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ミカンキジラミの発生分布と生態及び防除: 沖縄地域学リポジトリ

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Academic year: 2021

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Title

ミカンキジラミの発生分布と生態及び防除

Author(s)

外間, 数男; 村上, 昭人

Citation

沖縄農業, 35(1): 3-14

Issue Date

2001-06

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/1456

Rights

沖縄農業研究会

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ミカンキジラミの発生分布と生態及び防除

外間数男.・村上昭人。。 (、沖縄県農業試験場園芸支場,・・沖縄県ミバエ対策事業所) KazuoHokamaandAkitoMurakami:EcologyanddistributionofthecitrusPsyllid, Dmphor伽CitriKintheOkinawaislandanditscontrol. はじめに カンキツグリーニング病は,アフリカからア ラビア半島南西部及びアジア南部,中国南部, 台湾に分布する“).わが国では,1988年に沖縄 県西表島で初めて確認されたが,り病樹の焼却 処分により,その後確認されなかった4alL鰹). しかし,1993年に西表島で再発生し,1M年に は沖縄本島でも確認され,現在,南・北大東島 を除く,沖縄県全域に発生が確認されている4,)ヒ グリーニング病は,アジア系統とアフリカ系 統の2系統が知られているが“),沖縄ではア ジア系統のみが確認されている,).アジア系統 はミカンキジラミDmp/iormaatriGmWAYAMA) によって媒介されるsun) ミカンキジラミは,アフガニスタンからイン ド,インドシナ半島や中国南部,台湾,フィリ ピンなどに分布し,わが国では奄美大島以南の 南西諸島に分布するLa6). ミカンキジラミはカンキツグリーニング病の 媒介虫として重要であり,南西諸島では古くか ら知られていたにかかわらず,分布域や生態な どの知見が極めて乏しい.そこで今回,沖縄本 島における発生分布や発生消長,移動分散,薬 剤処理後の変動等について調査したので報告す る. 1.発生分布 渡久地・河野(1997)は,ミカンキジラミが 奄美諸島全域及び沖縄県51市町村中41市町村に 分布することを確認しているが,生息密度や発 生条件,カンキツの種類などとの関係について は不明である.今回,カンキツ及びゲッキツを 対象とし,栽植立地条件や季節ごとに成虫の個 体数を調査した. 調査方法 ミカンキジラミの分布調査は,カンキッ類及 びゲッキツを対象として表1及び表3に示す地 域で,1998年5月および8月,12月,1999年3 月の4回にわたり行った.調査はポリプロピレ ンの容器(25.5cm×32.5cm×11cm)を調査樹 の直下に置き,ポリ塩化ビニール製の棒(長さ 約60cm,径2cm)で枝葉ごとたたく「たたき 落とし法」で行い,受容器中の成虫個体数をカ ウントした.カンキツ類は樹の周縁部を10回, 1圃場につき3株,ゲッキツは外縁部10回の2 反復調査とした.表中には10回たたき落とし当 りの成虫数の平均を表した. 結果及び考察 (1)カンキツ 発生調査は沖縄本島北部5市町村で行った. その結果は表1に示すように,98年5月の調査

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沖縄農業第35巻第1号(2001) 4 表1.カンキツ類のミカンキジラミの発生状況 99年3月調査 98年12月調査 98年5月調査 98年8月調査

調査場所調査発生成虫数調査発生成虫数調査発生成虫数調査発生成虫数

地点数地点数平均/樹地点数地点数平均/樹地点数地点数平均/樹地点数地点数平均/樹 国頭村 大宜味村 今帰仁村 名護市 本部町 06000 7 ● 00000 533 224 ●● ● 00000 10411 121 41478 1 12010 9979 111 4 ● 0000 720.5 26 1 00 00 合計・平均344(11.8)0.18252(8.0)0.17476(12.8)0.14646(9.4)0.1 ()内は発生ほ場率 栽樹であった.8月の調査では25地点中2地点 に発生し(発生確認地点率8.0%),成虫数は0. 17頭であった.12月調査では47地点中6地点 (12.8%),成虫数は0.14頭,3月調査では64地 点中6地点(9.42%),0.1頭であった. カンキツの種類別にミカンキジラミの発生を みると(表2),温州みかんは調査期間中に確 では34ケ所中4ケ所にミカンキジラミの寄生が 確認され,発生確認地点率は11.8%,10回たた き落とし当りの成虫数の平均は0.18頭あった. 発生は名護市と大宜味村のタンカン,国頭村の シイクワシャーで確認された.名護市のタンカ ンは生垣のゲッキツに隣接し,大宜味村のタン カン及び国頭村のシイクワシャーは屋敷内の植 表2.カンキツの種類別ミカンキジラミの発生状況 98年5月調査 98年8月調査 98年12月調査 99年3月調査

調査場所調査発生成虫数調査発生成虫数調査発生成虫数調査発生成虫数

地点数地点数平均/樹地点数地点数平均/樹地点数地点数平均/M1地点数地点数平均/樹 温州ミカン タン力ン シイクワシャー 013 1 20 13 0 0.11 1.0 438 1 002 4 ● 000 111458 006 0 0 0.25 077 122 006 0 0 0.16 認することはできなかった.寄生はタンカンと シイクワシャーのみに確認され,シイクワシャー で多かった.調査したシイクワシャーは住宅敷 地内かまたは畑地周囲に植栽されたものであり, 一部は非植栽樹であった.ほとんど薬剤散布が 行われず,放任の状態にあった.これに対し調 査した温州みかんは全て果樹園であり,管理が 良好で薬剤散布も定期的に行われていたことで 密度が抑制されたと思われる.またタンカンは 屋敷内の植栽樹のみに発生がみられ,果樹園で は確認されなかった. カンキッグリーニグ病が住宅敷地の植栽樹で 検出頻度が高いことは,),今回の調査からも明 かなように薬剤防除がほとんど実施されず,ミ カンキジラミの個体数が多く,感染の機会が高 まったことによると思われる. (2)ゲッキツ 発生調査は沖縄本島全域で行い,その結果は 表3に示した.98年5月には140地点で調査し, 65地点で寄生が確認され,発生地点率は46.4% であった.10回たたき落とし当りの成虫数は1.9

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外間・村上:ミカンキジラミの発生分布と生態及び防除 5 表3.カンキツ類のミカンキジラミの発生状況. 98年5月調査 98年8月調査 98年12月調査 99年3月調査 調査場所調査発生 地点数地点数 成虫数調査発生成虫数調査発生成虫数調査発生成虫数平均/樹地点数地点数鞘/樹地点数地点数平均/樹地点数地点数平均/樹 国頭村 大宜味村 今帰仁村 本部町 名護市 宜野座村 恩納村 金武町 石川市 読谷村 嘉手納町 沖縄市 中城村 那覇市 東風平町 豊見城村 知念村 大里村 玉城村 具志頭村 糸満市 666818772864656544551 2 1 220524530532233120245 1 504450367 ●● ●●●●C ●0 22033133032 79905147 111 67662717 1 84711806 ●●●●●●●● 07023016 1112111813030827 9661227724 111 74 2498爪63706 6301185540 6008118926929382 1111 1 111 6267968564995535 07 1145953653328517 0013101532921304 838043545 ●●●●●● ●●● 4002020110 778553679 325451467 950745665 ●●●●●●●●● 004230562 1101585 57022 9438 ●c ◆● 08006 298 1 555 4.4 3.7 1.9 140 65 (46.4%) 1.88 129 89 (69.0%) 2.89 142 925.811831104.28 (648%)(60.1%) 計 ()内は発生ほ場率 頭であったが,名護市伊差川の屋敷生垣では40 頭,本部町伊豆味の畑地周囲の生垣で21頭と多 かった.また8月の調査では129地点で調査し, 発生地点率は69.0%,成虫数は2.9頭であった が,最も多い地点は具志頭村玻名城の屋敷生垣 で36頭,知念村志喜屋の公園樹で34頭であった. 12月調査では142地点で調査し,発生地点率は 64.8%,成虫数は5.8頭であった.しかし,名 護市屋部の屋敷生垣では249頭に達し,本部町 新里の屋敷生垣で99頭,那覇市儀保の道路沿い の街路樹でも79頭と高密度の地点があった.99 年3月調査では183地点中110地点で確認され, 確認地点率は60.1%,成虫数は4.3頭であった が,金武町屋嘉の屋敷生垣では66頭,宜野座村 松田の公園樹で59頭と密度の高い地点があった. ゲッキッの栽植立地条件と発生との関連をみ 表4.ゲツキツの栽植立地条件とミカンキジラミの発生. 98年5月調査 98年8月調査 98年12月調査 99年3月調査

調査場所調査発生成虫数調査発生成虫数調査発生成虫数

地点数地点数平均/樹地点数地点数平均/樹地点数地点数平均/樹 調査発生地点数地点数 成虫数 平均/樹 住宅敷地内 街路 公園 畑地周囲 雑木林 ①90の① 姐姻印釦弧 くくくくく 26241 5 715355くくくくく

鋤剛川川剛

7〈05434くくくくく

剛川川川棚

84(6M 14(823) 4(571) 4(400) 4(400) W皿4B2 1 1.9 12 70 1.9 1.5 旧8576 1 08491 ●●●●● 33725 11180446 139 17 7 10 10 7.7 9.2 19.3 18 1.5 4.2 6.6 11.4 3.0 0.4 ()内は発生ほ場率

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沖縄農業第35巻第1号(2001) 6 A:屋敷生垣)の1カ所と金武町屋嘉の2カ所 (ゲッキツB:菜園生垣,ゲッキツC:果樹園 生垣)で調査した.成虫の調査法は分布調査に 準じた.カンキツの新梢の調査は,1樹当り20 ~25枝をランダムに抽出し,展開まもない若葉 (未展開葉を含む)の着生枝を新梢とし新梢率 で表した. ると(表4),公園に植栽されたゲッキツはい ずれの調査時期でも個体数が多かった.特に98 年12月調査では,平均個体数が19.3頭に達し, その他の時期でも7頭から11頭の範囲にあった. 街路樹や屋敷生垣は,5月と8月の調査では大 差がなかったが,12月及び3月には街路樹で個 体数が増加し,公園に次いで多くなった.また 畑地周囲及び雑木林内のゲッキツは,5月及び 8月調査では他の植栽区と大差がなかったが, 12月及び3月は個体数が少なかった. ミカンキジラミはミカン科のみで増殖し,好 適寄主はゲッキツであるaa1o).ミカンキジラミ は,ゲッキツの新梢出現に伴い産卵が行われる ことから,刈り込みが頻繁に行われるほど個体 数は多くなるとされる512).しかし今回の調査 では,公園内の植栽樹や街路樹で個体数が多く, 刈り込み頻度の高いことによると考えられるが, 無剪定の雑木林中でも発生の多い地点があった ことから,刈込頻度と個体数の関係は明らかで なかった. 結果及び考察 カンキツ:石川市東山原の温州みかん3園と 金武町のタンカンA園は比較的良好に管理され, 適宜病害虫の防除対策(薬剤防除)が行われて いたが,石川市山城のタンカンB園は屋敷内の 小規模樹園で,管理が比較的悪く,薬剤散布も ほとんど行われていなかった.C園は放棄の状 態にあった. 発生消長は図1に示すように,温州みかんの 3ほ場は調査期間中ミカンキジラミの発生が確 認されなかった.タンカンA園は,98年10月と 11月及び99年3月に2頭前後の成虫が確認され, 密度の高い時期もあったが,その他の調査時期 にはほとんど確認されなかった.同園は周囲に 防風林としてゲッキツが植栽されていたが,99 年5月にゲッキツの一部が伐採されたことによ り,その後の成虫数が減少したものと考えられ る.タンカンB園は調査地点の中で最も密度が 高く,98年8月下旬には20頭近くに達し,その 後も11月下旬に8頭,99年1月に10頭前後を維 持し,99年5月には30頭以上の高密度に達した. その後は急減し9月から12月まで確認されなかっ た.00年1月に再び確認されたが,3頭以下と 少なかった.同園は周囲にゲッキツが生垣とし て植栽され,また薬剤散布もほとんど実施され なかったことで多発を招いたと思われる.タン カンC園は調査開始時の98年25月に2頭前後と 多かったが,8月から9月,11月及び99年2月 2.発生消長 ミカンキジラミは新梢や若い葉に寄生し,古 い硬化した枝葉にはほとんど寄生せず,個体数 は新梢の発生量と密接に関連することが知られ ているし率7).今回,カンキツ及びゲッキツに おけるミカンキジラミの成虫の個体数変動を調 べた. 調査方法 調査は1998年6月から2000年5月にかけて, 石川市東山原の一般農家の温州みかん3園,同 山城のタンカン2園(B園及びC園)と金武町 屋嘉のタンカン園(A園)で行った温州みか ん及びタンカンはいずれも10年以上経過した成 木であった.ゲッキツは石川市山城(ゲッキッ

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外間・村上:ミカンキジラミの発生分布と生態及び防除 7 40 so ・0『0 5.43Z10 z1 Rpo【0劃砕く~凶紅瓜叫以国

5067891011121234.5.⑧780101112123.45 980BOO H四=B弓P』核】<源司> ミカン樹のミカンキジラミ発生消長 ○タンカンA(金武) ●タンカンB(石川A) □タンカンC(石川B) △温州みかん(石川) 図1 100 0 5 ハpdv風円江砦止盛 0 5 4 58:78.910111212345.87了8.9.1011エz1zs eS og OO B田三笙唾ユ函〔源ヨ> 図2.カンキツの新梢率の推移. ○タンカンA(金武) ●タンカンB(石川A) □タンカンC(石川B) △温州みかん(石川) Ii密度であった.99年5月にはよると考えらる. こが’その後は減少し,9月か温州みかん及びタンカン には1頭以下と低密度であった.99年5月には 20頭以上に達したが,その後は減少し,9月か ら10月には確認されなかった.00年2月から再 び増加し5頭以上に達したが,その後は減少し た.同園は雑木林に近接し,放任の状態であっ たにかかわらず密度が低く維持されたのは,周 囲にゲッキツがなく,また天敵などの影響にも 温州みかん及びタンカンの新梢率の推移を図 2に示したが,温州みかんは3月から4月の春 新梢,7月の秋新梢,10月の晩秋新梢の発芽伸 長期に新梢率は高くなった.またタンカンも温 州みかんとほぼ同じ傾向であった.新梢発芽の 発生期は幾分異なるが,年3回の新梢発芽パター

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沖縄農業第35巻第1号(2001) 8 5 4 s Rpo円 g1 通ぞ、、且■弓坦Ⅶ伐回

L、国へ!

ト筆二H4今弩ムニZ二SYC、、。=炉。 123.45 00 89ェOエュェ21:234 ̄so7.&0.101エユE gg 圃岡=B寺多[月〈涙ヨ> 図3.ゲッキツのミカンキジラミ発生;肖長. ○ゲッキツA(石川) ●ゲッキツB(金武A) △ゲッキツC(金武B) S、37 08 98年5月及び8月に20頭近くの成虫が確認され, 11月から12月にかけては30頭から40頭の範囲で 維持された.その後は減少したが,99年4月に は再び高密度となり40頭以上に達した.その後, 減少傾向を示し8月に最も少なくなった.しか し9月以降から再び増加の傾向を示し,00年5 月には50頭近くに達した.ゲッキツCは98年5 月から6月にかけて密度の高い時期もあったが, その後は7月から9月まで低密度で推移し,10 月に再び増加したが,11月以降から99年,00年 にかけて1頭以下であった.なお枝葉の剪定は, 98年11月にゲッキツBで行われたのみで,他の 調査地点では行われなかった. ゲッキツでは,ミカンキジラミが周年確認さ れ,宮古島のゲッキツの調査では8月と12月, 沖縄本島では12月からと5月に個体数が最も多 く,6月から9月,12月,3月から4月の新梢 の発芽期に多くなるとことが報告されてい る`'の.今回の調査では,ゲッキツの新梢の発 生量を調査していないので,ミカンキジラミ成 虫数との関連をみることはできない.しかし変 ンはほぼ同じであった. ミカンキジラミは産卵と発育が新梢に限られ ることから,個体数の変動は新芽の発芽時期と 量に影響される.台湾では春・夏・秋芽の発生 時期に成虫は多くの,宮古島ではシイクワシャー で10月から11月,沖縄本島ではタンカンで4月 から8月に成虫の個体数が増加し,寄主植物の 新梢の発現量の増加に伴い個体数の増加がみら れた`n. 今回の調査からミカンキジラミ成虫の個体数 と新梢率との関連は明らかでないが,調査時期 によって,新梢率と成虫数に関連することもあ り,また全く関連しない場合もあった.小橋川。 大賀(1999)が示唆しているように,天敵が成 虫個体数に影響しているかもしれない. ゲッキツ:ゲッキツAは98年5月から11月上 旬まで低密度であったが,11月下旬以降増加の 傾向を示し,12月から99年3月まで4頭前後を 推移したが,5月には6頭以上に達した.しか しその後は減少し,1頭以下と低密度であった. ゲッキツBは3調査地点の中で最も密度が高く,

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外間・村上:ミカンキジラミの発生分布と生態及び防除 動パターンに規則性がみられることから,新梢 の発生量との関連も示唆される. 4に示すように家庭菜園を取囲む形で植栽され, 植栽後'5年以上を経過し,樹高は平均2.2mで 最高部は25mであった.粘着トラップは黄色 プラスチック製板(10×20cm,厚さ0.5mm) を用い,形状は同製板をそのまま用いた「平板 トラップ」および外周が20cmになるように丸 めた「円柱トラップ」の2種を供した.捕獲面 には黄色粘着シートを張り付けたが,平板は片 面,円柱は外周面のみとした.平板トラップで は捕獲面が上向きと下向き,垂直の3方法でそ れぞれ設置し,円柱は捕獲面が水平及び垂直に なるようにした.粘着トラップはゲッキツの枝 葉下に取り付け,捕獲面の高さが,m前後にな るように設置した.捕獲虫の調査は設置後3~ 7日間隔で行い,粘着シート取り替え更新時ま での累積捕獲成虫数を表中に記した. 3.粘着トラップの形状とミカンキジラミの成 虫捕獲 ミカンキジラミの発生消長や移動等を調査す るには,成虫の的確な把握が必要である.成虫 の動態を把握する方法として,黄色の粘着トラッ プが用いられているL7).今回,黄色粘着トラッ プの形状や捕獲面の向きなどについて検討した. 試験方法 試験は2000年2月28日から4月7曰にかけて, 金武町屋嘉のゲッキツで行った.ゲッキツは図 結果および考察 99年2月28日から4月7曰まで調査全期間に わたる1トラップ当りの総捕獲数は(表5), 平板トラップの水平上向が28.3頭と最も多く, 次いで,平板垂直の27.6頭,円柱トラップ垂直 の22.3頭であった.平板トラップの水平下向は 7.0頭と最も少なかった.トラップの形状と捕 獲数に大差はないが,平板トラップは円柱トラッ プより多く捕殺される傾向にあった.また平板

図4.黄色粘着トラップの設置場所. 、ヘーゲッキツ(樹高平均2.2m) ■黄色粘着トラップ a:樹直下b:0.5mc:1.5m。:5.0m 表5.トラップの形状および捕獲面の向きとミカンキジラミ成虫の捕獲数. 調査期間毎の捕獲数 総捕獲数 2/28 ~4/7 3/31 ~4/7 2/28 ~3/13 ~3/233/14 ~3/303/24 トラップ形状捕獲面 水平上向 水平下向 垂直 9.3 1.0 7.7 100 2.0 12.3 5.3 1.7 3.3 3.7 2.3 4.3 28.3 7.0 27.6 平板トラップ

円柱トラップ塞薔

7.3 12.3 2.7 3.0 3.0 4.3 17.7 22.3 4.7 2.7 *3トラップ平均捕獲数 『 、 5 9 1 ← 匡雫藝錘 ■ ■■■■■■■■■■■■■■ ■ ■ ■ a 1m↓■ ■→■b ■ ■ ■ m■c 5 ← ■ ■. 国 率 、 ↑旧↓

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沖縄農業第35巻第1号(2001) 10 試験方法 試験は2000年2月8曰から4月7曰にかけて, 金武町屋嘉のゲッキツで行った.ゲッキツは図 4に示すように家庭菜園を取り囲む形で植栽さ れ,植栽後15年以上を経過し,樹高は平均2.2 mで最高部は2.5mであった.粘着トラップは 黄色プラスチック製板(10×20cm,厚さ0.5 mm)を用いた「平板トラップ」を供した.捕 獲面には黄色粘着シートを張り付け,捕獲面が 垂直になるように緑色支柱に固定し設置した. 粘着トラップはゲッキツの枝葉直下及び外縁部 から0.5,,1.5,,5.0m離れた位置に,捕獲面 がゲッキツに対面するよう設置した.捕獲面の 高さは地上から1m前後なるようした.捕獲虫 の調査は設置後3~7曰間隔で行い,粘着シー ト取り替え更新時ごとの累積捕獲成虫数を表中 に記した. トラップでは,捕獲面が上向き及び垂直とも捕 獲数に大差はないが,下向きは極めて少なく, 捕獲プレート面に対する反射光の影響が考えら れた. この結果からミカンキジラミの成虫捕獲には 平板トラップで,捕獲面が上向きおよび垂直に なるように設置するとよいと思われる. 黄色トラップは時期によって,全く捕獲され ないこともあるため,活動時期の推定には有効 であるが,分布調査や密度推定には不十分とさ れるL2).その原因については不明であるが,行 動を把握する方法として利用できると思われる. 4.ミカンキジラミ成虫の移動 ミカンキジラミはカンキツグリーニング病の 媒介虫として知られているが,その移動分散お よび移動距離などについては不明な点が多い. グリーニング病の媒介や蔓延など流行の過程を 知ることは重要であり,今回粘着トラップを用 いて成虫の移動距離を調査した. 結果及び考察 調査全期間における1トラップ当りの総捕獲 数は(表6),枝葉直下が25.0頭と最も多く, 表6.ゲッキツ樹からの距離別ミカンキジラミの成虫捕獲数. 総捕獲数 2/8 ~4/7 調査期間毎の捕獲数 ゲッキツ樹 からの距離 、 2/18 ~3/233/10 ~4/73/24 ~2/28 ~3/92/28 2/8 ~2/17 枝葉直下 05 1.5 50 25.0 7.3 26 69 3733 ●●●● 3001 10.7 23 0.7 1.3 7330 ●●●● 4103 7703 ●●●● 4110 6330 ●●●● 1101 *3トラップ平均捕獲数 次いで,05mが73頭,5.0mが6.9頭となり,1. 5mは2.6頭と最も少なかった. この結果,ミカンキジラミの成虫はゲッキツ から5m離れた地点まで移動することが明らか にされた.また調査地点の南側空き地に黄色粘 着トラップを5,,10,,15mの距離に,トラッ プ面がゲッキツ生垣に対面するかたちで設置し, 移動距離を調査した.その結果をみると,調査 期間中(2000年2月22日から4月7曰)に,5 m地点では3頭,10m地点で1頭が捕獲された.

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外間・村上:ミカンキジラミの発生分布と生態及び防除 11 なお同調査地には,調査対象としたゲッキツの 植栽以外みられなかったことから,調査地外か らの飛来はないと思われる. 調査期間中の気象とミカンキジラミ成虫捕獲 数との関連をみると,強風や雨の時より,風が 弱く晴れた曰に遠地点で捕獲される例が多かっ た.このことから,同虫は晴れた曰などでは上 昇気流に乗って遠地点に到達するものと考えら れる. ミカンキジラミは移動能力が低いと考えられ ているが,飛来源のない場所で発生したり,卓 越風に運ばれ500mの遠距離を移動するとも言 われる25).今回の調査からミカンキジラミが,0 mを移動することは明らかであるが,調査した 45曰間で1頭のみであり,また15m地点では捕 獲されなかったことから,遠距離の移動能力は 低いものと思われる.しかし,同虫によって媒 介されるカンキツグリーニグ病が広域に蔓延し ていることは,同虫の広域移動を示唆するもの であり,今後詳細な検討が必要である. 色,1mm目),無処理区,無処理十寒冷紗被 覆区の4処理区を設け,1区0.8×1.3m(1.04 ㎡)の3連で行った.調査は処理前が1999年12 月8日,処理後は12月9曰(処理1曰後),12 月13曰(処理5日後),15日(7日後),20曰 (12曰),25日(17日後),2000年1月7日(30 曰後),14日(37日後),28日(51日後),2月 2日(56曰後),15日(69日後),3月2日(85 曰後)の11回行った.調査はポリプロピレンの 容器(25.5cm×32.5cm×11cm)を樹直下に置 き,棒で葉をたたく「たたき落とし法」で行い, 受容器中の成虫個体数をカウントした.カウト 後は試験区樹上に戻した.各区10回の1反復調 査とした.表中には10回たたき落とし当りの成 虫数を表した. 試験2:金武町屋嘉の菜園の防風林として植 栽されているゲッキツを用いて試験した.ゲッ キツは菜園を囲むかたちで植栽され,樹高は2. 0~2.5mであった.供試薬剤はスミチオン乳剤 (MEP50%乳剤)1,000倍を供し,2000年2月 8曰に肩掛噴霧器を用いてむらなく散布した. 試験は1区1.2×50m(60㎡)の2連とした. 調査は処理前が2000年2月8日,処理後は10日 (処理2曰後),15日(処理7曰後),16日(処 理8曰後),22日(処理13日後),28曰(処理20 曰後),3月6日(28曰後),13日(35日後), 23曰(45日後),28日(50曰後),4月7日(60 曰後)の10回行った.個体数調査法は試験1に 準じた. 5.薬剤処理後のミカンキジラミの変動 薬剤処理後のミカンキジラミの回復条件や移 動との関わりを検討することは,本種及びカン キツグリニング病の防除対策を行う上で重要で ある.今回,薬剤処理後の成虫の変動を調査し た. 試験方法 試験1:東風平町小城の街路樹として植栽さ れているゲッキツを用いて試験した.ゲッキツ は歩道沿いにあり,樹高は0.6~0.8mであった. 供試薬剤はスミチオン乳剤(MEP50%乳剤)1, 000倍を供し,12月8日に肩掛噴霧器を用いて むらなく散布した.試験はスミチオン乳剤単独 区及びスミチオン乳剤処理十寒冷紗被覆区(白 結果及び考察 試験1:薬剤処理前の成虫個体数は薬剤処理 区が5.0頭,スミチオン乳剤処理十寒冷紗被覆 区3.7頭,無処理区4.0頭,無処理十寒冷紗被覆 区が5.3頭であった.薬剤処理後の成虫数は図 5に示すように,スミチオン乳剤処理十寒冷紗

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83.3 曰目頃まで個体数が減少したが,被覆後17日目 頃から急増し,69日目には40頭以上に達した. また無処理区では個体数が多く,特に調査後17 日目頃から急増し,37曰自には80頭以上に達し た. 試験2:薬剤処理前の成虫個体数は(図6), スミチオン乳剤処理区が90頭,無処理区は14 o頭であった.スミチオン乳剤処理区では,処 理後20曰まで成虫数が極めて少なく,1頭以下 で推移し,30日目頃まで2頭以下の低密度で推 移した.処理後28日目から増加したが,50曰目 まで4頭以下であった.これに対し無処理区で は,調査当初から個体数が多く,20日頃までの 8頭前後で推移し,35日目には15頭以上に達し た.しかしその後,減少傾向を示した. この結果,ミカンキジラミに対する薬剤処理 の効果は極めて高く,また長期間(50日頃まで) にわたり効果が維持された.薬剤の残効が20曰 前後にもかかわらず,個体数が低密度に維持さ れたのは,ミカンキジラミの移動能力が低いこ とを示し,また移動分散が極めて小規模である ことから,薬剤処理後の回復が緩慢になったも のと思われる. 50 0000 432- [目。【‐句騨1~凶瓢刷画糾四 Ll-とc 一口==B-℃ 0 157121730375156.6985 種丈司宿鍾上こつ糸墨云d亜曰喪文・ 図5.ミカンキジラミIこ対する薬剤処理の効果 ○:スミチオン乳剤 □:スミチオン乳剤十被覆処理 ●:無処理 ■:無処理十被覆処理 08642086420 111 21I 回 ○ 門 卿~劇Ⅱ園 6.総合考察 ミカンキジラミは沖縄本島全域に分布し,住 宅敷地や畑地周囲のタンカン,シイクワシャー で発生が多い.これらは薬剤散布がほとんど行 われず,そのことが多発を招き,カンキツグリー ニグ病の検出頻度が高くなったと考えられる. これに対し温州みかんは,薬剤散布が定期的に 行われ,良好に管理されたことで,同虫の発生 が抑えられたと推測される.ゲッキツはミカン キジラミの好適寄主であり,密度も高い.カン キツグリーニング病の防除には,園周囲のゲッ キツを含めた対策が必要となる. J-O-o-C 弘一C--ベムーC 27813202835455060 糠文月的苛謹をcつ鑑遷云僅曰突文 図6.ミカンキジラミに対する薬剤処理の効果. ○:スミチオン乳剤 ●:無処理 被覆区では処理後30日まで成虫が確認されず, また56曰まで低密度で推移した.スミチオン乳 剤単独区でも処理後30曰までは低密度で推移し, 無処理区に比べて個体数は極めて少なかった. これに対し,無処理十寒冷紗被覆区は被覆後12

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外間・村上:ミカンキジラミの発生分布と生態及び防除 13 ミカンキジラミは産卵と発育が新梢のみであ ることから,個体数は新葉の発芽時期と量に関 係する.しかし今回の調査では,成虫数とカン キツの新梢率とには明瞭な関係がみられなかっ た.これは雨や強風などの気象条件や天敵等が 個体数に影響したことによると考えられる. ミカンキジラミの成虫捕獲には黄色トラップ が用いられているが,平板トラップを垂直及び 捕獲面を上向きに設置することで行動の把握が 可能であった.平板トラップを用いて成虫の移 動をみると,成虫の捕獲は5m及び,0m地点で 確認されたが,15m地点では調査期間中捕獲さ れなかった.成虫の捕獲数は強風時や雨の時よ り,風が弱く晴れた曰に遠地点で多かったこと から,上昇気流の発生しやすい条件下で気流に 乗って移動することが推測された.また15m地 点では45曰間設置しても全く捕獲されなかった ことから,遠距離移動は少ないと思われる.し かしミカンキジラミの成虫は,500メートルを 移動することも報告され,またカンキツグリー ニグ病が広域に蔓延していることから,同虫の 広域移動を示唆するものであり,今後詳細な検 討が必要である. ミカンキジラミに対する薬剤処理の効果は高 く,また長期間(50曰頃まで)にわたり低密度 を維持した.薬剤の残効が20日前後にもかかわ らず,長期に密度が抑制されたのは,同虫の移 動能力が低いことを示し,そのため回復が緩慢 になったものと推測された. thecitrustrees・Itwasreportedtothat distributionandmodeoflifeonthecitrus psyllidinOkinawaisland,andtheircontrol ofthechemical・Theresultsobtainedare summarisedasfollows. Citruspsyllidhasbeenfoundonthecitrus andMurrayapaniculatatreeinwholeregion ofOkinawaisland・Thepopulationdensity ofcitruspsyllidadultswashigheronthe Murrayapaniculatatreethancitrustree AdultsofthePsyllidwasmostabundant onthetreeatfromwintertospringseason Whiletheadultstrappedbyyellowsticky trapssetinthevegetablefieldatsurr‐ CundedwithMurrayapaniculatatrees,it wascapturedatadistanceoflOmfrom treesltwasshowedthatthepopulation ofadultshadtolowdensitylevelatlong timeafterinsecticidetreatment. 引用文献 1.芦原亘1988.ネパールにおけるカンキツ グリング病のベクターミカンキジラミの分 布.今月の農業32:31-34. 2.芦原亘1997.カンキツグリーニング病の 媒介,昆虫ミカンキジラミDiclphorma citrjの生態と防除.植物防疫.51:312- 315. 3.東清二・金城政勝1987.沖縄産昆虫目録 新星図書出版,那覇. 4.河野伸二・蘇鴻基・上原勝江1997.沖 縄本島におけるカンキツグリーニング病 の初発生.曰植病報.63:256. 5.河野勝行・高橋敬一1999.カンキツグリー ニング病を媒介するミカンキジラミの生態, Summary Thecitruspsyllid,Dmphormacitri (KUWAYAMA),werenoteffectiveat directlyfeedingtocitrustree,butitwas importanttowhichvectorofcitrusgreening diseasewhichseriouslyredusesthelifeof

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沖縄農業第35巻第1号(2001) 14 今月の農業.43(10):102-105. 6.小橋川嘉一。大賀重幸1999.カンキツグ リーニング病に関する調査一ミカンキジラ ミの分布,発生消長一.平成10年度調査研 究成績:1-6.那覇植物防疫事務所. 7.Liy-yuanW.,Shi-chengH,Chung-joL, Ting-hsuanHandHong-jiS1995、 Populationfluctuationofdiqphori"α cjtrikuwayamaanditstransmission inlikubin-infectedcitrusorchardsin Chia-Yiarea・台湾柑橘之研究與発展検討 会専刊. 8.Miyakawa,T・andK・Tsunol989、 Occurrenceofcitrusgreeningdisease inthesouthernislandofJapanA、、. PhytopathoLSoc・Japan、55:667~670. 9.内藤孝・田場聡・豊里哲也・河野伸二・高 江洲和子2000.沖縄県におけるカンキツ グリーニング病発生調査と地域別採取株の RFLP解析.九州農業研究.62:75. 10.小倉謙一・古波津章1998.カンキツグリー ニング病に関する調査一ミカンキジラミの 発生消一,平成9年度調査研究成績:7-13. 那覇植物防疫事務所. 11.大津善弘2000.カンキツグリーニング病. 農業及び園芸.75(1):134-140. 12.渡久地章男・河野伸二1997.沖縄県にお けるカンキツグリーニング病の発生状況お よび防除対策.植物防疫.51565-570.

参照

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