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探索問題の計算複雑さのクラスFD<sub>2</sub><sup>P</sup>と普遍集合を持つその部分クラスについて

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Academic year: 2021

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(1)Vol.2016-AL-159 No.6 2016/9/23. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 探索問題の計算複雑さのクラス FDP 2 と 普遍集合を持つその部分クラスについて 松原 俊一, a). 概要:判定問題のクラス DP は SAT-UNSAT などの完全問題を持つクラスであり様々な結果が知られてい る.DP は多項式階層の第 2 レベル以上への一般化されており,それらの完全問題も示されている.さら に対応する探索問題のクラスも研究されている.ある探索問題のクラスについて,解の存在が常に保証さ れているような問題のみからなる部分クラスが定義されており,TFNP など具体的なクラスについても研 究されている.ところが解の存在が保証された TFNP などのクラスについては,完全問題の存在が知られ ていないものが大半である.本研究ではこうしたクラスのうち FDP2 について,解の存在を保証した部分ク ラスおよびのそれらのクラスに制限を加えたクラスを定式化し,それらのクラスの具体的な問題を調べる.. Shunichi Matsubara,a). Abstract: The complexity class DP of decision problems is well-known and is known to have complete problems. The class DP was generalized to the polynomial-time hierarchy and its generalized classes are also known to have complete problems. Moreover, the above classes have been extended to search problems. For example, FNP, FΣPk , FDPk are well-known classes as such search problems, which correspond to NP, ΣPk , DPk , respectively. Their subclasses TFNP and TFΣPk contain many natural search problems but these classes are not known to have complete problems. In this work, we investigate the class FDP2 and its new subclass CTFDP2 . We formulate specific problems in FDP2 and CTFDP2 and prove that one of the problem is in CTFDP2 .. を議論する.クラス FDP2 は,判定問題のクラス DP2 に対. 1. はじめに. 応する探索問題である.クラス DP2 は Papadimitriou と. 探索問題は与えられたインスタンス I に対して,ある性 質 P を充たす解を求める型の問題であり,基本的な計算. Yannakakis [4] によって導入された DP の多項式時間階 層 [7] への一般化である.. 問題の型の一つである.一方でインスタンス I について性. 計算複雑さのある与えられたクラスについての完全問題. 質 P を充たす解の存在性を問う型の問題を判定問題と言. は,そのクラスのうち最も難しい問題であることを主張で. う.多項式オーダーの時間で計算の効率を議論する立場か. あり,あるクラス C の完全問題の計算の困難性を知ること. らは,判定問題の難しさから,対応する探索問題の難しさ. により,クラス C の任意の問題についての同様な困難性. をほぼ知ることができるため,計算複雑さの理論では一般. を保証できる.このことからも,あるクラスに関して完全. に,より単純な判定問題を議論することが多い.. 問題が存在するかどうかは,重要な性質であり,具体的で. 本研究では探索問題のクラスである 1. a). FDP2. の部分クラス. 青山学院大学理工学部情報テクノロジー学科, 〒 252-5258 神奈川県相模原市中央区淵野辺 5-10-1, Department of Integrated Information Technology, College of Science and Engineering, Aoyama Gakuin University, 5-10-1 Fuchinobe, Chuo-ku, Sagamihara, Kanagawa 252-5258, Japan [email protected]. c 2016 Information Processing Society of Japan ⃝. 自然な完全問題が発見されると,そのクラスについてより 多くのことを知ることが可能となる.ところが完全問題が あるかどうかが知られていないクラスも多くあり,そのク ラスの中には,BPP や NP ∩ coNP など具体的な問題のク ラスとしてよく現れるより重要なクラスも含まれている. 完全問題の存在性についての重要な結果の一つとして,相. 1.

(2) Vol.2016-AL-159 No.6 2016/9/23. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 対化された NP ∩ coNP に関する完全問題の存在性につい. 定 問 題 L1 ∈ ΣPk と L2 ∈ ΠPk が 存 在 す る よ う な 関 数. ての Sipser [6] による定理が知られている.これはクラス. fA の 全 体 で あ る .与 え ら れ た x ∈ {0, 1} に つ い て ,. NP ∩ coNP. が完全問題を持たないようなオラクル X が. 任 意 の z ∈ {0, 1}pL2 (|x|) に つ い て (x, z) ∈ RL2 な ら. 存在する,という言明である.Sipser の証明 [6] は普遍問. ば,(x, y) ∈ RL1 となるような y ∈ {0, 1}∗ が必ず存在. 題の存在によるものである.Sipser [6] は,ある任意のク. し,fA (x) = y となる.ある z ∈ {0, 1}pL2 (|x|) について. ラスの完全問題の存在性とそのクラスについての普遍問題. (x, z) ̸∈ RL2 ならば fA (x) = “no” となる.「C」 は 「con-. X. X. の存在性が同値であることを示し,クラス NP. X. ∩ coNP. X. が普遍問題を持たないようなオラクル X の存在を証明し ている.. 2. 計算複雑さのクラス FDPk. 入した動機はここに起因する.. 本稿では簡単のため特に断らない限り,問題のアルファ ベットは {0, 1} とする.多項式時間階層を構成する判定問 題のクラス ∆Pk , ΣPk ,ΠPk を次で帰納的に定義する.∆P0 ,ΣP0 ,. ΠP0. はすべて多項式時間計算可能クラス P である.任意の. k≥1. について,ΣPk. ditional」に由来する.TFΣPk から自然に類推されるクラ スとして TFDPk が考えられるが,FDPk の定義のうち判定 問題 L2 は普遍量化子で始まるため,探索問題において, 意味をなさない.CTFDPk のように条件付きのクラスを導. 3. 探索問題の多項式時間還元可能性 本研究では探索問題の多項式時間還元として Levin 還 元を用いる.Levin 還元は判定問題における Karp 還元と. は次を充たす問題 L 全体のクラスであ. 同様な位置付けにあり,最も一般的である Cook 還元に比. る.多項式 pL : {0, 1}∗ → N,判定問題 L′ ∈ ΠPk−1 ,{0, 1}. べ,還元の能力は制限されている.そのため還元に関わる. ∗. 上の 2 項関係 RL が存在して,任意の x ∈ {0, 1} につい ′. て,x ∈ L となるのは,∃y ∈ L ∩ {0, 1}. pL (|x|). (x, y) ∈ RL. 問題の定式化の特徴を十分に捉える必要はあるが,計算複 雑さのクラスをより厳密に解析することには適している.. となるとき,かつそのときに限る.このとき任意の x に. 探 索 問 題 A と B の Levin 還 元 は 次 を 充 た す 二. ついて (x, y) ∈ RL となるような y が決定性多項式時間で. つ の 多 項 式 時 間 計 算 可 能 関 数 s : {0, 1}∗ → {0, 1}∗ と. 見つけられるような ΣPk の部分クラスが ∆Pk である.ΠPk. t : {0, 1}∗ → {0, 1}∗ として定義される.RA を,多項式 pA. は ΣPk の補問題のクラスである.すなわち任意の k ≥ 1. が存在して,任意の x, y ∈ {0, 1}∗ について,(x, y) ∈ RA. について,ΠPk は次を充たす問題 L 全体のクラスである.. ならば |y| ≤ pA (|x|) を充たし,かつ (x, A(x)) ∈ RA を充. ∗. ′. 多項式 pL : {0, 1} → N,判定問題 L ∈. ΣPk−1 ,{0, 1} ∗. 上. たすような関係とする.同様に RB を,多項式 pB が存. の 2 項関係 RL が存在して,任意の x ∈ {0, 1} につい. 在して,任意の x, y ∈ {0, 1}∗ について,(x, y) ∈ RB な. て,x ∈ L となるのは,∀z ∈ L′ ∩ {0, 1}pL (|x|) (x, z) ∈ RL. らば |y| ≤ pB (|x|) を充たし,かつ (x, B(x)) ∈ RB を充. となるとき,かつそのときに限る.判定問題のクラス DPk. たすような関係とする.このとき任意の x ∈ {0, 1}∗ に. を次で定義する.任意の k ≥ 0 について,DPk はクラス ∪ P P L1 ∈ΣP ,L2 ∈ΠP (L1 ∩ L2 ) である.D1 はクラス D と同一. ついて,A(x) ̸= “no” ならば B(s(x)) ̸= “no”,さらに. k. k. B(s(x)) ̸= “no” ならば A(t(s(x))) ̸= “no” となる.. P. である [4].D は DP とも表される. 探索問題のクラス FΣPk は次のような判定問題 L ∈ ΣPk. 4. 普遍集合と完全問題. が存在するような関数 fA の全体である.x ∈ {0, 1}∗ が与. C を判定問題のクラス,L を判定問題,X をオラク. えられたとき,fA (x) = y となるのは,(x, y) ∈ RL のとき. ルとする.このとき問題 L がクラス C X に属し,任意. であり,そうでないならば,fA (x) = “no” となる.このと. の問題 L′ についてある k ≥ 0 が存在して,L′ = {w ∈. ∗. き任意の x ∈ {0, 1} について fA (x) = y となるような y. {0, 1}∗ : (k, 1|w| , w) ∈ L} ならば,L をクラス C X の普遍集. が必ず存在するような fA のみからなる FΣPk の部分クラス. 合という.任意の判定問題のクラス C ,判定問題 L,オラク. TFΣPk. FDPk. k. は次のよう. ル X について,次の言明が成り立つことを Sipser [6] は示. な判定問題 L1 ∈ ΣPk と L2 ∈ ΠPk が存在するような関数 fA. した.クラス NPX ∩coNPX が完全問題を持たないようなオ. の全体である.x ∈ {0, 1}∗ が与えられたとき,Af (x) = y. ラクル X が存在する.この定理と F(NP ∩ coNP) = TFNP. となるのは,(x, y) ∈ RL1 かつ任意の z ∈ {0, 1}. て直ちに分かるのものとして,FDPk ⊆ F∆Pk+1 ⊆ FΣPk+1 .と. [3] より,TFΣP2 の完全問題が見つけられそうもない.FDP2 については,完全問題が知られている [8]. 完全問題を持たないクラスが持つ性質として意味的 (semantical) であることが挙げられる [6][5].つまりそのクラ. いう関係がある.. スを特徴付けを,有限の規則により陽に記述するのではな. を. と定義する.探索問題のクラス. pL2 (|x|). について (x, z) ∈ RL2 のときであり,そうでないならば,. A(x) = “no” となる.以上のクラスに関する包含関係とし. 本研究では探索問題のクラス FDPk の部分クラスとし て新たに. CTFDPk. を導入する.CTFDPk. c 2016 Information Processing Society of Japan ⃝. は次のような判. く,ある意味的な性質により行うということである.John-. son, Papadimitriou, Yannakakis [1] によるクラス PLS や. 2.

(3) Vol.2016-AL-159 No.6 2016/9/23. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Papadimitriou [5] による PPAD は,統語的 (syntactical). 入した.そしてそのクラスの具体的な問題としてが CTFDP2. なクラスであり,完全問題が知られている.これらのクラ. に属すことを示した.今後は普遍集合を用いた議論によ. スは意味的なクラス TFNP の部分クラスである [3].TFNP. り,CTFDP2 が完全問題を持つかどうかを観察しその結果. については,完全問題が知られていない点をあわせると,. を証明する予定である.現在は否定的な解決を予想してい. このことは本研究にとっても重要な点である.. る.さらに結果がどちらにしても,CTFDP2 の完全問題の. 5. FDP2 問題と CTFDP2 問題の例. 存在性の証明そのものが難しい可能性もある.したがって. CTFDP2 以外の FDP2 の部分クラスも考えていく予定であ. この節では FDP2 問題の例を考える.より一般に具体的. る.定理 3 の証明で用いた判定問題 L1 と L2 を変形およ. FDPk. び抽象化する方法などが考えられる.. な. 問題として k -交替充足可能性問題の派生を定式化. する. 参考文献. 問題 1 (FΣk SAT-Πk SAT). ′. インスタンス.X1 , · · · , Xk 上の CNF 式の対 (ψ, ψ ). 解.(∀α1 ∈ {0, 1}. |X1,φ. |)(∃α2 ∈ {0, 1}. |X2,φ. [1]. ′. |) · · · (Q αk ∈. {0, 1}|Xk,φ |)[ψ ′ (α1 , · · · , αk ) = 0] が 充 た さ れ な い な ら ば “no” .そうでないとき,(∀σ2 ∈ {0, 1}|X2,φ |)(∃σ3 ∈. {0, 1}|X3,φ |) · · · (Qσk ∈ {0, 1}|Xk,φ |)[ψ(σ1 , · · · , σk ) = 1] を. [2]. 充たすような σ が見つかれば σ ,そうでないならば “no”. ただし k が奇数のとき Q′ = ∀ かつ Q = ∃, k が偶数のと き Q′ = ∃ かつ Q = ∀ であるとする.. [3]. 問題 2 (区間付表現不能数探索問題). インスタンス.対 (A, [s, e]).ただし A は正整数 a1 , · · · , an の有限集合,[s, e] は正整数の区間,s ≥ e.また n は a1 より大きくないものとする.. [4]. 解.[s, e] に属す任意の正整数が A の非負整数結合として 表すことができるとき,A の非負整数結合として表すこと のできない a1 より大きな整数.そうでないとき “no”. 定理 3. 表現可能区間条件付き表現不能数探索問題は. [5]. CTFDP2 に属す.. (証明) (A, [s, e]) を表現可能区間条件付き表現不能数探索 問題のインスタンスとする.クラス ΣP2 に属す判定問題 L1 とクラス ΠP2 に属す判定問題 L2 を次のように定義す る.L1 と L2 のどちらも対 (A, [s, e]) をインスタンスとす る.L1 は A の非負整数結合で表現できない a1 より大き な整数が存在するような対 (A, [s, e]) からなる判定問題, L2 は [s, e] に属す任意の正整数が A の非負整数結合とし て表現できるような対 (A, [s, e]) からなる判定問題である とする.L1 は非負整数結合で表現できないような整数 b を guess し,その妥当性を判定問題版の整数ナップサック 問題を検証すればよいので,ΣP2 に属す.一方で [2] の結 果より L2 は ΠP2 に属す.よって表現可能区間条件付き表 現不能数探索問題は FDP2 に属す.さらに任意の A につい て,A の非負整数結合で表現できないような a1 より大き な整数は n < a1 という仮定より必ず存在するので CTFDP2. [6]. [7]. [8]. Johnson, D. S., Papadimitriou, C. H. and Yannakakis, M.: How Easy Is Local Search?, Journal of Computer and System Sciences, Vol. 37, No. 1, pp. 79–100 (online), DOI: http://dx.doi.org/10.1016/00220000(88)90046-3 (1988). Matsubara, S.: The Computational Complexity of the Frobenius Problem, CoRR, Vol. abs/1602.05657 (online), available from ⟨http://arxiv.org/abs/1602.05657⟩ (2016). Megiddo, N. and Papadimitriou, C. H.: On total Functions, Existence theorems and Computational Complexity, Theoretical Computer Science, Vol. 81, No. 2, pp. 317–324 (online), DOI: http://dx.doi.org/10.1016/0304-3975(91)90200-L (1991). Papadimitriou, C. and Yannakakis, M.: The Complexity of Facets (and Some Facets of Complexity), Journal of Computer and System Sciences, Vol. 28, No. 2, pp. 244–259 (online), DOI: http://dx.doi.org/10.1016/0022-0000(84)90068-0 (1984). Papadimitriou, C. H.: On the Complexity of the Parity argument and Other inefficient Proofs of Existence, Journal of Computer and System Sciences, Vol. 48, No. 3, pp. 498–532 (online), DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S0022-0000(05)800637 (1994). Sipser, M.: On Relativization and the Existence of Complete Sets, Automata, Languages and Programming: Ninth Colloquium Aarhus, Denmark, July 12–16, 1982 (Nielsen, M. and Schmidt, E. M., eds.), Springer Berlin Heidelberg, Berlin, Heidelberg, pp. 523–531 (online), DOI: 10.1007/BFb0012797 (1982). Stockmeyer, L. J.: The Polynomial-Time Hierarchy, Theoretical Computer Science, Vol. 3, No. 1, pp. 1–22 (online), DOI: http://dx.doi.org/10.1016/03043975(76)90061-X (1976). Wooldridge, M. and Dunne, P. E.: On the Computational Complexity of Qualitative Coalitional Games, Artificial Intelligence, Vol. 158, No. 1, pp. 27–73 (online), DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.artint.2004.04.002 (2004).. に属す.. 6. 今後の研究 本稿では探索問題のクラス FDP2 を拡張し,CTFDP2 を導. c 2016 Information Processing Society of Japan ⃝. 3.

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