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[論文]保証債務を履行するための資産の譲渡に関する所得税法上の特例について

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Academic year: 2021

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(1)論文. 保 証 債 務 を履 行 す る た め の 資 産 の譲 渡 に 関 す る所 得 税 法 上 の特 例 について In the Special in the case 中牟田. Prescription. of Selling. of the Income. Tax. Law. to Implement. Suretyship. Obligations. the Property. 智 朗1). Tomoaki NAKAMUTA I Abstract : When we sell the property, capital gain occurs. However, there is the special law in the surety. If the obligor does not repay obligee requests it of the surety. Surety sells the property, to pay to the obligee. Next, right of indemnity to the obligor occurs. But it is not able to pay it if the obligor does not have repayment ability. It assumed that he is not able to implement right of indemnity. It assumed that the money that sold the property does not enter, if he is not able to implement right of indemnity. But the tax occurs. It is the income tax law 64 article 2 clause to solve this problem. I am studying the judicial precedent about this law. キ ー ワ ー ド:保 Keywords. 証債務 、求償権 、譲渡所得. Suretyship. Obligations. , Right. of Indemnity. 1.は じめ に 企業 と りわけ 同族企 業 を 中心 と した 中小 企 業 が金 融機 関. , Capital. Gain. れ 救 済 され る こ と と な る。 た だ 、 こ の所 得 税 法64条2項. が特例 規 定で あ るが ゆえ に、. か ら資金 を調 達す る場 合 、オ ーナ ー経 営者 が連 帯保 証 人 と. 同 条 項 の 適 用 要 件 を 厳 格 に解 釈 す る傾 向 に あ る た め 、 本 来. な り、 自己所 有 の不動 産 を担保 と して提供 す る のが一 般 的. 上 記 の よ うな 保 証 人 を 救 済 す る は ず の 特 例 が そ の 目 的 を 果. で ある。 しか しなが ら、資 金調 達 後 に経営 業績 の悪化 等 に. た さず 、 ま た 過 度 の 厳 格 さ が 租 税 法 律 主 義 に 反 す る よ うな. よ り返 済 で きな い事態 に陥 った場 合 、担保 に供 した不 動産. 結 果 に な っ て し ま う。. は保証 債務 の履行 の た めに売 却 を余儀 な くされ る こ ととな. そ こ で 本 稿 で は 、 所 得 税 法64条2項. に お け る適 用 要 件 に. つ いて判 例 を 中心 に整理 す る と ともに 、近年 そ の解釈 が 柔. る。 この場合 、所 得 税法 の譲 渡所 得 課税 の一 般原 則 か らす る. 軟 に な っ た 例 と し て 、 さい た ま 地 裁 平 成16年4月14日. の判. な らば、譲 渡 に よ る収 入額 か ら、 取得 費 と譲 渡費 用 の合計. 決 を 検 討 す る こ と で 、 同 条 項 が 如 何 に 解 釈 ・適 用 され る べ. 額 を控 除 した額 が譲渡 所得 として課税 の対 象 とな る。 した. き制 度 なの かをみ てい くこ とに したい。. が って保証 債務 の履 行 に伴 う求償 権 が行使 不能 で あ る場 合 、 資産 を譲 渡 した保 証人 は 自己所有 の不 動産 を手放 す だけ で な く、譲 渡収入 を享受 す る こ とな く資 金 は返 済 に充 て られ て、 さらに は譲 渡 所得 が 生 じた結 果 、所得 税 を も負 担 せ ざ る を得 な くなっ て しま う。 つ ま り経済 的損 失 が二 重 に生ず る こ とに な るので あ る。 所 得税 法64条2項 は、連 帯保 証 人 が 保 証債 務 を履 行す る た めに資 産 を譲渡 し、それ に伴 う求償 権 の全 部又 は一 部 を 行 使す るこ とが不能 な場 合 に限 り、資 産 の譲渡 代金 の うち、. 2.立 法 の 経 緯 と 趣 旨 所 得 税 法 が わ が 国 に 初 め て 創 設 さ れ た の は 明 治20年 (1887年)の. こ とで あ る 。 しか し創 設 当初 に お い て は 譲 渡. 所 得 に 対 す る 課 税 は な され て お らず 、 当 制 度 の 必 要 性 は 殆 ど な か っ た 。 そ の 必 要 性 が 生 ず る の は 、 譲 渡 所 得 課 税(法 律 第27号)が. 初 め て 行 わ れ る 昭 和22年(1947年)以. 降で あ. る も の と考 え られ る。 この 制度 の必 要性 が 明 らか に な った 事案 の一 っ が、 「 抵. 求 償権 の行 使 をす るこ とがで き ない こ と とな った金 額 に対. 当 権 不 存 在 確 認 ・登 記 抹 消 請 求 事 件 」(横 浜 地 裁 昭 和33年11. 応 す る部 分 の金額 に つい て は、所 得 の計算 上 な かっ た もの. 月28日 判 決 、税 務 訴 訟 資 料26号1135頁)で. と して み なす 特 例 規 定 で あ る。 所 得税 法64条2項 の 適 用 に. 原告 が被 告税 務 署長 に対 し、譲渡 所 得額認 定 取 消等 を求 め. よ り、保 証人 は保 証債 務履 行 に よ る税 負担 を大幅 に軽 減 さ. て 提 訴 した 事 案 で あ り、 そ こ で は 根 抵 当 権 抹 消 の た め の 原. 1)近. 畿大 学 産 業理 工 学 部 経営 ビ ジネ ス学 科 講 師. あ る。1)こ れ は 、. 49.

(2) 近 畿 大 学産 業 理 工 学部 かや の も り13(2010). 告 の代 位 弁済 は 、譲渡 に直接 必要 な費 用 で はな く、主 債務. 証 債 務 履 行 に よ っ て 売 却 資 金 は債 権 者 に 移 り、 しか も求 償. 者 に対 す る求 償 権 の 取 得 とい う別 個 の 受 領 項 目 で あ り、 譲. 権 行 使 不 能 に 伴 う損 失 は 、 所 得 の 計 算 上 考 慮 され ず に 課 税. 渡 勘 定 に 帰 属 させ る ほ か な い 場 合 で も な い か ら経 費 に あ た. され て 、 売 却 資 金 は 主 債 務 者 に返 済 され て 税 だ け を負 担 す. る と は 認 め られ な い 等 と判 示 し て 、 原 告 の 訴 え を 一 部 却 下. る を負 担 す る とい う不 合 理 が 生 ず る こ と と な る の で あ る。. 一 部 棄 却 した 事 例 で あ る. 。2). そ こ で 新 た な制 度 の 必 要 性 を 明 らか に し た の は 、 昭 和36. こ の 当 時 は 、現 在 の 所 得 税 法64条2項. の よ うな 「 所得 が な. 政 府 税 制 調 査 会 答 申(以. 下. 「36年答 申」 と. か っ た も の とす る 」 とい う発 想 で は な く 、 譲 渡 代 金 の 回 収. い う)で. 不 能 に 係 る 損 失 及 び 保 証 債 務 の 履 行 に 伴 う求 償 権 の 行 使 不. よ り生 じた 損 失 は 、 資 産 の 譲 渡 代 金 の 貸 倒 れ や 非 営 業 資 金. 能 に よ る 損 失 を所 得 控 除(譲. の 貸 倒 れ 等 の 損 失 とを 同 列 に お い て 、 何 ら か の 税 制 上 の 考. 渡 費 用)を. す るか否 か で争 っ. て い る も の と伺 え る。 こ の 点 に つ い て の 判 示 理 由 は 下 記 の 通 りで あ る 。. あ る。4)こ の 「36年答 申 」 で は 、 保 証 債 務 履 行 に. 慮 を す べ き で は な い か と 問題 視 し て い る 。 そ こ で は 、 資 産 の 譲 渡 代 金 の 貸 倒 れ お よび 非 営 業 貸 金 の. 判決 は 「 原 告 は、… 主債 務者 に求 償債 務弁 済 の資力 が な. 50. 年(1961年)の. 貸倒 れ 等 の損 失 につ い て、 「 既 に これ らの権利 が確 定 した. い 場 合 に は 、代 金 額 か ら被 担 保 債 権 額 を控 除 した も の が 譲. こ とに よ り課 税 を 受 け て い る 場 合 に は 、課 税 所 得 の う ち に. 渡 所 得 で あ る 、 と主 張 す る 」 と述 べ 、 求 償 権 行 使 不 能 に よ. 含 め られ た 所 得 の 部 分 に つ い て は 、 課 税 所 得 が な か っ た も. る 損 失 を 譲 渡 所 得 計 算 上 控 除 す べ き(費 用 計 上)と. す る原. の と して 、そ の 課 税 所 得 を 修 正 す る こ と が 適 当 で あ る」5)と. 告 に対 して 、次 の 理 由 に よ り否 定 す る。 そ れ は 、 「 譲渡 所得. してい る。 さ らに、「 債 務 保 証 を行 い 、そ の履 行 の た め に 資. と、 そ の 所 得 の 処 分 行 為 と を 混 同 し て は な ら な い こ とは 言. 産 の 譲 渡 が あ っ た 場 合 に お い て 、 そ の 履 行 に 伴 う求 償 権 の. を ま た な い と こ ろ で 、 一 た ん 得 られ た 所 得 が 無 益 に 処 分 さ. 全 部 又 は 一 部 が 行 使 で き な か っ た とき は 、 資 産 の 譲 渡 代 金. れ た と して も 、 こ れ を も っ て 所 得 そ の も の が 減 少 す る わ け. の 貸 倒 れ 等 の 場 合 と同 様 、 そ の 求 償 権 に 基 づ く収 入(保. の も の で は な い 。」 と して 、 さ らに 「 原告 の な した抵 当債務. 債 務 履 行 後 の 残 余 金 が あ る場 合 に は 、 そ の 残 余 金 を含 む). の 代 位 弁 済 は 主 債 務 者 に 対 し求 償 で き る も の で あ っ て 、 た. が あっ た限度 額 にお い て譲渡 収入 が あ った もの として譲 渡. だ 本 件 で は 、債 務 者 が 無 視 力 に 陥 っ た た め 、 事 実 上 そ の 効. 所 得 課 税 を行 う こ と とす る が 、 同 時 に そ の 収 入 金 額 が 譲 渡. 果 を 上 げ る こ と が で き な い の に と ど ま る も の で あ り、 これ. 資産 の取 得価 額 に達 しない場 合 で あっ て も、資産 損失 はな. とて も、 先 に抵 当 権 を 設 定 す る に 際 し将 来 の 求 償 権 行 使 を. い も の とす る 措 置 を 講 ず る 必 要 が あ る と認 め た 」6)として い. 確 保 す る 方 法 を講 じて お け ば 、 原 告 の 損 失 と な る こ とを 防. る。. 止 で き た 筈 の も の で あ る 。」 と述 べ て い る。 これ は 、抵 当権 を 設 定 す る に 際 し将 来 の 求 償 権 行 使 の 方 法 を講 じて お け ば 、 「 所 得 が 無 益 に 処 分 」 され な い と し て 、 求 償 権 行 使 不 能 に よ る損 失 の 経 費 性 を 否 定 し て い る 。. この. 証. 「36年答 申 」 が 政 府 税 制 調 査 会 か ら答 申 され る よ う. に な っ た 背 景 に は 、 国 税 庁 長 官 通 達 昭 和36年7月20日. 付直. 資58「 他 人 の 債 務 の 担 保 に 供 され て い た 資 産 が 担 保 権 の 実 行 に よ り譲 渡 され た 場 合 の 所 得 税 又 は 再 評 価 税 の 取 扱 い に. こ の 点 に 関 して 判 決 は 、 「も し、原 告 の 主 張 に 従 え ば 、 主 債 務 者 の 弁 済 資 力 の 有 無 や そ の 大 小 に よ っ て 、 経 費 とな っ. つ い て 」(以 下 「36年通 達 」 とす る)が 影 響 を 与 え た も の と 考 え られ る。 「36年通 達 」 は 下 記 の よ うな 内容 で あ る。. た り、 な ら な か っ た り、 経 費 と な る額 が 増 減 した りす る わ. 個 人 の有す る資産 につ い て他人 の債 務 を担 保す るた めの. け に な る が 、 これ ら は 経 費 の 意 義 を 広 く用 い す ぎ た 結 果 の. 抵 当権 、 質 権 又 は 譲 渡 担 保 が 設 定 さ れ て い た 場 合 に お い て 、. 矛 盾 で あ り、 所 得 の 控 除 項 目が 、 か よ うな 不 明 確 な 外 部 の. 主 た る債 務 者 が 資 力 を 喪 失 して そ の 債 務 の 弁 済 を す る こ と. 事 情 で 左 右 され て よ い 道 理 は な い 。」 と述 べ 、求 償 権 行 使 不. が で き な い た め そ の 資 産 が 担 保 権 の 実 行 に よ り譲 渡 され 、. 能 に よ る損 失 の 経 費 性 を 否 定 す る 理 由 を述 べ て い る 。. そ の 譲 渡 代 金 の全 部 が そ の 債 務 に あ て られ た と き は 、 そ の. 以 上 の よ うに 、現 行 所 得 税 法64条2項. の よ うな 「 所得 が な. 弁 済 に よ り生 ず る主 た る 債 務 者 に 対 す る 求 償 権 の 全 部 に っ. か っ た も の とす る 」 とい う規 定 が な い が ゆ え に 、 当 時 と し. い て そ の行 使 が 明 ら か に で き な い と認 め られ る とき に 限 り、. て は 費 用 性(経. も っ て 争 うほ か は な い 。 そ して そ. そ の 資 産 に 係 る譲 渡 所 得 な い し 山 林 所 得 に つ い て の 所 得 税. の費用 性 にお い ては 、譲渡 所得 の計算 上譲 渡収 入 との直接. 又 は 再 評 価 税 に つ い て は 、 当 分 の 間 、 課 税 しな い こ と と す. 的 関連 性 が 求 め られ 、 そ れ は 不 動 産 の 取 得 に 要 した 原 価 や. る。. 費 性)を. 譲 渡 す る た め に 必 要 と され た 費 用(仲. 介 手 数 料 な ど)が. そ. この. 「36年通 達 」 を 受 け た 「36年答 申 」 に 基 づ い て 、 昭. れ に該 当 す る 。3)し か し 、 保 証 債 務 履 行 は 不 動 産 を 譲 渡 す. 和37年 法 律 第44号 に よ る 所 得 税 法 の 一 部 改 正 が 行 われ 、 現. る に 至 っ た 原 因 で は あ っ て も 、 不 動 産 の 譲 渡 とい う行 為 に. 行 制 度 の 原 型 と な っ た 旧 所 得 税 法 第10条 の6が. は 直 接 的 な 結 び つ き が な く 、 し た が っ て そ れ に 伴 う損 失 は 、. こ と と な っ た。. 横 浜地 裁 が指摘 す る 「 所 得 の 処 分 行 為 」とな っ て しま う。 保. 創 設 され る.

(3) 保 証債 務 を履行 す るた め の 資産 の 譲 渡 に 関す る所 得 税 法 上 の特 例 に つ い て. (旧 所 得 税 法10条 1譲. の2). 受 け る こ と に な り、 ま た 保 証 人 は 主 た る債 務 者 に 報 告 を す. 渡所 得 の計 算 の基礎 とな った収 入金 額 の全 部又 は一. べ き 旨 を 請 求 す る こ と が で き る(民. 法452条) 。 た だ 債 権 者. 部 を回収 す るこ とがで き ない こ と となった 場合 に は、 そ. が主 た る債務 者 に催 告 を した後 で あっ て も、保証 人 が主 た. の 回 収 す る こ とが で き な い こ と と な っ た 金 額 に 対 応 す る. る債 務 者 に 弁 済 の 資 力 が あ りか つ 執 行 が 可 能 な で あ る こ と. 所 得 金 額 は な か っ た も の とみ な す 。. を 証 明 した 場 合 に は 、 債 権 者 は ま ず 主 た る債 務 者 の 財 産 に. 2保. 証債 務 を履 行す るた め資産 の譲 渡 が あっ た場合 で 、. 対 して 執 行 し な け れ ば な ら な い(民. 法453条)。. そ して 、 保. そ の 履 行 に伴 う求 償 権 の 全 部 又 は 一 部 を 行 使 す る こ と が. 証 人 が 主 た る 債 務 者 の 債 務 を 主 た る債 務 者 に 代 わ り 自 己 の. で き な い とき は 、 そ の 求 償 権 の 行 使 す る こ とが で き な い. 財 産 を も っ て 消 滅 させ た 場 合 に は 、 保 証 人 は 主 た る債 務 者. 金 額 に 対 応 す る 所 得 金 額 に つ い て も な か っ た も の とみ な. に 対 し て 求 償 権 を 有 す る こ と とな る(民. す。. 償 権 は 、 保 証 人 が 主 た る 債 務 者 に 代 わ り債 務 の 弁 済 を した. 法459条)。. この 求. 分 を 償 い 求 め る も の で あ り、 債 務 者 の 財 産 状 況 等 に よ り求 こ の 旧所 得 税 法10条2項. の 規 定 が 、先 に み た 「 抵 当権 不 存. 在 確 認 ・登 記 抹 消 請 求 事 件 」(横 浜 地 裁 昭 和33年11.月28日 判 決)で. 償 権 の全 部 又 は一部 が行 使 不能 に なっ た場合 が 、所得 税 法 64条2項 適 用 の 問題 で あ る。. の 不 合 理 を 解 消 す る た め の 新 た な制 度 で あ る。 し た. が っ て そ の 趣 旨 は 、 資 産 譲 渡 に よ り譲 渡 所 得 が 実 現 した 場 合 で あ っ て も 、 そ の 譲 渡 代 金 が 保 証 債 務 の 履 行 に 充 て られ 、. 4.所 得 税 法64条2項 所 得 税 法64条2項. の検 討 は、保 証 債 務 を履 行 す るた め資 産 の譲. そ の 履 行 に 伴 う求 償 権 の 行 使 が で き な い 場 合 に は 、 「事 実. 渡 が あ っ た 場 合 に お い て 、 そ の 履 行 に 伴 う求 償 権 の 全 部 又. 上所得 が 伴 わな い」 あ るい は 「 結 果 的 に は 資 産 の譲 渡 に よ. は 一 部 を 行 使 す る こ と が で き な い こ と とな っ た と き は 、 そ. る 所 得 を 享 受 し な い 」 と い う点 に あ る 。 そ して 、 こ の 譲 渡. の 行 使 で き な い こ と とな っ た 金 額 に 対 応 す る 部 分 の 金 額 は 、. 代 金 は保 証 人 か らす る な ら ば 、 「 譲 渡 代 金 債 権 自体 が 貸 倒. 譲 渡 所 得 の 計 算 上 な か っ た も の とみ な さ れ る 規 定 で あ る。. れ に な っ た の と結 果 的 に 同 じ こ とに な る の で あ る か ら、 こ. そ こ で 、 こ れ ま で 所 得 税 法64条2項. の 両 者 の 取 扱 い を 同 じ に し よ う との 趣 旨 の も と に 」 こ の 制. て 運 用 され て き た の か を 裁 判 例 を 中 心 に 検 討 して い き た い 。. が ど の よ うに 解 釈 さ れ. 51. 度 が 設 け られ た の で あ る 。 そ して 、 こ の 制 度 が 設 け られ た 最 大 の 理 由 と して は 、 債. (1)保. 務 保証 を履行 す るた めの 資産 の譲 渡 は、保 証債 務 を履 行す. 合. る た め に 余 儀 な く され る 不 本 意 な 譲 渡 で あ り、 そ の 譲 渡 に よ る所 得 は 、 い わ ば 他 律 的 に 実 現 され る所 得 で あ る こ と か. 証 債 務 を履 行 す る た め の 資 産 の 譲 渡 が あ った 場. (i)保 証 債 務 の 存 在 保 証 債 務 を 履 行 す る 資 産 の 譲 渡 で あ る か ど うか の 判 定 に. ら、 課 税 上 これ を 救 済 す る た め に 設 け られ た 措 置 で あ る と. つ き、 まず は資産 の譲渡 が保 証 人 の行 った. 「 保証 債務 」 の. され る 。7). 履 行 で あ る か が 問 題 と な る。 資 産 の 譲 渡 代 金 が 返 済 に 充 て られ た と して も 、 保 証 債 務 自体 が 存 在 しな け れ ば 所 得 税 法. 3.民 法 に お け る 保 証 債 務 の 履 行 と 求 償 権 「 保 証債 務」、「 求償 権 」 とい う用語 は 、本来 民法 上 の もの で あるの で、 こ こでは 民法 の規 定 を簡 単 に確認 してお く。 まず 保 証人 とは、主 た る債務 者 が その債 務 を履行 しな い 場 合 にお い て、そ の履 行 をす る責 任 を有す る者 をい い(民. 64条2項 は 適 用 され な い と 考 え られ る か らで あ る。 そ こ で 、 保 証 債 務 が 存 在 す る か に 関 して 、 主 債 務 で あ る か 保 証 債 務 で あ る か に つ き争 わ れ た 事 例(千 葉 地 裁 昭56年9 月25日 判 示8))を み て い く。 事 実 の概 要 は 以 下 の 通 りで あ る 。 原 告Xは 本 件 係 争 年 分 中 に 、 訴 外 会 社 のM農 協 に 対 す る. 法446条)、 そ の保 証人 が 主た る債 務者 が債 権者 に対 し債務. 債 務 の 保 証 人 と して 、 そ の 保 証 債 務 を 履 行 す る た め に 自 己. の返 済 を行 わな い場合 に、主 た る債務 者 に代 わ り保 証 人 が. の 資 産 を 譲 渡 した と し て 、 こ れ に つ い て の 譲 渡 収 入 金 額 に. 主た る債 務者 の債 務 を履行 す るこ とを債務 保 証 とい う。 こ. つ き 所 得 税 法64条2項. の保証 債 務 は、主 た る債務 の他 、それ に関す る利 息 、違約. 規 定 を 適 用 して 申 告 した 。. 金 、損 害賠 償金 な どの債務 に従 す るもの を含 む こ と とされ. の保 証債 務 履 行 の た めの譲 渡 の 特 例. こ れ に 対 し、被 告 税 務 署 長 は 、XがM農. 協 に支 払 った のは 、. る(民 法447条1項)。 また 、保証 人 が負担 す る債務 は 、主 た. 自 己 の 主 債 務 の 弁 済 と して な され た も の で あ る と し て 同 条. る債務 を超 え る場 合 に は主た る債 務 を限度 に減額 され 、 し. 項 の適 用 を 否 定 す る更 正 処 分 を 行 っ た 。. たが って 主 た る債 務者 が 主た る債 務 を完 済す れ ば保 証 債務 も消滅 す る こ ととな る(民 法448条)。 保証 債務 の履行 は 、主 た る債 務 者 が債権 者 に対 し債 務 の 履 行 を行 わ ない場 合 に は、保証 人 は債 権者 か ら履行 請 求 を. Xは こ れ を 不 服 と し 、 農 協 が 形 式 上Xを 借 主 と して 取 り 扱 った のは 、農協 が 法律 上. 「 員 外 貸 付 」 を 禁 じ られ て い る. た め 便 宜 上 か か る 形 式 を と っ た も の に 過 ぎ ず 、X自 身 が 事 実 上 の 保 証 人 で あ る こ と を 理 由 に 出 訴 した 。.

(4) 近 畿 大 学産 業 理 工 学部 かや の も り13(2010). これ に 対 す る裁 判 所 の 判 断 は 、M農 協 が 貸 し付 け た の は. 被 担 保 債 権 の 期 限 の利 益 を 喪 失 し た こ と。 ③ そ の こ ろ 、 乙. X自 身 に対 して で あ り、Xは 主 債 務 者 で あ っ て 保 証 人 で は な. の 債 権 者 が そ の 連 帯 保 証 人 で あ るXと 不 動 産 を 差 し押 え る. く、 従 っ て 所 得 税 法64条2項. の 適 用 は で き な い 旨 で あ る。. と い う情 報 が あ っ た と こ ろ 、 訴 外 信 用 組 合 は 本 件 物 件 に仮. 具 体 的 理 由 は 次 の 通 りで あ る。 ①M農 協 の 原 告 に対 す る本. 差 し押 さ え を した こ と。 ④Xは 、 他 の 債 権 者 も 次 々 に 本 件. 件 手 形 貸 付 は 名 義 上 す べ てXを 主 債 務 者 と して 行 わ れ て お. 物 件 に 差 押 え の 手 続 を 取 っ て く る こ と を 懸 念 して 、 本 件 物. り、 実 際 の 手 続 き もX自 ら が 農 協 所 定 の 貸 付 用 手 形 に 署 名. 件 の 所 有 名 義 を訴 外 の 丙 に移 転 す る こ と と し、 丙 に対 して. 捺 印 され て い る こ と。 ② 一 連 の 手 形 貸 付 手 続 に つ い てXか. 本 件 物 件 を 売 り渡 した が 、 当 時 、 丙 は 売 買 代 金 を 支 払 う資. ら何 ら 異 議 が な か っ た こ と。 ③M農. 協が本件手形貸付 を. 力 が な く、 第 三 者 に 処 分 し た 時 点 で 精 算 す る こ とが 予 定 さ. 行 っ た の は 資 産 家 で あ るXの 信 用 ゆ え に 行 わ れ た の で あ っ. れ て い た こ と。 ⑤ 丙 は 、 そ の 後 本 件 物 件 の 第 三 取 得 者 と し. てM農 協 と して は 訴 外 会 社 か ら は 担 保 の 設 定 は も と よ り、. て 甲 に 債 務 金 額 を 支 払 っ た こ と。. 何 ら の 書 類 も提 出 され て い な い こ と等 。. こ れ に 対 す る判 示 は 、 「Xが丙 に本 件 物 件 を 売 り渡 した 主. こ の 事 例 及 び 判 示 か ら分 か る こ と は 、 本 人 が 保 証 人 で あ る つ も りで あ っ た と して も、 そ れ が 貸 し付 け た 相 手 方 が 保. 行 す るた め に本 件 物 件 を 売 買 した も の とは 到 底 い え な い 。」. 証 人 と判 断 で き な い よ うな 状 況 ・手 続 等 で あ る な ら ば 、 そ. と の 判 断 に基 づ き. れ は 単 に 自分 は 保 証 人 で あ る と い う 「内 心 の 意 思 」 に 過 ぎ. な く、 本 件 資 産 の 譲 渡 に つ き 所 得 税 法64条2項. な い と され 、 所 得 税 法64条2項. い 。」13)とし た 。. の適 用 対 象 で あ る保 証 とは. い え な い と して い る 点 で あ る 。 客 観 的 に み て も 「 保 証 人」 と認 識 で き る必 要 性 を求 め て い る も の と考 え られ る 。. 係 る類 似 事 例 と して 、 農 協 か ら の 借 入 名 義 人 が した 弁 済 を 実 質 的 に は 保 証 債 務 の 履 行 で あ る と認 定 した 事 例(札. 「 そ の世 の点 につ い ての判 断す るまで も の規 定 は な. また、上記 判例 とは逆 に、「 納 税 者 所 有 資 産 の譲 渡 は 、 自 身 が 代 表 取 締 役 で あ る会 社 の 欠 損 金 補 填 の た め の 『私 財 提. こ の 事 例 の ほ か に 、 会 社 と農 協 に 関 す る 「員 外 貸 付 」 に. 52. 目 的 は 債 権 者 の 追 求 を 回 避 す る こ とに あ り、 保 証 債 務 を 履. 幌地. 供 』 と して の譲 渡 で あ る に す ぎ な い。」 と し た 。 す な わ ち 、 債 務 者 乙 会 社 の 債 権 者 甲 信 用 金 庫 に 対 す る債 務 の 連 帯 保 証 人 で あ っ た 乙 会 社 代 表 取 締 役Xが そ の 所 有 資. 裁 平 成4年3.月26日 判 決9))が あ る。 そ れ は 、貸 主(農 協)が. 産 を 譲 渡 した と い う事 案 に お い て 、 被 告 税 務 署 長 は 「 主債. 資 産 の あ る も の で な け れ ば 融 資 を し な い と迫 っ た こ と、 こ. 務 者 た る 乙 会 社 は 、Xが 保 証 債 務 を 履 行 し た とす る 金 員 に. の 借 入 金 の 管 理 ・利 息 の 支 払 は 会 社 が 行 っ て い る こ と等 の. っ きXに 対 す る求 償 債 務 を 計 上 せ ず 、私 財 提 供 益(そ の 金 員. 事 実 に よ り、金 銭 消 費 貸 借 契 約 書 上 は 組 合 員 個 人 の 名 義 で. に よ る繰 越 欠 損 金 填 補)と. あ る が 実 質 的 債 務 者 は 会 社 で あ り、 名 義 人 は 実 質 的 に は 保. Xが 乙会 社 に 対 して 求 償 権 を取 得 す る い わ れ は な い 。」 と主. 証 人 と し て の 立 場 に あ っ た と し て 、 所 得 税 法64条2項. 張 した が 、 東 京 地 裁(昭. の適. して の 会 計 処 理 を して い た か ら、. 和47年4月16日)の. 判 決 は 、Xが そ. 用 を認 め た も の で あ る 。 こ こ で は 、 千 葉 地 裁 の 事 例 の よ う. の 所 有 資 産 を譲 渡 し た の は保 証 債 務 を 履 行 す るた め で あ り、. な 「内 心 の 意 思 」 は 存 在 し な い と考 え られ る の で あ ろ う。. Xが そ の 譲 渡 収 入 よ り保 証 債 務 額 の 支 払 い を して い る 事 実. これ らの 結 論 の 相 違 は 、 債 権 者 で あ る農 協 が 実 質 的 に は. を 認 定 し、そ し て 「 被 告 主 張 の とお り乙 会 社 に お い て は 、代. 組 合 員 以 外 の者 に 貸 し付 け る 意 思 で あ りな が ら形 式 上 組 合. 表 取 締 役 た るXか ら 私 財 提 供 を 受 け て 繰 越 欠 損 金 の 填 補 を. 員 に対 す る貸 付 け と した も の で あ る の か 、 そ れ と も農 協 が. し た 旨 の 会 計 処 理 を し て い る こ とが 認 め られ る が 、 か か る. 実 質 上 も組 合 員 で あ る 借 入 名 義 人 に 貸 し付 け る 意 思 で 貸 付. 事 実 は 、 た だ そ れ だ け で は 右 認 定 を 妨 げ る資 料 と は な り得. を 行 っ た も の で あ る の か 、 事 実 関係 の 相 違 に 起 因 す る も の. ず 、Xは 当 該 弁 済 額 の 求 償 権 を 取 得 した も の とい うべ き で. と考 え られ る。. あ る。」 と判 示 し た 。16) 二 つ の 裁 判 例 か らい え る こ と は 、 保 証 債 務 の 履 行 の 有 無 と い うの は 、 法 律 行 為 と し て の 履 行 す な わ ち 実 質 的 法 的 効. (ii)履行 の た め の 資 産 譲 渡 資 産 の 譲 渡 に つ き 所 得 税 法64条2項. の規 定 が適 用 され る. 果 が 存 在 す る 履 行 を い うの で あ る。 す な わ ち 、 先 の 判 例 で. た めに は、そ の譲 渡 が 「 保 証債 務 の履 行 のた め の譲渡 」 と. は 、債 権 者 の 追 求 を 回 避 す る 目 的 で 資 産 を譲 渡 した こ と、. して な さ れ た も の で な けれ ば な らな い 。 これ に 関 し て は 注. そ れ に 加 え て そ の 相 手 方 が 支 払 い 能 力 が な く転 売 に よ る 代. 目 され る 裁 判 例 が あ る(最. 金 で 支 払 うこ と が 予 定 され て い る こ と か ら 、 保 証 人 が 行 っ. 高 裁 昭 和60年12.月20日10)、. 大阪. 高 裁 昭 和58年11.月30日11)、 大 阪 地 裁 昭 和57年7月16日12))。. た 保 証 債 務 の 履 行 とい う法 律 行 為 は 、 保 証 と し て の 法 的 効. 裁 判 所 が 認 定 した 事 実 を 要 約 す れ ば以 下 の 通 りで あ る。. 果 は 実 質 的 に 存 在 し て い な い とい え る。. ①Xは 、 債 権 者 乙 の 債 権 者 甲銀 行 に 対 す る 銀 行 取 引 上 の. こ れ に 対 して 後 の 事 例 で は 、 逆 に保 証 債 務 と して の 法 的. 現 在 及 び 将 来 の 債 務 に つ い て 連 帯 保 証 を して い た こ と。 ②. 効 果 が あ る が 、 経 理 上 の 処 理 が 実 際 の 法 律 行 為 と異 な っ て. 乙 は 、 会 社 更 生 手 続 開 始 の 申 立 て(事. い る た め に 、 そ の 処 理 方 法 を 根 拠 に適 用 を 妨 げ られ る の で. 実 上 の倒 産)を. し、.

(5) 保 証債 務 を履行 す るた め の 資産 の 譲 渡 に 関す る所 得 税 法 上 の特 例 に つ い て. は な く、 実 質 的 に 効 果 が あ る こ と を 理 由 に 適 用 が認 め られ. こ とが で き な い こ と と な っ た 時 に 該 当 す る か 否 か 、 ② 保 証. られ た の で あ る 。. 債 務 の 存 否 ・そ の 金 額 の 確 定 及 び そ の 支 払 に 関 連 し て 保 証 人 が 要 した 弁 護 士 費 用 ・訴 訟 費 用 は 、 求 償 権 行 使 不 能 な 保. (iii)譲渡 代 金 に よ る履 行. 証 債 務 の 履 行 に伴 う支 出 の 範 囲 に 含 ま れ る か 否 か が 争 わ れ. 所 得 税 法64条2項. た も の で あ る 。 ① に 関 す るXの 主 張 に よ れ ば 、右 保 証 債 務. の 適 用 に 必 要 な 要 件 と して 、 当 該 資 産. の 譲 渡 代 金 に よ りそ の 保 証 債 務 を 履 行 す る こ と 、 す な わ ち. 履 行 金 額 は 、 昭 和53年11月. 資 産 の 譲 渡 と保 証 債 務 の 履 行 と の 間 の 因 果 関 係 の 存 在 が 必. 履 行 の た め に 借 り入 れ た も の で あ り、 そ の 借 入 金 返 済 の た. 要 と な る 。 こ の 点 に 関 す る 裁 判 例(最. め に 翌 年8月 本 件 土 地 を 譲 渡 した も の で あ る と い う 点 に. 高 裁 昭 和59年12月4. 日17)、大 阪 高 裁 昭 和59年3.月29日18)、 大 阪 地 裁 昭 和56年6月 26日19))の. 概 要 は 以 下 の 通 りで あ る。. 乙 倒 産 後 の 同 年12月 、 保 証 債 務. あ った。 判決 は、 「 原 告X訴 外 債 務 者 乙 の保 証 債 務 を 負 担 す る な ど 、. 本 件 は 、 訴 外 乙株 式 会 社 の 代 表 取 締 役 で あ っ た 原 告Xが 、. 永 年 仕 事 上 の 援 助 協 力 し て き た が 、 保 証 等 に 際 しXの 実 印. 同 社 の 工 場 用 地 と し て 使 用 し て い たX所 有 の 土 地 の 譲 渡 収. 及 び 印 鑑 証 明 を 乙 に 渡 して い た い た こ とか ら多 額 の 保 証 債. 入 に つ い て 、 そ の 譲 渡 は 倒 産 した 債 権 者 乙 株 式 会 社 の 取 引. 務 を 負 わ され て い た 事 、 昭 和53年11月. 先 に対 す る 債 務 及 び 従 業 員 等 に 対 す る 退 職 金 支 払 の 履 行 の. こ と、Xは 乙 に 対 す る多 数 の 債 権 者 か ら保 証 債 務 の 履 行 を. た め に 売 却 した も の で あ り、 事 実 、 右 譲 渡 代 金 を 従 業 員 退. 厳 し く求 め られ た た め 、 右 争 訴 の 一 切 を 弁 護 士 に 委 託 しそ. 職 金 、 取 引 先 に 対 す る支 払 い と して そ れ ぞ れ 支 払 っ た か ら 、. の 保 証 債 務 額 を確 定 した こ と、Xは 同 年12.月 銀 行 等 か ら借. 右 金額 につい て は保証 債務 を履行 す るた めの 資産 の譲 渡 が. 入 れ を し右 保 証 債 務 額 を確 定 し た こ と 、Xは 同 年12月 銀 行. あ っ た 場 合 で 、 そ の 履 行 に 伴 う求 償 権 の 行 使 が で き な い も. 等 か ら借 入 れ を し て 右 保 証 債 務 を 履 行 し た こ と、Xは そ の. の に 当 た る と して 、 所 得 税 法64条2項. 借 入 金 を 返 済 す る た め 、翌54年8月 、本 件 土 地 を譲 渡 しそ の. の規 定 の適 用 を争 っ. た も の で あ る。. 下 旬 、 乙 が 倒 産 した. 譲 渡 代 金 を も っ て こ れ を 返 済 した こ と 、 の 各 事 実 が 認 め ら. 第 一 審 判 決 は 、 「Xが 乙株 式 会 社 に 対 す る求 償 権 の 行 使 が 不 能 で あ る こ と を 承 知 の 上 で 本 件 保 証 を な した も の 」 と認 定 し、 「 最 初 か ら 主 債 務 者 に 対 す る 求 償 を 前 提 と しな い 場 合 は 適 用 す る こ と は で き な い 。」20)と判 示 した 。. 件 土 地 を 譲 渡 した も の と認 め られ る。23)」 と判 示 した 。 先 にみ た事 例 で は、譲 渡代 金 は従 業員 退職 金 、取 引先 に 対 す る支 払 い に 充 て 、 保 証 債 務 の 履 行 は譲 渡 代 金 以 外 の 金. Xが 控 訴 し、 これ に 対 し被 告 税 務 署 長 は 次 の 理 由 を付 加 して 主 張 し た 。 そ れ は 、 「 所 得 税 法64条2項. れ 、右 事 実 か らす る と、Xは 本 件 保 証 債 務 を履 行 す る た め 本. は 『保 証 債 務 を. 員 を 持 っ て な され た と し て 、 所 得 税 法64条2項. の適 用 は な. い も の と した 。 これ は 、 資 産 の 譲 渡 と保 証 債 務 の 履 行 と の. 履 行 す る た め に 資 産 の 譲 渡 が あ っ た 場 合 』 と 定 め られ て お. 因 果 関 係 が 存 在 しな い こ とを 本 質 的 理 由 とす る も の で あ る 。. り、 資 産 の 譲 渡 と保 証 債 務 の 履 行 と の 間 に は 因 果 関 係 が な. こ れ に 対 して 後 で み た 事 例 の場 合 、 保 証 債 務 の 履 行 自 体. け れ ば な らず 、 譲 渡 代 金 に よ っ て 保 証 債 務 を履 行 す る こ と. は 借 入 金 を も っ て な され て い る。 資 金 の 流 れ か らみ れ ば 、. が 要 件 で あ る 。 しか る に 、 本 件 に お い て 譲 渡 代 金 は 譲 渡 の. そ の継 続 性 は 否 定 され る 。 しか し な が ら、 借 入 金 に よ る 履. 日か ら7年 以 上 経 過 した 時 点 に お い て も 、 な お 支 払 わ れ て. 行 の発 端 と な っ た の は 、 多 数 の 債 権 者 か ら保 証 債 務 の 履 行. い な い の で あ る か ら 同条 項 適 用 の 要 件 を欠 い て い る 。」21)と. を 厳 し く迫 られ た こ と に よ る こ とで あ り、 ま た 借 入 資 金 が. い うも の で あ っ た 。. 他 に 流 用 され た 事 実 が な い よ うな 場 合 に は 、 資 産 譲 渡 と保. 控 訴 審 判 決 は 、 被 告 税 務 署 長 の 上 記 主 張 ど お り本 件 土 地. 証 債 務 の 履 行 と の 間 の 因 果 関 係 は 存 在 す る も の と考 え られ. の 譲 渡 代 金 が 未 だ 売 却 先 か ら支 払 わ れ て お らず 、 同 社 の 買. る。 そ して 、 不 動 産 売 却 に は 通 常 時 間 を 要 す る場 合 が 多 い. 掛 金 と し て 未 払 の ま ま 残 存 して い る事 実 を 認 定 した 。. こ とを 考 え れ ば 、 妥 当 な 判 決 で あ る と考 え られ る の で あ る 。. こ の 判 決 が 意 味 す る と こ ろ は 、 所 得 税 法64条2項. が適 用. され る の は 譲 渡 代 金 に よ っ て 保 証 債 務 が 履 行 され る場 合 に 限 られ る こ とは 明 ら か で あ っ て 、 資 産 の 譲 渡 と保 証 債 務 の. 小括 以 上 、所 得 税 法64条2項. の適 用 要 件 の 一 っ で あ る 「 保証債. 履 行 との 因 果 関 係 の 存 在 が 認 め られ な い(譲 渡 代 金 以 外 の). 務 を履行 す るた め の譲渡 が あ った場 合」 に 関す る裁判 例 を. 金 員 を も っ て保 証 債 務 が 履 行 され た と し て も適 用 され な い. 検 討 した が 、 下 記 の 点 が 判 明 す る こ と とな っ た 。. とい う点 に あ る も の と考 え られ る 。 これ に 対 して 、 資 産 の 譲 渡 代 金 で な く借 入 金 に よ る 履 行 の 場 合 で も 、所 得 税 法64条2項 戸 地 裁 昭 和60年9月30日. の 適 用 が認 め られ た 事 例(神. 判 示22))が. あ る 。 これ は 、 ① 原 告X. の 主 張 す る 金 額 の 保 証 債 務 履 行 分 に つ き求 償 権 を行 使 す る. まず、「 農 協 の 員 外 貸 付 」 に 関 す る類 似 す るが 異 な る結 論 で あ る二つ の事 例 は、 同条項 にお け る 「 保 証 人 」 と い うの は 、 実 質 的 な 意 味 で 保 証 人 と し て の 立 場 に あ る者 で あ る 旨 の 判 示 が な され て い る。 す な わ ち 、 自分 は 保 証 人 で あ る と い う 「内 心 の 意 思 」 だ け で は 同 条 項 を 適 用 す る た め に は 十. 53.

(6) 近 畿 大 学産 業 理 工 学部 かや の も り13(2010). 分 とはい えず 、貸 主 も保証 人 で あ る とい う客観 的認 識 が 可. 地 裁 昭 和59年3.月29日. 能 で あ るこ とを求 めて い るこ とが注 目す べ き点で あ った。. 棄 が 、 こ の 要 件 に 該 当 す る か 否 か に つ い て 争 わ れ た もの で. 次 に、同条 項 の適用 対象 とな る資産 の譲渡 は、「 保証 債務. あ る。 以 下 、概 要 で あ る。. の履行 のた めの譲 渡 」で な けれ ばな らない。 よ って債 権者. 原 告Xの 主 張 す る本 件 保 証 債 務 の 履 行 の 経 緯 は 次 の 通 り. の追 求 を回避 す るた めの 資産 の譲 渡等 、保 証債 務 の履 行以. で あ る。 す な わ ち 、Xの 兄 訴 外Mが 代 表 取 締 役 でXが 専 務 取. 外 の 目的 の ため の資 産 の譲 渡 に は適用 され ない。 これ は 、. 締 役 を して い る 乙 会 社 が 金 融 機 関 か ら金 銭 を 借 入 れ す る に. 同条項 が 譲渡 所得 の特 例規 定 と して の性 質か ら、多 目的 に. 際 し てXとMは. 利 用 され るこ とを排 除す る と同 時に 、そ こか ら生 じる可能. 昭 和52年3月. 性 の あ る租 税 回避 行為 を未 然 に 防止す る ことが求 め られ て. 立 を す る こ と に な っ た 。 これ に伴 い 金 融 機 関 は 連 帯 保 証 人. い る と考 え られ る。. で あ るXら に 保 証 債 務 の 履 行 を 要 求 し、Xは 、同 年6月 、本 件. そ の 連 帯保 証 人 とな って い た が、 乙会 社 は に 融 通 手 形 の 決 済 不 能 に 陥 り、 和 議 開 始 の 申. ま た、保 証債 務 の履 行 の有 無 につ いて は、債 権者 の追求. 不動 産 を売却 してそ の譲 渡代 金 の一 部 を もって右 保証 債務. を回避 す る 目的 で、 かつ譲 渡 先 に支払 能力 が な い場合 は 、. を 履 行 し た 。 そ してXは 、 同 社 に つ い て 和 議 認 可 決 定 の な. 保 証債 務 の履 行 とい う法律 行 為 は、保 証債 務 と して の法 的. され た 翌53年1.月 の 二 ヶ 月 ほ ど後 の 同 年3月 、 主 た る債 務 者. 効 果 は実 質 的に存 在 して い ない とされ る。 逆 に 、保 証 債務. 乙 会 社 に 対 し保 証 債 務 の 履 行 に よ り生 じた 求 償 権 の 放 棄 を. としての 法 的効果 が あ る場 合 、経 理処 理 が実 際 の法律 行為. 通 知 し所 得 税 法64条2項. となって い て も、実質 的 に効果 があ る場合 には 同条項 が適. を適 用 して 確 定 申 告 書 を提 出 した 。. こ れ に 対 して 被 告 税 務 署 長 は 、Xの 保 証 債 務 の 履 行 は 主. 用 され る。 これ は、 同条項 が所 得 を享 受 して い ない資 産 の. 債 務 者 で あ る 乙会 社 の 経 営 不 振 に よ る も の で は な く 、Xは. 譲 渡 につ い て救済 す る制度 で あ る こ とか ら、形 式 に よ る適. 主 債 務 者 に 対 す る求 償 権 行 使 が 可 能 な 状 態 で あ っ た の で 、. 用 で は な く、実質 的 な効果 が あ る場合 に適 用 す る考 えで あ. 本 件 は 所 得 税 法64条2項. る。. 張 した 。. さ らに、 同条項 適用 には、 当該 資産 の譲 渡代 金 に よ る履 54. 判 示24))が あ る。 そ れ は 、求 償 権 の 放. を適 用 す る 場 合 に 当 た ら な い と 主. 裁 判 所 はXの 請 求 を 排 訴 し た 。 理 由 は 、 「乙 会 社 は債 務 超. 行 で あ る こ とが求 め られ る。 したが って 、保証 債務 の履行. 過 の 状 態 に な か っ た 」 と い うこ と で あ る 。25)それ に 加 え て 、. を他 か らの借 入金 に よ って行 い 、そ の後 その借 入金 を返済. 「Xが個 人 所 有 財 産 の 処 分 を して ま で 乙 会 社 の 債 務 を 整 理. す るた めに資 産 を譲渡 した場 合 には 、原則 と して同条 項 の. し た の は 、 同 社 がXら の 同 族 会 社 で あ っ た こ と と 、Xは 債 務. 適 用 は ない として、資 産売 却代 金 を保 証債 務 の履行 に充 て. の支 払猶 予 を認 め る和議 認 可 さえ あれ ば同社 は 立 ち直れ る. られ る こ とを求 め他へ の流 用 等逸 脱行 為 は認 め ない もの と. も の と 考 え て い た の で あ り、Xは 和 議 認 定 前 に確 定 的 に 求. 解 され る。 そ の反 面 、資産 譲渡 に長期 間 を要す る よ うな場. 償 権 を放 棄 す る意 思 を も っ て い た わ け で は な か っ た 。 そ れ. 合 におい て 、やむ を得 ず借 入金 で 保証 債務 を履行 した後 、. に も か か わ らず 、Xが 和 議 認 可 直 後 求 償 権 を 放 棄 し た の は 、. 社 会通 念 上相 当な期 間 内に資 産 を譲渡 して借 入金 を返 済す. 顧 問 税 理 士 が 求 償 権 を 放 棄 し て 所 得 税 法64条2項. る よ うな場合 等 、実質 的 にみ て保 証債 務 の履行 のた めの資. 受 け れ ば節 税 に な る とす す め た か らで あ り、従 っ て 、Xは 乙. 産 の譲 渡 と認 め られ る もの には 、租税 回避 行為 では ない と. 会社 が債 務超 過 が著 しい とか、事 業継 続 が不 可能 の状 態 で. して 同条項 の適 用 を認 めた もの と理解 で き る。. あ る か ら仕 方 な く求 償 権 を放 棄 し た と か い う も の で は な く、. の適 用 を. 専 ら譲 渡 所 得 課 税 を免 れ る た め の 方 便 と し て 求 償 権 を 放 棄 (2)「 求 償 権 の 全 部 又 は 一 部 を 行 使 で き な い こ と と な っ た 」 こ とに つ いて 所 得 税 法64条2項. し た も の で あ る。」26)と認 定 し 、 上 記 の 通 り判 示 した 。 こ の 判 決 で は 、 乙会 社 は 和 議 に よ り立 ち 直 る 見 込 み を 予. の 適 用 の た め に は 、 同 条 項 の も う一 っ. 測 で き る 状 態 に お い て 、 つ ま り求 償 権 の行 使 が 可 能 で あ っ. の要件 で あ る 「 求 償 権 の 全 部 又 は 一 部 を行 使 で き な い こ と. た に も か か わ らず 、 こ れ を 放 棄 した と し て 所 得 税 法64条2. と な っ た 」 に該 当 す る 必 要 が あ る 。 立 法 の 経 緯 で も 明 ら か. 項 の適 用 を 否 定 した も の と考 え られ る。. な よ う に 、 同 条 項 が 制 定 され た の は 事 業 所 得 等 の貸 倒 れ と. そ こ で 、 どの よ うな 状 態 が 求 償 権 行 使 不 能 な 状 態 で あ る. の バ ラ ン ス を 図 る と こ ろ に あ る。 ま さ に貸 倒 れ と い う事 実. か につ いて は、 上記 の類 似判 例 で求償 権 放棄 につ き同条 項. が 生 じた か 否 か を 求 め る 要 件 で あ る。 以 下 、 こ の 要 件 に つ. の 適 用 を 争 わ れ た 仙 台 地 裁(昭 和55年9.月3日 判 示27))が あ り、. い て 裁 判 例 をみ て い く こ と とす る 。. そ こ で は 次 の よ うな 判 断 基 準 を 述 べ て い る。 「 所 得 税 法64条2項. す る こ とが で き な い こ と と な っ た とき 』 と は 、 求 償 債 権 の. (i)「求 償 権 行 使 不 能 」 の 意 義 所 得 税 法64条2項. の 「 求 償 権 の 全 部 又 は 一 部 を行 使 で き な. い こ と とな っ た 」 の 要 件 に 関 す る 注 目す べ き裁 判 例(京. に い う 『求 償 権 の 全 部 又 は 一 部 を 行 使. 都. 相 手 方 た る債 務 者 に っ い て 、 破 産 宣 告 、 和 議 開 始 決 定 を 受 け る か 又 は 失 踪 、 事 業 閉 鎖 等 の 事 実 が 発 生 す る とか あ る い.

(7) 保 証債 務 を履行 す るた め の 資産 の 譲 渡 に 関す る所 得 税 法 上 の特 例 に つ い て. は 債 務 超 過 の 状 態 が 相 当期 間 継 続 し金 融 機 関 や 大 口債 権 者. 行 う こ とは 通 常 見 受 け られ る こ とで あ っ て 、 こ の よ うな 場. の 協 力 を 得 られ な い た め事 業 運 営 が 衰 微 し再 興 の 見 込 み も. 合 は 求 償 権 は あ っ て も そ の行 使 が 不 能 で あ る の が 常 で あ る 。. な い こ と、 そ の 他 これ ら に 準 ず る 事 情 が あ る た め 求 償 権 を. 所 得 税 法64条2項. 行 使 して もそ の 目的 が 達 成 さ れ な い こ と が 確 実 に な っ た 場. の 求 償 不 能 が 確 定 し た 場 合 に 限 定 さ れ る べ き で な く、 『求. 合 を指 す も の と解 す べ く 、 これ は 相 手 方 債 務 者 の 資 産 や 営. 償 権 の 行 使 が 不 能 とな っ て 譲 渡 人 に譲 渡 益 の な い 場 合 の す. 業 の 状 況 、 他 の 債 権 者 に対 す る 弁 済 の 程 度 な ど を 総 合 的 に. べ て 』 に つ い て 適 用 さ れ る べ き で あ る。」32)と反 論 し た 。. 考 慮 して 客 観 的 に 判 断 す べ き も の で あ る。」28). は 、譲渡 人 が 保 証債 務 を履行 した後 に そ. 判 決 は 請 求 棄 却 。 以 下 の 通 りで あ る 。. 結局は 「 求 償 権 を 行 使 して もそ の 目的 が 達 せ ら れ な い こ. 「 所 得 税 法64条2項. の規 定 は、主 債務 者 に対 す る求償 を前. とが 確 実 に な っ た 場 合 」 で あ る との 判 断 で あ る。 先 の 事 例. 提 とす る 保 証 に つ い て 、 保 証 債 務 を履 行 す る た め 資 産 の 譲. で 、 和 議 に よ る再 興 が 予 測 され る 状 況 で の 求 償 権 放 棄 に よ. 渡 があ った場 合 にお い て も、求償 権 の行使 が不能 とな った. る 場 合 の 所 得 税 法64条2項. と き に は 、 譲 渡 代 金 が 回 収 不 能 とな っ た 場 合 の 取 扱 い と 同. の 適 用 が 否 定 され る の は 、 こ の. よ うな 理 解 が 底 流 に あ る も の と考 え られ る 。. 様 に 、 所 得 計 算 上 求 償 不 能 とな っ た 金 額 は 存 在 しな い も の. 逆 に 、 同 じ求 償 権 放 棄 に 関 して で あ る が 、 「 求償 権 を行使. とみ な して 課 税 上 の 救 済 を 図 る とい うも の で あ る か ら、 求. す る こ とが で き な い 場 合 で あ れ ば 、 行 使 で き な い こ とを 理. 償 権 の 行 使 が そ もそ も不 能 で あ る こ と を 知 りな が ら敢 え て. 由 に 求 償 権 を 放 棄 した 時 で あ っ て も 」 所 得 税 法64条2項. の. 保 証 を した と き の よ うに 、 最 初 か ら主 債 務 者 に 対 す る 求 償. 適 用 は あ る と した 事 例 が あ る(東 京 地 裁 昭 和47年4.月26日 判. を 前 提 と しな い 場 合 に は 、 同 条 を 適 用 す る こ と が で き な い. 示29))。 これ は 上 記 の 「 求 償 権 を 行 使 し て も そ の 目的 が 達 せ. も の とい わ ね ば な ら な い 。. られ な い こ と が 確 実 に な っ た 場 合 」 に 該 当 す る も の で あ る。 した が っ て 、所 得 税 法64条2項. しか して 、本 件 に お い て 、原 告Xが 乙株 式 会 社 に 対 す る 求. 適 用 に 関 し て は 、求 償 権 放 棄. 償 権 の 行 使 が 不 能 で あ る こ と を承 知 の 上 で 本 件 保 証 を な し. とい う行 為 に 重 き が あ る の で な く 、 「 求 償 権 を行 使 して も. た こ と は 認 定 事 実 よ り明 ら か で あ っ て 、 現 に 求 償 権 を 行 使. そ の 目的 が 達 せ られ な い こ とが 確 実 に な っ た 場 合 」 が 、 こ. し よ う と した 事 跡 を 窺 わ せ る 証 拠 も な い か ら、 結 局 、 本 件. こ で の 判 断 基 準 に な る も の と考 え られ る。. 譲 渡 に 付 き 所 得 税 法64条2項. の規 定 を適 用 す べ き で あ る と 55. す るXの 主 張 は 、 失 当 で あ る。」33) こ の 判 決 は 、所 得 税 法64条2項. (ii)求償 不 能 を知 りな が ら し た 保 証 次 に 、 求 償 権 の 行 使 が そ も そ も 不 能 で あ る こ と 知 りな が ら敢 え て 保 証 を し た 場 合 の 所 得 税 法64条2項 とな っ た 事 例(最 高 裁 昭 和59年12月4日. が 適 用 され る 前 提 に は 、保. 証 人 が 保 証 す る 時 点 に お い て 、 主 債 務 者 に 対 し求 償 可 能 な. の適 用 が 問題. 状 態 で あ る とい う保 証 人 自身 の 認 識 を 求 め て い る も の と考. 判 示30))が あ る 。 概. え ら れ る。 し た が っ て 、 原 告 の 「 求 償 権 の行 使 が 不 能 と. 要 は 以 下 の 通 り。. な っ て 譲 渡 人 に譲 渡 益 の な い 場 合 の 全 て に つ い て 適 用 す べ. 本 件 は 、 主 た る 債 務 者 が 資 力 を 喪 失 し て しま っ た 後 に 保 証 し た 保 証 債 務 を 履 行 す るた め 資 産 を し た 場 合 、 そ の 履 行. き で あ る 」 とい う主 張 は 退 け られ た こ とに な る。 と こ ろ で 、 上 記 事 例 と 類 似 し た 判 例 で 注 目す べ き事 例 が. に 伴 う求 償 権 の 行 使 が で き な い も の と し て 当該 譲 渡 所 得 の. あ る 。 そ れ は 、 ほ ぼ 同 じ時 期 に争 わ れ た 事 例(名. 金 額 の 計 算 上 所 得 税 法64条2項. 昭 和55年10.月27日. の 適 用 が あ る か ど うか 争 わ. 古屋 地裁. 判 示34))で 、 判 示 の 理 由 部 分 を み て み る。. 「 保 証 人 が 債 務 保 証 を し た 際 に 、 既 に 主 た る債 務 者 が 資. れ た もの で ある。 の特 例 規 定 の適 用 を否. 力 を 喪 失 して お り、 か つ 保 証 人 が 債 務 者 に 弁 済 能 力 が な い. 認 した本件 更正 処分 の適 法性 につ き、「 乙 株 式 会 社 は 、従 業. こ と を知 りな が ら敢 え て 保 証 債 務 を し た よ うな 場 合 に は 、. 員 に対 す る退 職 金 支 払 い の 規 定 も な く、 本 件 資 産 の 譲 渡 の. 保 証 人 にお いて 、 あ らか じめ求償 権行 使 に よ る回収 の期待. 昭 和48年3月. 被 告 税 務 署 長 は 所 得 税 法64条2項. 当時 多額 の繰 越 赤 字 を抱 えて倒 産 寸 前 の 状態. を 全 く持 た な い 点 に お い て 実 質 的 に み れ ば 、 当 該 保 証 人 に. に あ り、 こ の よ うな 状 態 に あ る 会 社 が 退 職 金 支 払 い を 約 す. お いて 主た る債務 者 の債 務 を 引き受 け たか 、 あるい は、 主. る は ず も な く 、ま た 、Xが これ を 保 証 した と し て も 、認 め 難. た る 債 務 者 に 対 し利 益 供 与 又 は贈 与 を な し た も の と み な し. い 。 仮 に 主 債 務 及 び 保 証 債 務 が 存 在 した と して も 、 乙株 式. 得 る の で あ っ て 、 か か る 場 合 は 、 所 得 税 法64条2項. 会 社 が 支 払 不 能 に な っ た 後 の 保 証 で あ る か ら所 得 税 法64条 2項 の 適 用 は な い 。」31)と主 張 し た 。 これ に 対 し て 原 告Xは 、 上 記 被 告 主 張 後 段 の 主 張 に 対 し て 、 同 規 定 は本 件 の 場 合 に も そ の 適 用 が あ る と主 張 して 、 「 株 式 会 社 と は 名 ば か りの 個 人 企 業 に お い て 代 表 者 が 個 人 資 産 を 投 げ うっ て 会 社 の 債 務 を 支 払 い 、 会 社 の 負 債 整 理 を. にい う. 『求 償 権 の 行 使 が 不 能 に な っ た と き 』 に 該 当 せ ず 、 同 条 同 項 を適 用 す る 余 地 は な い も の と解 す る の が 相 当 で あ る。」35) 先 の 事 例 と ほ ぼ 同趣 旨 の 判 示 で あ る が 、 た だ こ の 判 示 に お い て 注 目す べ き 点 と して は 、 ①. 「あ ら か じめ 求 償 権 行 使. に よ る 回 収 の 期 待 を 全 く も た な い 」 こ と、 ②. 「当 該 保 証 人. にお い て主債 務者 の債務 を引 き受 けた か、 あ るい は、主 た.

(8) 近 畿 大 学産 業 理 工 学部 かや の も り13(2010). る 債 務 者 に 対 し利 益 供 与 又 は 贈 与 を な し た も の と み な し う. 過 後 の 債 務 者 の 客 観 的 事 実 で 判 断 され る べ き で あ り、 そ れ. る 」 とい う。 よ り具 体 的 な 理 由 付 け が な され て い る点 で あ. が ま さに 「 回 収 の 期 待 」の 基 準 で あ る と考 え られ る の で あ る 。 こ の よ うに 、 先 の 適 用 要 件 で あ る 「 保証 債 務 を履行 す る. る。 ま ず ① で あ る が 、 「あ ら か じ め 」保 証 した 時 点 か ら 、求 償. た め 資 産 の 譲 渡 が あ っ た 場 合 」 と同 様 に 、所 得 税 法64条2項. 不 能 で あ るこ とを知 って いた た め 「 求 償権 行使 に よる回収. が 租 税 回 避 手 段 等 に利 用 され な い よ う、 か な りの 厳 格 な 適. の 期 待 を 持 た な い 」 状 況 で あ っ た 、 とい う理 解 と 考 え られ. 用 が な され て い る と い うこ と が で き る。. る 。 こ の よ うに 解 す る な ら ば 、 「求 償 権 の 行 使 不 能 な 状 態 で、 それ を保 証人 が知 らなか っ た場合 」 につ い ては 、所得 税 法64条2項. の 適用 を排 除す る理 由に は な らない。 保 証人. は 、 求 償 権 の行 使 が 不 能 な 状 態 で あ る に もか か わ らず 、 そ. 5.最 近 の 判 例 の 検 討 一 さ い た ま 地 裁 平 成16年4月14日 判決 所 得 税 法64条2項. の適 用 に つ いて は 、 同条項 が特 例 規 定. れ を知 らな か っ た た め 「回 収 の 期 待 を 持 た な い 」 と は い え. と い う認 識 の た め な の か 、 裁 判 例 に よ る 検 討 で も 明 らか な. ない か らで ある。. よ うに か な り厳 格 な 判 断 が な され て い る 。 過 度 の 厳 格 適 用. そ して 、 保 証 当 時 に お い て 、 主 債 務 者 に 対 す る 求 償 権 の. は 、 余 儀 な く資 産 を 売 却 し た 保 証 人 を 救 済 し よ う とす る 法. 行 使 が 客 観 的 に 不 能 で あ る状 態 で あ る か とい う こ と よ り も 、. の 趣 旨 に 反 し、 さ らに は 租 税 法 律 主 義 に反 す る 可 能 性 も 考. 保 証 人 が そ の 事 実 を知 っ て い た か と い う こ と が 問題 に な る. え られ る 。. こ と が 理 解 で き る の で あ る。. 近 年 、 こ れ ま で の 所 得 税 法64条2項. 次 に② で あ るが、 「 実 質 的 に見 れ ば 当該保 証 人 にお い て. 適 用 の 要件 の解 釈 が. 以 前 よ り柔 軟 に な っ た 判 例 が 見 受 け られ る よ うに な っ た が 、. 主た る債務 者 の債 務 を引 き受 け たか 、 あるい は主 た る債務. そ の 中 で も 平 成16年4月14日. 者 に対 し利 益 供 与 又 は 贈 与 を な した も の とみ な し得 る 」 と. れ る 。 こ の 判 決 例 を今 ま で に 検 討 して き た 従 来 の 解 釈 と 比. さ い た ま 地 裁 判 決36)が 注 目 さ. 判 示 して い る 。 こ の こ と か ら、 先 の 事 例 に お い て 、 求 償 権. 較 しな が ら検 討 して い き た い 。. の行使 が 不能 となっ たそ の保 証行 為及 び履 行 行為 は 、債務 引 受 ・利 益 供 与 あ る い は贈 与 で あ る と判 断 して い る。 これ 56. は 、 「回 収 の 期 待 を持 た な い 」 とい う点 か ら の 判 示 と考 え ら れ る。. (1)事. 実 の概 要. 本 件 は 、 原 告(以. 下 「X」)が 自己 所 有 して い た 土 地 の譲. 渡 に か か る所 得 の 計 算 に お い て 、 所 得 税 法64条2項 す る 保 証 債 務 の 特 例(以. 小 括. 下. に規 定. 「 本 件 特 例 」)を 適 用 し た 平 成9. 年 分 の 所 得 税 の確 定 申告 に つ き 、 被 告 が 、 本 件 特 例 は 適 用 の も う一 つ の 適 用 要 件 で あ る 「 求. で き な い と して 行 政 処 分 お よ び 過 少 申 告 加 算 税 の 賦 課 決 定. 償 権 の全 部又 は一 部 を行使 で き ない こ と となっ た」 に関す. 処 分 を した と こ ろ 、 原 告 が 上 記 各 処 分 の 取 り消 し を求 め た. る裁判 例 をみ て きた。. 事 案 で あ る。 本 件 の 争 点 は 、 原 告Xの 平 成9年 分 の 所 得 税 に. 以 上 、所 得 税 法64条2項. ま ず 求 償 権 の 放 棄 に 関 す る 二 つ の 事 例 を 検 討 した 。 これ ら は類 似 判 例 で あ る も の の 、 一 方 は 適 用 を 認 め ず 、 他 方 は 適 用 を 認 め る と い う異 な る結 論 で あ っ た 。 こ こ で は 、 所 得 税 法64条2項. は 債 権 放 棄 とい う行 為 で は な く 、 「 求償 権 を行. 使 し て も そ の 目 的 が 達 成 され な い 事 が 確 実 に な っ た 場 合 」. つ い て 、 譲 渡 所 得 の 計 算 上 、 本 件 特 例 が 適 用 され る か 否 か で あ る。 有 限 会 社A(以. 下. 「A社」)は 、 サ ウナ 風 呂 、 ス イ ミ ン グ. ス ク ー ル 、 レス トラ ン お よ び 喫 茶 店 等 の 経 営 等 を 目 的 と し て 、昭 和59年12月28日. に設 立 され た 法 人 で あ り、原 告XはA. に お い て 、 適 用 を認 め る判 断 基 準 と され て い る こ と が 理 解. 社 の代 表 取 締 役 で あ り、A社 が 事 業 を 行 っ て る土 地 、建 物 は. され た 。. 原 告Xか ら の 賃 貸 で あ る。 し か し 、老 朽 化 の た め 、資 金 を調. 次 に 、 求 償 権 行 使 が そ もそ も不 能 で あ る こ と を 知 りな が ら、 敢 え て 保 証 を した 場 合 の 所 得 税 法64条2項. の適 用 に 関. 達 して 新 た な設 備 が 必 要 とな っ た 。 A社 は 、 地 元 のS信 用 金 庫(以. 下 「S信金 」)か ら次 々 と借. す る事 例 で は 、 求 償 権 行 使 が 不 能 に な っ た と し て も 、 そ の. 入 れ を 行 い 、 原 告Xは こ れ ら に 債 務 保 証 した 。 以 下 の 通 り. 保 証 行 為 及 び 履 行 行 為 は 、 債 務 引 受 ・利 益 供 与 あ るい は 贈. で あ る。. 与 と判 断 され 、 同 条 項 の 適 用 を排 除 して い る。 し か し な が ら、 保 証 時 点 で 債 務 者 に 弁 済 能 力 は な く て も 、 保 証 す る こ とで 運 転 資 金 を 得 て お り、 環 境 等 の 変 化 と も相 ま っ て 事 業 継 続 の うち に再 生 の 可 能 性 が 出 て く る こ と も考 え られ る の で 、 求 償 権 行 使 の 不 可 能 性 に つ い て の判 定 は 、 保 証 債 務 の 時 点 で は な く 、 保 証 の 効 果 が 期 待 され る期 間 経.

(9) 保 証債 務 を履行 す るた め の 資産 の 譲 渡 に 関す る所 得 税 法 上 の特 例 に つ い て. そ の 後 原 告Xは 、 平 成9年11月13日. A社のS信金 か らの借 入 と、Xの債 務保証. 借. 入. 日. 返済期 限 日. A債 務. H8.4.8. H9.4.1. B債 務. H8.6.10. H11.6.7. C債 務 D債 務. H8.12.5. H10.8.7. 金. 地(以. 額. 下 「 本 件 第2土 地 」)をPと の 問 で 、代 金3500万. 円で 売. 却 す る と い う不 動 産 売 買 契 約 を 締 結 し、 そ の 際Pか ら手 付. 4,000,000円. 金300万 円 を 受 領 した 。 以 下 の 通 りで あ る 。. 10,000,000円 47,800,000円 24,400,000円. 「 本件 第2土 地 」の譲 渡. ※判決 文 よ り作成. 譲 渡代 金受 領 日. ま たA社 は 、都 市 銀 行 のM銀 行 か ら次 の 借 入 れ を行 い 、原 告Xは 債 務 保 証 を す る と 同 時 に 自 己所 有 の 土 地(以 下 「 本件 第1土. に 、 自己所有 の別 の 土. 地 」)・家 屋 に 根 抵 当権(1億3000万. 譲渡 代金. H9.11.13. 3,000,000円. H9.12.3. 32,000,000円. 計. 35,000,000円. 円)を 設 定 した 。. ※判 決 文 よ り作 成. 以 下 の 通 りで あ る。. 原 告Xは 、上 記 譲 渡 代 金 をS信 金 に 弁 済 した 。 以 下 の 通 り. A社のM銀 行か らの借 り入れ と、Xの債務 保証(根 抵 当権設 定). で あ る。. 借 E債 務. 入. 日 返 済期 限 日. H8.12.26. H9.6.30. 金. 額. 130,000,000円. 「 本件 第2土 地 」譲渡 代金 に よる弁済. ※判決 文 よ り作成. 返済 日 原 告Xは 、平 成9年1月24日. 、株 式 会 社C住 宅(以 下 「C社」). との 問 で 、本 件 第1土 地 に つ い て 、売 主 を 原 告X、 買 主 をC社 、 代 金 を2億2843万8900円. とす る 不 動 産 売 買 契 約 を 締 結 し,同. 日C社 か ら手 付 金2200万. 円 を 受 領 した(な お 、そ の 後 の 経 過. H9.12.3. 返 済先. 返 済 した債務 B債 務10,000,000円. S信 金. D債 務24,400,000円. 計. 34,400,000円. ※判 決 文 よ り作 成. 57. で 価 額 は 変 更 され た)。 以 下 の 通 りで あ る。 被 告Xが 、A会 社 の 保 証 債 務 の 履 行 と して 、 自己 所 有 の 土 地(「 本 件 第1土 地 」 お よび. 「 本 件 第2土 地 」)を 譲 渡 した 後 、. 「本 件 第1土 地 」 の 譲 渡. A会 社 は 解 散 す る こ と と な っ た 。 そ の 経 緯 は 下 記 の 通 りで. 譲 渡 代金 受領 日. 譲渡 代金. H9.1.24. あ る。. 22,000,000円. H9.5.19. 206,872,000円. 計. A社 解散 まで の経緯. 228,872,000円. そ して 原 告Xは 、平 成9年5月19日. にM銀 行 の 債 務(E債. の 全 額 とS信 金 の債 務 の 一 部(A債. 務 とC債 務)を. 務). 弁 済 した 。. 「 本 件第1土 地」 譲渡代 金 によ る弁済. 返済 先. H9.5.19. M銀 行. H9.5.28. S信 金. 計 ※判決 文 よ り作成. 返 済 した債 務 E債 務130,000,000円. 続. 等. H9.2.末. 営 業終 了. H9.4.30. 解散 の決 議(社 員 総 会). H9.5.13. 解散 登記. H9.12.24. 原 告Xが 代 位 弁 済 した本 件 各 債務 に係 る 求償 権 を放棄 す る旨 を記載 した債 権 放棄 通知 書 の送付. H9.12.30. 清算 結 了. H10.1.19. 清算 結 了登記. 以 下 の 通 りで あ る。. 返済 日. 手. 年月 日. ※判決 文 よ り作成. ※判 決 文 よ り作 成. A債 務4,000,000円 C債 務47,800,000円 181,000,000円. 被 告Xは 、平成9年 分の 所得 税 につい て 、 これ らの本 件 第 1土 地お よび 第2土 地 の譲 渡 に係 る譲 渡所 得 の金額 を計 算 す るに あた り、所 得税 法64条2項 を適用 して 所得 税 確 定 申告 書 を提 出 したが 、被 告税 務 署 長Yは 同条 項 の適 用 は ない と.

(10) 近 畿 大 学産 業 理 工 学部 かや の も り13(2010). して更 正処 分お よび過少 申告 加算 税 の賦課 決 定処分 を行 い 、 その ためXが これ を不服 として提 訴 に及 んだ もので ある。. (ii)原告 の 主 張 所 得 税 法64条2項. (2)「保 証 債 務 を 履 行 す る た め の 資 産 の 譲 渡 」 の 要 件 に つ いて. 譲 渡 が あ っ た 」こ と を 要 件 と して い る と こ ろ 、被 告Yは 、 「 資 産 の 譲 渡 が 保 証 債 務 の 履 行 を 余 儀 な く さ れ た た め に行 わ れ た も の で あ る こ と」 と い う要 件 を 措 定 す る が 、 か か る 要 件. (i)被 告 の 主 張 所 得 税 法64条2項. にい う「 保 証 債 務 を履 行 す る た め に 資 産. を 措 定 す る と して も 、 租 税 法 律 主 義 の 課 税 要 件 明 確 主 義 の. の譲渡 が あ った」 の要 件 が適 用 され るた め には 、そ の資産. 要 請 か ら して 、 そ れ は あ く ま で. の 譲 渡 が 保 証 債 務 の 履 行 を 余 儀 な く され た た め に止 む に 止. の 資 産 の 譲 渡 」 とい う枠 内 の 解 釈 に よ る べ き で あ る。. ま れ ず 行 わ れ た も の で あ る こ と を 要 す る 、 と解 す べ き で あ る。. 「 保証 債務 を履行 す るた め. こ とに、本 要件 につい て 、主債 務 の弁 済期 到来 前 に資 産 を 譲 渡 した こ と 、 債 務 者 な い し保 証 人 に 対 す る書 面 に よ る. し た が っ て 、 資 産 の 譲 渡 が 保 証 債 務 の 履 行 を余 儀 な く さ. 正 式 な 督 促 が な い 段 階 で 資 産 を譲 渡 し た こ とな どの 形 式 的. れ た た め に 止 む に 止 ま れ ず 行 わ れ た も の で あ る か否 か の 判. な 事 情 を 強 調 す る こ と は 、 明 ら か に解 釈 論 の 域 を 超 え る も. 断 に当た って は、. の で あ り、 本 要 件 を 不 当 に縮 小 解 釈 す る も の で あ る。. (イ)主. 債務 者 の財務 状 況 、 それ まで の返 済 の 実 績 等 を. 踏 ま えて 主債 務者 におい て弁 済 を行 うこ とが不可 能 で あ るこ とが確 実で あ るか (ロ)資 産 の 譲 渡 行 為 が 債 務 の 弁 済 期 到 来 後(期 限 の 利 益 喪 失 後)に (ハ)債. 行 われ た もので あ るか否 か. 権者 か ら主債 務 や 保 証債 務 の履行 の請 求 が あ っ. たか否 か. 58. は、 「 保 証 債 務 を 履 行 す るた め の 資 産 の. イ)原 告 が 保 証 債 務 の 履 行 を余 儀 な く され て い た こ と 平 成8年 当 時 、窮 地 に 瀕 した 原 告Xは 、 リニ ュ ー ア ル 計 画 を 含 め て 再 建 を 懸 命 に 試 み て い た も の の 万 策 が 尽 き 、 平 成9 年1月 半 ば こ ろ に は 、 事 業 を 継 続 す る こ とが 不 可 能 とな っ た た め 、A社 は 総 額2億. 円 を 超 え る債 務 を 返 済 す る こ と が. で き な くな っ た 。 そ の 結 果 、A社 の 連 帯 保 証 人 で あ る原 告X は 、そ の連帯保 証 債務 を免 れ得 な い こ ととなった 。. な ど の 客 観 的 な 事 情 を 総 合 的 に 考 慮 して 、 保 証 人 が 保 証 債. し た が っ て 、原 告Xは 、本 件 各 債 務 の保 証 債 務 の 履 行 を 余. 務 を履 行 す る こ とが 真 にや む を 得 な い よ うな 状 況 で あ っ た. 儀 な く され た 状 況 の も とで 、 自 らの 保 証 債 務 を 履 行 す る た. か 否 か を判 断 す べ き で あ る。. め に 、 本 件 第1土. 本 件 に お い て は 、以 下 の とお り、資 産 の 譲 渡 が 保 証 債 務 の 履 行 を 余 儀 な く され た た め に行 わ れ た も の で あ る と は 、 到 底 認 め られ な い 。 (イ)弁. 済期 が到 来 せず 、金 融 機 関か らの催 告 等 もな い. こと (ロ)A社. に規 定 す る 「 保 証債 務 を履行 す る. た め に 資 産 を譲 渡 し た 」 場 合 に 当 た る。 ロ)A社. の経 営状 況. 被 告 は 、A社 が 平 成8年5月. か ら 同 年12月 ま で は 、 毎 月. 1200万 円 余 り の 売 上 を 計 上 して お り、 秋 以 降 明 らか に 減 少 の経 営状 況 は、本 件 各債 務 の弁済 返済 が可 能 で. あっ た こ と (ハ)原 告X自 ら がA社 に よ る 返 済 を 不 可 能 に した こ と (二)A社. 地 の 売 買 契 約 を 締 結 に 至 っ た の で あ り、. 本 件 は 、所 得 税 法64条2項. は金 融 機 関 との 取 引 を 継 続 して い た こ と. し た こ と も な く コ ン ス タ ン トな収 入 が 確 保 され て い た と し て 、A社 の 経 営 状 況 が 返 済 が 不 可 能 な 状 況 で は な か っ た と 主張 す る。 しか し、 債 務 の 弁 済 原 資 とな る の は 、 売 上 そ の も の で は. 以 上 の よ うに 、A社 は 、そ の 経 営 状 況 や 資 金 状 況 、債 務 の. な く、 売 上 か ら必 要 経 費 等 を 差 し引 い た税 引 前 当 期 利 益 で. 返 済 実 績 か らす れ ば 、 債 務 の 返 済 が 不 可 能 な 状 況 に あ っ た. あ る と こ ろ 、A社 は 、 平 成8年 当 時 、 売 上 か ら経 費 を 差 し引. と は い え ず 、金 融 機 関 と の 取 引 も継 続 し て い た の で あ る か. い た 収 入 が 減 少 傾 向 に あ り、 平 成8年5月. ら、 事 業 の 継 続 が で き る 見 通 し が な い と い う状 況 に あ っ た. の 税 引 前 当 期 損 益 は 、 合 計773万 円 の 損 失 を 計 上 して お り、. とは 認 め られ な い 。. キ ャ ッシ ュフ ロー はマイ ナ スで 、月 々 の返済 原 資が全 くな. そ して 、 本 件 各 債 務 の 弁 済 期 も 到 来 し て お らず 、 金 融 機 関 か ら の催 告 等 も な か っ た の で あ る か ら 、 結 局 の と こ ろ 、. か った。 ま た 、A社 は 、 実 質 的 に 平 成8年4月 末 の 段 階 で 既 に1億. 原 告Xは 、 単 に 本 件 各 債 務 の 返 済 に 充 て る 目的 で 任 意 に 本. 9151万8351円. 件 各 土 地 を 売 却 し、 そ の 代 金 を も っ て 任 意 に本 件 各 債 務 を. 務 超 過 額 が2億6930万7577円. 弁 済 し た に す ぎ な い と み る ほ か な い の で あ っ て 、 原 告Xが. か ら同 年12.月 ま で. の債 務 超 過 状 態 で あ り、 平 成9年4.月 末 に は債 に及 んで いた。. した が っ て 、A社 の 売 上 高 及 び 金 融 機 関 へ の 返 済 状 況 等. 保 証 債 務 の 履 行 を 余 儀 な く さ れ 、 止 む に止 ま れ ず 本 件 各 土. の み か ら 、 直 ち にA社 の 経 営 状 況 が 返 済 が 不 可 能 な 状 況 で. 地 を譲 渡 した も の とは 認 め られ な い 。. は な か っ た と結 論 付 け る こ と は で き な い の で あ り、 被 告 の. し た が っ て 、 本 件 にお い て 本 件 特 例 は 適 用 され な い 。. 主 張 は 、 経 営 状 況 を 示 す 各 指 標 の 分 析 を 怠 り、 事 実 と明 ら.

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