特集
健康でゆたかな高齢化社会を支援する保健・医療・福祉情報システム・機器
在宅療養者のケアを支援する
地域保健・福祉・医療連携システム
CooperativeSystemlnterconnectingRegionalPublicHea州1,
Welfare
and
MedicalCareServicesfor
at・Home Patients前田みゆき*
〟かz-′んブルれg血高森
信**
肋加わ乃々α椚〃rオ 仁尾 都*** 〟Z∫αわ〟才〃青島利久****
乃ぶんオゐ才s〟A√)S/之宮川〟 保健婦●
▲▲
看護婦曾
▲▲国]
国]
訪問着護ステーション巨]
看護DB ケースワーカー●
▲▲ [コ ICカード ○⊂コ
頃]
要介護者宅鬱
辟
医療機関 医療DBE]
注:略語説明 PC(PersonalComputer),DB(Database) ○ 役 所墜至
/
く←\
住民基本 情報 税・年金 情報 財務会計 在宅介護支援センター[∃
介護DB 保健センター⊂コ
塾
保健DB 地域保健・福祉・医療連携システムの仕組み 情報通信技術を活用した地域保健・福祉・医療連携システムにより,住み慣れた自宅で安心して暮らすことができる。21世紀初豆引こは,わが国は仲界に例を見ない高齢
社会を迎える。そのとき社会の活力を維持し,安心
して暮らせる社会を実現するには,さまざまな課題
を早急に解決していかなくてはならない。その中で
も,「結線+による高齢者の在宅介護の仕組みづくり
は最も重要な課題の一つである。在宅介護では,こ
れまで別々に提供されてきた保健・福祉・医療サー
ビスの連携を図るとともに,その連携を「点+から
「面+に広げていくことが必要である。
日立製作所は,これら在宅介護のニーズにこたえ
るため,統合データベース,ICカードによる在宅ネ
ットワーク,テレビ電話による遠隔健康相談システ
ムを構戌要素とする地域保健・福祉・医頼通携シス
テムの開発に取り組んでいる。これらのシステムに
より,要介護者と家族のニーズを的確に把握し,保
健・福祉・医療が有機的に連携した在宅介護の仕組
みが実現できると考える。
*日立製作所 ビジネスシステム開ヲ芭センタ ** H立製作所 公共情報事業部 *** u寸二製作所 システム事業部 ****口立製作戸斤 医瞭システム推進本部 63260 日立評論 Vol.78 No.3(】996-3)
n
はじめに 21世紀初頭に,わが国は4人に1人が65歳以上の高齢 社会に突入する。さらに特徴的なことは,高齢者の半数 以__Lが75歳以上の後期高齢者となり,痴呆(ほう)や寝た きりなどの要介護者の飛躍的増加が予想されることであ る。厚生省によれば,要介護者数が1993年の200万人から, 2025年には530万人に増加すると見込まれている。 一方,要介護者の5人に4人は,住み慣れたわが家で の在宅生活を希望している。現在の在宅介護は,そのほとんどを家族が支える構造になっており,介護内容の高
度化,介護期間の長期化,介護する家族自身の高齢化な ど,家族にかかる負担が増え深刻化してきている。 このような背景の下に,家族という「血縁+だけに頼る 在宅介護ではなく,訪問看護婦やホームヘルパーなど外部 からの支援を受けながら質の高い介護を行う「結線+によ る新しい在宅介護の仕組みが求められている(図1参照)。日立製作所は,情報通信システムを活用し,「結線+に
よる在宅介護を支援する地域保健・福祉・医療連携シス
テムの実現を目指している。ここでは,これまで別々に提供されてきた保健・福祉・
医療サービスの連携を図り,さらに,その連携を施設と
いう「点+から,地域という「面+に広げていく地域保健・福祉・怪療連携システムの二取組みについて述べる。
内
在宅介護の現状と課題
在宅介護の現場では,ホームヘルパーなどの人材の確 保と同時に,「結線+を実現するためのサービス提供の仕 組みづくりが求められている。 (1)総合的なサービス体系の確立 在宅の要介護者には,福祉・保健・医療の個別の制度ご とに,以下に示すさまざまなサービスが提供されている。 (a)福祉:ホームヘルプ,デイサービス,日常年活用 具給付・貸与など (b)保健:訪問指導・訪問リハビリテーションなど (c)医療:看護婦による訪問者讃などしかし,要介護者のニーズは保健・福祉・医療などと
個別に切り分けられるものではなく,総合的に重なり合 って発生するものである。各サービスが個別に提供され, しかも各サービス間相互の連携が十分ではない状況で は,サービスのタイミングが遅れたり,類似したサービ スを提供したりという問題が発生する。要介護者の生活 全体を支えるという観点から,個々の症状だけでなく, 64 家族 要介護者 「結縁+による サービス連携 結緑による サービス調整 ケアマネジメント ニーズの把握 ケアプランの作成 ホームヘルプ デイサービス ショートステイ 日常生活用具 住宅改造 く各サービス提供機関〉 訪問指導 訪問着護 訪問歯科 医学的管理サービス 訪問リハビリテーション 特別養護高齢者用ホーム 高齢者用保健施設 高齢者用病院 図l「結線+による新しい在宅介護システム 「血縁+ではなく「結線+による新しい在宅介護の仕組みが求めら れている。R常生活の全体像を踏まえたニーズを把握し,保健・福
祉・医療の枠組みにとらわれることなく,各サービスが 相互に連携し,総合的に提僕されることが必要である。(2)地域サポート体制の整備
在宅介護では,看護婦・保健婦・ホームヘルパーなど外部の関係者が要介護者宅に出向く必要がある。・施設を
中心とした「1点集中+のサポートと異なり,広く地域
に出向く「面+のサポートは,効率という点から考える
ときわめて非効率である。同じ看護婦数,同じ要介護者数で考えると,一人の要介護者を看護できる時間は,施
設に比べて在宅ではかなり少ない。 そのため,広く地域を対象とする在宅介護では,要介 護者や家族が持つと思われる,いざというときの不安感 や少ない介護時間に対する不安感をなくすための新たな コミュニケーションの仕掛けが必要である。B
在宅介護支援システムの構成要素
上記の課題を解決し,保健・福祉・医療の関係者が有 機的に連携をとって,質の高い介護を実現することがで きるように,地域保健・福祉・医療連携システムを開発 した。このシステムは,保健・福祉・医瞭の統合データ ベース,ICカードによる在宅ネットワーク,テレビ電話を活用した遠隔健康相談システムで構成する。
(1)統合データベース
在宅介護には,看護婦やホームヘルパーなど複数の関 係者が関与するが,職種が多岐にわたって異なる組織に属しているため,情報の共有が不可欠である。統合デ
ータベースは,各機関が所有するデータベースのデータ在宅療養者のケアを支援する地域保健・福祉・医療連携システム 261 く日常健康管理〉 [亘司:垂直司 匝虹且 匡亘匝垂直コ く身体チェック〉 圃 匝垂亘Ⅰ亘垂頑 ⊂】 保健センター
+塾
〈統合データベース〉 保健 DB国]
[コ
看護 DB 訪問看護ステーション 福祉 DB 役所+塾
介護 DB[コ
固
在宅介護支援センター 〈福祉総合台帳〉 氏 名 00花子 住 所 横浜市××区00町1-11 生年月日 昭和5年11月11日 電 話 045一×××一0000 〈受給状況〉 デイサービス 利用中 ショートステイ 利用中 ホームヘルプサービス 利用中 老人医療費助成 申請中 くウイークリープラン〉 00花子 月 火 水 木 金 土 日 ヘルパー 朝 ○ ○ 昼 ○ ○ 夕 ○ デイサービス○ ○ 入浴サービス ○ 訪問着護 (⊃ 図2 保健・福祉・医療の統合データベース 保健・福祉・医療の情報を共有することにより,要介護者のニーズに応じた介護が総合的,継続的に提供できる。 項目とアクセス権を管理し,一つの論理的なデータベースとして要介護者の情報を一元管理するものである。な
お,データ項目としては,福祉部門の在宅高齢者情報〔基
本情報,ADL(ActivitiesofDailyLiving)情報,サービ
ス利用情報,受給情報など〕を中心に,保健婦の訪問情
報および医療機関の入退院情事凱
健診情報,そして,そ
れらの情報から総合的に策定したケアプラン情報があ
る。少なくとも,介護の基本方針である「ケアプラン+ を各関係者で共有することにより,要介護者のニーズに 応じた介護を総合的,継続的に提供することが可能とな る(図2参照)。 (2)ICカードによる在宅ネットワークICカードを待った要介護者が,本人の健診情報,ADL
情報およびサービス利用情報などを記録する。また,要
介護者を訪問する看護婦・ケースワーカーなどはICカードリーグ・ライタの機能を持つ携帯端末により,ICカ
ードの記録を参照するとともに,訪問情報などを記録
する。ICカードは,セキュリティ機能に優れ,プライバシー
の保護に適しているとともに,要介護者が自分の意思で情報の開示を選択することができるという特長を持つ。
これにより,医師や看護婦は健診情報を参考に最適な診
瞭や看護を行うことができる。またケースワーカーは,ADL情報やサービス利用情報を基に適切なサービスの
提案を行うことが可能となる。 (3)テレビ電話を活用した遠隔健康相談システム このシステムは,要介護者宅に健康測定器とテレビ電 話を,病院や保健福祉センターにテレビ電話をそれぞれ 設置し,要介護者が健康測定器を用いて測定した日々の 健康データを病院や保健福祉センターに送信するもので ある。 医師や看護婦は,健康測定器から送信されてきた健康データを遠隔収集し,自動的なグラフ化機能によって高
齢者の健康状態およびその変化を把握する。また,必要 時には,テレビ電話を用いて在宅要介護者の表情などを 確認しながら問診を行ったり,家族からの介護などの相 談に応じる。巴
遠隔健康相談システムの適用事例
提案した地域保健・福祉・医療連携システムの中で,
遠隔健康相談システムの導入例について述べる。
このシステムは山形児庁の「遠隔医療相談システムモデル事業+の指定を受けて小国町立病院に導入された。
同病院管内では現在51人の要介護者が在宅介護を受けて 65262 日立評論 Vol.78 No.3(1996-3) く在宅の要介護者側〉 健康測定器 一般公衆回線 〈病院側〉