要旨 本事例研究では、市町村自治体における地域福祉計画の策定過程だけではなく、地域福祉計画の進行 管理という過程を通したマネジメントによって、多機関協働のモデル事業の円滑な推進を図ることが有 用であることを、高知県中土佐町の事例から明らかにする。なお、多機関協働事業に関するこれまでの 調査研究における他自治体の分析結果を活用することで、中土佐町の事例を相対化させ、普遍性のある 研究を目指す。 中土佐町のプロジェクトは、比較調査の結果「地域福祉タイプ」に該当するもので、社会福祉協議会 による「あったかふれあいセンター事業」の実績を基盤として成立している。4名の相談支援包括化推 進員がそれぞれの相談部門との兼務機能を持つなかで、包括的な支援の課題を解決している。そのため の協議の場を重層的なマネジメントによって、機能分担させている。 多機関協働事業をマネジメントする場が、地域福祉計画の進行管理の事務局会議として確保され、大 学研究者のアドバイスを受けるなかで、包括化推進員の人材育成とともに、適切なモデル事業の運営が 図られている。その方式は、地域福祉の推進に多機関協働事業が寄与することを条件づけるもので、多 くの自治体で活用可能な普遍的な方法である。 キーワード: 地域福祉計画、進行管理、多機関協働事業、相談支援包括化推進員、参与観察
1.研究の背景
地域福祉計画の進行管理による「多機関協働」 の展開をテーマとする研究の背景あるいは研究の 課題としては、次の4つがある。 1)社会福祉法改正における「包括的な支援体制 の整備」の政策枠組みの検討 研究テーマである地域福祉計画と「多機関協働 事業」の関係は、2017年12月の厚生労働省3局長 「通知」の「地域共生社会の実現に向けた地域福 祉の推進について」における2つの政策手段の関 係として整理できる。多機関協働事業は、正確に は社会福祉法(2017年5月改正)の第106条の3 第1項の3号にある「多機関の協働による市町村 における包括的な相談支援体制の構築」における モデル事業に相当する「多機関の協働による包括 的支援体制構築事業」(以下、多機関協働事業と して、「」は用いない)を意味している。同モデ ル事業は、2018年4月施行の社会福祉法改正に先 行する形で、2016年7月から実施された。 「通知」の構造は3つのパート、①社会福祉法 の改正の趣旨、②市町村における包括的な支援体 制の整備、③市町村地域福祉計画、都道府県地域論
文
地域福祉計画の進行管理による「多機
関協働事業」の展開
―高知県中土佐町の参与観察から―
平 野 隆 之 小 木 曽 早 苗
日本福祉大学 日本福祉大学福祉社会開発研究所
福祉支援計画の策定ガイドライン、から構成され ており、社会福祉法改正①における政策目標を2 つの政策手段(②③)によって達成する構図とし て整理できる。③計画策定ガイドラインにおいて も、②包括的な支援体制の整備の内容を計画項目 として盛込む事項に位置づけることが示され、ま た、策定のプロセスを活用しながら支援体制の整 備を関係者の総意と創意工夫により具体化し展開 されることが期待されている。 2)地域福祉計画の進行管理におけるマネジメン ト研究の継続 地域福祉計画の進行管理の研究としては、すで に平野隆之・朴兪美・澤田和子(2013)において、 マネジメントの視点から「地域福祉計画(第2期) 調査(全国調査)」の結果を用いた検討を行って いる。進行管理を地域福祉計画の付属物として位 置づけるのではなく、地域福祉行政の形成の1つ の方法として捉え、その観点から進行管理を多角 的、構造的に把握しようとするものである。ここ では、3点の結果に触れておく。 第1に、計画策定の「有効性の認識」における 市部(高い)と町村部(低い)との格差は大きく、 町村部での進行管理が思うように進んでいないこ とが背景にある。町村部における計画の進行管理 というマネジメントの普及が課題といえる。第2 に、第2期計画に着手した行政において、進行管 理におけるマネジメントの方法として「行政内組 織の設置」の採用を契機として、「計画の達成度」 だけでなく、計画項目以外の領域への波及効果を 推進するためのマネジメントにつながることが示 されている。第3に、「行政内組織の設置」と並 んで「評価体制」は、「有効性の認識」に有意な 差を示しており、評価に取り組んでいる行政では、 とくに地域福祉計画における「目標値の設定」と いう取組みが評価業務に影響している。例えば、 岡本(2010)は、マネジメントのプロセス上、達 成可能・具体的な「目標」の設定が最も重要と指 摘している。 3)「多機関の協働による包括的支援体制構築事 業」の評価作業 「地域福祉計画の進行管理」の対になる、多機 関協働事業そのものの研究の背景と課題を示して おく。本モデル事業については、すでに日本総合 研究所(2017)『全世代・全対象者型地域包括支 援体制の構築に向けた評価指標に関する調査研 究』と日本総合研究所(2018)『地域力強化およ び包括的な相談支援体制構築の推進に関する調査 研究』がある。同調査研究プロジェクトにおいて、 有識者委員会の委員長を平野隆之が務めており、 2年間にわたって複数の自治体の成果分析を、ヒ アリング調査を含め実施してきた経緯がある。同 委員会では、本モデル事業の推進に深く関係して いる点として、地域福祉の実績を踏まえた取組み であること、地域福祉計画の進行管理や地域福祉 行政の形成とともに展開されるべきことなどを、 調査仮説として主張し、一定の検証がなされてい る。ただし、市町村自治体における地域福祉計画 の進行管理と多機関協働事業のモデル事業におけ る活用さらには展開との関連性や相互作用につい ては、いまだ十分な検討がおこなわれていない。 なお、2019年度現在多機関協働事業の実施自治 体数は、117であり、そのうち地域力強化推進事 業(以下、地域力強化事業)との併用実施の自治 体数は93である。 4)中土佐町を研究対象とする背景 本研究で扱う高知県中土佐町は、県の地域福祉 政策の支援を受けながら、独自の地域福祉行政を 展開している小規模自治体であるⅰ。県単独の補 助事業である「あったかふれあいセンター事業」ⅱ は、人件費補助を有する地域福祉の拠点事業とい えるもので、小規模多機能拠点として国の評価も 得ている。これまでも小木曽早苗(2015)、平野 隆之・小木曽早苗・朴兪美・奥田佑子(2018)な どにおいて、高知県の地域福祉政策およびその代 表的な自治体事例として、詳細な参与観察の結果 を報告している。 さらに、モデル事業を地域福祉の基盤整備に活
用し、その上に先行的な取組みが展開されている 事例の分析として、中土佐町を対象にした研究に も取り組んできた。小木曽早苗(2019)では、中 土佐町における国の3つのモデル事業(社会福祉 協議会が受託)をどのように地域福祉の基盤形成 に活用してきたかについても触れているiii。これ までの中土佐町を対象とした研究成果を踏まえな がら、本研究のテーマにおいても町村部を扱う意 義を有するため、引き続き中土佐町を研究の対象 と設定することとした。
2.研究の目的と研究の方法
1)研究の目的 本研究は、市町村自治体における地域福祉計画 の策定過程だけではなく、地域福祉計画の進行管 理という「過程」を通したマネジメントによって、 多機関協働事業の円滑な推進を図ることが有用で あることを、中土佐町の事例研究から明らかにし ようとするものである。 この目的を達成するために留意・工夫する点と して、次の2つがある。1つは、背景の第3にお いて言及した多機関協働事業のこれまでの調査研 究をより発展させることで、本稿を単に中土佐町 の事例研究にとどまらせないための留意を図る。 そのため代表的なモデル実施自治体を対象とした 訪問調査結果との比較検討を試みる。 また、高知県における特性を判断するために、 同種のモデル事業を実施している黒潮町との比較 を試みる。また、背景の第4において触れた中土 佐町でのフィールドワークは、地域福祉計画の進 行管理の会議(進行管理事務局会)を中心に7年 にわたって定期的に参与を行っている。よって2 つは、本モデル事業以前から複数の国のモデル事 業の活用およびその評価等のマネジメントをこの 会議を通して実施してきた経験が現場および研究 のなかにあり、そうした豊富な蓄積のなかで、今 回の多機関協働の展開を深く把握できることを研 究上のメリットとする。 本稿は、平野隆之・小木曽早苗が行った日本地 域福祉学会第32回大会での自由研究報告を基に、 地域福祉計画進行管理のマネジメントの視点を導 入して分析を深め、再構成したものである。なお、 平野が全体を執筆し、参与観察を担ってきた小木 曽が4を中心に加筆するという分担執筆である。 2)分析の枠組み 上記の目的で触れた「地域福祉計画の進行管理 というマネジメントを通して、多機関協働のモデ ル事業の円滑な推進を図る」というメカニズムを 把握し分析するための枠組みとして、図1を設定 する。以下、図1に示した作用のベクトルの記号 をもとに4つに分けて、分析課題を示しておく。 先 行 の 地 域 福 祉 地 域 力 強 化 事 業 多機関協働のモデル事業 推進員の配置・推進会議等 既 存 の 相 談 部 門 ・組 織 地域福祉計画の進行管理 A B C D1 D2 D3 図1 多機関協働事業の分析枠組み 資料)平野作成 第1に、多機関協働事業の内容としては、「相 談支援包括化推進員」(以下、包括化推進員)と いう包括化にむけてのマネジメントを担う人材が どの部署に、どれだけの人数配置されているのか、 その包括化に向けたマネジメントを活用する場面 として、「相談支援包括化推進会議」が既設の会 議の活用も含めどのように運営されているのか、 などが分析の対象となる。 第2に、多機関協働事業が、これまでの地域福 祉の実績をどのように活用しているのか、また相 談支援の課題などを受けとめて構想されるのか、 を把握する作業がベクトルAに相当する。その多 機関協働事業から見えてきた地域福祉の課題を踏 まえて、地域力強化事業(もう1つのモデル事業) へとどう展開してきたのか、あるいは一体的に取 組んでいるのか、ベクトルBに相当する分析課題 を持つ。これら2つのベクトルは、背景の第1に 示しているように、本モデル事業が地域福祉の推進に結実することが想定されたプログラムである ことから、分析の対象として設定したものである。 第3は、多機関協働事業は「既存の相談支援の 包括化」を目的とした事業であり、多種多様な相 談部門を包括的な相談支援の部門に一元化するこ とが必ずしも目的ではない点に関連した分析とな る。なお、永田(2018)は、連携強化型とワンス トップ型として併記している。包括化推進員が「既 存の相談支援の包括化」を推進するためのマネジ メントの場をどう設営し、あるいは設営された場 をどうマネジメントするのかが重要ということに なり、それを示したものがベクトルCである。設 営された場が要綱上の表現で「相談支援包括化推 進会議」ということになる。ここでは、個別相談 支援のミクロレベルの分析というよりは、それら を集約している一種のメゾレベルでの会議運営が 分析の対象となる。 第4は、本研究の要点となる地域福祉計画の進 行管理(の場・会議)が、ベクトルABCにどの ような作用をもたらし、結果的に多機関協働事業 が多様な成果を生み出しているのか、生み出され ている成果との関連での進行管理の機能(D1, D2,D3)を明らかにすることである。進行管理 の会議の場で、包括化推進員がどのようなマネジ ャーとしての役割を果たしているのかも、分析の 対象とする必要がある。そのためには、包括化推 進員からのヒアリング調査にとどまらず、様々な 場面での参与観察が必要といえる。なお、多機関 協働事業を通しての成果には、地域福祉計画への 新たな計画項目が盛り込まれることも含まれる。 なお、図1において、地域福祉計画の進行管理 が円柱のような形で図式化されている点について は、本モデル事業の展開の局面だけでの進行管理 ではなく、これまでの進行管理の蓄積の上での作 用が分析の対象となっていることを示すためのも のである。 3)研究の方法 ①モデル実施自治体との比較検討 2つのレベルでのモデル実施自治体と中土佐町 との比較検討を行う。 1つは、国の研究助成を通して2016年と2017年 との2年間にわたって複数の自治体のモデル事業 の展開過程を訪問や参与観察を含めて行った成果 を活用した、比較検討である。主として取り上げ る自治体は、三重県伊賀市と富山県氷見市、東京 都江戸川区である。もう1つは、高知県黒潮町と の比較である。黒潮町については、2回にわたる ヒアリング調査とともに、県が主催する「あった かふれあいセンター推進連絡会」ⅳでの資料等を 参照とし活用している。 ② 中土佐町における多機関協働の展開に向けた地 域福祉計画進行管理の会議の参与観察 中土佐町における3つのモデル事業(安心生活 創造推進事業、共助の基盤づくり事業、多機関協 働事業)の取組みの経過(注記ⅲを参照)を含め、 参与観察を行った地域福祉計画進行管理の事務局 会議の開催は年2~3回で計20回近くに及ぶ。そ れらの会議記録や参与観察結果をもとに分析を行 っている。なお、会議記録等の活用については、 中土佐町および中土佐町社会福祉協議会に了解を 得ている。進行管理の会議への参加は、日本福祉 大学の研究機関へのモデル事業受託という形で確 保されたものである。
3.多機関協働事業のモデル実施自治体
における中土佐町の特徴
-分析結果⑴
分析枠組みとしての図1をもとに本節での分析 課題を示すと、多機関協働事業を中心とした ABCのベクトルということになる。最初に、有 識者委員会での成果の到達点と訪問調査等から見 えてきたモデル実施自治体の類型、そこでの地域 福祉計画を含む地域福祉行政の展開との関連を整 理しておきたい。次に、高知県における特性を踏 まえるため、同種のモデル事業を実施している黒 潮町との比較を試みる。 1)日本総研の研究プロジェクトでの成果 -3つの類型化① 3つの類型化(分析枠組みのベクトルACの分 析から) モデル事業に先行する実践の蓄積をアセスメン ト(ベクトルAの分析)および相談支援の包括化 (ベクトルC)との関連から、モデル実施自治体 における多機関協働事業の選択が、3つの類型を 基になされているとの結論となる。その類型は、 「地域包括ケアタイプ」、「生活困窮タイプ」、「地 域福祉タイプ」となる。 「地域包括ケアタイプ」は、地域包括ケアのこ れまでの実績をベースとした多機関の協働事業 で、どちらかというと生活困窮者自立支援との関 連が弱く、地域的な展開という点で地域福祉との 連携が重視されるタイプの選択となる。調査対象 では伊賀市の例が該当している。 「生活困窮タイプ」では、地域福祉をベースに 生活困窮者自立支援のセーフティネットワークの 形成を図った氷見市の例が該当している。これま での社会福祉協議会による地域福祉の基盤をもと に、生活困窮者自立支援を中心とした地域のセー フティネットを構築することを目的とした多機関 協働事業の選択に該当している。福祉行政部門の なかに社会福祉協議会スタッフが入り、地域福祉 行政に求められる機能を担っている。 「地域福祉タイプ」の代表的な事例としては、 地域福祉拠点(居場所+相談機能)が圏域単位(最 終的には15地区)で設定され、包括化推進員を拠 点に配置するという選択をした江戸川区の例が当 てはまる。背景には、江戸川区における地域福祉 行政を展開するための社会福祉協議会の組織基盤 や相談支援の強化を目的とする要素が含まれ、拠 点機能としては生活困窮者支援の性格(子ども食 堂等)を付与している。氷見市のような全市的な 課題への集約というよりは、各拠点をベースとし た「地域支援会議」の場を通して、地域住民や専 門職の組織化を展望することに力点が置かれてい る。 ② 地域力強化事業への展開(分析枠組みのベクト ルB) 「地域包括ケアタイプ」であれば生活支援コー ディネーターの活用も含め、生活支援体制整備に おける協議体機能の強化と地域力強化のプログラ ムは重なることになる。「生活困窮タイプ」であ れば、生活困窮者や社会的孤立者の地域での発見 力を高めることになる。「地域福祉タイプ」は、 これまで述べてきた文脈でいうと、2つの制度福 祉(介護保険制度・生活困窮者自立支援制度)の どちらとの協働を重視するかによって、地域力強 化のウエイトが異なることになる。 2)中土佐町の特徴の整理にむけて -3つの類 型との関連から 第1に、中土佐町を先の類型化に当てはめれば、 「地域福祉タイプ」に相当するといえる。すでに みたように、それぞれのタイプは、他のタイプの 機能を部分的に備えている点が大きな特徴で、中 土佐町においても、小規模自治体であることもあ って、「生活困窮タイプ」と「地域包括ケアタイプ」 の要素を一部有している。 なお、「地域福祉タイプ」の選択は、後述の黒 潮町との比較検討で明らかになるように、高知県 のあっかたふれあいセンター事業という地域福祉 の拠点整備という実績の上に形成されたものであ る。その点では、江戸川区の地域福祉拠点での多 機関協働事業と類似している。他方、「地域福祉 タイプ」の選択が可能となる地域福祉の基盤が、 各種モデル事業のなかで整備されてきた経緯があ る。この点では、「生活困窮タイプ」と分類され ている氷見市においても、同様の経緯がみられる。 第2に、国の各種モデル事業の延長線上に本モ デル事業があり、一貫して地域福祉計画との関連 を有してきた特徴である。これは、氷見市と類似 している。氷見市における本モデル事業への経過 を分析するなかで、段階な国のモデル事業(安心 生活創造事業・生活困窮者自立支援促進支援モデ ル事業・多機関協働事業)の活用が確認されてい る。 中土佐町では、第1期地域福祉・活動計画の進 行管理を丁寧に行うなかで、2013年度から「安心
生活創造推進事業」の選択事業として「権利擁護 推進センター等事業」を実施し、町内の独居高齢 世帯や高齢世帯の比率が高いことから先を見据え た権利擁護支援の充実への準備を開始する。2015 年度からは、「共助の基盤づくり事業」を活用し、 就労を通じた社会との接点がない人たちは「相談 につながりにくい層」と重なるのではないかとい う仮説から「未就労調査」に取り組む。その後「中 土佐町はたらくチャレンジプロジェクト」として 発展させ、「第2期中土佐町地域福祉計画(2017 ~2021年度)」の柱立てにも生かしている。 計画の遂行も視野に入れて、2018年度には、包 括的支援体制構築事業における多機関協働と地域 力強化推進事業のモデル事業に着手してきた経過 を持つ。地域福祉(計画)を基盤とする「地域福 祉モデル」のなかで、生活困窮者支援や権利擁護 支援を関連させながら計画的に展開してきたとい える。 3)高知県「あったかふれあいセンター事業」の 実績の反映をめぐって -黒潮町との比較 高知県での多機関協働事業の背景としては、「あ ったかふれあいセンター事業」の実績があり、図 1のAのベクトルの1つに相当するものである。 本学の研究チームではあったかふれあいセンター 利用者データ管理ソフトを独自に開発し、その分 析を通じて実績の推移の把握や効果検証を行い、 「あったかふれあいセンター推進連絡会」の研修 にも活用してきた。2018年度あったかふれあいセ ンター事業の1か月の実績分析結果を抜粋し、上 位6自治体をみると表1のようになる。 高知県下での「多機関協働事業」を実施してい るのは、高知市、黒潮町、中土佐町の3市町であ る。高知市は資源が豊富なことから県の「あった かふれあいセンター事業」を実施していないため、 自治体規模からも黒潮町との比較をいくつかの視 点で見ておきたい。 表1 あったかふれあいセンター事業の機能別にみた支援回数(上位6自治体) 実施市町村 事業者数 機能数 集い サテライト 訪問 送る 生活支援 つなぎ 相談 課題の発見 移動手段の確保 預かる 配食 働く 泊まり 合計回数 実施数 30 13 30 27 28 27 30 23 22 16 9 10 8 5 0 黒潮町 総支援量 4 11 1,435 13 284 736 682 38 30 3 4 19 81 3,325 構成比 43.2% 0.4% 8.5% 22.1% 20.5% 1.1% 0.9% 0.1% 0.1% 0.6% 2.4% 100.0% 佐川町 総支援量 4 9 1,841 149 197 552 278 26 98 20 21 3,182 構成比 57.9% 4.7% 6.2% 17.3% 8.7% 0.8% 3.1% 0.6% 0.7% 100.0% 四万十市 総支援量 3 11 1,020 126 610 845 567 61 162 48 84 318 149 3,990 構成比 25.6% 3.2% 15.3% 21.2% 14.2% 1.5% 4.1% 1.2% 2.1% 8.0% 3.7% 100.0% 四万十町 総支援量 3 11 1,307 289 138 524 346 20 5 1 3 28 7 2,668 構成比 49.0% 10.8% 5.2% 19.6% 13.0% 0.7% 0.2% 0.0% 0.1% 1.0% 0.3% 100.0% 土佐市 総支援量 3 9 1,060 176 177 430 354 57 24 22 22 2,322 構成比 45.7% 7.6% 7.6% 18.5% 15.2% 2.5% 1.0% 0.9% 0.9% 100.0% 中土佐町 総支援量 3 9 1,342 93 124 130 52 136 8 6 28 1,919 構成比 69.9% 4.8% 6.5% 6.8% 2.7% 7.1% 0.4% 0.3% 1.5% 100.0% 6市町 総支援量 8,005 846 1,530 3,217 2,279 338 327 100 91 414 230 29 17,406 構成比 46.0% 4.9% 8.8% 18.5% 13.1% 1.9% 1.9% 0.6% 0.5% 2.4% 1.3% 0.2% 100.0% 県全体 総支援量 18,372 5,995 2,666 6,535 3,487 473 504 363 226 546 780 101 40,048 構成比 45.9% 15.0% 6.7% 16.3% 8.7% 1.2% 1.3% 0.9% 0.6% 1.4% 1.9% 0.3% 100.0% (注) 事業者数は、あったかふれあいセンターを運営している事業者の数(=センター数) 機能数は、「集い」に始まり、「泊まり」 までの諸機能の実施数。 支援総量は、それぞれの機能における支援回数の単純合計。 (資料)日本福祉大学福祉政策評価センター提供の利用実績データ分析の結果
黒潮町も中土佐町も、①センター数、②センタ ーが備えている機能数、③1か月の総支援回数に おいても、県下トップの水準である。中土佐町を 機能別にみると「集い」事業を中心軸として組み 立てられており(全体の46%)、分散居住となる 中山間地に対応するために、さらに「サテライト」 を展開する仕掛けとなっている。県全体でみたサ テライトの支援回数は、全体の15.0%となり、セ ンター整備数を補完することから、3センター以 上設置している上位の6自治体では相対的に低く なっている。 黒潮町では、「送る」という移動支援や「生活 支援」が相対的に高く、両者の合計で「集い」の 支援回数と同水準となっている。これに対し、中 土佐町では圧倒的に「集い」が高く、その機能を 核としながら諸機能を展開する傾向にあり、やや 「つなぎ」の支援が高くなっている。「生活支援」 や「つなぎ」は、いずれも多機関協働を必要とす る機能ということができ、モデル事業の背景とし て、それらの実績が影響しているということがで きる。 第2に、黒潮町も「地域福祉タイプ」というこ とができ、地域福祉計画の普及とともに、多機関 協働事業に取り組んできた経緯がある。「あった かふれあいセンター事業」は地域福祉計画におけ る必須プログラムであり、両自治体とも、地域福 祉計画を通して、その整備を進めてきた。また、「あ ったかふれあいセンター事業」を通して明らかと なった課題を、地域福祉計画の見直しへと反映さ せる点でも共通している。 第3に、両者の違いに触れておきたい。黒潮町 では、第2期地域福祉計画において、地域力強化 の事業を活用した地域住民との交流等(ベクトル B)を重視している。その背景には、「あったか ふれあいセンター事業」の運営を社会福祉協議会 のみが実施しているわけではなく、NPOが主に 関わっていることがあげられる。その点では、あ ったかふれあいセンターでの成果を社会福祉協議 会の地域福祉活動に結びつけるプログラムを導入 する必要が生じている。また、多機関の連携とし て、高知県のもう1つの単独補助である集落活動 センターvが位置づけられており、庁内連携とし ても地域振興の部門との連携が重視されている。 これに対して、中土佐町では、以下で詳細に触 れるように、相談機関・組織(ベクトルC)への 働きかけが重視されている。中土佐町ではあった かふれあいセンターのすべてを社会福祉協議会が 運営しており、社会福祉協議会運営のなかで小地 域福祉活動との連携が進んできたため、多機関協 働事業の枠組みとしては、相談組織との連携が事 業の展開の基本となる。
4.地域福祉計画の進行管理と多機関協
働事業の展開 -分析2
以下では、中土佐町の多機関協働事業の全体像 (2019年度)を示しながら、これまでの比較のな かで示された中土佐町の特徴を形づくる背景や、 比較検討のなかで示し得なかった特徴について明 らかにする。その際、できる限り地域福祉進行管 理の会議での協議内容に触れながら、図1の分析 枠組みで示した進行管理の機能(D1,D2,D3) を明らかにしたい。また会議での議論を踏まえた 今後の多機関協働事業における改善課題について も整理しておく。 1)人材育成を背景にした包括化推進員の配置 第1の特徴は、小規模自治体であるにも関わら ず、「相談支援包括化推進員」を4名配置した点 の条件・背景である。なお、補助金との関係では、 2.5人分として充当されており、図2のAとCが1.0 人、Bが0.5、Dが0.0(町直営包括)となる。分析 枠組みの第3で指摘したように、この判断は、包 括化推進員が新たな包括的相談窓口を開設し担当 するのではなく、既存の相談窓口を横つなぎしな がら複合的な生活課題を抱えることを想定したも のといえる(ベクトルD3)。 具体的には、Bは生活困窮者自立相談支援事業 を、Cは2次相談機関である「権利擁護支援セン ター」事業を、Dは地域包括支援センターの係長 を、それぞれ兼務している。包括化推進員をまとめる役割を果たしているAは、地域福祉課長であ り、「あったかふれあいセンター事業」で地域福 祉コーディネーターを担ってきた人材のためセン ターでの相談機能の経験を有する。 実際に、中土佐町の包括化推進員へのインタビ ューでは、「自分がどの立場、役割で関わるのか、 兼務する担当としてなのか『包括化推進員』とし てなのか、始めはかなり線引きが難しいと感じた。 しかし、立場、役割を複数持つことで既存会議へ の提案が容易となったり、自身の担当業務への見 方の深みが感じられたりするなど、解決力の向上 や手ごたえを感じている」との意見が出されてい る。進行管理の会議そのものが、人材育成の機能 ともなり、兼務によって複数の機能を発揮できる 条件を生み出してきたといえる(ベクトルD2)。 2)地域社会への包摂を視野に入れた「地域福祉 モデル」 第2は、「地域福祉タイプ」に関するもので、 黒潮町の比較のなかで少し触れているが、あった かふれあいセンター単位に町独自の展開である 「小地域ケア会議」が設置され、ケースを吸い上 げる機能に結びついている成果についてである。 「あったかふれあいセンター事業」における相談 事業や地域支援の展開として実施される、地域住 民が担う「地域ふくし活動推進委員」(図2の下段) の協力によって「小地域ケア会議」が運営され、 支援課題の困難性に応じて上位の会議に結びつけ ている。実際、「安心生活応援ネットワーク会議」 において検討された6ケース(2018年度)のうち、 3ケースは「小地域ケア会議」から上がったケー スであった。 また、こうした支援課題のケースについても、 地域社会が包摂性を発揮し専門職の支援を受けな がら地域生活に戻していく機能を確保することが 必要となる。進行管理の会議でもこの点が論点と して出され、「あったかふれあいセンター」とい う地域福祉の拠点に蓄積されてきた資源と人材を 活用できることが確認されている。とくに、「地 域ふくし活動推進委員会」にこの機能を果たすこ とが期待され、新たな地域力強化事業の課題とし ての「参加支援」viへの取組みを進めてきた点が 確認されている(ベクトルD1)。 こうした地域力強化事業を担う人材としてコミ ュニティソーシャルワーカーが絶えず論議される が、中土佐町の場合、あったかふれあいセンター の地域福祉コーディネーター経験者である事務局 地域福祉課職員が主となり、あったかふれあいセ ンターとともに生活支援コーディネーターをも連 動する条件が整えられている。その意味では、先 図2 多機関協働事業と地域力強化推進事業の運用構造 (資料) 中土佐町地域福祉計画進行管理事務局会(2019.7.25.)の資料を簡略化
の表1において「集い」の高い支援回数が示され ているが、その場をどうニーズ把握の場として活 用するかに加え、「集い」を活用した「参加支援」 についても従前から意識されてきたと言える。 3)スクリーニング機能を有する会議の重層構造 第3は、包括化推進員の4名による「コア会議」 を踏まえて、モデル事業の要綱上の「相談支援包 括化推進会議」に相当する「安心生活応援ネット ワーク会議」を開催するという仕組み・重層構造 に関する特徴である。あらためて各会議の構成メ ンバーと内容を説明すると表2となる。「相談支 援包括化推進会議」の関係者の共通理解を図るた め、「安心生活応援ネットワーク会議」という名 称が採用された。相談窓口を新設することを避け る意味でも、「安心生活応援ネットワーク会議」 に全ての相談をあげる訳でないことが重要、との 議論がたびたび進行管理の会議で共有されてき た。「地域づくり・資源開発会議」は、具体的な 地域づくりや資源開発の検討することを目的とし た会議である。 これまで進行管理の会議のなかで、次の2点が 深められてきた(ベクトルD2)。1つは、「コア 会議」におけるスクリーニング機能の強化に関す る議論である。包括化推進員による「コア会議」 でのスクリーニングは、上位会議である「安心生 活応援ネットワーク会議」の適切な機能を保ち負 担軽減にもつながる。困難ケースを1つのテーブ ルに乗せ、各支援機関の対応を整理しながら絡ま りを解きほぐし、役割分担を行うマネジメントが 行われることで、それぞれの「相談支援」の包括 化を推進する役割が目指されているのである。 もう1つは、「安心生活応援ネットワーク会議」 の機能や質を高める対応として、権利擁護支援セ ンター職員の関わりを確保するなかで専門相談機 能を取り込み、法律職や専門家の定期的なスーパ ービジョンを受ける仕組みを用意したことであ る。権利擁護支援センターは2次相談機関として、 権利擁護に関わる地域包括支援センターや行政の 健康福祉課窓口、障害の相談事業所の1次相談機 関をバックアップする構造となっている。 4)今後の多機関協働事業の展開課題 最後に、2019年7月の進行管理の会議のなかで の協議された課題について触れておく。多機関協 働事業の評価作業が会議の中心テーマになること から、モデル事業の委託先の社会福祉協議会にお ける課題の検討が主となる傾向にある。多機関と いっても社会福祉協議会内での協働(連携)が議 論の多くを占めざるをえない。だからこそ人材育 成の機能も果たせた面もあるが、直営包括を含む、 少なくとも行政の福祉相談の窓口部門との協働の 表2 安心生活ネットワーク会議等の内容 会議名 構成メンバー 内容 コア会議 (包括化推進員会議)(+必要に応じ要請)包括化推進員 ①多機関協働事業における個別の支援の検討と支援実績の検証②各会議の企画と調整 ③地域生活課題を把握と整理 ④包括化推進員の活動検証に基づいた次展開の検討 安心生活応援 ネットワーク会議 企画内容により選定 ① 把握した事案に対し、実態把握を行い、相談支援機関との連絡調整、必要時個別支援会議の開催、モニタリングを行い、解決に向けた取り 組みを行う。 ② 事案によっては「権利擁護支援センター」を活用し、法律職や専門家 からの助言・スーパービジョンを受ける。事案の終結を目指すとともに、 終結後はフォローアップを行う。 地域づくり・資源開 発会議 (必要に応じ地域力強企画内容により選定 化推進事業担当者や 生活支援コーディネ ーターも参加) ① 地域課題把握のために町内関連各機関との会議やヒアリング等を通じ て地域課題を把握し、専門家や学識経験者から会議運営に関する助言 を得て課題解決のための課題整理や優先順位づけを行い、地域づくり や資源開発を具体的に検討する。 ②「協議体」や「地域ふくし活動推進委員会」と連携した取組を行う。 (資料)中土佐町地域福祉計画進行管理事務局会の資料から
あり方に充分議論が及んでいないことが論点とし て出された(ベクトルD3)。 この点での改善策として、行政の相談部門が小 地域福祉をベースとした課題の吸い上げやあった かふれあいセンターのもつ相談機能などへの認識 を高め、また「地域包括ケアタイプ」が指向して いる地域レベルでの住民と共同活動への参加を模 索する必要がある。その際、社会福祉法人等の専 門職や障害分野での相談支援部門の参加について も課題とされた。すでに、相談窓口のみでは把握 しきれない潜在的な相談者の情報共有の方式(「か あらんシート」による情報共有)に着手している ことから、その充実のなかで行政との協働の推進 が確認されている。
5.おわりに
中土佐町の事例分析をどう普遍化するか、いく つかの留意・工夫を講じてきたがいまだ限界があ ることを十分認識している。以下では、市町村自 治体における地域福祉計画の進行管理という過程 を通したマネジメントによって、多機関協働事業 の円滑な推進を図ることが有用であることに関連 して、3点指摘しておきたい。 第1は、進行管理の場が多機関協働事業という マネジメント機能が求められる人材育成の場とし て機能しうることである。これまで地域福祉計画 の策定過程での人材育成機能が期待されてきた経 緯から、地域懇談会等、地域支援における養成の 場としての性格が強調されていた。しかし、地域 福祉計画の課題が包括的支援体制といった相談を 含む地域生活課題への対応全般となるなかで、む しろ進行管理の場でのマネジャー層の人材育成が 期待される。 第2に、多機関協働における包括化推進員が少 人数の規模で配置されたとしても、なかなか十分 な成果が出しきれていない現状にある点を考える と、兼務型による人材の集合体として包括的な支 援体制の多面的な役割を担う方式の有用性につい てである。中土佐町の場合には小規模自治体なら ではの人材面・財政面での苦しい事情があるにせ よ、一定の成果が出ている。包括化推進員を地域 福祉のマネジャーの役割として位置づけ直した場 合、兼務が可能な相談支援等の部門における本来 業務に、うまく付与できるかが課題となる。その ために地域福祉計画の進行管理の会議の場が、包 括化推進員に地域福祉のマネジャーの役割を再認 識させる機能を持つといえる。多機関協働の単な るシステム化(相談支援包括化推進員配置+相談 支援包括化推進会議の設置)だけではうまく機動 しないという課題に対して、住民の参加そしてチ ェック機能を担保し、包括化推進員の使命感を高 めることで克服することを地域福祉マネジメント は想定している。 第3に、本モデル事業による構造上の「インプ ット」が、ダイレクトにモデル事業が目指す成果 「アウトカム」にどう結びつくかのみではなく、 市町村における地域福祉の推進や地域福祉行政の 形成に結びつくという「スループット」の機能を 地域福祉計画の進行管理の会議におけるマネジメ ントが果たしていると判断している(平野2019)。 本モデル事業の持続的な条件整備の観点から、包 括化推進員が孤立しない、行政組織機構上の改革 への模索を推進するような波及性も必要となる。 現行の福祉行政機構は、制度福祉の運用を軸に構 成されており、その改革課題として、包括的支援 体制の構築が視野に入っていると想像される。そ の場合に、本モデル事業の実施過程のなかで、そ のような福祉行政機構の改革を視野に入れて取り 組むためには、地域福祉計画の進行管理という媒 介機能を持つ場が必要なのである。 本研究は、私立大学戦略的研究基礎形成支援事 業(2015~2019年度)「重複化する福祉制度の設 計と自治体運用に関する評価とフィードバック」 の成果の一部をなす。なお、同研究プロジェクト の成果として発刊される平野隆之(2020)『地域 福祉マネジメント-地域福祉と包括的支援体制』 (有斐閣)の第7章に、本論文は大幅に加筆・修 正され掲載されている。参考文献 岡本薫(2010)『Ph.P手法によるマネジメントプロセス分 析―国・自治体・企業・団体・学校などあらゆる組織の ガバナンスのための方法論 』商事法務. 小木曽早苗(2015)「中山間地と被災地における地域福祉 拠点・人材・計画の循環性-高知県中土佐町と宮城県女 川町の参与観察から」日本地域福祉学会『日本の地域福 祉』第28巻、83-94. 小木曽早苗(2019)「高知県中土佐町における権利擁護支 援の形成へのアクションリサーチ」日本福祉大学社会福 祉学部・日本福祉大学福祉社会開発研究所『日本福祉大 学社会福祉論集』第140号、89-110. 奥田佑子・平野隆之・榊原美樹(2012)「共生型プログラ ムの新たな動向と都道府県における地域福祉政策―全国 都道府県調査と熊本県・高知県の比較から」日本地域福 祉学会『日本の地域福祉』第25巻、61-73. 永田祐(2017)「『全世代・全対象型地域包括支援』の展望」 川島ゆり子・永田祐他編『地域福祉論』ミネルヴァ書房. 日本福祉大学アジア福祉社会開発研究センター編(2017) 『地域共生の開発福祉-制度アプローチを越えて』ミネ ルヴァ書房. 平野隆之・朴兪美・澤田和子(2013)「地域福祉計画にお ける進行管理と地域福祉行政の形成-市町村地域福祉計 画(第2期)調査の結果から」日本地域福祉学会『日本 の地域福祉』第26巻、41-52. 平野隆之・小木曽早苗・朴兪美・奥田佑子(2018)「高知 県との地域福祉共同研究プロジェクトの展開と成果-ア クションリサーチのプロセス分析から-」日本福祉大学 社会福祉学部『日本福祉大学社会福祉論集』第137号、 85-99. 平野隆之(2019)「地域福祉政策研究の対象と方法」日本 地域福祉学会『日本の地域福祉』第32巻、3-12. 穂坂光彦・平野隆之・朴兪美・吉村輝彦編著(2013)『福 祉社会の開発-場の形成と支援ワーク』ミネルヴァ書房. 注 ⅰ)中土佐町は、1957年7月に久礼町・上ノ加江町が合併 し誕生した旧中土佐町と大野見村が2006年1月合併し 誕生した。人口6,794人、世帯数3,517世帯、高齢化率 45.9%(2019年5月末現在)で総面積193.28km3の町 である。 ⅱ)あったかふれあいセンターとは、年齢や障害の有無に かかわらず誰もが気軽に集い、必要なサービスを受け ることのできる小規模・多機能な地域福祉の拠点であ る。コーディネーターやスタッフを常駐させ、支え合 いの弱まった地域の中で世代間の交流等につなげ、地 域実情にあった新しい支え合いの形を再構築すること も目的とされている(高知県HP)。2018年度31市町村 48カ所231サテライトで実施。 ⅲ)小木曽(2019)において作成し掲載した表を一部抜粋 した。 中土佐町における国のモデル事業の取組みと 地域福祉計画進行管理への大学の参加の推移 2013年度 (H25)2014年度(H26)2015年度(H27) 2016年度(H28) 2017年度(H29) 2018年度(H30) 国のモデル事 業の実施 安心生活 創造推進 事業 安心生活 創造推進 事業 共助の基 盤づくり 事業 共助の基盤 づくり事業 共助の基 盤づくり 事業 多機関の協 働による包 括的支援体 制構築事業 地域福祉計画 の進行管理 第1期計 画進行管 理 第1期計 画進行管 理 第1期計 画進行管 理 第2期計画 策定及び第 1期計画進 行管理 第2期計 画進行管 理 第2期計画 進行管理 ⅳ)平野隆之他(2018)において、同推進連絡会について 詳しく分析している。 ⅴ)「集落活動センター」とは、地域住民が主体となって、 地域外からの人材も受け入れながら、旧小学校や集会 所などを拠点に、それぞれの地域の課題やニーズに応 じて、生活、福祉、産業、防災といった様々な活動に 総合的に取り組む仕組み(集落活動センターポータル サイトえいとこ高知) ⅵ)「参加支援」は、地域共生社会推進検討会『中間とり まとめ』(2019)で用いられた新たな支援概念である。
Advancement of “Multi-institutional Collaboration Projects” through
Community Welfare Plan Progress Management - Participatory Observation
Research on a Model Project in Nakatosa Town, Kochi Prefecture
-Takayuki Hirano, Sanae Ogiso
Summary
This case study shows that it is beneficial for the advancement of multi-institutional collaboration projects to utilize not only the establishment process of community welfare plans, but also the progress management process of such community welfare plans in municipalities. This is clarified through the case of Nakatosa Town, Kochi Prefecture. In addition, by building on analysis results from other local governments in previous studies on multi-institutional collaboration projects, the case of Nakatosa Town is viewed in a relative light through comparison, leading to the universality of the research.
The Nakatosa Town Project is categorized as being of the “Community-based Welfare Type” and is based on the outcomes of the “Welcome Center Services” operated by the local social welfare council. Four comprehensive promotion managers provide solutions for problems in comprehensive support and they have concurrent functions with their respective consultation departments. Therefore, meetings are divided according to functions through multi-tiered management system.
A meeting platform to manage the multi-institutional collaboration project is secured in form of a conference for community welfare plan progress management. By receiving advice from university researchers, the model project is appropriately managed along with personnel training for comprehensive promotion managers. This mode of operation requires that the multi-institutional collaboration project contribute to the promotion of community-based welfare, and can be used as a universal management technique for other municipalities.
Keywords : community welfare plan, progress management, multi-institutional collaboration project, comprehensive