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私たちは宇宙から見られている? ―「地球外生命」探求の最前線―

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Academic year: 2021

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300 天文月報 2017年4月 書評       これはSFではなく「地球外生命」探求の最前線を天 文学者の見地から至極真面目に扱った本である. 著者は「21世紀は宇宙生物学の時代だ」という.20 世紀までは「私たちは宇宙で孤独なのか? 宇宙にわ れわれ以外の生命はいるのか?」という問いかけが主 流だった.ところが系外に惑星が発見され,地球によ く似た質量をもちかつハブタブルゾーンにいる惑星も 見つかった.現在のわれわれの認識はもはや宇宙に生 命の有無を問うものではなく,「地球外生命体はどこに いるのか?それはどんな姿なのか?」という生命の存 在を肯定した一歩踏み込んだ問いかけに変わってきて いる. 人類が知的生命体と交信できる可能性は,1961年に フランク・ドレイク(アメリカの天文学者)によって 考案された銀河系における人類と通信可能な地球外文 明の数を推測するための「ドレイクの式」で表される. 本書はドレイクの式の七つのパラメータを科学的見地 から丁寧に検討している.そして宇宙のどこかにいる かもしれない知的生命体に何とかメッセージを伝えた い科学者たちの努力・創意工夫の歴史が解説されてい る. 生命を考えるうえで基本となるのはやはり地球の生 命体である.本書でも地球の生命体に必要な条件や特 徴や進化に多くの書面が割かれる.宇宙に豊富にある 物質の中で,生化学的に複雑な分子構造を作れる元素 は炭素,多くの化学物質の溶剤となり生化学物質を結 びつけるよう機能するのは水.こう考えると宇宙生命 の鍵は炭素と水だろう.宇宙空間には150種類以上の 有機分子が発見され,グリシンやその他のアミノ酸は 隕石中でも見つかっている.生命の原材料はすでに宇 宙で作られているのだ. 環境だけでなく,時間も重要と本書は強調する.知 的生命体へ進化するに十分な時間適切な環境が維持さ れることが重要で,そのためには惑星が属する恒星の 進化の速さや惑星全体の気候の安定性,惑星規模災害 の頻度なども知的生命体生存の重要な条件になる. 生命体は地球以外の太陽系のどこにもまだ見つかっ ていないが,生命が誕生する可能性のある場所の目星 はついている.液体の水があることが見つかった火星, エウロパ,エンケラドゥスなどがそうである.また液 体メタンのあるタイタンの大気は過去の地球の大気に 似ており,地球の初期生命体発生の環境に似ているか もしれない.このような場所をつぶさに探せば21世紀 には太陽系内に生命が見つかるかもしれない.地球外 の生命の形態を知ることは生命体の基本的な発生条 件・環境を知るための重要な手がかりとなる. 著者はヨーロッパの研究者がほとんどそうであるよ うに,宇宙や生命について考えるとき必ずギリシャ哲 学やキリスト教に立ち返り,今日までのわれわれの認 識の変遷を説明してくれるので,理系以外の読者にも 本書は読み物として面白いだろう. ※本書では「矮惑星」という言葉が使われているが,こ れはdwarf planetの日本語訳である.2006年のIAU総 会で惑星の定義の決議がなされたときはdwarf planet の訳語が統一されていなかったが,その後の日本学術 会議での対外報告「第一報告: 国際天文学連合におけ る惑星の定義及び関連事項の取り扱いについて」(平成 19年4月9日)では,「dwarf planetの日本語訳は「準惑 星」と表記することを推奨する」としている.これを 受けて,現在では「準惑星」という言葉を使うことが 一般的になった。 吉田二美(国立天文台・国際連携室)

読み物

薦め度

私たちは宇宙から見られている?

―「地球外生命」探求の最前線―

ポール・マーディン,古田治[訳] 日本評論社,四六判,

2,800

円+税,

336

3

☆☆☆★★

参照

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