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外国語活動において日本語歌曲を英語詞で歌うことの効果に関する一考察

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Academic year: 2021

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(1)外国語活動において日本語歌曲を英語詞で歌うことの効果に関する一考察                                 教育実践高度化専攻                              小学校教員養成特別コ」ス                                 P08085J和田あずさ. i研究報告書の欄成. 不安から解放されることによる安心感も得られ. 序章 歌を用いた外国語活動の現状と課題. る。さらに,文強勢の位置の自然な会得が可能で. 第1章 単元r英語で歌を歌おう」の設定. あることや,通常の会話に比べ発音が明瞭である. 第2章 単元「英語で歌を歌おう」の授業実践の. ことなどが,外国語学習入門期の題材として適し.     分析と考察. ている。加えて,他の題材と異なり,好きな時に. 第3章 歌の選定にあたって. 好きな歌を口ずさむことを通して自発的な練習. 終章 研究の成果と課題. が可能であるということも,大きな特長である。  従来使用されている歌は,その大半が欧米諸国. 2研究報告書の概要. の童謡や遊び歌である。これらの歌について,高.  本研究は,小学校外国語活動での歌を用いた活. 学年の児童に対する歌の実践がうまくいかない. 動において児童が日本語で歌詞を知っている歌. という声をしばしば漏れ聞く。これには,児童と. を英訳した楽曲を取り入れることの効果を検証. 歌との物理的及び心理的な隔たり,文化的な差異,. するものである。研究協力校で行った実践におい. 認知発達段階などの諸要因が背景となっている。. て使用した3つの楽曲について,情意的な効果と.  このような課題を踏まえ,本研究は,小学校高. 音声への気付きへの効果を分析する。. 学年児童の発達段階に即した歌を選定するため.  序章では,先行される研究と実践より,外国語. の留意を明らかにすることを目的とし,児童が日. 活動における歌の選定についての現状と課題を. 本語の歌詞に慣れ親しんでいる歌の情意的な効. 述べる。第1章では,現状と対象の児童の実態に. 果と音声への気付きに対する効果について分析. より設定した単元「英語で歌を歌おう」を概観す. と考察を行う。歌詞が既知であれば和訳の必要が. る。第2章では,実践された全3回の授業につい. ないだけでなく,日本語と英語のリズムの違いを. て,授業記録,質問紙,歌詞の音素・音韻の3観. より意識できる。また,従来題材として使用され. 点から分析する。第3章においては,実践の分析. ている歌に比べて児童にとって身近であるため,. により導き出された結果より,歌の選定にあたっ. 活動への意欲を抱きやすい。以上の仮説を設定し,. て考慮すべき歌詞の特徴及び楽曲の特徴を述べ. 実地研究にて実践した3時間構成の単元r英語で. る。また,これらをもとに選定した楽曲の一例を. 歌を歌おう」を手掛かりに提案を行う。. 示す。終章にて,研究の総括及び今後の課題につ 4.実践の対象と方法. いて言及する。.  実践の対象は,2009年度実地研究の連携協力校 3 問題の所在と研究の目的. である神戸市立和帥中小学校第6学年1組の児童.  小学校における外国語活動では,音声に慣れ親. である。和田岬小学校では,主にAし丁主導で高. しむ題材として歌が多く用いられている。これは. 学年を対象に年間15時間の英語活動を行ってい. 歌が持つ,子どもの心理的な抵抗を下げ,活動や. る。ALTがいない時間は,学級担任単独あるいは. 学習への意欲づけをすることへの効果による。ま た,全員で模倣することによって得られる一体感. 神戸市立外国語大学からのズク」ルサポーター とのティーム・ティーチシグで指導される。英語. や「一人で英語を話さなければならない」という. ノートが活動の主幹であり,これまでに歌は取り. 一168一.

(2) 入れられていない。教科学習には消極的な児童も. したり口ずさんだりする機会のあるもののうち,. 含め,多くの児童が活発に活動に参加している。. 普遍性のあるテーマを持っ楽曲の英語詞があれ. 一方で,多くの児童が聞き取った音を模倣するこ. ば望ましい。洋楽を使用する際には,児童の学習. とへの強い苦手意識を持っていた。. 歴や生活体験とのつながりを明示する他,特定の.  単元における使用歌曲は『Misty Moon』 (都. 宗教観が歌詞に反映されでないものを選ばなけ. 名『おぼろ月夜』),『㎜SEKI』 (都名『キセ. ればならない。ただし,高学年であっても初めて. キ』),及び『We Are The Wor1d』である。実. 外国語活動に取り組む際には,歌詞内容よりも歌. 践者が授業を取り行い,学級担任は特別支援学級. いやすさに配慮すべきである。そのため,上述の. 所属の児童の指導を行っている。全ての授業にお. 楽曲を取り扱う前に,アルファベットの発音に慣. いて,ビデオ撮影及び質問紙調査を行った。また,. れ親しむ歌,メロディと音節の当てはまりが簡素. 音源は英語母語話者が歌ったものを使用した。児. な歌を導入すべきである。 (2)今後の課題. 童の実態を考慮し,フリ仮名をつけた歌詞のプリ.  今後の課題としては,個別の音素の発音指導,. ントを配布した。. カタカナ歌詞の使用,従来使用されてきた歌の価 値や使用方法の再検討が挙げられる。小学校外国. 4.研究の成果と今後の課題. 語活動の目標は対象言語の習得ではないため,過. (1)歌の選定への提案.  計3回の実践とその考察より,児童が日本語と. 度な発音の指導は求められていない。しかし,学. の比較を通して調音や音節構造の違いに気付く. 習の初期段階における誤りが化石化すると修正. 様子がうかがえた。また, 「みんなが知っている. は困難である。歌を用いて実践を行う際も,発音. 歌を英語で歌えるようになった」という児童の達. 指導を曖昧にすると,他言語母語話者に認識不可. 成感や自己肯定感の高まりが見取れた。他方,児. 能な発音が定着してしまう。カタカナの利用に対. 童のっぶやきと歌詞の分析から,日本語にない発. しては,子音の発音に母音が挿入される懸念から. 音,音声変化,子音結合などの音素・音韻的特徴,. 避けるべきであるとの見解が一般である。ただし,. 及び16分音符が連続し,その全てに音節が当て. 高学年の視覚情報依存の傾向や両言語の音声の. はまる箇所において,児童が難しさを覚えること. 比較の面などから,使用の意図や効果について一. が明らかとなった。. 考に値する。さらに,本研究の実践は本来ならば.  以上を勘案し,本研究からは音楽科教科書で取. 現実的な活動の展開ではない。加えて,児童の対. り扱われている歌の使用を提案する。音楽科で歌. 象言語に対する運用能力に対応した教材選定す. 詞の解釈を深く行うことで楽曲への愛着を高め,. ることの困難が残っている。このため,欧米諸国. 英語でも歌えるようになるならば,愛唱歌として. の童謡や遊び歌も含め,それぞれの歌を用いる意. 児童の心により深く根付くだけでなく,多文化交. 義を明らかにし,児童が主導権を持ち能動的に参. 流にいかすことも可能となる。また,例えばrお. 加できる活動,そして達成感や自信が芽生えるだ. ぼろ月夜」のような日本の四季を歌った歌の歌詞. けの十分な時間を確保し成果を実感できる機会. を比べることで,r日本語には季語が豊富である」. を保証するよう,活動が構成されるべきである。. のというような母語への気付きも促される。ポピ. ュラー音楽はテンポや音符の組み合わせが複雑. 修学指導教員. な場合が往々にしてあるため,児童にとって歌い. あげることが可能な題材であるか吟味が必要で ある。加えて,児童が成長したのちにもふと耳に. 一169一. 小学校教員養成特別コース.         大西 入 メンタ]. 神戸市立和日ヨ岬小学校教諭.         辻 丈治.

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