探索問題の計算複雑さのクラスFD<sub>2</sub><sup>P</sup>と普遍集合を持つその部分クラスについて
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(2) Vol.2016-AL-159 No.6 2016/9/23. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 対化された NP ∩ coNP に関する完全問題の存在性につい. 定 問 題 L1 ∈ ΣPk と L2 ∈ ΠPk が 存 在 す る よ う な 関 数. ての Sipser [6] による定理が知られている.これはクラス. fA の 全 体 で あ る .与 え ら れ た x ∈ {0, 1} に つ い て ,. NP ∩ coNP. が完全問題を持たないようなオラクル X が. 任 意 の z ∈ {0, 1}pL2 (|x|) に つ い て (x, z) ∈ RL2 な ら. 存在する,という言明である.Sipser の証明 [6] は普遍問. ば,(x, y) ∈ RL1 となるような y ∈ {0, 1}∗ が必ず存在. 題の存在によるものである.Sipser [6] は,ある任意のク. し,fA (x) = y となる.ある z ∈ {0, 1}pL2 (|x|) について. ラスの完全問題の存在性とそのクラスについての普遍問題. (x, z) ̸∈ RL2 ならば fA (x) = “no” となる.「C」 は 「con-. X. X. の存在性が同値であることを示し,クラス NP. X. ∩ coNP. X. が普遍問題を持たないようなオラクル X の存在を証明し ている.. 2. 計算複雑さのクラス FDPk. 入した動機はここに起因する.. 本稿では簡単のため特に断らない限り,問題のアルファ ベットは {0, 1} とする.多項式時間階層を構成する判定問 題のクラス ∆Pk , ΣPk ,ΠPk を次で帰納的に定義する.∆P0 ,ΣP0 ,. ΠP0. はすべて多項式時間計算可能クラス P である.任意の. k≥1. について,ΣPk. ditional」に由来する.TFΣPk から自然に類推されるクラ スとして TFDPk が考えられるが,FDPk の定義のうち判定 問題 L2 は普遍量化子で始まるため,探索問題において, 意味をなさない.CTFDPk のように条件付きのクラスを導. 3. 探索問題の多項式時間還元可能性 本研究では探索問題の多項式時間還元として Levin 還 元を用いる.Levin 還元は判定問題における Karp 還元と. は次を充たす問題 L 全体のクラスであ. 同様な位置付けにあり,最も一般的である Cook 還元に比. る.多項式 pL : {0, 1}∗ → N,判定問題 L′ ∈ ΠPk−1 ,{0, 1}. べ,還元の能力は制限されている.そのため還元に関わる. ∗. 上の 2 項関係 RL が存在して,任意の x ∈ {0, 1} につい ′. て,x ∈ L となるのは,∃y ∈ L ∩ {0, 1}. pL (|x|). (x, y) ∈ RL. 問題の定式化の特徴を十分に捉える必要はあるが,計算複 雑さのクラスをより厳密に解析することには適している.. となるとき,かつそのときに限る.このとき任意の x に. 探 索 問 題 A と B の Levin 還 元 は 次 を 充 た す 二. ついて (x, y) ∈ RL となるような y が決定性多項式時間で. つ の 多 項 式 時 間 計 算 可 能 関 数 s : {0, 1}∗ → {0, 1}∗ と. 見つけられるような ΣPk の部分クラスが ∆Pk である.ΠPk. t : {0, 1}∗ → {0, 1}∗ として定義される.RA を,多項式 pA. は ΣPk の補問題のクラスである.すなわち任意の k ≥ 1. が存在して,任意の x, y ∈ {0, 1}∗ について,(x, y) ∈ RA. について,ΠPk は次を充たす問題 L 全体のクラスである.. ならば |y| ≤ pA (|x|) を充たし,かつ (x, A(x)) ∈ RA を充. ∗. ′. 多項式 pL : {0, 1} → N,判定問題 L ∈. ΣPk−1 ,{0, 1} ∗. 上. たすような関係とする.同様に RB を,多項式 pB が存. の 2 項関係 RL が存在して,任意の x ∈ {0, 1} につい. 在して,任意の x, y ∈ {0, 1}∗ について,(x, y) ∈ RB な. て,x ∈ L となるのは,∀z ∈ L′ ∩ {0, 1}pL (|x|) (x, z) ∈ RL. らば |y| ≤ pB (|x|) を充たし,かつ (x, B(x)) ∈ RB を充. となるとき,かつそのときに限る.判定問題のクラス DPk. たすような関係とする.このとき任意の x ∈ {0, 1}∗ に. を次で定義する.任意の k ≥ 0 について,DPk はクラス ∪ P P L1 ∈ΣP ,L2 ∈ΠP (L1 ∩ L2 ) である.D1 はクラス D と同一. ついて,A(x) ̸= “no” ならば B(s(x)) ̸= “no”,さらに. k. k. B(s(x)) ̸= “no” ならば A(t(s(x))) ̸= “no” となる.. P. である [4].D は DP とも表される. 探索問題のクラス FΣPk は次のような判定問題 L ∈ ΣPk. 4. 普遍集合と完全問題. が存在するような関数 fA の全体である.x ∈ {0, 1}∗ が与. C を判定問題のクラス,L を判定問題,X をオラク. えられたとき,fA (x) = y となるのは,(x, y) ∈ RL のとき. ルとする.このとき問題 L がクラス C X に属し,任意. であり,そうでないならば,fA (x) = “no” となる.このと. の問題 L′ についてある k ≥ 0 が存在して,L′ = {w ∈. ∗. き任意の x ∈ {0, 1} について fA (x) = y となるような y. {0, 1}∗ : (k, 1|w| , w) ∈ L} ならば,L をクラス C X の普遍集. が必ず存在するような fA のみからなる FΣPk の部分クラス. 合という.任意の判定問題のクラス C ,判定問題 L,オラク. TFΣPk. FDPk. k. は次のよう. ル X について,次の言明が成り立つことを Sipser [6] は示. な判定問題 L1 ∈ ΣPk と L2 ∈ ΠPk が存在するような関数 fA. した.クラス NPX ∩coNPX が完全問題を持たないようなオ. の全体である.x ∈ {0, 1}∗ が与えられたとき,Af (x) = y. ラクル X が存在する.この定理と F(NP ∩ coNP) = TFNP. となるのは,(x, y) ∈ RL1 かつ任意の z ∈ {0, 1}. て直ちに分かるのものとして,FDPk ⊆ F∆Pk+1 ⊆ FΣPk+1 .と. [3] より,TFΣP2 の完全問題が見つけられそうもない.FDP2 については,完全問題が知られている [8]. 完全問題を持たないクラスが持つ性質として意味的 (semantical) であることが挙げられる [6][5].つまりそのクラ. いう関係がある.. スを特徴付けを,有限の規則により陽に記述するのではな. を. と定義する.探索問題のクラス. pL2 (|x|). について (x, z) ∈ RL2 のときであり,そうでないならば,. A(x) = “no” となる.以上のクラスに関する包含関係とし. 本研究では探索問題のクラス FDPk の部分クラスとし て新たに. CTFDPk. を導入する.CTFDPk. c 2016 Information Processing Society of Japan ⃝. は次のような判. く,ある意味的な性質により行うということである.John-. son, Papadimitriou, Yannakakis [1] によるクラス PLS や. 2.
(3) Vol.2016-AL-159 No.6 2016/9/23. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Papadimitriou [5] による PPAD は,統語的 (syntactical). 入した.そしてそのクラスの具体的な問題としてが CTFDP2. なクラスであり,完全問題が知られている.これらのクラ. に属すことを示した.今後は普遍集合を用いた議論によ. スは意味的なクラス TFNP の部分クラスである [3].TFNP. り,CTFDP2 が完全問題を持つかどうかを観察しその結果. については,完全問題が知られていない点をあわせると,. を証明する予定である.現在は否定的な解決を予想してい. このことは本研究にとっても重要な点である.. る.さらに結果がどちらにしても,CTFDP2 の完全問題の. 5. FDP2 問題と CTFDP2 問題の例. 存在性の証明そのものが難しい可能性もある.したがって. CTFDP2 以外の FDP2 の部分クラスも考えていく予定であ. この節では FDP2 問題の例を考える.より一般に具体的. る.定理 3 の証明で用いた判定問題 L1 と L2 を変形およ. FDPk. び抽象化する方法などが考えられる.. な. 問題として k -交替充足可能性問題の派生を定式化. する. 参考文献. 問題 1 (FΣk SAT-Πk SAT). ′. インスタンス.X1 , · · · , Xk 上の CNF 式の対 (ψ, ψ ). 解.(∀α1 ∈ {0, 1}. |X1,φ. |)(∃α2 ∈ {0, 1}. |X2,φ. [1]. ′. |) · · · (Q αk ∈. {0, 1}|Xk,φ |)[ψ ′ (α1 , · · · , αk ) = 0] が 充 た さ れ な い な ら ば “no” .そうでないとき,(∀σ2 ∈ {0, 1}|X2,φ |)(∃σ3 ∈. {0, 1}|X3,φ |) · · · (Qσk ∈ {0, 1}|Xk,φ |)[ψ(σ1 , · · · , σk ) = 1] を. [2]. 充たすような σ が見つかれば σ ,そうでないならば “no”. ただし k が奇数のとき Q′ = ∀ かつ Q = ∃, k が偶数のと き Q′ = ∃ かつ Q = ∀ であるとする.. [3]. 問題 2 (区間付表現不能数探索問題). インスタンス.対 (A, [s, e]).ただし A は正整数 a1 , · · · , an の有限集合,[s, e] は正整数の区間,s ≥ e.また n は a1 より大きくないものとする.. [4]. 解.[s, e] に属す任意の正整数が A の非負整数結合として 表すことができるとき,A の非負整数結合として表すこと のできない a1 より大きな整数.そうでないとき “no”. 定理 3. 表現可能区間条件付き表現不能数探索問題は. [5]. CTFDP2 に属す.. (証明) (A, [s, e]) を表現可能区間条件付き表現不能数探索 問題のインスタンスとする.クラス ΣP2 に属す判定問題 L1 とクラス ΠP2 に属す判定問題 L2 を次のように定義す る.L1 と L2 のどちらも対 (A, [s, e]) をインスタンスとす る.L1 は A の非負整数結合で表現できない a1 より大き な整数が存在するような対 (A, [s, e]) からなる判定問題, L2 は [s, e] に属す任意の正整数が A の非負整数結合とし て表現できるような対 (A, [s, e]) からなる判定問題である とする.L1 は非負整数結合で表現できないような整数 b を guess し,その妥当性を判定問題版の整数ナップサック 問題を検証すればよいので,ΣP2 に属す.一方で [2] の結 果より L2 は ΠP2 に属す.よって表現可能区間条件付き表 現不能数探索問題は FDP2 に属す.さらに任意の A につい て,A の非負整数結合で表現できないような a1 より大き な整数は n < a1 という仮定より必ず存在するので CTFDP2. [6]. [7]. [8]. Johnson, D. S., Papadimitriou, C. H. and Yannakakis, M.: How Easy Is Local Search?, Journal of Computer and System Sciences, Vol. 37, No. 1, pp. 79–100 (online), DOI: http://dx.doi.org/10.1016/00220000(88)90046-3 (1988). Matsubara, S.: The Computational Complexity of the Frobenius Problem, CoRR, Vol. abs/1602.05657 (online), available from ⟨http://arxiv.org/abs/1602.05657⟩ (2016). Megiddo, N. and Papadimitriou, C. H.: On total Functions, Existence theorems and Computational Complexity, Theoretical Computer Science, Vol. 81, No. 2, pp. 317–324 (online), DOI: http://dx.doi.org/10.1016/0304-3975(91)90200-L (1991). Papadimitriou, C. and Yannakakis, M.: The Complexity of Facets (and Some Facets of Complexity), Journal of Computer and System Sciences, Vol. 28, No. 2, pp. 244–259 (online), DOI: http://dx.doi.org/10.1016/0022-0000(84)90068-0 (1984). Papadimitriou, C. H.: On the Complexity of the Parity argument and Other inefficient Proofs of Existence, Journal of Computer and System Sciences, Vol. 48, No. 3, pp. 498–532 (online), DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S0022-0000(05)800637 (1994). Sipser, M.: On Relativization and the Existence of Complete Sets, Automata, Languages and Programming: Ninth Colloquium Aarhus, Denmark, July 12–16, 1982 (Nielsen, M. and Schmidt, E. M., eds.), Springer Berlin Heidelberg, Berlin, Heidelberg, pp. 523–531 (online), DOI: 10.1007/BFb0012797 (1982). Stockmeyer, L. J.: The Polynomial-Time Hierarchy, Theoretical Computer Science, Vol. 3, No. 1, pp. 1–22 (online), DOI: http://dx.doi.org/10.1016/03043975(76)90061-X (1976). Wooldridge, M. and Dunne, P. E.: On the Computational Complexity of Qualitative Coalitional Games, Artificial Intelligence, Vol. 158, No. 1, pp. 27–73 (online), DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.artint.2004.04.002 (2004).. に属す.. 6. 今後の研究 本稿では探索問題のクラス FDP2 を拡張し,CTFDP2 を導. c 2016 Information Processing Society of Japan ⃝. 3.
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