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第二次世界大戦後アメリカの対欧州通貨金融政策 : EPU創設の歴史的意義をめぐって

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Academic year: 2021

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(1)第 二次 世 界 大 戦 後 ア メ リカ の対 欧 州 通 貨 金 融 政 策        EPU創 設の歴史的意義をめ ぐって                         須 藤  功 1.は. じめ に.   第 二 次 世 界戦 後 十 数 年 間 にお け る先 進 各 国、 と りわ け ア メ リカ お よ び イギ リスを 中 心 とす る通 貨 ・金 融政 策 は、IMF体. 制 成 立 の 起 点 と して、 あ る い は また 東 西 冷 戦 体 制 の 起 源 と して 歴 史 研. 究 の対 象 と され て きた1)。加 え て 、 冷 戦 体 制 の 崩 壊 に と もな う ソ連 お よ び東 欧 諸 国 の 経 済 改 革 問 題 の 出 現 は、 西 ヨー ロ ッパ 諸 国 の 戦 後 復 興 に 歴 史 的 教 訓 を 求 め よ う とす る関 心 か ら、 再 び戦 後 復 興 期 の 政策 に対 す る問題 関 心 を 提 起 して い る。   これ まで の諸 研 究 が 明 らか に して い るよ うに、 ブ レ ト ン ・ウ ッズ体 制 の 成 立 か らマ ー シ ャル ・ プ ラ ンの 開始 、 そ して 欧 州 決 済 同 盟(EPU)の. 創 設 とそ の解 体 に い た る 時 期 は、 多 くの 論 争 を. 提 起 す る ほ どに ダイ ナ ミ ックで あ り紆 余 曲折 した過 程 で あ った。 戦 後 世 界 経 済 の 再 編 原 理 を め ぐ る主 要 な論 争 は、 そ れ が ブ レ ト ン ・ウ ッズ体 制 や マ ー シ ャル ・プ ラ ンに見 られ る 「多角 的 ア プ ロー チ」 あ るい は 「グ ロー バ リズ ム」 で あ った か、 あ るい は1945年 英 米 金 融 協 定 やEPUに. 見 られ る. よ うな 「双 務 的 ア プ ロー チ 」 あ るい は 「リー ジ ョナ リズ ム」 で あ った か を対 立 点 と して き た 国 際通 貨 問題 に限 定 す れ ば 、 「ユ ニバ ー サ ル ・ア プ ロ ー チ」 対 「キ ー ・カ レ ン シー ・アプ ロー チ」。 そ して近 年 の 「リー ジ ョナ ル ・ア プ ロー チ」 の立 場 に た つ ミル ワー ドや ア イ ケ ング リー ン らの諸 研 究 は2)、戦 後 ア メ リカ の グ ロー バ リズ ム に も とづ く諸 政 策 が西 ヨー ロ ッパ の経 済 統 合 や 経 済 復 興 に大 きな影 響 を与 え な か った こ とを 強調 した。   これ に対 して、 ジ ェー ム ズ(Harold  James)に. よ る最 新 の 研 究 は、 リー ジ ョナ リズム と グ ロー. バ リズ ム との 間 の リン クの 問題 を 強調 した。 す な わ ち、 「ユ ニバ ーサ ル な枠 組 は リー ジ ョナ リズ ム に限 界 を課 し、 時 の経 過 と と もに そ の性 格 を変 え、 よ りユ ニ バ ー サ ル に す るの を助 け た の で あ る」3)と。 わ が国 で も、 本 間雅 美 氏 に よ る最 近 の研 究 は、 「ブ レ ト ン ・ウ ッ ズ に 象 徴 さ れ る 『多 角 主 義 ア プ ロ ー チ』 と 『キ ー ・カ レ ン シー ・ア プ ロー チ』 に代 表 さ れ る 『双 務 主 義 ア プ ロー チ』 が と もに、 戦 後 過 渡 期 とい う特 殊 状 況 の もと で等 し く必 要 とさ れ る に い た った 『現 実 の論 理 』 を 追 求 」 した4)。   しか しな が ら、 本 間 氏 の研 究 は マ ー シ ャル ・プ ラ ンへ の連 結 を射 程 に お く とは い え、 英 米 金 融 協 定 の成 立 ま でが 研 究 対 象 で あ るた め に、 過 渡 期 性 を強 調 す る に して も課 題 は途 上 に あ る とい わ ざ る を え な い。 この点 で ジ ェー ム ズ の研 究 は わ れ わ れ の関 心 に応 え る もの で あ るが、 しか し、 欧 州 決 済 同盟 創 設 に い た る ア メ リカ側 の政 策 の論 理 と実 際 に関 す る実 証 的研 究 は不 十 分 で あ り、 と りわ け イ ギ リス のEPU加. 盟 の も った歴 史 的意 義 の析 出 を欠 い て い る こ とで問 題 を残 して い る。.   わ れ わ れ の最 終 的 な課 題 は、 ア メ リカ の通 貨 金 融 政 策 に関 す る一 次 資 料(主. と して、 国 際通 貨.

(2) 金 融 問 題 国 家 諮 問 委 員 会NACの. 議 事 録 な ど)に. も とづ く実 証 的研 究 を通 して、 戦 後 の世 界 経済 、. と り わ け マ ー シ ャル援 助 対 象 諸 国 に対 す る再 建 ・復 興 に関 す る国 際通 貨 政 策 を検 討 しよ う とす る もの で あ るが5)、 こ こで は そ の予 備 的 作 業 と して 、戦 時期 か ら1958年 に お け る西 ヨ ー ロ ッパ 諸 国 の為 替 管 理 撤 廃 ま で の戦 後 十 数 年 間 に わ た る時 期 の 歴 史 的経 過 を、EPUの. 創 設過 程 に焦点 をあ. て つ つ 再 検 討 した い。. 2.戦. 後 世 界 経 済 の再 建 構 想.   (1)戦. 時 期 ・戦 後 に お け る英 米 の世 界 経 済 再 建 構 想.   第 二 次 世 界 大 戦 後 の世 界 経 済 の再 建 構 想 の 歴 史 的 起 源 は、 そ の ヘ ゲ モ ニ ー を掌 握 した ア メ リカ に焦 点 を絞 れ ば、1930年 代 の大 不 況 期 に お け る通 商 政 策 お よ び通 貨 金 融 政 策 の転 換 に求 め る こ と が で きよ う。 す な わ ち、1934年 互 恵 通 商 協 定 法 に よ る保護 貿 易 主 義 か ら自 由貿 易 主 義 へ の 転 換、 お よ び1936年 の英 ・米 ・仏 「三 国 通 貨 協 定 」 成 立 に よ る国 際通 貨 協 調 の実 現 で あ った。   第1に 、 前 者 の互 恵 通 商 協 定 法 の理 念 を受 け継 い だ 再建 構 想 は、 国 務 省 に よ る もの で あ った。 す な わ ち、 互 恵 通 商 プ ロ グ ラム に よ って 「無 差 別 主義 」 に も とつ く自 由貿 易 制 度 を双 務 的 に展 開 して 、 漸 次 的 に 「多 角 主 義 」 を実 現 しよ う とす る 「多 角 的双 務 主 義Multilateral  Bilateralism」 の 構 想 で あ った。 「自 由 ・無差 別 ・多 角主 義 」 的 通 商 は、 為 替 相 場 の 安 定、 為 替 取 引 の 自 由化 、 国 際 投 資 の復 活 お よ び経 済 開 発 の実 現 を不 可 欠 とす るが、 しか し、 これ は二 次 的 な重 要 性 と して 位 置 づ け られ た。 国 務 省 の国 際 通 貨 体 制 の再 建 構想 は、 「双 務 主 義」 に も とづ く 「基 軸 通 貨 ア プ ロ ー チ」 で あ っ た。 この ア プ ロ ー チ に も と つ い て 、 国 務 省 の 支 持 の も と に、 国 際 問 題 協 議 会 (CRF)は1942年 Hansen)の. に、 「為 替 安 定 基 金 」 に よ る外 国 為 替 相 場 の 統 制 を 強 調 し た ハ ンセ ン(Alvin. 構 想 と、 長 期 的 な 国 際 投 資 を 促 進 しか っ計 画 化 す る 「多 角 的 な 公 的 機 関 」 の設 立 を. 提 案 した ヴ ァイ ナ ー(Jacob  Viner)の. 構 想 を 公 表 した6)。.   しか し、 第2に 、 実 際 に国 際 通貨 金 融 体 制 の具 体 的 な戦 後 構 想 を作 成 した の は財 務省 で あ った。 財務 省 の再 建 構想 は、 国務 省 の そ れ と は反 対 に、 外 国 為 替 の安 定 と外 為取 引 の 自 由化 を 国 際機 関 に よ っ て管 理 し、 「多 角 主 義Multilateralism」. を一 挙 に実 現 し よ う とす る も の で あ り、 こ の点. で通 商 関 係 の調整 は二 義 的 で あ った。 財 務 省 は、 通 貨 政 策 は民 間 で はな く政 府 の責 務 で あ る と し て7)、国 際 通 貨 の 安定 を 国 際 機 関 に よ る多 角 的 な国 際 協 力 に よ って 管 理 し、 す べ て の 国 が 拡 張 主 義 的 な ケ イ ンズ政 策 を追 求 し、 完 全 雇 用 を 維 持 し うるか 否 か が再 建 され た 資 本 主 義 世 界 の核 心 で あ る と考 え た。   モ ーゲ ン ソー財 務 長 官 に指 示 され た ホ ワ イ トは、 「多 角 的双 務 主 義 」(=「. ハ ル の 原 理 」)を19. 世 紀 の経 済 教 義 の遺 物 に す ぎな い と して退 け、 「安定 基 金 案 」 に よ っ て通 貨 価 値 の 秩 序 あ る調 整 を準 備 して為 替 相 場 の安 定 的維 持 を図 ろ う と した。 さ らに重 要 な こ と は、 「為 替 相 場 の 変 更 を 多 角 的 な秩 序 あ る方 法 で 行 うた め に、 国 際 機 関 に対 して 各 国 の 国家 主 権 を大 幅 に制 限 す る権 限一 一 方 的 な為 替 相 場 変 更 の拒 否 、 為 替 管 理 放 棄 の 要 求、 国 内経 済 政 策 の監 督 を行 使 す る強 大 な コ ン.

(3) デ ィシ ョナ リテ ィー. を与 え て 、 厳 格 な 固 定 相 場 制 に も とづ く自由 な 多 角 的 貿 易 体 制 の実 現 を意. 図 した」8)の で あ った 。 同 時 に ホ ワ イ トは、 「グ ロー バ ル な完 全 雇 用 達 成 の ため に使 用 さ れ る超 国 家 的 権 限 を 持 つ 世 界 中 央 銀 行 」 設 立 を 提 案 した。 ホ ワ イ トは、 これ ら2つ の 機 関 に よ っ て 、 「世 界 不 況 へ の後 戻 りを 回避 し、 国 際 収 支 調 整 の痛 み と混 乱 とを 最 小 限 に す る」9)こ と を意 図 し た。   しか しなが ら、1943年10月9日. に世 界 「銀 行 」 案 が公 表 さ れ た とき に は、 もは や 当初 の枠 組 か. らは程 遠 い もの と な って い た。 す なわ ち、 イ ギ リス側 が 巨額 の 出 資金 負 担 を恐 れ て 消極 的姿 勢 を と っ た こ とや 、 国 際 的 銀 行 家 らが 潜 在 的 イ ンフ レー シ ョ ンへ の恐 れ と彼 らの活 動 に対 す る足 枷 へ の脅 威 か ら強 力 に反 対 した た ら6、ブ レ トン ・ウ ッズ協 定 にお いて最 終 的 に成立 した もの は、 民 間 投 資 の回 収 を保 証 す る 「保 証 基 金 」 にす ぎ なか っ た10)。   これ に対 して イ ギ リス の再 建 構 想 は、 「自 由、 無 差 別 、 多 角 主 義 」 の理 念 は認め る に して も、 「拡 張 主 義 圧 力 」 を ア メ リカ に求 め る こ とを優 先 す る、 つ ま り対 外 経 済 政 策 を 安 定 化 す る と い う 条 件 を債 権 国 の 責 任 にお いて 充 たす こ とを 求 め た。 そ して そ れ が 充 た され な い場 合 に は、 「双 務 的 多 角 主 義 」 が 次 善 の策 で あ る とみ た 。 つ ま り は、 「多 角 主 義 」 の実 現 を債 務 国 ア メ リカ の 「拡 張 主 義 的 圧 力」 を 通 じて 支 え よ う とす る通 貨 戦 略 で あ っ た11)。.   (2)英 米 交 渉 にお け るホ ワイ ト案 の 修 正   ア メ リカの再 建 構 想 は財 務 省 の そ れ が 具 体 化 した もの で あ った が、 しか し、 武 器 貸 与 基 準 協 定 (第7条)に. も とづ く英 米 交 渉 を 多 角 ベ ー スか あ る い は双 務 ベ ー スの い ず れ の 方 針 で 開 催 す べ き. か の路線 対 立 が あ っ た。 しか しこの対 立 は、 国 際 会 議 の 協議 事 項 と して は通 貨 安 定 を優 先 させ る が 、 英 米二 国 間 の 双 務 的 な 非 公 式 の 会 議 と して 開 催 す る こ とで妥 協 が成 立 した。   ワ シ ン トンにお け る英 米 交 渉 は、1943年9月. ∼10月 に か けて 行 わ れ た。 す で に見 た よ う に、 交. 渉 前 の ホ ワ イ ト案 で は、 世 界 「銀 行」 構 想 は大 幅 に後 退 して い た。 さ ら に、 国 内経 済 政 策 に対 す る 「基 金 」 の介 入 権 限 も、 不 均衡 を もた らす 国 内 経 済 政 策 に対 す る 「基 金 」 の拒 否 権 か ら、 加 盟 国 は 「基 金 」 の勧 告 を考 慮 す べ き こ とへ と弱め られ て いた。   ホワ イ トとケ イ ンズ との 交 渉 にお け る第1の 問 題 は、 イ ギ リスが 「基 金 」 か ら利 用 可 能 な信 用 量 に満足 しな か っ た こ と にあ った。 しか し、 ほ とん どの 国 が過 渡 的 に為 替 管 理 を継 続 して い る状 況 の も とで は、 ア メ リカ は 「基 金 」 の保 護 を重 視 せ ざ るを え な か った。 実 際、 共 同宣 言 で は3年 間 にか ぎ って為 替 管 理 の 継 続 を認 め た。 これ は、 ホ ワイ トに と って は原 則 の妥 協 で はなか った が、 「世 界 経 済 の過 渡 的 ・長 期 的 な諸 問 題 を処 理 す る 当初 の野 心 的 な プ ラ ンか らの も う1つ の 後 退 」12) を示 す もの で あ った。 第2の 妥 協 は、 稀 少 通 貨 条項(scarce-currency  加 盟 国 に稀 少 通 貨 国(=ア. clause)で. あ り、 これ は. メ リカ)の 輸 出 に対 して 差 別 す る権 利 を認 め る もの で あ った。 そ して. 第3の 妥 協 は、 「基 金 」 の国 内 政 策 へ の介 入 に関 す る もので あ り、 ホ ワ イ トは ア メ リカ 議 会 の反 対 を予 想 しつ つ も、 国 内経 済 の拡 張 を可 能 に させ る手 段 と して の 「基 金 」 の機 能 を重 視 して ケ イ ンズ に歩 み寄 った。 す な わ ち、 一 定 の条 件 で 「基 金」 か ら 自国通 貨 で他 国通 貨(=ア. メ リカ ・ド.

(4) ル)を 購 入 す る こ とを認 め た。   以 上 の よ うに、1944年7月. の ブ レ トン ・ウ ッズ協 定 に結 実 した ア メ リカお よび イ ギ リスの 戦 後. 世 界 経 済 再 編 計 画 は、 確 か にIMFと. 世 銀 を軸 とす る世 界 市 場 の組 織 化 を意 図 した もの で あ り、. 「ニ ュー デ ィー ル の 国 際化 」 とい う 「理 想 主 義」 が前 面 に表 れ た。 そ の た め 、 ア メ リカ議 会 に お け る ブ レ トン ・ウ ッズ協 定 の 批 准 に さ い して は 「修 正 」 を受 け る こ と に な った13)。しか し同 時 に、 この構 想 は当 初 の それ か ら後 退 して、 「基 金」 が戦 後 過 渡 期 の諸 問題 を処 理 す る機 関 と して は無 能 で あ る こ とか ら もま た、 「修 正 」 を 不 可 避 と した。 す な わ ち、 「世 界 銀 行 」 が 保 証 基 金 化 した う え に、 「基 金 」 が 諸 国 の戦 後 復 興 の 加 速 お よび為 替 管 理 撤 廃 の促 進 の た め の 十 分 な 資 金 源 を 持 た な い とい う状 況 の も とで は、 諸 国 の為 替 管 理 撤 廃 まで は、 ドル が 「基 金 」 の利 用 し うる唯 一 の通 貨 とな るか らで あ る14)。.   (3)ブ. レ トン ・ウ ッ ズ協 定 の 「修 正 」.   ブ レ トン ・ウ ッズ協 定 に対 す る ア メ リカ の もっ と も重 要 な 批 判 は、 ニ ュ ー ヨー ク連 邦 準 備 銀 行 副 総 裁 の ウ ィ リア ム ズ(John  Williams)に プ ラ ン(=ア. プ ロー チ)と. よ って提起 された。彼 の代 替案 は 「キ ー ・カ レ ンシー」. して 知 られ るが 、 その 骨 格 はイ ギ リスに ス タ ー リ ングの 国 際 的 役 割 を. 引 き受 け させ る た め に 巨額 の 借 款 を ア メ リカが 提 供 す る こ とで あ った。 つ ま り、 借 款 に よ って イ ギ リス は多 角 的 貿 易 政 策 を 実 施 し、 国 際 的 資 本 市 場 と して ロ ン ドンを 復 活 させ、 ア メ リカ と共 同 して国 際 金 融 秩 序 の共 同 管 理 を 行 お うとす る もの で あ る。 と りわ け、 ロ ン ドン金 融 市 場 は、 双 務 的貿 易 協 定 そ の他 の ナ シ ョナ リズ ム的 政 策 の代 替 物 を 提 供 し、 「避 け難 い戦 後 の ドル 不 足 が ドル 信 用 に よ る貿 易 金 融 を不 可 能 にす る と の認 識 か ら、 ス ター リ ング信 用 は不 可 欠」 で あ る と した 点 が重 要 で あ った15)。   ロー ズ ヴ ェル ト大 統 領 は、1945年1月. に ブ レ トン ・ウ ッズ協 定 法 案 を議 会 に提 出 して早 期 批 准. を要 請 し、 議 会 で の論 戦 が 開 始 され た。 議 会 で は、 ウ ィ リア ム ズ の 「キ ー ・カ レン シー」 プ ラ ン は、 「基金 」 の効 力 を恐 れ た国 際 的銀 行 家 た ち の ロ ビー活 動 に結 びつ き、 ま た 双 務 主 義 を追 求 し て きた国 務 省 の支 持 を も獲 得 す る こと と な った。 彼 らの努 力 は、 世 界 不 況 の再 来 を 懸念 す る世 論 の な か で16)、ブ レ トン ・ウ ッズ協 定 法 の修 正(=「. スペ ンサ ー=ワ. グ ナ ー修 正 法 案 」)と い う形. で財 務 省 と の妥 協 が 成 立 した 。   す な わ ち、 第1の 修 正 は ア メ リカ銀 行 協 会(ABA)と 行(IBRD)の. 財 務 省 との妥 協 で あ り、  IMFと. 世 界銀. ア メ リカを代 表 す る総 務 を 兼 任 させ る こ とで、 両 機 構 の機 能 を 調 和 ・統 合 す る こ. とで あ った。 第2の 、 よ り重 要 な 修 正 は金 融 業界 、 議 会 、 お よ び国 務 省 との妥 協 で あ った。 す な わ ち、 「国 際通 貨 金 融 問 題 に関 す る国 家 諮 問委 員 会(NAC)」. を設 置 し、 ア メ リカ の 対 外 経 済 政. 策 の調 整 と 「国 益 」 の 一体 化 を はか る こ と、 さ らに2つ の機 関(IMF, . IBRD)の. ア メ リカ 代 表. は、 議 会 に直 接 責 任 を 負 う財 務 長 官 、 国 務 長 官、 商務 長 官 、 連 邦 準 備 制 度 理 事 会 議 長 、 お よ び輸 出入 銀 行 総 裁 か らな る 「閣僚 委 員 会=NAC」 連 邦 準 備 制 度 に よ る妥協 案 で あ った。. に よ って支 配 さ れ るべ き こ と とな った    こ れ は、.

(5) そ の他 の 修 正 と して は、 第3に 、 世 銀 に対 して 通 貨 安 定 の た め の長 期 貸 付 の権 限 を与 え る こ と、 第4に 、IMFの. 機 能 を 通 貨 安 定 化 の た め の短 期 操 作 に限 定 す る こ と、 第5に. しア メ リカ に よ る借 款 を 可 能 にす る こ と. 、 協 定 批 准 国 に対. この こ と は、 「キ ー ・カ レン シー ・ア プ ロ ー チ 」 を. 追 求 す る途 を 拓 くもの で あ った17)。こ う した修 正 を 受 けて 、 ブ レ トン ・ウ ッズ協 定 法 案 は1945年 6月7日. に下 院 を通 過 し、 最 終 的 に7月18日. に上 院 を通 過 して 、 ア メ リカ はIMFお. よ び世 銀 へ. の参 加 を決 定 した。. 3.英. 米 金 融 協 定 と アメ リカの 世 界 経 済 再 建 政 策. (1)英 米 金 融協 定 の成 立 1945年8月21日. の ア メ リカ政 府 に よ る武 器 貸 与 法 廃 止 の発 表 は、 イ ギ リス財 政 に深 刻 な打 撃 を. 与 え た。 す な わ ち、 イ ギ リス はア メ リカか らの200億 ドル の武 器 貸 与 、 ス タ ー リ ン グ諸 国 か ら の 140億 ドル の 戦 時 債 務 に加 えて 、 戦 後 復 興 の資 金 調 達 と い う難 問 を抱 え る こと に な った の で あ る。 こ う した状 況 下 で、 イ ギ リス は外 国 貿 易 を 管 理 し、 ま た ス ター リ ング圏 の 結 合 を 強化 す る こ と で これ に対 処 しよ う と した。 しか し、 イ ギ リスの この政 策 は、 英 米 貿 易 を 阻 害 す るだ け で な く、 ブ レ トン ・ウ ッズ協 定 に体 現 され た ア メ リカ の戦 後 世 界 経 済 再 建 構 想 の 実 現 を脅 か す政 策 以 外 の な に もの で もな か った。 ア メ リカ は、 第 二 次 世 界 大 戦 へ の参 戦 前 夜 か らす で に、 イ ギ リス に 対 し て 戦 後 の貿 易 自 由化 構 想 の追 認 を求 め て い た。1941年8月. の大 西 洋 憲 章 の起 草 で は貿 易 自由 化 を. 明 記 させ よ う と し、 ま た武 器 貸 与 基 準 協 定 で は 自由化 原 則 を い っそ う明 確 に規 定 した。 そ して 、 イ ギ リス に ブ レ トン ・ウ ッズ協 定 を批 准 させ、 か っ 「国 際貿 易 機 構(ITO)」. 構 想 を 受 け入 れ さ. せ る こ と に よ って ス タ ー リ ン グ圏 の弱 体 化 、 ドル を基 軸 とす る戦 後 世界 経 済 体 制 の確 立 を意 図 し た ので あ る18)。そ れ ゆ え、 か か る状 況 の打 開 を意 図 して、1945年9月13日. 、 ケイ ン ズ を 団 長 と す. る イ ギ リス代 表 団 の ワ シ ン トン訪 問 に よ って、 英 米 金 融 協 定 交 渉 は ブ レ トン ・ウ ッズ協 定 の批 准 期 限 で あ る12月31日 を睨 み な が ら開 始 さ れ る こ とに な った。 英 米 金 融 協 定(借 款 協 定)は 、1945年12月3日. に最 終 的 に調 印 され た。 こ の協 定 は、 「イ ギ リ. ス ほ ど世 界 貿 易 で 決 定 的 な地 位 を もつ国 は他 に な い」 た め、 「特 別 の ケ ー スで は あ る が 、 しか し ア メ リカ政 府 の対 外 経 済 政 策 の不 可 欠 の部 分 」 と して 位 置 づ け られ た19)。それ は借 款 条 件 に と ど ま らず 、通 商 政 策 や 武 器 貸 与 な ど の清 算 に関 す る取 り決 め を も含 む広 範 な内 容 を含 ん で い た。 まず 第1に 、 武 器 貸 与 の清 算 に関 して は、 対 英 純 債 権200億 ドル を棚 上 げ に して 、 余 剰 軍 事 物 資 の払 下 げ お よ び未 納 入 武 器 貸 与 物 資 の支 払 い と して6億5,000万 側 に義 務 づ け た。 他 方 、 武 器 貸 与 基 準 協 定 第7条. ドル の 返 済 だ け を 、 イ ギ リス. に規 定 した 「国 際 通 商 に お け る差 別 的 措 置 の除. 去 、 関 税 そ の 他 の 障 壁 の削 減 」 を イ ギ リス に再 確 認 させ 、 そ の実 行 を迫 った20)。 第2に 、 対 英 借 款 条 件 を定 め た金 融 協 定 に関 して は、37億5,000万. ドルの 巨額 借 款 を年 利2%で. 、5年. 間 の据 え. 置 き後50年 間 で 償 還 す る こ と を規 定 した。 さ らに、 利 払 免 除 特 例 を盛 り込 む な ど、 当 時 の一 般 的 借 款 条 件 に比 べ て きわ めて 優 遇 して い た。.

(6) しか し、 同 時 に、 戦 後 復 興 期 の イ ギ リス に と って は きわめ て過 酷 な諸 条 件 が盛 り込 まれ て いた。 す な わ ち、 ① 協 定 発 効 後1年 以 内 に、 イギ リス は ポ ン ド地 域 諸 国 との為 替 取 り決 め を完 了 し、 域 内 の ドル ・プ ー ル制 を廃 止 し、 また 域 内 各 国 が 経 常取 引 で取 得 した ポ ン ドや ドル の交 換 性 を 回復 す る こ と(第7条)。. ② イ ギ リス は協 定 発 効 と同時 に、 ア メ リカ か らの輸 入 に 対 す る支 払 い や ア. メ リカ居 住 者 が 経 常 取 引 で取 得 した ポ ン ド残 高 の 使 用 に さ い して、 為 替 管 理 を行 わ な い こ と(第 8条1項)。. ③1946年 以 降 、 アメ リカ か らの輸 入 に対 す る差 別 的 数 量 制 限 を廃 止 す る こ と(第9. 条)。 以 上 にお い て特 に重 要 な 点 は、 イ ギ リス が協 定 発 効 後1年 以 内 に ポ ン ドの 交 換 性 回 復 を義 務 づ け られ た こ とで あ った。 これ は、 莫 大 な戦 時 債 務 を抱 え、 輸 出競 争 力 の低 下 に悩 む イ ギ リス に と って は、 復 興 計 画 が狂 え ば即 座 に通 貨 危 機 に直 面 す る危 険性 を孕 む もの で あ った。 そ して第3に 、 通 商 政 策 に関 して は、 第3条 で は 「本 借 款 の 目的 は、 ア メ リカ に お け るイ ギ リ スの物 資 お よ び サ ー ビス の購 入 を促 進 し、 戦 後 過 渡 期 に お け るイ ギ リス の経 常 収 支 赤 字 の補 填 を 援 助 し、 イ ギ リス の金 ・ ドル準 備 を適 正 な水 準 に維 持 し、 イ ギ リス 政府 が本 協 定 な らび に他 の協 定 に規定 され た多 角 貿 易 の義 務 を果 たす こと を援 助 す る こ とに あ る」 と され た。 さ らに、 ア メ リ カ側 の文 書 「貿 易 と雇 用 の拡 大 に関 す る国 際 連 合 にお け る 国 際会 議 で の検 討 議 案 」(後 の 国 際 貿 易機 構)を. イ ギ リス に基 本 的 に承 認 させ 、 その 実 現 に 向 け て予 備 交 渉 を 開始 す る こと を約 定 さ せ. た21)。これ は 「借 款 を武 器 に イ ギ リス帝 国 の 通 貨 ・通 商 上 の紐 帯 を切 断 し、 ア メ リカ 中 心 の 多 角 的 貿易 体 制 に組 み 込 も う とす る帝 国 主 義 的 」22)なそ れ で あ った。 英 米 金 融 協 定 調 印 の1ヵ 月 後 、 トル ーマ ン大 統 領 は、NACと. の協 議 に も とつ い て 、 財 務 長 官. に当該 協 定 を 実 施 す る権 限 を付 与 す る決 議 案 の 承認 を議 会 に求 め た 。 議 会 で は、 上 院 公 聴 会 が 1946年1月20日. か ら3月 初 旬 にか けて 開催 され、5月10日. した の は7月13日. 上 院 を 通 過 した。 さ らに、 下 院 を通 過. に な って か らで あ り、 よ うや く7月15日 に発 効 す る こ とに な った23)。. (2)ア メ リカ 対 外 政 策 にお ける英 米金 融協 定 の意 義 こ う して成 立 した 英 米 金 融 協 定 の意 義 に つ い て、 わが 国 で は油 井 大 三 郎 氏 と本 間雅 美 氏 と の間 に論 争 が あ る。 油井 氏 は、 当 該協 定 成 立 に お け る 「ソ連 の脅 威 」 を強 調 した。 す な わ ち、 「帝 国 主義 的 世 界 体 制 の 存 続 に不 可 欠 とな った 『対 外 援 助 』 を 自国 民 に承 認 させ る うえ で、 帝 国 主 義 の 純経 済 的 論 理 だ けで は国 民 の 意 識 を動 員 で きず、 反 ソ ・反 共 イ デ オ ロ ギ ー に よ る統 合 が 意 図 的 に はか られ る とい う新 しい問 題 が よ こた わ って い た」 と24)。 これ に対 して、 本 間 氏 は以 下 の よ うに批 判 す る25)。 油 井 氏 の 理 解 の 最 大 の 問 題 は 、 「ア メ リカ の貿 易 自由化 体 制 構 築 の 努 力 が な ぜ この時 期 に反 共 十 字軍 的 な イ デ オ ロギ ー によ り支 え られ な け れ ば、 自己 を貫 徹 しえ な か った の か とい う こと を十 分 に説 きえ て いな い点 に あ る。 後 知 恵 で も っ て 『反共 の論 理 』 を金 融協 定 批 准 論 争 に投 射 して い る点 で、 『冷 戦 神 話 』 の陥 穽 に陥 っ て い る」 と。 そ こで本 間氏 は、 以 下 の よ うに理 解 した。 実 際 、 ア メ リカ議 会 が対 英 借 款 協 定 を議 論 して い た時 期 に、 多 数 の国 が ブ レ トン ・ウ ッズ協 定 を無 視 して、 差 別 的双 務 べ 一 ス で通 貨 ・通 商 協 定 を 締 結 しつ つ あ り、 「双 務 主 義 の 勝利 」 とい わ れ る時 代 が 登 場 して い た。 そ こで 、 ア メ リ カ は 対 英.

(7) 借 款 協 定 お よ び対 欧 州 輸 銀 信 用 供 与 とい った双 務 協 定 を を つ う じて、 ブ レ トン ・ウ ッズ の多 角主 義 原 理 の承 認 と具 体 化 を各 国 に迫 った。 しか し、 こ う した方 式 自体 が 双 務 的 で あ り、 「自 由 ・無 差 別 ・多 角 主 義 」 原 理 の 適 用 方 式 を修 正 す る こ と に な っ た。 す な わ ち、 ブ レ トン ・ウ ッズ の 「多 角 的 多 角 主 義 」 方 式 か ら英 米 金 融 協 定 に代 表 さ れ る 「双 務 的多 角 主 義 」 方 式 へ の方 向転換 で あ り、 グ ロ ーバ ル な 「多 角 主 義 」 方 式 と リー ジ ョナ ル な 「双 務 主 義 」 方 式 の 「混 合 」・「併 存 」 と い うア プ ロ ー チ の追 求 が 過 渡 期 の 「国 際 協 力 」 の存 在 形 態 で あ っ た。 当 初 ので き るだ け一 挙 に 「多 角 的 多 角 主 義 」 を 実 現 しよ う とす る態 度 か ら、 で き るだ け速 や か に 「多 角 主 義 」 を 双 務 的 に展 開 し、 も って 「多 角 主 義 」 を 漸 次 グ ロ ーバ ル化 しよ う とす る、 よ り現 実 的 な 方 向 へ の 転 換 を 意 味 す る も の で あ った 。 と こ ろが 、 牧 野 裕 氏 の 最 近 の 研 究 は、 再 び 「冷 戦 」 の 視 点 に よ る援 助 政 策 理 念 を 強 調 した。 す な わ ち、 「英 米 金 融 協 定 の批 准 は、 ブ レ トン ・ウ ッズ の ア プ ロー チ とは別 の 原 理 に立 つ 戦 後 復 興 や 国 際 通 貨 金 融 問題 へ の ア プ ロ ー チ」 で あ った 。 換 言 す れ ば、 「キ ー カ レ ン シ ー ・ア プ ロ ー チ が 構 想 して いた よ うに、 ポ ン ド圏 を 一 つ の 勢 力 圏 と して 評 価 し、 これ を支 柱 の一 つ と して 戦 後 世 界 経 済 の 再 建 を 図 る、 戦 略 的 な ア プ ロ ー チ を トル ー マ ン政 権 が 選 択 した こ と を 意 味 して い る」。 「1946年5月 の対 仏 借 款 供 与 と対 ソ借 款 交渉 の決 裂 、 そ して英 米 金 融 協 定 の下 院 批 准 論 争 で の ソ 連 封 じ込 め論 に 明 らか な よ うに、1946年7月 ま で に は英 米 同盟 の強 化 、 西 欧 の 優 先 復 興 な ど ソ連 との対 立 的 な 関係 を前 提 と した金 融 援 助 政策 が選 択 され た。 こ う した政 策 展 開過 程 は、 同 時 に、 ソ連 の封 じ込め が新 た な援 助 政 策 の 理念 とな り得 るば か りか更 に そ の必 要 性 を根 拠 づ け る もの で あ る こ とを示 唆 して い た」 と鋤。 本 間氏 は、 こ う した議 論 に は次 の よ うな論 理 を対 峙 さ せ る。 す な わ ち、 米 英 借款 協定 にお いて、 ア メ リカ は対 英 借 款 を 「特 別 の ケ ー ス」 と見 な した が、 そ れ は な ぜ か。 そ の答 え は、 この協 定 に よ っ て ア メ リカ は世 界 貿 易 の95%を 構 成 す る世 界 市 場 に お い て 「自 由 ・無 差 別 ・多 角 主 義 」 を実 現 す る ことが で き るか らで あ った。 つ ま り、 事 実 上 、 世 界 に は な ん らの 「ブ ロ ック」 も存 在 しな いで あ ろ うと い う認 識 が 支 配 的 に な った の で あ る。 換 言 す れ ば、 ソ連 が ブ レ トン ・ウ ッズ協 定 へ の 参 加 を拒 否 し、 「ソ連 ブ ロ ッ ク」 を形 成 ・拡 大 しつ つ あ る とい う状況 下 にお い て は、「英 米 ブ ロ ッ ク」 の形 成 で 対 抗 し、 「限 られ た多 角 主 義 」 を 追 求 す る以 外 に は な い と い う現 実 の 論 理 で あ っ. 他 方 で 、 山 本 栄 治 氏 は、 ア メ リカ の 「国 際 的 信 用 制 度 再 建 の遅 れ か ら くる海外 信用 情 報の不 足、 た27) 海 外 投 資 リス クの増 大等 の た め… 市 場 メ カ ニ ズ ム を通 じて の民 間資本 輸 出を行 う ことがで きな か っ た」 の に対 して、 「イ ギ リス は ア メ リカ の4.5倍 もの国 際 金 融 ネ ッ トワー ク を維 持 し、 資本 輸 出 に 必 要 な 海外 信 用情 報 の収 集 体 制 を も って は い たが 、慢 性 的 な国 際 収 支 赤字 の下 で 資 本 輸 出 能 力 を 大 幅 に低 下 させ て」 い た こ とを 強調 す る。 した が って、 山 本 氏 は明示 して は い な いが 、 当 時 の 巨 額 の ドル不 足 の ギ ャ ッ プを早 急 に埋 め るた め に は、 ア メ リカ は対英 借 款 を含 め た 「巨額 の 公 的 資 本 輸 出」 を行 い、 ま た 「ス ター リン グ圏」 の存 続 を認 知 せ ね ば な らな か った こ と に な る羽)。しか しな が ら、 は た して資 本 輸 出能 力 を 欠 くイギ リスが ア メ リカの4.5倍 もの 国 際 金 融 ネ ッ トワ ー ク.     .

(8) を維 持 した根 拠 は何 処 に あ った の か疑 問 が 残 る と ころ で あ り29)、 事 実 の具 体 的検 出 が ま ず 必 要 と な ろ う。   以 上 の議 論 が 教 え て くれ る こ とは、 英 米 金 融 協 定 は マ ー シ ャル援 助 も含 め て 「ア メ リカ の戦 後                                                                       .                               .. の一 般 的 な対 外 経 済 政 策 を背 景 」30)として い た事 実 を過 小 評 価 す る よ う な、 「冷 戦 体 制 」 に 引 き .  .  .  .  .  .  .                                                                                         .   .  .  .  .  .  .  .  .  .. つ け す ぎ た評 価 、 あ る い は ス ター リング ・ブ ロ ック の解 体 を前 面 に 出 して英 米 間 の対 立 を強 調 し .  .  .  .  .                                                             .  .  .  .  .. す ぎた評 価 も回 避 す べ き こ とで あ ろ う31)。 同 時 に、 現 実 の論 理 を求 め る に は、1945年4月. の ロー. ズ ヴ ェル トか ら トル ー マ ンへ の政 権 交 代 に伴 う財 務 長 官 の モ ー ゲ ン ソ ー か ら ヴ ィ ン ソ ン(Fred Vinson)へ. の交 替 が 、 そ の後 の ア メ リカの 通 貨 外 交 政 策 の主 導 権 を 財 務 省 か ら国 務 省 へ と 決 定. 的 に転 換 させ る契 機 と な った こ と も重 視 せ ね ば な らな い で あ ろ う32)。 まず は、 当該 協 定 の 破 綻 か らマ ー シ ャル ・プ ラ ンの実 施 、 さ らに はEPU創. 設 ま で の ア メ リカ の政 策 を具 体 的 に検 討 す る こ. とが必 要 とな ろ う。. 4.マ. ー シ ャ ル 援 助 とEPUの.   (1)ポ  . 創設. ン ド危 機 と マ ー シ ャ ル 援 助. 1946年7月15日. 、 イ ギ リス 政 府 は 英 米 金 融 協 定 に し た が っ て ポ ン ドの 自 由 交 換 性 の 回 復 を 宣. 言 した 。 しか し、 翌1947年8月20日. に は、 ドル 準 備 の 大 量 流 出 を 招 く と い う ポ ン ド危 機 に 直 面 し. て33)、イ ギ リス は 再 び 自 由 交 換 性 を 停 止 し、 ドル 地 域 か ら の 輸 入 制 限 の 実 施 に 追 い 込 ま れ る こ と に な っ た 。 対 ドル 圏 貿 易 赤 字 に 陥 っ た ス タ ー リ ン グ 圏 諸 国(と. く に イ ン ド と エ ジ プ ト)が. ロン ド. ンの ポ ン ド残 高 を 引 き 出 した た め で あ っ た    世 界 各 国 ・各 地 域 の 金 お よ び ドル ・バ ラ ン ス の 変 化 に つ い て は 、 図1お W.Snyder)財. よ び 図2を. 参 照 。 こ の ポ ン ド危 機 の 発 生 に つ い て 、 シ ュ ナ イ ダ ー(John. 務 長 官 は ダ ル ト ン(Rt.  Hon.  Hugh . Dalton)英. 大 蔵 大 臣へ の手紙 の なか で、. 「多 角 的 決 済 制 度 の 再 建 に と も な う当 然 の 危 難 」34)と見 な して は い た が 、 ア メ リ カ の 構 想 す る 為 替 管 理 の 撤 廃 、 貿 易 自 由 化 が こ の 段 階 で は き わ め て 困 難 で あ る こ と を も知 ら し め た35)。   交 換 性 停 止 後 の ポ ン ドの ポ ジ シ ョ ン は 、 ブ レ ト ン ・ ウ ッ ズ 機 関(IMF, . IBRD)で. は な くマ ー. シ ャ ル援 助 に よ っ て 支 え ら れ た 。 マ ー シ ャ ル ・プ ラ ン は 、 短 期 的 に は 、 ヨ ー ロ ッパ と西 半 球 と の 間 の 不 均 衡 を 取 り除 く の に 十 分 な 生 産 を ヨ ー ロ ッパ に 促 す と と も に、 長 期 的 に は、 イ ギ リス の リー ダ ー シ ッ プ に よ っ て ソ連 の 圧 力 を 抑 え て 、 「多 角 主 義 」 的 に 統 合 さ れ た 「ヨ ー ロ ッパ 共 同 体 」 を 建 設 す る こ とを 目的 と して い た。   1947年 の ポ ン ド危 機 は 為 替 、 と り わ け ポ ン ド為 替 を 調 整 す る と い うIMFの. 基本 的機能 を問題. に した が 、 こ う し た 方 向 へ の 行 動 は な か っ た 。 さ ら に 、 ヨ ー ロ ッパ 問 題 に 対 す るIMFの は1948年4月5日. の い わ ゆ る 「ERP決. 定 」 に よ って厳 格 に制 限 され 、  IMFは. 画 参 加 諸 国 に は融 資 し な い こ と を 合 意 し た 。 そ こ で 、IMFの Head  of the  Fund's  Paris  office;Maurice  Dept.)は. Parsons, . ヨ ー ロ ッパ 復 興 計. 一 部 の ス タ ッ フ(Robert  Director  of  the  Fund . 、 「多 角 決 済 を 可 能 に す る た め に 信 用 を 供 与 す るIMFの. 関 わ り. Triffin, Operation. ヨー ロ ッパ 版 を創 設 す る こ と.

(9) を 企 て 」 さ え し た36)。実 際 、 国 務 省 と マ ー シ ャ ル 援 助 の ワ シ ン ト ン を ベ ー ス と す る 調 整 機 関 で あ る経 済 協 力 局(Economic . Cooperation . Administration:ECA)は. 、 ヨ ー ロ ッパ 内 貿 易 を 維 持. す る た め に 欧 州 復 興 援 助 資 金 を 使 用 す る 必 要 性 を 承 認 し た37)。イ ギ リ ス の 金 お よ び ドル 準 備 は 1949年9月. 以 降 に 急 増 す る が 、 そ れ は ドル 圏 か ら の 輸 入 に対 す る規 制 、 ス タ ー リ ン グ 圏 の ド ル 収. 益 の 増 加 に 加 え て 、 マ ー シ ャ ル ・プ ラ ン に も と つ い てECAか. ら配 分 さ れ た 援 助 の 全 額 を 通 貨 準.

(10) 備 に加 え る こ とが で きた か らで あ った38)。   しか し、1949年 の第2四 半 期 に は、 ア メ リカ の経 済 成 長 率 の停 滞 の リア ク シ ョ ン と して、 イ ギ リス の 国 際収 支 赤 字 は再 び 問題 を 提 起 し、 ア メ リカ財 務 省 のIMF代. 表 は ポ ン ド平 価 の 切 下 げ を. 表 明 した。 ア メ リカ に と って は、 イギ リス の一 時 的 困 難 は1つ の好 機 で あ っ た。 イ タ リア や フ ラ ンス な どに よ る為 替 管 理 強化 の要 請 に対 して鋤、 ヨー ロ ッパ に お け る決 済 の 自 由化 は ヨ ー ロ ッパ 諸 国 全 体 の 平 価 切 下 げ に依存 す る と考 え られ て い た。 しか し、 イ ギ リスが そ の ネ ッ ク とな って い た。 イギ リス は、 価 格 ・賃 金 統 制 に もとづ く国 内 の イ ン フ レ圧 力 が最 重 要 課 題 で あ る とみ て、 平 価 切 下 げ に はIMF脱. 退 を もち らつ か せ て反 対 した が、 最 終 的 に は、 ク リ プ ス 蔵 相 に替 わ る代 理. の 出 席 の もと で イ ギ リスの 平 価 切 下 げが 決 定 され た。 そ して、 ヨー ロ ッパ 諸 国 と ス タ ー リン グ諸 国 が そ れ に続 く こ とに な った40)。.   (2)EPUの. 創設.   イ ギ リス の 平 価 切 下 げ は 、 しか し、 為 替 お よ び 貿 易 の 規 制 緩 和 に は 向 か わ な か っ た 。 反 対 に、 イ ギ リ ス を 「欧 州 決 済 同 盟European . Payment . Union:EPU」. へ の 加 盟(1950年)へ. と導 く こ. と に 帰 結 し た 。 そ し て ま た 、 全 て の ス タ ー リ ン グ地 域 は単 一 の 多 角 的 決 済 制 度 の な か で マ ー シ ャ ル 援 助 諸 国 と リン クされ る こ と に な った。   EPUは 月19日. 、 欧 州 諸 国 通 貨 の 交 換 性 停 止 の も と で の 貿 易 ・決 済 の 困 難 を 克 服 す る た め に 、1950年9 に 締 結 さ れ た 協 定(Agreement . for the Establishment . に も と つ い て 創 設 さ れ 、 欧 州 経 済 協 力 機 構(OEEC)加. 盟18力. of European  国(同. 年11月. Payment . ス イ ス も 加 盟)が. 加 し た 。 そ の 起 源 は 、 イ ギ リ ス の 通 貨 交 換 性 回 復 が 失 敗 し た 後 に、1947年11月18日 フ ラ ン ス 、 イ タ リア 、 ル ク セ ン ブ ル グ 、 オ ラ ン ダ の5力. に第 一 次. 積 極 的 支 援 は え ら れ な か っ た41)。そ の 後 、 双 務 主 義 の 積 極 的支援. 「ヨ ー ロ ッパ 間 決 済 お よ び 相 殺 協 定 」 が 、 そ し て1949年9. 月 に は 第 二 次 協 定 が 締 結 さ れ 、 最 終 的 にEPUの   EPUは. に ベ ル ギ ー、. ドル に の ぼ る ア メ リ カ の 拠 出 金 の. 復 活 を 阻 止 しつ つ ヨ ー ロ ッパ の 復 興 と 通 貨 交 換 性 へ の 第 一 歩 と し て 見做 し たECAの の も と に42)、1948年10月16日. 参. 国 に よ っ て 署 名 さ れ た 「第 一 次 多 角 的 通. 貨 相 殺 協 定 」 に 湖 る こ と が で き る 。 し か し、 こ の 段 階 で は30億 増 加 を 懸 念 し て 、 ア メ リ カ お よ びIMFの. Union). 、 い わ ば 「国 際 決 済 銀 行(BIS)」. 創 設 へ と帰 結 し た43)。. と い う瀕 死 の 欧 州 国 際 機 関 を 復 活 さ せ て 、 ヨー ロ ッ. パ に お け る 経 常 取 引 の 手 形 交 換 所 の 機 能 を 果 た そ う と す る も の で あ っ た 。 具 体 的 に は 、EPUは 双 務 的 な 純 債 権 ・債 務 を 多 角 的 に 相 殺 し、 そ の 交 換 尻 をEPUに そ してEPUと. 加 盟 国 と の 決 済 に あ た っ て は 、 ク オ ー タ(quota:割. 対 す る 純 債 権 ・債 務 に 転 換 し た 。 当 額)に. 対 す る累 積 純 債 務. の 比 率 が 上 昇 し た と き に は 金 ・ ドル 決 済 の 割 合 を 段 階 的 に 増 加 さ せ る こ と で 、 赤 字 国 に 節 度 を 求 め る もので あ った。   EPUの. 創 設 ・運 営 に つ い て の ア メ リ カ と ヨ ー ロ ッパ の 思 惑 は 、 しか し な が ら、 必 ず し も 一 致. して い た わ け で は な か っ た 。EPUの. 幹 部 た ち に と っ て は 、 「BISは 多 角 主 義 と ア メ リ カ の 干 渉 を. 回 避 す る 手 段 と して 出 現 」 し た 。 他 方 、 ア メ リ カ で は 、 国 務 省 はEPUを. ヨ ー ロ ッパ の政 治 的 安.

(11) 定 を強 化 す る もの と して評 価 して い たが 、 財 務 省 とIMFは. 「当 初 は、  EPUを. 私 的 イ ニ シア チ ブ、. 自 由貿 易 政 策 、 競 争 とい うア メ リカ の原 理 を否 定 す る もので あ り、 強 さ と安 定 は統 制 や施 しや救 済 に よ っ て達 成 さ れ は しな い と見 て い た」44)。 こ う した理 解 は、 国 連 食 糧 農 業 機 構(FAO)に る 「国 際 商 品 決 済 所International  Commodity . Clearing House:ICCH」. よ. 創設 案 の拒絶 に明確. に示 さ れ て い た。 この プ ラ ンは、 通 貨 交 換 性 を もつ国 が 余 剰 農 産 物 を為 替 管 理 国 に輸 出 し、 そ の 為 替 管 理 国 は 自国 通 貨 でICCHに. 支 払 い、  ICCHは. 輸 出国 通 貨 が 交 換 性 を回 復 す る ま で輸 出 国 の. 勘 定 と して保 有 す る とい う もの で あ っ た。 だ が、NACは. 、 こ う した為 替 管 理 ・食 糧 輸 入 国 に対. す る ドル援 助 機 関 の創 設 は、 「不 換 通 貨 」 の 累積 を い っそ う助 長 し、 また 「交 換 性 の 確 立 に と っ て著 しい抑 止 力 」 とな る と して、 反 対 を表 明 した の で あ っ た45)。   しか し、EPUの. 創 設 に関 して は、  ECAは. この よ うな ス タ ンス は と らなか った。  ECAは. 、 マー. シ ャル援 助 を 「ヨー ロ ッパ 内貿 易 の た め の決 済 メ カ ニ ズ ム の運 営 を促 進 す る ため に使 用 す る こ と」 を認め 、 同時 に、EPUを. 「双 務 貿 易 を多 国 間 貿 易 に置 き換 え」、 「ヨ ー ロ ッパ の 復 興 を促 進 す る. プ ログ ラム の一 部 」 と して認 め ざ る を え な か った46)。EPUを 国 際 通 貨 体 制 構 築 の た め の第 一 歩 と して見做 した に して も、 しか しECAは. 、 そ れ が本 質 的 に は双 務 的 性 格 の もので あ り、 自動 的 に. 多 角 的決 済 へ と移 行 す る もの で は な いか ら、 以 下 の3つ の条 件 を も っ と も本 質 的 な前 提 と して重 視 した。 す な わ ち、 ① 国 内通 貨 お よ び金 融 の安 定 、 ② 現 実 的 な為 替 相 場 の採 用 、 そ して ③ 一 定 の 通 商 政 策 へ の追 従 で あ る47)こ れ らに加 えて 、 「関 税 また は経 済 同 盟 の 創 設 」、 「外 国 為 替 準 備 の プ ー ル」、 「国 内投 資 政 策 の効 果 的 な協 調 」 な ど の諸 政 策 を も強 化 す べ き こと を指 摘 した48)。   こ う して、NACも. ま た そ の報 告 書 の なか で、 つ ぎ の よ うに述 べ てEPU創. 設 を支 持 した。 す な. わ ち、       「そ の提 案 〔ECAに よ るEPU創. 設 案 〕 を検 討 した結 果 、 当評 議 会 は、 提 案 され た同 盟 の.     創 設 に よ って、 そ の活 動 が 合 衆 国 お よ び他 のIMF加. 盟 国 諸 政 府 が負 う責 務 と衝 突 す る こ と.     は な く、 ま た提 案 さ れ て い る地 域 的 べ 一 ス で の同 盟 の創 設 が 、 当該 同盟 の他 の メ ンバ ー の進     行 の度 合 い とは独 立 して、 ど の参 加 国 もま た ど の参 加 国 グ ル ー プ を も可 及 的 速 や か に通 貨 の     交 換 性 と経 済 的統 合 に移 行 す る こ と を妨 げ る もの で もな い と見做 した」49)と。.  (3)EPUと. ブ レ トン ・ウ ッ ズ体 制.   マ イ ク セ ル(Raymond . F. Mikesell)に. よ る初 期 の研 究 は、  EPUと. ア メ リカの 構 想 との 関 係. を以 下 の よ うに見 て い た。 す な わ ち、       「EPUお よ び ス ター リ ング圏 に よ っ て代 表 さ れ る多 角 的 決 済 制 度 が ドル 圏 を 含 む 世 界 的    規 模 の制 度 に統 合 さ れ るか 否 か 、 あ る い は そ れが 多 か れ 少 な か れ、 恒 久 的 な管 理 通 貨 ブ ロ ッ     ク(soft-currency  bloc)に な るか否 か は、 国 際経 済 情 勢 全 般 と加 盟諸 国 が 採 用 す る政 策 に    依 存 す る。 …私 見 で は、 世 界 大 の多 角 的 決 済 制 度 を促 す 手 段 と して、 ア メ リカ に は2つ の行    動 指 針 が あ る。 つ ま り、 ① ス タ ー リ ング の交 換 性 回 復 の た め、 イ ギ リス に対 す る激 励 と金 融    援 助 を提 供 す る こ と。 ② 貿 易 収 支 が 、 あ る程 度 の信 用 額 が 枯 渇 した後 に金 で 全 額 が 決 済 さ れ.

(12) る制 度 に徐 々 に移 行 す る こと を条 件 に、EPUに ア メ リカ の 国 際 通 貨 構 想 か らみ て も、EPUと IMF体. 対 す る支 持 を継 続 す る こ とで あ る」 と50)。 イ ギ リス の 関 係 を説 き 明 か す こ とがEPUと. 制 との関 係 を理 解 す る1つ の重 要 な鍵 とな るで あ ろ う。 マ イ ク セ ル は そ の 後 の 研 究 の な. か で 、 そ もそ もEPU構. 想 は国 際 通 貨 と して の ス ター リング に対 す る1つ の脅威 の あ らわれ で あ っ. た こ とを指 摘 した。 す なわ ち、 戦 後 イ ギ リス は ドル 圏以 外 の世 界 に交 換性 通 貨 た る ポ ン ドを拡 大 しよ う と した が、 これ を脅 威 と したEPU構. 想 諸 国 は ロ ン ドンに保 有 す るポ ン ド残 高 の移 転 に よ っ. て で はな く、 「双 務 的 バ ラ ン スの 決 済 に も とづ く多 角 的 シ ス テ ム」 を ヨー ロ ッパ 内 に創 出 す る こ とを 計 画 した51)。 これ に対 して イ ギ リス は、 対 ヨー ロ ッパ貿 易 の増 加 傾 向 に もか か わ らず これ を重 視 す る こ とは せ ず 、 対EPU関. 係 にお いて も、 む しろ ポ ン ドの国 際 通 貨 と して の 再 復 活 に重 き を お い た52)。そ. れ ゆ え、 イ ギ リス はEPU構. 想 に対 して、 以 下 の4つ の留 保 条 件 を提 示 した。 す な わ ち、 ①EPU. が 唯 一 つ の決 済 通 貨 と な る こ とは国 際 通 貨 と して の ス タ ー リ ン グの地 位 を破 壊 す る こと、 ②1年 を 超 え るバ ラ ンス の金 決 済 は か っ て の厳 格 な金 本 位 制 を想 起 さ せ る こ と、 ③ 金 流 出国 に対 す る輸 入 規 制 に差 別 待 遇 す る権 利 を留 保 す べ き こ と、 ④ 加 盟 国 の国 内政 策 に介 入 す る よ うな強 大 な権 限 をEPUに. 付 与 す べ きで は な い こと。 結 果 的 に、 イ ギ リス は ス ター リン グに 「特 別 な地 位 」 を 与. え る よ う示 唆 した ので あ っ た53)。 確 か に、 ア メ リカ もま た西 ヨー ロ ッパ 諸 国 も、 ス タ ー リ ン グ が 実 際 に はEPU計. 画 の なか で. 「特 別 な地 位 」 にあ る こ とは認 識 して い た。 す なわ ち、 ヨー ロ ッパ 諸 国 に よ っ て ポ ン ドは広 く決 済 ・準 備通 貨 と して 利 用 され 、 した が って相 当額 の ポ ン ドが 蓄 積 さ れ て い たか らで あ った。 他 方 で 、 イ ギ リス もま た、 対 外 準 備 が危 機 的水 準 に低 下 して ス タ ー リン グ圏解 体 の危 機 に瀕 し、1949 年 の ポ ン ド平 価 の切 下 げ後 は 国 際通 貨 と して の信 頼 性 も低 下 して い た か ら、 当初 の拒 絶 の姿 勢 の み を貫 くこ とは現 実 的 で は な か った54)。この た め イ ギ リス は、 ポ ン ドをEPU内 して認 め る こ とを条 件 とす る、 限定 的 なEPU計. で の決済 通 貨 と. 画 へ の参 加 を提 案 した。. ア メ リカお よ び西 ヨー ロ ッパ諸 国 は、 当初 は双 務 的決 済 協 定 の主 旨 に反 す る と して イ ギ リス の 提 案 を拒 絶 した。 しか し、 ア メ リカ は マ ー シ ャル援 助 を挺 子 と す る ヨー ロ ッパ 経 済 の再 建 と い う 目的 を達 成 す るた め に は、 ヨー ロ ッパ 間貿 易 決 済 の障 壁 を除 去 す る こ とが不 可 欠 で あ り、 ま た イ ギ リスお よび ス ター リング圏 をEPUに. 包 摂 して イ ギ リス に そ の役 割 を果 た さ せ る こ と が 必 要 で. あ る とみ た55)。 実 際 、 そ の後 の交 渉 過 程 で は、 イ ギ リス は ポ ン ドがEPU内 を増 大 させ る こ とに も、 ま たEPUを. で の 「特 別 な 地 位 」. 通 じて金 流 出 な しに信 用 を拡 大 す る と い う希 望 を も放 棄 せ. ざ る をえ な か った。 しか しな が ら、 イ ギ リス は1億5,000万. ドル の 援 助 に加 え て 、EPU加. 盟 国が. ポ ン ドを 準備 通 貨 と して 利 用 し、 ま た ポ ン ド残 高 を純 債 務 ポ ジ シ ョ ンに陥 っ た と き に利 用 す る こ とは み とめ られ た56)。これ に よ って、EPUは 当初 、EPUとIMF(ま. イ ギ リス の意 図 に か な り適 した形 に編 成 され た。. た ア メ リカ財 務 省)と. は対 立 的 関 係 に あ った。 多 角 主 義 に よ って あ る. い は ユ ニバ ー サ ル に為 替 管 理 を緩 和 し通 貨 の交 換 性 を回 復 しよ うと す るIMFと 務 的 ・地 域 的 な性 格 はIMFの. って 、EPUの. 双. 目的 に反 す る もの で あ った。 ま た、 ヨー ロ ッパ 経 済 の 再 建 を 目的.

(13) と す る マ ー シ ャ ル 援 助 やEPUと と して のEPUの. は 異 な り、IMFに. 重 要 性 の 増 大 は 、IMFの. しか し、 こ う したIMFとEPUと. 存 在 意 義 を も脅 か し か ね な い も の で あ っ た57)。. の 関 係 は 、1952年. の 直 接 的 な 契 機 は、 ベ ル ギ ー に 対 す るIMFの5,000万 た 。1950年. 代 初 頭 に 、 ベ ル ギ ー はEPUに. を カ バ ー す る た め に は 、 ベ ル ギ ー はIMF借. EPU   . ま で に は急 速 に好 転 した。 両 者 の関 係 好 転 ドル の ス タ ンバ イ ・ク レジ ッ トの 供 与 で あ っ. 巨 額 の 債 権 を 累 積 さ せ て い た が(表1を. し、 ドル 諸 国 に は赤 字 で あ っ た 。 す な わ ち 、EPUは. の で あ る。 こ の ため1951-52年. は そ の用 意 はな か った。 そ れ ゆ え、 国 際 機 関. 参 照)、. しか. ベ ル ギ ー の信 用 に依 存 して い た た め 、 これ. 款 に頼 ら ざ る を え な い と い う 状 況 が っ く り だ さ れ た. に 、 ア メ リ カ と カ ナ ダ がIMFの. を 批 判 し た 。 そ こ で ベ ル ギ ー は 、1952年2月. のIMF借. 場 で ベ ル ギ ー     した が って 、 款 の 条 件 と し て 、 「規 制 の 最 小. 限 の 行 使 と い っ そ う の 交 換 性 回 復 の 努 力 は ベ ル ギ ー の 恒 久 的 目 標 で あ る」58)こ と を 約 束 せ し め ら れ 、 も っ て そ の 後 のIMFの IMFに. 対EPU政. 策 の ス タ ン ス を 確 立 せ しめ る こ と に な っ た 。. よ る 対 ベ ル ギ ー 借 款 を 契 機 と し て 、IMF・. 的 に は1958年. のEPUの. 解 散 、IMF8条. ア メ リカ とEPUと. の 関係 は修 復 され 、 最 終. 国 へ の 移 行 を 導 く こ と に な る。 ハ ロ ル ド ・ ジ ェ イ ム ズ に.

(14) よ れ ば 、IMF(=米 動 化 原 則(the . 国)とEPUの. 関 係 修 復 はIMFを. principle  of automaticity)」(=市. (discretionary  approach)」. 構 想 し た グ ロ ー バ リ ズ ム の 要 で あ っ た 「自 場 メ カ ニ ズ ム?)が. 「裁 量 主 義 ア プ ロ ー チ. に 取 っ て 代 わ ら れ た こ と を 示 した 。 こ れ に 加 え て 、 欧 州 復 興 計 画 に. よ る ア メ リ カ の 公 的 援 助 が 民 間 資 本 移 動 を 再 開 さ せ 、 さ ら に はEPU解. 体 を 導 い た の で あ り、 こ. れ は 「国 際 主 義 と 多 角 主 義 の 原 則 の 勝 利 」鋤 に 帰 結 し た 。 ま た 当 時 、 ア メ リ カ 国 務 省 の 対 外 援 助 ス タ ッ フ と してECAに はEPUの. 5.小. 所 属 した カ プ ラ ン(Jacob . J. Kaplan)は. 、  IMFの. 国際経済協 調 の考 え. も と で は じ め て 達 成 さ れ た こ と を 指 摘 し て い る60)。. 括.  最 後 に、 戦 時 期 か らEPU諸. 国 の為 替 管 理撤 廃 ま で の 戦 後 十数 年 間 に お け る ア メ リカ の 国 際 通. 貨 金融 政 策 を振 り返 って み れ ば、 英 米 の銀 行 家 らによ る強 力 な 批 判 に もか か わ らず 、 ホ ワ イ トや ケ イ ン ズ に よ る当 初 の構 想 の重 要 な部 分 が ブ レ ト ン ・ウ ッズ協 定 に反 映 され た こ とを想起 させ る。 と りわ けIMFと. い う国 際機 関 を媒 介 と して 、 国 家 はあ らゆ る資 本 移 動 に対 す る権 限 を 明 示 的 に. 付与 され、 また投 機 的 ・均 衡 破 壊 的 な短 資 移 動 に対 す る為 替 管 理 の 行 使 も許容 され た こと に注 目 す べ きで あ ろ う。 と こ ろが研 究 史 の多 くは、 当 初 の 「ニ ュ ー デ ィール 」 的 構想 か らの後 退 を 強調 し、 「多 角 的 」 ア プ ロー チか あ る い は 「双務 的」 ア プ ロー チ か とい った論 争 に の め り こん で し ま い、1930年 代 か ら戦 時 中 の 激変 を へ て英 ・米 ・仏 な ど の主 要 国 で 合 意 され た 国 際金 融 秩 序 が ブ レ トン ・ウ ッ ズ協 定 に継 承 され た側 面 を過 小 評 価 して しま った。   マ ー シ ャル 援 助 とEPUの. 創設 ・展 開 は金 ・ ドル決 済 の比 率 を 漸 進 的 に 高 め る こ とで 、 参 加 各. 国 通 貨 の 交 換 性 回 復 を段 階 的 に推 し進 め る こと に な っ た61)。 戦 後 の混 乱 期 にお け る貿 易 や 通 貨 の 統 制 が む しろ拡 大 しつ つ あ る状況 下 で は、 こ う した ヨー ロ ッパ 域 内 にお け る多 角 的決 済 の促 進 と 貿 易 ・決 済 にお け る統 制 の 緩 和 こそ が マ ー シ ャル援 助 、 した が ってEPU創. 設者 た ちの構想 を導. いた の で あ っ た62)。   した が って 、 ブ レ トン ・ウ ッズ構想 に お い て、 貿 易 の 自 由化 を促 す た め に金 融 は国 際 的 に組 織 化 され ね ば な らなか った とす るな らば63)、  EPUの 線 上 に あ っ た こと に な ろ う。EPUは. 創 設 とIMFに. よ る そ の包 摂 は 同 じ軌 道 の 延 長. マ ー シ ャル援 助 の帰 結 で あ り、 と もに ア メ リカ に よ る戦 後. 世 界 経 済 の再 建 構 想 の産 物 で あ っ た。 ブ レ トン ・ウ ッズ が上 に み た意 味 で第1の パ ラ ド ック スで あ っ た とす れ ば、 そ の成 功 と して の ヨー ロ ッパ と 日本 の経 済 復 興 は第2の パ ラ ドック スであ った。 しか しそ の時 に は もはや 、 ア メ リカ に と って は そ れ ま で とは異 な り、 ブ レ トン ・ウ ッ ズ は有 益 で も国民 的 利 益 で もな くな って い た64)。. [附記]  本稿 は、平成7年 度文部省科学 研究費 ・総合研究A(「 第二次大戦後 ヨーロ ッパ経済 の再 建 と統 合 一 『ヨーロッパ共同体』形成過程の研究一 」、課題番号06301072、 研究代表者 森建 資)に よ る研究 成 果の一 部であ る。.

(15) 注 1)多. 数 の 研 究 の 中 で,古.     Sterling-Dollar      Order, . New . 典 的 位 置 を 占 め る も の と し て は,以. Diplomacy:The  York,1969, . Origins .     Washington,     大三郎. and  the Prospects . r  ed.1956(村.     経 済 新 報 社,1973年);J,K. .     Economic  2)Alan . The  International . Schild, . and Political . S. Milward, .     Bretton . Postwar . Bretton . Woods . Woods-GATT . Monetary . and . 野裕. Woods . Planning . The  Reconstruction .     Kaplan,"Bretton . of Our  lnternational . Fund . Economic. 1945-65,3 . た 冷 戦 体 制 史 に 関 す る 最 近 の 研 究 と し て は,以. 『戦 後 世 界 秩 序 の 形 成 」 東 京 大 学 出 版 会,1985年;牧.     の 水 書 房,1993年;Goeorg . N.  Gardner,. 野 孝 ・加 瀬 正 一 訳'『 国 際 通 貨 体 制 成 立 史 』 上 ・下 巻,東. Horsefield, . D.  C.,  IMF,1969.ま. 下 の 研 究 が あ る 。Richard . European . and Dumbarton . Oaks:American. 1944,  London,1995.. Europe . 1945-51,  London,1984;Jacob . Reconstruction,"in:Orin . System:Retrospect . vols.,. 下 を参 照 。 油 井. 「冷 戦 の 起 源 と ア メ リ カ の 覇 権 』 御 茶. in the  Summer of. of  Western . 洋. and  Prospect . J.. Kirshner . after  Fifty . ed.,  The. Years, . New . York,.     1996,pp.143-151. 3)Harold . James,"The .     Barry . IMF . Eichengreen . 4)本. 間雅美. 5)こ. の 点 で は,ホ. and  the Creation . ed., Europe's . ー ガ ン の 研 究(Michael  of  Western .     括 的 で あ る 。 し か し彼 は,ア     187),課. Univ.  Press,1995, . J. Hogan, . The  Marshall . Europe,1947-1952, . p.94.. 章,p.13. Plan:America, . Cambridge . Britain, . Univ.  Press,1987)が. and. よ り包. メ リカ は対 ヨ ー ロ ッ パ 政 策 の 全 体 像 を 構 築 で き な か っ た と 見 て お り(p.. 時期 以 降 の ア メ リカ.     プ ラ ン を 把 握 す る 。 ま た,1934年     再 編 政 策 に つ い て は,萩. 原伸次郎.     ミア 』85号,1985年,を. 参照。. 下,戦. 「戦 後 世 界 構 想 の 最 終 帰 着 点 」(p.288)と. して マ ー シ ャ ル ・. 創 設 の ワ シ ン ト ン輸 出 入 銀 行 を 中 心 と す る ア メ リ カ の 戦 後 世 界 経 済 の 「戦 後 ア メ リ カ 資 本 主 義 と恐 慌(4》」,横. 時 期 の 再 建 構 想 に つ い て は,本.     び 第1章. 間雅美. 浜 国立 大学 経済学 会. 『エ コ ノ. 『世 界 銀 行 の 成 立 と ブ レ ト ン ・ ウ ッ ズ 体 制 』,序. 章 お よ. を参 照 。. の 認 識 は,三.     M.Blum, . 国 通 貨 協 定 締 結 の さ い に ロ ー ズ ヴ ェ ル トお よ び モ ー ゲ ン ソ ー に よ っ て 共 有 さ れ た 。John. From .     p.162.ま. た,須. the Morgenthau . 藤功. 間雅 美. Diaries, . Years . of Crisis,1928-1938, . 「1930年 代 の 国 際 連 盟 と 国 際 通 貨 協 調 」,藤 瀬 浩 司 編.     古 屋 大 学 出 版 会,1994年,第5章 8)本. Cambridge . System,1944-58,"in:. 題 は 残 さ れ て い る。 紀 平 英 作 氏 の 最 新 の 包 括 的 研 究(「 パ ク ス ・ ア メ リ カ ー ナ へ の 道 』 山 川 出.     版 社,1996年)は,戦. 7)こ. Recovery, . Woods . 『世 界 銀 行 の 成 立 と ブ レ ト ン ・ ウ ッ ズ 体 制 』 同 文 館,1991年,序.     the Reconstruction . 6)以. Post-war . of  the  Bretton . Mass.,1938,. 「世 界 大 不 況 と 国 際 連 盟 』 名. も参 照 。. 「世 界 銀 行 の 成 立 と ブ レ ト ン ・ ウ ッ ズ 体 制 』,p.35.さ.     Economic . Boston, . Warfare:BEA)に. よ る 構 想 も あ っ た 。 こ れ は,各. ら に,戦. 時 経 済 局(Board . of. 国 の 完 全 雇 用 政 策 に 優 先 権 を 与 え,世.     界 中 の 民 衆 の 生 活 水 準 の 向 上 と 国 民 経 済 計 画 化 機 構 を 主 内 容 と す る 「世 界 の た め の ニ ュ ー デ ィ ー ル 」 を     実 施 し よ う と す る も の で あ っ た 。 しか し,「 世 界 的 な た わ ご と 」 と し て 葬 り去 ら れ た(同,p.22)。 9)Fred . L.  Block, . The  Origins .     States  International      California . Press,1977, . of  International . Monetary . Policy . pp.43-44.本. from . 間雅美. Economic  World . War . Disorder:A . Study . II  to  the  Present, . of  United Univ. . of. 『世 界 銀 行 の 成 立 と ブ レ ト ン ・ ウ ッ ズ 体 制 』, p.56も. 参.   照。 10)Fred . L  Block, .     い て は,本 11)本. 間雅美. 間雅美. The  Origins . of lnternational . Economic Disorder, . 『世 界 銀 行 の 成 立 と ブ レ ト ン ・ウ ッ ズ 体 制 』,第2章. 『世 界 銀 行 の 成 立 と ブ レ ト ン ・ウ ッ ズ 体 制 』,pp.37-38.し.     提 に して,英. pp.44-46.詳. しい経 緯 に つ. を参照。 か し,多. くの研 究 は後 の出 来 事 を前. 米 の 再 建 構 想 を 対 立 的 に 描 き す ぎ て い る 。 「財 務 省 高 官 等 に と っ て,ブ. レ トン ・ウ ッ ズ は.     戦 後 に お け る ソ 連 ・イ ギ リ ス 両 国 と の 継 続 的 な 協 力 の た め の 経 済 的 基 盤 で あ っ た 」(Alfred      Jr.,  A  Search . for  Solvency: . Bretton . Woods . and . the  International . Monetary . E.  Eckes, System,.

(16)     1941-1971,Univ.  12)Fred  13)本. of Texas . L.  Block, . 間雅美. Press,1975, . The  Origins . p. xi)0. of International . Economic . Disorder, . p.49.. 『世 界 銀 行 の 成 立 と ブ レ ト ン ・ ウ ッ ズ 体 制 』,p.135.. 14)Fred . L.  Block, . The  Origins . of International . Economic . Disorder, . p.52.. 15)Fred . L.  Block, . The  Origins . of International . Economic . Disorder, . p.52.山.     通 貨 の 交 替 と ドル 』,有 斐 閣,1988年,第5章)に. よ れ ば,「. ドル 不 足 」 が 予 想 さ れ る 状 況 で は,ア.     カ 以 外 に 国 際 流 動 性 を 供 給 す る 途 は な く,「 基 軸 通 貨 制 」=「     替 相 場 制 は 機 能 し な い 。 しか し,ド     け れ ば な ら な か っ た 。 さ ら に,基. 軸 通 貨 ドル の 成 立 に は,各.     府 の 海 外 軍 事 支 出 ・援 助 と い う 第2の     ル ー ト,と 16)下. 基軸 メ リ. ドル本 位 制 」 を 前 提 と し な け れ ば 固 定 為. ル は す ぐ に 基 軸 通 貨 と は な ら な い た め,ド.     局 が 基 軸 通 貨 ドル を 国 際 機 関 を 通 じて 介 入 す る 第1の. 本 栄 治 氏(「. ル に金 交 換 性 を 付 与 しな. 国 の ドル 平 価 を 維 持 す る た め,各. 公 的 ル ー ト と,国. 公 的 ル ー トが あ り,さ. 国通 貨 当. 際 機 関 の 外 側 に あ る ア メ リ カ政. ら に そ れ を 民 間 投 資 レベ ル で 拡 大 す る 私 的. り わ け 前 者 の 公 的 ル ー トを 通 じ て ドル が 供 給 さ れ ね ば な ら な か っ た 。. 院 公 聴 会 に お い て ホ ワ イ ト は,ア. メ リ カ が 国 際 連 盟 に 加 盟 しな か っ た こ と が 第 二 次 大 戦 へ と 帰 結 し た.     と 証 言 し た こ と が,「 基 金 」反 対 派 へ の 大 き な 圧 力 と な っ た 。 ガ ー ドナ ー 『国 際 通 貨 体 制 成 立 史 』 上 巻,     p.286. 17)以. 上,本. 間雅 美.     Origins  18)油. 『世 界 銀 行 の 成 立 と ブ レ ト ン ・ ウ ッ ズ 体 制 』,pp.205-206;Fred . of International . 井大三郎. Economic . Disorder, . 「戦 後 世 界 秩 序 の 形 成 』,第1章. p.54を. L.  Block, . 参照。. を 参 照 。 油 井 氏 は さ ら に,巨. 額 の 対 英 借 款 供 与 を,「.     興 の 過 程 で 多 く の 国 に 共 通 して み ら れ た 経 済 的 国 家 主 権 の 強 ま り に た い して,平     を 恒 常 的 に 動 員 せ ず に は,海     階 の 到 来 で あ る 」(p.18)と 19)U.S. . House, . Loan .     into  between      Session, . Kingdom, . No.429, . pp.4-8.当. Foreign .     Washington . Aid:Its . House, . Loan . 垣與一編 一 部 第3章. σ0ηgrθSS,  the  Financial . 井大三郎. 23)議. 会 に お け る 批 判 は,保. Library  Scope, . ま た,以.     U.S.  Senate,      Banking . Legislative . Administration, . 2nd. ガ ー ド ナ ー 「国 際 通 貨. and . Reference . Service,. Related Information,. 『ア メ リカ の 対 外 援 助   歴 史/理. 論/政. 策 』 日本. 参照。. Kingdom, . p.4.. 護 貿 易 論 や 財 政 均 衡 論 か ら の 批 判 で あ っ た(油. 下 も参 照 。 本 間 雅 美. Angro-American . and  Currency,79th. Financial  Congress . 井大三郎. 『戦 後 世 界 秩 序 の形 成 』,. 「世 界 銀 行 の 成 立 と ブ レ ト ン ・ ウ ッ ズ 体 制 』, pp.267-290; Agreement:Hearings . 2nd Session, . Washington . 24)油. 井大三郎. 25)本. 間雅美. 26)牧. 野裕. 27)本. 間雅美. 『世 界 銀 行 の 成 立 と ブ レ ト ン ・ ウ ッ ズ 体 制 』,pp.294-295.. 28)山. 本栄治. 「「ド ル 本 位 制 」 下 の マ ル ク と 円 』,日.     IMF . Entered. Congress . 『戦 後 世 界 秩 序 の 形 成 』,p.15..     pp.40-41)。. 29)1950年. 資料お よび. of  the  United. Agreement . Jan.30,1946,79th. of Congress, . 佐藤和男訳. 第1節)を. to the  United . 22)油. the  President . 該 協 定 文 に つ い て は,本. Purposes, . GPO,1959(板.     経 済 新 聞 社,1960年,第 21)U.S. . from . 参照 。. メ リ カ の 武 器 貸 与 援 助 に つ い て は,U.S. .     U.S. . Message . for  the  Consideration(ゾ.     体 制 成 立 史 』 下 巻,pp.611-622を 20)ア. 時 において も国家 資金. す る。. the  United  States  and  the  United  Kingdom, . Document . 戦 後復. 外 市 場 に お け る 私 的 資 本 の 利 潤 獲 得 を 安 定 的 に な しえ な い と い う 新 た な 段. to  the  United .     States  Transmitting . The. before . the  Committee . on. GPO,1946.. 『戦 後 世 界 秩 序 の 形 成 』,p.42.. 「世 界 銀 行 の 成 立 と ブ レ ト ン ・ ウ ッ ズ 体 制 』,pp.297,323-324.. 『冷 戦 の 起 源 と ア メ リカ の 覇 権 』,pp.87,118.. 本 経 済 評 論 社,1994年,PP.42-43,51.. 代 半 ば の 国 際 取 引 の 半 分 が ス タ ー リ ン グ に よ っ て 行 わ れ て い た と す れ ば(Harold  and  the  Creation . of the  Bretton .     役 割 が 強 調 さ れ る べ き で あ ろ う。. Woods . System, . p.107),む. James, . The. し ろ ポ ン ドの 貿 易 媒 介 通 貨 の.

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