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回帰分析の重要な手続きは 次の 3 点にまとめられる 順に説明しよう ( 1) もっともよい線を引く ( 2) その線はどのくらいよい線であるかを評価する ( 3) 母集団についても同様の線を引く価値があるかどうかを判断する 概要をスライドで確認 テキスト p.99 の図が回帰分析の本質 実際のデー

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Academic year: 2021

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(1)

回帰分析 - 1 - 社 会 学 研 究 法 a( 2013 年 度 秋 学 期 担 当 :保 田や す だ) 「 回 帰 分 析 ( 1): 考 え 方 」 ■ 回 帰 分 析 の 目 的 と 魅 力 今 回 か ら は 、 回 帰 分 析 ( regression analysis) に つ い て 解 説 す る 。 回 帰 分 析 は 、 あ る 1 つ の 変 数 ( 従 属 変 数 ) の 値 を 、 他 の 変 数 ( 独 立 変 数 ) の 値 で 説 明 し よ う と す る と き に 、 も っ と も 頻 繁 に 利 用 さ れ る 分 析 技 法 で あ る 。 た と え ば 、 あ る 大 学 の 先 生 が 学 生 の 遅 刻 に 頭 を 悩 ま せ て い る と す る 。 遅 刻 の 原 因 と し て 、 ア ル バ イ ト の や り す ぎ に よ る 疲 れ が あ る の で は な い か と 考 え 、 15 人 の 学 生 に 調 査 を し た と す る 。 1 ヶ 月 の ア ル バ イ ト 時 間 を X 軸 に 、 遅 刻 回 数 を Y 軸 に し て 図 1 の よ う な 散 布 図 を 描 く と 、 そ の 関 係 性 が わ か る 。 こ の と き 、 散 布 図 の 上 に 直 線 を 引 い て み た く な る こ と が あ る 。 図 1 ア ル バ イ ト 時 間 と 遅 刻 回 数 の 関 係 ( 仮 想 デ ー タ ) こ の よ う な 直 線 を 引 き た く な る の は 、次 の よ う に 考 え て い る か ら で あ る 。「 X と Y の 関 係 は 、 本 来 こ の 直 線 の よ う な 関 数 で 表 せ る の で は な い だ ろ う か 。 実 際 の デ ー タ が こ の 直 線 か ら い く ら か ず れ て い る の は 、 何 ら か の 誤 差 に よ る も の だ ろ う 」 と 。 よ り 定 式 的 に 書 け ば 、 「 本 来 の Y の 値 は 、X の 値 か ら

Y

ˆ

X

と い う 直 線 の 関 数 で 表 せ る( Yˆ は 実 際 の Y の 値 で は な く 、予 測 値 と し て の Y の 値 を 表 す )」と 考 え て い る こ と に な る 。α は 直 線 と Y 軸 が 交 わ る 切 片 を 表 し 、 β は 直 線 の 傾 き を 表 す 。 α や β は 定 数 な の で 、 具 体 的 に は

Y

ˆ

4

.

5

0

.

1

X

と い っ た 形 で Y の 予 測 式 は 表 さ れ る 。上 の よ う な 予 測 式 の こ と を 回 帰 式( regression equation) と 呼 び 、回 帰 式 に よ っ て 表 さ れ る 線 の こ と を 回 帰 線( regression line)と 呼 ぶ 。ま た 、回 帰 式 の α を 定 数 項 、 β を 回 帰 係 数 ( regression coefficient ) と 呼 ぶ 。 回 帰 分 析 の 目 的 は 、 回 帰 線 を 最 適 に 調 整 す る こ と を 通 し て 、 あ る 変 数 ( 従 属 変 数 ) の 値 が 、 そ の 原 因 と 考 え ら れ る 変 数 ( 独 立 変 数 ) に よ っ て ど の よ う に 説 明 で き る の か を 統 計 的 に 明 ら か に す る こ と で あ る 。 何 ら か の 因 果 関 係 を 想 定 し て 、 そ の 関 係 性 の 有 無 や 方 向 、 強 さ に 関 心 を 持 つ こ と は 極 め て 一 般 的 な 問 題 意 識 で あ り 、 そ の 疑 問 に 正 面 か ら 答 え を 出 し て く れ る こ と が 回 帰 分 析 の 魅 力 で あ る 。 0 5 10 15 20 25 30 35 0 50 100 150 200 遅刻回数 アルバイト時間

(2)

回帰分析 - 2 - 回 帰 分 析 の 重 要 な 手 続 き は 、 次 の 3 点 に ま と め ら れ る 。 順 に 説 明 し よ う 。 ( 1) も っ と も よ い 線 を 引 く 。 ( 2) そ の 線 は ど の く ら い よ い 線 で あ る か を 評 価 す る 。 ( 3) 母 集 団 に つ い て も 同 様 の 線 を 引 く 価 値 が あ る か ど う か を 判 断 す る 。 ■ 概 要 を ス ラ イ ド で 確 認 ・ テ キ ス ト p.99 の 図 が 回 帰 分 析 の 本 質 。 ・ 実 際 の デ ー タ で 最 適 な 回 帰 式 を 求 め る と 、 p.100 の よ う に な る 。 ・ 分 析 の 結 果 を 図 に 戻 す と … … ■ 最 適 な 回 帰 式 を 推 定 す る 回 帰 分 析 の 最 初 の 手 続 き と し て 、 散 布 図 の 中 に も っ と も よ い 回 帰 線 を 引 か な け れ ば な ら な い 。も っ と も よ い 回 帰 線 と は 、実 際 の デ ー タ と 予 測 値 と の 差 、つ ま りYYˆ( 残 差 と 呼 ぶ ) の 合 計 が も っ と も 小 さ く な る 線 で あ る 。た だ し 、残 差 が プ ラ ス 側 か マ イ ナ ス 側 で あ る か は 、 問 題 で は な い の で 、残 差 を 2 乗 し た 値 を 用 い て 、そ の 合 計 値 が 最 も 小 さ く な る よ う に す る 。 こ の 合 計 値 を 残 差 平 方 和 ( residual sum of squares ) と 呼 ぶ 。 残 差 平 方 和 が 小 さ い ほ ど 、 そ の 回 帰 線 は よ い 回 帰 線 と 考 え る 。

(3)

回帰分析 - 3 - ( 練 習 ) ※ 次 ペ ー ジ を み な い よ う に ! 1. 自 分 が 最 適 だ と 思 う 直 線 を 散 布 図 の 上 に 引 い て み よ う 。 2. そ の 直 線 の 切 片 と 傾 き を 読 み 取 っ て 、 式 に 表 わ し て み よ う 。 3. 自 分 が 引 い た 直 線 に つ い て 、 残 差 平 方 和 を 求 め 、 周 り の 人 と 比 較 し て み よ う 。( 残 差 平 方 和 が 小 さ い ほ ど よ い 回 帰 線 と い う こ と に な る ) ア ル バ イ ト 時 間 X 遅 刻 回 数 ( 観 測 値 ) Y 自 分 が 引 い た 直 線 予 測 値 残 差 Y Yˆ 残 差 平 方 2

)

ˆ

(

Y

Y

1 人 目 55 0 2 人 目 35 4 3 人 目 180 29 4 人 目 172 12 5 人 目 150 26 6 人 目 8 15 7 人 目 80 3 8 人 目 95 10 9 人 目 0 3 10 人 目 15 7 11 人 目 16 0 12 人 目 120 5 13 人 目 105 19 14 人 目 70 12 15 人 目 0 5 ( 合 計 ) ↓ 残 差 平 方 和 = -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 35 0 50 100 150 200 遅刻回数 アルバイト時間

X

Y

ˆ

X

(4)

回帰分析 - 4 -

目 分 量 で 適 当 に 引 い て も 、 そ こ そ こ よ い 回 帰 線 が 引 け る と 思 わ れ る が 、 数 学 的 に は 微 分 方 程 式 を 解 く こ と で 最 適 な 線 を 導 く こ と が で き る 。 こ の よ う に 数 学 的 に 最 適 な 回 帰 線 を 求 め る こ と を 最 小 二 乗 法 ( method of least squares) と 呼 ぶ 。

数 学 的 な 詳 細 は 省 略 す る が 、 方 程 式 を 解 く と 、 具 体 的 に い ま の デ ー タ の 場 合 に は 、 β = 0.095、 α = 3.01 が 最 適 で あ る 。 つ ま り 、

Y

ˆ

3

.

01

0

.

095

X

と い う 回 帰 式 最 適 で あ る 。 こ の と き 、残 差 平 方 和 は 632.13 に な り 、他 に ど ん な 回 帰 線 を 考 え て も 、こ れ よ り も 小 さ な 残 差 平 方 和 を と る こ と は な い 。 こ の 回 帰 線 か ら 、 次 の よ う に 具 体 的 な 意 味 を 読 み 取 れ る 。 ア ル バ イ ト を し て い な い 場 合 ( X が 0 の 場 合 )は 遅 刻 の 回 数 が 3.01 回 と 予 測 さ れ 、ア ル バ イ ト 時 間 が 1 時 間 増 え る ご と に 、 0.095 回 ず つ 遅 刻 の 予 測 回 数 が 増 え る 。 ■ 回 帰 線 の 説 明 力 を 評 価 す る 最 小 二 乗 法 に よ っ て 、最 適 な 回 帰 線 は 求 ま る 。し か し 、最 適 な 回 帰 線 で あ っ た と し て も 、 従 属 変 数 の 予 測 に 十 分 な 説 明 力 ( 予 測 力 ) を 持 つ と は 限 ら な い 。 も と も と 独 立 変 数 に 従 属 変 数 を 説 明 す る 力 が な い 場 合 に は 、 最 善 を 尽 く し て も 十 分 な 説 明 が で き る は ず は な い か ら で あ る 。 そ こ で 、 2 つ 目 の 手 続 き と し て 、 そ の 回 帰 線 は ど の く ら い よ い 線 で あ る か 、 説 明 力 の 強 さ を 評 価 す る 。 回 帰 線 が 持 つ 説 明 力 の 評 価 は 、 一 般 に 決 定 係 数 ( coefficient of determination ) に よ っ て な さ れ る 。決 定 係 数 は 0~ 1( 0% ~ 100% )の 値 を 取 り 、独 立 変 数 で 従 属 変 数 の 値 を ど れ だ け 説 明 で き る か 、 そ の 割 合 を 表 す 。 決 定 係 数 は 次 の よ う な 考 え 方 に 基 づ い て い る 。い ま 、従 属 変 数( Y)の 予 測 の た め に 独 立 変 数( X)の 情 報 を 用 い る こ と が で き な い と し よ う 。つ ま り 、1 人 1 人 の ア ル バ イ ト 時 間 が 分 か ら な い 中 で 、 遅 刻 回 数 を な る べ く ず れ が 少 な い よ う に 予 測 す る こ と を 考 え る 。 こ の と き 、 最 適 な 予 測 方 法 は 、 常 に Y の 平 均 値 を 予 測 値 と し て 用 い る こ と で あ る ( 図 2)。 図 2 独 立 変 数 を 利 用 し な い 最 善 の 予 測 こ の と き の 残 差 平 方 和 を 出 発 点 と し て 、 最 適 な 回 帰 線 を 用 い る と 残 差 平 方 和 が 何 % 減 少 す る か を 算 出 し た も の が 決 定 係 数 で あ る 。 今 回 の デ ー タ の 場 合 、 遅 刻 回 数 を す べ て 平 均 値 で 予 測 す る と 、 残 差 平 方 和 が 1124.00 に な る 。 最 適 な 回 帰 線 に よ る 残 差 平 方 和 は 632.13 だ っ た わ け な の で 、こ の 回 帰 線 に よ っ て 残 差 平 方 和 は 491.87 だ け 改 善 し た 。こ れ は 、も と も と の 残 差 平 方 和 の 43.8% に あ た る( 491.87/1124.00=0.438)。つ ま り 、決 定 係 数 R2= 0.438 0 5 10 15 20 25 30 35 0 50 100 150 200 遅刻回数 アルバイト時間

(5)

回帰分析 - 5 - で 、 遅 刻 回 数 の 43.8% が ア ル バ イ ト 時 間 に よ る こ の 回 帰 式 で 説 明 で き る こ と が わ か る 。 た だ し 、 実 際 の デ ー タ 分 析 で は 、 さ ら に 調 整 を 加 え た 調 整 済 み 決 定 係 数 ( adjusted R2 を 用 い る こ と が 多 い 。 決 定 係 数 は 、 母 集 団 に お け る 実 際 の 説 明 力 よ り も わ ず か に 大 き く な る 偏 り を 持 つ 。 こ の 偏 り は 、 標 本 の 回 答 者 数 が 少 な い と き な ど に 、 無 視 で き な い ほ ど 大 き く な る の で 、 決 定 係 数 を や や 小 さ く 調 整 し 直 す わ け で あ る 。 今 回 の 回 帰 分 析 の 場 合 、 決 定 係 数 は 0.438 だ が 、 調 整 済 み 決 定 係 数 は 0.395 と な る 。 結 局 、 遅 刻 回 数 の 39.5% が ア ル バ イ ト 時 間 を 原 因 と 考 え る こ と で 説 明 で き る こ と が 分 か る 。 決 定 係 数 と 調 整 済 み 決 定 係 数 の 値 が や や 大 き く か け 離 れ て い る の は 、標 本 の 人 数 が 15 人 と 非 常 に 少 な い た め で あ る 。 通 常 の 調 査 デ ー タ で は 、 そ れ ほ ど 大 き な 違 い は 現 れ な い 。 決 定 係 数 が ど の く ら い 大 き け れ ば 十 分 な の か 、明 確 な 基 準 は な い 。学 問 分 野 や 分 析 対 象 、 分 析 目 的 に よ っ て 必 要 な 説 明 力 は 異 な る か ら で あ る 。 一 般 的 に は 、 社 会 調 査 の デ ー タ 分 析 で 求 め ら れ る 説 明 力 ( 決 定 係 数 ) の 水 準 は 、 あ ま り 高 く な い こ と が 多 い 。 10% を 切 っ て い て も 有 意 義 な 分 析 と み な さ れ る こ と も 珍 し く は な い 。 ■ 説 明 力 を 統 計 的 に 検 定 す る 最 後 に 残 さ れ た 手 続 き は 、 こ の 最 適 な 回 帰 線 で 、 母 集 団 に つ い て も 説 明 す べ き か ど う か 判 断 す る こ と で あ る 。 つ ま り 、 回 帰 線 の 説 明 力 が 統 計 的 に 有 意 か ど う か を 検 定 す る 。 最 適 な 線 を 求 め 、 そ れ が あ る 程 度 の 説 明 力 を 持 っ て い る と し て も 、 回 答 者 の 数 が 少 な す ぎ る な ど の 理 由 で 、 母 集 団 の 推 測 に と っ て は 有 意 で な い こ と が あ る 。 こ こ で 行 う 検 定 は 、 説 明 力 が 少 な く と も 0 で は な い ( 決 定 係 数 R2≠ 0) と い っ て よ い か ど う か の 検 定 で あ り 、下 の 計 算 式 で 算 出 さ れ る F 値 を 検 定 統 計 量 と し て 利 用 す る 。F 値 は 、 ラ ン ダ ム な 誤 差 に 対 し て 独 立 変 数 に よ る 説 明 が 何 倍 の 予 測 力 を 持 っ て い る か 、 と い う 分 散 比 を 表 す こ と に な る 。

)

2

/(

)

1

(

2 2

n

R

R

F

し た が っ て 、F 値 が 十 分 に 大 き く 、ラ ン ダ ム 誤 差 の 何 倍 も の 説 明 力 が 認 め ら れ る な ら ば 、 回 帰 線 は 母 集 団 に つ い て も 説 明 力 を 持 つ と み な さ れ る( R2≠ 0)。計 算 式 か ら 分 か る よ う に 、 F 値 が 大 き く な る の は 、 決 定 係 数 R2が 大 き い と き と 、 標 本 の 回 答 者 数 n が 大 き い と き で あ る 。 遅 刻 回 数 の 例 で は 、決 定 係 数 R2が 0.438 で 、回 答 者 数 n が 15 で あ っ た の で 、F 値 は 次 の よ う な 値 を と り 、 ア ル バ イ ト 時 間 は ラ ン ダ ム 誤 差 に 比 べ て 10 倍 程 度 の 説 明 力 を も つ 。 10.13 ) 2 15 /( ) 438 . 0 1 ( 438 . 0     F 確 率 表 に あ て は め る と 、こ の よ う な F 値 が ま っ た く の 偶 然 に 出 現 す る 確 率( 有 意 確 率 )は 、 わ ず か に 0.7% 程 度 し か な い ( p= 0.007)。 し た が っ て 、 標 準 的 に 5% を 有 意 水 準 と す る な ら ば 、 こ の 回 帰 線 は 十 分 に 統 計 的 に 有 意 で あ り 、 母 集 団 に つ い て も こ の 回 帰 線 で 物 事 を 考 え る こ と に 統 計 的 な 意 味 が あ る と 認 め ら れ る 。

(6)

回帰分析 - 6 - ( 練 習 ) 回 帰 分 析 の 結 果 が 以 下 の と お り で あ っ た 場 合 、 具 体 的 に ど う い う 意 味 が 読 み 取 れ る か 、 穴 埋 め し て み よ う 。 ○ 飲 食 店 の ア ル バ イ ト 店 員 50 名 に 対 す る ア ン ケ ー ト デ ー タ を 用 い た 回 帰 分 析 ・ 従 属 変 数 は 「 ア ル バ イ ト へ の 満 足 度 ( 100 点 満 点 )」 ・ 独 立 変 数 は 「 ア ル バ イ ト の 時 給 」 ・ 回 帰 分 析 の 結 果 、 定 数 項 α = -55.8、 回 帰 係 数 β = 0.13 ・ 調 整 済 み 決 定 係 数 R2= 0.113 ・ F 値 を 検 定 統 計 量 と し た 検 定 の 結 果 、 有 意 確 率 p= 0.0098 ↓ 回 帰 分 析 で 求 め ら れ た 最 適 な 回 帰 式 は 、Ŷ = で 、回 帰 線 を お よ そ の グ ラ フ で 図 示 す る と 、 下 の よ う に な る 。 具 体 的 に は 、 た と え ば 時 給 が 700 円 の と き の 満 足 度 は 点 と 予 測 さ れ る の に 対 し て 、 時 給 が 900 円 な ら ば 、 満 足 度 点 と 予 測 さ れ る 。 ま た 、 こ の 結 果 か ら 、 ア ル バ イ ト の 満 足 度 は 時 給 の 違 い に よ っ て お よ そ % 説 明 で き る こ と が わ か る 。 こ の 50 名 の ア ン ケ ー ト 結 果 か ら 、「 ア ル バ イ ト の 満 足 度 が 時 給 で あ る 程 度 説 明 で き る 」と 一 般 化 し て よ い か と い う と 、偶 然 こ の よ う な 結 果 が 得 ら れ る 確 率( 有 意 確 率 ) が % な の で 、 統 計 的 に 有 意 な 結 果 と { い え る ・ い え な い }。 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 1100 1200 満 足 度 時給

(7)

回帰分析 - 7 - 社 会 学 研 究 法 a( 2013 年 度 秋 学 期 担 当 :保 田や す だ) 「 回 帰 分 析 ( 2): SPSS で 実 践 」 ■ SPSS で や っ て み よ う 前 回 は 、回 帰 分 析 の 考 え 方 に つ い て 学 習 し た 。今 回 は SPSS を 操 作 し て 、実 際 に 回 帰 分 析 の 結 果 を 出 力 し な が ら 、 一 通 り の 手 続 き を 経 験 し よ う 。 回 帰 分 析 の 操 作 ① メ ニ ュ ー か ら 、 分 析 ➜ 回 帰 ➜ 線 型 ② 説 明 し た い 変 数 ( Y) を [ 従 属 変 数 ]、 説 明 に 使 う 変 数 ( X) を [ 独 立 変 数 ] 欄 へ 移 動 ( ② ’ 質 的 変 数 を 独 立 変 数 に す る 場 合 は 、 あ ら か じ め ダ ミ ー 変 数 に 変 換 す る こ と ) ③ O K ボ タ ン ❶ ❷ ❸ 読 み 取 る ポ イ ン ト ❶ 最 適 な 回 帰 式 の α 、 β ❷ 調 整 済 み 決 定 係 数 ❸ 全 体 的 な 説 明 力 の 検 定 結 果 ( 重 回 帰 分 析 の 場 合 ) ❹ 各 独 立 変 数 の 影 響 力 の 検 定 結 果 ❹

(8)

回帰分析 - 8 - ■ 独 立 変 数 が 複 数 の 場 合 の 回 帰 分 析 こ こ ま で は 、 独 立 変 数 が 1 つ の 回 帰 分 析 を 扱 っ た が 、 一 般 的 に は 複 数 の 独 立 変 数 を 用 い た 回 帰 分 析 が よ く 行 わ れ る 。 独 立 変 数 が 複 数 の 場 合 を 重 回 帰 分 析 ( multiple regression analysis) と 呼 ぶ こ と も あ る が 、 回 帰 分 析 と い え ば ふ つ う は 重 回 帰 分 析 の こ と で あ る 。 独 立 変 数 が 複 数 あ る 場 合 の 回 帰 式 は 、 次 の よ う に ど ん ど ん 独 立 変 数 の 効 果 を 足 し 合 わ せ て い く 形 で 表 現 さ れ る 。

Y

ˆ

1

X

1

2

X

2

3

X

3

...

こ れ は つ ま り 、独 立 変 数 の 値 が 1 増 加 す る こ と は 、( 他 の 要 素 と は 関 係 な く )常 に 一 定 の 影 響 力 で 従 属 変 数 の 値 に 作 用 す る 、つ ま り 傾 き が 一 定 で あ る 、と い う 考 え 方 を 踏 襲 し て い る 。 図 形 と し て 視 覚 化 す る こ と は で き な い が 、 多 次 元 空 間 の 散 布 図 の 中 に 1 本 の 最 適 な 線 を 通 し て 、 常 に 一 定 の 法 則 が 働 い て い る こ と を 主 張 し よ う と し て い る こ と を 意 味 す る 。 重 回 帰 分 析 の 回 帰 係 数 ( β1、 β2、 β3、 … … ) は 、 と く に 偏 回 帰 係 数 と 呼 ぶ こ と も あ る 。 具 体 的 に は 、 た と え ば 遅 刻 回 数 Y を 、 ア ル バ イ ト 時 間 X1、 通 学 時 間 (分 )X2、 睡 眠 時 間 X3 で 説 明 し よ う と す る 重 回 帰 分 析 で は 、 次 の よ う な 形 で 最 適 な 回 帰 式 が 析 出 さ れ る 。

Y

ˆ

10

.

21

0

.

22

X

1

0

.

04

X

2

1

.

31

X

3 こ の 場 合 、ア ル バ イ ト が 1 時 間 増 え る ご と に 遅 刻 が 0.22 回 増 え 、同 様 に 通 学 時 間 が 1 分 長 い ご と に 0.04 回 遅 刻 が 増 え る 。 睡 眠 時 間 が 1 時 間 長 い ご と に 遅 刻 は 1.31 回 減 る 。 す べ て の 独 立 変 数 が 0 な ら ば 、 遅 刻 は 10.21 回 と 予 測 さ れ る 。 独 立 変 数 が 1 つ の 場 合 と 、 読 み 方 は ま っ た く 同 じ で あ る 。 分 析 の 手 続 き も ほ ぼ 同 様 で あ り 、 以 下 の 4 点 に ま と め ら れ る 。 ( 1) も っ と も よ い 回 帰 式 を 定 め る 。 ( 最 小 二 乗 法 で 、 α 、 β1、 β2、 … … βkの 値 を 定 め る ) ( 2) そ の 回 帰 式 は、ど の く ら い よ い 式 で あ る か を 評 価 す る 。 ([ 調 整 済 み ] 決 定 係 数 に よ っ て 、 説 明 力 を 算 出 す る ) ( 3) 母 集 団 に つ い て も 、 同 様 の 回 帰 式 を 定 め る 価 値 が あ る か ど う か 判 断 す る 。 ( 全 体 的 な 説 明 力 を F 値 に よ っ て 検 定 す る ) ( 4) 母 集 団 に つ い て も 、 各 独 立 変 数 を 説 明 に 用 い る 価 値 が あ る か 、 個 別 に 判 断 す る 。 ( そ れ ぞ れ の 独 立 変 数 の 影 響 を t 値 に よ っ て 検 定 す る ) 4 つ 目 の 手 続 だ け が 重 回 帰 分 析 に 独 自 の も の で あ る 。 回 帰 式 全 体 の 説 明 力 に つ い て 検 定 す る だ け で は な く 、 1 つ 1 つ の 独 立 変 数 が 従 属 変 数 を 説 明 す る た め に 有 効 に 働 い て い る か ど う か 、 そ れ ぞ れ の 影 響 に つ い て 検 定 す る 。 つ ま り 、 そ れ ぞ れ の 回 帰 係 数 β1、 β2、 … … に つ い て 、 母 集 団 で も 一 定 の 影 響 力 が あ る ( β ≠ 0) と い っ て よ い か ど う か を 検 定 す る 。 こ の 検 定 は 、 t 値 と 呼 ば れ る 検 定 統 計 量 を 用 い 、 統 計 分 析 ソ フ ト で は 対 応 す る 有 意 確 率 が 同 時 に 示 さ れ る 。 こ こ で の 有 意 確 率 は 、 つ ま り 、 回 帰 分 析 で 示 さ れ て い る 回 帰 係 数 が ま っ た く の 偶 然 の 産 物 で あ る 確 率 な の で 、 こ の 確 率 が 一 定 の 値 ( ふ つ う 「 .05」 つ ま り 5% ) よ り も 低 け れ ば 、 偶 然 で は な く 母 集 団 で も そ の 独 立 変 数 に 一 定 の 影 響 力 が あ る と み な し て よ い こ と に な る 。

(9)

回帰分析 - 9 - ( 練 習 ) 1.実 際 の 全 国 調 査( JGSS-2000)か ら 抽 出 し た 30 代 男 性 の デ ー タ を 用 い て 、月 給 を 従 属 変 数 、年 齢 を 独 立 変 数 と す る( 月 給 の 違 い を 年 齢 で 説 明 す る )回 帰 分 析 を 実 行 し て み よ う 。 → 読 み 取 る ポ イ ン ト ① 最 適 な 回 帰 式 ② 調 整 済 み 決 定 係 数 ③ 全 体 的 な 説 明 力 の 検 定 結 果 2. 独 立 変 数 を 、「 年 齢 」「 勤 続 年 数 」「 中 3 の 頃 の 成 績 」 の 3 つ と し て 、 月 給 を 説 明 す る 重 回 帰 分 析 を 実 行 し て み よ う 。 → 読 み 取 る ポ イ ン ト ① 最 適 な 回 帰 式 ② 調 整 済 み 決 定 係 数 ③ 全 体 的 な 説 明 力 の 検 定 結 果 ④ 各 独 立 変 数 の 影 響 力 の 検 定 結 果 実 習 用 デ ー タ( PW 付 ) http://www2.itc.kansai-u.ac.jp/~tyasuda/

(10)

回帰分析 - 10 - 社 会 学 研 究 法 a( 2013 年 度 秋 学 期 担 当 :保 田や す だ) 「 回 帰 分 析 ( 3): 発 展 」 ■ 質 的 変 数 を 独 立 変 数 に す る 場 合 : ダ ミ ー 変 数 回 帰 分 析 の 独 立 変 数 は 量 的 変 数 で あ る こ と が 基 本 で あ る 。 し か し 、 質 的 変 数 も 工 夫 を す れ ば 独 立 変 数 と し て 分 析 に 用 い る こ と が で き る 。社 会 調 査 デ ー タ に は 質 的 変 数 が 多 い の で 、 こ の 応 用 は 重 要 で あ る 。 回 帰 分 析 で 質 的 変 数 を 用 い る 場 合 に は 、 ダ ミ ー 変 数 に 変 換 し た 上 で 用 い る 。 ダ ミ ー 変 数 と は 、 0 か 1 の ど ち ら か の 値 し か 取 ら な い 変 数 の こ と で あ る 。 た と え ば 、 性 別 と い う 変 数 を 独 立 変 数 に 用 い た い と き に は 、 図 1 の よ う に 男 性 を 1 と す る ダ ミ ー 変 数 ( 男 性 ダ ミ ー ) か 、 女 性 を 1 と す る ダ ミ ー 変 数 ( 女 性 ダ ミ ー ) の い ず れ か に リ コ ー デ ィ ン グ し 、 そ の ダ ミ ー 変 数 を 回 帰 分 析 に 用 い る 。 元 の 変 数 男 性 ダ ミ ー 女 性 ダ ミ ー 男 性 1 → 1 ま た は 0 女 性 2 → 0 1 図 1 性 別 の ダ ミ ー 変 数 ダ ミ ー 変 数 を 用 い た 回 帰 式 の 読 み 取 り は 簡 単 で あ る 。 た と え ば 、 Y が 遅 刻 回 数 、 X1が 学 年 、 X2が 男 性 ダ ミ ー の 重 回 帰 分 析 で 次 の よ う な 回 帰 式 が 求 め ら れ た と す る 。

Y

ˆ

2

.

0

3

.

9

X

1

2

.

2

X

2 こ の 場 合 、 男 子 学 生 は 女 子 学 生 に 比 べ て 2.2 回 多 く 遅 刻 す る こ と が 読 み 取 れ る 。 性 別 は 2 つ の グ ル ー プ し か な い 質 的 変 数 で あ っ た が 、3 つ 以 上 の グ ル ー プ( カ テ ゴ リ ー ) が あ る 質 的 変 数 の 場 合 は ど う す れ ば よ い の だ ろ う か 。 た と え ば 、 学 生 が 所 属 す る 学 部 を 独 立 変 数 に 用 い た い が 、 学 部 は 文 学 部 、 法 学 部 、 工 学 部 、 医 学 部 と 4 種 類 あ る と す る 。 こ の 場 合 、 図 2 の よ う に 3.つ の. .ダ ミ ー 変 数 を 作 成 し 、 こ れ ら す べ て を 独 立 変 数 に 用 い た 回 帰 分 析 を 行 え ば よ い 。 元 の 変 数 文 学 部 ダ ミ ー 法 学 部 ダ ミ ー 工 学 部 ダ ミ ー 文 学 部 1 → 1 0 0 法 学 部 2 → 0 1 0 工 学 部 3 → 0 0 1 医 学 部 4 → 0 0 0 図 2 学 部 の ダ ミ ー 変 数 も う 1 つ 医 学 部 ダ ミ ー が 必 要 で は な い か と 思 う か も し れ な い が 、 4 つ 目 の ダ ミ ー 変 数 は

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回帰分析 - 11 - 不 要 で あ る 。 な ぜ な ら ば 、 文 学 部 ダ ミ ー 、 法 学 部 ダ ミ ー 、 工 学 部 ダ ミ ー の 値 が い ず れ も 0 で あ る 回 答 者 は 、 自 動 的 に 医 学 部 な の で 、 3 つ の ダ ミ ー 変 数 さ え あ れ ば 4 つ の 学 部 の ど れ に 所 属 し て い る か 区 別 で き る か ら で あ る 。 一 般 に k 個 の グ ル ー プ ( カ テ ゴ リ ー ) の 質 的 変 数 の 内 容 は 、1 つ 少 な い k- 1 個 の ダ ミ ー 変 数 で 表 す こ と が で き る 。こ こ で は 、医 学 部 ダ ミ ー を 除 い て い る が 、 医 学 部 ダ ミ ー を 分 析 に 加 え て 他 の 3 つ の ダ ミ ー 変 数 の う ち 1 つ を 分 析 か ら 除 い て も か ま わ な い 。 こ の よ う な ダ ミ ー 変 数 の 回 帰 係 数 は 、省 略 し た カ テ ゴ リ ー( こ こ で は 医 学 部 ). . . . . . . . ... . . . . . ..と 比 べ て. . . .、 当 該 の カ テ ゴ リ ー で あ る こ と が も た ら す 影 響 力 を 表 す こ と に な る 。 た と え ば 、 文 学 部 ダ ミ ー の 回 帰 係 数 が 1.2 で あ れ ば 、 そ れ は 「 医 学 部 と 比 べ て 」 文 学 部 の 方 が 1.2 回 だ け 遅 刻 が 多 い と 予 測 さ れ る こ と を 意 味 す る 。「 文 学 部 以 外 と 比 べ て 」と い う 意 味 に は な ら な い の で 注 意 し よ う 。 し た が っ て 、 ダ ミ ー 変 数 を 省 略 し た カ テ ゴ リ ー は 、 比 較 の 基 準 に な る と い う 意 味 で 意 外 と 重 要 な 意 味 を 持 つ 。 こ の よ う な カ テ ゴ リ ー を 参 照 カ テ ゴ リ ー [ 基 準 カ テ ゴ リ ー ] ( reference category ) と 呼 ぶ 。 い ま の 例 の 場 合 に は 、 医 学 部 が 参 照 カ テ ゴ リ ー で あ る 。 参 照 カ テ ゴ リ ー は 、 分 析 者 が 結 果 の 読 み 取 り や す さ を 考 え て 選 ぶ も の で 、 決 ま っ た 選 び 方 は な い 。 し か し 、 次 の 2 点 に 注 意 す る 必 要 が あ る 。 1 つ は 、 参 照 カ テ ゴ リ ー は 内 容 の は っ き り と し た グ ル ー プ で な け れ ば な ら な い 。た と え ば 、「 そ の 他 」と い う グ ル ー プ を 参 照 カ テ ゴ リ ー に す る と 、 何 と 比 べ て い る の か 分 か ら な く な る の で 避 け る 。 も う 1 つ の 注 意 点 と し て 、参 照 カ テ ゴ リ ー の グ ル ー プ に 属 す る 回 答 者 は 、あ る 程 度 人 数 が 多 い こ と が 望 ま し い 。 あ ま り に 人 数 が 少 な い グ ル ー プ を 基 準 に し て 比 較 を す る と 、 分 析 結 果 が 不 安 定 な も の に な っ て し ま う 。 SPSS で は 、「 他 の 変 数 へ の 値 の 再 割 り 当 て 」 と い う 機 能 を 使 っ て 、 ダ ミ ー 変 数 を 作 成 す る こ と が で き る 。 や や め ん ど う で あ る が 、 質 的 変 数 を 回 帰 分 析 に 活 用 す る た め に は 必 要 な 作 業 で あ る 。 ■ 標 準 化 回 帰 係 数 重 回 帰 分 析 で は 、 い っ た い ど の 独 立 変 数 が 一 番 影 響 力 を も つ の か 、 と い っ た こ と に 関 心 が 向 く こ と が あ る 。 単 純 に 回 帰 係 数 を 比 べ る だ け で は 、 こ の 疑 問 に 答 え る こ と は で き な い ( 独 立 変 数 の 単 位 が 違 う た め )。た と え ば 、1 日 の 歩 行 量 が 1 歩 増 え る ご と に 、体 重 が 1.5g 減 り ( β1= - 1.5)、 1 ヶ 月 に ジ ム に 通 う 回 数 が 1 回 増 え る ご と に 、 体 重 が 500g 減 る ( β2 = - 500) と し て も 、 ジ ム に 通 う 回 数 の 方 が 体 重 に 強 く 影 響 す る と い う こ と に は な ら な い 。 こ の よ う な 比 較 を お こ な う と き に 有 効 な の が 、 標 準 化 回 帰 係 数 ( standardized regression coefficient) で あ る 。 標 準 化 回 帰 係 数 は 、 通 常 の 回 帰 係 数 に 独 立 変 数 と 従 属 変 数 の 標 準 偏 差 の 比 を 掛 け 合 わ せ た も の で 、 す べ て の 変 数 を 標 準 得 点 に し た と き ( 標 準 偏 差 を 1 に 調 整 し た と き )、独 立 変 数 が 1 点 増 え る こ と が 従 属 変 数 を 何 点 増 や す こ と に な る の か を 表 す 。 つ ま り 、 す べ て の 変 数 の 単 位 ( ば ら つ き の 程 度 ) を そ ろ え る こ と で 、 各 独 立 変 数 の 効 果 を 比 較 で き る よ う に し て い る 。 た と え ば 、体 重 の 標 準 偏 差 が 10,000g( 10kg)、歩 行 量 の 標 準 偏 差 が 2,000 歩 、ジ ム に 通 う 回 数 の 標 準 偏 差 が 3 回 だ っ た と す る と 、 そ れ ぞ れ の 独 立 変 数 の 標 準 化 回 帰 係 数 は 、 次 の よ う に な る の で 、 歩 行 量 の 方 が 影 響 の 規 模 が 大 き い こ と が 分 か る 。

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回帰分析 - 12 -

0

.

3

10000

2000

5

.

1

* 1

β

0

.

15

10000

3

500

* 2

β

SPSS で は「 標 準 化 係 数 ベ ー タ 」と い う 列 に 、自 動 的 に 各 独 立 変 数 の 標 準 化 回 帰 係 数 が 表 示 さ れ る の で 、 と く に 苦 労 な く こ の 値 を 用 い る こ と が で き る 。 ■ 独 立 変 数 の 出 し 入 れ 重 回 帰 分 析 で は 、同 じ 独 立 変 数 で も 、他 に ど の よ う な 独 立 変 数 を 投 入 し た の か に よ っ て 、 回 帰 係 数 が 変 わ っ て く る 。 た と え ば 、 性 別 ( 男 性 ダ ミ ー ) と 年 齢 で 月 給 の 額 を 説 明 し よ う と し た と き 、男 性 ダ ミ ー の 回 帰 係 数 が 10 万 だ っ た と す る( 男 性 の 方 が 月 給 が 10 万 円 高 い )。 し か し 、 こ れ に 加 え て 、 正 規 雇 用 ダ ミ ー を 独 立 変 数 に 加 え る と 、 男 性 ダ ミ ー の 回 帰 係 数 が 5 万 に 減 少 し た り す る こ と が あ る 。 こ れ は 、 重 回 帰 分 析 が 「 ワ ン セ ッ ト の 独 立 変 数 で 」 従 属 変 数 を 説 明 す る 回 帰 線 を 求 め る か ら で あ る 。つ ま り 、「 性 別 と 年 齢 だ け で 説 明 し な さ い 」と 言 わ れ れ ば 、性 別 の 効 果 が 大 き い と い う 説 明 を せ ざ る を え な い が 、「 正 規 雇 用 と い う 原 因 で 説 明 し て も い い よ 」と 言 わ れ れ ば 、 性 別 が 男 性 だ か ら と い う 理 由 で 説 明 す る よ り も 、 正 規 雇 用 の お か げ で 月 給 が 高 い と 説 明 す る 方 が 適 切 だ 、 と い う 解 答 を 回 帰 分 析 は 示 し て く れ る 。 こ の よ う な こ と が 起 こ る の は 、 そ も そ も 性 別 と 正 規 雇 用 の 間 に 強 い 関 連 性 が あ る か ら で あ る( 男 性 の 方 が 正 規 雇 用 が 多 い )。独 立 変 数 群 の 中 に 関 連 性 の 強 い 変 数 の 組 み 合 わ せ が あ る と き に は 、 そ の 回 帰 係 数 に 注 意 し て 、 一 方 の 変 数 を 出 し 入 れ し て み る と 、 回 帰 分 析 の 結 果 が ど う 変 わ る か を 観 察 し て み よ う 。扱 っ て い る 現 象 に 対 す る 理 解 が 深 ま る は ず で あ る( 見 せ か け の 関 係 や 媒 介 関 係 と い っ た 統 計 的 な 現 象 を 熟 知 し て い れ ば 、 理 解 は よ り 深 ま る )。 ま た 、 こ の こ と か ら も わ か る よ う に 、 回 帰 分 析 は あ く ま で 分 析 者 が 提 示 し た モ デ ル ( 変 数 間 の 因 果 関 係 の 枠 組 み ) の 中 で 最 適 な 答 え を 出 し て い る に す ぎ な い こ と を 、 忘 れ な い よ う に し な け れ ば な ら な い 。 回 帰 分 析 が 「 正 し い 因 果 関 係 」 を 示 し て く れ る わ け で は な い 。 分 析 者 が 想 定 し た 因 果 関 係 の 枠 組 み の 中 で 、 各 独 立 変 数 の 具 体 的 な 影 響 力 の 大 き さ ( 回 帰 係 数 ) に つ い て 最 適 解 を 知 ら せ て く れ る だ け で あ る 。 し た が っ て 、 回 帰 分 析 は あ る 程 度 そ の メ カ ニ ズ ム が 理 解 で き て い る 社 会 現 象 に つ い て 、 よ り 詳 細 な 情 報 を 得 る た め に 用 い る べ き で あ る 。 ■ 分 散 分 析 と 一 般 線 型 モ デ ル テ キ ス ト で は 回 帰 分 析 と い っ し ょ に 、 分 散 分 析 、 一 般 線 型 モ デ ル と い っ た 分 析 技 法 が 紹 介 さ れ て い る 。 こ れ ら は 、 非 常 に 関 連 の 深 い 技 法 な の で 、 簡 単 に そ の 意 味 を 解 説 し て お こ う 。

分 散 分 析 ( analysis of variance; ANOVA) は 、 ふ つ う 、 質 的 変 数 を 独 立 変 数 と し て 、 そ の グ ル ー プ の 間 で 従 属 変 数 の 平 均 値 に 差 が あ る と い っ て よ い か ど う か を 検 定 す る た め の 技 法 と し て 用 い ら れ る 。 た と え ば 、 文 学 部 と 法 学 部 と 社 会 学 部 の 間 で 、 大 学 満 足 度 の 平 均 値 に 差 が あ る か ど う か を 検 定 し た り す る 。

こ れ が な ぜ 回 帰 分 析 と 関 係 す る の か と い え ば 、 独 立 変 数 の グ ル ー プ に よ っ て 従 属 変 数 の 平 均 値 が 違 う か ど う か を 調 べ る と こ と と 、 独 立 変 数 が 従 属 変 数 の 値 に ど の よ う に 影 響 す る

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回帰分析 - 13 -

か ( 回 帰 係 数 の 規 模 は ど う か ) を 調 べ る こ と は 、 結 局 同 じ こ と だ か ら で あ る 。 独 立 変 数 が 質 的 変 数 だ っ た り 量 的 変 数 だ っ た り の 違 い が あ る よ う に 見 え る が 、 回 帰 分 析 で 質 的 変 数 を ダ ミ ー 変 数 に 変 換 し て 扱 え る こ と か ら も か わ る よ う に 、 こ の 違 い は 数 学 的 に は 問 題 に な ら な い 。 そ の た め 、 回 帰 分 析 と 分 散 分 析 を 区 別 せ ず に 、 1 つ の 同 じ も の と し て 、 一 般 線 型 モ デ ル ( general linear model; 一 般 線 形. .モ デ ル と も 書 く ) と 呼 ぶ こ と が あ る 。 そ れ ぞ れ の 独 立 変 数 の 影 響 の 有 無 に 関 心 を 集 中 さ せ る な ら 分 散 分 析 に な り 、 独 立 変 数 の 影 響 の 程 度 に 関 心 を 向 け る な ら ば 回 帰 分 析 に な る 。 実 際 に 、SPSS に よ る 回 帰 分 析 の 出 力 の 中 に は「 分 散 分 析 表 」と 名 前 が 付 い て い る 部 分 が あ り 、 F 値 に よ る 全 体 的 な 説 明 力 の 検 定 が お こ な わ れ て い る 。 分 散 分 析 は 、 こ の F 値 の 算 出 に も っ と こ だ わ り を 見 せ る 。 つ ま り 、 全 体 的 な 説 明 力 だ け で な く 、 各 独 立 変 数 を 加 え る こ と が 説 明 力 に 与 え る 影 響 や 、 独 立 変 数 の 組 み 合 わ せ を 考 え る こ と が 説 明 力 を 上 げ る か ど う か( た と え ば 、性 別 と 年 齢 そ れ ぞ れ の 影 響 だ け で な く 、20 代 男 性 と い っ た 組 み 合 わ せ に 意 味 が あ る か ど う か な ど ) を 調 べ た り す る 。 こ の よ う な こ だ わ り を 見 せ る 際 に は 、 回 帰 分 析 の よ う に そ れ ぞ れ の 独 立 変 数 の 影 響 力 に つ い て そ の 規 模 ( 回 帰 係 数 ) ま で 見 よ う と す る よ り も 、 そ れ ぞ れ の 影 響 力 の 有 無 に 絞 っ て 検 定 結 果 ( F 値 ) に 注 視 す る 方 が よ い 。 そ れ が 分 散 分 析 で あ る 。 < 参 考 文 献 > 岩 井 紀 子 ・ 保 田 時 男 , 2007, 『 調 査 デ ー タ 分 析 の 基 礎 』 有 斐 閣 . 村 瀬 洋 一 ・ 高 田 洋 ・ 廣 瀬 毅 士 , 2007, 『 SPSS に よ る 多 変 量 解 析 』 オ ー ム 社 . 小 田 利 勝 , 2007, 『 ウ ル ト ラ ・ ビ ギ ナ ー の た め の SPSS に よ る 統 計 解 析 入 門 』 プ レ ア デ ス 出 版 . ■ ( 参 考 ) 関 連 す る SPSS の 操 作 リ コ ー デ ィ ン グ ( 値 の 再 割 り 当 て ) リ コ ー デ ィ ン グ は 、 既 存 の 変 数 の 数 値 ( コ ー ド ) を 新 し い ル ー ル で 置 き 換 え て 、 新 し い 変 数 を 作 る 作 業 で あ る 。 一 般 に 、 調 査 デ ー タ の 分 析 を 実 践 す る た め に は 、 極 め て 頻 繁 に リ コ ー デ ィ ン グ が 必 要 に な る 。 リ コ ー デ ィ ン グ は 、 主 に 2 つ の 場 面 で 用 い ら れ る 。

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回帰分析 - 14 - 場 面 A: 既 存 の コ ー ド を 数 量 と し て 扱 い や す い コ ー ド に 置 き 換 え る ( と く に 大 小 の 逆 転 )。 例 ) 1 満 足 2 や や 満 足 3 や や 不 満 4 不 満 → 4 満 足 3 や や 満 足 2 や や 不 満 1 不 満 ( こ の 方 が 結 果 が 読 み や す い ) --- 場 面 B: 既 存 の 細 か い コ ー ド を 、 必 要 十 分 な 大 ま か な 分 類 で く く り 直 す 。 例 ) 1 フ ル タ イ ム 雇 用 2 自 営 3 パ ー ト ・ ア ル バ イ ト 4 派 遣 5 内 職 1 正 規 労 働 0 非 正 規 労 働 --- い ず れ の 場 合 も 、 SPSS の 操 作 は 以 下 の と お り で あ る 。 ① メ ニ ュ ー か ら 、 変 換 ➜ 他 の 変 数 へ 値 の 再 割 り 当 て ② リ コ ー デ ィ ン グ を し た い 変 数 を 左 か ら 選 択 し て → ボ タ ン ( ※ 複 数 の 変 数 を 同 じ ル ー ル で リ コ ー デ ィ ン グ す る 場 合 は 、 複 数 選 択 ) ③ リ コ ー デ ィ ン グ 後 の 新 変 数 の [ 名 前 ] と [ ラ ベ ル ] を 入 力 し て 、 変 更 ボ タ ン ( ※ 名 前 は ア ル フ ァ ベ ッ ト の 形 式 変 数 名 、 ラ ベ ル は 変 数 の 内 容 が わ か る 日 本 語 ) ④ 今 ま で の 値 と 新 し い 値 ボ タ ン で 変 換 ル ー ル の 窓 を 開 く ⑤ 1 つ 1 つ の 変 換 ル ー ル に つ い て [ 今 ま で の 値 ] と [ 新 し い 値 ] を 入 力 し て 追 加 ボ タ ン ( ※ ル ー ル の 数 だ け 、 こ れ を 繰 り 返 す ) ⑥ す べ て の ル ー ル が そ ろ っ た ら 続 行 ボ タ ン ( ※ 値 を 変 更 し な い 場 合 で も 、ル ー ル を 入 れ な い と 空 デ ー タ に な る の で 、必 ず 全 部 指 定 ) ⑦ 元 の 窓 で O K ボ タ ン ⑧ リ コ ー デ ィ ン グ で 作 成 さ れ た 新 し い 変 数 を 使 っ て 、 や り た か っ た 分 析 を 行 な う

参照

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