こ の 度、 産 業 理 工 学 部 建 築・ デ ザ イ ン 学 科 に 特 任 講 師 と し て 着 任 致 し ま し た 堀 英 祐 と 申 し ま す。 どうぞよろしくお願い申し上げます。 私 は 佐 賀 県 唐 津 市 の 出 身 で、 高 校 ま で 佐 賀 で 過 ご し、 大 学 入 学 を 契 機 に 上 京 し、 早 稲 田 大 学 理 工 学 部 建 築 学 科、 同 大 学 院 理 工 学 研 究 科 建 築 学 専 攻 を 修 了 後、 早 稲 田 大 学 理 工 学 術 院 創 造 理 工 学 部 助 手・ 助 教 を 経 て、 現 在 に 至 っ て お り ま す。 16年 ぶ り に 九 州 の 地 に 戻 っ て こ ら れ た こ と を と て も 嬉 し く感じております。 専 門 は、 建 築 環 境・ 設 備 で す。 中 で も 建 築 や 街 区 レ ベ ル で の エ ネ ル ギ ー の 使 わ れ 方 に 関 連 し た テ ー マ を 中 心 に 扱 っ て お り、 建 築・ 街 区 の 設 備 シ ス テ ム の 省 エ ネ ル ギ ー 化 や 防 災 対 応 の 自 立 型 エ ネ ルギー供給システムなどを研究しています。以下に主な研究内容について紹介させて頂 きます。 1 .建築・地域の省エネルギー研究 1 9 9 2 年 の 国 連 環 境 開 発 会 議( 地 球 サ ミ ッ ト ) 以 降、 地 球 環 境 問 題 の 解 決 に 向 け、 世界規模での取り組みが進めされている中、日本においては、エネルギー消費量の 1/3を 占める民生部門(家庭及び業務)でのエネルギー消費量が増加傾向にあり、特に、大き な 割 合 を 占 め る 住 宅・ 建 築 物 で の よ り 一 層 の 省 エ ネ ル ギ ー 化 や C O 2 排 出 量 削 減 に 向 け た 取 り 組 み が 急 務 と な っ て い ま す。 先 の 気 候 変 動 枠 組 条 約 第 21回 締 約 国 会 議( C O P 21) に お い て も、 日 本 は 2 0 3 0 年 ま で に 2 0 1 3 年 比 で 26% の C O 2 削 減 目 標 を 掲 げ ています。 建 築 設 備 の 分 野 に お い て も、 エ ネ ル ギ ー 基 本 計 画 の 見 直 し や 2 0 1 3 年 か ら の 建 築 物 省 エ ネ 法 及 び 省 エ ネ ル ギ ー 基 準 の 改 正、 2 0 3 0 年 ま で に 新 築 ビ ル 全 体 で の Z E B( ゼ ロ・エネルギー・ビル)の実現などの新たな法制度の整備や国家目標が示されるなど社 会的な役割が大きくなっているのに加え、それを支える建築設備機器の高効率化や設備 システムのIoT化など、取り巻く環境は日々変化し続けています。 また、近い将来、日本各地にスマートシティが実現し、自然エネルギー・再生可能エ ネルギーなどの新エネルギーをこれまで以上に大規模、且つ、効率的に活用していく技
[研究室だより]
建築環境・設備
研究室
建築・デザイン学科堀 英祐
術が普及し、地域でのエネルギー利用の高度化が進むことが想定されていますが、これ からはこうした地域での効率的なエネルギー利用をマネジメントする組織の存在も必要 になって来ると感じています。 分 野 は 異 な り ま す が、 情 報 通 信 の 分 野 で は イ ン タ ー ネ ッ ト の 高 速 化・ 低 廉 化 に 伴 い、 こ れ ま で 主 流 だ っ た 拠 点 ご と に 設 置 し た サ ー バ ー で デ ー タ を 管 理 す る「 サ ー バ ー 分 散 型」から、ネットワーク上でデータを管理する「クラウド型」へと急速に移行しつつあ り ま す。 デ ー タ 管 理 の 信 頼 性 及 び 利 便 性 の 観 点 か ら、 「 所 有 か ら 利 用 へ 」 形 態 の 変 化 が 受け入れられた結果だと考えられます。このように、スマートシティのような地域でエ ネルギーを使用する社会では、ネットワークに取り込まれた新エネルギーを、需要家が 自由に「利用できる」ことにより低炭素社会の実現だけでなく、エネルギー供給システ ム の 多 重 化・ 冗 長 化 に よ る エ ネ ル ギ ー セ キ ュ リ テ ィ の 確 保 も 図 ら れ な け れ ば な り ま せ ん。 これまで建物ごとに個別最適化されたシステムで構築されていたものがネットワーク 全体で最適化されたシステムへと移行する中で、利用者である建物に対してエネルギー 供給の信頼性と利便性を提供する新しい時代のエネルギー供給システムのあるべき姿に ついて研究を進めていきたいと考えています。 2 .防災対応型建築設備システム研究 阪 神 大 震 災、 ア メ リ カ 同 時 多 発 テ ロ 事 件、 新 潟 中 越・ 中 越 沖 地 震、 新 型 イ ン フ ル エ ンザなどを契機として広く議論され始めた非常時の事業継続計画に関連する建築・街区 レベルでのエネルギー供給の安定確保の問題は、東日本大震災及び福島第一原子力発電 所での事故を受けて、より一層のスピード感を持って対策への取り組みが進められるよ うになってきております。安定した企業活動や安心できる生活を送るためには、エネル ギーの自立性確保は益々重要性を増し、そのための設備投資の増加も予想されておりま す。 こうした対策が必要な地域は、なにも首都直下地震や東南海地震が危惧される首都圏 や東海・東南海地方だけではなく、これまで災害・地震の少ないと言われていた九州に おいても例外でなくなっています。もともと多かった台風などによる風水害・土砂災害 に加え、福岡西方沖地震や今回の熊本地震などからも分かるように、九州での地震のリ スクが高まっていると考えられます。 こうした地震災害、風水害などの災害リスクに対し、高度化した建築・都市での活動 を支えるための建築設備、エネルギーインフラのあり方を見直し、安全で安心できるエ 近畿大学産業理工学部かやのもり 24(2016) 五 (61)ネルギー供給システムを再構築することを目指した研究を進めていきたいと考えていま す。 また、現在は、福岡・飯塚の地域・社会にも貢献できるような新しい研究テーマも模 索している最中です。これから、精一杯、研究・教育に取り組んで参りますので、皆様 のご指導とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。 図 防災対応型建築設備システムのイメージ 六 [研究室だより] (62)