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社会資本の地域ネットワーク生産力効果 : 北九州市における港湾と道路のネットワーク分析

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Academic year: 2021

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(1)論. 説. .社会資本の地域ネットワーク生産力効果 一北九州市における港湾と道路のネットワーク分析一. 徹. 井  上.         1.はじめに. らばよケいである1が,地域経済の観点から評価 することは,困難な課題である..  道路・港湾・空港などの社会資本が生産に与.  社会資本の生産力効果分析のオーソドックス. える効果の分析は,Atrow and Kurz(1970)L,. な手法は,生産関数の推定による手法である.. Sandエnσand Drさze(1971), Burgess(1988),. この生産関数アプローチによって,’港湾と道路. 浅子和美・常木淳・福田慎一・照山博司・塚本. と言った複数の社会資本のネットワーク効果を. 隆・杉浦正典1(1994),岩本(1990)など,国. 検証する方法は,やや粗い考え方ではあるが,. 内外において多くの研究が行われてきた.それ. 港湾と道路が補完的な生産要素であることを実. らの研究結果か、らも明らかなよう、に,社会資本. 証的に示すごどである.. は生産活動に寄与している.例えば,井上・宮.  しかしながら,通常の生産関数め推定で行わ. 原・深沼(1999)は,社会資本と民間資本の代. れるように,社会資本ストックをそのまま説明. 替・補完関係を考慮した上で,日本の社会資本. 変数として用いる推定は,港湾という社会資本. の限界生産性が社会的割引率より高く,全体と. の特殊性から考えて,限定された地域を対象に. しては,社会的に見て望ましいものであったと. 分析することはきわめて難しい.なぜなら,港. している.. 湾は“度建設されたならば,改修・拡張等はあ・.  その一一方で,社会資本間のネットワーク効果. る‘としでも,.その社会資本ストックとしての値. は,これまであまり分析されてこなかった.道. はある程度の期間大きく変化しないと考えられ. 路,港湾,空港などの社会資本は相互に連携し. る.その一一方,,埠頭や港湾設備が変化していな. あうネットワークを形成しており,そのネット. い場合にも便数・取り扱い貨物量・旅客数など. ワークがどの程度機能するかによって,生産力. は大き1く変化する1.空港の場合も同様であって,. 効果が大き1く異なることは,容易に推測できる.. 例えば滑走路の数や長さが変化していない場合. 本論文は,この視点から,個々の社会資本の生’. にも,便数・旅客数・貨物輪送量は大きく変化. 産力効果ではなく,社会資本のネットワータの 改善が地域生産に与える効果の検証を試みるも.  実は,この性質は,程度の差はあれ,交通・. のである.例えば,港湾と道路のネットワーク. 輸送に関わる1すべての牡会資本に共適する性質. の整備は,港湾利用の利便性を高めるとともに,. である.このため,一国のマクロ生産関数を推. する.. 道路網の利用価値をも高める.しかし,それを. 定する場合は,個別の社会資本ストック自体を. 検証することは輌一国全体を対象と’した分析な. 説明変数とすることができるであろうが,都道.

(2) ユ34 (296). 横浜経営研究. 第26巻 第2号(2005) J.,’t. 府県などの地域生産関数の推定においては,い   は,以下の通りである. くつかの社会継が期間中ほとんど変イヒレない     港湾は,日本経済に対する貿易の重要性から ことがあ渇ので,その社会資本が重要な役割を    考えるならば,日本の社会資本iop中でも港湾が 果た1していても,その生産力効果を計測できな   特別な重要性を持つことを意味している.そし    て,自明なことではあるが,港湾の社会資本と い状況が起こりえる..  この問題を解決し,社会資本の地域生産力効    しての生産力効果は,港湾からの,あるいは, 果の検証を行う方法としては,社会資本ストッ    港湾への交通ネットウーグの整備によって,よ ク自体ではなく,その社会資本から実際に発生    り大きなものとなる.特に,産業貿易都市にお した便益を生産への投入と見なす方法が考えら   いて,その地域の生産活動への寄与は大きいで れる.すなわち,港湾・空港・道路などの利用    あろう.          1 から発生する便益を生産要素と捉え,道路交通     北九州市は,官営八幡製鉄所設立以来の産業 量や港湾取り扱い貨物量は,、それ・bの便益に対    貿易都市であり,生産活動と港湾利用の関係が. する要素需要を反映したものと考えるのである.   強い都市といえる.また,北九州港は,貿易港 この考え方は,生産や設備投資の研究において,   であると同時に,瀬戸内航路を中心とする内航. 資本ストックのみならず,資本設備の稼働率を    の拠点であり,北九州市自体が交通の上での九    州の玄閨口である.しかも,北九州港は複数の、 考慮する手法と類似したものどいえる..  これに加えて地域経済における社会資本のネ   港湾の集合体であり,主要な3つのコンテナタ ッ下ワーク効果を分析する上で留意すべき問題   ーミナル,太刀浦コンテナターミナル,小倉コ が2つある.,.    ンテナターミナルFひびきコンテナダ→ミナル.  一つは,地域間連関の問題である.道路,港   が,それぞれ外国貿易・内国貿易について役割 湾,空港の輸送・交通に閤係する社会資本に共   を分担している.特に,ひびきコンテナターミ 通する性質は,これらの生産力効果が他の地域   ナルは,今後ハブポートとしで機能することが にも及ぶことである.L東京港や横浜港のような   期待されている.. 大きな港湾の取り扱い貨物は,全国の産出・投    また,北九州港の海上貨物の多くが,市内・ 入に関係しており;社会資本のネットワーク効   域内の投入・産出に結1びついており,それ以外 果は,本質醇には地域間産業連関表と地域間の   の支線輸送についても,北九州港は内国貿易と 貨物出入り表などを用いて分析すべきものであ   外国貿易を市内輸送を通じて結びつけるハブポ る.しかしながら,地域経済データの整備は十   ートの役割を果たしている.このことから,北    九州港に閨する限り,市内道路網の整備が,最 分ではなく,またその内容も統一されていない. したがって,地域間連関の問題を詳細に分析す   も直接的なネットワーク効果をもたらすと思わ ることはきわめて困難である..    れる..  もう一つの問題は,交通手段選択の問題であ    したがって;北九州港は,港湾と道路のネッ る.道路,港湾,空港などの社会資本は,補完   トワーク’効果の分析において,”eまぽ北九州市の 的に機能する場合もあれば,代替的に機能する   みに限定されたデータで分析する・eとが可能な 場合もあり,鉄道を含めた交通手段選択を考慮   対象と思われる.     .港湾と道路のネットワーク効果を考える上で, する必要がある..    根本的な問題は,先に触れたように,生産活動  本論文では,このれらの問題を踏まえた上で元 前述の手法によって,北九州市における道路整   と輸送手段選択L・港湾選択が同時に決定される 備と港湾のネットワークが,地域の生産に与え   ことである.輸送手段の選択とは,船舶・鉄 る効果を分析する.北九州市を取り上げる理由   道・自動車などの交通手段の選択であり,港湾.

(3) (297) 135. 社会資本の地域ネットワーク生産力効果(井上徹). 表1 北九州市経済と貿易 (%). 1. 輸出/域内総生産. 輸入/域内総生産. 純輸出/域内総生産. ,24ユ0645. 16.99163. 1975. 4工09808         ■. 1976. 40.95749.                ♂. Q5.11008. 15.84741. ユ977. 39.11601. 24.70175. ,    144ユ426. 1978. 3ユ.23985. 20.91608. 1032377. 1979. 37ユ4633. 23.5工186. 一   13、63446. 1980. 43.31395. 26:88885. 16.4251. 1981. 42.89286. 26.52843. 1982. 42.22018. 24.95489 .. 1983. ・   40.18874. 1984 1985.          1. S2.09367 40,562. 1986. 16.36443. 1    工7.26528. 23.29219.           一. P6.89656. 25.75822. 工6.33545.   一. Q4.88043. 15.68158. ユ7.60077. ユ0.68539 9.634ユ7. 1987. 23.82297. 14.1888. 1988. 25.2646. 1448929. 10.7753. 1989. 27.28897. 14.96766. 1990. 26.46631. 13.70885. 12.75746. 15.40703. 一12.54309. ユ2.32131          一. 1991. 27.95013. 1992. 26.44241  .. 14.5987. 11.84371. 1993.         一. Q4.98098. 14.21399. 1α76699. 1994. 25.61571 ・. 14β4045. 1α97526. ユ995   ‘. 30.85906. 1721507. 13.64399. 1996. 30.35629. 16.0752. 1428108. 1997.       一. 1998. R2ユ0472 28.7591. 選択はどの港を利用するかtいう選択である. もちろん,輸出・輸入も同時決定である.した がって,厳密な分析のためには,巨大な連立方. 16.64453. 15.46019.              一. 13.68749. P5.07161. よる計量分析を試みる.第4節はまとめである. 2.北九州市経済と北九州港および道路整備と物流. 程式体系が必要であり,同時に,多数のデータ. 2.1.北九州市経済と北九州港. も必要となるが,ここではデータの削約のため,.    一出入貨物一. 部分的な体系の同時推定を試みることとする..  北九州市における北九州港の役割の大きさは,        北九州市の経済規模と北九州港を経由する貿易.  本論文の構成は以下の通りである.まず,第. 整備と物流の特徴を概観する.第3節では,第. 額の対比から,一目』瞭然である(表11出典 北九州市HP).輸出/域内総生産比率は30%前. 2節の分析を踏まえて,’港湾と道路のネットワ. 後,輸入/域内総生産比率は15%前後であり,. ーク効果について,部分的な同時方程式体系に. これらは70年代に比べて低下しているが,日本. 2節で,北九州市経済と北九州港の関係,道路.

(4) 136 (298). 横浜経営研究 第26巻 第2号.(2005). 図1 海上貨物取扱状況 12000. 万トン. 冊000. 里000. 回  入 口  入 回  出. 6000. 国  出. 400D. 2DOO. o. 母R尋F穿尋≒寺等呑零尋自這,x8詰鵠鵠躊鵠m■這x8 blNロ守口叩h°コmg;blses 。コ                                   1R. 曇             ll 全体では,輸出の対GDP比が10∼15%,輸入の. 量がトレンドからジャンプする形で増加してい. 対GDP比が9∼14%であるから,かなり高い.. るのは,阪郭淡路大震災のため,神戸港で取り. また,純輸出/域内総生産は15%前後で安定的. 扱っていた貨物の一部が北九州港に回ったもの. に推移しており,日本の純輸出の対GDP比が. であり,そめ影響は翌年まで残ったと思われる.. 1%強であることから見て,非常に高いと言え.  表3は,北九州港のコンテナ貨物の輸移出・. る.一方,北九州港の海上貨物取扱量は,図1. 輸移入の重量に基づく内訳である(出典1北九. (出典 北九州市HP)のように高い水準で推移、. 州港且P).平成16年のデータによれば,輸出・. している..  表2は,北九州港の海上出入り貨物{トン)の. 輸入コンテナの9割以上はダイレクトであり, 市内もしくは地域内の投入・産出と取扱貨物量. 趨勢を示したものである(出典:北九州港HP).. がほぼ1対1に対応していることが見て取れる.. 内国貿易はほぼ6、000万トン前後,外国貿易は. 一方,国内コンテナの8割程度はフィーダー. 3,000万トン前後の規模であるが,興味深い点. (支線輸送)であり,北九州港と市内輸送を経. は,重量で比較した場合,輸入貨物のトン数は. 由した移入→輸出,輸入→移出が行われており,. 輸出貨物のトン数の約3.5倍であるが,表1か ら明らかなように,輸出貨物の価値額は輸入貨、. 北九州港がハプポートとして機能していること. 物の約2倍であり,後に改めて確認するように,.  北九州港の外国貿易・内国貿易1の主要仕向. 原材料の輸入に対し,製品・加工品の輸出,とい. 地・仕出地を見ると,貨物重量で見た外国貿易. う貿易構造を如実に示すものとなっている・. の上位3力国は,輸出・輸入とも,オーストラ.  また,表2で,1995年に外国貿易の貨物取扱. が示されている.. リア,中国,インドネシアである.オーストラ.

(5) r. 社会資本の地域ネットワーク生産力効果(井上 徹). (299)137.. 1‘. L. (. o口 口N 題 『. 口 罰. q臣. 口. .口. 《辞. 叉. ← 口. 呵 ト N『o円. o 』. 鴫. ロ9・. ’「」. マ 円. ’口1. 壁. 只. o. 口. 〒. 咀望mN.. 口 口. Nqo口「. 口. 一只o口. om 旦. ‘N 口. ’亘’. 守. ←. .国、. ?高m. ゥ口.N. .⊂}. ト. o口. 町’. ’畦. 二r〒. 伺 口. ζ町,. 口亘’. 否現印N. マ. ’u口,. 『. 呪. ト 也. 1国. ロコ. 吟. 岬. o 里. 『. o. 四 05. 口『口N.. 吟. ・o. 巳. ト. 口. ャoN. jo.N. ・:o. 口. 口. 刊.. o. 巳. o 印. =. :N. .マ. 孟苗N一. .【o. = 四. 口円マロ. 口 一. ロコ. 口. 口. 屯. 即 ト. 中. 埠 m o N 卑. 竃口.. 口,. qo. 亘. 卜唖N・口」. .:㎡1口. 旦. .叉. 口. .口. 胆.. 蝸. .町. 口. ・田. m Nm m 口 円 吐 口 口 N m. jo…ロ.. 口. 口’. :●. N可口口.. ・口. ’鴫. 一. m巨.mN. ト. 口 口. o『. ← 口. マ. ←.E古口〉. 轤ho口. g村七. L. (. L. r. 「a=N. 1.. ■喝. 1. ヨ. ロコ ト㊤. ト ト●. 岡.. 匂mS. o. ・. −1. ) 一. .. ‘o. 田[・. :守.. N. 奄曙. τ唱:. 福曙. ... .. ロコ. ●. 切. 国. o印 一. 口. 「や. .口. ゥLo.口. D「巳●N. 口. 口,. .N’. ・マ←. m. .●. 口{o.. .『P.. ツ. −. .. ・口. ←. .田コ. ’否. ’口}. ’o. o呪「四N. ・. U⊃、. ’守. ヌ中N. j’埠N. E【亘o口. マ. 可. トL’. 1口. .ト三. 口. 1ロロ. ●マ. P ゥ ← o ●. .●. 四. .. .−. ●. ト戸. 帥里Ior口.. Dい1N・.o. ト≒’. ?曙. ト. 否. 口口. ’廿. 口’Nl. ●    .   ●. o :泣口. ゥ四:口. 酎. 口. u叫. ,町}. −. ’口 ’口. 口口1 ←. 一. 杏 ト」1. ト. ,cu. m. o・. .N m三N口. N.o. m.口. ,. 一. .. 白. ’¶■. マ『o口. ・ト〔. ,←. 1マー.. 口. トo・. .口,. .ト. .. 1   ●. 一. 口. 口. .トー. ’二’. m. “7.. ●. 』. ’「『. ●. 否. 一. ‘口. o鴫o’口. マ豆マロ. 中. 卜L. 禔f. o㌔口甲. 口. ’吟 ロマ. トマ. m. 苫.. .. ・. 岬. 口『←口. ヤ・口m. ・. m m mト. ・. マN. .口}.. m. 杓. ・. マ. D哨トN. w叩N. m.. .m:. 吉・. 1口.. 吟ト. g. fc口 ・. ・o. ・. −    .. 田. 口 c口.. iN 鴻香EN. D芭.卜LN・. ノN. 禔E口. ’ロ自. 1. 1. L. 鼠. 守. ロト. ’ト. ・広o. ピー. 賦.. .. ’.. ’口. 圃. ... 己1←. 口 ’ピ’. c. L .  .. ト. 6.. り 輌m. N, 苗m. ・国. ←. 、ロim. 口.o. Eo 声.. ←.. 」守. ’d’. 口m. .ピm. N. ト 逼口. 二〇. .?一. ,「. 拠’. 一.. .o. ’【o ・ピIm. 口. 口’ 這0. 苗」. 一. ゜一゜. N. 竺口. 一゜. uo. ’ぶ’. 6’o. r. ←. 叫コ,. ピ研. 四. ⑰. ≡印. .由.m. m. ト. uo. ピ.口. ’o. 一. 亘m. 〔,口. 可. ゴ}m. ’一. ゜←. ← .扇o. m. 一’. 口m,. ’ロロ. N. 口. ’6.o. 這o. ←. ←. P.. 字. ’「=h. ii.. 1. 畦.寝』. 圧... 口. ← L守 1←.o ’㎡’. ... ,M. 1. L. .’. ... 十. 一. L. ... .一. 1恒直. 寸.. 1. 110. ←. ト屯. 白号. .口. 口. Φ. 1的. 」. 国TN. 写.二. m. 苗’ ’口 口『口. ・σ). 町. 否. m. 吟. o’. N「口. 口里・口. ト. N.文. 再’q1. 口’哨. ←見. :マ 恒『←. N巳’め. ・rr,. 口).. ・N.. .マ. rオ,. .o. .守. {←. =1.. 口1忙. U ャ. o. 開 wm. .o. 」:.. .N. ヌ・面. ‘トー .」.. :叩.. ・口. ←. ト哨. N. 肋’屯←. s. 但. N屯. .マ. L口. ,口. 口、’㌔. ’m. .吟. j. 口’『. .口 .トw、. j’中. ト. 口た. N 口屯●. 口. ’再. 口た. 1一. 口鴫. .口. ’ト ・口. ’ト. O. ml〒ニト. 1口. 口巨ト. ト. 口. 口・. 口. .口. 珊. 口. 口. ●.. L. ドロ. .:. ’口’. ’口. ゥ m. 口口’. ’円. ... 口. 口 r.. .口. 口. 中・.口. 1. 1. ●. 口.. ’1n. .口’. マ’ひ. wN 円『口. 口. o.覧. 廿豆. 口. .← 品・. マ畦ト. `N. o. ←. 口. 口町. .e口. 口. o. s「一. 咀口. 口’口. 呂. 守’両. ’o. N『. 口. ← m町. 岡『. ←ヒ. ド. .囚. .口. 寸㌔ロロ. Nh←. 1口. o. 口. 口. ロコ. o皇中. 吉ば. 口. o. N『. o. o『. Eピ. ’oo. 口. .口. 廿旦. N.口. 口. !トL’. ・《口. E旦ト. ャ口. 口. 口. ’o. ’口. 口,. ト町ロコ. o『←. 口. o. .’. ... 一. ’口゜一. 口. 口. .一. 1. @.. L.. :口.ト. :. m. 口. ‘  ... 1. .    1. .一. 口. 「、」,. l:m. ゥ゜や. u.. ●. 岬. 臼o・. o’. 【口’. m. 但.国. N口. ’r字、. ’o:’●. o口. N四. 口’守. 口,. m“. @』 ⑰. `・ 亘ロロ亘口N. .く1. ...L. 」. ’∫. 1    .. r. 一 1. j. F 一. 自5. ’白.. 二N. o:. 口’. Nト’. ’o. 廿「. DN. 1」. ’埠. 1可. ,口. g●’. .嚥. 鼠. .. 唄口Io. @    .. .吟口←. ・ト…oo. ’口口m. ・『・. 口酌’白. ゙,. 円oN. ’ロロo. h哺切. ’頃●口. や. ←. ←.. ←. ←. ←. 『師助. F. 卜’. 頃口m. 『口o’. .『mト. 「α.o. で寸o. 『1. 『廿o. 閂;. ザmo. 口’. ロマm. 福. 盾薯. ゥ・. F. 骨. 1一. ←. ←. 口口o. 頃』m. 『●←. ←. ←. ←. :.. ㍍. ’円om. 『・oo. 只口o. 口口o. F. ←. 一. 福. ’ 「. ... 1. ... ’暴. ‘べ. ’円. 塘鑑. 食. 賦. 『口o. 福. ’N. ロo. .N. 戊’. ’呂・. 燥. N. 一. .一 口o. .《唱. ’N. 」【りI. 可o.. Eo. 臼コ. ,ロ目」●. ’吟. ’ロ. 早D J.. h「. ・く. 濠酔蒴. 崇ョ. 1. 1. L .    1. 白o. .而. .℃. c口,. 口寸‘. 田怜藩. ㍍.. 1. 1. .鵠. ’『口口. 『ロロ←. 屯←o−.. q㊥切・. ・咤.寸帥. 口mo.←. 円’. 只口o←.. 頃口m. 吟」o←. 円」m. 〔苗m. 『ト白. 『マoや. 口口o←. 1. .四国o←. 「咀o,. 号卜切・. 屯NΦ. .円 撃純R. 窒. 香D. 塒鑑. 1.. 4ロ. 1. 1. ... 1. 1. Im. .cコ. .ロ. や 、. 中. ト’r苦. 両マ. ロマ. 冨. N岬. 『口. 口㊤. 田已. o町:.. .   ‘. ←口. 口o. o口. o●」. 這. 口’. N咀. 晶,. 1凶.. .... P  .. 『. 両.. 口. o一. 中. 一’. @N. @一 一. ... 箇一. 『一. 1.. 口’. uコ. ゥ [. 1. ツ. 1 ・. 降. 1. 1’. 恩 辟. r D. ... ∨. 1‘. 1. 下 j..

(6) 横浜経営研究 第26巻 第2号(2005). 138 (300). 表3 コンテナ貨物(トン数) ,(単{立:トン). ゴ00.O. 6,733,267. ioO.0. .5」6,589. 元07.7. 219631661. ・7、249β56. 輸移出. 輸移入’. 13,291.4231. 45.4. 18.958、433…. 54.6. A.国際ヨンデ亥.. 合一計. 7泊88、371’. @          ・    〔コィーダーを含む}. 輸出. @                        {C十,副. 輸入’. B.国内コシテナ. 合計. @                        (D,−E}. C.外国貿易 @                      くダイレクト). 、移’o. 一44.0. 327,762. 11t1. R1769,606. 一56;0. 1B8β27. 105.0. ’97.8. 6.610ρ43. 982. 478,329. 107.2. 3,212β29. 44.3. 2,899,450. 43.1. 1   3131379. 110.8.      一. R,875,542. 53.5.     一. ’55.1. 164,949. 104.4. 」161、485. 2.2. R,710,593. 423,224. 1.8. 38261. 伯1.o. 78,594. 1.寸. 64,211. f.o. 14,383. 122.4. 82β9」. 1コ. 59口13. o.9. 23β7日. 140.5. 6.940β45. 95.7. 61445,407. 95三7. 495.43β. 107.7. ,輸’出. 3ρ99、396. 42.8. 2,768,7B5. 41.1. 33α6†1、. 111.9. 54.61. , 1641827. 104.5 107.3. 3;841,449. 合計 移出. 狛却27. @                  一. ’移入. 1161田4. 巨、ラィーダー. 台計 輸出. ’1471526. 113,433. @        (内国貿晶の内数).       ’. 移入 合計 輸入、. D:内国貿易. @     ㈲. 構成比問. 、構成比㈲. 合  計. @                   (コィーダ,を蹄く). 対前年比. 増減. 15年. 16年 1. 一輸入. 309,01寸. 34ρ93. T3.0  ♂  、. ,3,676,622、. 413. 287β60. 4.3. 21,151. 2.6. 1941日76’. 2.百. ’−2,849. 98.5. @ 92.984七. 1.4. 24ρ00. i25.8. 2三〇. 164沿36. 2.4. 一17」]0. ’89.6. 1.6. 、 130,665. t91. 一171232. 86.8. 33β71. 0.5. 122. 100.4. 一∨. 工.6・. 一 αら. 国際コンテナ:外国貿易とフィーダーを加えたもの.北九州における実質的外国貿易貨物量である... ヲィーダー :本線輸送に対する支線輸送.国内の他の港湾で中継され,外国の港湾との叩で取り引きされる貨物をいう.内国.      貿易の内数. 国内コンテナ:丙国賜からフィーダーを差し引いたもの.北九州港における純粋な内国貿易貨物mである・内国貿易の内数.                                       (出典:e北九州港HP). リアからの輸入が多いのは,鉄鉱石などの原材. 九州市内での産出による輸移出,投入めための. 料輸入が多いからであると考えられる.対中国 貿易は,定期便本数が近年増油してお一り,金額. 輸移入のみならず,輸移入→輸移出という,い わばハブ港湾としての物流が行われていたもの. 評価した場合は,中国が第1位となるとであろ. と考えられる(表4,表5参照).また,輸送. う.一方,一内国貿易については,移出・移入と. 手段としては自動車の比率が圧倒的に高い.  品目別に見た北九州市内での産出・投入の例. も,大阪府・兵庫県・山口県が上位を占めてお り、,北九州港が瀬戸内航路を中心とする内国貿. としては,鉄鋼とロークス,輸移入→輪移出の. 易の拠点であることに対応している.. 例としては,鉄鋼・石i灰石(自動車比率は0).  陸上出入貨物に目を転じると,これまで述べ. が挙げられよう.. た北九州港の特徴がより鮮明となる..  例えば,鉄鋼については,他地域での製品を.  有力な情報源である『陸上貨物出入調査』は,. 移入L,北九州市の製品1とともに輸出’している. 一定期間中の一港湾からの搬出,港湾への搬入を. と思力れるが,移入した鉄鋼の搬出先(仕向地). 調査するものであり,通常は調査年の10月に行. は,ほぼ北九州市内と苅田町であり,輸移出さ れる鉄鋼opr搬入元(仕出地)も北九州市内が多. われている.この1調査から見た北九州港の貨物 物流の特徴}ま,北九州市内比率の高さである、 これは,前述のように,北九州港は貿易港であ. ると同時に,内航海運の拠点でもあるため,北. い.また,輸入貨物の大部分は,鉄鉱石,石炭,. 重油などの原材料であり,これらの主要な搬出     ホ. 先は北九州帝内である...

(7) 社会資本め地域ネッ:トワーク生産力効果(井上 徹). (301) 139. 、. E呂田巴{R畢・目㌫3巴8呂言器さ雷謬苦言田8鵠宕言8ロ〇一一爵. H轟鵠雪igs習;8;苫『88『8苫i≧目8d宮『呂9  ’8. ぶ‘66666di〔66口占占o占6ti 6占60dd  . 己. 封自=苫.8誇:字嵩審2琶苫’曽鵠.㌍認自巴鵠雷宰禺1きsqo言.呂 江」 マo−¶qコrooトPt口o否←マPto昏}曲’トoo→←N・N  ←□ 蛸  ’m一トL←【一Lξコ【白口口mザU当O号 . 甲N口埠口O・口O凹印     O・O 中Ct}   ロ・ロ Pt 口oo一ひ1ト・ P1・Pt−一一 一 一一一  . 蓼曇自゜・    E・: ““㌃. 養量⊇舗鰐§難き㌧⇒.. ’口i辞1匡=.芭江無置超還1≒く即当時40 辞 トiR告鵠…ヨー鵠別…皐呂巴吉.tR留禺さ目留i日雷鵠8闘・s認自零:一一専. H畠田苫目巳苫吉t呂吉筥旨詔日9日目菩.吉占習888習8 . ,x.dddd己d己o・ddd己dd占dd6己6占6666 . 審 e’.    r・埠口qoNonΦaooab帥民でロlNoo由・w口【口ooロコoロcu[力   剴8語自躊自巴i巳嵩宗紅、呂吉器認包呂::i82.8需鶏iR iR寒’E.   山」 ロe←∵吟αコ←口口否司一.Pt.ひ1トロロマロロロロcuromoロcロoo tOロNザneおne NnnPt ロロvcoロロ.uコ oマで   せvca  n.   ぽ  ’籠巴 …c“N 一『. @{一一…1. .困    $   ≡      国     ヨ困困剖堂韓崖芦固培蝶ヨk     逗景卑位埋掻巨暮伊麟特99i室主 吉   已・凪無る」く暑ヨ=匿垣装申巨}モくロ ¥ …≡.   ト留・品昌呂鵠縄苫雷9二雪田鵠器s包苫巴苫毒き・88’i彗巴゜一f零   H誇’詰9鵠巴巴巳雪雪苫き習呂き8呂呂『i∋s B”k 8呂呂  島. (、 ,),966ピ6ddぎdtidd6占ti 6占dOδdd.占dd〔  占 ヨヨ』. 翌餐藷菖寵菖量謡顯叢’霞菖§騨離匡§§曇゜騨  リ  ロnN  づロロcつおNでロロuコで げ バ 4ペヨゴのマ     ロマ. 薔霞三 〔吟一.’ 閤づ  戻  .翠 議ll量曇誉蓼1’誘1蕪1 ・ 畢 寸’. ト吉コ言sgl$’i碧鵠i3毘雷閉巴曽柘c苫宰:8:言目宕oo一一留 9口巴闘『.R2.8『i9器苫霜苫培8日8目8ば雪巴83..                器 r; ’9d昌o己己dOゴ己6d・d6ddo”6ti占己己ばゴ.  ゴ 選i碧自鵠田巴品器・闘一8㌍『田器毘留・留呂SUI 8$…R;巳自’ミi o「)詔鵠 ㎏L o「司口rイ埠自oo口ca寸口L口柏吟oo埠1ロロコ輻ロロoロロoロコ. 唱 民:悶口■m・ロ〇−Pt坦N口否oロαコor字マロロocom口    印o                oPt ロ ロm NおNほPt¢ぺNNマうぜ N ri ロに 一一 q’mtl               ト  曇墨巴ヨ゜°     雪 ,£    也1凶. 国 . 碧国困箒}臣国藍旨暑蝶1岩⊇・}÷ . …豪. 藁置薯墾皇昌豊蓑董墓£誓葦裏尊.                、 憾§§量§聾§警龍§§§韻菖皇警§菖§°°『°….  ぶd6e’《5dd占6dO己己占ddddtiddd己 封閤巴苫鵠留巴i零留8呂呂鵠篇趨i三田認…ヨ忠包鵠雷゜°oo鵠間 専  ㊥mcu自■en守N印マ亀ローマNOマ←噌嘘t口口国o   トご)ゆa トゆmCOロコてド .・・−WPtロ .               ←埠            ロち             pa               のび 撃ee s cg・N’         .{2$ ・fi…ヨヨ. 讐頚.         ま  部・1 日蝶まままま法蝶壷.韓芸呈K 恒匿ロ余特t自領寝堅惜婁eK罫詣 se’t…ヨKgK躍噌躍畏佃㎏藍苦くロ ’暑暑暑暑培M昌普暑暑暑暑嵜嵩. A富貢E菖菖書菖菖ff書醤A蓋 ・皿4皿{田皿{血皿・皿佃・個口.皿皿・・団{皿. 孟魯ホ担吉魯霜崎詣担ホ収古魯吉中ホ}埠誰中曲o古斑詣ヰ本魯. 4匝,“ 〈tt’esくa・“〈ロ・ひ中・“4mく恒4脚4ロ,∩40中4ロ・“遣帥4恥ぐロL“. ∋ N 吟 マ 田 ロ ト co a o.          一. ’..

(8) 、横浜経営研究 ’第26巻 第2号(2005)一    よ. 140・(・302’). P. E.        ト       2  運璽竃…§警警§1馨鷲ξ量璽蓑警き竃警§鰭ll§       戸ノ                         」.  ,;. 」墨繹謬§熱議皇1;1ぎ…°ll藁i …罫  一錐  ≡ 邑        …量嚢婆曇誓量菖警竃華§警E毒・曇.  ㌃竃墓き馨誘量翼鷲璽誓璽聾璽量誓§量§§ii,1  ,〉. ,1曇議§羅響難垂璽曇§§§曇ぽ弐li. 一翼翼1・量聾誘量・舞1詰i− 窒ュ、       . 叢㌃量聾量籠聾曇量§§葺竃甦誘§璽§§§§§量Ill l. ll声懸華1§曄量§蕪 1菖雌 也国 国岳   罫  ’量 llR璽§一§.婆量翼誓量菖量§警:裏量. ± ・  .  ・鴨嚢璽箋警1肇鷲蓉肇量鷲量璽§誓萎璽…§§…翼量. iξll羅1量霧議量量箋婁量§…°1㍉璽i.     培字雷m鵠・s・M.x*・Pt培培mm §きき§…三§§§§§’§§§§§ξ a                               ト        . ペ. H. ・,;           ・.  書暑.暑吾暑・暑昏’暑・暑吾暑暑.邑{芸.  曇§曇§曇§曇曇曇蓋i曇§嘉 皐9肇慧麟毒雲毒鵠蹄9裏£裏累識芸裏9毒蹄£毒£ 一 四 Pt ・= 口 o ト oコ en E:.

(9) (303)141. 社会資本の地域ネットワーク生産力効果(井上 徹). 表6 『コンテチ貨物流動調査」の調査結果(概要) 消費地別船卸港別貨物量(輸入). 北九州港 生産地別船積港別貨物量(輸出) 1993 1986 1989 1998. 2003 76838 望36862 124249 191997. f989’ 1986 1993 1998 2003 28043 105664 175827 20田87 2304]3. 38614 q9771. ]コ998. 29H6. 2.3799. 3.1146. 全国シェア. t3962 29393. 32.69. 41,411. 42864. 47,476. 一63,635. 九州・山ロ. 66,028. 50,652. 55,582. 47,963. 29,806. 酬. 55,208. その他. t2819. 1.9365. t5549. 4.5618. 6,559. その他. t2516. 合計 全国シェア. 福岡. 合計. 九州・山ロ、. 3.8851. 2.7034. 53,564. 6田48. 35」65. 3aO88. 3α98]. 26,295 、]8i64. 8.3482. 8.3706. 3.7332. 43,203 一45,595. 43.54 占301502.  したがって,市内の道路網と都市高速道路の. 2.2.北允州港の物流と道路整備. 整備はt上記のような物流を円滑にする効果が.  北九州港は,前述のような「西日本の拠点貿. あったと思われる.. 易港であると同時に,九州と他地域の内航の拠.  もう一つの情報源である『コンテナ貨物流動. 点である」という特徴と,「その貨物取扱量に. 調査』,は,調査年における輸出コンテナ貨物の. 占める北九州地域内での産出・投入の比重が高. 生産地と輸入コンテナ貨物の最終消費地を調査. い」という特徴を有している.{このような特徴. したものであり,その概要は表6のとおりであ. をふまえて,北九州市は,北九州市物流拠点都. る:この調査から読み取れることは,次の2点. 市構想を掲げており.,北九州市が重点的・優先. である.. 的に取り組むプロジェクト之して,以下の4つ. ①北九州港経由の輸出の全国シェァが上昇基調. を挙げている..  にある.    ,   .. ②輸出品の生産地,輸入品の消費地とも,福岡.   北九州市物流拠点都市構想 リーディング・プロジェクト(抜粋).  県内の比率が高く,九州・山口が90%以上を  占めている.. 1.使いやすく魅力ある新しい港づくり.  ①は,北九州港が対アジア,特に対中国貿’ 易の重要拠点であることと,近年の対中』国貿易.  365日,24時間対応で港湾諸料金が日本一  安い港をつくります.また,事務手続きの. の著しい増加を考え合わせれば,首肯できるこ.   簡素化と情報ネットワーク化を推進します.. とである.②については,博多港も同様な傾向. 2.港湾への多様な広域アクセスの整備. である.  ・ ’.  市内の物流基盤摺を結ぶ道路網を充実させ,.  ごのような生産地・消費地の構造と,前述の.  ,効率的な輸送サービスを確立します.また,. 北九州港の統計や『陸上貨物出入調査』が示唆.   内航フィーダー網の充実や,鉄道貨物ター. する輸入一移出,移入一輸出の関係を併せて考.   ミナル1・トラツクターミナルの整備等によ・. えれば,広域道路網の整備も重要であるが,そ れ以上に近距離もしくは北九州市内の道路整備.   り,輸送力の増強を図ります.. の方が,北九州港の利便性を高める効果が大き.   点の形成1. かったと思われる..   広大で安価な土地の利用を促進させ,輸入. 3.アジァとの連携による新たな輸入・加エ拠.   食品・家具・住宅のカn工・組立配送拠点整.  備を進めます..

(10) 横浜経営研究第26巻第2号(2005>”. 142 (304). 表7 北九州港関連道路整備年表. 1972.              一 繽B自動車道植木一熊本開通.    . P973. 九州自動車道南関一植木問開通. 1975. 関1門橋開通                一 九州自動車道鳥栖一古賀蘭通. 1977’ __一∨ f1979   一. 九州自動車道古賀一若宮開通 繽B自動車道若宮一八幡開通一一                      _’. 1980 1984. 九州自動車道門司一小倉東開通. 1988. 九州自動車道八幡一小倉東開通(全線). 1990. 北九州都市高速2号(戸畑一小倉)           一 ナ田道路開逓. ユ991. 、2000. 2001. 北九州都市高連4号(八幡二門司) 北九州都市高速1号(小倉一小倉東IC). 北九州都市高速5号. 4.リサイクルゲートウェイの形成. 量が平成3年に大きく増加している.この増加.  先進的な取り組みの環境関連事業を活かし,. は,普通車・大型車双方にいえることであり,.   リサイクル資源・再生品の輸送手法や調. 統計の取り方の変化もあるが,都市高速4号.   達・供給ルートの確立を促進.. (八幡一門司)開通とそれに伴う他の幹線道路.  この申の最初の2つは本研究に直接関連する. えられる.. が,注目すべきことは,2.の市内の物流基盤、.  図4は,北九州市内のJR貨物取扱量である. 聞の道路網の充実である.前述の北九州市の投. が,趨勢的に減少しており,北九州港取扱貨物. 入・産出・貿易・物流の特徴を考えれば,この. 量の趨勢一と1照合すれば,他の輸送手段べのシフ. との連結が,通行量に大きな影響を与えたと考. トが同時に進行していたと考えら.れる.また,. 政策は適切なものと評価できよう.  北九州港に関連する主要な道路整備事業をま. その大ぎさも.直近では到着・発送とも200万t. とめたものが表7である.こ、のうち,サンプル. 前後であり,北九州港取扱貨物量の数十分の1. 期間中の重要なイベントは,地域間交通手段の. に過ぎない.. 大ぎな変化である1988年の九州自動車道全線開 通と,市内交通手段に大きな影響を与えた一連 の都市高速道路整備であろう..  実際,図2のように,北九州市内の舗装道路 面積は趨勢的に増加している.また,質・量の 両面からみて重要な道路網整備である都市高速. 道路について見てみると,図3のように,通行.

(11)   社会資本め醐ネ汁ワー姓勤効果(一)t・k徹). (305) 143. 図,2 路延長及び面積(昭和59年以前の実延長.は砂利道等を含む) 千㎡.    千m 4S.OO. 35000’. 唖道 路 面. +実延長. 30000,. 4000’、. 3500 2500e 3000.   /. 20000,. 2500’. ,2000. ’1印00. t500. 10000 1000. 5DOO 5叩’.  ’0. 寮…SS  ’S 14t’ 卓∼ N‥もiへ勺; . ;o. 躍・.                図3 都市高速道路・’通行量(内訳) 干台. 45000、. 40000、. 35000. 30000. 25000. 20000’. 15000. 10000’. 5000.  ・0. ・b・,,・.iS“日㌫. ア s. 元 う .tS s tS’へ b “・“xxΦ・tS÷.

(12) 横浜経営研究  第26巻  第2号 (2005)一. 144(306)   1. 図4 JR貨物 到着量1発送量 1600D. It                        ∼. ロ53JR貨物品目別到着量 52JR賞物品目別琵送量. e. 14000. 12000. .!0000. 一. 8000. 一. GOOO. 一. 一. ヘー’. 一. 一. 一.  i. 4000. @ ’. 20DO. ロ. @]. 「宇. 、P    、. ’‘.  璽. @き @‘ @早@き ‘@8 @.P @匡 ァ: @111@ド. @  』   漕き馴’. @}. ’七. @8. ?戟G. @ 蓼.  .ヤ @,i  ・;@き ‘. ・』. @g @l. @ !. P. x・lii  lil  l ‘   1 占. 洞 @‘. 「量1. @ !潜. P ’. n」. @                ’.  il・.  } {淋 {.  1. p1↓ @ 匿 @ ’ @ ‖ @ 蓼. 亨Piiiii継1灘1. @; ‘. @」. ll. @∂ @鼻 @置.     一.  冒  } ]  響@『@耳. ’き. Tl.   一一 P. 輌虜言P8、き’」.   ・ 竃 言’』 幽一オ. ’妻. 淵調. !: .. f1. W, @ 已@ ■. 撃奄奄戟D. 、!. =D. i▲・. ’f. x{. 」」 ,, .‘ ‘ . 昌ll ‘ r 目. ノ登 ∵ 膏…∼音湶 ぱ………… 図8 輸移入・輸移出と市内の道路利用の関係. 輸出(船舶). 輸入(船舶). 移入(船舶,鉄道,自動車) →  市内の道路利用’ →  移出(船舶,鉄道,自動車) 投入↓. ↑産出. 市内での生産活動.  以上の分析から,北九州市経済と北九州港お. ットワーク効果について分析を行う.市内の道. よび市内(域内)道路整備の関係は,図8のよ. 路利用と物流,生産活動の閤係は,図8のよう. うにまとめることができよう.. に表現できるであろう..  すなわち,北九州港と道路のネットワーク効.  この関係は,生産活動と輸送手段選択・港湾. 果を分析する際には,市内(域内)道路整備を 主要な分析対象とすると考える十分な根拠があ. 選択が同時に決定されることを示している.輸. ると言えるのである.. 交通手段の選択であり,港湾選択はどの港を利. 3.ネットワーク生産力効果の計量分析 本節では,北九州市内の道路整備と港湾のネ. 送手段め選択とは,・船舶・鉄道・自動車などの. 用するかという選択である.もちろん,これに 先立って,輸出・輸入が決定されている.それ 故,この関係を厳密に考慮したモデルは,巨大.

(13) ゾ. 社会資本の地域ネットワーク生産力効果(井上 徹). な連立方程式体系による同時決定モデルとなる.. しかしながら,利用可能なデータは変数・期間 ともに非常に制約されているので;分析を部分. (β07)145. ると仮定する.L yi=F(N,,K”叫1,ω1;x,). (ユ〉.  ただし,. 的な体系に隈定せざるを得ない.特に,港湾に ついては,港湾設備そのものではなく,貨物取. Y:生産 N:労働 」(:実物資本. 扱量などの港湾利用に関するデータを用いた分. M:原材料投入量. 析を行わざるを得ないので,構造モデルによる. ω:その他の生産に影響を与える変数. 推計は不可能である.. 工:道路整備状況.  このような制約の下で,分析対象が道路と港 湾のネットワーク効果であることから,以下の. である.道路整備は,地域生産性を上昇させる. ような関係を取り上げる.. シフトパラメータと考える..  まず,道路整備の効果については,次のよう.  次に,’海上貨物陸揚げ量(陸揚げ)OSM,. な効果があると考える.. 海上貨物積込み量OSXが次式で表現できるも. ①道路整備の効果.     ‘. のとする.. ・北九州港の利便性の向上.   → 港湾選択における北九州港の利用↑.  OSMt=OSM「(M(IV,),X、,’EXT∼,)       (2).  OSX、=OSM(Y,,X,,EJ8 R,)    (3).   → 輸送手段選択における船舶利用↑ ・自動車による地域問輸送コスト低下.  1ただし,EXRは為替レー・一トでありi輸出・.   → 輸送手段選択における自動車利用†. 輸入と為替レートの関係を表している.道路整.  次に,海上貨物取扱量であるが,L輸入貨物の  大部分が原材料・燃料であり,移入貨物にも. 備状況Xは,前述の輸送手段選択・港湾選択に.  原材料が多く,それらの主要搬出先が北九州  市内であることから次のように考える.. ②輸移入貨物量は,a)原材料投入量あ増加閤  数,b)為替レートの減少関数, c)市内道路. 影響を与えると考えられる. ∂F     ∂OSM        >0 −>0,.      ∂M ∂M. は,ほぼ自明であるが,この条件の下で,道路.  ’整備の増加関数. と港湾の間の正のネットワLtク効果が存在する.  また,輸移出貨物については,次のように考. ならば,.  える.. ③輸移出貨物量は,a)生産量の増加関数, b).  為替レートの増加関数,c)市内道路整備の. ∂2F     >0. ∂X ∂OSM. 一… @ 条件(N).  効果は,地域間輸送手段としての自動車のコ  ストを低下させる効果があるため不明. となると考えられる..  以上のような仮定の下に次め3式の同時推定  以上のような仮定の下で,地域総生産のみな. を試みる.追加的な制約として,生産関数は,. らず,輸移入,輸移出,及びそれらを行う輸送. 資本と労働について1次同次であると仮定する・. 手段の選択が同時に決定される状況を前提とし,. また,平成7年(1995年)’は,阪神淡路大震災. この犬きな同時決定システムの一部分を推定す. のため,神戸港が一時的に使用不能となり,他. ることによ一って,道路と港湾のネットワーク効. の港湾への物流シフトが見られたので,震災ダ ミーkdumを説明変数に追加する,. 果を検証することを試みる..  まず,地域生産関数が以下めように表現でき.

(14) 146(308)        1横浜経営研究第26巻第2号(2005)_                表B r:(4う,(5),(6)式の推定結果.           J“ (4うlrgrp ”−2{L66791+O.708290*』rk 十 O.29171*1n+1.31437’*,10sm     (−2、57ユユ9“.)      (527489“.)  ’              (2:42912”).    +O.0045089・**lroadt+−0.05662*kdum     (1.12004)           (一.O;758705).   R−squared・ = O.643619. i5)losm=1ユ.8405+O.061418*・lrgrp+O,320560*lroad 一’ ODOO978493*exr (−1ユ6393).    (9.69396.,,) (O.188672) (1.37825).   +O.061602*kdum    (1.68063i). R追quared・=O.711422.        b. (6) losx=−35.9978・+5.60232*lrgrp−O.69954*Iroad+01005227*exr     (−7−65418【う  (4.54877卓軸) (−0.793443) (1.65606サ.     +O,238606*kdum Ls.      (1五6399ホ).   R−squa」red±α924911. Alrgrp=aO十a1車lrk+(1−a1)咋ln.   +a2’losm+a3’iroad+a4*kdllm. 震災の影響1については,0<b4,0<c4と考えら. ④.   十b4牢kdum. ㈲. する投入であれば,0<a2である.また,0<a3 ならば,市内道路整備は生産に対して正の効果. ,10sx==cO+c1.止rgrp+c2’iroad+c3°exr ..   +c4牢kdum. れる..  このうち,海上貨物による輸移入が生産に対. losm=bO+b 1’irgrp+b2寧1r白ad+b3亭exr. (6). を持つ.最も重要な論点であるネットワーク効 果の存在,すなわち,条件(N)は,0<a2,か.   ]工grp:市内総生産め対数イ直.   1rk+:市内民間固定資本の代理変数(対数).   ln:市内就業者数の対数値. つ0くa3 な1らば成立する.. ’さらに,0くb2ならば,道路整備によって, 北九州港を利用した輸移入が増加する1と考えら.   10sm :海上貨物麟揚げ量の対数値. れる,.積込み量に対する道路整備の効果,C2は,.   1road:市内舗装道路総面職     ’. 輸送手段としての自動車の選択を促進する効果.   losx:海上貨物積込み量の対数値. も持つと考えられるので不明である.輸入に対.   exr:為替レート.   kdum:震災ダミー 1995年を1,96年を. する為潜レートの効果を示すb3は負,輸出に対 する効果を示ずc3は正と考えられる..   α5, イLflは0.  用いたデータの大部分は,北九州市畏期経済.  期待される符号は,0<a1<1,0<a2, IO<a3,. 統計から引用したも’のであり,推定期間は SNA68データが利用可能な1975年か、ら1998年. 0くbl,0<b2, b3<O,0<cl,0<c3 である.. である.SNA68データを用恒た理由は, SNA90.

(15) 社会資本の地域ネットワーク生産力効果(弄上『徹). ,(309) 147.             表14 (4),(5),(6)t(7),(8)式の推定結果 (4).上rgrp=−13.0369+O,822325 * irk 十 O. 1・77675*ln+().6577 * losm     (一ユ.54684) (7.0295”’)   ,                   ‘(L38389).    +O.0070108*koadt−O.029965*kdum     (L97625”)       (■−O.410ユ5).  R−sqUared=O.680379 (5)losm t 11.7415−O.OOO213331*lrgrp+O.365139*iroad−O.OOI13536*exr    (991947.軸) (α000666921) (1.61668う.  一(一’1.43551).   +0.064114*kdum    (1.75877づ. 1                                   ●. R−squared=α706348           ・. (6) losx=一 39;4695+4.7,4794*hrgrp−O.050961*Iro且d+α00173122*exr    (一&5755牢寧つ  (3.91631i#)一 (O.059158). (O.572228).   +028505*kdUI皿    (1.995ユ3“). R二squared=0.932340. (7)ljrxt=75.8502+2.12954*h〔grp−490658*lroad一α033804*kdum    (12.8398牌う  (α997405) (一3i89608艸う  (一一α126574).   R−squared〒α853962. ⑧1jrmt=734004+2.5875*lrgrp−5.02422*1road−O.12097*kdum    (工8.9991章*°) (1.81442.) (−5、97508”.) (−O.695093).  R−squared = 0929597. データが,1990年からしか利用できず,’重要な. くとも移出に閲しては,道路整備が輸送手段と. 道路整備が行われた期間を対象とすることがで. して,自動車をよ』り多く選択する方向式の効果. ぎな’いためである.. を持ったことを示していると考えられる.また,、.  (4),(5),㈲式の3段階最小二乗法によ∵. 輸移入に対する為替レートの効果b3は負(円安 なぢば輸入が減少),輸移出に対する効果c3は. る同次推定の結果は,表8の通りであっ,た.. 正の係数として,推定されており,全体として  衰ユ3の推定結果を見る限り,推定された係数. 尤もらしい係数が推定されている.. はほぼ期待通りの符号・値であり,特に海上貨.  輸送手段選択への効果をみるため,JIR貨物. 物陸揚げ量の地域総生産に対する係数a2は有意. 取扱曇  (ヨ到」謄JRl∼4, 発送JRX)  カξ,  (7),  (8). に正である.道路整備の係数a3は有意ではない. 式のように表現できると仮定して同時推定1した. が正である.また,c2は有意に負であり,少な. 結梁が,表9であ晶..

(16) 148(310)           横浜経営研究 第26巻 第2号(2GO5)一・−t.              表9t(4. ),L,(5),(6),(9)式の推定結果 (4)’ lrgrp t−16.4337+O.560904*1韮k+α439096*1n+O.84949*losm.                    し   F   (−1.8787申) (4,69558“’)                      (1.72235’)    +O.Ol1940 * lhtrft+一 O.012379*kdum     (3.51526”*)        (−O,168693) 、.   R−squared=O.651701 、. ⑤losx= 一一36.4r41+494315*lrgrp魂267532*lread+α00459209*exr   (−7.76545帥卓) (4二〇6737幸声り  (−O.306848). ‘  (1.45129).   +024ユ413*kdum  ・   (1.68431つ. R−squared=α931573.    ■. (6)losm ・12.0948+O.20223*irgrp+α218198*lroad・‘O.000792779*exr (−1.07907).    (1α5991牌つ  (α712529) (1.05966)   +0.061819*kdum             −J    ,(ユ.71371車)     ぞ.  −. R−squared=O.718818 (9) 1htrf[=−143{正34+58、5555*IrgrP+49.3386*losm−325261*losx (−O.501971) −.   (−2.21026”) (2ぷ2462卓ザ  (136386).  −3.42231*kdum  .‘(一α778095) R−squared=O.78121                一. 道路整備の指標lroadの係数a3は有意に正とな. lj rm=dO+d{1阜lrgrp+d2「ピoad.   +d3.kdUI皿.          F. ⑦. っている.このことは,これらの2つの変数間 に強い正の相関があることを示すものでもある. 1jrx=eO+erh〔grp+e21i士oad.  +e3°kdu前..     ⑧’. が,JR貨物を含めた洞送手段選択を考慮して. 1旗n:JR貨物到着量の対数値. ljrx l JR貨物. 推計した場合,(4)式において,輸送手段の選. 発送量の対i数値. 択に直接影響を与えると思われる道路整備指標 が有意となったと解釈することも可能である..  道路整備指標は,JR利用に対して負の係数. ’この点をさらに1吟味するため,北九州市都市. を示しており,その一方,他の係数の符号・値. の推定結果である.JR貨物輸送量と同時に推. 高速道路の通行量を加えた推計を試みた.すな わち,(4)式の道路整備指標め代わりに都市高 速道路通行量を用いた(4)’式を考え,都市高. 定しても,推定された係数の符号に変化はない.. 速道路通行萱が(9)式で表現できると仮定しr. しかしi表8とは異なり,海上貨物陸揚げ量の. (5),(6)式とともに推定した.. は,表8と大差がない.注目すべきは(4)式. 係数a2は正であるが有意ではなく,逆に,市内.

(17) 社会資本の地域ネットワーク生産力効果(井土 徹). irgrp=aO十a1旋k十{1−a1)iln+a2’losm. (4)’. 4.まとめ.   +a3’11itrft+a4’kdum lhtrft = ・fO、+fl’lrgrp+M’losm+f3°losx.. (311) 149. (9).  社会資本のネットワークの生産力効某とは,.   +f4亨kdum       ’ 一. 例えば,道路と港湾がそのネソトワークを通じ. 工htrft:都市高速交通量の対数値・. て相互依存的に機能し,このネットワークに連 なる地域の生産性を高める効果である.このよ.   (4)’式において期待される符号は,〈4)式 と同様である..また,(9)』式においては,fl:>0,. うな効果を直接分析することは,前述のように. 非常に難しい.何よりも,ネットワーク効果が. f2>0が期待される.推定結果は表15の適りであ. 及ぶ範囲を限定することが困難だからである.. る.          ”. 特に,東京港・横浜港・名古屋港・・大阪港・神. 戸港といった大きな国際的港湾からのネットワ.  表9の推定結果を見る1と,(5),樹式の縞 果は,これまでの推定結果とほとんど同じであ. ークは,全国に及んでいるかと考えられ,一つ の地域の生産に複数の港湾・道路が貢献してい. り,(9)式もfl, f2は期待された符号を示して. る状況が,むしろ,自然であるからである.一. いる.また,都市高速通行量に対する地域総生. 方,地方の比較的規摸の小さい港湾では,港湾. 産の係数は宥意に正である.. の存在している地域というより,他地域での投.  (4)’式では,、海上貨物陸揚げ量の係数a2は. 入・産出による貨物の方が多い状況も見られる.. 10%水準ながら有意に正,都市高速通行量の係. この場合には,港湾周辺地域の道路整備のみな. 数a3は5%水準で有意に正である.このことは,. らず,関係の深い地域の道路整備も当然ネット. これらの変数の双方が地域総生産に対してプラ. ワーク効果を持つから,分析対象の限定が非常. スの効果を与えることを示す結果である.同時 に,都布高速道路通行量が都市高速の整備を中. に困難なのである..  本論文では,このような分析対象の拡散化を. 心とする道路整備と正の相閲関係にあると考え. 回避するだめ,北九州港と北九州市を取り上げ,. られるので,条件にN)の成立を支持する結果. ネットワーク効果の分析を試みた.北九州港は,. といえる.. 西日本有数の外国貿易港であると同時に,内国 貿易の拠点港でもあるが,海上貨物の大半が,.  ここでの実証分折を総括すれば,北九州市の. 北九州市および周辺地域の投入・産出に関係し. データからは,道路と港湾の正のネットワーク. ており,支線輸送(輸入一移出,移入一輪出). 効果の存在を示す結果が得られたといえよう.. のケースでも,市内に複数ある港湾施設(太刀. すなわち,北九州市における市内道路の整備は,. 浦コンテナターミナル,小倉コンテナターミナ. 生産性を高めると同時に,船舶を利用1した原材. ル,ひびきコンテナターミナル〕の間での陸上. 料を申心とした輸移入を促進する効果を持って. 輸送を伴うケースが多くあることは,第2節で. いたと思われる.これらの原材料ほ生産に投入. みたとおりである.. され,生産の増加・輸移出の増加をもたらした..  したがって,北九州港における最も顕著なネ.  一方,港湾整備等による貨物取扱量の増加は,. ットワーク効果は,市内道路とのネットワ1−・一ク. 道路から生じる便益を増加させたと考えられる.. 効果と考えられ,またその生産力効果も,北九. 同時に,道路整備は輸送手段選択’に影響を与え,. 州市もしくはその周辺地域を中心に計測するこ. 移出輸送手段としての自動車選択を促す効果を. とが可能である.. 持っていたことも観察できる..  このような前提条件を整備した上で,第3節 では,北九州市の実質地域総生産に,北九州港.

(18) 150 (312). 横浜経営研究 第26巻 第2号(2005). の海上取扱貨物量と市内道路整備が生産に対し. 社会資本整備という政繁においては,’個々の社. て、どのような効果を持つかを,部分的な同時方. 会資本の整備のみならずゴ社会資本の複合的・. 程式体系に、よっで分析した.すなわち,Fを地. 相互依存的な効果を明確に意識した政策決定が. 域生産閤数,Xを道路整備指標, OSMを海上貨. 必要であるということである.特に,地域にお. 物陸揚げ量(原材料投入と強い正の相関を持つ. いてこのような政策決定を行う場合には,本論. 変数)としたとき,. 文のような集計的な分析ではなく,一つの道路,.        s”∂2F、 1条件(N)             >0 が成立するか,.       ∂X ∂OSM. 一つのターミナルといづた個別社会資本のネッ トワークを,ミクロ的に分析することが必要で ある1.. どうかについての実証分析を行った. 参 考 文 献.  その結果が衰7がら・表9である.前述のよ うに,これらは,条件(N)が成立するという 実証結果と解釈できるが,これらの結果は,符 号条件が成立しているのみならず,有意性もあ る程度高い.また,、サンプル期澗が短い場合,. ArroWJ{・J・and M‘Kurz(1970},“Public Investment,   the Rate of Return, and Optimal Fiscal Policy”,.   Johns Hopkins Universi‡y Press. BurgessiD.F.{i988),“Complementarity and the.  ”DiScount Rate for,Public、工nvestment” s Quarterly Journal of E¢oncmics,Vol:102,. Evans,P. and(]Karras(1994b),“Are Government. 自由度の小さざが懸念されるが,北九州市の長.  』Activities Productive?Evidence壮om a Panel. 期統計はよく整備されており,ある程度長いサ.   of U.S. States”, The Review of Economics and. ンプル期間を確保できたため,この懸念もそれ.   Statistics,Feb.VoL76, iNTO,l. Og・・a,S.・nd GY嘩(1977} “Th・G・mpl・m輌・ity. ほど重大ではない.し・たがって,これらの結果.   of PUblic and Privtite’Capital and the Optima正. は十分信頼できるものであり,港湾取扱貨物量.   Rate ・of Return to、GΩvernment InVestment”. と道路整備からの生産に対する正のネットワー・.   Quarterly Journal of・,Econcmics,V。L91,No,4、. Sandrno,A. and)[H.Dr6ze(1971),“Di§count Rates. ク効果の存在が支持された一と結論づけても、よい.   for Public工nvestinent 、in Closed and Open. であろう.また,この結果は,道路と港湾が社.   EconoMics”, Economica Nov,. を意味するものでもある一一. 浅子和美・常木淳・福田慎一・照山博司・塚本隆・   杉浦正典(王994)「社会資黍の生産力効果と公共   投資政策の経済厚生評価」,経済企画庁『経済分.  しZi’1しながら,北九州港・と北九州市ぱ,ある.   棚第135号. 会資本として,全体としては補完的であること. 意味で特殊な例であり ,,港湾と道路のネットウ. ーク効果は,本来,広域的・複合的に分析すべ きものと考えられるからである1.そのためには,. 全国の港湾と道路網の関係,広域的・な経済デー. タ,およびそれらを包括的に分析するモデルが 必要であり,将来的課題である..  加えて強調すべきことは,このようなネット ワーク効果の分析が,社会資本整備の最適ミッ クスという問題に関わることである.すなわち,. 市村眞一監修・土井正幸編著(2003)「港湾と地域の   経済学」 多賀出版2003年11月 井上徹・宮原勝一・深沼光(ig99)「社会資本の生産   力効果と最適基準」 井上徹・鵜瀞由己「我が   国公的金融の役割」第5章 目本評論社 岩本康志(1990)「日本の公共政策の評価について」,   一橋大学S経済研究』Vol41,Nα3, P250〔261 太田清(1995)「社会資本の生産力効果の経済分析1,.   三井清・太田清編著『社会資本の生産性と公的   金高虫』, 日本評霞蒜社, P1−20. 三井溝,・井上純.(1995〕「社会資本の生産力効果」,.   三井清・太田清編著『社会資本の生産性と公的   金融」,日’本評論社,P43−66. 〔いのうえ とおゐ 横浜国立大学経営学部教授〕.            〔2005年10月6日受理〕.

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参照

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