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香港における国際バカロレア実施校の美術教育
小池 研二
A research of fine arts in the International Baccalaureate World Schools in Hong Kong
Kenji KOIKE
1. 本研究の概要
本論は筆者が行っている国際バカロレア(
International Baccalaureate
=以下 IB) 美術教育の一連の研究の一つである。本研究の目的は 2014 年に開始された中等教育プロ グラム(Middle Years Programme=MYP)の新課程について香港にある複数の IB 実施 校で美術科の実施状況の調査1を中心に,初等教育プログラム(Primary Years Programme =PYP)ディプロマプログラム(Diploma Programme =DP)についても授業実践調査, 担当者へのインタビュー等を行い,考察することにより,IB のプログラムについての効果 を日本の美術教育に生かすことである。美術科(visual arts)のみではなく,芸術科の一 つであるドラマの参観も行い,その特徴を実際に確認し,美術科との関連性,相違点等 の 調査,さらに IB の美術教育から見た社会教育施設での調査を行った2。 1.1 調査日程 2016 年 3 月 6 日―3 月 12 日 1.2 調査先3 月 7 日 Hong Kong Academy 33 Wai Man Road, Sai Kung, N.T. 3 月 8 日 Island School 20 Borrett Road
3 月 9 日 Hong Kong Arts Centre 2 Harbour Road, Wan Chai
3 月 10,11 日 The Canadian International School of Hong Kong 36 Nam Long Shan Road Aberdeen
以下各施設別に順を追ってみていく。
2. 香港アカデミーHong Kong Academy
2.1 調査の概略 調査日時 3 月 7 日 8:05-9:30 8 年生美術,参観 9:50-11:15 10 年生美術参観 11:20-12:45 美術科教師にインタビュー 13:35-15:00 7 年生ドラマ参観 香港アカデミーは大陸部の東の郊外に位置する。近年この地に移転したため敷地は広く 校舎も新しかった。PYP,MYP,DP を実施しており,一貫した IB 教育を実践している。 美術科,ドラマ科の授業参観及び担当教師へのインタビュー,MYP コーディネーターに よる校内の施設見学等が主な調査内容である。校内には多くの場所に生徒の美術作品が設 置されているなど芸術教育にも力が入れられていることが伝わってきた。また,美術と理
59 科の教室が同じフロアに設置され芸術教育と理科教育の連携が進むような配置であると感 じた。本論ではおもに美術及びドラマの授業参観による内容分析,担当教師へのインタビ ューについて述べる。 2.2 MYP8 年生授業参観 最初に8 年生の美術の授業内容につ いてである。授業者は Z 氏である。こ の学期の第1 回目の授業であった。今 日の授業のテーマは「Art and Social Action」であることを生徒に告げアー トプロセスジャーナル(MYP や DP で 使用する学習のプロセスを記入するス ケッチブック)に記録させる。生徒は 10 名強の少人数である。プロジェクタ ーにより,授業で行う指示や作品,質 問等がホワイトボードに写し出される。 最初に,以下の質問について隣の生徒
と話し合う指示が出される。質問は「What is art “for”?」「Why do artists make art?」で ある。何のために美術作品を作るかについて,生徒それぞれに 3 つの理由を考えるように 指示した。香港アカデミーでは,美術(visual arts),ドラマ,音楽の授業を学期によって 分けて行っている。生徒たちはすでにドラマや音楽の授業を行っているので,その経験を 生かして考えるように指示していた。 生徒は,「楽しみ(fan)」,「宗教のため(religion)」等の回答をした。また,「例えば洞 窟の中に絵を描く昔の人は何のために美術を作ったか」という質問に対して「自分自身を 表すため」「自分の感情を表すために」というような回答をした。さらに「単なる記録のた め」「創造性」と回答は続いた。次に絵画,ポスター,仏像などいくつかの作品が映し出さ れた。「HOPE」のコピーのあるオバマのポスターを見て生徒は「get force」と答えた。そ のような対話を行いながら授業者は「Art and Social Action とタイトルをつけた理由は, 世界を変える美術(An Art to change the world.)について考えるため」と話して授業の目的 を確認した。このような会話の中で美術作品は何のために作られるのか,美術にはどのよ うな力があるのかを考えさせることにより,美術が社会と密接に関連していることを理解 させるねらいがあると感じた。さらに,生徒が美術の授業へ取り組む関心を高め,他人事 ではなく自分たちのこととして美術の授業に参加させる大きなきっかけとなっているよう に思われた。授業者は,美術が社会と強く関わっていることを示したうえで,校内には生 徒が制作した多くの美術作品があることを話した。学校という身近なところも社会である ことを生徒に理解させたと思われる。そして「アーティストは世界を変えようとする」と 生徒に伝えている。生徒に実感を持たせながら,授業の主題を伝えたように感じた。 次にアニメーション「ザ・シンプソンズ」のビデオを見せた。工業労働者の過酷さをユ ーモアの中に伝えた作品であった。その後,本時の活動の中心である,バンクシー(Banksy) 図 1 8 年生 授業風景
60 のグラフィティアート(graffiti)について考えさせた。バンクシーは街なかに描く落がき アートによって社会や権力を風刺する匿名のアーティストである。授業者はバンクシーの シンボルはラットであり,権力と対峙している意味を伝えていた。また,彼の技法がステ ンシルであることも紹介していた。このような説明をした上で,バンクシーについての映 像を見せた。映像は,バンクシーの作品,バンクシーに対する人々の意見,バンクシー自 身が語る場面があり,バンクシーについてほとんど知らない生徒にも,バンクシーをかな り理解させる内容であった。映像を視聴した後で,以下の質問をした。
1. あなたはどうやってバンクシーの作品を認識するか。( How can you recognize a Banksy work of art?)
2. なぜ彼はラットと警察官を使うのか(Why does he use rats and policeman?)。 3. なぜ彼はステンシルを使うのか(Why does he stencil?)。
4. どこで彼の作品を見ることができるか(Where can you see his work?)。 5. 彼の作品は何について作られているか(What is his work about?)。 6. 彼について何がミステリアスか(What is mysterious about him?)。
7. もしあなたが彼に会えたら,何を聞くか(If you could meet Banksy, what would you ask him?)。 これらの質問はワークシートに印刷されていた。生徒は以下のような答えをした。 1.については,黒と赤,ラット,警察官。 2.については,特別なものではなく,常に街中で見えるものである,日常のもの,パワ ー,権力(authority)。 3.については,絵よりも細部を早く描けること,クール。 4.については,イーストロンドン,ブライトン(Brighton)ブリストル(Bristol)。 5.については,社会に対して制作すること。 6.については,名前がわからないこと。 7.については,聞き取れず不明。 1.では黒や赤といった造形の要素および,ラットといった内容の特徴について,2.で は作品の意味について,3.では技法的な特徴について答えさせていた。それぞれ,作品 そのものの情報から考えさせるものである。4.では作品そのものから離れて,作品が成 立する社会的な文脈に踏み込んでいる。つまり,美術館に合法的に納められる作品ではな く,街中に突如,落がきとして現れる作品であることを問うている。5.6.7.について は作品を鑑賞者が分析し考えた意味について答えさせている。5,6 について授業者はそれ ぞれアナーキー,アノニマスという答えを補い,作品や作者の性格についての解釈を補強 している。この活動で生徒はバンクシーについて,作品における造形性,意味内容,社会 との関わりについて理解度を高めたと思われる。 次に課題が書かれているプリントが配布された。バンクシーの作品についてプリントに は
「どの程度までアーティストは世界を変えられるか(To what extent can artists change the world?)」
61 「アーティストは、どのようにして、常 に 変 わ る 世 界 に 答 え る か ? (How do artists respond to a world that is constantly changing?)」
「アーティストは変化の仲介者としてど んな方法を用いるのか?彼らは、それを 表現するために、どんな種類の美的な選 択をするか?(In what ways do artists act as agents of change and what kinds of aesthetics choices do they make to express it?)」という問いを投げかけてい る。
そして,このユニットの重要概念3(Key concepts):コミュニケーション,関連概念 (Related concepts):境界(Boundaries),受け手(Audience),グローバルな文脈4(Global contexts):個人的表現と文化的表現(Personal and cultural expression)が示されてい る。重要概念と関連概念は IB が発行する教科毎の「指導の手引き」等にあらかじめ示さ れており,それを授業者が選択して使用するものである。「概念理解が重要かつ揺るぎない 目標」5であり概念学習は構成主義的な考え方をとる IB の学習の中心をなすものである。 また,グローバルな文脈については「国際的な視野を育成する教育は、世界を『最大の学 びの文脈』として捉える学習環境を築くことにかかっています」6とあるとおり,学習を 地球規模の視点で生徒の生活と関わりのある問題として文脈から考えるために示される。 さらに,「概念が抽象的で、さまざまな状況に応じて何度でも応用できるのに対して、文脈 は特定の多様なかたちをとり、状況によく適応」7していることで概念の学習をよりはっ きりと捉えることになる。 このように,MYP では文脈の中で概念を捉える学びを行っている。今回の改訂で,文 脈や概念を具体的に示すことで,現場の教師が概念や文脈を扱いやすくなっている。この 授業でも,自然な形で文脈における概念を生徒に示していることが授業を実際に見て改め て確認できた。 次に,配布プリントには以下の3 つの問いが示されている。
・アーティストは社会の中で変化を起こすことができると思うか(Do you think that artist can make changes in society?)。
・ヴィジュアルコミュニケーションのどのような形態が,人々に気づかせ,考えさせるの に十分力強いものなのか(What forms of visual communication are powerful enough to make people notice and think? )。
・変わる必要があると思う世界についてどう思うか(What do you see in the world that you think need to change?)。
MYP では単元毎に「探究の問い」と言われる 3 つの問いが設定される。「探究の問いは、 単元を具体化し領域を広げ、生徒が達成に向けて努力すべき目標のスキャフォールディン グ(足場づくり)になります」8。とあるとおり,これらの問いは探究的な学習を行うた
62
めのきっかけとなり,学習を自分の問題として生徒が深く考えることにつながるものであ る。「探究の問い(Inquiry questions)」は「事実的問い(Factual questions)」,「概念的 問い(Conceptual questions)」,「議論的問い(Debatable questions)」の 3 つをユニット 毎に作成するよう IB の公式資料等では指示されている。これらの問いを考えながら学習 をすることにより,学習を自身の問題として捉えることになる。参観時に示された上記の 3 つの問いが探究の問いかどうかは確認できなかったが,問いの内容を見ると,すべて概 念を問うているように思われる。社会と美術の関係性について考える今回の授業を生徒に 考えさせるための問いであろう。MYP の指導の手引き等の資料では上記の探究の問い等 を示しながら生徒に概念的な学びを行うことが書かれている。実際に授業を見ると,ただ 単に美術の作品や作家を紹介するのではなく,作品等を考えながら概念的なことを考えさ せる MYP の授業の特徴が改めて確認できた。 授業の展開に戻る。図2 に示したプリントを配布し,そこにセンテンスを書かせる。 プ リン トに は野 球帽 をか ぶっ てい る少 年が ミシ ンで イギ リス の国 旗を 縫っ てい る画 像 (Sweatshop Boy, 2012, Banksy, British, Street graffiti)が印刷されており,正面のホワ イトボードにも画像が映し出されている。生徒はモノクロの画像であることを発言し,授 業者は,モノクロームはバンクシーの特徴であることを説明した。さらに赤と青のリアル なイギリスの国旗は地面に落ちていることを話した。 授業者は,この絵の第一印象はどうか,イメージはどうか,ソーイングマシンは何を意 味するのか,といったことを質問する。 「始めに少年の表情が印象に残りました」 「なぜ少年の顔が印象に残ったのですか」 「少年の顔を第一に印象を受けたのは,モノクロで印象深いから」 「両手はどうですか」 「プロポーションはどうですか」 「旗はカラーを使っています」 「男の子の大きさはリアリティーがあり,生活そのままを表しています」 というような受け答えがあり,資料には form,context,theme が書かれ,生徒はそこに 思ったことを記入していた。 授業はこれで終了した。プロセスジャーナルについては,家に持って行かずに教室におい ておくように指示していた。 この授業を参観し,コミュニケーション等の概念を学ぶこと,美術を通して社会とのつ ながりを考えることが MYP では重要であり,現場でもはっきりと意識して教えているこ とがわかった。またテーマの選択については落がきという生徒にとって興味を持ちやすい 内容を扱っており,美術を身近なものとして生徒が感じられるような工夫がされているこ とを感じた。 2.3 授業後の授業者に対するインタビュー その後教室でプロセスジャーナルを見せてもらいながら授業についての授業者にイン タビューした。
63 Z:プロセスジャーナルはこれまでの活動の流れを記録しています。今日の 3 つの内容も 記述しています。ステンシルについても練習をしています。この生徒は段ボールにステン シルをやっていました。 K:バンクシーのイメージで作っているのですか。 Z:そうです。来年は学校の壁にステンシルをやりたいと思っています。 K:授業の実施時間数はどうなっていますか。 Z:私たちは 2 週間毎のタイムテーブルで 1 シーズン 5 タームです。1.5 時間を 11 週トー タルの3 期制で音楽,ドラマと交代で行っています。今日の授業は 1 回目です。それぞれ のクラスは16 人で,トータルは 50 人くらいです。6,7,8 年生は,20 人,トータル 60 人が定員です。 プロセスジャーナルは新課程になっても学習をしていく上で重要であることを確認でき た。また,校内にも落がきをやりたいという自由な発想が教師にもあることが新鮮に思わ れた。 2.4 MYP10 年生の授業参観 次に,10 年生の授業を参観した。10 年 生は図3 にもあるように 8 年生に比べて各 自がさまざまな材料や表現方法を選択して 制作していることがわかった。授業の題材 名,概念等は以下である。 題材名:figurative art 形象(ここでは人物 表現の意味が強いと思われる)美術 重要概念:アイデンティティー, 関連概念:構成(composition),形(form), 描 か れ た も の (representation ), 解 釈 (interpretation)。 次の3 つの質問が示されているが探究の問 いと明言されていない。
・形象美術とは何か(What is figurative art?)。
・何が鑑賞者でいることと芸術を制作する者としての違いを生むのか(What makes being an observer different as an art maker?)。
・なぜ芸術家はたびたびインスピレーションとして(人物表現の)形象を使うのか(Why do artists use the figure as inspiration so often?)。
である。これらは事実的問い,概念的問い,議論的問いの 3 つの問いになっていると思わ れる。さらに資料では,4 つの評価規準が示されており,生徒は評価がどのように行われ るか理解して制作をすることになる。 活動をみると多様な表現方法で人物表現をする題材であった。コラージュで行う生徒も いれば,アクリル絵の具で制作する生徒もいる。テーマや学習すべき概念は決定している 図 3 10 年生授業風景
64 がそれ以外は生徒の発想や構想,技能に任せている。 2.5 授業担当の教師にインタビュー 10 年生の授業終了後に授業者の R 氏に今の授業や IB 美術科についてインタビューした 9。このとき参観したのはMYP であったが DP の内容についても聞いた。 K:MYP の 3 つの探究の問いはしますか。 R:3 つの質問はします。その質問で思考しながら活動を行います。 R:10 年生では 4 つのユニットを行っており最後のユニットは自由課題のプロジェクトを 行っています。生徒が自分で材料も決めます。ユニットは多くの時間をかけています。2 ヶ月 8 週間,2 週間の間に 5 回です。ここで勉強している生徒は 45 カ所の出身で,10~ 15%の生徒が香港出身です。1 クラスは 18 人くらいです。1 学年は多くても 60 人です。 R:DP の生徒は,来年度は1学年 24 人がフルディプロマです。そのうち 11 人が芸術を 選びます。IB では,ただ単にスキルだけを教えるわけではありません。歴史であったり, 文化であったりそのような学びが大切です。 K:MYP と同様に DP でもコミュニケーションを重視していると思いますが,授業ではど うですか。 R:コミニュケーティングは最も基本的なことの一つです。コミュニケーティングは考え を共有します。コミュニケーティングを大切にするということは単に作品のみではなく, プロセスを見せることも重視しています。 K:誰とコミュニケーションをとるということですか。生徒同士ということですか。 R:生徒,先生,そして試験官に対しても,です。 K:受け手(audience)に対しても,ですか。 R:その通りです。 K:新しい DP では,キュレーションの実践が示されていて,とても重視されていると思 いますが。 R:そうです。重視されています。 K:キュレーションの実践とは具体的には展覧会を学校の内外で行うということですか。 R:私たちの学校では外部で行うことはせず,学校の内部だけで行います。DP の最後にア セスメントもあるので展覧会を行います。そのときは作品の選択,作品の展示の仕方等を 学びます。そのために実際にギャラリーにいき,キュレーターに話を聞き,キュレーショ ンについて学びます。 K:アセスメントについてはどうですか。 R:DP は今年から新しいカリキュラムです。私はクロスマテリアルの制作を奨励していま す。新カリキュラムは試験官にとってはやりやすいものになっていると思います。今は展 覧会を試験官が来て評価する外部評価ではなく,学校内でアセスメントをすることになっ ています。以前は試験官が学校を訪問して試験をしていました。しかし今は校内で採点す ることになっています。展覧会は40%分の評価の対象になっています。40%はポートフォ リオを提出します。18ヶ月の活動を示したものです。60%は外部評価です。(評価の割合 は「指導の手引き」によると,IB の本部に送って IB の試験官が評価をする外部評価が,
65 60%,学校の担当教師が行う内部評価が 40%である。外部評価は,多様な芸術家による多 様な芸術作品を分析、比較する,「比較研究」が 20%,2年間のコースでの多様な美術活 動を記録する「プロセスポートフォリオ」が40%である。内部評価は,自身が制作した作 品を展示する「作品発表」が 40%である。作品発表には,キュレーター・ステートメント, 作品についてのキャプションを制作することも評価の対象になる。評価の割合はスタンダ ードレベル,ハイヤーレベル10ともに等しい) K:いつ展覧会はするのですか。 R:以前は試験官が来るときに行っていましたが,今はコースワークが終わってから行い ます。しかし,IB の本部には展覧会の写真を送らなければなりません。 K:卒業生の進路について伺います。生徒はどのような進路に進みますか。 R:イギリス,アメリカ,ヨーロッパの大学そしてインドの大学などです。イギリス,ア メリカが最もポピュラーです。 T:美術大学に行く人は多いのですか。 R:時々です。 K:アートをやっていても一般の大学に行く人は多いですか。 R:はい,ほとんどの学生が他の学部に行きます。 K:日本は高校 3 年生まで美術を学ぶと,多くの生徒が美術系の学校に進学すると思いま す。しかし,ここのように美術大学以外の学部へ進学するのに美術を学ぶことはよいこと だと思います。 R:学習のシステムについてですが,以前の IB のシステムと今とを比較すると,以前の方 がいいと思います。しかし今のシステムも AP(Advanced Placement アメリカの教育シ ステム,高校在学時に大学の教養教育レベルの単位が取れる)よりはいいです。 K:AP と DP との違いはどこですか。 R:AP の方が内容重視で内容を詰め込むような形です。DP の方が考えることを大切にし ているから,DP の方が私は好きです。 T:あなたはアメリカの出身ですか。 R:そうです。 T:以前にパブリックスクールで教えたことはありますか。 R:あります。そのときは AP でした。 T:プロセスジャーナルについて質問します。今の生徒はデジタルのデータを作る生徒が いますが,それをプロセスジャーナルに記録するのは大変です。何かよい方法はあります か。 R:プリントスクリーンでプリントすればいいですよ。それを貼ればいいです。しかし, 今はオンラインプロセスジャーナルも推奨されています。 T:誰か,オンラインプロセスジャーナルを使っている先生を知っていますか。 R:本校のドラマの先生が使っています。活動の映像や音声をビデオカメラなどで記録し てオンラインで提出させています。 T:いくつかプロセスジャーナルを見せてくれますか。 R:どうぞ。10年生が9年生の時のプロセスジャーナルです。この学校はパイロット校
66 なので3年間新課程(next chapter)をやっていました。だから3年前からやっています。 T:プロセスジャーナルはどのくらい描くのですか。 R:1セメスターで2冊ブックを使います。 T:私は毎年1冊渡します。描く内容は決めているのですか。 R:小さいときは決めているが大きくなると自由に描かせるようにしています。 T:先生のコメントのためにポストイットを使っている理由は? R:生徒のものなので,直接書かないようにしています。 K:どうもありがとうございました。 DP で美術を学んでも必ずしも芸術系の大学には進まないことが改めて新鮮に感じられ た。DP の美術は大変レベルが高い。しかしそれが単に美大受験ではなくそれぞれの多様 な進路へ進むための学びになっている。美術が多様な社会に役立っていることを生徒は知 っているのであろう。一方 DP を取るために選択とはいえ美術を学ぶ必要がある IB のシ ステムは美術(芸術の一つではあるが)を社会で生きていくためには必要であり,有効な のだ,という考えが見えてくる。これは「周辺教科」という言い方が一般化している日本 の現状と比較すると大きな差と言わざるを得ない。 2.6 MYP7 年生ドラマ授業 午後に MYP7 年生のドラマの授業を参観 した。ドラマは日本では芸術科には設定され ていないが,欧米では普通に行われている。 筆者もドラマの授業の参観は初めてである。 ドラマの担当はA 氏で,7 年生の授業であっ た。当日が1 回目の授業であったが,A 氏は 英語の授業も担当しており,すでに生徒とは 顔見知りであった。以下,授業の概略である。 始めに講座の説明をした。ドラマの活動 についての概略的に説明である。ドラマの 授業はスタジオの中で,いすや机を普通は使わずに輪になって活動するそうである。 授業者は生徒に,ドラマはクリエイティブで活動的であること,エネルギーをコントロ ールすること,グループで協力することが大切であり,役を演じることや協力する活動で あると告げた。そして今日はソロの演技と協力する演技の活動のどちらがいいか生徒に尋 ねた。生徒はグループでの活動がよいと答え,グループで活動することになった。生徒の 数は 13 名であった。授業者は協力することがドラマの重要な要素であり特徴であること を生徒に告げた上で生徒を4 つのグループにわけた。生徒はグループ毎に4つのコーナー に分かれた。次に授業者がグループ毎に身体を使って形を作ることを指示した。始めにア ルファベットのB の形を作った。生徒はグループ毎に工夫しながら身体全体で形を作った。 その後どれが一番よいか,第3 者である筆者らに評価させた。このような活動を通して生 徒は,授業に集中していった。次に,三角形を作れ,トンボを作れ,花を作れというよう 図 4 7 年生 ドラマ授業風景
67 に次々に指示が出て生徒は話し合いをしな がら形を決め,表現していた。簡単なもの から段々と複雑で演じることが困難な形を 要求していることがわかる。 活動の後に話し合いの活動になった。ド ラマでは何が大切か,どのような活動をす るか等,ドラマの授業について質問を生徒 にしながら授業について具体的に説明して いた。実際に活動をしたことにより生徒も 緊張がほぐれたようであった。 再度身体を動かす活動を行った。全員で zip zup ゲームをやっていた。このゲーム自 体は,日本でもアイスブレークなどで普通に行われているものである。 最後に机を出してプロセスジャーナルに活動の記録をつけた。生徒は pc を持ってきて, 提出用ソフトのスライドに記入していくように指示され記入をしていた。授業者は記入方 法を指示していた。生徒は特に混乱することもなく,ドラマプロセスジャーナルとタイト ルを作り,最初のスライドに今日の活動を記録していた。これで今日の授業が終了した。 コミュニケーション,身体性を重視したドラマ教育の内容がよくわかった。また生徒の興 味関心をどのように高めるかについて美術教育にも応用できることがあるのではないかと 感じた。さらにオンラインのプロセスジャーナルについては今後日本の美術教育でも研究 する価値は十分あると思われる。 2.7 ドラマ担当教師へのインタビュー 授業後に授業者であるA 氏に MYP ドラマ科についてインタビューをした。 K:ドラマの授業はここで行いますか。 A:パフォーマンスはここで行います。もっと大きなシアターで行うこともありますが普 段はここで行います。 K:今日が 1 回目の授業ですか。 A:そうです。 K:生徒とは初めて会うのですか。 A:いいえ。私は英語の担当でもあるので全員の名前を知っています。 K:日本の芸術科ではドラマはありません。しかし,次の高校の学習指導要領に向けての 公表資料11の国語のところでドラマ(演劇)について触れています。 A:MYP でも 6-10 年生でドラマを英語科でシェークスピアの学びで行っています。 K:なるほど。英語で扱っているのですね。シェークスピアの学びは普通なのですか。 A:DP ではさまざまな文化を学ぶためにもドラマを行っています。ドラマでは 2 週間日本 にも行ってシアターを見学することもあります。 K:ドラマクラスは pc でプロセスジャーナルを作っていますね。 A:そうです。6,7 年生のクラスから使っています。とてもクリエイティブです。例えば 図 5 オンラインプロセスジャーナル
68 ビデオリフレクションなども可能です。先生も答えることができます。シンプルなカメラ があるので,それで映像を撮って記録させることもできます。活動の記録であり証拠にな ります。 K:親に活動を見せることもできるのでは。 A:そうですね。今日どんな活動をしているか親が見ることもできます。ドラマがどのよ うなことをやっているか見せることで保護者も興味を持ちます。いつもではないがそのよ うなこともできます。 K:どうもありがとうございました。 ドラマ教育については日本ではなじみが薄いが,総合芸術として大きな可能性があるこ とがわかった。視覚芸術である美術としっかりと棲み分けができていることを感じた。日 本の教育に導入する場合にどのような問題があるかは今後考えていく必要がある。 3 アイランドスクール Island School 3.1 調査概要 調査日時 3 月 8 日 12:00-13:30 アイランドスクールは香港島のほぼ中 央にある。斜面に建設されている多層構 造の校舎は,非常に複雑で階数がどうな っているのか理解するのは困難なほどで あった。そのような中に 7 年生から 13 年生が学習している。IB はディプロマの みである。ここでは日本人教師のR 氏に 仲介を頼んで校内を見学することができ た。授業参観や教員に対するインタビュ ーをすることはできなかったが,生徒に校 内を案内してもらい,校内の様子を生徒 S の視点から見ることができた。生徒の S は 11 年生でリーダー的な生徒で校内見学中も多くの生徒から声をかけられていた。また,日本 語も多少は話すことができた。 3.2 生徒による校内の視察 最初にDP の日本人教師である R 氏から学校の概要について説明を受けた。それによる とこの学校にはハウスシステムがあり,7 年生から 13 年生までがそのハウスに所属する。 イギリスのシステムだろう,とのことだった。説明を聞くと日本でいう縦割り班の規模の 大きいようなものであり,同じハウスの生徒は学年を超えて行動を共にするとのことであ る。S によると,ハウスは 6 つあり一度そこに入ると卒業まで変わらない。ハウス毎にス ポーツの試合や音楽会等で対抗し結束するそうである。ハウスの上級生が下級生の面倒を 見るなどこの学校生活では重要なものになっているようであった。校内をS の案内で見学 図 6 アイランドスクール校舎風景
69 した。S によるといわゆるホームル ームがあるが,12,13 年生はホーム ルームが無く,図書館などいろいろ な部屋を利用するとのことであった。 最 初 に 芸 術 の 授 業 を す る 建 物 を 見た。ちょうどディプロマのドラマ の授業をしていた。先生は俳優だそ うだと S は説明していた。9 名の生 徒が授業を受けていた。ちょうど試 験の論文について説明しているところ であった。試験は撮影の方法や,演出 の方法などを論文にする。また演劇のパフォーマンスが非常に大切であり授業者はそれに ついても説明していた。アカデミースクールでは MYP のドラマを参観したが,ここでは DP のドラマであった。しかも試験についての説明ということで生徒は非常に真剣でしか も落ち着いる印象を受けた。 次に調理実習を見学した。この授業はエレメントという授業で,9~11 年生の生徒が参 加している。生徒が選択して活動する新しい科目とのことである。 図書館は多くの生徒が利用していた。図書館は 3 フロアあり 3 階は 12,13 年生のみ使 用することができる。 音楽室では pc が多く備え付けられていて,それで作曲もしているそうである。音楽科 の教師の話によると作曲は9-13 年生がしている。この学校は GCSE(General Certificate of Secondary Education)の課程もあるので両方に対応している,とのことであった。 美術室の前の廊下では,10,11 年生の作品が展示されていた。それらは GCSE のため のスケッチブックのページのコピーであった。S の説明では,試験の評価のためにスケッ チブックを作る必要があり,これらはそのためのスケッチブックである。さらにスケッチ したものは全部評価され,ページを選択されることはないとのことであった。美術室はち ょうど展覧会のための制作ところでありインタビュー等はできなかった。 美術の授業で何を勉強したかをS に尋ねると,セルフポートレートについて学んだ,最 初はいろいろな作家を経験し,技法などを学んだ,最終的には彫刻をした等のことである。
S の話では,IB の他に,オプションとして BTEC(business and technology education council)をとる生徒もいる。BTEC は試験無しにとれるが,しかし宿題がいっぱいある。 IB と BTEC を同時にとる場合は科学や外国語の科目が加えられる。IB は 1 学年で 100 人 くらい,美術は S のクラスは 15 人くらい受講している,とのことであった。さらにホス ピタリティーの活動があり,S はタイの学校の寮で実習した。ホテルで経験する生徒もい るそうである。 アイランドスクールを訪問して感じたのは美術科というよりも芸術科としての感覚が強 いと言うことである。生徒と校内を回りながら話をしていくうちに芸術科としてそれぞれ の科目をとらえることが筆者にとっても普通に感じられるようになった。 図 7 GCSE スケッチブック
70 4. 香港アートセンター Hong Kong Arts Centre
4.1 調査概要 調査日時 3 月 9 日 15:00-16:30 4.2 調査内容 香港アートセンター(HKAC)を訪 問し,担当者N 氏に説明を受けた。こ こを訪問した目的は,社会とつながり のある学びを行う IB の視点で社会教 育施設での美術教育を考えるためであ る。HKAC は 1977 年に設立された NPO 組織の芸術施設で,アートイベン ト,展覧会,アートスクール等を行っ ている。ウェブサイトで確認したとこ ろ施設は,ギャラリー,劇場,アトリ ウム,コミックスホームベースがある。 また,芸術系の学校を併設しており, 学士の資格も取れる。当日は施設についての紹介ビデオを視聴した後,N 氏から施設の概 要,近年における活動について説明を受けた。それによると,ギャラリーでは 2011 年か らボランティアによる作品解説を行っている。当日は実際にボランティアガイドをしてい る日本からの留学生のギャラリーガイドを受けた。ギャラリーでは現代美術の展覧会をし ていた。他にも街中でアートを体験するイベントも過去に積極的に行っているとのことで あった。これらは,アートを身近なものにする試みであり美術と私たちの生活をつなげる 内容である。IB の美術も生活とつながること,自分の問題として社会的な文脈から美術= アートを捉えていくことを重視している。市民の美術を考えていく場合,このような施設 を活用したり,協力したりしていくことはこれからの美術では重要なことである。HKAC の特徴の一つは NPO ということである。独立した組織として学校等と協力していく可能 性を持っていると感じた。パフォーミングアート,ビジュアルアート,コミックス,芸術 学校という多様性を持ったこの施設は学際的な学びを行う IB の学びに多く通じるところ がある。 5. カナディアンインターナショナルスクール 5.1 調査概略 調査日時 3 月 10 日 7:55-9:15 11 年生の授業 ディプロマの展覧会鑑賞 9:25-10:45 9 年生の授業 版画 M 氏 10:50-12:10 インタビュー C 氏,M 氏 図 8 アートセンター エントランス
71 13:05-14:25 10 年生の授業 ルネサンス DN 氏 14:30-15:00 インタビュー C 氏 3 月 11 日 8:00-9:15 構内展示作品等鑑賞 9:25-10:45 PYP 授業 粘土 10:50-12:10 インタビュー C 氏 13:05-14:25 インタビュー DC 氏アセスメントについて 14:30-15:00 インタビュー C 氏 校長と面会 カナディアンンインターナショナルスクールでは2 日間の調査ができた。ここでは美術 科主任の C 氏,日本人の美術科助手の W 氏の協力を得ることができ,DP,MYP,PYP の授業参観,作品展見学,校内展示作品及び生徒作品調査,教員及び生徒へのインタビュ ー等多様な調査ができた。なお本論では C 氏及び DC 氏へのインタビューを中心に示す。 充実したインタビューができたこと,インタビューの内容を示すことで本調査の目的の多 くを具体的に示せることが理由である。インタビューは他の教師にも行った。また授業参 観も行ったがそれは別の機会に報告したい。 5.2 DP11 年生授業参観-DP の卒業展覧会を鑑賞する- 最初にC 氏による 11 年生の授業参観を行った。C 氏は美術科主任である。この授業は C 氏が指導した DP12 年生の卒業展覧会を 11 年生が鑑賞するものである。 教室で 12 年生の作品展を見学の方法,ワークシートをどのように使うかを説明した。 生徒数は 10 名前後,ワークシートには 7 つの質問と活動内容が印刷されており,ワーク シートの指示に従って12 年生の作品展を見学することになる。展覧会(Celebration)は 学校のエントランスで行うが,DP のアセスメント用の展覧会(Examination)は美術室 前のギャラリーでおこない,そこで採点したことを生徒に告げている。生徒の著作権を保 護し,生徒全員に対して,より公平な条件で採点する必要があるためである。また,DP では採点対象である作品の著作権を確保するため写真撮影を制限していることも生徒に対 して説明している。 5.3 展覧会場での説明 その後,授業者に案内され DP 卒業展覧会を参観した。これまで筆者はいくつかの学校 の DP 展覧会もしくは展覧会出品作品を参観してきたが,作品や展示空間のレベルの高さ を常に感じていた。この学校の展覧会も同様で,非常に質の高い展示作品と作品を飾る空 間がセンスよくまとめられていた。会場内でC 氏による展覧会についての説明があった。 C:展覧会場を見ると,作品はとても個性的でそれぞれが全く違っています。そして,DP では同じ作品になるような課題というのはほとんどありません。自画像を描く場合でも私 たちはどのように描くか,その方法を教えてはいません。異なったアーティストの方法を 自分でリサーチした後に取捨選択して自分の作品を作っていきます。だから全員の作品が 全く違ったものになっているのです。最終的に DP では正確な描写法を身に付けます。生 徒たちは新しい描写法をやっています。しかしそのために夏の間私たちは彼らに解剖学的
72 な描写についての家庭学習の課題をだし ます。彼らは手や足を描き学校に戻って きたときには骨やその上にある筋肉の構 造,骨と筋肉の関係についてよく理解し ています。お互いにボーズをとりながら 描写の練習をして,モデルが来るときに 備えます。 IB の試験は完全にオープンで,生徒は それぞれ違ったタイプの方法で展示をし ます。そして,個人的な環境の中でそれ らを探索していきます。そしてこれは私 の課題なのですが,彼らが探索している ものを統合させていくのです。彼らは人体を描きます。生徒はそれぞれの表現方法を考え ます。「私は街中の人々を描きたい」という生徒もいれば「私はいすに座っている女性を描 きたい」という生徒もいます。彼らは人体を描く基本が無くても,それらを表現するアイ デアをストックさせています。 IB の試験はたった一つの方法ではありません。それは経験の浅い先生にとっては問題で す。なぜなら,教科書もありませんし,先生がカリキュラムを考えなければなりません。 それは教師にとっては問題ですが同時に多くのことを自由に創り出すことができます。も しあなたが IB とナショナルカリキュラムを同時に行うのであれば,ナショナルカリキュ ラムは,要求するものがあることがあります。両方を合わせることについては明日お話し しましょう。 とても厳しいナショナルカリキュラムを持つ国もあります。例えばパースペクティブド ローイングをしなければならないなどです。IB は他の方法をしてもよいとしています。で すからあなたは 2 種類のもの(ナショナルカリキュラムの課題と IB の課題)をやる必要 はありません。ナショナルカリキュラムと IB は併せて行うことができます。 K:IB はフレームワークということですか C:はい。もっと哲学的なもの,もっと純粋なものです。単なる ABC を教えることではあ りません。重要なことは教師が自分のやり方のみで教えるものではないということが大切 だと思います。水彩画が得意な教師は全員の生徒に水彩画ばかりを教えるのではなく,自 分のやり方をやめて,違ったやり方をするのも必要だと思います。 例えばこの作品(図10)です。この作品はデジタルペインティングです。私はデジタル が得意ではありません。この生徒はタブレットを使い,タブレットの上に絵を描き,コン ピュータースクリーンの上にイメージを作ります。そして,プリンターにデータを送って プリントします。もし私が一つのスタイルを教える教師だったら,私はこの流れをやめさ せるでしょう。「あなたがこのやり方をやるのなら私はコーチをします。オンラインのチュ ートリアルを見つけなさい」といいます。そしてフォーラムもあります。もしも質問があ りオンラインに入力すれば,世界中に多くのエキスパートがいます。とてもよい世の中に なりました。global な学びのコミュニティーです。世界中の人々が生徒を助けます。そし 図 9 展覧会風景 作品とジャーナル
73 て,彼らはそのような時代に育っています。 ゲームをしたり,毎日簡単に使ったりして いるそのようないろいろなネット上の場所 で助けてもらいます。私たちや私たちの上 の世代ではそうはいきません。新しい世代 とは違うのです。しかし,教師はそのこと は重要ではありません。教師として私は助 言します。あなたの色の選択はどうか,あ なたと色について話し合いましょう,この プロポーションはちょっとおかしいですね。 あなたには少しコーチングと説明をしまし ょう,あなたはこの方法をマスターしてい ません,などです。 香港には多くの IB スクール12があります。私は来週 IB ショーに行って他の先生や生 徒と会います。このことは私のプロとしての進歩にはとてもよいことです。先生たちは私 と違うことをします。そして私は教師でない人からも多く学ぶことができます。また,多 くの先生を招待し私のアートショーに来てもらえます。私たちの中には新しい先生がいま す。IB の経験のない先生もいます。でもそれはよいことです。私は IB のことを伝えます。 そして私は一緒に学んでいきます。なぜならIB はいわばパッケージ(packaging)なので す。先生は問題を持っています。視野がせまい…陶芸専門の先生は陶芸だけで他はしない。 そういう先生も確かにいます。しかし,IB は探索するのです。 普通 DP の最終年で私たちは生徒に緊張感のある作品を制作させます。ですから,彼女 はとても力強いデジタルの創造的な作品を作りました。(生徒のプロセスジャーナルを見な がら)しかし同時に鉛筆のドローイングもしています。このドローイングは小作品ですが, この大きな最終の作品には必要なのです。(図10 の生徒のプロセスジャーナルにはマイン ドマップも書かれている。その真ん中には inquiry と書かれていた。) T:これ(inquiry)はユニットのタイトルなのですか。 C:これは彼女のユニットのタイトルです。すべての生徒のタイトルではありません。な ぜならIB は決まったやり方(formula)はありません。だから先生がそれをするのです。 T:プロセスジャーナルでの研究は家庭でやらせるのですか。 C:学校で授業の中でやらせています。コンピューターを使わせることは家でやらせてい ます。 C:(プロセスジャーナルを見ながら)すべてのユニットは調査をしなければなりません。 異なるアーティストを調査することは IB のプレゼンテーションではとても大切です。こ の女子生徒の研究は多くのサンプルが IB のオンラインサイトにもあります。この女子生 徒はデコレーションに時間をかけ過ぎています。内容に時間をかけるのではなく,デコレ ーションにです。デコレーションは採点対象にはなりません(タイトル文字のレタリング 等に多様な装飾をしていた)。ここは実験のページです(絵の具による発色の違い,人物の 描き方の違いを絵の具により行っていた)。ここは私からのコメントです(コメントはすべ 図 10 展覧会風景 生徒作品
74 て付箋に書かれていた。なぜかを質問すると IB の試験で提出するときに取り外せるため の配慮であるとのことだった。以前他の学校でのインタビューでは,プロセスジャーナル (以前はワークブック)は生徒のものであり返却するからとの答えがあった)。 (プロセスジャーナルに挟まっていたオープンスタジオの時間表を見せながら説明があっ た。表には美術担当の教員がスタジオ(美術室)にいる時間帯が示されていた。) C:私たちはオープンスタジオを設定しています。生徒はスタジオにきていろいろな先生 たちに会って相談することができます。DP2 年目は短い学年です。3 月に終わってしまう。 だから,生徒たちは時間を大切にするためにも違った先生のところにも行って話を聞きま す。美術の先生はいろいろな考えをします。違った答えもある。でもそれで見方が広がり ます。1 年生担当の先生にも 2 年生担当の先生にも話を聞くことができます。ですから DP の先生は 1 年生と 2 年生のどちらの先生でもあるといってもいいでしょう。 (アイウェイウェイAi Weiwei を扱った生徒の絵を見ながら) C:彼(Ai Weiwei)は多くの方法を試みています。私たちは彼についてよく語ります。彼 はいろいろな方法を使います。彼はいつも作品から強いメッセージを出しています。私た ちはいつも生徒にこう言います。「あなたたちは声を持っています。私はきれいな整った絵 を求めていません。もし生徒がきれいな静物画を描きたいというのならどうぞ」といいま すが,大切なのはメッセージなのです。 (生徒の作品を見て,テーマが自画像というその作品は顔ではなく地図が描かれている) C:これが彼女の自画像です。 K:これが彼女の自分のイメージなのですね。 C:そうです。どうぞ後は自由に展覧会を見てください。 K:ありがとうございます。 5.4 C 氏へのインタビュー(1)-美術を学ぶこと- 美術室に戻り,美術の授業について,美術の授業を選択する理由,保護者はどのように 思っているのかについてインタビューした。 T:(ここ何年かの間先生が授業をもたれて)保護者の意識は変化しましたか。 C:はい,8 年前,12 年生はたった 9 名の生徒が選択するだけでした。芸術は実用的でな いからです。しかし今は25 名の生徒がいます。8 年間で 2 倍以上の生徒が在籍しています。 理解についてですが,現在は半分の保護者が理解をしています。以前は,両親が美術選択 をやめさせることもありました。4 年前に男子生徒がいましたが,両親は美術選択をやめ させたのです。彼は私の最高の生徒でした。しかし彼の親は 2 つの選択をさせたのです。 「あなたは法律かビジネスのどちらかを勉強しなさい」と。でも彼は私のベストの生徒で とても情熱的でした。彼は実際,12 月から 1 月何もしませんでした。彼はアートを学びた いといったのです。そして彼は(大学で)4 年間法律を学んだのですが,今はアートをや っています。できれば私は子どもたちの行きたい道について助けてあげたいのです。毎年 そうやっていきたいのです。そうそう,この卒業アルバムをみながら話しましょう。 5.5 C 氏へのインタビュー(2)-MYP の評価及び授業全般について-
75 (卒業アルバムを見ながらインタビュー を続ける。卒業アルバムには卒業生が制 作した作品がユニット毎に出ている。) C:これは「文化を超えてマスクが持つ 重 要 性 や 関 連 性 に つ い て ( The importance and relevance of masks across cultures)」というテーマのユニッ トです。私は生徒にマスクの使う目的が 地域によって違い文化によっても違う意 味を持っていることを生徒に考えさせま す。カナダの西海岸ではマスクをつけれ ば精神世界とコミュニケーションできる パワーがあると思っている人々がいます。そしてもし何かのマスクをつければ,何かのあ なたが望んでいる力をつけられると思っているのです。この生徒は太陽の力を求めていま す。彼はこの太陽の形を持ったマスク(図 11 左側)から作物をコントロールできること, さらには,農作物特にハーブにとても強い力を持っていること,彼はその力を求めている そうです。他の生徒は雨林を守るパワーを得るために鳥のマスクを作りました。彼は熱帯 雨林の上を飛びました。その経験を生かしてアイデアを得ています。この生徒はこのよう にシンプルのマスクを作っています。 この生徒(図 11 右側)のアイデアの段階を今も覚えています。この生徒はすごいスキ ルがあります。これは角の生えた(牛のような)怪物でしょうか。生徒によって持ってい る能力が違います。この太陽のマスクは平均的なスキルの素晴らしいレベルです。こちら は高いスキルですがそれぞれに応じてみるべきです。この作品(図11 右側)は 9 点です。 ルーブリックでは 0 点-7 点ですが彼は 9 点です。でも彼を 7 点にすると全員が下がって しまう。彼はルーブリックを超えているのです。この太陽の作品が6 点です。でもこれは これで素晴らしい。このようにとても素晴らしい生徒を扱う場合は注意が必要です。他の 生徒がむごい扱いにならないように注意すべきです。彼はすごい才能があります。10 点く らいの才能のある生徒を 7 にすると他の生徒が低くなってしまいます。注意しなければな りません。数学だと 10 レベルの生徒がいても 8 レベルの生徒は 8 レベルをとれます。そ こが数学と違うところです。他の生徒のために注意が必要なのです。これ(図11)は昨年 度やったユニットです。そしてこれが以前のスタッフがやったマスクのユニットです(卒 業アルバムで以前のユニットの作品を示す。作品は全員が同じ既製品のマスクに有名な絵 画作品を描いたものである)。去年スタッフが変わってカリキュラムが変わりました。 T:このユニットのマスクもマスクのパワーのテーマですか。 C:違います。これはいろいろな作家の作品(をマスクに描いているだけの作品)です。 例えばアンディー・ウォーホルなどです。見ると「すごくいい」ということになると思う けど,どこに創造性があるでしょうか。保護者がみても素晴らしいと思うでしょう。しか しただ有名な絵を写しただけです。有名な絵の歴史は習うかもしれないが,ただコピーし ているだけです。私にはこの作品の意図がわかりません。単純な学習の価値しかない。7 図 11 MYP 題材 マスク
76 年生は3つのユニットしかないのです。 だから創造性のある実りある学びをし なければならない。さきほどの課題は 違った文化の歴史も学ぶ,人間の共通 性もみることができる。私たちはみん な私たちの外部のことを経験したいと いう共通性があります。なぜ私たちは マスクを使うのか,を考えていきます。 だからあの課題はとても創造的です。 問題解決型の学びです。私はあのユニ ット(図 11 のユニット)の方がこれよりもずっとよいと思います。他の学年ではこの女 の子はフリーダカーロを学んで自画像を描きました。これはコピーではありません。こっ ちの(以前のマスクのユニット)はコピーです。彼女はアーティストから刺激を受けてい ます。これが私たちの意見です。これは 3D のスキルではありません。だから今年はこの ような題材をしないようにしたのです。 他のユニットも pc の中にありますからお見せできます。それはポートレートです,自 分自身を表現するものです。ある生徒は3D の迷路(maze)のような箱を作りました。エ ッシャーのようなアップダウンのある,しかしそれはエッシャーのコピーではありません。 アイデアはエッシャーだけど。ある生徒は箱に引き出しを作ってその中に彼女のパーソナ リティのある物を表現しています。全員が違う物を作っています。 全員が違う物を作る,そしてそれをうまく導くのが教師です。途中のプロセスから重視し ます。アセスメントではプロセスを評価するのが大切です。 T:スキルのアセスメントをするのは大変ですね。 C:数学の先生は,評価をするのが簡単です。30 分,1 時間で終わる。でも私はとても大 変,ノートを見なければならないし,私は土曜日にも来なければなりません。すべての生 徒が違う表現をしています。それぞれがよく考えて制作しています。しかし私は点数をつ けなければなりません。コメントをつけて,フィードバックをさせますが,それは全く苦 になりません。しかし点数を付けなければなりません。創造的な表現があるが 4 をつけな ければならない。それは大変です。子どもたちは点数でやる気を起こすこともあります。 しかし親は「あなたは6 か7を取らなければならない」と強く言います。生徒は一生懸命 やるが,スコアのために頑張るようになると悲しいです。私は教育をしているのですから。 でもスコアを生徒も親も必要とします。大学も必要としています。 (MYP 展覧会の写真を見せながら)これは展覧会の写真です。展覧会はとても重視して います。この教育システムではプロファイルを重視しているのです。 ビジネスに進んだ私の生徒がいました。ビジネスを学びたいといいました。彼はリーダ ーシップがあり,クラスでよいティームプレーヤーであり,問題解決でも素晴らしくとて も創造的でした。これらはビジネスコミュニティでも,とても大切なことです。アート コ ミュニティに必要なだけではないのです。私は歯医者へ行ったとき,ドクターはビジュア ルアートを学んでとてもよかったといっています。アートを学ぶのはアーティストのため 図 12 MYP プロセスジャーナルと作品
77 だけではないのです。 (嶽氏に向かって)あなたの学校では 15 名が上限でアートを学ぶといっていましたが, 誰が決めたのですか。 T:DP の生徒は 15 人が制限だからです。しかし,ナショナルカリキュラムの生徒はもっ と多くの生徒が選ぶことができます。 C:私たちの学校は全員 DP を選ばなければならないのです。しかし,DP でアートを選ぶ 生徒もいるし,そうでない生徒もいます。DP カリキュラムとオンタリオ州のカリキュラ ム両方を全員選ばなければなりません。IB サーティフィケートを選べる学校もあります。 IB サーティフィケートは一つのハイヤーレベルと 5 つのスタンダードレベルでとること ができます13。DP はさらに TOK,CASS,EE14をとらなければなりません。私たちの 学校は全員やらなければならないことになっています。 5.6 C 氏へのインタビュー(3)-展覧会での学び- 私たちはギャラリーでオープニングプロモーションを開いてプロファイルもそこで示し ます。夏の間の60 日間行います。60 日間休暇だからです。多くの人が来て楽しみます。 これは 10 年生の「フォトストーリー」というユニットです。これは 5 枚の写真でストー リーを語るというものです。英語科と合同で行う興味深いユニットです。私たちは,暗室 はありません。私たちはコンポジション,ライティングを教えます。特別なカメラは使い ません。子どもたちは普通のカメラを使います。それは彼らにとってはとても簡単なこと だと思います。5 つの写真を使って物語を作っていくのです。これは「オキュパイセント ラル」の時のものです。これは比喩を使った表象的なものです。これは彫刻,これは絵画, これはコラージュです。これはすべて9 年生の作品です。水彩画をやっているときに「オ キュパイセントラル」のハプニングがありました。水彩画をやめて「オキュパイセントラ ル」の作品を作ったのです。 K:これは雨傘ですね。 C:そう雨傘です。これは昨年 3 月の DP ショーです。これはアドビのイラストレーター で描いています。描いたものをこちらでプリントします。昨年のものです。これはデイリ ーアート,毎日小さな作品を作ります。いろいろな生き物を日常品の中に描いたり作った りします。この作品も素晴らしいです。とても素晴らしい生徒たちでした。これはもう一 年前のものです。 これらはMYP です。9,10 年生です。私たちはいっぺんに(DP と MYP を)展覧会を することはありません。きちんと焦点を当てたいからです。比較されないようにです。以 前は 9 年生から 12 年生まで一緒に展示していました。保護者は「これは素晴らしい,で もこっちはもっと素晴らしい」と,どうしても比較をしてしまいます。9 年生の隣に 12 年生のものがあればどうしても,こっちがすごい,となってしまう。だから,分けるよう にしたのです。私たちは 3 つの大きな展覧会をします。DP,9,10 年生 MYP,7,8 年 生MYP です。DP は 3 月,9,10 年生 MYP は 4 月,7,8 年生 MYP は 5 月の終わりで す。
78 C:2 週間がいいですね。1 日はパネルを立てる,1 日は作品掲示,4 日間は生徒を毎日連 れて見に行きます。小学部にも児童を連れてきて,と頼みます。保護者にも伝えて見に来 てもらうようにします。 K:子どもたちにはよい勉強ですね。 C:そうです。他学年には興味がないかと思うとそんなことはありません。見ると興味が 出る。9 年生になったらこんなことやるんだ,とか。でも問題があってユニットを変える ことがあります。「あれをやりたかったのに」ということになります。時々はユニットを変 えるので。展示会場はパブリックスペースなので誰でも見に来ることができます。他の IB スクールにも案内を出します。あなた(嶽氏)はあなたの学校の近くの他の IB スクール に行きますか。近くに IB スクールはありますか。あなたは東京ですね。あるのではない ですか。 T:そんなに近くはないです。だいたい 1 時間くらいかかります。 C:電話をして誘うといいと思います。私は招待状を出して来てもらいますし,私も行き ます。ショーは少しずつ時期がずれているので行けるのです。来週はいくつかのショーに 行きます。私もいろいろと学びます。生徒たちと話すとさらにいろいろと新しいことを学 びます。 T:あなたが他の学校にショーを見に行くときは生徒を連れて行きますか。 C:近くの学校でやるときは,タクシーで生徒をつれて 30 分くらいショーを見てタクシー で連れて帰りました。他には放課後にスクールバスで連れて行ったこともあります。彼ら はとても楽しそうでした。 それから,インターナショナルスクールの生徒は他の学校に友達がいることがよくありま す。他の学校のショーに行くことを宿題にしたこともあります。いとこといっしょにいと この学校に行って自分の写真を撮って来た生徒もいます。 K:IB スクールではない先生を招待したことはありますか。 C:ありません。とても忙しいので。連絡が難しいです。IB スクールだとコーディネータ ーなど連絡の方法があります。しかし他の学校から招待されることはあります。香港はと ても多くの学校がありますから多くを招待することはできません。 私は生徒たちに教えているのはとても楽しいです。展覧会はとても重要です。例えば水 彩画の展示をします。それと同時にスケッチブックも展示をします。鑑賞者はプロセスも 一緒に鑑賞できます。生徒が成長していく過程がわかります。私は調査や実験を生徒にさ せています。展覧会は驚くような教育なのです。単なるショーではないのです。 K:スケッチブックを展示することもとても大切なのですね。 C:そうです。 K:生徒はショーの中でギャラリートークはしますか。 C:いいえ。彼らは年齢が小さすぎます。例えば先生が来て質問すると彼らにはプレッシ ャーになると思います。彼らはポートフォリオの中で説明しています。クラスの中では人 数が多すぎます。4 人が適当でしょう。アドバイスをしたりして意見をお互いに言い合え ます。安全な関係の中でできます。9 年生,10 年生でやっていくといいでしょう。11 年 12 年生になっても続けていけます。11 年生では美術室前のギャラリー(正に廊下の壁面
79 を利用している)でショーをして放課後は公開します。友達や両親を連れてきて互いに話 し合っています。 ショーは 3,4,5 月とやるのでとても忙しいです。DP は外では展覧会をしません。私 たちは作品の著作権を守らなければなりません。もしも他の人が生徒たちの作品の写真を 撮って作品に利用したら,生徒たちが不利になります。DP 試験が終わってから公開する ことができます。著作権を守ることがとても重要です。 T:著作権の関係があることはわかりました。今あなたは 11 年生の作品も展示すると言い ましたが,それでは11 年生の作品は展示してもいいのですか。 C:11 年生は家族のみの小さな展覧会をします。もし IB の本部に他人と同じ作品ですね と言われることになったら問題になります。だから途中経過を記録しておくことが大切で す。スケッチブックのすべてのページをコピーしておきます。途中経過のコピーをとって おきます。他の人が展覧会で作品の写真を撮って試験にアップロードすることがあり得ま す。でも私がオリジナルの作品を持っていればこれはアクリル絵の具の作品です(材料も わかります)と言うことができます。これが本当にこの学校の生徒の作品かどうか,スケ ッチブックのすべてのページのコピーを取ってあればわかります。自分の学校の生徒の作 品かどうか確認するための証拠でもあるのです。 他にも,C 氏には共同制作の時 DP ではどうするのか,DP とオンタリオ州の Ontario Secondary School Diploma (OSSD),との評価はどうするのかなどの話を聞いた。その他に も,プロセスジャーナルや実際の作品を使ってユニットの説明もあった。 5.7 DC 氏へのインタビュー MYP のアセスメントについて美術科教師である DC 氏へインタビューを行った。DC 氏 はこの調査の一ヶ月前に,IB 実施校の教員に義務づけられている MYP ワークショップに 参加しており,最新の情報を得ることができた。 美術のカリキュラムについて D:一ヶ月前にワークショップに参加しました。 T:探究のテーマ(statement of inquiry)や探究の質問を作るとき,重要概念や,関連概 念をいれて探究のテーマや探究の質問を作るととても生徒がわかりにくいのですが。 D:探究のテーマ(statement of inquiry)を作る前に重要概念を決めます。重要概念から 始めます。最初は重要概念です。次は関連概念,次はグローバルな文脈を決めていきます。 K:このユニットのタイトルがシュールレアリスムなのですか。ちょうど東京の嶽先生の 学校でも同じことをやっています。 D:重要概念の言葉は必ず探究のテーマの中に入れます。 K:単語を入れなくても意味を入れればいいのですか。 D:重要概念は語句を必ず入れます。関連概念は語句を入れなくてもかまいません。なぜ なら意味を入れたからです。 T:重要概念はそのまま入れる,関連概念とグローバルな文脈は意味を入れればよいので すね。