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聴覚障害児の算数指導に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)聴覚障害児の算数指導に関する研究              特別支援教育学専攻                心身障害コース.                   M10095D                  片岡 加奈. I 問題と目的. い。しかし、実際の算数の授業でどの学年でどんな問.  聴覚障害児の学習到達度について、一般に、「九歳の. 題点があり、どんな工夫が行われているかという具体. 壁」ということはで表現され、小学校3∼4学年段階ま. 的な記述は見られない。. では到達できても、それ以後、学習が停滞し、伸びに.  そこで本研究では、聴覚障害児の算数の指導の工夫. くいことが指摘されている(中野,1983)。. と問題点について明らかにするために、聾学校小学部.  Trax1er(2000)は、アメリカで9∼15歳の聴覚障害児. に焦点を当て、算数の授業を定期的に参与観察し、指. にスタンフォード学力検査を実施し、9歳∼14歳の. 導の工夫、教師と児童、児童同士との対話など学習の. 50%、15歳以上の90%が健聴児よりも算数の学力が. 様子を記録し、算数の指導の工夫と問題点について分. 低いことを示した。算数の学力の伸び悩みの原因の一. 析し、指導の在り方について考察したい。. つとして、四日市(1991)は、聴覚障害者は言語的な概. lI算数授業場面の参与観察. 念の発達が十分でなく、その影響を受けて形成されて. 1.目的:聴覚障害児の算数の指導の工夫と問題点につ. いく論理的な思考も未熟なことが多いこと、抽象的で. いて、授業場面の参与観察を通して、明らかにするこ. 具体化しにくいものはとらえにくいことから学習内容. とを目的とする。. の理解が難しいと指摘している。. 2.方法.  実際に聾学校に勤務している教師からは、児童は抽 象的なことが考えにくいため、算数の時間は、具体物. (1)対象1X県立Y聴覚特別支援学校の小学部に在 籍する児劃小学1年生∼6年生)、及び担当教員. や具体的な経験をさせることで理解させるようにして いると聞いた。では、聾学校では、具体的に、算数の. (2)調査期間:2011年2月及び5月∼7月、総観察時 間数は16日間(23時間)であった。. 理解促進のために、どんな工夫が行われているのか。. (3)手続き:児童の算数の学習場面について、参与観.  中村・黒木(2007)は、全国聾学校の算数・数学担当. 察を行った。また、可能な範囲で教員にインタビュー. 者に対する質問紙調査を実施し、聾学校における算. を行った。. 数・数学指導の工夫と問題点を明らかにした。プリン ト学習、習熟度別学習、手話の活用などが行われてい. (4)分析:観察記録・インタビュー内容をもとに、算. 数の指導の工夫や問題点に関するエピソードを抽出し、. た。抽象的・論理的思考力が問題点とされながらも、. 質的に分析した。. その対策としてプリント学習が多く行われ、基礎的・. 3.結果と考察. 基本的な技能に指導の重点が置かれ、問題点と指導上.  観察記録・インタビュー内容をもとに、算数の指導. の工夫が不一致だと考えられるものが多く見出された。. の工夫や問題点に関するエピソードを抽出し、さらに、. r子どもの実態にあったプリントを作成している」と. 児童の実態や教員の工夫を、それぞれ内容や意味ごと. いう自由記述の回答があったが、プリント学習によっ. に分類した。また、児童の実態と教員の工夫のつなが. て、抽象的・論理的思考カが身につかないとは言い難. りについても検討した。. 182一.

(2)  児童の日本語の能力が不足していることから、言葉. 期間であることから、偏りがあると考えられる。そこ. の読み方や助詞などを修正するなど、算数の学力向上. で、算数指導の内容を全体的に把握し、より詳細に分. に直接影響のない指導を行っていた。算数の思考が中. 析するため、教員に対してアンケート調査を行った。. 断される可能性が考えられる。また、キーワードを取. 2.方法. り上げ、「残り」が出てきたら「ひき算」というルール. (1)対象:X県立Y聴覚特別支援学校小学部の教員. を覚える指導が特に低学年で見られた。しかし、学年. (2)調査期間12011年7月∼8月. が上がるにつれて問題が複雑化するため、キーワード. (3)手続き:郵送によりアンケートを送付し、直接. だけで計算方法を決めるのでは対応できなくなると考. 回収した。. (4)分析:得られた回答から、それぞれ内容や意味. えられる。また、操作活動や絵や図を通して理解させ る工夫がされていた。低学年では操侑舌動や絵を用い. ごとにまとめて、検討した。. て、高学年ではテープ図やO図、線分図を用いて指導. 3.結果と考察. されていた。しかし、児童は線分図の理解が困難であ.  日本語の指導を中心にしているが、文章力がつかな. った。これは、線分図が他の図と比べて抽象性が高い. いことから、日本語中心の指導に課題があると考えら. からであると考えられる。また、文章を理解しても絵. れる。しかし、教員は算数の学力には国語力が影響し. や図に表現できない、絵や図では理解できうが、そこ. ているという考えがあり、児童の実態とのズレがある. から立式に結びっかないなどの実態が明らかになった。. と考えられる。数の概念が身につかない現状があるが、. どのように算数の内容、絵や図、立式の三者をつなげ. 日本語の指導に力を入れてきたことが影響しているか. ていくかが課題だと考えられる。. は明確ではない。しかし、日本語の指導をするため、.  文章題でrはじめはいくつ?」を求めるときにつま. 数の学習時間が減ったり、・算数の思考が中断される可. ずきが見られた。文章題を読んで全体の流れを把握す. 能性が考えられる。また、操侑舌動、絵や図を用いて. るのに困難であることが分かる。また、結果から事象. おり、一定の成果をあげている。具体的なものだと理. のはじめを求めるという逆思考が困難であることが明. 解できるが、抽象的なものだと理解が困難であること. らかになった。決まった流れの中で思考し、r逆操作」. が明らかになった。高学年になるにつれて、抽象的な. の思考の半1」断が難しい、という特徴が考えられる。. 表現の理解が求められるため、どのように指導するか.  小数や分数の内容でっまずくと、簡単な整数の問題. が課題である。また、文章と絵図、立式の三者をそれ. で考えて、そこからルールを導き出し、そのルールに. ぞれどのようにつなげるかが課題だと考えられる。. 小数や分数と当てはめて考えるといった指導がされて. w総合考察. いた。また、分数の問題では流れの型を覚えて、似た.  以上のことから、聴覚障害児の算数教育について、. 問題が出てきたら型に当てはめるといった方法で指導. (1)日本語の指導に重点を置くこと、(2)学習内容・. されていた。しかし、児童の記憶量にも限界があり、. 絵や図・立式の三者をつなげること、(3)具体的なも. 多くの問題の型を覚えることができない。また、全て. のから抽象的なものへ移行させること、(4)逆思考の. の事象が型にはまるとは限らないため、型にはまらな. 考え方の習得、に関して、課題が考えられた。これら. い事象に対して、どのように対応するのかという能力. を児童の実態と合わせでどのように工夫していくかが. を身に付ける指導が必要である。. 今後の課題であると考えられる。. 皿 算数教育に関するアンケート調査.     主任指導教員  鳥越 隆士. 1.目的:参与観察は、限られた学年であったこと、短. ■183皿. 指導教員 鳥越隆士.

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