Hi-Stat
Discussion Paper Series
No.52
大正初期の「村民経済計算」
―山梨県町村是による推計の試み― 尾関学
December 2004
Hitotsubashi University Research Unit for Statistical Analysis in Social Sciences A 21st-Century COE Program
Institute of Economic Research Hitotsubashi University Kunitachi, Tokyo, 186-8603 Japan http://hi-stat.ier.hit-u.ac.jp/
大 正 初 期 の 「 村 民 経 済 計 算 」
― 山 梨 県 町 村 是 に よ る 推 計 の 試 み
∗―
尾 関 学∗∗ 概 要 本 稿 は 、明 治・大 正 期 に 全 国 の 各 町 村 で 調 査・作 成 さ れ た 町 村 是 に よ る 、「 国 民 経 済 計 算 」 体 系 に 準 じ た 「 村 民 経 済 計 算 」 推 計 の 試 み で あ る 。 ま ず 、 所 得 推 計 に 関 す る 日 本 経 済 史 の 研 究 成 果 を 概 観 し 、 町 村 是 に よ る 所 得 推 計 の 可 能 性 を 提 示 す る(第 1 節 )。次 に 、使 用 す る 資 料 の 紹 介 を か ね て 、『 清 田 村・国 里 村 々 是 』 か ら 町 村 是 の 収 支 勘 定 を 説 明 し 、「 国 民 経 済 計 算 」と の 関 連 性 を 述 べ る(第 2 節 )。 つ づ い て 、 両 村 の 職 業 別 戸 口 数 か ら 就 業 構 造 を 確 認 す る 。 そ こ で は 、 大 正 初 期 に お い て も 、 農 家 に と っ て 兼 業 が 重 要 で あ っ た こ と を 指 摘 す る(第 3 節 )。 最 後 に 、『 清 田 村・国 里 村 々 是 』を 用 い て 、ま ず 生 産 所 得 を 推 計 し 、村 民 総 生 産 と 総 支 出 勘 定 、 個 人 勘 定 、 村 役 場 勘 定 、 資 本 形 成 勘 定 、 村 外 勘 定 を 推 計 し た(第 4 節)。本 稿 の 推 計 は 改 善 の 余 地 を 含 ん で い る が 、明 治・大 正 期 農 村 の 経 済 構 造 を 明 示 的 な フ レ ー ム ワ ー ク 、 す な わ ち 「 国 民 経 済 計 算 」 体 系 で 描 写 で き る こ と を 示 し た 。 ∗ 本 稿 は 、一 橋 大 学 経 済 研 究 所 21 世 紀 COE プ ロ グ ラ ム「 社 会 科 学 の 統 計 分 析 拠 点 構 築(拠 点 リ ー ダ ー ・ 一 橋 大 学 経 済 研 究 所 斎 藤 修 教 授 )」 よ り 援 助 を 受 け て い る 。 ま た 、 当 該 プ ロ グ ラ ム に よ る 研 究 会 に お い て 報 告 の 機 会 を 与 え ら れ た 。 報 告 に 際 し 、 法 政 大 学 経 済 学 部 尾 高 煌 之 助 教 授 、 一 橋 大 学 経 済 研 究 所 斎 藤 修 教 授 、 同 深 尾 京 司 教 授 、 同 黒 崎 卓 助 教 授 、 同 攝 津 斉 彦 研 究 機 関 研 究 員 、 新 潟 青 陵 大 学 短 期 大 学 部 谷 口 忠 義 専 任 講 師 よ り 大 変 有 益 な コ メ ン ト を 頂 い た 。ま た 、「 国 民 経 済 計 算 」に つ い て は 、国 際 基 督 教 大 学 石 渡 茂 名 誉 教 授 か ら ご 教 示 を 頂 い た 。 記 し て 感 謝 の 意 を 表 す る 。 た だ し 、 本 稿 に つ い て 全 て の 責 任 は 筆 者 に あ る 。目 次 は じ め に 1 . 日 本 経 済 史 に お け る 所 得 推 計 2 . 町 村 是 の 所 得 ― ― 『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』 の 収 入 と 支 出 3 .『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』 の 職 業 別 戸 口 数 ― ― 所 得 の 源 泉 ― ― 4 .『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』 に よ る 「 村 民 経 済 計 算 」 の 推 計 4 - 1 . 町 村 是 の 収 支 勘 定 か ら 所 得 推 計 へ 4 - 2 .「 生 産 所 得 」 の 推 計 4 - 3 .「 村 民 経 済 計 算 」 の 推 計 4 - 4 . 推 計 の 問 題 点 と そ の 改 善 策 お わ り に 資 料 参 考 文 献 付 表
は じ め に 明 治 ・ 大 正 期 の 農 村 史 研 究 に お い て 、 村 々 の 経 済 状 況 を 知 る 資 料 と し て 、 斎 藤 萬 吉 『 日 本 農 業 の 経 済 的 変 遷 』 が よ く 知 ら れ て い る 。 一 見 、 斎 藤 の 調 査 は 村 を 対 象 と し て い る 印 象 を 受 け る が 、 こ の 調 査 は 後 の 「 農 家 経 済 調 査 」 に 繋 が る も の で 、 家 の 経 済 す な わ ち 家 計 を 対 象 と し て お り 、 村 の 経 済 に つ い て 知 る こ と が 難 し い 。 加 え て 、 調 査 基 準 や 方 法 が 不 明 で あ る 嫌 い が あ る 。 一 方 、全 国 農 事 会 編『 町 村 是 調 査 標 準 』(1901 年 )に よ り 調 査 の 基 準 と 方 法 が マ ニ ュ ア ル 化 さ れ 、 村 の 経 済 に 関 す る 各 種 統 計 を 記 載 し た 資 料 で あ る 町 村 是 を 用 い る こ と に よ り 、 村 々 の 経 済 状 況 を 示 す こ と が で き る 。 し か し 、 斎 藤 萬 吉 調 査 を 含 め た 「 農 家 経 済 調 査 」 一 般 に 対 し 、 町 村 是 は デ ー タ の 性 質 に 問 題 が あ る と さ れ る1。資 料 名 は よ く 知 ら れ て い て お り 、約 1,000 町 村 分 現 存 す る が 、明 治・ 大 正 期 の 農 村 史 研 究 に お い て 積 極 的 に 用 い た 研 究 は 少 な い 。 こ れ ま で 、明 治・大 正 期 農 村 に お け る 経 済 状 況 を 具 体 的 に 描 き 出 そ う と 考 え 、 町 村 是 を 用 い て 消 費 の 推 計 お よ び 構 造 分 析 を 進 め て き た2。し か し 、消 費 の 決 定 要 因 で あ る 所 得 の 推 計 こ そ 、 村 の 経 済 状 況 を 示 す 指 標 と し て 決 定 的 に 重 要 で あ ろ う 。 特 に 町 村 是 は 、 一 村 を 一 家 と 見 な し 、 そ の 収 入 と 支 出 と を 捉 え る 調 査 で あ る た め 、 村 の 収 支 勘 定 の 推 計 が 可 能 で あ る と 思 わ れ る 。 本 稿 で は 、 大 正 初 期 に 調 査 ・ 作 成 さ れ た 山 梨 県 西 山 梨 郡 『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』 を 用 い た 、 ① 町 村 是 の 収 支 勘 定 の 説 明 、 ② 職 業 別 戸 数 の 検 討 、 ③ 「 国 民 経 済 計 算 」 の 枠 組 み を 用 い た 「 村 民 経 済 計 算 」 の 推 計 を 行 う 。 以 下 、 順 に 述 べ て い く が 、 そ の 前 に 次 節 で 簡 単 に 研 究 史 を 概 観 す る 。 1 . 日 本 経 済 史 に お け る 所 得 推 計 日 本 経 済 史 に お け る 所 得 推 計 の 研 究 と し て 、 一 国 を 単 位 と す る も の は 、 戦 前 の 内 閣 統 計 局 に よ る 調 査 、 土 方 成 美 、 山 田 雄 三 の 研 究 か ら 、 大 川 一 司 ら に よ る 『 長 期 経 済 統 計 』 に よ り 結 実 し た3。 一 方 、 藩 や 県 お よ び 村 レ ベ ル の 所 得 推 計 と し て は 、 幕 末 の 長 州 藩 で 作 成 さ れ た 『 防 長 風 土 注 進 案 』 を 用 い た 穐 本 洋 哉 、 西 川 俊 作 、 石 部 祥 子 に よ る 分 析 、 明 治 初 期 に 作 成 さ れ た 富 山 県 『 越 中 生 産 』 を 用 い た 佐 藤 正 広 の 研 究 、 松 本 貴 典 に 1 斎 藤 (1912)お よ び 柳 田 (1911)を 参 照 。 一 般 に は 、 斎 藤 萬 吉 調 査 に 比 べ 、 町 村 是 資 料 の 性 質 が 問 題 と さ れ る 。し か し 、斎 藤 萬 吉 自 身 が 行 っ た「 農 家 経 済 調 査 」 の デ ー タ の 一 部 は 、 愛 知 県 の 町 村 是 に 記 載 さ れ た デ ー タ を 利 用 し て い る 。 こ の 事 実 は 、 も う 少 し 広 く 知 ら れ て し か る べ き で あ ろ う 。 こ の 点 に つ い て は 、 農 林 省 統 計 情 報 部 ・ 農 林 統 計 研 究 会 編(1975)、 pp.30-31 を 参 照 の こ と 。 2 尾 関 (2003)、 斎 藤 ・ 尾 関 (2004)を 参 照 。 3 内 閣 統 計 局 (1928)、 (1934)、土 方 成 美 (1933)、山 田 編 (1951/57)、大 川 他 (1974)。
よ る 『 府 県 統 計 書 』 を 用 い た 県 民 所 得 の 推 計 な ど が あ る 。 ま た 、『 府 県 物 産 表 』 の 原 票 と 考 え ら れ る 資 料 を 用 い て 、 村 内 の 「 物 産 高 」 か ら 村 の 所 得 分 布 推 計 を お こ な っ た 浜 野 潔 の 研 究 が 存 在 す る4。そ し て 、尾 高 煌 之 助 と 山 内 太 が 新 潟 県 蒲 原 5 郡 の 町 村 是 を 用 い て 所 得 の 推 計 を 行 っ た5。 町 村 是 を 用 い て 所 得 推 計 を 行 う 際 に 重 要 と な る 研 究 は 、 上 記 の う ち 西 川 ・ 石 部 に よ り 行 わ れ た 、『 防 長 風 土 注 進 案 』 の 三 田 尻 宰 判(「 宰 判 」 と は 郡 と ほ ぼ 同 じ 意 味 の 行 政 単 位 で あ る)の 経 済 計 算 と 尾 高 ・ 山 内 に よ る 町 村 是 の 分 析 で あ る 。 前 者 の 西 川 ・ 石 部 の 研 究 は 、 幕 末 期 に お け る 生 産 と 消 費 お よ び 地 域 所 得 の 推 計 を 試 み る こ と を 目 的 と す る 。 彼 ら は 、 農 作 経 費 、 消 費 支 出 、 非 農 業 所 得 に つ い て「 国 民 経 済 計 算 」の 観 点 か ら 厳 密 な 接 近 を 行 う 。こ の 分 析 の 特 徴 は 、『 防 長 風 土 注 進 案 』 に 記 載 さ れ た 書 き 上 げ 調 査 を 、 現 在 の 「 国 民 経 済 計 算 」 形 式 に 合 う よ う に 加 工 し て 所 得 の 推 計 を 行 っ た 点 に あ る 。 こ こ で は 農 作 経 費 、 非 農 業 所 得 と も に 中 間 財 の 投 入 が 明 示 さ れ た 資 料 を 用 い て お り 、 仮 定 さ れ た 付 加 価 値 率 お よ び 所 得 率 を も ち い た 研 究 と は 一 線 を 画 す る 。 た だ し 、西 川・石 部 の 研 究 は 、「 注 進 案 固 有 の 欠 陥 と し て は 、こ の ほ か に 他 国 と の 交 易 、あ る い は“ 輸 出 入 ”に か ん す る 情 報 が 欠 如 し て6」お り 、輸 出 入 に 関 す る 分 析 が 欠 け て い る 。 そ の た め 所 得 推 計 を 行 う 際 に 、 宰 判 内 の 総 生 産 額 と 総 支 出 額 の 勘 定 の 推 計 値 が 大 き く 動 く 可 能 性 が あ る 。 一 方 町 村 是 に よ る 推 計 か ら は 、 対 象 と な る 町 村 の 「 輸 出 入 統 計 」 を も ち い た 村 外 と の や り 取 り を 計 上 で き る 点 に あ る 。 こ の こ と は 、 村 内 で 生 産 さ れ た 財 の 輸 出 依 存 度 を 推 計 す る こ と も 可 能 に す る 。 後 者 の 尾 高 ・ 山 内 の 分 析 は 、 新 潟 県 の 町 村 是 か ら 所 得 、 消 費 額 を 推 計 し た 最 初 の も の で あ る 。そ の 研 究 は 、生 産 額 か ら 中 間 財 投 入 額 を 控 除 す る こ と に よ り 、 所 得 額 を 推 計 し 、 可 処 分 所 得 を 求 め 、 最 終 的 に は 貯 蓄 額 を 推 計 し 、 農 村 に お け る 貯 蓄 率 の 推 計 を 行 う 。 そ し て 、分 析 結 果 か ら 、デ ー タ の 性 質 に 問 題 を も つ と 思 わ れ た 町 村 是 に 対 し 、 い く つ か の 個 別 項 目 に 固 有 な 推 計 上 の 問 題 点 を 有 す る に せ よ 、 そ れ ら に 適 当 な 考 慮 を 加 え る こ と に よ り 、 町 村 是 は 経 済 分 析 に 十 分 使 用 可 能 と 結 論 し て い る7。 4西 川 ・ 石 部(1975a)、 同 (1975b)、 穐 本 (1988)、 西 川 (1985)、 佐 藤 (1986)、 松 本 (2004)、浜 野 (2000)を 参 照 の こ と 。た だ し 、浜 野 の 研 究 は 出 来 高 ベ ー ス で あ り 、 付 加 価 値 ベ ー ス で は な い 。 5 尾 高 ・ 山 内 (1993)、 同 (1994)。 6 西 川 ・ 石 部 (1975b)、 p.21。 7 町 村 是 の 利 用 に 際 し 、 経 済 学 の 知 識 が 必 要 で あ る こ と は 、 大 橋 (1982)、 第 七 章 「 明 治 町 村 是 と 福 岡 県 」 を 参 照 。 な お 、 尾 高 ・ 山 内(1993)、 (1994)は 、 町 村 是 を 経 済 学 の フ レ ー ム ワ ー ク で 本 格 的 に 分 析 し た 最 初 の も の で あ る 。
た だ し 、こ の 分 析 に お い て は 、「 国 民 経 済 計 算 」の 枠 組 み に 準 じ た 勘 定 体 系 の 推 計 は 行 わ れ て い な い 。 本 稿 で は こ れ ら の 研 究 を 手 が か り に 、「 国 民 経 済 計 算 」体 系 に 準 じ た「 村 民 経 済 計 算 」 の 推 計 を 目 的 と す る 。 町 村 是 か ら 「 村 民 経 済 計 算 」 を 推 計 し た 場 合 、 そ の 内 部 に お け る 勘 定 の 整 合 性 が 保 た れ て い る か が 問 題 と な る 。『 防 長 風 土 注 進 案 』 を 用 い た 西 川 ら の 研 究 も 、 こ の 点 は 大 分 苦 労 し た こ と が 彼 ら の 研 究 か ら 伺 え る 。 よ っ て 山 梨 県 の 「 村 民 経 済 計 算 」 推 計 に 際 し て も 、 こ の 点 に 注 意 し て 推 計 を 行 う こ と が 必 要 で あ る 。 次 節 で は 使 用 す る 資 料 の 紹 介 を 兼 ね て 、 町 村 是 本 来 の 収 支 勘 定 を 示 す 。 2 . 町 村 是 の 所 得 ― ― 『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』 の 収 入 と 支 出 ― ― 明 治 中 期 に 前 田 正 名 に よ っ て 始 め ら れ た 町 村 是 の 調 査 ・ 作 成 は 、 行 政 村 を 一 つ の 経 済 単 位 と 見 な し て 、 そ の 範 囲 で 生 産 ・ 収 入 ・ 支 出 の 収 支 勘 定 を 推 計 す る こ と を 基 本 と す る8。 町 村 是 調 査 の マ ニ ュ ア ル で あ る 『 町 村 是 調 査 標 準 』(全 国 農 事 会 編 、1901 年 )に よ る と 、町 村 是 と は 、「 其 町 村 を 一 家 と 見 做 し て 収 入 と 支 出 と の 経 済 状 況 を 知 ら ん と 欲 す る 」 も の で あ っ た 。 こ れ は 調 査 年 次 に お け る フ ロ ー の 勘 定 で あ る 。『 町 村 是 調 査 標 準 』で は 具 体 的 に 調 査 す べ き 項 目 を 列 挙 し て お り 、 そ の 「 収 入 及 支 出 」 を み る と 、 農 産 物 の 産 出 量 か ら 始 ま り 副 業 収 入 、 労 賃 収 入 、 さ ら に 小 作 料 収 入 を 把 捉 し 、 諸 税 を 含 む 支 出 を 明 ら か に す る よ う に 求 め て い る 。 す な わ ち 、 一 村 を 「 一 家 と 見 做 し て 」 と は い っ て も 、 村 内 市 場 を 通 じ た 小 作 料 や 賃 金 の や り 取 り は 正 確 に 計 上 し 、 肥 料 な ど の 中 間 財 投 入 を 明 示 的 に 支 出 へ 算 出 す る 一 方 、 農 家 家 計 内 に お け る 中 間 財 の 算 出 と 投 入 は 二 重 計 算 を 避 け よ う と し た と 考 え る べ き で あ ろ う 。 そ し て 、町 村 是 の 勘 定 体 系 に は こ の ほ か に 、「 町 村 内 外 輸 出 入 総 額 」と い う 対 外 収 支 勘 定 と 「 町 村 共 有 財 産 、 貯 蓄 金 額 」 と い う 財 産 調 査 に よ る ス ト ッ ク の 勘 定 が 含 ま れ て い る 。 す な わ ち 、 町 村 是 は 、 フ ロ ー 勘 定 の 「 収 入 及 支 出 」、「 町 村 内 外 輸 出 入 総 額 」、ス ト ッ ク 勘 定 の「 町 村 共 有 財 産 、貯 蓄 金 額 」と い う 3 つ の 勘 定 体 系 か ら 成 り 立 っ て い る 。 こ の 3 つ の 勘 定 体 系 を 整 合 的 に 分 析 し た 研 究 は 、 ま だ 存 在 し な い 。 今 回 の 推 計 に 用 い る 山 梨 県 西 山 梨 郡『 清 田 村・国 里 村 々 是 』は 、「 大 正 二 年 度 に お け る 事 実 に 基 き て 、 調 査 編 纂 せ る も の9」 で あ り 、1915(大 正 4)年 3 月 に 刊 行 さ れ た 。 山 梨 県 に お け る 村 是 調 査 の 実 態 を 示 す も の と し て 、 明 治 36 年 6 月 の 『 山 梨 日 々 新 聞 』 に は 、「 郡 町 村 是 調 査 方 針(一 )、 (二 )」 と い う 記 事 が あ る 。 8 以 下 、 本 段 落 と 次 段 落 の 記 述 は 、 斎 藤 ・ 尾 関 (2004)、 pp.156-158 に よ る 。 9 中 込 編 (1915)の 「 凡 例 」 に 記 述 さ れ て い る 。
こ の 記 事 に よ る と 「 此 程 主 務 省 〔 内 務 省 〕 よ り 本 県 に 廻 付 せ る 郡 是 及 町 村 是 は 将 来 郡 及 び 町 村 の 発 達 上 裨 益 す る 所 甚 だ 多 け れ ば 左 に 掲 ぐ 」 と あ り 、 内 務 省 に よ る 地 方 改 良 運 動 の 一 環 と し て 村 是 が 作 成 さ れ た よ う で あ る10。し か し 、『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』 の 「 緒 言 」 に は 、 明 治 36 年 の 第 五 回 内 国 勧 業 博 覧 会 に 審 査 補 助 の た め 執 務 し て い た 村 長 中 込 茂 作 が 、 出 品 さ れ た 村 是 を 拝 見 し 村 是 調 査 の 必 要 性 を 感 じ 、 作 成 し た も の で あ る 。 そ の 調 査 に 当 た っ て は 、「 農 家 経 済 調 査 」 で 有 名 な 斎 藤 萬 吉 、 他 県 農 会 の 技 師 と し て 町 村 是 調 査 を 担 当 し た 、 愛 媛 県 の 岡 田 温 、 島 根 県 の 藤 原 勇 造 か ら 助 言 を 受 け て い る 。 愛 媛 県 は 森 恒 太 郎 に よ る 『 余 土 村 是 』 が 調 査 ・ 刊 行 さ れ 、 島 根 県 で は 、 明 治 37 年 、明 治 44 年 、大 正 8 年 に 村 是 の 「 調 査 標 準 」 刊 行 し 、 そ れ ぞ れ 町 村 是 調 査 を 重 点 的 に 行 っ て い た 県 で あ る 。 中 込 も 『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』 の 調 査 と 作 成 に 際 し て 、 彼 ら の 助 言 か ら え る と こ ろ が 大 き か っ た で あ ろ う 。 さ て 、『 清 田 村・国 里 村 々 是 』の 対 象 と な る 現 在 の 甲 府 市 域 に 位 置 し て い た 清 田 村 と 国 里 村 は 隣 村 同 士 で あ り 、 甲 府 盆 地 の 中 央 に 位 置 し て い た 。 清 田 村 の 現 住 戸 数 は 211 戸 、国 里 村 は 111 戸 の 農 村 で あ っ た 。最 初 に こ の 村 の 収 支 勘 定 を 『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』 か ら 確 認 し よ う 。 『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』に 記 載 さ れ た 収 支 勘 定 は 、『 町 村 是 調 査 標 準 』の 記 載 に 準 じ て い る 。 す な わ ち 収 入 の 合 計 か ら 支 出 の 合 計 を 差 し 引 い た も の と な っ て い る 。 町 村 是 の 資 料 論 の 第 一 人 者 で あ る 佐 々 木 豊 も 福 岡 県 の 町 村 是 を 用 い 、 同 じ 視 点 か ら の 考 察 を 行 っ た11。 は じ め に 佐 々 木 の 手 法 、 こ れ は 町 村 是 本 来 の 勘 定 体 系 で も あ る の で 、 こ れ を 示 す こ と に し よ う 。 [表 1 挿 入 : 山 梨 県 『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』 の 「 収 入 支 出 一 覧 表 」 ] 表 1 に は 、『 清 田 村・国 里 村 々 是 』に 記 載 さ れ た「 収 入 支 出 一 覧 表 」を 示 し た 。 こ の 表 は 、『 清 田 村・国 里 村 々 是 』の 各 収 入 項 目 お よ び 各 支 出 項 目 に 掲 げ ら れ た 価 額 の 合 計 を 纏 め 上 げ て 、 左 の 「 収 入 」 と 右 の 「 支 出 」 の 勘 定 を 作 成 し た も の で あ る 。 こ れ が 先 に 述 べ た 『 町 村 是 調 査 標 準 』 の 「 収 入 及 支 出 」 で あ る 。 た だ し 、 表 1 の 収 入 欄 に あ る 4.水 産 収 入 、 5.商 業 収 入 、 6.雑 業 収 入 、 7.農 家 副 業 収 入 に つ い て 、『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』で は 、す で に 収 入 額(= 生 産 額 )か ら 中 間 財 投 入 額 が 控 除 さ れ た 所 得 額(= 付 加 価 値 額 )が 記 載 さ れ て い る 。 よ っ て 、 表 1 で は こ れ ら に つ い て 収 入 額(= 生 産 額 )を ブ ラ ケ ッ ト 内 に 示 す 。 な お 、 第 3 節 の 所 得 推 計(表 3 を 参 照 )で は 、 ブ ラ ケ ッ ト 内 の 数 値 を 利 用 す る 。 10 『 山 梨 日 々 新 聞 』 (1903a)、 同 (1903b)を 参 照 。 11 佐 々 木 (1970), pp.28-38。
表 1 の 内 容 を パ ネ ル A の 清 田 村 を 例 に 説 明 し よ う 。表 の 左 側 に あ る 収 入 の 各 項 目(番 号 1~ 12)に つ い て 、上 か ら 順 番 に い く つ か ピ ッ ク ア ッ プ す る と 、1.農 業 収 入 139,371 円 、 6.雑 業 収 入 2,334 円 、 10.貯 蓄 貸 金 利 子 2,732 円 、 11.受 取 小 作 料 878 円 、合 計 160,731 円 で あ る 。こ の 合 計 額 が 、町 村 是 に お け る 村 の 1 年 間 の フ ロ ー の 収 入 額 で あ る 。 続 い て 表 1 の 右 側 に 記 載 さ れ た 支 出 の 各 項 目 (番 号 13~ 23)に つ い て も 、上 か ら 順 に い く つ か ピ ッ ク ア ッ プ す る と 、衣 食 住 に 関 わ る 13.生 計 費 73,619 円 、18. 農 業 生 産 費 37,920 円 、 21.支 払 小 作 料 22,512 円 、 合 計 167,202 円 と な る 。 こ の 収 入 合 計 額 か ら 支 出 の 合 計 額 を 差 し 引 い た 額 が 、町 村 是 に お け る 利 益 と な る 。 結 果 、 パ ネ ル A の 清 田 村 は 、 6,471 円 の 赤 字 と な る 。 一 戸 当 で は 30 円 66 銭 、 一 人 当 で は 5 円 57 銭 の 赤 字 で あ る 。 パ ネ ル B の 国 里 村 も 清 田 村 と 同 じ 項 目 で 収 入 と 支 出 が 調 査 さ れ て い る の で 、こ こ で は 合 計 額 と 収 支 計 算 の 額 を 確 認 す る 。 国 里 村 の 収 入 合 計 額 は 、71,906 円 、 支 出 合 計 額 は 73,649 円 で あ り 、 差 引 で は 1,742 円 の 赤 字 で 、 一 戸 当 15 円 70 銭 、 一 人 当 2 円 86 銭 の 赤 字 と な る 。 表 1 の よ う に 収 入 か ら 支 出 を 差 し 引 い て そ の 村 の 経 済 状 況 を 知 る こ と は 、 一 見 す る と 非 常 に 明 快 で あ る 。 し か し 所 得 と は 、 生 産 額 か ら 中 間 財 投 入 額 を 減 じ た 付 加 価 値 額 に よ っ て 推 計 さ れ る 。ま た 、『 清 田 村 ・国 里 村 々 是 』に は 、輸 出 入 統 計 表 と 村 役 場 の 精 算 勘 定 も 記 載 さ れ て お り 、 現 在 の 「 国 民 経 済 計 算 」 に 準 じ た 勘 定 を 形 成 す る こ と が 可 能 で あ る と 思 わ れ る 。よ っ て 本 稿 で は 、『 清 田 村・国 里 村 々 是 』の「 収 入・支 出 一 覧 表 」「 物 資 輸 出 入 表 」、「 村 役 場 精 算 表 」、「 生 計 費 」 の 各 項 目 を 用 い て 、「 国 民 経 済 計 算 」 体 系 に 準 じ た 、「 村 民 経 済 計 算 」 勘 定 を 推 計 す る こ と を 目 的 と す る 。 3 .『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』 の 職 業 別 戸 口 数 ― ― 所 得 の 源 泉 ― ― 前 節 で 『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』 の 収 支 勘 定 を 確 認 し た 。 こ こ で 「 村 民 経 済 計 算 」 の 推 計 に 進 む 前 に 、 所 得 を 生 み 出 す 源 泉 と な る 職 業 別 の 戸 数 を 確 認 す る こ と も 必 要 で あ ろ う 。 は じ め に 、 対 象 と な る 地 域 は 異 な る が 、 我 が 国 最 初 の セ ン サ ス と い わ れ る 『 甲 斐 国 現 在 人 別 調 』 の 個 票 を 分 析 し た 斎 藤 修 の 研 究 か ら 明 治 初 期 の 就 業 構 造 を 確 認 す る12。 明 治 初 年 農 家 世 帯 の 就 業 構 造 は 、 生 産 年 齢 に あ る 農 家 世 帯 構 成 員 は 、 全 員 就 業 の 状 態 に あ っ た 。 そ し て 、 農 家 人 口 が ほ ぼ 全 員 就 業 の 状 態 に あ っ た と い う こ と は 、 農 村 部 に お け る 農 業 以 外 の 経 済 活 動 は 兼 業 と い う 形 態 で 行 わ れ た と い う こ と を 意 味 し て い る 。 12 以 下 、 こ の 段 落 は 斎 藤 (1985a)、 同 (1985b)に よ る 。
[表 2 挿 入 : 清 田 村 と 国 里 村 の 職 業 別 戸 口 数 ] 『 甲 斐 国 現 在 人 別 調 』か ら 40 年 後 、す な わ ち『 清 田 村・国 里 村 々 是 』の 現 住 戸 数 と 職 業 別 戸 数 か ら 就 業 構 造 を ま と め た の が 表 2 で あ る13。 は じ め に パ ネ ル A 清 田 村 の 農 業 か ら み て い く と 、 農 業 を 専 業 と し て い る の は 、 170 戸 、 工 業 を 兼 業 し て い る の が 5 戸 、商 業 を 兼 業 し て い る の は 9 戸 、雑 業 を 兼 業 し て い る の が 13 戸 あ る 。 次 に 、 工 業 を み て い く と 、 専 業 で 従 事 す る 戸 は な く 、 農 業 を 兼 業 と し て い る 1 戸 の み で あ る 。 つ づ い て 、 商 業 も 専 業 は な く 、 農 業 を 兼 業 と し て い る の が 、4 戸 あ る 。最 後 の 雑 業 は 、農 業 を 兼 業 と し て い る 7 戸 が 存 在 す る 。 そ し て 、 清 田 村 の 職 業 別 戸 口 数 の 備 考 に は 「 本 村 に て は 農 業 以 外 の 職 業 に て 生 活 す る も の 甚 た 少 な く 他 業 に 従 事 す る も の あ り と す る も 必 ず 若 干 面 積 の 土 地 を 耕 作 せ ざ る 家 あ る こ と な し14」、と あ る 。つ ま り 農 業 に 従 事 す る 戸 が ほ と ん ど で あ り 、 農 業 以 外 の 工 業 、 商 業 、 雑 業 に 従 事 す る 場 合 で も か な ら ず 土 地 を 耕 作 し て い る の で あ る 。 な お 、 こ の 点 に つ い て は 後 で 確 認 す る 。 次 に パ ネ ル B 国 里 村 の 職 業 別 戸 口 数 を 確 認 す る と 、 農 業 は 、 専 業 が 90 戸 、 工 業 を 兼 業 す る の は 3 戸 、商 業 を 兼 業 す る の も 同 じ く 3 戸 、雑 業 を 兼 業 す る の は 4 戸 で あ る 。 工 業 は 、 専 業 が な く 、 農 業 を 兼 業 す る の が 5 戸 で あ る 。 こ こ で 国 里 村 の 工 業 収 入 項 目 を 確 認 す る と 、 瓦 製 造 2 戸 、水 車 業 2 戸 が 記 載 さ れ て お り 、そ れ ぞ れ の 摘 要 欄 に は 「 農 業 を 副 業 に 営 め り 」 と あ る15。 最 後 に 商 業 の 戸 数 は 、 ま っ た く 記 載 さ れ て い な い 。 雑 業 は 農 業 を 兼 業 と す る 3 戸 、他 の 雑 業 を 兼 業 す る 3 戸 が 存 在 す る 。 以 上 か ら 、『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』の 職 業 別 戸 口 統 計 に つ い て 、次 の よ う な 推 論 を た て る こ と が 可 能 で あ ろ う 。 す な わ ち 、 両 村 の 職 業 別 戸 口 統 計 に 記 載 さ れ た 戸 数 は 、 各 収 入 項 目 に 記 載 さ れ た 戸 数 の う ち 、 戸 の 収 入 に 占 め る 割 合 の 大 き い も の を 掲 載 し た と 考 え ら れ る 。 そ し て 、 こ の 場 合 は 戸 の 所 得 に 占 め る 割 合 が 農 業 よ り も 若 干 多 い た め 、 工 業 、 商 業 、 雑 業 に 含 ま れ て い る と 思 わ れ る 。 こ れ は 、 現 在 の 第 2 種 兼 業 農 家 と 同 じ 扱 い 方 と い っ て も よ い の で は な い だ ろ う か 。 以 上 の 両 村 の 職 業 別 戸 口 統 計 か ら 判 明 す る こ と は 、 農 業 以 外 の 業 種 に 従 事 す 13 こ の 表 2 の パ ネ ル A 清 田 村 の 農 業 欄 の 兼 雑 業 戸 数 が 、 合 計 欄 の 兼 雑 業 戸 数 と 一 致 し な い(前 者 が 2 戸 少 な い )。 そ の た め 、 農 業 、 工 業 、 商 業 、 雑 業 の 合 計 戸 数 が 、合 計 欄 の 戸 数 と 一 致 し な い(前 者 の 合 計 戸 数 が 合 計 欄 の 戸 数 よ り 2 戸 少 な い)。 こ の 理 由 は 、『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』 か ら は 判 明 し な い 。 14 中 込 編 (1915)、 pp.7-8。 15 表 2 の 職 業 別 戸 口 数 の 戸 数 と 一 致 し な い が 、現 時 点 で そ の 理 由 は 不 明 で あ る 。 な お 、 国 里 村 の 工 業 に つ い て は 、 本 稿 第 4 節 第 2 項 も 参 照 の こ と 。
る 戸 に お い て も 農 業 を 兼 業 と し て 行 い 、 生 計 を 立 て て い る 。 ま た 、 両 村 は 農 業 を 基 本 と し て い た が 、 明 治 初 期 を 対 象 と し た 斎 藤 の 研 究 と 同 じ よ う に 、 大 正 初 期 に お い て も 農 家 に お け る 、兼 業 の 果 た す 役 割 が 重 要 で あ る こ と が 確 認 で き る 。 4 .『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』 に よ る 「 村 民 経 済 計 算 」 の 推 計 第 2 節 と 第 3 節 で は 、 町 村 是 の 収 入 と 支 出 と の 関 係 お よ び 職 業 別 の 戸 口 数 か ら 、 清 田 村 と 国 里 村 の デ ー タ を 用 い て 所 得 を 推 計 す る 際 の 手 が か り を 探 っ て き た 。 本 節 か ら 「 国 民 経 済 計 算 」 に 準 じ た 「 村 民 経 済 計 算 」 に つ い て 具 体 的 な 推 計 作 業 を 行 う 。 ま ず 、 生 産 を ベ ー ス と す る 「 生 産 所 得 」 の 推 計 を 本 節 第 1 項 、 第 2 項 で お こ な い 、こ れ を も と に「 村 民 経 済 計 算 」の 推 計 を 本 節 第 3 項 で 行 う 。 さ て 、 一 般 に 「 国 民 経 済 計 算 」 に お け る 所 得 推 計 に は 、GNP 概 念 と GDP 概 念 が 存 在 す る 。『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』に 則 し て 言 う と 、「 村 民 」概 念 と「 村 内 」 概 念 で あ る 。 本 稿 の 目 的 は 、 村 民 の 所 得 を 推 計 す る こ と に あ る の で 、 村 外 と の 所 得 の 移 転 を 含 め た GNP 概 念 に よ る 村 民 所 得 の 推 計 を 行 う 。 4 - 1 町 村 是 の 収 支 勘 定 か ら 所 得 推 計 へ 『 清 田 村・国 里 村 々 是 』を 用 い た「 生 産 所 得 」は 、各 業 種 の 収 入 額(= 生 産 額 ) と 中 間 財 投 入 額 を 求 め 、 前 者 か ら 後 者 を 減 じ て 推 計 さ れ る 。 物 的 財 の 所 得 に つ い て は 、 表 3 に 各 業 種 別 の 収 入 額 、 中 間 財 投 入 額 、 生 産 所 得 額 、 付 加 価 値 率 、 生 産 所 得 合 計 に 対 す る 各 業 種 の 割 合 を 示 し た 。 [表 3 挿 入 : 清 田 村 と 国 里 村 の 「 生 産 所 得 」 と 付 加 価 値 率 ] 表 3 の 各 項 目 に つ い て 説 明 す る 。 列 の 左 か ら 業 種 、 収 入 額 、 中 間 財 投 入 額 、 生 産 所 得 額 、 付 加 価 値 率 、(各 業 種 が )生 産 所 得 に 占 め る 割 合 、 で あ る 。 ま ず 業 種 お よ び 収 入 額 に つ い て は 、 表 1 の 1.農 業 収 入 、 2.竹 林 収 入 、 3.工 業 収 入 、 4. 水 産 収 入 、5.商 業 収 入 、 6.雑 業 収 入 、 7.農 家 副 業 収 入 、 そ れ ぞ れ の 収 入 額 を も と に 、表 3 の ① 農 林 業 (1.農 業 収 入 と 2.竹 林 収 入 と を 中 間 財 投 入 額 の 関 係 で 合 併 し た 。理 由 は 次 の 段 落 で 述 べ る 。ま た 、1.農 業 収 入 に は 農 家 の 自 家 消 費 分 を 含 む)、 ② 工 業 、 ③ 水 産 業 、 ④ 商 業 (た だ し 、 マ ー ジ ン で は な く 、 売 上 額 で あ る )、 ⑤ 雑 業 、 ⑥ 農 家 副 業 、 計 6 つ の 収 入 額 を 示 し た 。こ の 6 つ の 業 種 に 対 応 す る 中 間 財 投 入 額 は 、 次 の 二 つ 方 法 で 求 め る こ と が で き る 。 ま ず 、① 農 林 業 に つ い て は 、表 1「 収 入 支 出 一 覧 表 」の 支 出 欄 に あ る 18.農 業 生 産 費 が 、 中 間 財 投 入 額 に 該 当 す る 。 本 来 な ら ば 、 こ の 18.農 業 生 産 費 を 1.農 業 収 入 と 2.竹 林 収 入 と に 分 け る べ き で あ る 。 し か し 、 18.農 業 生 産 費 を 双 方 に
分 割 で き な い た め 、1.農 業 収 入 と 2.竹 林 収 入 を 合 計 し 、 ① 農 林 業 と す る 。 そ し て 、 そ れ に 対 す る 中 間 財 投 入 額 と し て 18.農 業 生 産 費 を 用 い る 。 た だ し 、 18.農 業 生 産 費(37,920 円 )に は 、 9.自 家 産 出 肥 料 (5,362 円 )を 含 む た め 、 18.農 業 生 産 費 か ら 9.自 家 産 出 肥 料 の 額 を 減 じ る 。 さ ら に 、 尾 高 ・ 山 内 (1994)が 指 摘 し た よ う に 、 こ の 18.農 業 生 産 費 に は 、 農 機 具 や 種 子 購 入 費 用 が 含 ま れ て お り 、 本 来 こ れ ら は 、投 資 費 用 の 一 部 と 見 な す べ き も の で あ る16。よ っ て 、18.農 業 生 産 費 か ら さ ら に 投 資 費 用 に 該 当 す る 農 具 の 新 調 ・ 修 繕 分 で あ る 清 田 村 647 円 、国 里 村 318 円 を 減 じ た 額 を 、 18.農 業 生 産 費 と し て 計 上 す る 。 ま た ① 農 林 業 に つ い て は 、 も う 一 つ 大 き な 問 題 が あ る 。 そ れ は 、 生 産 コ ス ト に 21.支 払 小 作 料 を 含 め る か 、と い う 問 題 で あ る 。「 農 家 経 済 調 査 」で は 農 家 の 所 得 を 推 計 す る 際 に 、 生 産 コ ス ト に 支 払 小 作 料 を 含 め て い る 。 し か し 、 社 会 勘 定 、 す な わ ち 「 国 民 経 済 計 算 」 の 上 か ら は 、 受 取 小 作 料 は あ ら た に 生 じ た 所 得 で あ る 。 こ こ で は 、「 国 民 経 済 計 算 」 に 準 じ た 推 計 を 行 う た め 、 支 払 小 作 料 は 、 農 業 の 生 産 費 用 に 含 ま な い17。 ま た 、『 長 期 経 済 統 計 9 農 林 業 』 に お い て も 、 農 業 の 所 得 は 生 産 額 か ら 肥 料 な ど の 経 常 的 投 入 額 を 減 じ て 付 加 価 値 額 を 推 計 し て お り 、 支 払 小 作 料 は 付 加 価 値 額 に 含 ま れ て い る18。 つ づ い て 、 ③ 水 産 業 、 ④ 商 業 、 ⑤ 雑 業 、 ⑥ 農 家 副 業 に つ い て は 、 各 収 入 項 目 に 「 仕 入 金 等 控 除 額 」、「 原 料 等 控 除 額 」 な ど が 記 載 さ れ て お り 、 そ れ を 中 間 財 投 入 額 と す る 。 最 後 に ② 工 業 の 中 間 財 投 入 額 に つ い て は 、 一 つ の 仮 定 を も う け る 。 清 田 村 の 工 業 収 入 項 目 に は 職 工 の 賃 金 が 記 載 さ れ て い る た め 、 こ の 村 の 消 費 構 造 を 分 析 し た 際 の 仮 定 を 設 け て 対 処 す る 。 す な わ ち 、 職 工 の 受 取 っ た 所 得 部 分 を 受 取 総 額 の 2 割 と す る19。 ま た 、 国 里 村 の 工 業 収 入 項 目 が 二 つ に 分 類 さ れ て い る 。 一 つ が(イ )製 造 工 業 で あ り 、も う 一 つ が (ロ )賃 工 業 で あ る 。前 者 に は 、瓦 製 造 業 と 水 車 業 が 記 載 さ れ 、「 原 料 等 控 除 額 」が 判 明 す る の で 、中 間 財 投 入 額 が 判 明 す る 。 一 方 後 者 は 、 職 工 の 賃 金 が 記 載 さ れ て い る の み で あ る 。 よ っ て 、(ロ )賃 工 業 も 清 田 村 の 工 業 収 入 と 同 じ く 、 職 工 の 受 取 っ た 所 得 は 収 入 額 の 2 割 と す る 。 そ し て 、「 生 産 所 得 」の 推 計 に あ た っ て は 、以 上 の ほ か に 、表 1 の 収 入 欄 に あ る 8.労 働 賃 金 、 9.自 家 産 出 肥 料 、 18.農 業 生 産 費 、 22.借 金 利 子 を 用 い る 。 こ こ 16 尾 高 ・ 山 内 (1994)、 pp. 218-219。 17 こ の 問 題 に つ い て は 、 荏 開 津 (1985)、 pp.104-105 を 参 照 。 18 梅 村 他 (1966)、 pp.50-52。 19こ れ は 、 清 田 村 の 雑 業 収 入 項 目 に あ る 土 木 工 事 請 負 の 場 合 で あ る 。 請 負 業 者 2 戸 の 収 入 金 500 円 、仕 入 金 等 の 控 除 額 400 円 、利 益 100 円 と あ る の で 、利 益 な い し 賃 金 は 受 け 取 り 総 額 の 2 割 に 相 当 し た 。 斎 藤 ・ 尾 関 (2004)、 p.180 を 参 照 。
で 、22.借 金 利 子 に つ い て 説 明 す る 。『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』 に よ る と 、 両 村 の 農 家 で は 農 工 銀 行 や 甲 府 市 の 資 産 家 な ど か ら 資 金 を 借 り 入 れ 、 農 業 生 産 の た め の 肥 料 購 入 代 な ど に 充 て て い た が 、 そ の 借 入 金 を 自 家 生 計 費 に も 流 用 し て い た 20。よ っ て 、22.借 金 利 子 の 半 額 を ① 農 林 業 の 中 間 財 投 入 額 に 用 い 、残 り の 半 分 は 生 計 費 と し て 計 上 す る(本 節 第 3 項 、表 5 の 10 個 人 消 費 (j)借 金 利 子 を 参 照 の こ と)。 4 - 2 「 生 産 所 得 」 の 推 計 前 項 で は 、『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』の 表 1「 収 入 支 出 一 覧 表 」を 所 得 推 計 に 用 い る 際 の 手 続 に つ い て 述 べ た 。そ の 手 続 を も と に 、表 1「 収 入 支 出 一 覧 」を「 国 民 経 済 計 算 」 の 所 得 推 計 の 枠 組 み に 組 み 替 え た も の が 表 3 で あ る 。 以 下 、 表 3 パ ネ ル A の 清 田 村 を も ち い て 主 な 組 み 替 え の 過 程 を し め す 。な お 、表 3 の 収 入 額 と 中 間 財 投 入 額 に 付 し て あ る 番 号 は 、表 1 の 収 入 欄 と 支 出 欄 の 番 号 に 対 応 す る 。 ① 農 林 業 収 入 額 ・1.農 業 収 入 と 2.竹 林 収 入 と を 合 計 し 、 ① 農 林 業 と す る 。 ・8.労 働 賃 金 の う ち 日 雇 男( こ れ を 8(1)と す る 以 下 同 様 )、日 雇 女 8(2)、奉 公 男 8(3)を 加 え る 。 ・9. 自 家 産 出 肥 料 を 加 え る 。 中 間 財 投 入 額 ・9. 自 家 産 出 肥 料 を 加 え る 。 ・18.農 業 生 産 費 か ら 、 9. 自 家 産 出 肥 料 と 同 額 を 減 じ 、 さ ら に 農 具 の 新 調 ・ 修 繕 費 を 減 じ る 。 ・22.借 金 利 子 の 半 分 を 加 え る (残 り 半 分 は 、表 5 の 10.個 人 消 費 (j)借 金 利 子 へ )。 ② 工 業 収 入 額 ・ 収 入 額 の 2 割 を 所 得 額 と す る (脚 注 の 19 を 参 照 )。 ④ 商 業 収 入 額 ・8.労 働 賃 金 の う ち 、 奉 公 男 商 3 人 8(4)を 加 え る 。 20 中 込 編 (1915)、 pp.175-176。
以 上 の 過 程 を 経 て 推 計 さ れ た 、 各 業 種 の 所 得 額 と 付 加 価 値 率 お よ び 「 生 産 所 得 」に 占 め る 割 合 を 表 3 か ら 確 認 す る 。は じ め に パ ネ ル A 清 田 村 の ① 農 林 業 を 例 に 数 値 を み て い く 。① 農 林 業 の 収 入 額 は 146,106 円 、中 間 財 投 入 額 が 39,917 円 、「 生 産 所 得 」が 106,188 円 、付 加 価 値 率 は 0.727、生 産 所 得 に 占 め る 割 合 は 、 96%で あ る 。 以 下 、 清 田 村 に つ い て 順 に 「 生 産 所 得 」 額 と 付 加 価 値 率 の み を あ げ て い く と 、② 工 業【205 円・0.200】、③ 水 産 業【 10 円・0.667】、④ 商 業【 1,481 円・0.051】、⑤ 雑 業【 2,334 円・0.641】、⑥ 農 家 副 業【 441 円・0.794】で あ る 。 清 田 村 の 「 生 産 所 得 」 額 の 合 計 は 、110,660 円 で あ り 、 付 加 価 値 率 の 算 術 平 均 は 0.513 で あ る 。最 後 に 生 産 所 得 に 占 め る 割 合 は 、① 農 林 業 が 96% と 圧 倒 的 で あ る が 、2% 強 の ⑤ 雑 業 に も 注 意 を は ら う 必 要 が あ ろ う 。 つ づ い て パ ネ ル B の 国 里 村 に つ い て も 同 じ よ う に「 生 産 所 得 」額 と 付 加 価 値 率 の み を 順 に 示 す と 、① 農 林 業【48,625 円・0.776】、② 工 業【 814 円・0.232】、 ③ 水 産 業【17 円・0.667】、④ 商 業【 236 円・0.030】、⑤ 雑 業【 1,623 円・0.800】、 ⑥ 農 家 副 業【517 円・0.832】で あ る 。国 里 村 の「 生 産 所 得 」額 の 合 計 は 、51,833 円 、 付 加 価 値 率 の 算 術 平 均 は 0.556 で あ る 。 最 後 に 生 産 所 得 に 占 め る 割 合 は 、 ① 農 林 業 が 94% と 大 部 分 を 占 め る 。し か し 国 里 村 に お い て も ⑤ 雑 業 が 3% 、工 業 が 1.5% と そ の 役 割 は 看 過 で き な い 。 こ こ で 国 里 村 の 工 業 に つ い て 少 し 触 れ て お こ う21。国 里 村 の ② 工 業 収 入 額 は 、 (イ )製 造 工 業 と (ロ )賃 工 業 に 分 け て 記 載 さ れ て い る こ と を 先 に 述 べ た 。(イ )製 造 工 業 は 、 瓦 製 造 工 業 と 水 車 業 で あ る 。 国 里 村 で は 、 明 治 維 新 の 頃 に 愛 知 県 三 河 よ り 瓦 製 造 を す る 者 が 移 り 住 み 、 こ の 地 の 粘 土 質 が 瓦 製 造 に 適 し て お り 、 斯 業 が 開 始 さ れ た 。 そ し て 、 大 正 元 年 に さ ら に 一 戸 の 同 業 者 が 起 業 し た 。 こ こ で 製 造 さ れ た 煉 瓦 は 、中 央 鉄 道(現 在 の JR 中 央 本 線 )建 設 の 際 、笹 子 隧 道 そ の 他 の 建 設 に 用 い ら れ た 。 ま た 、 水 車 業 は 米 麦 を 精 白 す る 精 穀 業 の こ と で あ る 。 以 上 が 、『 清 田 村 ・国 里 村 々 是 』か ら 推 計 し た 両 村 の「 生 産 所 得 」お よ び 付 加 価 値 率 で あ る 。 両 村 と も に 、 生 産 所 得 に 占 め る 割 合 は ① 農 林 業 が 圧 倒 的 で あ る が 、 付 加 価 値 率 を 確 認 す る と 、 ③ 水 産 、 ⑤ 雑 業 、 ⑥ 農 家 副 業 が 高 い こ と が 判 明 す る 。 特 に 後 ろ 二 者 の 収 入 は 、 第 2 節 で 触 れ た よ う に 、 農 家 に お け る 兼 業 の 重 要 性 を 示 し て い る と 考 え ら れ る 。 4 -3 「 村 民 経 済 計 算 」 の 推 計 「 国 民 経 済 計 算 」 は 、 一 国 全 体 の 帳 簿 と し て の 役 割 を 果 た す も の で あ る 。 そ の 体 系 の 中 心 は 、 フ ロ ー と し て の 年 間 の 総 生 産 と 期 首 と 期 末 の ス ト ッ ク 調 査 で 21 以 下 こ の 段 落 は 、 中 込 編 (1915)、 pp.94-95 に よ る 。
あ り 、一 国 の 経 済 的 な 豊 か さ を 表 す 指 標 で あ る GNP は 、「 国 民 経 済 計 算 」体 系 に お い て 推 計 さ れ る 数 値 で あ る 。 「 其 町 村 を 一 家 と 見 做 し て 収 入 と 支 出 と の 経 済 状 況 を 知 ら ん と 欲 」 し た 町 村 是 の 収 支 計 算 は 、表 1 で 見 た よ う に 基 本 的 に は 生 産 に 関 す る フ ロ ー の 調 査 で あ る 。 だ が 、 町 村 是 の 勘 定 体 系 に は 、 対 外 勘 定 で あ る 輸 出 入 統 計 、 ス ト ッ ク 勘 定 も 含 ま れ て お り 、 現 在 の 経 済 勘 定 で あ る 「 国 民 経 済 計 算 」 体 系 に 準 じ た 村 の 経 済 勘 定 を 作 成 す る こ と も 可 能 で あ る と 思 わ れ る 。 「 国 民 経 済 計 算 」 に 準 じ た 経 済 勘 定 の 推 計 は 、 村 の 経 済 構 造 を 示 す 点 で 重 要 で あ る 。 そ こ で 、 前 項 で 推 計 し た 「 生 産 所 得 」、 お よ び 『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』 の「 収 入 ・ 支 出 一 覧 表 」「 輸 出 入 表 」、「 村 役 場 精 算 表 」、「 生 計 費 」の 各 項 目 を 用 い て 、「 国 民 経 済 計 算 」 体 系 に 準 じ た 、「 村 民 経 済 計 算 」 勘 定 を 推 計 し た 。 そ の 結 果 を 表 4 か ら 表 8 に 示 し た 。 ま ず 、 表 4 村 民 総 生 産 と 支 出 勘 定 で あ る が 、 こ の 表 は 表 5~ 表 8 か ら 作 成 さ れ る た め 、 初 め に 表 5 か ら 順 に 推 計 方 法 を 説 明 す る 。 [表 5 挿 入 : 個 人 勘 定 ] 表 5 個 人 勘 定 は 、 村 民 の 収 支 勘 定 で あ る 。 表 の 右 側 の 受 取 が 個 人 所 得 の 源 泉 を 示 し 、 前 節 で 推 計 し た(a)生 産 所 得 と (b)~ (f)か ら な る 14.所 得 と 15.村 役 場 か ら の 移 転 所 得(「 貧 困 者 救 助 費 」)、16.国 か ら の 移 転 所 得 (恩 給 ・ 勲 章 年 金 )、17. 海 外 か ら の 移 転 所 得(海 外 か ら の 送 金 )か ら 構 成 さ れ る 。 こ こ で 問 題 と な る の は 、 民 間 の サ ー ビ ス 所 得 の 脱 落 で あ る 。 こ れ は 表 5 の 左 側 の 支 出 欄 に 示 さ れ た 家 計 支 出 に 関 連 す る 、10.個 人 消 費 (d)冠 婚 葬 祭 費 、 (e)社 交 及 娯 楽 費 、(f)教 育 費 、(g)衛 生 費 の 各 項 目 か ら 推 計 が 可 能 で あ ろ う 。た と え ば 、 (g)衛 生 費 に は 、診 療 、按 摩 、鍼 灸 、入 浴 、髪 結 、理 髪 な ど に 対 す る 家 計 か ら の 支 出 額 が 計 上 さ れ て い る 。 一 方 で 、 こ れ ら の 業 種 の 所 得 額 は ど こ に も 計 上 さ れ て い な い 。 そ の た め 、 所 得 は 過 小 推 計 と な る 。 『 長 期 経 済 統 計 1 国 民 所 得 』 の 基 礎 推 計 に お い て 、 商 業 、 サ ー ビ ス 業 所 得 額 の 推 計 は 、 分 配 面 、 す な わ ち 利 潤 と 賃 金 を そ れ ぞ れ 独 立 に 推 計 し 、 両 者 を 合 計 し て 所 得 を 求 め て い る22。そ こ で 、政 府 サ ー ビ ス の 産 出 額 推 計 に 準 じ て(本 項 の 表 6 の 説 明 を 参 照 )、す な わ ち 民 間 サ ー ビ ス の 支 出 額 を 民 間 サ ー ビ ス の 産 出 額 と み な し て 民 間 の サ ー ビ ス 所 得 を 推 計 し た 。 ま ず 、表 5 の 10 個 人 消 費 (d)、(e)、(f)、(g)を 足 し 合 わ せ て 、民 間 サ ー ビ ス の 22 経 済 企 画 庁 経 済 研 究 所 (1969)、 pp.97-117 を 参 照 。
支 出 合 計 額 を 求 め る 。そ し て 、こ れ ら 民 間 サ ー ビ ス 支 出 合 計 額 の 50% は 村 外 か ら の 民 間 サ ー ビ ス の 輸 入 で あ る と 考 え ら れ る の で 、 初 め に 民 間 サ ー ビ ス 支 出 合 計 額 の 50% を 控 除 し (こ の 額 は 、 表 8 村 外 勘 定 の 41.輸 入 に 加 え ら れ る )、 そ の 残 余 で あ る 民 間 サ ー ビ ス 支 出 合 計 額 の 50% を 両 村 内 へ の 民 間 サ ー ビ ス へ の 支 出 額 と す る 。 そ し て 村 内 の 民 間 サ ー ビ ス の 支 出 額 の 50% (= 民 間 サ ー ビ ス の 支 出 合 計 額 の 25% )を 村 内 の 民 間 サ ー ビ ス が 得 る 所 得 と み な し 、表 5 の 右 側 に 14. 所 得(b)民 間 サ ー ビ ス 所 得 と し て 計 上 す る23。 以 上 か ら 推 計 さ れ た 、18.全 個 人 所 得 は 、 清 田 村 123,790 円 、 国 里 村 59,242 円 で あ る 。 表 5 の 左 側 に は 支 払 で あ る 個 人 の 支 出 額 を 計 上 し た 。そ の 内 容 は 、10.個 人 消 費24、11.直 接 税 、 12.貯 蓄 か ら な る 。 12.の 貯 蓄 額 は 、 18.全 個 人 所 得 か ら 、 10. 個 人 消 費 と 11.直 接 税 と の 合 計 額 を 減 じ た 額 が 計 上 さ れ 、清 田 村 14,620 円 、国 里 村 9,452 円 で あ る25。 よ っ て 、13.全 個 人 支 出 と 18.全 個 人 所 得 と は 、 清 田 村 123,790 円 、 国 里 村 59,242 円 で 収 支 が 一 致 す る 。 [表 6 挿 入 : 村 役 場 勘 定 ] 表 6 は 、 村 役 場 の 収 支 勘 定 で あ る26。 行 政 、 国 防 、 治 安 な ど の 政 府 サ ー ビ ス の 総 生 産 は 、公 共 財 と し て 社 会 に 対 し て 無 償 で 提 供 さ れ て い る27。し た が っ て 、 こ れ ら に つ い て は 、 市 場 価 格 が 存 在 し な い 。 ま た 、 政 府 に よ る 教 育 や 上 下 水 道 の サ ー ビ ス な ど は い く ら か の 料 金 を 徴 収 し て い る が 、 そ の 価 格 は コ ス ト を カ バ ー せ ず 、 経 済 的 に 意 味 の あ る 価 格 と は い え な い 。 こ の た め 、 政 府 サ ー ビ ス の 産 出 額 は 、 そ の コ ス ト に よ っ て 評 価 さ れ る 。 具 体 的 な 政 府 サ ー ビ ス の 産 出 額 は 、 次 式 に よ っ て あ ら わ さ れ る 。 23 な お 、『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』 の 作 成 に 助 言 を し た 、 島 根 県 農 会 藤 原 勇 造 が 指 導 し 、 調 査 ・ 刊 行 さ れ た 島 根 県 の 町 村 是 に は 、 こ れ ら の 業 種 に つ い て 「 収 入 金 額 」、「 仕 入 元 控 除 額 」、「 純 益 金 」 が 判 明 す る 。 現 在 、 島 根 県 の 町 村 是 か ら こ れ ら の 業 種 に つ い て の 付 加 価 値 率 の 推 計 を 行 っ て い る 。 今 後 は 、 島 根 県 の 推 計 か ら 得 ら れ た 係 数 を 用 い て 『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』 の 商 業 、 サ ー ビ ス 業 所 得 額 の 推 計 を 行 う 予 定 で あ る が 、 さ し あ た り 今 回 の 推 計 で は 上 記 の 仮 定 を 用 い る 。 24 『 清 田 村・国 里 村 々 是 』の 被 服 消 費 額 に は 、ス ト ッ ク か ら の 利 用 額 が 消 費 額 と し て 計 上 さ れ て い る 。よ っ て 、(b)被 服 に は こ の 額 を 控 除 し た フ ロ ー の 支 出 額 の み を 計 上 し た 。 詳 し く は 、 斎 藤 ・ 尾 関(2004)、 pp.160-164 を 参 照 。 25 そ し て 、 こ の 貯 蓄 額 が 表 7 資 本 形 成 勘 定 の 34.個 人 貯 蓄 と な る 。 26 な お 、表 1 の 20.諸 税 負 担 額 は 村 民 の 納 入 額 し か 判 明 し な い た め 、表 6 は『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』 の 「 村 役 場 精 算 表 」 か ら 作 成 し た 。 そ の た め 、 両 者 の 金 額 が 異 な る 。 27 以 下 、 こ の 段 落 は 白 川 ・ 井 野 (1994)、 pp.44-45 頁 に よ る 。
政 府 サ ー ビ ス 産 出 = 中 間 消 費 + 付 加 価 値 = 中 間 消 費 + 雇 用 者 所 得 + 間 接 税 + 固 定 資 本 減 耗 だ が 、『 清 田 村 ・国 里 村 々 是 』か ら は 、こ の 式 を 満 た す 計 数 が 得 ら れ な い 。よ っ て 、表 6 の 19.財 及 び サ ー ビ ス へ の 村 役 場 支 出 と 同 額 を 27.村 役 場 サ ー ビ ス の 産 出 に 計 上 す る 。ま た 、政 府 サ ー ビ ス に 準 じ る で あ ろ う 29.耕 地 整 理 組 合 費 は 、 反 対 に コ ス ト が 判 明 し な い た め 、29. 耕 地 整 理 組 合 費 と 同 額 を 、 左 側 の 20.財 お よ び サ ー ビ ス へ の 耕 地 整 理 組 合 支 出 に 計 上 す る 。 表 6 全 体 の 説 明 を し よ う 。 表 の 右 側 は 、 村 役 場 の 受 取 勘 定 で 、 25.間 接 税 と 26.直 接 税 、 27.村 役 場 サ ー ビ ス の 産 出 、 28.国 ・ 県 か ら 村 役 場 へ の 移 転 、 29.耕 地 整 理 組 合 費 か ら な る 。 合 計 額 は 30. 村 役 場 収 入 に し め し た よ う に 、 清 田 村 14,468 円 、国 里 村 4,871 円 で あ る 。表 の 左 側 は 、村 役 場 の 経 常 収 入 の 処 分 を あ ら わ し 、19.財 お よ び サ ー ビ ス へ の 村 役 場 支 出 、 20.財 お よ び サ ー ビ ス へ の 耕 地 整 理 組 合 支 出 、21.村 民 へ の 移 転 支 出 、22.村 役 場 か ら 国 ・ 県 へ の 移 転 、23.村 役 場 か ら 他 町 村 へ の 移 転 、か ら 構 成 さ れ る 。村 役 場 の 支 出 は 、24.村 役 場 支 出 に あ る 清 田 村 10,288 円 、 国 里 村 4,029 円 、 で あ る 。 表 6 の 村 役 場 勘 定 で は 、 収 入 が 支 出 を 、 清 田 村 で 4,179 円 、 国 里 村 で 842 円 超 過 し て い る 。 [表 7 挿 入 : 資 本 形 成 勘 定 ] 表 7 は 、 村 内 の 資 本 形 成 勘 定 で あ る 。 右 側 は 投 資 の 源 泉 で あ る 貯 蓄 額 、 す な わ ち 表 5 の 12.個 人 貯 蓄 の 金 額 を 、34.個 人 貯 蓄 と し て 計 上 し た 。そ の 額 は 清 田 村 14,620 円 、 国 里 村 9,452 円 で あ る 。 一 方 、 表 7 の 左 側 は 、 貯 蓄 が ど の よ う な 形 で 村 内 お け る 資 本 形 成 の た め に 投 資 さ れ た か を 示 す 。 村 内 の 住 宅 と 家 具 お よ び 農 具 の 新 調・修 繕 費 と 村 役 場 の 土 木 費 支 出 と を 合 計 し た 、グ ロ ス 表 示 の 31. 村 内 投 資 の 額 は 、清 田 村 4,989 円 、国 里 村 3,725 円 で あ る 。こ の 額 を 表 4 の 9. 村 民 総 生 産 へ の 総 支 出 で 除 す る と 、 村 内 の 資 本 形 成 比 率 が 求 め ら れ る 。 そ の 値 は 、清 田 村 で 3.7% 、国 里 村 で 7.2% で あ る 。現 在 の 資 本 形 成 比 率 と 比 較 す る と 値 が 低 い よ う に 思 わ れ る 。 さ て 、34.個 人 貯 蓄 か ら 31.村 内 投 資 を 減 じ る と 、 貯 蓄 が 資 本 形 成 の 額 を 清 田 村 で 9,630 円 、 国 里 村 で 5,727 円 、 そ れ ぞ れ 超 過 し て い る 。 だ が 、 原 資 料 に は 数 字 と し て 記 載 さ れ て い な い 公 債 や 株 式 の 購 入 な ど が あ っ た と 思 わ れ る 。 そ こ で 、両 村 の 金 融 資 産 か ら 、公 債 や 株 式 の 購 入 額 の 推 計 を 試 み た 。『 清 田 村・国 里 村 々 是 』 に 記 載 さ れ た 金 融 資 産 額 は 、 清 田 村 46,761 円 、国 里 村 18,635 円 で あ
る28。こ の う ち 、債 券・貯 金 な ど の 合 計 額 は 、清 田 村 30,297 円 、国 里 村 12,518 円 で あ り 、い わ ゆ る 箪 笥 貯 金 と 思 わ れ る「 農 業 家 流 通 資 金 」、「 工 業 家 流 通 資 金 」、 「 商 業 家 流 通 資 金 」、「 雑 業 家 流 通 資 金 」 の 合 計 額 は 、 清 田 村 16,464 円 、 国 里 村 6,117 円 で あ る 。金 融 資 産 額 に 占 め る 割 合 を 求 め る と 前 者 が 清 田 村 65% 、国 里 67% 、 後 者 が 清 田 村 35% 、 国 里 村 33% と な る 。 両 村 を 平 均 す る と 金 融 資 産 の 比 は 、 ほ ぼ 2 対 1 と な る 。 そ こ で 、 清 田 村 と 国 里 村 の 貯 蓄 と 資 本 形 成 の 差 額 に 0.66 を 乗 じ た 額 を 、公 債 や 株 式 の 購 入 す な わ ち 32.村 外 へ の 投 資 と し て 、清 田 村 6,356 円 、国 里 村 3,779 円 を 計 上 し た 。し か し 、こ の 額 を 計 上 し て も な お 、 貯 蓄 が 投 資 を 清 田 村 で 3,274 円 、 国 里 村 で 1,947 円 超 過 し て い る 。 [表 8 挿 入 : 村 外 勘 定 ] 表 8 は 、 村 外 勘 定 で あ る 。 こ の 勘 定 は 、 対 外 関 係 取 引 を 示 す も の で あ り 、 村 外 か ら み る 勘 定 構 成 と な る 。 よ っ て 、 左 側 が 受 取 、 右 側 が 支 払 と な る 。 左 側 の 村 外 か ら の 受 取 は 36.輸 出 と 37.国 ・ 県 か ら の 村 役 場 へ の 移 転 (国 ・ 県 か ら 村 役 場 へ の 交 付 金)、 38.国 か ら の 移 転 所 得 (恩 給 ・ 勲 章 年 金 )、 39.海 外 か ら の 移 転 所 得(海 外 か ら の 送 金 )か ら な り 、そ の 合 計 額 で あ る 40.村 外 か ら の 全 受 取 は 、清 田 村 76,132 円 、国 里 村 24,026 円 で あ る 。右 側 の 村 外 か ら の 支 払 は 41.輸 入 (こ こ で 、41.輸 入 は 、『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』 の 「 物 資 輸 出 入 表 」 に 記 載 さ れ た 物 財 の 輸 入 額 に 、表 5 の 10.個 人 消 費 か ら 推 計 さ れ た サ ー ビ ス の 輸 入 額 、表 7 の 32. 村 外 へ の 投 資 額 を 加 え た 額 で あ る)、42.村 役 場 か ら 国・ 県 へ の 移 転 、43.村 役 場 か ら 他 町 村 へ の 移 転 か ら な り 、44.村 外 へ の 全 支 払 は 、 清 田 村 58,318 円 、 国 里 村 26,347 円 と な る 。 表 8 村 外 勘 定 で は 、 清 田 村 で は 、 受 取 が 支 払 を 17,814 円 超 過 し 、 一 方 国 里 村 で は 、 逆 に 支 払 が 受 取 を 2,321 円 超 過 し て い る 。 こ こ で は 、 両 村 の 対 外 関 係 全 体 を み て き た 。 そ こ で の 勘 定 は 不 突 合 を し め し て い る が 、『 清 田 村・国 里 村 々 是 』の「 物 資 輸 出 入 表 」は 、物 的 財 に 関 す る 限 り 、 そ の 把 捉 率 は 高 い と 思 わ れ る 。 そ こ で 、 村 外 市 場 と の 関 連 を 具 体 的 に 示 す た め に 、 こ こ で 農 業 と 工 業 に つ い て の 輸 出 依 存 度 を 考 察 す る 。 こ こ で は 、 各 品 目 名 【 清 田 村 輸 出 依 存 度(% )/ 国 里 村 輸 出 依 存 度 (% )】( た だ し 、 輸 出 依 存 度 が 判 明 し な い 品 目 に つ い て は 「 ‐ 」 で 示 す ) で 、 両 村 の 輸 出 依 存 度 を 確 認 し よ う 。 ① 米 【55/ 36】、 大 麦 【 21/ 27】、 小 麦 【 43/ 52】、 玉 蜀 黍 【 98/ ‐ 】、 28 中 込 編 (1915)、 pp.16-17、 pp.74-75。
大 豆 【45/ ‐ 】、 そ の 他 豆 類 【 20/ ‐ 】 ② 蔬 菜 類 【46/ 52】、 果 実 類 【 26/ 13】 ③ 種 苗 類 【11/ 2】 ④ 桑 【12/ 8】、 繭 【 97/ 92】 ⑤ 鶏 卵 【28/ 45】 ⑥ 瓦 煉 瓦 類 【 ‐ /92】、 藁 細 工 類 【 ‐ / 68】 ① は 、 穀 類 を 中 心 に ま と め た 。 米 は 、 両 村 の 平 均 で お よ そ 45% が 輸 出 さ れ 、 特 に 清 田 村 の ほ う が 国 里 村 よ り も 約 20% 輸 出 依 存 度 が 高 い 。② の 蔬 菜 類 は 、両 村 が 甲 府 市 近 郊 に あ る た め 輸 出 依 存 度 が 高 く な る 。 果 実 類 に つ い て は 、 蔬 菜 類 に 比 べ る と 輸 出 依 存 度 は 低 く な る が 、そ れ で も 清 田 村 で は 4 分 の 1 強 を 輸 出 し て い る 。 ③ 種 苗 類 は 、 両 村 と も に 輸 出 依 存 度 は 高 く な い 。 そ れ は 、 村 内 で の 生 産 に 用 い ら れ る か ら あ る 。 ④ 桑 の 輸 出 依 存 度 も 高 く は な い が 、 そ れ は 繭 を 生 産 し て そ の 繭 を 村 外 へ 輸 出 す る か ら で あ る 。 製 糸 工 場 の 存 在 し な い 両 村 で は 、 繭 の 市 場 依 存 度 が 高 く 、90% 以 上 を 村 外 へ 輸 出 し て い る 。⑤ 鶏 卵 は 、清 田 村 で 生 産 量 の 3 割 弱 、 国 里 村 で ほ ぼ 半 分 を 輸 出 し て い る 。 ⑥ 瓦 煉 瓦 類 は 、 先 に 見 た よ う に 中 央 線 の 敷 設 に 使 用 さ れ た り し た た め 、 そ の ほ と ん ど が 輸 出 さ れ て い る 。 ま た 、 農 家 副 業 が 中 心 と 思 わ れ る 藁 細 工 も そ の 7 割 近 く が 輸 出 さ れ て い た 。 甲 府 市 近 郊 の 両 村 で は 、 そ の 市 場 向 け の 生 産 が 行 わ れ て い た 。 そ の た め 、 全 体 的 に 輸 出 依 存 度 は 高 く な っ た の で あ ろ う 。 実 際 、 物 的 財 の み の 輸 出 入 に 限 る と 、 清 田 村 29,845 円 、 国 里 村 4,834 円 の 輸 出 超 過 で あ る こ と が 分 か る29。 [表 4 挿 入 : 村 民 総 生 産 と 総 支 出 勘 定 ] 以 上 、4 つ の 勘 定 体 系 を 提 示 し た が 、 最 後 に 表 5~ 表 8 か ら 作 成 さ れ る 表 4 村 民 総 生 産 と 総 支 出 勘 定 を 見 て い こ う 。 こ こ で は 、 左 側 に 村 民 所 得 の 成 立 が 、 右 側 に そ の 支 出 の 形 態 が 示 さ れ て い る 。 左 側 は 、1.間 接 税 (25)と 2.要 素 価 格 表 示 の 村 民 所 得(14)か ら な り 、3.市 場 価 格 表 示 の 村 民 生 産 は 、清 田 村 122,746 円 、 国 里 村 58,941 円 で あ る 。右 側 の 支 出 は 、4.民 間 部 門 に よ る 財 お よ び サ ー ビ ス の 消 費(10)、5.財 お よ び サ ー ビ ス へ の 村 役 場 ・ 耕 地 整 理 組 合 支 出 (19)・ (20)、6.村 内 投 資(31)、7.輸 出 (36)を 足 し 上 げ 、そ れ か ら 輸 入 (41)を 減 じ た 額 で あ る 。右 側 の 合 計 額 で あ る 9.村 民 総 生 産 へ の 支 出 は 、 清 田 村 133,982 円 、 国 里 村 52,045 円 が 計 上 さ れ て い る 。そ し て 、清 田 村 で は 総 支 出 が 総 生 産 を 11,236 円 超 過 し 、 29 中 込 編 (1915)、 pp.58-60、 pp.114-116 よ り 計 算 。
逆 に 国 里 村 で は 、 総 生 産 が 総 支 出 を 6,896 円 超 過 し て い る 。 4 - 4 推 計 の 問 題 点 と そ の 改 善 策 前 項 で は 町 村 是 を 用 い た 「 村 民 経 済 計 算 」 の 推 計 を 行 っ た 。 そ の 結 果 は 、 表 5 の 個 人 勘 定 を 除 い て 不 突 合 が 生 じ て い る 。 そ の た め 、 前 項 で 行 っ た 推 計 の 順 番 に そ っ て 、 そ の 問 題 点 と 現 時 点 で の 改 善 策 を 述 べ る 。 ま ず 、表 6 村 役 場 勘 定 に つ い て で あ る 。今 回 使 用 し た『 清 田 村・国 里 村 々 是 』 が 作 成 さ れ た 清 田 村 と 国 里 村 は 組 合 村 で あ り 、両 村 で 村 役 場 は 一 つ で あ る 。「 歳 入 出 精 算 表 」 は 、 清 田 村 、 国 里 村 、 組 合 村 の 計 3 つ 作 成 さ れ て お り 、 表 6 は こ れ を 使 用 し た 。 組 合 村 の 「 歳 入 出 精 算 表 」 か ら 、 組 合 村 へ の 負 担 額 が 、 清 田 村 65% 、国 里 村 35% で あ る こ と が 判 明 し 、こ の 割 合 に も と づ い て 、両 村 に 按 分 し た30。 こ の た め 、 勘 定 の バ ラ ン ス が と れ て い な い の か も し れ な い 。 も う ひ と つ は 、19.財 及 び サ ー ビ ス へ の 村 役 場 支 出 と 27.村 役 場 サ ー ビ ス の 産 出 と の 関 係 で あ る 。 今 回 は 、 現 在 の 「 国 民 経 済 計 算 」 の 慣 行 に 従 っ た 推 計 を お こ な っ た 。 す な わ ち 、 村 役 場 サ ー ビ ス の 産 出 を 支 出 か ら 推 計 し て い る 。 だ が 、 政 府 の サ ー ビ ス 産 出 は 、 明 ら か に コ ス ト よ り も 低 い と 思 わ れ る 。 よ っ て 、 本 来 な ら ば 、27. 村 役 場 サ ー ビ ス の 産 出 は 、19.財 お よ び サ ー ビ ス の 村 役 場 支 出 よ り も 少 な い は ず で あ る 。 そ の 結 果 、 勘 定 体 系 の バ ラ ン ス が 改 善 さ れ る こ と が 期 待 さ れ る 。 次 に 表 7 資 本 形 成 勘 定 は 、34 個 人 貯 蓄 が 、村 内 お よ び 村 外 へ の 投 資 額 を 上 回 っ て い る 。 今 回 は 、 家 具 、 農 具 、 雑 用 具 、 住 宅 、 お よ び 村 役 場 の 土 木 費 か ら 推 計 し た 。 し か し 、 各 農 家 が 農 地 の 畦 な ど を 整 備 す る こ と も 資 本 投 資 で あ る 。 ま た 、教 育 費 の 支 出 は 人 的 資 本 へ の 投 資 と い う こ と も 可 能 で あ ろ う 。加 え て 、 表 7 の 資 本 形 成 勘 定 に つ い て は 、家 計 に お け る 耐 久 消 費 財 の 購 入 を 投 資 と し て 扱 う こ と に よ り 、 収 支 勘 定 を 少 し 改 善 で き る と 思 わ れ る 。 こ の 点 を も う 少 し 具 体 的 に 述 べ よ う 。 「 国 民 経 済 計 算 」 の 慣 行 で は 、 企 業 部 門 で は 通 常 「 資 本 支 出 」 と し て 扱 う 消 費 支 出 も 家 計 部 門 で は 、「 経 常 支 出 」と し て あ つ か う 。た と え ば 個 人 が パ ー ソ ナ ル ・ コ ン ピ ュ ー タ ー を 購 入 す る と 「 消 費 支 出 」 と な り 、 企 業 が 購 入 す る と 「 資 本 形 成 支 出 」 と な る 。 乗 用 車 を は じ め 住 宅 を 除 い て そ の 他 の 耐 久 消 費 財 に つ い て も 同 じ 扱 い で あ る31。 戦 前 お よ び 戦 後 し ば ら く の 間 、 消 費 者 が 流 行 の 変 化 に 敏 感 に 変 化 す る 以 前 に は 、被 服 は 家 計 に お け る 耐 久 財(資 産 )で あ っ た 。実 際 、『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』 に お い て も 被 服 ス ト ッ ク は 調 査 さ れ て お り 、 他 県 の 町 村 是 で も 被 服 ス ト ッ ク が 調 査 さ れ 、 被 服 の 消 費 額 が ス ト ッ ク か ら の 減 価 償 却 と し て 30 『 清 田 村 ・ 国 里 村 々 是 』 ,p.253。 31こ の 問 題 は 、 中 村(1999)、 pp.83-87 に お い て 論 じ ら れ て い る 。
推 計 さ れ て い る32。 実 際 、 清 田 村 と 国 里 村 に お い て も 一 戸 当 た り の ス ト ッ ク 額 で 、 被 服 が 家 具 ・ 雑 用 具 を 若 干 上 回 っ て い る33。 こ れ は 、 消 費 行 動 に お い て ス ト ッ ク を 補 充 す る と い う 動 機 が 強 か っ た こ と を 含 意 す る 。 よ っ て 、 表 5 の 10. 個 人 消 費(b)被 服 の 一 部 を 31.村 内 投 資 に 計 上 す る こ と も 許 さ れ る で あ ろ う 。 以 上 の 点 が 考 慮 さ れ る と 、 前 項 で 示 し た 両 村 の 資 本 形 成 比 率(清 田 村 3.7% 、 国 里 村 7.2% )の 低 さ も 、 改 善 さ れ る と 思 わ れ る 。 つ づ い て 、 表 8 の 村 外 勘 定 に お け る 輸 出 入 の 額 に つ い て で あ る 。 先 に 見 た よ う に 、 清 田 村 で は 村 外 か ら の 受 取 が 支 払 を 超 過 し 、 反 対 に 、 国 里 村 で は 村 外 へ の 支 払 が 受 取 を 超 過 し て い る 。 両 村 と も に 不 突 合 が 生 じ て い る が 、 符 号 が 逆 で あ る 。 す な わ ち 、 清 田 村 で は 輸 入 に つ い て 、 国 里 村 で は 輸 出 に つ い て の 把 捉 が 不 十 分 で あ る 可 能 性 を 有 す る 。 清 田 村 に お け る 輸 入 の 過 小 は 、 把 捉 さ れ に く い サ ー ビ ス の 輸 入 と 考 え ら れ る 。 国 里 村 に つ い て は 、 何 ら か の 理 由 で 輸 出 が 把 捉 さ れ な か っ た の で あ ろ う 。 こ の 問 題 を 、 表 4 の 村 民 総 生 産 と 総 支 出 勘 定 と の 関 係 で 考 え る 。 表 4 の 村 民 総 生 産 と 総 支 出 勘 定 は 、 清 田 村 で は 総 支 出 が 総 生 産 を 11,236 円 超 過 し 、 国 里 村 で は 反 対 に 総 生 産 が 総 支 出 を 6,896 円 超 過 す る 。 表 8 村 外 勘 定 に お い て 、 清 田 村 は 17,814 円 の 輸 出 超 過 、 国 里 村 は 2,321 円 の 輸 入 超 過 で あ る 。 仮 に こ の 額 が 把 捉 さ れ て い な い 両 村 の 輸 出 入 額 で あ る な ら ば 、 表 4 村 民 総 生 産 と 総 支 出 勘 定 の 右 側 の 8.(控 除 )輸 入 額 に 清 田 村 17,814 円 、7.輸 出 額 に 国 里 村 2,321 円 を 加 え る と 、 9.村 民 総 生 産 へ の 総 支 出 は 、 清 田 村 116,168 円 、 国 里 村 54,366 円 と な り 、 表 4 の 勘 定 は 両 村 と も 総 生 産 が 総 支 出 を 、 清 田 村 6,577 円 、 国 里 村 4,575 円 の 超 過 と な り 、 現 時 点 の 推 計 値 よ り も 収 支 の バ ラ ン ス 勘 定 が 改 善 さ れ る 。 お わ り に 歴 史 統 計 を 用 い た 所 得 推 計 に お い て 、 仮 定 さ れ た 付 加 価 値 率 お よ び 所 得 率 か ら 所 得 推 計 の 作 業 が 進 め ら れ る こ と が 多 い 。 今 回 の 分 析 は 、 町 村 是 に 記 載 さ れ た 生 産 コ ス ト 、 す な わ ち 実 際 の 中 間 財 投 入 額 を 用 い た 所 得 推 計 を 行 い 、 そ の 所 得 額 か ら 「 国 民 経 済 計 算 」 に 準 じ た 「 村 民 経 済 計 算 」 の 推 計 を 試 み た 。 そ の 結 果 、現 時 点 の 推 計 値 は 改 善 の 余 地 を 含 む も の で あ る 。よ っ て 、『 清 田 村・国 里 村 々 是 』 の 3 つ の 勘 定 体 系 、 す な わ ち フ ロ ー 勘 定 の 「 収 入 及 支 出 」、「 町 村 内 外 輸 出 入 総 額 」、お よ び ス ト ッ ク 勘 定 の「 町 村 共 有 財 産 、貯 蓄 金 額 」の 整 合 性 を 保 持 し た 、「 村 民 経 済 計 算 」 の 推 計 を 行 う こ と が 今 後 の 課 題 で あ る 。 32尾 関(2003)、 pp.96-100 を 参 照 。 33斎 藤 ・ 尾 関(2004)、 pp.177-178 を 参 照 。
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