Title
一般廃棄物と無機性廃棄物の混合埋立処分による重金属安
定化に関する研究( 内容の要旨 )
Author(s)
丁, 權
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 乙第062号
Issue Date
2002-03-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/2307
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本掴)籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 会 丁 博士(農学) 樺 (大韓民国) 農博乙第62号 平成14年3月13日 学位規則第4粂第2項該当 一般廃棄物と無機性廃棄物の混合埋立処分による 重金属安定化に関する研究 主査 岐阜大学 教 授 副査 信州大学 教 授 副査 静岡大学 教 授 副査 岐阜大学 教 授 副査 福岡大学工学部教 授 裕 三 珠 夫 司 一繚 龍 徹 康 渾 江 藤 見 高 入 朴 原 松 論 文 の 内 容 の 要 旨 廃棄物埋立地に関する研究は、微生物学的側面から詳細に行われた例はほとんど無かっ た。本論文は、廃棄物埋立地の埋立層は表層1から2mを除くと完全に嫌気的雰囲気であ り、この嫌気的環境に生息する微生物の機能に着目した研究である。すなわち、嫌気性微 生物の中でも硫酸塩還元菌に焦点を絞り、硫酸塩還元菌が生成する硫化水素を利用した重 金属類の金属硫化物としての不溶化を研究した。そして、新たな埋立方法を提案したもの である。 1999年の韓国内における1,300カ所余りの一般廃棄物埋立地のうち、衛生埋立地は約 20カ所に満たず、残りの大部分はオープンダンピング(Open・dumping)型埋立地ヤある。 オープンダンピング型埋立地に起因する環境汚染は、深刻な社会問題につながる恐れがあ り、その対策の椒立に急を要する。 一方、都市ゴミ発生量の増加に伴い廃棄物埋立地の確保および管理に難題を抱えている 多くの国々は都市廃棄物の処理について、焼却中心の政策を取り決め推進しつつある。し たカーミって、、焼却施設から発生する焼却灰の増加は避けられない状況にある。焼却灰のうち 特に飛灰には重金属が高濃度に濃縮される。飛灰には有機物はほとんどなく、高濃度の有 害な重金属が含まれていて、埋め立て後に浸出水中に溶出される可能性が常にある。 廃棄物埋立地の安定化における微生物の果たす役割は大変大きい。埋立地それ自体は一 つの巨大なバイオリアクターとも考えられる。この概念は廃棄物を混合埋立処分するとい うことからはじまる。一般廃棄物埋立地では微生物を多量に含む有機性廃棄物と無機性廃 棄物の混合埋立処分を適用しているが、無機性成分主体の指定廃棄物埋立地では微生物の 作用は期待できない。 本論文では埋立地に生息する嫌気性微生物の中でも硫酸塩還元菌の機能を重金属浸出抑 制に応用した。すなわち、指定廃棄物埋立地において、無機性および有機性廃棄物を混合 埋立てた場合、硫酸塩還元菌が発生する硫化水素によって無機性廃棄物中の有害な重金属_ は硫化物となり溶出が抑制されるという仮説を立て、その検証のために現場調査とモデル 実験を行った。 まず、蘭芝島オープンダンピング型埋立地を対象に新たな浸出水の発車量の推定する水 収支式を提案した。浸出水の挙動は、オープンダンピング型埋立地にも拘わらず、準好気
-186-性埋立や海面埋立と同様であることが判った。未覆土台形型埋立地では埋立高さが高くな ると内部まで空気が浸透することが示唆された。有機性指標の変動から、オープンダンピ ング型埋立地では衛生埋立地に比べて有機物分解速度が遅いことが判った。浸出水中の金 属類濃度は、浮遊物質起因の重金属が多いことを示した。ほとんどの条件で硫酸塩還元菌 が検出された。外部浸出水の場合、硫酸塩還元菌が多く分布すると重金属濃度が低いこと が見出された。硫酸塩還元菌数と総生物学的酸素要求量とには高い相関があることが明ら かになった。また、蘭芝島陸上廃棄物埋立層内における硫酸塩遷元菌数は103-106MPN/ml の範囲で全層にわたって広範囲に存在していることが確認された。浸出水浮遊物質中の硫 酸塩還元菌は106・109MPN/ml、イオウは2.71%、全金属は3.15%であり、汚泥では硫酸塩 還元菌は105・108MPN/ml、イオウは2.60%、全金属は3.29%を示し、重金属と硫酸塩還元 菌は浮遊物質の形態として移動すると示唆された。イオウと重金属は、地点によって濃度 差はあったが12・48mの間に集中的に分布しており、埋立深度別イオウ濃度と重金属濃度 との間には高い相関関係と有意性が確認された。 指定廃棄物埋立地における汚染物質濃度は、一般廃棄物と指定廃棄物とを混合埋め立て 処分した場合の浸出水中の汚染物質濃度が指定廃棄物のみを埋め立てた場合のそれより非 常に低かった。一般廃棄物と指定廃棄物を混合埋立処分した埋立地では浸出水中の硫酸塩 還元菌濃度が指定廃棄物のみを埋立した場合より非常に高濃度であった。 そこで、硫酸塩還元菌を大量に含む下水汚泥と飛灰とを混合埋立処分したモデル実験を 1年6ケ月間以上をかけて行った。その結果、鉄、マンガン、亜鉛以外の重金属の浸出水 への浸出を完全に押さえることができた。 以上から、一般廃棄物と無機性廃棄物を混合埋立処分することによって卓金属の溶出が 抑制されることを明らかにした。 審 査 結 果 の 要 旨 平成14年1月23日、岐阜大学大学院連合農学研究科棟において審査委員全員 (5名)出席のもと、公開論文発表会が開かれた。日本学術振興会論文博士支援プ ログラムで援助を受けた5年間わたる研究の成果を明快に発表した。そして、審査 委貞などの質問に対しても的確に返答した。 本論文は、韓国の廃棄物埋立地の膨大な調査データーとモデル実験をもとに新た な埋立方法を構築したものである。都市ゴミ発生量の増加に伴い廃棄物埋立地の確保お よび管理に難題を抱えている多くの国々は都市廃棄物の処理について、焼却中心の政策を取 り決め推進しつつある。したがって、焼却灰の増加は避けられない状況にある。焼却灰のう ち特に飛灰には重金属が高濃度に濃縮される。飛灰には有機物はほとんどなく、高濃度の有 害な重金属が含まれていて、埋立て後に浸出水中に溶出される可能性が常にある。廃棄物埋 立地の安定化における微生物の果たす役割は大変大きい。そこで、本論文では埋立地に生息 する嫌気性微生物の中でも硫酸塩還元菌の機能を重金属浸出抑制に応用した。すなわち、無 機性および有機性廃棄物を混合埋め立てた場合、硫酸塩還元菌が発生する硫化水素によって
無機性廃棄物甲の有害な重金属は硫化物となり溶出が抑制されるという仮説を立て、その検
証のために現場調査とモデル実験を行った。 まず、蘭芝島オープンダンピング型埋立地を対象に調査を行った。外部浸出水の 場合、硫酸塩還元菌が多く分布すると重金属濃度が低いこと、埋立層内における硫-187-酸塩還元菌数は103・106MPN/mlの範囲で全層にわたって広範囲に存在しているこ とを見出した。埋立深度別イオウ濃度と重金属濃度との間に、高い相関関係と有意 性を確認した。さらに、5箇所の指定廃棄物埋立地と一般廃棄物埋立地の調査を行 った。一般廃棄物と指定廃棄物を混合埋立処分した埋立地では浸出水中の硫酸塩還 元菌濃度が指定廃棄物のみを埋立した場合より非常に高濃度であることを明らか にした。そこで、硫酸塩還元菌を大量に含む下水汚泥と飛灰とを混合埋立処分した モデル実験を1年6ケ月間以上かけて行った。その結果、鉄、マンガン、亜鉛以外 の重金属の浸出水への浸出を完全に押さえることができた。 以上から、一般廃棄物と無機性廃棄物を混合埋め立て処分することによって重金 属の溶出が抑制されることを明らかにした。