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減圧アークを用いた放射性廃棄物の乾式表面除染技術

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Academic year: 2021

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主要な研究成果

背 景

プラズマ除染技術は、化学除染やブラスト除染と異なり除染液や研磨剤が不要のため、二次廃棄物が少ない という特長を持つ。種々のプラズマの中で減圧アークは、金属表面の酸化皮膜を選択的に除去するという性質 を持つこと、処理の高速性等から、最も実用化に近いと考えられる* 1。そこで、電力中央研究所では、原子 力施設の運転・解体時に発生する放射性金属廃棄物を対象とした減圧アーク除染技術の研究開発を進めてい る。しかし、60Co 放射能除染性能等は明らかでない。

目 的

減圧アーク除染技術における(1)適用可能な処理対象、(2)60Co 放射能除染性能、(3)処理時に発生する ダストの回収方法の観点から、減圧アーク除染技術の放射性金属廃棄物への適用可能性を明らかにする。

主な成果

減圧アーク除染装置(図 1)を用いて、模擬放射性廃棄物試験片に減圧アークを適用し、以下の成果を得た。 (1)適用可能な処理対象 軽水炉一次冷却水系環境下で形成した腐食生成物皮膜を含む種々の組成、膜厚の酸化皮膜を減圧アークに より除去できることを明らかにした(表 1、図 2)。また、配管形状の処理対象にも適用できることを確認し た。 (2)60Co放射能除染性能 60Co 放射能除染性能の観点からのガス種、圧力に関する推奨処理条件として、アルゴン、40Pa、および 一酸化炭素、40 ∼ 700Pa を得た。この条件下で60Co 除去率約 90 %を達成することができた(図 3) また、この時の60Co 除去率向上の機構は次の様であることを明らかにした。減圧アークにより、腐食生 成物皮膜を除去すると、腐食生成物皮膜内に存在する60Co の一部は、母材金属表面から約 30 μ m の厚さ領 域に移行し、残留する。この60Co が残留する割合は、主に雰囲気の圧力に依存し、処理前の60Co の 20 ∼ 80 %である。この後、更なる減圧アーク処理の繰り返しによって60Co を含む母材金属を蒸発・除去するこ とにより、60Co 除去率が向上する。 (3)処理時に発生するダストの回収方法 気流を用いたダストの回収方法に関して、推奨処理条件下でダスト回収率* 2最大 60 %を得、減圧アーク 除染におけるダストの回収方法としての有効性を確認した。 以上より、減圧アーク除染技術の放射性金属廃棄物への適用可能性を明らかにした。

今後の展開

減圧アーク除染技術の確立に向け、核種の飽和蒸気圧などが除染性能に及ぼす影響を解明する。 主担当者 電力技術研究所 高エネルギー領域 主任研究員 古川 静枝 材料科学研究所 PD センター 上席研究員 神戸 弘巳 関連報告書 電力中央研究所報告: W01004、W01011、T02026、W03017、H04019 90

減圧アークを用いた放射性廃棄物の乾式表面除染技術

* 1 :足立、他、電力中央研究所調査報告: W00030(2001) * 2 :吸引気流による回収を行っていない場合に試験片上に残留したダストの重量に対して、回収を行った場合に低減 できた試験片上のダストの重量が占める割合をダスト回収率と定義した。

(2)

5.原子力発電/原燃サイクル

91 酸化皮膜 平板試験片 陽極 減圧アーク 吸引口 ダスト ロータリー ポンプへ 陽極 陰極点 減圧アーク 試験片(陰極) 図1 (a)吸引機構つき減圧アーク除染装置 表1 減圧アークにより酸化皮膜除去ができた模擬放射性廃棄物試験片 形状 平板10×20mm∼100mm角、配管φ39×100mm∼φ114×200mm 母材金属材質 SUS304、SUS316L、SUS430、インコネル600、S50C、SS400 酸化皮膜種類 (組成、膜厚)

60Co含有腐食生成物皮膜(Fe2O3、FeCr2O4等、1∼2μm)、熱酸化皮膜(FeCr2O4等、

1∼2μm)、黒皮(Fe3O4、7μm)、白・赤錆(ZnO、Fe2O3、数100μm) 図2 酸化皮膜の除去(腐食生成物皮膜の例) 0 20 40 60 80 100 0 10 20 30 40 50 60 減圧アークによる母材金属の除去厚さ(μm) 60Co除去率 (%) 腐食生成物皮膜 母材 処理前 腐食生成物皮膜除去後 減圧アーク 処理 60Co 繰り返し処理により 約40%が再移行 斜線部母材金属中の 約40%が再移行 斜線部母材金属中の 減圧アーク 処理 減圧アーク 処理 減圧アークで 除去される母材金属 Co除去率が向上 60Coの約60%が除去 60Coの約60%が除去 図3 母材金属の除去厚さと60Co除去率の関係(ガス種Ar、圧力40Pa) ガス種:Ar、圧力:40Pa アーク電流:60A 腐食生成物皮膜つき配管 (φ39×100) 処理前 処理後 ※基板表面に腐食 生成物皮膜が形成 されている。 ※金属光沢が観 測されている。 ※腐食生成物皮膜 の結晶粒界が観測 されている。 ※結晶粒界が 消失している。 ※基板表面に腐食 生成物皮膜が形成 ※金属光沢が観 測されている。 ※腐食生成物皮膜 の結晶粒界が観測 されている。 ※結晶粒界が 減圧アーク内に形成される陰極点が酸化皮膜を探して動 き回ることより、酸化皮膜が溶融・蒸発・除去される。 腐食生成物皮膜の 除去を確認した。 腐食生成物皮膜除去時には、60Co除去率は約50%である が、その後の繰返し処理により、母材金属表面内にある 60Coを除去することができ、60Co除去率は向上する。 (b)減圧アークの様相(電流60A、圧力20Pa) 写真 SEM写真

参照

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