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Title
輪状甲状間膜穿刺後にたこつぼ型心筋症を発症した一症
例
Author(s)
岸本, 敏幸; 小鹿, 恭太郎; 岡田, 玲奈; 大内, 貴志;
小板橋, 俊哉
Journal
歯科学報, 116(5): 397-397
URL
http://hdl.handle.net/10130/4090
Right
Description
397
歯科学報 Vol.116,No.5(2016)
№29:平成27年東京歯科大学市川総合病院における NST 摂食嚥下チームの活動に関す
る検討
阿部真和1)
,酒井克彦1)
,三條祐介1)
,斎藤寛一1)
,田川 駿1)
,今井琴子1)
,野村武史1)
,
堀田 拓2)
,片山正輝3)
,藤平弘子4)
,大屋朋子4)
,露無松里5)
,貝田将郷6)
3)
(東歯大・オーラルメディシン口外)1)
(東歯大・市病・リハ)2)
(東歯大・市病・脳外)
4) 5) 6)
(東歯大・市病・歯口外)(東歯大・市病・耳鼻)(東歯大・市病・消内)
目的:超高齢社会に伴い日本の高齢者の割合は増加
の一途をたどっている。急速な高齢化により,摂食
嚥下障害を有する高齢者は増加している。急性期病
院に入院し,疾患や手術により禁食となった患者が
経口摂取を再開できるかは関心の高い問題である。
平成28年度の診療報酬改定にて栄養サポートチーム
加算に歯科医師連携加算が新設されるなど,栄養サ
ポートチームにおいても歯科医師の参加が求められ
ており,摂食嚥下障害に対する取り組みが注目され
ている。当院では栄養サポートチーム直轄の摂食嚥
下チームが組織されており,多職種が連携した摂食
嚥下サポートを実施している。今回,急性期病院に
おける摂食嚥下チームの活動状況を調査し臨床的な
検討を行った。
方法:平成27年1月~12月に当院入院となり,摂食
嚥下チームに依頼があった452名(男性255名,女性
197名,平均年齢76.6歳)を対象とし後方視的に調
査を行った。介入症例の年齢,性別,基礎疾患,入
院の原因疾患,栄養状態,入院期間,介入期間を調
査した。さらに介入時および介入終了時の摂食嚥下
能 力 を Food Intake LEVEL Scale(FILS)で 評 価
を行った。
結果および考察:介入依頼のあった主診療科は脳神
経外科が最も多く,入院の原因疾患は脳卒中が最も
多かった。基礎疾患は循環器疾患が最も多く,次
いで脳血管疾患,消化器疾患,呼吸器疾患の順に
多かった。NST 摂食嚥下チーム介入時・介入後の
Food Intake LEVEL Scale(FILS)に は 改 善 が 認
められる症例が多く,FILS(Lv7~Lv 9)3食経
口摂取可能群,FILS(Lv4~Lv6)一部経口摂取
群,FILS(Lv1~Lv3)非経口摂取群の3群に分
けて比較すると,介入時に経口摂取可能である群の
方がより食形態には改善が認められた。転帰は自宅
退院が最も多く,次いで慢性期病院,療養型施設の
順であった。入院期間の平均は42日間で,介入期間
の平均は33日 間 で あ っ た。当 院 の NST 摂 食 嚥 下
チームには多種の診療科からの依頼があり,その原
因疾患も様々であり治療のアプローチも多岐わた
る。現 状,介 入 時,介 入 終 了 時 の Food Intake
LEVEL Scale(FILS)の値を比較すると改善が認
められた。今後もそれぞれの症例に対し効果的に介
入していくためにチーム内での連携強化が重要であ
ると考える。
№30:輪状甲状間膜穿刺後にたこつぼ型心筋症を発症した一症例
1)
岸本敏幸1)
,小鹿恭太郎1)
,岡田玲奈1)
,大内貴志1)
,小板橋俊哉2)
(東歯大・市病・麻酔科)
2)
(東歯大・市病・緩和ケア科)
目的:東京歯科大学市川総合病院では,口腔悪性腫
瘍手術後の気道閉塞に対する予防的措置として,輪
状甲状膜穿刺キット(Mini-TrachⅡ Seldinger Kit,
Smiths medical)を用いた輪状甲状間膜穿刺を施行
している。今回,口腔悪性腫瘍手術後に施行した輪
状甲状間膜穿刺後に,たこつぼ型心筋症を発症した
一例を経験したので報告する。
症例:80歳女性。身長156cm,体重54kg。既往に不
眠症とうつ病があり,内服加療中であった。術前心
電図,血液検査,胸部レントゲン写真に特記事項は
なかった。今回,上顎歯肉癌の診断により,全身麻
酔下に上顎骨部分切除術,左側根治的頸部郭清術,
大腿部からの皮膚移植術,また術後に気道閉塞の予
防的措置として輪状甲状間膜穿刺を予定した。
経鼻気管チューブ抜管後,1%リドカイン塩酸塩1
mL による局所麻酔下に輪状甲状間膜穿刺を施行
し,所用時間2分で出血や呼吸苦等の異常所見を認
めず終了した。ところが,輪状甲状間膜穿刺施行7
分後に患者が胸部不快感を訴え,心電図においても
ST 上昇を認めたため,ニトログリセリンの持続静
注を行い,循環器内科に診察を依頼した。直ちに冠
動脈造影を行い,冠動脈に有意な狭窄は認めないが
心尖部に壁運動の低収縮と心基部の過収縮を認め,
たこつぼ型心筋症と診断された。手術4日後に ST
上昇は改善した。手術33日後に経過良好につき退院
となった。
考察:たこつぼ型心筋症は急性発症の胸部症状,心
筋梗塞に類似した心電図変化,特徴的な可逆性の壁
運動異常等を認める疾患である。成因として精神
的,肉体的ストレスによる交感神経の興奮を伴うカ
テコラミンの関与が指摘されており,高齢女性に多
い。また,その病態は短時間に形成されると言われ
ている。本症例では輪状甲状間膜穿刺後に胸部不快
感と ST 上昇を認めたことから,口腔悪性腫瘍手術
後の疼痛などの身体的,精神的ストレスがベースに
あったことに加え,輪状甲状間膜穿刺時のストレス
も関与したと考える。本症例で局所麻酔薬として用
いた1%リドカイン塩酸塩は1mL であった。術後
痛対策として術中からフェンタニルを用いていたも
のの局所麻酔薬使用量が少なかった可能性は否定で
きない。そのことが外科的侵襲を十分に抑制できず
にたこつぼ型心筋症の誘因となったことが推察され
る。
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