水素エネルギーシステム Vo1.21. No.2. 1996 特集
三洋電機における平板型
SOFC
の開発状況
三宅泰夫
三洋電機株式会社、ニューマテリアル研究所 干570 大阪府守口市大日東町1- 1R
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and Development o
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SOFCS
Yasuo恥但YAKE
New Materials Research Cen胞r.SANY 0 Electric Co..Ltd
1-1, Dainichi Higashimachi,Moriguchi-City, Osaka 570, Japan
A 2 kW c1ass combined cell stacked module (182 cm2 X 4>く17)was examined. An output
power of 2.47 kW and output power density of 0_20 W Icm2 were obtained at the current density ofO.3A/cm2 As conceming basic r,回earchesfor improving thermal cyc1e characteristics, we investigated two materials, sealing materials and separator materials to improve the thermal cyc1e characteristics. A silica/alumina-based sealing material was used for the gas seal, and deterioration of theV-Icharacteristics was quite small after 12 thermal cycles_ A heat-resisting ferritic al10y W拙 testedto use as a separator in order to bring the thermal expansion coefficient of the separator c10ser to that of the electrol戸e_ High performance was obtained for 20
∞
hours at 9∞
C
C
in an endurance test and deterioration of the cell performance was qui胞sma11after a thermal cyc1e‘ On the other hand, it was calculated that a life of 4O,OOOhωn be achieved by suppressing chromium diffusion to a cathode from an alloy separator by a cathode second layer. 1.緒 言 三洋電機(株)では、 1988年から国体電解質型燃料電池 (SOFC) の研究に着手し、 合金バイポーラを用いた平板型SOFCの開発を行ってきた1-11)。 1994年には、 160cm2X
30セル小型モジュールにて 1064Wの性能を得、 1870時間の 連続運転後の劣化率は4.9%/1000hと平板型kW級モジ、ユールでは優れた性能であるこ とを確認した12,14,16-18,20-21)。
これまでの開発経緯を図1 に示す。 本報では、 1996年に実施 した当社独自の内部熱交換 ダクトを有する複合セル積 層型2kW級モジュールの運 転性能およびサーマルサイ クル性能向上および寿命性 能向上を呂的とした基礎研 究に関する報告を行なう23)。3
.
5
3.0室
2.5h
2
。
丑1.5 1.00
.
5
年度
図1 SOFC開発経緯(三洋電機(株) )-18-水素エネルギ←システム Vo1.21, No.2, 1996 2. 実 験 特集 2.1複合セル積層型モジュール 試験した複合セル積層型モジ、ユールは、電極有効面積728cm 2 (182cm 2X4並列
k
積層数17段である。モジュールの構成材料を表1に示す。電櫨およびカソード第2層の 作製方法は、既報19)に従った。本複合セルの平面概念図を図2に示す。中央部が当社独 自の内部熱交換ダクトであるO 表1 モジ、ユール構成材料 Component Material Anode NiO・8YSZ Cathode LaO.9SrO.1Mn03-8YSZ Cathode 2nd layer LaO.9SrO.1Mn03-La203 Electrolyte 3YSZ Bipolar plate Ni-Cr alloy一
Internal heat-exchanging duct Cell 図2 複合セル平面構造図 2.2サーマルサイクル性能向上を目的とした基礎検討 ‘以下の2
つの項目について検討を行った。1
.
バイポーラプレートの材質改良 II.シール材料の改良 ノfイボーラプレートの材質改良に関しては、熱膨張率が電解質のそれに近く、かっ 安価な材料という観点からフェライト系合金を選択した。表2に検討に用いた材料を示 す。 表2
バイポーラプレート試験材料 No Material Thermal expansion Remark coefficient (K-l) A Ferritic alloy 12.7 X 10-6 Fe-based (Containing rare earth) B Fεrritic alloy 13.0 X 10-6 Fe-based C Austenitic alloy 16.7X 10-6 Ni-based YSZ 10.5 X 10-6 まず、 10000C
、air中での暴露試験により、材料自身の耐酸化性を評価しスクリーニ ングした後、単セル寿命試験およびサーマルサイクル試験での総合評価を行ったO 試 験セルサイズは50mm口とし、サーマルサイクル試験時のシール材料にはガラス単体を 用い n u 吋 S ム水素エネルギ システム Vo1.21, No.2, 1996 シール材料の改良に関しては、表3に示 す材料を用い150mm己単セルでのサーマ ルサイクル試験結果で評価した。 2.3寿命性能向上を目的とした基礎 これまでに、カソード第2層が寿命性 能向上に有効であることを報告してきた 67,1,0 11,13,15,19)。本研究ではカソード第 No. a b c d 』 同 園 田 園 田 ・ ・ 特集 表
3
シール試験材料 Material Si021 A1203-fiber YSZ-powder 100wt% GlassノYSZ=60/40wt% Glass 100wt% 2層(Lao.9Sro.1Mn0390wt%-La20310wt%)を形成し、カソード第2層と寿命性能の関係 を定量的に評価した。カソードへのクロム拡散は、クロム酸化物タプレットを用いて 行った。クロム酸化物としては、 Cr203および、CoCr04を用いた。作動温度、クロム蒸 気圧、電流密度をパラメータとして、種々条件下でのカソード第2層のクロム拡散抑 制s性能をセル寿命から定量的に評価した。実験条件を表4に示す。ここでqはクロム の影響がない場合のカソード分極、 ムlogaoは次式から算出したカソード/電解質界面での酸素活量低下分である。 ム logao=一(2
ザF/R
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)
log e 表4 実験条件一覧T Oxidc PH:O P CrOz(OH)l P CrO、 j q f:.luga 0
/ K /atm /alffi /alm /Aoωi2 /v
107J CnOJ 1.43X !O・3 2.94X 10・8 1.7YXW.9 0.120 o‘120 -し127 1073 CnOJ 1.43X 10・3 2.94X 10・8 1.7YX 10・9 O.IXO ,1(175 -1.644 1073 CnOJ 1.43X 10・3 2.')4X 10・8 1.7lJXW.9 0.200 0.200 -1.87ザ 1073 CnOJ l.43X 10.3 2.94X 10・8 1.7YX 10.9 0.240 O.2-l0 -2.254 1073 CnOJ L43X 10-3 2.94X 10・8 1.7lJX 10・9 0..145 0.310 -2.912 1073 CoCnO
,
1.43X 10-3 9.41 X 10.9 5.74X !()・10 0.120 0.110 -1.127 1073 CnOJ 1.43X 10':3 2.94XIO・s 1.7lJX 10・2 0.120。
120 咽1.127 lL23 Cn03 1.43X 10<3 4.14X 10.8 5.96X 10.9 o 咽240 0.125 咽1.l27 1173 Cn03 1.43X 10.3 5.69X 10・8 1.7lJX j()"8 0.300 0.130 -1.127 3.結 果 お よ び 考 察 3.1モジュール性能 図3
にモジューjレの外観写真を示すO バイポーラプレートサイスは350mmX 350mm であるO 酸化剤ガスはプレヒートパイプー内部熱交換ダクトを経て各セルに供給され るO 図4に電流一電圧一出力特性を示すO 電、 L密度O.3A/cm 2において出力2.47kW,出 力密度O.2W/cm2を得た。複合化したことでの出力密度低下は認められなかったものの、 17層中1層のみ燃料高利用率運転が不可能であったため、モジューJレとしてUf=15%以 上では安定した運転を行うことができなかった。 -20ー特集 ノドぷエネルギーシステム Vo1.21, NO.2.1996 言 、 ﹄ 臥 w -P O 色 n u h u 内 U A U n u n M A M A M 広 弱 肉 U F O a u 勾 4 内 4 4 a -E 500 o
可保了可
事 也h Fuel: H2 Oxldant : Alr Uf/Uox・15/30% (at 0.3 A cm .2) Temp.:1000 't 0.3 0.2 0.1 o o 20 10 ﹀ ﹄ ω m 帽 ど O ﹀ - - ω ω Current density I A cm-2 電流-電圧-出力特性 3-2. サーマルサイクル性能向上 I .バイポーラプレートの材質改良表
2に示す材料を、空気中10000C
にて1000時間保持した後の重量増減量を図5に示 す。材 料Bの酸化進行が最も激しく、スケール剥離量が最も多かった。これに対し、材 料Aは材料Bと同じフェライト系合金であるが、希土類が少量添加されたことによって 酸化進行が抑制され、スケール剥離量も減少した。そこで、材料Aを用いて、単セル の寿命試験を行った。図6に示すように、 2000時間の運転でも顕著な劣化は観察され なかった。以上のように、従来耐酸化性に問題があるとされていたフェライト系材料 においても希土類少量添加により、長寿命化が可能であることを見いだした。図 7に 材料Aを用いた場合のサーマルサイクル試験結果を示す。比較として材料c(従来材料) を用いた場合の結果を示した。材料Cの場合、サーマルサイクルによりO.C.V., 特性と もに低下したが、材料Aでは、サーマルサイクル前後で性能に変化は無く、材料Aが耐 サーマルサイクル性能向上に効果のあることが確認された。バイポーラプレートの熱 膨張率を電解質の熱膨張率に近づけたことにより熱ひずみが緩和されこの結果をもた らしたものと考えられるO 図4 モジュール外観写真 図3
1000I
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附 回IIIIロ立主 Current density: 0.3 A cm-2 Temp. : 900 "c Size : 50 m m x 50 m m 600長 、 800 400 ﹀ Eコ
w o s -O ﹀- - ω υ
闘Afteroxidation 口Afterremoving crumbly oxide 内 U 向 U 向 u h u h u h u h u n H w h U A U A U 叩 8 6 4 2 4 4 6 8 羽 N-EOOE で O O E g -O 崎 町 4 m m w E 2000 情∞ 10∞
500 200 L -n u n Mc
A Ferr靴Icalloy contaï~-I~g- r~-;~ ~arth Ferrltlc alloy B Timel h 単セル寿命試験結果 図6
噌 E A o h (Inconel 600) 酸化試験後の重量増減 図5
特集 訳 、 h u c 息 忌 ﹄ 古 田 昌 一 冊 。
ω
100 80 60 40 水素エネルギーシステム Vo1.21, No.2, 1996 Temp.: 1000 "c Size : 50 m m x 50 m m 1200>
1000 E ・... (IJ m n:s-
o 〉。
U 800 600 400 20 before 200o
12 10 8 Thermal cycle 6 4 2 。 場5 0.4 Current density I A cm-2 サーマルサイクル試験結果 0.3 0.2 0.1 oo
サーマルサイクル試験結果 図8 れ H U F L n u n υ n υ n u n u n u n u n u n U ハ U n υ n u n u n u n u n u n u a u R u n 斗 内 / ﹄ フ ﹄ n 斗 1 2 1 一 一 ﹀g
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400 600 Time/ h I 0.120 A/cm?η= 120mV , s log ao=一1.127一
-
0.120 A/cm: without the cathode second layer・
0.180A/cm:η=175mV. s log ao::::-1.644。
0.200A/cm:η=20伽IV. s log ao=-1. 879・
0.240A/cm:η=240mV, s log 30=-2.254 A 0.345 A/cm,2η=31OmV, !J.iog 30=-2.912 1000 800 200 II.シール材料の改良 表3に示した材料全てに関して 1回のサ ーマルサイクル試験を施したところ材料a が最も優れた性能を示すことが分かった ため、材料aを用いて12国のサーマルサイ クjレ試験を行った。結果を図8
に示す。 比較のために材手初(従来材料)の試験結 果を合わせて示すo 12囲のサーマルサイ クル後も顕著な性能低下はなく、材料aの 有用性を確認できたO 電解質とシール材 料聞でのすべりによってセjレ内各部材関 の熱膨張差を緩和し、電解質板の割れを 防止したものと考えられるO 図7 クロム蒸気圧一定下における 各電流密度でのセル寿命特性0.0
圃 園 圃 園-
1
圃O
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セル寿命とムloga 0の関係。
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図9
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-22-図10 3.2.寿命性能向上 図9
に一定のクロム蒸気圧下における各 電流密度でのセル寿命特性を示す。酸化 物タブレットとしてCrz03を用い、作動温 度は8000C
とした。なお、比較例として、 カソード第2層を設けない場合の結果を 破線で示したO 電流密度すなわちカソー ド分極の増大に伴い劣化が促進された。 国10に各セjレのセjレ寿命とムlog aoの関係 を示すc ここでの、セル寿命は図9にお いてセル電圧が.300mVになるまでの時間 とした。ムlog aoの低下により、セル寿命 が短くなったO これはカソード第2層が あっても、界面での酸素活量の低下によ ってクロムの析出速度が増大するためと 考えられる。JI<素エネルギーシステム Vo1.2,1 No.2, 1996 特集 1000 ~ 500 without 2nd layer
-
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- 6 ・ 回 国 -nunu nunU ハυ n U O C 2 1一 一 一 。
υ 2500 ..c ¥20002
1500 O 3 6 9 12 15 (Xl07) l/p (Cr) [atm-1] 1 0 20 30 40 50 . 60ヲ.
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1) l/p(Cr) [atm-'] 図11 クロム蒸気圧とセル寿命の関係(j) Calculated Cr03 vapor pressure 打 開 Cr203at 900 "C. (ii)Calculated Cr03 vapor pressure from CoCr204 at 900 oC.
(i i i)Calculated Cr03 vapor pressure fron日Cr203at 800 'c圃
図12 寿命予測概算結果 図1ltこムlogao一定の条件下でクロム蒸気圧を変化させた場合のセル試験結果から得ら れたクロム蒸気圧とセル寿命の関係を示す。実線はカソード第
2
層を設けた場合、点 線は第2
層を設置しない場合である。第2
層設置により大幅に寿命が伸びることが分 かった。また、第2層有無の場合のセル寿命の差は、第 2層中のLa203とクロムとの反 応が飽和するまでの時間によると考えられるO これらの実験結果をもとにセル寿命の 予測を行った結果を図12に示す。カソード第 2層中のLaz03量 10wt%、厚み 800μm、 カソードガス中の水蒸気分圧10'4atmの条件下、カソード分極qをパラメータとして概 算した結果、ヮ
=60mV程度にすることにより 40,000時間の運転が可能であると推定 された。4
.
まとめ 当社独自の内部熱交換ダクトを有する複合セル積層型2kW級モジュールにて、出力 2.47kW,出力密度0.2W/cm2を得たC さらに、シール材料の改良およびブエライト系 セバレータの採用により、単セjレにて 12回のサーマルサイクルに成功した。 また、クロムによる劣化の観点からは、カソード第2層の設置により、合金セバレー タを用いた場合でも 4万時間の運転が可能であるとの試算結果を得た。 なお、本研究の一部は、ニューサンシャイン計画の一環としてNEDOの委託により実 施したものであるo 参 考 文 献1) Y. Akiyama et a,.lDevelopment of a Planar Solid Oxide Fuel Cell at Sanyo,
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、
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-23-水素エネルギーシステム
Vol.21, No.2, 1996 特集
InternationalConference of New Energy Systems and Conversions,657司661(1992)
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(
1
993) 7)谷口 他、合金セバレータを用いたSOFC長寿命化の検討、 93
年電気化学秋期大 会、 11、 (1993) 8)安定 他、平板型間体電解質燃料電池モジュールの特性、第34
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1
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3
回SOFC研究発表会、5・8 (1994)
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6国電池討論会、277・278 (1995)
18) Y. Miyake et a,.lStatus of R&D activities of fuel cells at SANYO, Proceedings of Fourth Grove Fuel Cell Symposium, 6 (1995)
19)谷口 他、 SOFCにおけるカソード第2層のクロム拡散抑制性能、 95年電気化学
秋期大会、 194 (1995)
20) 秋山 他、三洋電機におけるSOFC開発状況、第 4回SOFC研究発表会、
5-8
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1
995)21) M. Kadowaki et al,.DEVELOPMENT STATUS OF PLANAR SOFCs AT SANYO, Proceedings of the 2nd International Fuel Cell Conference, 231-234 (1996) 22) 谷 口 他 、 Suppressionof Chromium Diffusion to an SOFC Cathode from an Alloy Separator by a Cathode Second Layer、電気化学および工業物理化学、 Vol. 64、 No. 6.