第1編
仮設工事
第1章
仮囲い
1-1. 仮囲い 仮囲いは、工事現場と外部との隔離・盗難防止・通行人の 安全や隣接物保護などのために設置するものである。 ◇仮囲いについての規定 ① 木造の建築物で高さが 13m もしくは軒の高さが 9m を 超えるもの、または木造以外の 2 階建て以上の工事を行 う場合においては、工事期間中、工事現場の周囲にそ の地盤面からの高さが 1.8m 以上の板塀か、これに類す る仮囲いを設けなければならない。 ただし、これらと同等以上の効力のある他の囲いがあ る場合は、この限りでない。 ② 工事現場の周辺もしくは工事の状況により危害防止上 支障がない場合においては、ガードフェンスのような簡 易なものでよい。 ③ 建築現場で火気を使用する場合は、その場所に不燃 材料の囲いを設けるなど、防火上必要な措置を講じなけ ればならない。 ◇計画上の留意点 ① 仮囲いは、工事期間に見合った耐力を有し、強風を受 けても倒れない構造とする。 ② 仮囲いは、工事内での飛散物や落下物、あるいは現 場内からの雨水などが流出しないように、幅木やコンクリ ート製の土手を設置するなど、すき間のないような構造と する。 ③ 出入口、通用口などの扉は、引戸か内開きとする。 ④ 周辺の景観を損なわないように配慮する。 地方条例で指定した場所や ※ 設計図書によっては、高さが3m 以上と規定しているところもあ る。 第1編 仮設工事 ・ 第1章 仮囲い1-2. ゲート・通用口 仮囲いに車両用のゲートや通用口を設ける場合は、次の 点に留意して計画する。 ◇計画上の留意点 ① 工事に必要な車両の入退場ができる有効高さ、有効 幅を有するものとする。 ② 場内の車両動線・前面道路の電柱や植栽などのイン フラ設備を考慮し、入退場に支障のない位置に設ける。 ③ 通行人の安全や交通の妨げにならないような位置に 設置する。特に車両の出入りや通行人・交通量が多い場 合などは、必要に応じて誘導員の配置や車両入退場時 のブザー・標示灯などの設置を行う。 ④ 工事中において、車両等の出入りの必要がない場合 は閉鎖し、工事関係者以外が侵入しないようにするととも に、出入りを禁ずる旨の表示をする。 ⑤ 台風などの強風時には、ゲートを開いて柱に束ねるな どの対応を行い、転倒防止措置を行う。
第2章
仮設建物
2-1. 仮設事務所 仮設事務所には、監理事務所と工事事務所とがあり、監理 事務所は監理者のための事務所であり、工事事務所は施工 者のための事務所である。 第1編 仮設工事 ・ 第2章 仮設建物第1編 仮設工事 ・ 第3章 仮設道路 ◇計画上の留意点 ① 監理・工事事務所の設置場所は、できる限り作業所の 状況を確認しやすい場所に設ける。 ② 監理事務所と工事事務所は、日常の業務の関連性と コミュニケーションの重要性を考えて、近い位置に配置 する。 ③ 工事事務所は、作業員・諸資材の出入管理のしやす い場所に設ける。 ④ 工事計画上、できる限り工事の支障にならない場所に 配置する。 ⑤ 給排水や電力などのインフラ設備を引き込みやすい 敷地外周部に配置する。
第3章
仮設道路
仮設道路は、資機材運搬車両の通行、工事用機械の移動、 資材の揚重スペース、工事関係者の歩行などに使用されるが、 工事用機械の作業スペース、車両や工事用機械の待機スペ ース、資機材のストックヤードなどとしても使用される。 3-1. 仮設道路の分類 仮設道路には、場内設置と場外設置がある。 ◇場内設置 場内に設置する仮設道路は、基礎杭の施工機械の移動路 や作業スペースのように、単一工事に使用して建物範囲内に 設置する場合と、ほぼ全工事期間設置して複数の工事に共 通で使用する建物範囲外に設置する場合とに分類される。 ◇場外設置 一般道路から現場への進入道路で、新設のほかに、既存第1編 仮設工事 ・ 第4章 乗入れ構台 3-2. 仮設道路の計画上の留意点 ① 単一工事ごとに設けられる仮設道路は、設置期間が短く、 放置すると他の工事の支障となるおそれもあるので、設置 や撤去が簡単な表層地盤改良や鉄板敷などの方法が採 用される。 ② 大型の工事用機械は、作業時の接地圧が大きいので、 作業スペースについては、整地後に砂利敷(砕石)を行い、 十分に転圧してから鉄板を敷く。 また、機械接地圧との比較検討を行い、地耐力が不足 するときは地盤改良を行う。 ③ 複数の工事に共通の仮設道路は設置期間が長いので、 期間中の使用に耐えられるように転圧、表層処理を行う。 また、使用目的や使用頻度・走行頻度などを勘案した仕 様とする。 ④ 建物の平面計画や作業所内での工事動線、作業所外の 車道や歩道の通行状況などを考慮して計画する。
第4章
乗入れ構台
4-1. 乗入れ構台 乗入れ構台は、根切り工事によって阻害された車 両動線や削減された作業スペースを補うために設け る。 ◇用途 ① 根切り工事、山留め工事、躯体工事(主に地下部分) など、多くの工事に利用され、構台上で行われる作業も、 乗り入れる工事用機械・車両も多様である。 ② 車両や機械の待機スペースや資機材のストックヤード としても利用される。第1編 仮設工事 ・ 第4章 乗入れ構台 4-2. 計画上の留意点 ◇幅員 ① 乗入れ構台の幅員は、使用する施工機械、車両・アウ トリガーの幅、配置および動線等により決定する。通常計 画される幅員は 4 ~ 10m である。(最低でも 1 車線で 4 m 、 2 車線で 6m 程度が必要。) ② 構台の幅が狭いときは、交差部に車両が曲がるため の隅切りが必要である。 ◇高さ ① 乗入れ構台の高さは、大引下端を床上端より 20 ~ 30cm 程度上に設定する。(右図) ② 乗込みスロープの勾配は、一般に 1/10 ~ 1/6 程度 とする。勾配が急になると、工事用機械や車両の下部 がするおそれがある。 ◇構成部材 ① 乗入れ構台の支柱は、基礎、柱、梁および耐力壁と 重ならないように配置する。 ② 支柱の間隔は、 3 ~ 6m 程度とする。 ③ 桁材(大引、根太)は、通常、大引を桁行方向に、根 太を梁間方向に配置するが、工事条件を検討して配置 する。 ④ 床材は、工事用機械の旋回や方向転換などにより、 動くことがないように、桁材に十分に固定する。 ◇構造計算 ① 構造計算に用いる荷重は、固定荷重、積載荷重、積雪 荷重、施工時荷重、風や地震による水平荷重などとする。 ② 積載荷重は、工事用機械の種類・作業状態、構成部材 等、それぞれが最も不利となる状態を想定して検討する。 ③ 構造計算で地震力を震度法により静的水平力として計 算する場合は、水平震度を 0.2 とする。 ④ 桁材は、強度検討のほかに、たわみ量についても検討 図 大引と床スラブとの間隔 ・ 構 台 下の 作業 が 可能と なる よ うに 考 慮し て、 桁 材な どの 配 置を 考え る 。 本体 予定 構 造物 仮設 材( 乗 入れ 構 台) 20 ~30cm 余 裕を と る 図 乗込みスロープの勾配 ・スロープが急になると、車両などの 下部が接触することがある。
第1編 仮設工事 ・ 第5章 荷受け構台
第5章
荷受け構台
5-1. 荷受け構台 荷受け構台は、クレーンやリフト、エレベーター類からの材 料の取込みに使用されるが、材料置場と兼用するものもある。 5-2. 計画上の留意点 ◇規模・形状・設置位置 ① 荷受け構台は、型枠材料、鉄筋、仕上げ材料、設備 工事用材料など多種の材料の揚重に使用するので、そ の規模・形状は揚重材料に応じて決める。 ② 材料の取込みおよび水平運搬に便利な位置を選び、 2 ~ 3 階に 1 ヶ所の割合で設置する。 ◇構造計算 ① 作業荷重は、自重と積載荷重の合計の 10 %とする。 ② 荷受け構台を構成する部材については、積載荷重の 偏りを考慮して検討する。通常は、構台の全スパンの 60 %にわたって、積載荷重が分布するものと仮定して検討 する。 ③ 材料構台を兼用する荷受け構台では、各工事を円滑 に進めるうえで、どの程度の材料のストックが必要かを想 定して積載荷重を決める。 ◇安全管理 ① 構造計算で想定した積載荷重を明示するとともに、積 載量が設計条件を超さないように管理する。 ② 構台の周辺には手すりや幅木を設けて、作業の安全 や材料の飛来落下の防止に努める。第1編 仮設工事 ・ 第6章 足場
第6章
足場
足場とは、作業者を作業箇所に近接させて作業をさせるた めに設ける仮設の作業床およびこれを支持する仮設物のこと である。 6-1. 足場の設置計画 ① 足場は、工事の種類、規模、構造、敷地および隣接地の 状況、工期等に応じ、施工性と安全作業に適したものを選 定する。 ② 人、物等の積載荷重、風荷重等に十分に耐えうる安定し た堅固な構造とする。 ③ 昇降設備、手すり・さん等の墜落防止設備、メッシュシー ト・幅木等の物体落下防止設備を配備したものとする。 ④ 倒壊事故につながる風荷重が大きく作用する工事用シ ート、パネル等を取り付ける場合は、風荷重の検討を十分 に行い、壁つなぎ材を適切に設置するなどの対策が必要 である。 ⑤ 足場上の作業、足場内の通行に対し、必要な広さを有 する作業床を設ける。 ⑥ 作業目的物と足場作業床の間隔は、可能な限り近接し て設ける。 6-2. 作業床 事業者は、足場における高さ 2m 以上の作業場所には、次 の事項に適合した作業床を設けなければならない。 ① つり足場の場合を除き、幅は 40cm 以上とし、床材間 のすきまは 3cm 以下とすること。 また、床材と建地とのすきまは 12cm 未満とすること。第1編 仮設工事 ・ 第6章 足場 ② 墜落の危険のある箇所には、枠組足場の場合はイま たはロ、枠組足場以外の足場の場合はハの設備を設け ること。 イ 交さ筋かいおよび 15cm 以上 40cm 以下のさん、 もしくは高さ 15cm 以上の幅木またはこれらと同等以 上の機能を有する設備 ロ 手すり枠 ハ 高さ 85cm 以上の手すりまたはこれらと同等以上 の機能を有する設備および中さん等 ③ つり足場を除き、床材は転位、脱落等が生じないよう 2 以上の支持物に取り付けること。 6-3. 鋼管足場 ◇単管足場 事業者は、単管足場について、次の事 項に適合したものでなければ使用しては ならない。 ① 建地の間隔は、けた行方向を 1.85 m 以下、はり間方向を 1.5m 以下とす ること。 ② 地上第一の布は、 2m 以下の位置 に設けること。 ③ 建地の最高部から測って 31m を超 える部分の建地は、鋼管を 2 本組と ※ すること。 ④ 建地間の積載荷重は、 400kg を限 度とすること。 図 単管足場の例 第一の布 2 m以下 ただし、建地の下端に作用する設計荷重 ※ (足場の重量に相当する荷重に、作業床の 最大積載荷重を加えた荷重をいう。)が当該 建地の最大使用荷重(当該建地の破壊に至 る荷重の 1/2 以下の荷重をいう。)を超えな いときは、この限りでない。
第1編 仮設工事 ・ 第6章 足場 ◇枠組足場 事業者は、枠組足場について、次の事 項に適合したものでなければ使用しては ならない。 ① 最上層および 5 層以内ごとに布枠 等の水平材を設けること。 ② 高さ 20m を超えるときおよび重量 物の積載を伴う作業を行うときは、使 用する主わくは高さ 2m 以下とし、主 わく間の間隔は 1.85m 以下とする。 ◇壁つなぎの間隔 壁つなぎの間隔は、鋼管足場の種類に 応じ、下表の値以下とすること。 鋼管足場の種類 単管足場 枠組足場 (高さ 5m 未満を除く。) 間隔 垂直方向 5m 9m 水平方向 5.5m 8m 6-4. 移動式足場(ローリングタワー) ◇高さおよび脚輪間隔 移動式足場の脚輪の下端から作業床までの高さ( H )と脚 輪の主軸間隔( L )は、次式を満足しなければならない。ただ し、移動式足場に壁つなぎまたは控えを設けた場合を除く。 H ≦ 7.7L - 5 (単位: m ) 式を満足しない場合は、適切な高さおよび幅の控枠(アウト リガー)を有する構造としなければならない。 図 枠組み足場の 1 ユニット 建枠 交差筋かい ジ ャ ッ キベース 足場板 アーム ロ ッ ク 連結ピ ン 布枠 2m以下 図 移動式足場
第1編 仮設工事 ・ 第7章 揚重運搬機械