1 はじめに 学校は次世代を担う子供たちが集う教育活動の場であ り、児童生徒にとって健康で安全・安心な学びの場でな くてはならない。新型コロナウイルス感染症の蔓延拡大 にともない2020年3月に学校が休校し、2020年6月には 学校が再開した。「学校の新しい生活様式」1) が文部科学 省から示され、これまでにない対応を余儀なくされる 中、養護教諭は学校保健活動の中核的役割を担い、日々 子供たちの安心安全と心身の健康の保持増進に尽力して いる。 本学会の使命は、「今を生きようとする子供たちの心 や体の健康課題に対応する養護教諭の実践とその根拠と なる理論との融合を図り、教育科学として教育現場に還 元されるような健康相談活動の展開に応えること」であ る。学校教育に健康相談活動を生かすことは子供たちの 自己実現に寄与するものである。 このような使命のもと、新型コロナウイルス感染症の 蔓延下における2020年5月及び8月に本学会が独自に実 施した「新型コロナウイルス感染症に伴う養護教諭の実 践に関する緊急アンケート(第1回・第2回)」の実施 経緯とその結果の概要について報告する。なお、詳細は 本学会ホームページに「第1回」「第2回」の各報告書 が掲載されているので参考にしていただきたい。 2 緊急アンケート調査の実施に至った背景と趣旨及び 特徴 1)突然の休校 2020年2月29日、全国の学校が突然休校となった。未 知なる新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐため である。養護教諭は子供たちの命と健康を守り育てる責 務を担っている。この休校措置は、今後の学校生活への 戸惑いや不安、緊張を生じさせた。学校において感染対 策の最前線に立つ養護教諭に学会として何ができるか検 討した。 2)三木理事長による緊急メッセージの発信 これまでも本学会では、東日本大震災をはじめとした 自然災害等の発生時、日々の実践に悩みながら尽力する 養護教諭に対して、情報や応援メッセージを発信してき た。今般の新型コロナウイルス感染症の蔓延は、過去に 経験したことのない未知なるウイルスとの闘いでもあ り、見えない相手(ウイルス)が子供たちの心身の健康 に及ぼす影響を鑑みつつ、「健康の危機管理」にどう向 き合えばよいか、養護教諭の職務の基本原則を改めて認 識するとともに、感染症対策の基礎基本に基づき、三木 理事長がYouTubeを通じて、「緊急メッセージ」を発信 した。会員からは、自身の立ち位置やチームで対応する 際のコーディネーターの必要性を改めて認識した、自分 は一人ではないと理解し安心した、学会としてのこのよ うな発信に勇気づけられた、との反響が相次いだ。一方 で、より具体的な困りごとが多々あるという 声 が 挙 がった。 3)実態をふまえた対策を講じる―「緊急アンケート調 査」の実施へ― 今まで経験したことのない状況に養護教諭は戸惑って いた。新型コロナウイルス感染症が蔓延するなかでの各 学校の実態や養護教諭の困りごとを把握し、学校再開に 向けて休校期間中に準備できることを検討するために緊 急アンケートを実施することとした。休校措置による自 粛生活は心と体の健康に影響を及ぼすことが予測され る。また学校再開後の感染対策の方法や登校時の健康観 察の在り方、学校に感染を持ち込まない水際対策、授業 や学校生活の在り方等、検討しなければならない課題が 山積すると考えられた。そのため、学校現場に必要な養 護実践の在り方を模索し、学会として発信する必要があ ると考えWebによる緊急アンケートを実施した。 4)緊急アンケート調査の特徴 緊急アンケート調査の特徴及びコンセプトは以下の通 りである。 ①新型コロナウイルス感染症発生前の「平時」から発 生後の「有事」、そして「新しい生活様式」が提言 され、それが時間の経過とともに「平時」に移行し ていく中での実態を継続的に把握し、必要な提言 を、適時、スピード感をもって発信していくことに 意義がある。 ②学会理事等の有識者があらかじめ協議し、今後学校 現場や養護教諭に必要と考えられる事柄をアンケー
新型コロナウイルス感染症に伴う養護教諭の実践に関する緊急アンケート
(第1回・第2回)報告
Report on a
Yogo
-practice questionnaire on COVID-19
日本健康相談活動学会 緊急アンケート特命担当理事
大沼 久美子(女子栄養大学)
特別報告 新型コロナウイルス感染症に対する学校の現状と取組
ト項目に設定する。 ③調査項目の設問は養護教諭の職務役割ごとに分類 する。 ④会員のみならず会員以外の養護教諭も調査対象と する。 ⑤養護教諭が自校で工夫している実践を情報共有でき るよう、自由記述欄を設け情報を収集する。 ⑥学会への要望を吸い上げ、次に反映させ生かす。 3 調査概要 1)調査目的 学校保健の専門職としての養護教諭がとらえた学校の 現状や実態、困っていることや実践の工夫を把握し、今 後のよりよい手立てを検討することを目的とする。 2)調査方法 ⑴ 調査期間 ①第1回 2020年4月29日(水)∼5月11日(月)(学 校休校措置期間中) ②第2回 2020年8月5日(水)∼8月25日(火)(学 校再開後、1学期が終了した時点) 3)調査対象 本学会員・本調査についてホームページ等で情報を得 た非会員(現職養護教諭、学校保健に携わる行政担当者、 学校医、スクールカウンセラー等) 4)調査方法 Web調査(日本健康相談活動学会ホームページへの 掲載及び会員向けメール送信) 5)調査内容 属性(勤務学校種・職種・経験年数・勤務地)、新型 コロナウイルス感染症の対応で困っていることの有無、 困っていることの詳細(職務役割別の自由記述)、現在 実施している、または検討している工夫や実践(自由記 述)、感染症対策活動の実施状況、現状を踏まえた養護 教諭に必要な資質能力(自由記述)、学会への要望(自 由記述)等 6)倫理的配慮 本調査の目的を明記するとともに、自由意思による回 答とした。結果の表記には個人が特定されるような記載 は行わないことを明記した。Web送信をもって調査の 同意が得られたものとした。 7)分析方法 単純集計及び自由記述回答は個人が特定できるような 情報は削除し、文脈を損なわない程度に修正し文章を表 記した。 4 結果及び考察 1)属性(表1) 第1回調査の回答者数は、246名(会員110名:44.7%、 非会員136名:55.3%)、第2回調査:回答者数は、470 名(会員101名:21.8%、非会員362名:71.2%)である。 回答者の学校種等所属の属性は表1のとおりである。回 答者の地域は、北海道から九州・沖縄まで全国から回答 が得られた。回答者の経験年数は、経験が浅い養護教諭 から30年以上の経験豊富な養護教諭まで回答が得られ た。詳細は学会ホームページに記載されているので参照 されたい。 2)新型コロナウイルス感染症に関連して学校保健活動 で困っていること(図1・図2) 第1回調査及び第2回調査ともに、「困っていること がある」と回答した者は9割以上を占めた。また、第1 回調査では、「何に困るのかわからない」と回答した者 も8%程度であった。 困っていることを養護教諭の職務内容に分けて尋ねた 結果は、図2のとおりである。第1回調査をふまえ、第 2回調査では「感染症対策や消毒作業に関すること」「新 型コロナウイルス感染症罹患者や濃厚接触者、PCR検査 者等に関すること」「性に関すること」「保護者対応に関 すること」の設問を追加した。また第1回調査では「児 童虐待や心の健康に関すること」としていた設問を「児 童虐待に関すること」と「心の健康に関すること」に分 けて調査した。 ⑴ 「感染対策・消毒作業」の負担が増大 学校は子供たちを感染から守るために、教職員が中心 となって消毒作業に追われた現状が明らかとなった。養 表1 回答者の属性(学校種等) 第1回(n=246) 第2回(n=470) 実数 % 実数 % 幼稚園 3 1.2 6 1.3 小学校(小・中一貫校の小学部、義務教育学校の小学部含む) 89 36.2 171 36.4 中学校(小・中一貫校、中等教育学校の中学部を含む) 79 32.1 143 30.4 高等学校(中・高一貫校の高等部を含む) 47 19.1 109 23.2 特別支援学校 8 3.3 16 3.4 行政関係者 4 1.6 4 0.9 大学等での養護教諭養成関係者 14 5.7 14 3.0 その他の職種 2 0.8 7 1.5 合計 246 100.0 470 100.0 118
護教諭の自由記述には以下のような内容がある。 ・職員の協力で、生徒の下校後に学校内の消毒を行っ ている。 ・放課後の教職員による消毒作業は、職員で協力して 終わらせるよう方法を考える。 ・職員による放課後の消毒は、グループでエリアの消 毒を行うようにし、個人への負担を少しでも軽減 する。 ・なるべく消毒の負担を軽減するため、道具や材料を 揃えるようにした。 ・移動範囲や来校者の制限を行うとともに消毒を徹底 した。 ・児童の帰宅後に共有物の消毒を行った。 ・丁寧な清掃をすることや家庭用洗剤を使って定期的 図2 困っている職務内容(複数回答) 図1 新型コロナウイルス感染症に関連して学校保健活動で困っていること 119
に消毒する。 ・全教職員で器具を消毒し、手指の消毒薬は保健部職 員が配置・補充する。 一方、以下のような記述も見られた。 ・手洗いを徹底する。次亜塩素酸ナトリウムのように 取り扱いが大変だと持続可能な消毒が難しかった。 消毒方法が少し緩和されてきたため、手洗いの実施 を徹底し、最小限の消毒になり負担が減ってきた。 アルコール消毒液の確保は課題。 ・過度の消毒にならないように手洗いの徹底を強く呼 びかけている。 ・消毒作業は、中学校区で同じような対応になるよう に情報共有をしながら行う。 ・生徒に自覚してもらうために生徒自身に行わせた り、日常の清掃活動中に職員と生徒が協力したりし て実施する。 学校再開当初は、教職員が日常の教育活動を行いつ つ、放課後は消毒作業を学校全体で分担し実施してい た。その負担はとても大きかったことがわかる。消毒作 業の負担を軽減するために様々な工夫を凝らしていたこ とも明らかとなった。共用物の消毒については、アル コールを使用することにより簡便に手早く実施すること ができる。そのため、アルコールの確保を求める声が挙 げられている。また子供たちや教職員には、アルコール による手指消毒に頼らず、石けんと流水による十分な手 洗いを基本1) とし、感染対策を行うよう働きかけている ことがわかる。 共用物の消毒に次亜塩素酸ナトリウム水溶液は子供に 使用させることができず、さらに2度ぶきが必要とな る1) ことから、教職員にとっては負担が大きい。そのた め、簡便なアルコールでの消毒が求められ、アルコール 製剤の確保は今後も重要と考えられる。一方で、保健教 育の一環として子供たちや教職員の感染対策に石けんに よる手洗いの励行や、界面活性剤入りの食器洗い用洗剤 でのふき取り等も子供には使用が可能になることから、 日常の清掃活動に取り入れ、子供自身が自分たちの学習 環境を生活に保つ教育活動が展開され始めていることも 感染発生当初とは変化してきている現状である。 ⑵ 健康診断の実施について 第1回調査における養護教諭の一番の困りごとは「健 康診断に関すること」(78.1%)であった。第2回調査 でも65.8%であり、「感染対策・消毒作業に関すること」 に次いで多かった。 健康診断は年度当初に行う養護教諭にとって重要な職 務であり、子供たちが安全に学校生活を営むために必要 な学校行事である。休校措置に伴い、子供たちはSTAY HOMEが呼びかけられたことから、運動不足、生活習 慣の悪化が予測された。学校が再開し「新しい生活様式」 が示され、いつもと異なる学校生活が始まった。常時マ スクを着用することとなり、これらによる心身のストレ スが予測できた。このような状況の中、子供たちは健康 診断を行わずに学校生活を過ごしてよいのか、どのよう に感染対策を行いながら健康診断を実施すればよいのか 困っていた。 以下のような記述がある。 ①第1回調査の記述 ・プール指導や宿泊行事前に健康診断を終えることが できない。そのままでよいのかとても不安。 ・健康診断を実施する上でも、アルコール消毒液や、 手袋が不足していて、安全に健康診断を実施できる か心配である。 ・三密をさけての検診は、例年の1.5∼2倍の時間が かかるのではないだろうか。 ・学校医等との日程調整や実施時期、実施方法はどの ようにしたらよいのだろうか。 ・コロナの患者さんと接しているかもしれないお医者 さんに診てもらうことについて、児童や保護者から 苦情が出た場合にどのように対応したらよいのか。 ・現段階では見通しが立たないが、急に学校再開が決 まった時に、行事や体育の内容によっては健診が必 要となる。日程が決まっておらず心配である。 ・またいつ休校になるかわからない日々の中で、心電 図検査、尿検査等をすべきかどうか判断がつかない。 ・限られた学校の時間内で、感染予防対策をしながら スムーズに心電図検査等を実施することができる のか。 ・教職員の理解を得ることや感染予防のためにどこま ですればよいのかわからない。 ②第2回調査の記述 ・健康診断の実施を感染予防に努めて行うように通知 があったが、具体的な予防法がなく困っている。 ・医師との日程調整や健診日程調整を行っているが、 何度も変更になっている。 ・感染症対策と実施方法の見直しが大変である。 ・眼科・耳鼻科・歯科がまだ実施できていない。対策 がきちんととれるか不安である。 ・ソーシャルディスタンスは、守ることはできるが準 備する物品が学校医によって異なるため 確 認 が 必要。 ・実施期日は「年間を通して計画する」ことになった ため学校行事等との関連で気を遣う。 ・検診か延期になっている。 ・検診の日程を組んでも、地域の感染状況により日程 変更が繰り返されている。いつ実施できるのかわか らない。休校で、実施できていない項目がある。 ・教育委員会が直前に方針を変えるので、事前に調整 していたにも関わらず3回目の延期となった。 ・歯科検診は歯科医からもリスクが高いと言われ、実 施に不安がある。 ・実施するタイミングが難しく日程が決まらない。歯 120
科検診、眼科検診は実施してもいいのか曖昧であ る。 ・延期になり、実施の見通しが立たない。 第2回調査では、一度決定した日程についても、再 度、延期や変更を余儀なくされている現状が見える。 ⑶ 健康観察に関する困難感 健康観察については、第1回調査でも第2回調査でも 約半数近くの養護教諭が困りごとを抱いている。 ①第1回調査の記述 ・毎日の検温など、文書や保健だよりでお願いするが 保護者の意識が徹底されない。 ・保護者と共通認識のもと健康観察体制を作ることが 難しい。 ・非接触体温計がほしい ・風邪症状でも出席停止とすることができるように なったが、校長の判断によるため対応が難しい。 ・校舎内に入る前に有症状者を見つける体制づくりが 難しい。 ・教員の意識の統一を図ることが課題である。 ・保護者との連携が課題である。 ・保健室から提案しなければ、なかなか学校としての 対策が進まない。 ・学校再開後の毎朝の検温チェック体制づくり、体温 測定を忘れた生徒への対応が課題である。 ・朝の検温や健康観察だけでよいのか不安。 ・コロナ対応の健康観察の場合、昇降口前で実施しな ければならず、天候に左右されるため難しい。 ②第2回調査の記述 ・毎朝の検温や健康チェックを行うが、判断基準が統 一されておらず、困っている。 ・毎朝の検温カードの点検作業に時間がかかる。 ・個別の健康観察カードの作成、配布、点検に時間を 割いている。実施がマンネリ化している。 ・毎日、健康観察カードを全員に提出させることが難 しい。 ・出席停止措置の線引きが非常に難しい。 ・毎日の検温指導の徹底が厳しい。 ・家で体温を測って来ない児童がおり、学校で測ると 発熱している児童がいたりする。 ・家庭で検温と健康観察をお願いしているが、できな い家庭がある。体調不良で早退させるかの基準が難 しい。 学校再開後は、保護者との連携のもと、健康観察が日 常化されてきた。検温をして登校することは「当たり前」 になってきた一方で、「マンネリ化」や健康観察を行わ ない子供も少なからずおり、家庭で健康観察をせず登校 する子供もいる現状がある。学校で体調不良となり健康 観察をすると発熱していることあることから、水際対策 として、より簡便でリスクを評価できる健康観察の在り 方を模索する必要がある。 ⑷ その他の項目 第1回調査では、「児童虐待や心の健康に関すること」 に対する困りごとが54%挙げられた。第2回調査では、 「児童虐待に関すること」が8.1%、「心の健康に関する こと」が37.4%であった。 また、「保健室経営に関すること」は、第2回調査で 4割の養護教諭が困りごとを有しており、第1回目調査 より上回っている。第2回調査の内容として特徴的な記 述は、 ・9月から定期健康診断を実施することになり、コロ ナ感染予防のためのゾーンニングが難しくなる。 ・早退者が待機する場所の確保に困っている。 ・管理職の意向により別室登校をすべて保健室で受け 入れざるを得ない。 ・保健室のゾーニングができていない。 ・コロナが流行した際、精神的な面で来室生徒にどの ように対応していくか方針がない。 ・若年層では無症状であることから、日々の対応に感 染不安がある。 ・担任の感染対策への意識の温度差(過敏と慣れ)が ある。 ・基本的なゾーニングの共通理解や来室時の注意事項 等が疎かになっている。 が挙げられている。 「新型コロナウイルス感染症罹患者や濃厚接触者、 PCR検査者等に関すること」についても4割の養護教諭 が困りごとを抱えており、それらは、個人情報への配慮 や人権への配慮が主な内容である。 5 感染対策活動等に関わる実態(図3・図4) 第2回調査における感染対策活動の実施状況は図3、 必要物品は図4のとおりである。 感染対策に必要な消毒薬や体温計、保健室のゾーニン グや体調不良者への対応については、マニュアル化や体 制整備が行われている現状が明らかとなった。新型コロ ナウイルス感染症の正体が少しずつ分かってきて、年少 者は重症化しないなど言われるようになった。しかし依 然として日々感染者数や重症者数、死者数が報道され、 感染への不安は子供たちに襲い掛かっている。第1波と いわれる3月から4月にかけては、医療従事者やその家 族等に差別的な言動や行動があり、感染=差別が感染対 策を後退させることも示された2)。 そのような中、子供たちの不安に寄り添い、適切な健 康相談を行うことは重要である。またこれまでメンタル ヘルスの課題を有して支援してきた子供たちの状態を把 握し、継続的に支援していくことも重要である。休校期 間中には、ICTを活用したオンライン授業やオンデマン ド授業の試みが行われた地域がある。子供たちの休校中 の心身の健康状態の把握は、ICTを活用することにより 実施することが可能ではないだろうか。実際に、学校の 121
ホームページに相談窓口を開設したり、メールによる相 談を受け付けたりした学校がある。登校中は何となく保 健室を訪れたり、心の問題を身体症状として訴えて保健 室に来室する子供がいたりしたが、休校中の子供たちは 保健室に来室することはできない。学校が再開しても、 感染対策の現状から何時でも誰でも来室できる保健室で はない。子供の心身の状態を積極的に把握する方法を構 築していく必要がある。それには、これまでとは異なる 方法を模索する必要がある。すなわち、電話やインター ネットを介した相談機会の確保や、対面相談の導入とし てのICT機器や機能を活用した相談である。これらにつ いて調査項目を設けたが、必要性は感じていても実施に は至っていない現状が明らかとなり、今後のよりよい方 法の開発が求められる現状が明らかとなった。 6 おわりに 新型コロナウイルス感染症は未だワクチンや有効な治 療薬が開発されておらず、感染者は依然として発生して いる。「Withコロナ」といわれるように、コロナととも に生きる「新しい学校の生活様式」が定着するまでには、 まだ時間がかかる。 これまでと異なる生活を送ることは、心身にストレス を生じさせ健康に影響を与えることは必至である。子供 の心身の状態を把握し、早期対応を図るためにも学校の 現状を養護教諭の視線で把握し、対策を講じていくこと は子供の心身の健康の保持増進に通じると考える。引き 続き、定期的に緊急アンケート調査を実施し実態を把握 していくことは本学会に求められる使命であると考える。 おわりに、コロナ禍の中、本緊急アンケート調査にご 図3 感染対策活動に関わる実施状況 122
協力いただいたすべての皆様に感謝申し上げます。 文献 1)文部科学省:学校における新型コロナウイルス感染症に関す る衛生管理マニュアル∼「学校の新しい生活様式」∼(2020.9.3 Ver. 4)、65 2)日本赤十字社:新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう! ∼負 の ス パ イ ラ ル を 断 ち 切 る た め に∼http://www.jrc.or.jp/ activity/saigai/news/200326_006124.html、(2020年10月9日 ア クセス) 図4 今必要な物品等は何ですか?(複数回答) 123