 希望の会 6 ※自由党、社民党で構成 沖縄の風 2 以上 69 ※定数:242 過半数:122 「3分の2」:162 ※自民党にとって公明党の協力は不可欠。支持母体である創価学会の婦人部の存在は、不安定要素。

5)憲法審査会の論議含め意外とややこしい改正手続き

衆議院50人(会長:自1 幹事 9:自 6、立 1、希 1、公 1 委員 40:自 31、立 6、希 6、公 3、無 2、共1、維1) 参議院45人(会長:自1 幹事 10:自 5、民 2、公 1、維 1、共 1 委員 34:自 18、民 7、公 4、希党 1、希会 1、 共 2、維 1)

(25)

25 【憲法改正の手続き】 ①憲法改正原案の発議(衆 100 人以上、参 50 人以上の賛成で行える) ⇒ 今の衆参の議会勢力からすると衆議院の審査から始める可能性大(衆議院が先議の院) ②憲法審査会での審査 過半数で可決 ③本会議における可決(3 分の2) ⇒ 後議の院(参議院)へ ↓ ④参議院の憲法審査会での審査 過半数で可決 ⑤本会議での可決(3 分の2) ※参議院で否決され両院の意思が異なる場合も。両院協議会が開かれる ⑥両院で可決 ↓ ⑦国民投票(60日から180日以内に実施。投票日は国会で決議) 【国民投票】 〇国民投票広報協議会が広報を行う 各院の議員20名(各10名)で構成 ※実際の選挙実務は選挙管理委員会が行う 〇国民運動 ⇒ ここが重要 ・基本制限なし(個別訪問、拡声器、ビラ、ポスター、テレビCM等の規制もなし) ・投票期日前14日~当日までの間は、ラジオ、テレビCMは禁止 ・利益許与禁止 ・公務員、教育者の地位利用は禁止

6)(最後は)国民世論—世論をめぐる草の根対決

「朝日」10/25 選挙後の世論調査 9条への自衛隊明記 反対 45%、賛成 36% 18~19 才:賛成 49% 反対 34% 他の年代では反対が多数。特に 60 代は反対 54%、賛成 27% 男性45%が賛成、女性の賛成は 28% 「読売」10/25 反対 39%、賛成 49% 「NHK」10/16 反対 22%、賛成 29%、どちらともいえない 40% <日本会議と九条の会などとの草の根対決> 日本会議などで「美しい日本の憲法をつくる国民の会」を2014 年 10 月設立。改憲 1000 万賛同署名をス タート。10 月 25 日現在、989 万 8012 筆。 古屋圭司衆議院憲法審査会幹事(日本会議国会議員懇談会の中心メンバー) 「いよいよ主戦場は衆参 の憲法審査会に移って来る。しっかり審査会で具体的なテーマを持たせ議論して行く」「国民に正しい理 解を醸成していく。正しい運動展開を国民運動として打ち出していく」と強調。

(26)

26 【安倍改憲シナリオ】 ・11 月 1 日~12 月 9 日 特別国会 ・年内に自民党憲法改正案を策定? 2018年 ・1 月 通常国会召集 ・3 月末までに来年度予算通過 ・9 月自民党総裁選 <18年中に改憲発議>? 2019年 ・7 月 参議院選挙 ・10 月 消費税 10%への引き上げ ※2014.11.8 2015.10 ⇒ 2017.4 延期表明 ※2016.6.1 2017.4 ⇒ 2019.10 再延期表明 ・19年中 国民投票 2020年 東京五輪 ⇒ アベリンピックへ

7)憲法アクションは、これからどう動くか

①3000万署名 2018年5月3日目途 ②憲法アクションを超える憲法アクションの形成 ③地方選挙での共同 ⇒ 国政選挙へ 現在の国政中心の共闘からの転換? 2019 年春 統一地方選挙 2019 年 11 月 高知市長選挙 岡崎現市長 4 期目 64 歳 2019 年 11 月 高知県知事選挙 尾崎正直 3 期目

さいごに

【キーワード】 〇「一人称」の運動と「二人称の運動」のコラボ 〇組織内に完結しない運動 〇「顔合わせ」「腹合わせ」「知恵合わせ」-「ホクロの位置、味噌の味にこだわらない」知恵

参照

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