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〈巻頭言〉有意差と有意義な差

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Academic year: 2021

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(1)近畿大医誌(MedJKi nkiUni v)第38巻3,4号. 2 0 1 3. 有意差と有意義な差 近畿大学医学部 伊. 衆衛生学教授 木. 雅. 之. 数年前のことになるが,ヨーロッパ骨粗鬆症骨関節症会議に参加 した時のことだ.私は骨粗鬆症の疫学研究について発表したのだが, 変形性関節症についてのセッションも多かった.その中に, 「変形性 骨関節症に対するグルコサミンの効果」というシンポジウムがあっ た.テレビでよく見かけるあの怪しげな. 康食品かと,これには少な. からず驚いた.時間もあったので,聞いてみたのだが,同会議の主催 者の1人がコーディネイトしており,大まじめに(失礼)議論してい た.不勉強の身を晒すが,すでにいくつもの無作為割り付け比較試験 (RCT)が行われており,それによれば,硫酸グルコサミン1日1回 3グラムを3年間服用すると,膝関節の痛みがプラセボに比べて有 意に改善するという.また,塩酸グルコサミンは無効で,1日3グラムを1回で服用しなければ いけないことが強調されていた.怪しげな 康食品などと えていた身の不明を大いに恥じた. 帰国後,調べてみた.先の RCT はなんと(失礼)Lanc etに掲載されていた.RCT はそれだ けではなく,なんと(失礼)New Engl andJour nalofMedi ci neにもあった.読んでみると, 後者の RCT ではグルコサミンは無効だった.さらに調べると,メタ 析もあり,なんと(失礼) JAMA に出ていた.いろいろ読んだが,EBM でいうもっとも Evi de nc el evelが高いメタ 析 によると,確かに硫酸グルコサミン1日3グラムを一回で服用すると,15 ケ月以降で膝関節の痛 みがプラセボに比べて有意に改善した.しかも,メタ 析の層別解析によれば,硫酸グルコサミ ンには効果があるが,塩酸グルコサミンは無効で,服用方法も1日1回3グラムで有意な効果が 見られ,ヨーロッパのシンポジウムで聞いた通りだった.しかし,よく見てみると,効果の大き (VAS)で,0.5 目盛程度だった.確かに統計学的には有意に さは10段階の vi ogs cal e s ualanal 低下している.しかし,VASの0.5差を患者は痛みが確かにましになったと認識できるだろう か.医師の側も多くの患者で治療効果が出ていると判断できるだろうか.できるとは思えない. メタ 析をすれば有効な標本数が大きくなって,統計学的検出力が上がる.これはメタ 析の 大きな利点の一つであるが,しかし,時に取るにたらぬ小さな差を有意とすることが起こりう る.研究上は有意か有意でないかでは雲泥の差だ.有意差が出た論文は書きやすいし,acceptも.

(2) 伊. 木. 雅. 之. されやすい.有意でないと書きにくいし,そもそも書く意欲が低下する.これはこれで出版バイ アスとなって問題だが,有意差が出た場合でも,はたと立ち止まってこれが医学的に見て意味の ある差,すなわち,有意義な差なのかと. えてみる必要がある.さらに進んで,最初からある程. 度以上の差,すなわち,有意義な差がある時に初めて有意差があると判断する検定をすることも えられる.近年,非劣勢試験が多く行われているが,非劣勢のマージンを設定するのとは逆に 優勢のマージンを設定するわけだ.こうすると,その. ,有意差が出にくくなるので,いやがら. れるのは必定だが,有意差はすべて有意義な差となる.近畿大学医学雑誌では全医学雑誌に先駆 けて,検定には優勢のマージンを設定することを求めてはいかがか..

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