近代語における≪時≫表示法の位相 (浅見徹教授退
任記念号)
著者
松井 利彦
雑誌名
文林
巻
40
ページ
71-126
発行年
2006-03-20
URL
http://doi.org/10.14946/00001569
近
代
語
に
お
け
る
︽
時
︾
表
示
法
の
位
相
松
井
ロ
禾
彦
近代語 にお ける 《時》 表示 法 の位相 ︹ = ︽ 時 ︾ の 新 秩 序 を 作 り 上 げ る 出 来 事 が 明 治 五 年 に い く つ か あ っ た 。 そ の な か で も っ と も 重 要 な こ と は 、 政 府 が 時 刻 制 度 と 時 刻 表 記 法 を 決 定 し 、 布 告 し た こ と で あ る 。 太 陽 暦 の 導 入 を 決 め 、 旧 暦 の 明 治 五 年 十 二 月 三 日 を 、 明 治 六 年 一 こ く せ い 月 一 日 と す る と 定 め る と 同 時 に 、 時 刻 制 度 に 欧 米 風 の 二 四 ジ 制 を 採 用 す る と 布 告 し た (本 稿 で は 時 刻 制 を 、 一 二 刻 制 ・ と き せ い 一 二 時 制 ・ 二 四 ジ 制 と 表 示 し 、 必 要 に 応 じ て 、 二 四 ジ 制 の 表 記 を 、 二 四 時 制 、 あ る い は 二 四 字 制 と 記 す ) 。 当 時 の 官 報 と も 言 え る ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ (第 九 七 号 、 明 治 五 年 十 一 月 九 日 付 ) に 掲 載 さ れ た 時 刻 に 関 す る 項 目 を 、 太 陽 暦 に 係 わ る 事 柄 が 第 一 項 ・ 第 二 項 に 記 さ れ て い る の で 、 第 三 項 、 第 四 項 と 呼 ぶ な ら ば 、 第 三 項 と 第 四 項 に は 次 の よ う に 書 か れ て い る 。 原 文 の 一 つ 書 き を 第 三 項 、 第 四 項 と し て 掲 げ る ( 以 後 は こ の 布 告 を 、 二 四 ジ 制 の 布 告 の 第 三 項 、 第 四 項 と 略 称 す る こ と が あ る ) 。 ﹄文林 四十号 1 、 三 、 時 刻 之 儀 是 迄 昼 夜 長 短 二 随 ヒ 十 二 時 二 相 分 チ 候 処 今 後 改 テ 時 辰 儀 時 刻 昼 夜 平 分 二 十 四 時 二 定 メ 子 刻 ヨ リ 午 刻 迄 ヲ 十 二 時 二 分 チ 午 前 幾 時 ト 称 シ 午 刻 ヨ リ 子 刻 迄 ヲ 十 二 時 二 分 チ 午 後 幾 時 ト 称 候 事 四 、 時 鐘 之 儀 来 ル 一 月 } 日 ヨ リ 右 時 刻 二 可 改 事 但 是 迄 時 辰 儀 時 刻 ヲ 何 字 ト 唱 来 候 処 以 後 何 時 ト 可 称 事 第 三 項 は 、 従 来 、 使 用 し て 来 た 、 一 日 を 一 二 に 分 割 す る 不 定 時 法 ( 一 二 刻 制 や 一 二 時 制 ) を 止 め て 、 定 時 法 の 二 四 ジ 制 に 改 め る こ と 、 そ し て 、 一 日 の 前 半 を 午 前 と 言 い 、 後 半 を 午 後 と 称 し て 、 ﹁ 午 前 何 ジ ﹂ ﹁ 午 後 何 ジ ﹂ と い う 言 い 方 を 採 用 す る と 書 い て あ る と 理 解 で き る 。 一 方 、 第 四 項 (﹁ 時 刻 表 ﹂ と し て 掲 げ ら れ て い る 、 二 四 時 制 と = 一刻 制 の 対 照 表 は 掲 載 を 省 略 し た 。 ) の 但 し 書 き は 、 第 三 項 で 言 っ た こ と を 文 字 で 書 く 場 合 に つ い て 触 れ た も の で あ る と 解 さ れ る 。 ﹁ 何 ジ ﹂ を 従 来 、 ﹁ 何 字 ﹂ と 書 い て き た が 、 以 後 は ﹁ 時 ﹂ の 文 字 を 用 い る と 記 し て あ る と 読 め る 。 そ れ ぞ れ の 条 項 を こ の よ う に 理 解 す る と 、 第 三 項 と 第 四 項 と は 矛 盾 す る 。 第 三 項 で は 二 四 ジ 制 を 明 治 六 年 一 月 一 日 か ら 導 入 す る と 書 い て あ る 。 と 言 う こ と は 、 そ れ ま で 二 四 ジ 制 は 使 用 さ れ て い な い と 理 解 さ れ る 。 そ れ に も か か わ ら ず 、 第 四 項 の 但 し 書 き で は 二 四 ジ 制 は 既 に 行 わ れ て い る と 記 し て あ る 。 口 で 言 う と き に は ﹁ 何 ジ ﹂ と 言 う の で 問 題 は な い が 、 書 い た と き に 、 ﹁ 何 時 ﹂ と 書 く と ﹁ 何 ど き ﹂ と 読 ま れ る 恐 れ が あ る 。 数 字 が 四 か ら 九 ま で の 場 合 は そ の 可 能 性 が あ る 。 そ こ で 、 ﹁ 何 字 ﹂ と 書 い て 来 た が 、 二 四 ジ 制 を 導 入 す る と 、 一 二 時 制 は 使 わ れ な く な る は ず で あ る か ら 遇 時 刻 を 表 示 す る ﹁ 時 ﹂ は ﹁ ど き ﹂ と 読 ま れ る こ と が な く な る 。 し た が っ て 、 明 治 六 年 一 月 一 日 か ら は 時 刻 の 表 記 に ﹁ 時 ﹂ の 文 字 を 使 う こ と に す る 。 こ の よ う に 書 い て あ る と 理 解 す
近代語 にお け る 《時》表 示法 の位相 れ ば 、 二 四 ジ 制 は 既 に 使 用 さ れ て い た こ と に な る 。 第 三 項 と 第 四 項 と で は 食 い 違 う 内 容 に な っ て い る 。 し か し 、 第 三 項 は 国 と し て 法 令 を 以 て 二 四 ジ 制 を 統 一 的 に 施 行 す る と 言 っ て い る の で あ り 、 し か し 、 現 実 に は 既 に 二 四 ジ 制 は 使 用 さ れ る こ と が あ っ て 、 そ の 場 合 に ﹁ 字 ﹂ が 使 用 さ れ た と 記 し て あ る と 解 釈 す れ ば 、 第 三 項 と 第 四 項 と は 矛 盾 し な い こ と に な る 。 だ が 、 こ の 解 釈 が 正 当 性 を 持 つ た め に は 、 ど の よ う な 人 び と が 、 ど の よ う な 所 で 、 ど の よ う な こ と に つ い て 、 二 四 ジ 制 を 使 用 し た か を 確 認 し な け れ ば な ら な い 。 次 に 、 既 に 二 四 ジ 制 が 使 用 さ れ て い た と す る な ら ば 、 そ の 場 合 、 た と え ば 、 ﹁ 午 前 二 字 ﹂ の よ う に ﹁ 字 ﹂ の み で 書 か れ て い た の か ど う か 。 別 の 観 点 か ら 言 え ば 、 二 四 ジ 制 の 時 刻 表 記 に ﹁ 時 ﹂ が 使 用 さ れ る こ と は 全 く な か っ た の か 、 明 治 六 年 一 月 一 日 か ら 二 四 ジ 制 に ﹁ 時 ﹂ の 文 字 の 使 用 が 始 ま っ た と 解 し て よ い か 、 階 層 や 、 教 養 は 関 係 し な い か 、 こ の よ う な 疑 問 が 生 じ る 。 ま た 、 も し [ 何 時 ﹂ を ﹁ 何 字 ﹂ と 書 く の が 普 通 で あ っ た の な ら ば 、 た と え ば 、 六 〇 分 の 二 倍 の 時 長 は ﹁ 二 字 間 ﹂ と 書 い た の で あ ろ う か 。 コ ]時 間 ﹂ と 書 く と 、 ﹁ フ タ ト キ ノ ア イ ダ ﹂ と 読 ま れ る 危 険 性 が あ り 、 前 者 の ﹁ ニ ジ カ ン ﹂ は 六 〇 分 の 二 倍 の 時 の 長 さ で あ り 、 後 者 の ﹁ フ タ ト キ ノ ア イ ダ ﹂ は 六 〇 分 の 四 倍 の 時 の 長 さ で あ っ て 、 大 変 な 違 い に な る 。 誤 解 を 避 け る の な ら ば 、 ﹁ 二 時 間 ﹂ と 書 か ず 、 ﹁ 二 字 間 ﹂ の 表 記 を 用 い て よ い 。 そ う で あ れ ば 、 こ の 明 治 五 年 の 第 九 七 号 ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ に 記 さ れ た 時 刻 表 示 に 係 わ る 条 項 は 、 時 の 長 さ の 表 示 に も 関 係 す る こ と で あ っ た の か 。 こ の よ う な 疑 問 も 出 て く る 。 し か し 、 こ れ ら の こ と に つ い て は 、 こ の 布 告 の 文 面 か ら は 理 解 し に く い 。 こ の 第 三 項 と 第 四 項 が 近 代 の 時 刻 制 と 時 刻 表 記 法 に つ い て 教 示 し て く れ る 事 柄 は き わ め て 重 要 で あ る 。 し か し 、 当
文林 四十号 時 の 時 刻 制 . 時 刻 表 記 法 、 そ し て 時 長 表 示 法 に つ い て 正 確 な 情 報 を 伝 え て く れ な い よ う で あ る 。 と す れ ば 、 少 な く と も 次 の こ と を 別 途 に 確 認 す る 必 要 が あ る 。 ① 二 四 ジ 制 は 他 の 時 刻 制 と ど の よ う な 関 係 に あ っ た か 。 ② 二 四 ジ 制 の 使 用 は ど の よ う に 広 ま つ て い っ た か 。 ③ 二 四 ジ 制 の 時 刻 が 使 用 さ れ る 場 合 、 ﹁何 ジ ﹂ の ﹁ ジ ﹂ の 表 記 は 、 実 際 に は い か に な さ れ た か 。 ④ 二 四 ジ 制 の 時 長 表 示 は い か に 表 記 さ れ た か 。 こ の よ う に 問 題 を 設 定 し て み る と 、 直 ち に 思 い 当 た る こ と が あ る 。 時 刻 に 関 す る 布 告 を 出 す 明 治 五 年 以 前 に 、 政 府 は 国 民 に 対 し て 二 四 ジ 制 を 既 に 使 用 し て い る の で あ る 。 ﹁ 字 ﹂ で 二 四 ジ 制 を 用 い た こ と が 三 度 あ っ た 。 こ の こ と は よ く 知 ら れ て い る 。 最 初 は 明 治 五 年 五 月 三 日 の こ と で あ り 、 品 川 と 横 浜 間 の 鉄 道 開 通 時 の 時 刻 表 に お い て で あ る 。 こ の 時 は 仮 営 業 で あ っ た か ら 、 上 り は 、 横 浜 を ﹁ 午 前 八 字 ﹂ 発 、 品 川 に ﹁午 前 八 字 三 十 五 分 ﹂ 着 と 、 横 浜 を ﹁ 午 後 四 字 ﹂ 発 、 品 川 に ﹁ 午 後 四 字 三 十 五 分 ﹂ 着 の 二 本 だ け で 、 下 り も 、 品 川 発 午 前 九 字 と 、 午 後 五 字 発 の 二 本 で あ り 、 し か も 直 通 で あ っ た か ら 、 二 四 ジ 制 の 、 そ し て 、 ﹁ 字 ﹂ を 用 い て 書 か れ た 時 刻 が 直 接 、 多 く の 人 の 目 に 触 れ た わ け で は な い 。 し か し 、 五 月 九 日 に は 、 神 奈 川 ス テ ー シ ョ ン と 川 崎 ス テ ー シ ョ ン が 増 え 、 本 数 も 上 下 そ れ ぞ れ 午 前 に 三 本 、 午 後 に 三 本 の 、 合 計 六 本 に な っ た か ら 、 そ れ だ け 、 ﹁ 字 ﹂ で 書 か れ た 二 四 ジ 制 の 時 刻 を 国 民 が 見 る 機 会 が 多 く な っ た 。 そ し て 、 九 月 十 二 日 に 新 橋 ・ 横 浜 間 で 、 途 中 の ス テ ー シ ョ ン が 品 川 ・ 川 崎 ・ 鶴 見 ・ 神 奈 川 に な り 、 上 り 下 り 、 そ れ ぞ れ 一 日 に 九 本 が 運 転 さ れ
は ユ た か ら 、 そ れ だ け 、 二 四 ジ 制 の 、 ﹁ 字 ﹂ を 用 い た 時 刻 を 見 る 人 が 多 く な っ た 。 こ の こ と を 考 え れ ば 、 先 ほ ど 挙 げ た 第 四 項 の ﹁ 但 是 迄 時 辰 儀 時 刻 ヲ 何 字 ト 唱 来 候 処 以 後 何 時 ト 可 称 事 ﹂ は 、 ﹁ 唱 え ﹂ や ﹁ 称 す ﹂ は ﹁ 書 く ﹂ あ る い は ﹁ 記 す ﹂ の 誤 り で あ る か ら 、 こ れ を 訂 正 し な け れ ば な ら な い が 、 事 実 で あ る と い う こ と に な る 。 し か し 、 一 方 で 、 数 か 月 前 の こ と だ け を 指 し て ﹁ 唱 来 候 ﹂ と 書 く で あ ろ う か 、 鉄 道 の 時 刻 表 以 前 に 政 府 は 国 民 に 向 か っ て 二 四 ジ 制 を ﹁ 字 ﹂ で 使 う こ と が あ っ た の で は な い か 、 と い う 疑 問 が 湧 い て く る 。 こ の 疑 問 は 第 三 項 と 厳 し く 対 立 す る が 、 第 三 項 の 基 づ く 事 実 、 第 四 項 の 依 る 事 実 、 そ し て 、 両 者 の 関 係 の 究 明 は 、 近 代 時 刻 制 の 考 察 に は 避 け て 通 れ な い 必 須 事 項 で あ る 。 近 代語 にお ける 《時》表 示 法 の位 相 ︹ 二 ︺ ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ の 創 刊 号 は 当 時 の 時 刻 制 ・ 時 刻 表 記 の 複 雑 な 重 層 性 を 垣 間 見 さ せ て く れ る 。 冒 頭 の 記 事 は 次 の よ う に 書 か れ て い る (斜 線 は 改 行 を 示 す 。 二 四 ジ 制 の 時 刻 に は 実 線 を 付 す 。 一 二 刻 制 に は 点 線 を 付 け る 。 振 り 仮 名 は 省 略 。 ) 。 2 、 二 月 十 四 日 午 ノ 半 刻 ヨ リ 申 ノ 刻 マ デ ニ 大 坂 西 本 願 寺 二 於 テ / 醍 醐 大 納 言 殿 東 久 世 前 少 将 殿 宇 和 嶋 少 将 殿 各 国 公 使 ト 応 接 ノ 始 末 左 ノ 如 シ ︿ 中 略 ﹀ 一 亦 日 今 日 必 相 分 ル ヘ シ ト 錐 弥 確 定 ス ル ハ / 明 十 五 日 卜 定 ム ベ シ / 然 ラ バ 明 十 五 日 十 字 ノ 朝 米 国 公 使 館 二 / 於 テ 再 会 シ 各 般 ノ 諸 事 件 ヲ 約 定 セ ン / 右 之 通 ニ テ 相 済 申 ノ 刻 各 国 公 使 退 出 セ リ ( ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ 第 一 号 。 慶 応 四 年 二 月 刊 ) こ の 記 事 に は 一 二 刻 制 と 二 四 ジ 制 と が 使 用 さ れ て い て 、 後 者 に ﹁ 字 ﹂ が 使 用 さ れ て い る よ う に 思 わ れ る 。 思 わ れ る
文林 四十号 は を と い っ た 曖 昧 な 言 い 方 を す る の は 理 解 し に く い 所 が あ る か ら で あ る 。 ﹁ 明 十 五 日 十 字 ノ 朝 ﹂ は 江 戸 版 に よ っ て い る が 、 京 都 版 で も 同 じ く ﹁ 十 字 ノ 朝 ﹂ で あ る 。 た だ し 、 京 都 版 で は ﹁ 明 後 十 六 日 十 字 ノ 朝 ﹂ と な っ て い る の を 江 戸 版 で ﹁ 明 十 五 日 十 字 ノ 朝 ﹂ に 訂 正 し て い る 。 し か し 、 ﹁ 十 字 ノ 朝 ﹂ は そ の ま ま な の で あ る 。 こ れ は 、 ﹁ 明 十 五 日 ノ 朝 ﹂ と ﹁ 明 十 五 日 ノ 十 字 ﹂ の コ ン タ ミ ネ ー シ ョ ン で は な い か 、 と 思 わ れ る 。 お そ ら く ﹁ 十 字 ノ 朝 ﹂ は ﹁ 朝 ノ 十 字 ﹂ の 誤 り で 、 ﹁ 午 前 十 字 ﹂ の こ と で あ ろ う 。 そ れ が 誤 り の ま ま 江 戸 版 に 継 承 さ れ て い る 。 ま だ 、 午 前 ・ 午 後 と い う 言 い 方 が 一 般 的 で な く 、 二 四 ジ 制 に 出 版 関 係 者 が 慣 れ て い な か っ た た め に 誤 り が 見 落 と さ れ た の で あ ろ う 。 こ の よ う に 修 正 す る こ と が 許 さ れ る な ら ば 、 ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ の 創 刊 号 に 二 四 ジ 制 が ﹁ 字 ﹂ で 使 用 さ れ て い る こ と に な る 。 と 言 う こ と は 、 明 治 五 年 の ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ 九 七 号 に 記 載 さ れ て い る 時 刻 に 関 す る 布 告 は 、 一 部 が 正 し く 、 一 部 が 誤 り で あ る 、 と い う こ と で あ る 。 誤 り で あ る 点 は 、 明 治 六 年 を 待 た ず に 、 政 府 は 既 に 慶 応 四 年 に お い て ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ で 二 四 ジ 制 を 使 用 し て い る こ と 。 正 し い こ と は 、 二 四 ジ 制 を ﹁ 字 ﹂ で 表 記 し て い る こ と で あ る 。 し か し 、 前 者 に つ い て は 、 次 の よ う に 言 え る 。 二 四 ジ 制 を 慶 応 四 年 頃 に 政 府 は 使 用 し た 。 し か し 、 そ れ は 、 事 情 が あ れ ば 、 使 用 す る こ と が あ る と い う 程 度 の 使 用 で あ っ て 、 し ば し ば 使 っ た の で は な い 。 そ こ で 、 明 治 六 年 一 月 か ら 太 陽 暦 を 採 用 す る の を 機 に 国 民 に 二 四 ジ 制 の 採 用 を 布 告 で 周 知 さ せ 、 今 後 こ の 制 度 の み を 使 用 す る こ と に す る 。 こ の よ う に 言 っ て い る と 理 解 す れ ば 、 ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ の 明 治 五 年 の 時 刻 に 関 す る 布 告 と 、 ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ の 創 刊 号 に 二 四 ジ 制 が ﹁ 字 ﹂ で 使 用 さ れ て い る こ と と は 矛 盾 が 和 ら ぐ 。 た だ し 、 ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ の 創 刊 号 に お け る た だ 一 例 の 二 四 ジ 制 を 以 っ て 、 明 治 五 年 の ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ 九 七 号 の 時 刻 に 関 す る 布 告 の 正 誤 ・ 適 否 を 云 々 す る こ と が 適 切 で あ る か と い う 問 題 は 残 る 。 そ れ に 、
近代語 にお け る 《時》 表示 法 の位相 事 情 が あ れ ば 二 四 ジ 制 を 政 府 が 使 う こ と が あ る と 仮 定 し て み た が 、 そ れ は ど の よ う な 事 情 か 、 と い う こ と の 解 明 も 必 要 で あ る 。 要 す る に 、 第 三 項 と 第 四 項 は 文 字 通 り に 読 め ば 、 理 解 し が た い と こ ろ が あ る 。 そ こ で 、 慶 応 四 年 二 月 か ら 、 二 四 ジ 制 が 実 施 さ れ る 年 の 翌 年 ( 明 治 七 年 ) ま で の 間 に 時 刻 を 記 し た 記 事 が ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ に 掲 載 さ れ て い る と す れ ば 、 そ こ で 、 い か よ う な 時 刻 制 が 使 わ れ 、 時 刻 表 記 が な さ れ て い る か を 調 べ 、 そ こ か ら 当 時 の 時 刻 制 ・ 時 刻 表 記 の 実 態 を 探 る こ と に す る 。 た だ し 、 一 八 六 八 年 は 九 月 七 日 ま で を 慶 応 四 年 と し 、 こ れ よ り 後 、 十 二 月 三 十 一 日 ま で を 明 治 一 年 と し て 分 割 し た ( 本 稿 で は コ 兀 年 ﹂ を コ 年 ﹂ と 書 く 。 ) 。 時 刻 を 記 し た 一 ま と ま り の 文 書 を 一 件 と 呼 び ( こ の こ と は 後 に 例 を 挙 げ て 説 明 す る ) 、 そ の な か で 、 時 刻 制 が 一 二 刻 制 、 一 二 時 制 、 二 四 ジ 制 の い ず れ が 使 わ れ て い る か 、 あ る い は 複 数 の 時 刻 制 が 混 用 さ れ て い る か 、 二 四 ジ 制 の 場 合 は ﹁ 字 ﹂ と ﹁ 時 ﹂ の い ず れ が 用 い ら れ て い る か を 示 し た の が 表 1 で あ る 。 ﹁ 払 暁 ﹂ ﹁ 朝 ﹂ ﹁ 夕 暮 れ ﹂ ﹁ 日 暮 れ ﹂ ﹁ 日 没 ﹂ や ﹁ 昼 後 ﹂ な ど は 当 時 で は 時 刻 の 表 示 で あ る が 、 こ こ で は 時 刻 表 示 か ら 除 い た 。 ま た 、 昼 過 ぎ の 意 の ﹁ 午 後 ﹂ も 時 刻 は ヨ 制 か ら 外 し た 。 ﹁ 昼 飯 を 済 ま せ て ﹂ の 意 味 を 含 む ﹁ 正 午 過 ぎ ﹂ の ﹁ 午 後 ﹂ は よ く 使 わ れ る 語 で あ り 、 こ れ を 一 二 刻 制 に よ る 時 の 表 示 と 認 め る と 、 二 刻 制 と 他 の 時 刻 制 と の 混 用 と し な け れ ば な ら な い 文 書 が 多 く な る か ら で あ る 。 ま た 、 ﹁六 時 ﹂ だ け が 使 用 さ れ て い る 文 書 も 対 象 か ら 外 し た 。 ﹁ む つ ど き ﹂ か ﹁ ロ ク ジ ﹂ か 分 か ら な い か ら で あ る 。 こ の 種 の 時 刻 表 記 を 除 外 し て も 、 な お か つ 、 一 二 時 制 と 二 四 ジ 制 と の 関 係 な ど 、 判 別 し に く い 場 合 が あ り 、 削 除 せ ざ る を 得 な い 文 書 が あ っ た 。 し た が っ て 、 件 数 や 時 刻 制 の 認 定 に あ る 程 度 の 揺 れ が 出 る 。 こ れ は や む を 得 な い こ と で あ る 。 な お 、 以 下 の 表 で は 各 年 度 の 中 心 的 な 専 用 時 刻 制 は ゴ シ ッ ク に し 、 こ れ を 中 心 に パ ー セ ン ト を 記 し た 。
文林 四十号 明 治 一 年
慶
応
四
年
表 1O
O
件
一 二 刻 制 四 ジ 制 一時 制=
一 一 ノ \刻
件
制
98 件 27 件 70 件 77 件 刻 制 専 用 刻 制 ・ 一 二 時 制 の 混 用 刻 制 ・ 二 四 字 制 の 混 用 刻 制 ・ 一 二 時 制 ・ 二 四 字 制 の 混 用 二 刻 制 専 用 二 刻 制 ・ 一 二 時 制 の 混 用 二 刻 制 ・ 二 四 字 制 の 混 用 二 時 制 専 用 二 時 制 ・ 一 二 刻 制 の 混 用 二 時 制 ・ 二 四 字 制 の 混 用 四 字 制 専 用 四 字 制 ・ 一 二 刻 制 の 混 用 四 字 制 ・ 一 二 時 制 の 混 用 1 2 13 82 2 2 23 2 9 59 2 9 66 件 件 件 件 件 件 件 件 件 件 件 件 件 41,x% 14.3 3F.6% 41.0%一 二 時 制 74 件 一 二 時 制 専 用 59 件 29.5% 一 二 時 制 ・ 一 二 刻 制 の 混 用 13 件 一 二 時 制 ・ 二 四 字 制 の 混 用 1 件 = 一時 制 ・ 一 二 刻 制 ・ 二 四 字 制 の 混 用 1 件 二 四 ジ 制 46 件
二
四
字
制
専
用
41 件 20.5%二
四
時
制
専
用
1 件 二 四 字 制 ・ 一 二 刻 制 の 混 用 2 件 二 四 字 制 ・ 一 二 時 制 と 混 用 二 四 字 制 ・ 一 二 刻 制 ・ 一 二 時 制 の 混 用 1 件 1 件 近代 語 にお け る 《時》 表示 法 の位 相明
治
二
年
一 二 三 件 一 二 刻 制 一 二 時 制 二 四 ジ 制 63 件 11 件 53 件 = 一刻 制 専 用 一 二 刻 制 ・ 一 二 時 制 ・ 二 四 字 時 制 の 混 用 一 二 時 制 専 用 一 二 時 制 ・ 一 二 刻 制 ・ 二 四 字 時 制 の 混 用二
四
字
専
用
二 四 字 制 ・ 二 四 時 制 の 混 用 61 件 2 件 9 件 2 件 41 件 7 件 49.6% ?.3°0 33.3%文林 四十号
明
治
五
年
明
治
四
年
明
治
三
年
九
件
二
四
ジ
制
一 四 ジ 制 一時 制八
件
動
制
一 四 ジ 制時
制
一刻制四
八
件
39 件 26 件 10 件 3 件 11 件 9 件 29 件四
字
制
専
用
四
字
制
専
用
一時 制 一刻 制 の 混 用時
制
専
用
爾
解
一時 制 の 混 用一刻
制
専
用
四
字
制
専
用
一時 制 専 用 一時 制 ・ 一 二 刻 制 の 混 用 一刻 制 一時 制 の 混 用刻
制
専
用
一四 字 時 制 一刻 制西
時
制
専
用
一時 制 の 混 用 36 件 26 1 9 1 2 件 件 件 件 件 11 1 8 1 28 件 件 件 例 件 2 3 件 件 92.3 58.4% 23.7% 22.9% 16.7% 58.3%近 代語 にお け る 《時》 表示 法 の位相
明
治
六
年
六
八
件
一
二
時
制
二
四
ジ
制
68 件 i 件二
四
時
制
専
用
一 二 時 制 ・ 二 四 時 制 の 混 用 二 四 時 制 専 用 二 四 時 制 ・ 一 二 時 制 の 混 用 二 四 時 制 ・ 二 四 字 制 の 混 用 3 件 11fi51 件 件 件 件 97.1%明
治
七
年
二
八
件
%
二
四
ジ
制
葎
二
四
時
制
専
用
29
件
㎜
第 1 表 か ら 次 の こ と が 読 み 取 れ る 。 ア 、 明 治 七 年 は 二 四 ジ 制 が 厳 守 さ れ 、 ジ の 表 記 に ﹁ 時 ﹂ が 専 用 さ れ る 。 イ 、 明 治 六 年 で も ほ ぼ 二 四 ジ 制 が 実 行 さ れ 、 ジ は ﹁ 時 ﹂ の 専 用 に 近 い 。 忠 実 に 布 告 が 守 ら れ て い る と 言 っ て よ い 。 ウ 、 明 治 五 年 で あ る に も か か わ ら ず 既 に 二 四 ジ 制 の み で 表 示 さ れ て い る 。 し か し 、 ジ は ﹁ 字 ﹂ で 書 か れ る こ と が 多 い 。 エ 、 明 治 四 年 で も 約 七 〇 パ ー セ ン ト が 二 四 ジ 制 で 表 示 さ れ て い る 。 た だ し 、 ﹁ 字 ﹂ の み の 表 記 で あ る 。 一 二 時 制 の 専 用 は 約 二 四 パ ー セ ン ト と 少 な く 、 そ の 後 、 一 二 時 制 が 使 用 さ れ る の は 一 件 の み で あ る 。 ま た 、 一 二 刻 制 の 専 用 は 僅 か に 二 件 に 過 ぎ な い 。 そ れ 以 後 の 一 二 刻 制 の 専 用 は な い 。 オ 、 明 治 三 年 で は 一 二 刻 制 の 専 用 が 約 五 八 パ ー セ ン ト で あ り 、 残 り を 一 二 時 制 と 二 四 ジ 制 が 分 け 合 っ て い る が 、 二 四文林 四十号 ジ 制 の 専 用 の ほ う が 多 い 。 カ 、 明 治 二 年 で は 一 二 刻 制 の 専 用 が 約 五 〇 パ ー セ ン ト 、 二 四 ジ 制 の 専 用 が 約 三 三 パ ー セ ン ト で あ り 、 ﹁ 時 ﹂ の 文 字 を 使 用 し た も の も 三 例 あ る 。 も っ と も 少 な い の が 一 二 時 制 の 専 用 で 、 約 七 パ ー セ ン ト で あ る 。 明 治 二 年 以 降 、 一 二 時 制 の 使 用 は 少 な い 。 前 年 の 明 治 一 年 と 比 べ る と 、 二 四 ジ 制 と 一 二 時 制 の 順 位 が 入 れ 替 わ る 。 キ 、 明 治 一 年 で は 、 一 二 刻 制 の 専 用 が 四 一 パ ー セ ン ト 、 一 二 時 制 が 約 三 〇 パ ー セ ン ト 、 二 四 ジ 制 が 約 二 〇 パ ー セ ン ト で あ り 、 そ れ ぞ れ ほ ぼ 一 〇 パ ー セ ン ト の 差 が あ る 。 二 四 ジ 制 は ﹁ 字 ﹂ の 表 記 の ほ か に ﹁ 時 ﹂ が 一 例 あ る 。 ク 、 慶 応 四 年 で は 、 一 二 刻 制 の 専 用 が 四 一 パ ー セ ン ト 、 一 二 時 制 の 専 用 が 約 三 七 パ ー セ ン ト で あ っ て 、 大 差 は な く 、 二 四 ジ 制 の 専 用 は 約 一 四 パ ー セ ン ト に 過 ぎ な い 。 こ の よ う に 見 て く る と 、 慶 応 四 年 か ら 明 治 七 年 ま で 、 一 二 刻 制 、 一 二 時 制 、 二 四 ジ 制 の い ず れ か が 突 出 し て 多 く 使 用 さ れ る の は 、 明 治 四 年 以 後 の 二 四 ジ 制 の み で あ る 。 新 政 府 は 王 政 復 古 の 思 想 に 基 づ い て 政 治 体 制 を 固 め た か ら 時 刻 表 示 も 復 古 調 の 一 二 刻 制 が 圧 倒 的 に 多 く 使 用 さ れ て し か る べ き で あ る の に 、 事 実 は 、 明 治 三 年 で の 五 八 パ ー セ ン ト が 最 高 で あ り 、 明 治 二 年 で の 五 〇 パ ー セ ン ト 、 慶 応 四 年 と 明 治 一 年 で は 四 一 パ ー セ ン ト に 過 ぎ ず 、 ど の 年 度 も 五 〇 パ ー セ ン ト 前 後 に 止 ま っ て い る 。 し か も 、 新 体 制 発 足 の 慶 応 四 年 と 、 そ の 翌 年 は 、 明 治 三 年 や 明 治 二 年 よ り 専 用 率 が 低 い 。 一 二 時 制 は ど う か と 言 う と 、 慶 応 四 年 と 明 治 一 年 で の 専 用 率 は 高 い が 、 明 治 二 年 以 後 で の 専 用 は 微 々 た る も の で あ る 。 二 四 ジ 制 は 慶 応 四 年 以 降 、 明 治 三 年 ま で の 専 用 率 は 高 く な い が 、 使 用 が 継 続 し 、 明 治 二 年 に は 一 二 時 制 を 追 い 抜 き 、 明 治 四 年 で は ト ッ プ に 躍 り 出 る 。
近代語 にお ける 《時》 表示 法 の位 相 以 上 の こ と は 、 明 治 五 年 の ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ 第 九 七 号 で 布 告 さ れ た 第 三 項 ・ 第 四 項 か ら 理 解 さ れ る こ と と 隔 た り が あ る 。 こ の 布 告 に 書 か れ て い る 事 柄 を も う 一 度 、 確 認 す る と 次 の よ う で あ る 。 第 三 項 時 刻 之 儀 是 迄 昼 夜 長 短 二 随 ヒ 十 二 時 二 相 分 チ 候 処 今 後 改 テ 時 辰 儀 時 刻 昼 夜 平 分 二 十 四 時 二 定 メ 子 刻 ヨ リ 午 刻 迄 ヲ 十 二 時 二 分 チ 午 前 幾 時 ト 称 シ 午 刻 ヨ リ 子 刻 迄 ヲ 十 二 時 二 分 チ 午 後 幾 時 ト 称 候 事 第 四 項 時 鐘 之 儀 来 ル 一 月 一 日 ヨ リ 右 時 刻 二 可 改 事 (﹁ 右 時 刻 ﹂ に 該 当 す る 新 旧 時 刻 対 照 表 は 省 略 ) 但 是 迄 辰 儀 時 刻 ヲ 何 字 ト 唱 来 候 処 以 後 何 時 ト 可 称 事 第 三 項 は 、 ﹁ 是 迄 ﹂ は 一 日 を 一 二 分 す る 不 定 時 法 で あ っ た の を 、 明 治 六 年 一 月 一 日 か ら は 昼 夜 を 二 四 等 分 に す る 二 四 ジ 制 を 導 入 す る と 書 い て あ る 。 第 四 項 に は 、 時 刻 を ﹁ 何 ジ ﹂ と 書 く と き は 、 ﹁ 是 迄 ﹂ 使 用 し て 来 た ﹁ 字 ﹂ を 廃 止 し て ﹁ 時 ﹂ を 使 用 す る と あ る 。 と こ ろ が 、 表 1 を 見 る と 、 明 治 五 年 以 前 に 二 四 ジ 制 で 書 か れ た 記 事 が 多 く あ る 。 ﹁ 何 ジ ﹂ の ﹁ ジ ﹂ が 僅 か で は あ る が 、 ﹁ 時 ﹂ で 表 記 さ れ る こ と が あ る 。 慶 応 四 年 か ら 明 治 五 年 ま で の ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ に 見 ら れ る 時 刻 制 と 表 記 法 は 、 第 一二 項 と 第 四 項 か ら 理 解 さ れ る こ と と 違 う と こ ろ が あ る 。 し か も 、 時 刻 表 示 に 統 一 性 が 弱 く 、 雑 然 と し て い る 。 こ れ は 、 初 期 の ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ の 記 事 内 容 が 反 映 し て い る と 考 え ら れ る 。 ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ の 記 事 は 、 慶 応 四 年 か ら の 数 年 間 は 新 聞 記 事 に 近 い 。 布 告 の 他 に 、 新 政 府 の 動 向 の 報 知 、 諸 藩 や 有 志 の 建 白 、 諸 藩 か ら の 届 け な ど を 載 せ 、 等 質 で な い 。 書 き 手 、 記 事 の 性 格 に 違 い が あ り 、 さ ら に 宛 先 が 、 太 政 官 宛 、 下 級 官 庁 宛 、 国 民 宛 な ど さ ま ざ ま で あ る 。 そ こ で 、 発 信 者 を 基 準 に し て 時 刻 制 ・ 時 刻 表 記 を 整 理 し 直 し て み る 。
文林 四十号 ︹三 ︺ ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ の 記 事 を 、 政 府 の 出 す 布 告 類 と 、 藩 や 県 が 提 出 す る 届 け 書 類 に 分 け 、 時 刻 制 と 時 刻 表 記 と の 関 係 を 見 る と 、 表 2 の ご と く で あ る (各 年 度 の 、 布 告 と 届 け 書 に お け る 中 心 的 な 時 刻 制 は ゴ ッ チ ク に し 、 こ れ を 中 心 に パ ー セ ン ト を 記 し た 。 ) 。 表 2 慶 応 四 年
歪
口
二
三
件
う
集
一
二
刻
制
専
用
2・
件
臓
一
二
刻
制
・
二
四
字
制
の
混
用
1
件
二
四
字
制
専
用
2
件
届
け
書
= 二 八 件 う ち 、 一 二 刻 制 専 用 一 ■ 一時 制 専 用 二 四 字 制 専 用 一 二 刻 制 ・ 一 二 時 制 の 混 用 一 二 刻 制 ・ 二 四 字 制 の 混 用 一 二 時 制 ・ 二 四 字 制 の 混 用 2 1 9 21 59 46 件 件 件 件 件 件 6、5% 15.2%42.8%33.3%で 近 代語 にお ける 《時》 表示 法 の位相
明
治
一
年
布
告
届
け
書
明
治
二
年
布
告
一 九 件 う ち 、 一 八 一 件 う ち 、 六 二 件 う ち 、 一 二 刻 制 専 用 一 二 時 制 専 用 一 二 刻 制 ・ 一 二 時 制 の 混 用 一 二 刻 制 専 用 一 二 時 制 専 用 ■ 一 四 字 制 専 用 二 四 時 制 専 用 一 二 刻 制 ・ 一 二 時 制 の 混 用 一 二 刻 制 ・ 二 四 字 制 の 混 用 一 二 刻 制 ・ 一 二 時 制 ・ 二 四 字 制 の 混 用 一 二 時 制 ・ 二 四 字 制 の 混 用=
一刻
制
専
用
二
四
字
制
専
用
二
四
字
制
・
二
四
時
制
を
混
用
1 1 2 12 1 41 59 65 1 1 17 件 件 件 件 件 件 件 件 件 件 件 1952 件 件 件 89.x% 22.8%32.8%36ユ% 14.5%83.9%文林 四十号
届
け
書
明
治
三
年
布
告
届
け
書
明
治
四
年
布
告
六 一 件 う ち 、 四 一 件 う ち 、 七 件 う ち 、 一 二 刻 制 専 用 = 二 時 制 専 用 二 四 字 制 専 用 二 四 時 制 専 用 二 四 字 制 ・ 二 四 時 制 の 混 用 一 二 刻 制 ・ 一 二 時 制 ・ 二 四 字 時 制 の 混 用 一 一 一刻 制 専 用 一 二 時 制 専 用 二 四 字 制 専 用 一 二 刻 制 専 用 一 二 時 制 専 用 二 四 字 制 専 用 一 二 刻 制 ・ 一 二 時 制 の 混 用 三 八 件 う ち 、 一 二 刻 制 専 用 2633299 件 件 件 件 件 件 1 1 3 2 10 5 26 件 件 件 件 件 件 件 2 件 52.5% 54.2% 20、8%近代語 に おけ る 《時》表 示法 の位相
届
け
書
明
治
五
年
布
告
届
け
書
明
治
六
年
布
告
三 九 件 う ち 、 四 七 件 う ち 、 届 け 書 ( 県 か ら ) 二 一 件 う ち 、明
治
七
年
布
告
届
け
書
二
五
件
三
件
一 二 時 制 専 用 二 四 字 制 専 用 一 二 刻 制 ・ 一 二 時 制 の 混 用 一 一 四 字 制 専 用 二 四 時 制 専 用 二 四 時 制 専 用 二 四 時 制 ・ 二 四 字 制 の 混 用 二 四 時 制 専 用 二 四 時 制 ・ 一 二 時 制 の 混 用二
四
時
制
専
用
二
四
時
制
専
用
0 1 26 9 件 件 件 件 0 件 3 36 件 件 1 20 1 46 件 件 件 件 325 件 件 68,4%23,7% 92,3% 97。8% 952% 100%文林 四十号 表 2 か ら 判 明 す る こ と は 次 の こ と で あ る 。 ア 、 政 府 と 、 各 藩 ・ 県 と で は 、 使 用 す る 時 刻 制 が 必 ず し も 同 じ で は な い 。 イ 、 概 し て 言 え ば 、 政 府 の 時 刻 制 は 統 一 的 で あ り 、 各 藩 の 時 刻 制 は 多 様 で あ る 。 ウ 、 政 府 の 使 用 す る 時 刻 制 は 、 慶 応 四 年 ・ 明 治 一 年 で は 一 二 刻 制 の 専 用 に 近 い 。 明 治 二 年 で も 、 約 八 四 パ ー セ ン ト が 一 二 刻 制 の 専 用 で あ り 、 明 治 三 年 に な る と 率 は 下 が る が 、 半 数 を 維 持 し て い る 。 二 四 ジ 制 の 専 用 は 、 慶 応 四 年 で 約 九 パ ー セ ン ト 、 明 治 一 年 で ゼ ロ 、 明 治 二 年 で 約 一 五 パ ー セ ン ト 、 明 治 三 年 で 約 一 = パ ー セ ン ト で 少 し ず つ 増 え は す る が 、 僅 か で あ る 。 し か し 、 一 二 時 制 よ り は 多 い 。 一 二 時 制 の 専 用 は 微 々 た る も の で あ る 。 政 府 の 出 す 文 書 は 慶 応 四 年 か ら 明 治 三 年 ま で は 一 二 刻 制 が 主 流 で あ る 。 政 治 体 制 の 王 政 復 古 と 呼 応 す る 時 刻 制 が 採 用 さ れ て い る と 言 っ て よ い 。 と こ ろ が 、 明 治 四 年 に な る と 、 一 二 刻 制 は ほ と ん ど 使 わ れ な く な り 、 二 四 ジ 制 の 専 用 が 約 六 八 パ ー セ ン ト 、 一 二 時 制 の 専 用 が 約 二 四 パ ー セ ン ト に な る 。 時 刻 制 が 大 き く 転 換 す る 。 そ し て 、 明 治 五 年 に な る と 、 二 四 ジ 制 の 専 用 率 が 一 〇 〇 パ ー セ ン ト に 近 く な る 。 ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ で の 二 四 ジ 制 導 入 の 予 告 は 、 こ の 事 実 が 強 く 関 係 し て い る の で あ ろ う 。 鉄 道 開 通 に お け る 時 刻 表 の 二 四 ジ 制 も こ の 流 れ の な か に 位 置 づ け る の が 適 切 な の で あ ろ う 。 エ 、 届 け 書 は 、 明 治 三 年 か ら 五 年 ま で は な い か 、 極 め て 少 な い の で 除 外 し て 、 慶 応 四 年 を 見 る と 、 も っ と も 専 用 率 が 高 い の は 一 二 時 制 で 約 四 三 パ ー セ ン ト で あ る 。 次 が 約 三 三 パ ー セ ン ト の 一 二 刻 制 で あ る 。 布 告 と 比 べ る と 一 二 時 制 の 多 い の が 目 立 つ 。 明 治 一 年 で は 一 二 刻 制 と 一 二 時 制 と は 専 用 率 が ほ ぼ 同 じ で あ り 、 こ こ で も 布 告 に 比
近代語 にお ける 《時》 表示 法 の位相 べ る と = 一時 制 が 善 戦 し て い る 。 二 四 ジ 制 は 慶 応 四 年 で は 約 一 五 パ ー セ ン ト と 少 な い が 、 明 治 一 年 に な る と 、 一 二 刻 制 ・ 一 二 時 制 の 専 用 率 に 近 づ い て 約 二 三 パ ー セ ン ト に な り 、 増 加 率 が 高 い 。 そ し て 、 明 治 二 年 に は 二 四 ジ 制 の 専 用 率 が 約 五 ニ パ ー セ ン ト に な る 。 二 四 ジ 制 の 専 用 率 が 五 〇 パ ー セ ン ト を 超 え る の は 届 け 書 の ほ う が 布 告 よ り 早 い 。 諸 藩 ・ 県 、 侍 な ど 、 非 政 府 的 な 立 場 に あ る 機 関 ・ 人 び と を 民 間 と 呼 ぶ こ と が 許 さ れ る の な ら ば 、 二 四 ジ 制 の 使 用 は 、 民 間 が 先 行 し て い た の で あ る 。 政 府 の 二 四 ジ 制 導 入 の 決 定 に は 民 間 で の 二 四 ジ 制 の 広 が り が 影 響 し て お り 、 明 治 五 年 の 二 四 ジ 制 導 入 の 布 告 は 、 予 告 で は な く 、 追 認 と 言 っ て よ い 一 面 が あ っ た 。 明 治 五 年 の 時 刻 に 関 す る 布 告 の 第 三 項 と 第 四 項 に 矛 盾 が あ る の は こ の よ う な 背 景 が あ っ た か ら で あ ろ う 。 以 上 は 数 字 の 上 で の 概 観 で あ っ た の で 、 次 に 、 布 告 と 届 け 書 に 分 け 、 文 書 に 即 し て そ れ ぞ れ の 特 徴 的 な 時 刻 制 ・ 時 刻 表 記 を 見 る こ と に す る 。 ︹ 四 ︺ 布 告 で は 、 慶 応 四 年 は 一 二 刻 制 が 中 心 で あ る が 、 二 四 ジ 制 と の 混 用 が 一 件 あ り 、 ま た 二 四 ジ 制 の 専 用 が 二 件 あ る 。 前 者 に つ い て は 既 に 示 し た の で 、 二 四 ジ 制 の 専 用 を 次 に 出 す 。 一 つ は ﹁ 兵 学 校 規 則 ﹂ に お け る 使 用 で あ る (時 長 表 示 に 二 重 線 を 付 す 。 二 四 ジ 制 に 実 線 、 一 二 刻 制 に 点 線 を 付 け る こ と は 従 前 ど お り で あ る 。 ) 。
文林 四十号 3 、 一 、 稽 古 之 生 徒 毎 朝 七 字 三 十 分 時 揃 、 之 事 一 、 八 字 ヨ リ 十 字 迄 練 兵 十 字 ヨ リ ニ 十 分 時 ノ 間 休 息 十 字 二 十 分 時 ヨ リ 十 二 字 迄 兵 学 (慶 応 四 年 ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ 第 五 二 号 ) 他 の 一 件 は 第 三 八 号 に 掲 載 さ れ て い る ﹁ 中 下 大 夫 及 び 上 士 へ 御 達 書 写 ﹂ に お い て で あ る 。 ﹁ 今 般 御 暇 被 二 下 置 一候 二 付 テ ハ ﹂ で 始 ま る 役 人 の 休 暇 に つ い て の 記 事 で あ る が 、 四 行 目 で 面 ( ペ ー ジ ) が 変 わ り 、 ﹁ 昨 二 十 七 日 三 字 頃 ヨ リ 北 ノ 方 十 八 町 位 御 座 候 会 津 街 道 筋 大 谷 地 村 ヲ 根 拠 ト シ テ ﹂ と い う 戦 況 報 告 に な る 。 届 け 者 は ﹁ 薩 摩 少 将 内 新 納 嘉 藤 二 ﹂ で あ る 。 し た が っ て 、 こ の 部 分 は 乱 丁 の た め に ﹁ 布 告 ﹂ に 二 四 ジ 制 が 使 用 さ れ て い る か に 見 え る 状 態 に な っ て い る と 考 え て よ い 。 こ の 箇 所 は 京 都 版 に は な い 。 こ の 二 四 ジ 制 は 届 け 書 で の 使 用 と 処 理 す べ き で あ る 。 そ う な る と 、 慶 応 四 年 で の 二 四 ジ 制 専 用 の 文 書 は ﹁兵 学 校 規 則 ﹂ だ け で あ る 。 こ の よ う な 兵 学 校 の 制 度 は 欧 米 の 影 響 下 に 成 っ て お り 、 そ れ 故 に 分 単 位 の 時 刻 が 示 さ れ て い る の で あ る が 、 こ の 細 か な 時 刻 の 表 示 に 耐 え ら れ る の は 二 四 ジ 制 の み で あ る か ら 、 こ の 時 刻 制 が 使 わ れ た 理 由 は 明 白 で あ る 。 明 治 一 年 で は 二 四 ジ 制 の 使 用 は ゼ ロ で あ る 。 一 二 時 制 は 次 の よ う に 使 用 さ れ て い る ( 一 二 時 制 の 時 刻 に は 破 線 を 付 け る 。 ) 。 4 、 来 十 八 日 新 嘗 祭 於 二 神 祇 官 代 一被 ・ 為 二 執 行 一候 二 付 十 七 日 暮 六 ツ 時 ヨ リ 十 九 日 朝 五 ツ 時 迄 仏 事 類 鐘 等 停 止 被 二 仰 付 一候 事 (明 治 一 年 ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ 第 一 四 〇 号 ) こ れ は 民 間 に 対 す る 布 告 な の で 多 く の 人 に 馴 染 み の あ る 時 刻 制 が 使 用 さ れ た と 考 え ら れ る 。 一 二 刻 制 と 一 二 時 制 の
近 代語 にお け る 《時》 表示 法 の位 相 混 用 の 一 例 は 次 の ﹁ 皇 学 所 開 講 ﹂ に つ い て の お 触 れ で あ る 。 5 、 来 十 四 日 皇 学 所 御 開 講 被 二 仰 出 一候 間 宮 堂 上 及 非 蔵 人 諸 官 人 二 到 迄 入 学 勉 励 可 レ 致 候 ︿中 略 ﹀ 一 御 開 講 当 日 卯 半 刻 参 集 可 レ 有 ・ 之 事 / 一 衣 体 之 儀 堂 上 狩 衣 直 垂 地 下 麻 上 下 之 事 / . 規 則 / 一 入 学 之 儀 毎 月 四 之 日 二 被 レ 定 候 く中 略 V / 一 講 釈 自 二 四 時 一至 二 九 時 一 ︿ 以 下 省 略 ﹀ / 一 素 読 毎 朝 自 二 六 半 時 一至 二 八 時 一 / 一 輪 講 同 自 二 八 時 一至 二 七 時 一 ︿ 中 略 ﹀ 右 二 点 ハ 於 二 局 中 一為 レ 之 自 二 七 時 一至 二 晩 時 一 ( 明 治 一 年 ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ 第 一 六 七 号 ) 最 初 の 箇 条 に 一 二 刻 制 が 使 用 さ れ 、 三 つ 目 以 後 の 箇 条 に 一 二 時 制 が 使 わ れ て い る 。 両 者 は 一 つ 書 き の 箇 条 の 中 で の 使 用 で あ る こ と で は 同 じ で あ る 。 し か し 、 内 容 が 違 う 。 前 者 は 皇 学 所 開 講 に 就 い て の 説 明 文 で あ り 、 後 者 は 規 則 文 で あ る 。 一 二 刻 制 と 一 二 時 制 は ﹁ 規 則 ﹂ と い う 語 で 分 け ら れ て い る 。 前 者 は 敬 体 の 文 章 、 後 者 は 主 と し て 非 敬 体 の 文 章 で あ る 。 こ の 差 が 時 刻 制 に 対 応 し て い る 。 明 治 一 年 で は 、 先 に 示 し た 、 一 二 時 制 、 = 二 刻 制 と 一 二 時 制 の 混 用 の 二 例 以 外 の 一 七 件 は す べ て 一 二 刻 制 で 書 か れ て い る 。 行 幸 ・ 行 啓 に つ い て も 、 宮 中 の 祭 典 に つ い て も 、 ま た 諸 藩 へ の 沙 汰 書 に お い て も そ う で あ る 。 明 治 と 改 元 さ れ た 一 八 六 八 年 の 布 告 は 伝 統 的 な 時 刻 表 示 で あ る 。 明 治 二 年 で は 、 一 二 刻 制 の 専 用 に 近 い が 、 二 四 ジ 制 が 、 御 沙 汰 書 ・ 御 達 書 に 七 件 、 民 部 省 火 事 に 一 件 、 民 部 省 規 則 に 一 件 、 使 わ れ て い る 。 ﹁ 民 部 省 規 則 ﹂ で は 資 料 3 ・ 資 料 5 と 同 様 の 規 則 書 で あ る 。
文林 四十号 6 、 第 十 字 参 仕 第 十 二 字 迄 前 日 調 べ 置 ノ 事 務 ヲ 決 断 シ 第 十 二 字 ヨ リ 第 二 字 退 出 二 至 ル 迄 当 日 ノ 事 務 ヲ 取 調 べ 置 ベ シ ( 明 治 二 年 ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ 第 八 四 号 ) 御 沙 汰 書 ・ 御 達 書 に は ﹁ 十 字 参 朝 二 字 退 出 之 事 ﹂ (﹁ 議 行 両 官 規 則 ﹂ 、 八 号 所 収 ) や 、 ﹁ 昌 平 学 校 講 義 ﹂ の 規 則 ( 四 四 号 所 収 ) 、 ﹁ 甲 日 本 主 弁 事 へ 出 ス 事 件 乙 日 十 二 字 後 弁 事 参 与 へ 議 ス 丙 日 十 二 字 迄 二 議 事 二 決 シ 十 二 字 後 輔 相 弁 事 二 付 ス ﹂ ( 八 号 所 収 ) の ご と き 規 則 類 で の 二 四 ジ 制 の 使 用 が 多 い 。 時 刻 の 順 序 が 分 か り や す い か ら で あ ろ う 。 二 四 字 制 と 二 四 時 制 の 混 用 は 次 の も の で あ る 。 7 、 英 国 王 子 参 内 略 記 追 録 七 月 二 十 二 日 王 子 横 浜 へ 着 艦 寺 島 外 務 大 輔 艦 二 就 テ 之 ヲ 労 ス ニ 十 四 日 第 八 字 英 国 甲 鑛 船 ﹁ オ ー シ ン ﹂ 二 於 テ 祝 砲 二 十 一 発 ︿中 略 ﹀ 第 十 一 字 王 子 上 陸 公 使 館 へ 着 ス 七 月 二 十 五 日 ︿ 中 略 ﹀ 第 十 字 王 子 延 遼 館 二 至 ル ︿中 略 ﹀ 七 月 二 十 八 日 第 一 時 王 子 参 内 ︿ 中 略 ﹀ 八 月 三 日 第 十 字 王 子 川 蒸 気 船 二 駕 シ テ 品 川 沖 二 至 リ ︿中 略 ﹀ 八 月 十 一 旦 二 字 半 王 子 乗 艦 横 浜 ヲ 発 ス (第 一 〇 〇 号 ) 二 四 ジ 制 の 時 刻 表 記 に 、 ﹁ 字 ﹂ に 混 じ っ て ﹁ 時 ﹂ が 一 例 、 使 わ れ て い る こ と は 注 目 に 価 す る 。 こ れ は 層 別 と 時 刻 制 ・ 時 刻 表 記 と の 当 時 の 特 殊 な 関 係 を 示 す も の で あ る 。 こ の こ と は 後 に 詳 説 す る 。 こ の よ う に 明 治 二 年 に な る と 布 告 に も 二 四 ジ 制 が 使 用 さ れ る が 、 よ り 多 く は 一 二 刻 制 が 使 わ れ る 。 二 四 ジ 制 の 一 〇 件 に 対 し て 五 二 件 で あ る 。 こ の 五 二 件 の 内 容 は 次 の ご と く で あ る 。 東 京 奥 都 に 伴 う 行 幸 、 天 皇 の 地 方 巡 視 ( 東 巡 ・ 行 幸 報 告 ) な ど に 関 す る 記 事 が 二 七 件 で 半 数 を 超 す 。 ま た 、 天 皇 の 会 議 出 席 、 孝 明 天 皇 の 祭 典 、 新 嘗 祭 や 神 殿 の 移 転 な
近 代語 に お ける 《時》.表示法 の位 相 ど 天 皇 や 皇 居 に お け る 行 事 に つ い て の 記 事 で あ る 。 一 二 刻 制 と 二 四 ジ 制 と は 内 容 に よ っ て 使 い 分 け ら れ て い る 。 明 治 三 年 で も 、 一 二 刻 制 は 行 幸 や 祭 典 の 記 事 に 使 用 さ れ る の が ほ と ん ど で 、 他 は わ ず か に 駅 逓 改 正 表 ・ 郵 伝 規 則 が 一 二 刻 制 で 書 か れ る 程 度 で あ る 。 一 二 時 制 は 、 ﹁ 暮 六 ツ 時 ヨ リ 〆 切 迄 ハ ﹂ ﹁ 夜 五 ツ 時 〆 切 二 就 イ テ ハ 〆 切 後 無 提 灯 通 行 一 切 禁 止 之 事 ﹂ の よ う な 外 桜 田 門 な ど 十 門 の 通 行 や 、 ﹁夜 五 ッ 時 後 無 提 灯 ニ テ 通 行 ノ 者 ハ 取 糺 シ ﹂ の ご と き 三 府 な ら び に 開 港 場 で の 通 行 、 ま た 、 ﹁ 並 々 之 出 船 ハ 曉 六 ッ 時 ヨ リ タ 七 ツ 時 迄 二 可 限 事 ﹂ の よ う な 渡 船 場 の 運 航 な ど 、 庶 民 に 関 係 の 深 い 事 柄 に の み 使 用 さ れ て い る 。 二 四 ジ 制 の 使 用 さ れ た 文 書 に 、 ベ ル ギ ー ・ イ タ リ ア の 公 使 参 朝 や 、 フ ラ ン ス と プ ロ シ ャ の 戦 争 に 対 し て 日 本 は 局 外 中 立 で あ る こ と を 記 し た 記 事 が そ れ ぞ れ 二 件 あ る 。 外 国 と の 関 係 に よ る も の で あ ろ う 。 練 兵 天 覧 の 二 件 の 記 事 に 二 四 ジ 制 が 使 用 さ れ て い る の は 軍 隊 と 二 四 ジ 制 の 特 別 の 関 係 を 示 す も の で あ ろ う 。 こ の ほ か 、 祭 典 に 二 件 、 皇 居 の 火 事 に 一 件 、 官 員 免 職 時 の 出 頭 時 刻 に つ い て 一 件 、 一. 一四 ジ 制 が 使 わ れ る 。 二 四 ジ 制 で 書 か れ る 内 容 に 広 が り が 出 て き て い る 。 明 治 四 年 で は 、 一 二 刻 制 は 、 僅 か に 元 旦 の 四 方 拝 等 の 行 事 や 、 神 事 に 関 す る 記 事 中 で の 使 用 で あ る 。 一 二 時 制 は 大 井 川 や 天 竜 川 な ど の 渡 船 運 賃 に 関 す る 記 事 で の 使 用 が 主 で 、 庶 民 に 関 係 の 深 い 記 事 で の 使 用 で あ る 。 二 四 ジ 制 は 、 フ ラ ン ス ・ オ ラ ン ダ ・ ア メ リ カ の 公 使 や 、 オ ー ス ト リ ア 貴 族 の 参 内 の 記 事 の ほ か 、 神 武 天 皇 ・ 孝 明 天 の 祭 典 、 天 皇 の 浜 殿 ・ 延 遼 館 へ の 臨 御 、 横 須 賀 へ の 行 幸 、 賢 所 で の 神 楽 の 記 事 、 後 に 触 れ る ﹁ 特 命 全 権 大 使 欧 米 各 国 へ 発 遣 ﹂ の 式 に つ い て の 使 用 、 そ し て 、 ﹁ 旧 本 丸 二 於 テ 来 ル 九 日 ヨ リ 昼 十 二 字 大 砲 一 発 ッ ・ 毎 日 時 号 砲 執 行 候 条 為 心 得 相 達 候 事 ﹂ (第 六 三 号 。 ド ン の 開 始 に つ い て ) な ど 、 さ ま ざ ま な 内 容 に 使 わ れ て い る 。 慶 応 四 か ら 明 治 三 年 ま で に 見 ら れ た 、 天 皇 や 宮
文林 四十号 中 の 儀 式 関 係 に は 一 二 刻 制 と い う 使 用 限 定 は 明 治 四 年 に は 破 綻 し 、 一 二 刻 制 ・ 一 二 時 制 ・ 二 四 ジ 制 の 層 別 は 消 滅 し て い る 。 明 治 五 年 で は 、 ほ と ん ど の 記 事 が 行 幸 と 宮 中 行 事 に つ い て で あ る が 、 二 四 ジ 制 で 書 か れ て い る 。 鉄 道 開 業 式 へ の 天 皇 出 席 は 勿 論 の こ と 、 庶 民 と 関 係 の 深 い 身 代 限 り の 掲 示 見 本 で も 、 ﹁ 入 札 致 度 相 望 者 ハ 当 日 何 字 同 人 方 へ 可 罷 出 者 也 ﹂ と あ る 。 な お 、 二 四 ジ 制 の ﹁ 時 ﹂ に よ る 三 例 は 、 十 一 月 二 十 三 日 付 の 第 一 〇 二 号 以 後 に お け る 使 用 で 、 ﹁ 元 始 祭 式 ﹂ に つ い て も ﹁ 午 前 第 八 時 神 官 ノ 長 握 舎 二 着 ク ﹂ と あ る 。 十 一 月 九 日 の 第 九 七 号 で ﹁ 来 ル 一 月 一 日 ヨ リ 右 時 刻 二 可 改 事 ﹂ と 書 き な が ら 、 早 く も ﹁ 時 ﹂ を 使 用 し て い る 。 そ れ ほ ど ま で に 二 四 ジ 制 の ﹁ 時 ﹂ の 使 用 が 望 ま し か っ た の で あ る 。 ﹁ 時 ﹂ は 便 利 ・ 正 当 で あ り 、 逆 に ﹁ 字 ﹂ は 便 宜 的 、 臨 時 的 で あ る と 考 え ら れ て い た か ら で あ ろ う 。 明 治 六 年 に な る と 、 一 例 を 除 い て 二 四 ジ 制 で あ る 。 布 告 の 内 容 や 宛 先 に 制 限 は な い 。 例 外 は 福 岡 県 か ら の 報 告 で あ る 。 8 、 右 五 名 ノ 者 本 月 八 日 午 前 第 十 時 過 当 管 内 筑 紫 国 宗 像 郡 瀬 津 島 近 ク 漂 流 ︿ 中 略 ﹀ 其 事 歴 ヲ 筆 問 ス ル ニ ︿ 中 略 ﹀ 釣 魚 ノ 為 メ 出 船 慶 州 甘 浦 二 夜 ヲ 徹 シ 候 処 翌 十 三 日 朝 四 ツ 時 頃 二 至 リ 卒 然 腿 風 二 遇 ヒ ﹂ (第 一 五 八 号 ) こ れ は 朝 鮮 慶 州 の 漂 流 漁 師 の 話 を 翻 訳 し た た め に 、 民 聞 の 通 常 の 時 刻 の 言 い 方 と し て 一 二 時 制 が 使 わ れ て い る の だ と 考 え ら れ る 。 か く し て 、 明 治 六 年 の 布 告 で は ﹁時 ﹂ を 用 い た 二 四 ジ 制 の 使 用 が 普 通 に な っ た 。 政 府 の 出 す 布 令 中 の 時 刻 の 表 示 は 、 次 節 で 見 る 届 け 書 ほ ど に は 、 一 二 刻 制 二 二 時 制 ・ 二 四 字 制 ・ 二 四 時 制 の 問 で 揺 れ が な い 。 維 新 政 府 に と っ て 一 二 刻
制 が ふ さ わ し い 時 刻 制 で あ り 、 そ れ に 、 書 き 手 が 固 定 し て お り 、 ま た 、 書 記 の 訓 練 を 受 け た 人 で あ っ た か ら で あ ろ う 。 し か し 、 そ れ は 明 治 三 年 ま で で あ る 。 政 府 は 、 慶 応 四 年 か ら 二 四 ジ 制 を 使 う こ と が あ り 、 明 治 四 年 か ら は 二 四 ジ 制 を 完 全 実 施 し て い る 。 そ し て 、 ﹁ 時 ﹂ の 文 字 を 明 治 六 年 一 月 を 待 た ず に 数 ヶ 月 前 か ら 使 用 す る 。 二 四 時 制 の 怒 濤 に 耐 え き れ な か っ た の で あ る 。 近代 語 にお け る 《時》表 示法 の位相 ︹五 ︺ 届 け 書 で は 、 慶 応 四 年 に お い て 三 種 類 の 時 刻 制 が 使 わ れ て い る 。 そ れ が 、 布 告 の 時 刻 制 と の 一 人 相 違 点 で あ る 。 し か も 、 当 時 の 公 的 時 刻 制 で あ る 一 二 刻 制 が 全 体 の 三 三 パ ー セ ン ト で あ り 、 民 間 常 用 の 一 二 時 制 が 全 体 の 約 四 三 パ ー セ ン ト で あ っ て 、 後 者 の 使 用 の ほ う が 多 い 。 届 け 書 の 時 刻 制 に は 、 非 公 的 ・ 日 常 的 で あ る 傾 向 が 見 え る 。 と こ ろ が 、 こ の こ と と は 別 の 現 象 が 認 め ら れ る 。 二 四 ジ 制 が 約 一 五 パ ー セ ン ト ( 二 一 件 ) 、 使 わ れ て い る 。 二 四 ジ 制 は 布 告 で は 、 ﹁ 兵 学 校 規 則 ﹂ に 専 用 が 一 件 、 そ れ と 、 一 二 刻 制 と の 混 用 が 一 件 あ っ た に 過 ぎ な い 。 と こ ろ が 、 各 藩 か ら の 届 け 書 に は 早 く も 欧 米 の 時 刻 秩 序 が 活 用 さ れ て い る 。 こ の こ と は 年 を 追 っ て 顕 著 に な る 。 し か も 、 ﹁ 時 ﹂ の 文 字 を 用 い た 二 四 ジ 制 さ え 、 明 治 一 年 に 一 件 、 明 治 二 年 に は 三 件 で 使 用 さ れ て い る 。 政 府 の 時 刻 制 に 比 べ て 、 民 聞 の 時 刻 制 は 概 し て 欧 米 的 で あ り 、 そ の 点 で 近 代 的 で あ る 。 な ぜ 各 藩 の ほ う が 二 四 ジ 制 の 使 用 が 多 い か 。 そ れ は 、 慶 応 四 年 ・ 明 治 一 年 、 そ し て 明 治 二 年 の 各 藩 の 届 け 書 の ほ と
文林 四十号 は ん ど が 、 戊 辰 戦 争 の 戦 況 報 告 だ か ら で あ る 。 こ の 頃 の 戦 争 は 洋 式 で あ る 。 届 け 書 の 時 刻 制 は 全 体 的 に 見 れ ば 以 上 の ご と く で あ る が 、 藩 ご と に 見 る と 、 藩 に よ り 、 ま た 書 き 手 に よ っ て ま ち ま ち で あ る 。 こ の こ と と 関 係 が あ る の で 、 届 け 書 の 数 を ﹁ 通 ﹂ と 言 わ ず 、 ﹁ 件 ﹂ と 言 っ て き た 理 由 を こ こ で 説 明 し て お く 。 明 治 一 年 の ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ 一 四 五 号 に 掲 載 さ れ て い る ﹁ 大 村 藩 届 書 写 ﹂ を 例 に 取 る と 、 こ の 届 書 の 構 成 は 次 の ご と く で あ る 。 9 、 ① 八 ツ 時 頃 賊 兵 俄 二 繰 引 山 手 二 集 リ ︿中 略 ﹀ 翌 二 十 二 日 ︿ 中 略 ﹀ 七 ツ 半 時 頃 横 沢 村 手 前 ニ テ 砲 戦 ︿中 略 ﹀ 翌 二 十 五 日 角 館 へ 引 揚 申 候 以 上 / 九 月 朔 日 大 村 藩 十 九 貞 衛 ② 未 ノ 中 刻 頃 弊 藩 持 場 下 川 原 村 辺 へ 侵 来 ︿中 略 ﹀ 翌 二 十 九 日 ︿中 略 ﹀ 未 ノ 中 刻 頃 悉 ク 退 散 仕 候 右 両 日 ノ 戦 争 賊 兵 死 傷 霧 敷 御 座 候 以 上 / 九 月 四 日 大 村 藩 十 九 貞 衛 ③ 本 月 十 五 日 暁 天 ︿中 略 ﹀ 翌 十 六 日 猶 奮 戦 ノ 央 ︿ 中 略 ﹀ 夕 七 ツ 時 頃 小 杉 山 へ 引 揚 申 候 右 両 日 之 戦 争 賊 兵 戦 溺 死 亡 霧 鋪 生 捕 数 多 悉 ク 斬 首 弊 藩 死 傷 追 テ 取 調 可 二 申 上 一候 以 上 / 九 月 大 村 藩 大 村 右 衛 門 ④ 右 ノ 通 於 二 出 先 一御 届 申 上 候 く 中 略 V 弊 藩 兵 隊 当 月 十 一 日 東 京 着 仕 候 趣 申 越 候 此 段 御 届 申 上 候 以 上 / 十 一 月 大 村 丹 後 守 公 用 人 一 瀬 左 衛 門 右 の 届 書 は ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ に 一 通 の 文 書 と し て 掲 載 さ れ て い る 。 ④ の 一 瀬 左 衛 門 が 、 奥 羽 で の 戦 況 報 告 を 出 張 の 藩 兵 か ら 受 け て 、 そ れ を 太 政 官 へ 報 告 し た も の で あ る 。 し た が っ て 、 届 け 書 と し て は 一 通 で あ る 。 し か し 、 こ の 届 け 書 は 、 三 人 の 書 い た 四 種 類 の 報 告 書 か ら 成 っ て い る 。 た だ し 、 時 刻 制 が 書 か れ て い る の は 三 種 類 で あ る の で 、 本 稿 で は
近 代語 にお ける 《時》 表示 法 の位 相 こ れ を 三 件 と 数 え た 。 ① ② は 同 一 人 が 書 い た 一 二 時 制 と 一 二 刻 制 の 文 書 。 ③ は ① ② の 書 き 手 と 別 人 が 一 二 時 制 で 書 い た 文 書 で あ る 。 こ れ ら を 纏 め て 一 通 の 文 書 と し て 扱 う と 、 当 時 の 時 刻 制 の 複 雑 な 実 態 が 埋 没 し て し ま い 、 一 文 書 中 で の 複 数 時 刻 制 と 区 別 が つ か な く な る 。 そ こ で 、 ① ② ③ を 別 の 文 書 と し て 扱 う こ と に し 、 ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ で 記 さ れ て い る ﹁ 通 ﹂ と は 別 に 、 ﹁ 件 ﹂ を 用 い た 。 ﹁ 件 ﹂ は 時 刻 表 示 の 用 例 数 で は な く 、 書 記 者 ご と の 文 書 数 を 示 す 。 諸 藩 の 、 報 告 者 と 時 刻 制 ・ 時 刻 表 記 と の 関 係 は 次 の ご と く で あ る 。 ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ に 一 〇 件 以 上 を 報 告 し て い る 藩 を 対 象 に し 、 一 二 刻 制 を 多 く 使 用 す る 藩 、 一 二 時 制 を 多 数 用 い る 藩 、 二 四 ジ 制 を 使 う こ と の 多 い 藩 の 順 に ほ ぼ 並 べ た 。 秋 田 藩 か ら の 届 書 は 一 八 件 。 全 部 が 一 二 刻 制 で 表 示 さ れ て い る 。 村 瀬 清 届 で 六 件 、 他 は 無 署 名 で あ り 、 す べ て が 明 治 一 年 で の 使 用 で あ る 。 久 保 田 新 田 藩 か ら の 届 け 書 は 一 四 件 。 一 二 刻 制 が 八 件 、 一 二 時 制 が 四 件 、 一 二 刻 制 と 一 二 時 制 の 混 用 が 二 件 で あ り 、 二 四 時 制 の 使 用 は な い 。 村 瀬 清 届 に 一 二 刻 制 が 三 件 、 一 二 時 制 が 一 件 。 大 田 原 租 助 届 に = 一刻 制 と 一 二 時 制 の 混 用 が 二 件 、 一 二 時 制 が 一 件 で 、 他 は 無 署 名 で あ る 。 一 二 刻 制 に 傾 い て い る 。 す べ て が 明 治 一 年 の 届 で あ る 。 彦 根 藩 か ら の 届 書 は = 件 。 一 二 刻 制 が 六 件 、 一 二 刻 制 と 一 二 時 制 の 混 用 が 二 件 、 一 二 時 制 が 二 件 、 二 四 ジ 制 が 一 件 。 そ の う ち 、 河 手 主 水 届 に 一 二 刻 制 が 一 件 、 一 二 刻 制 と 一 二 時 制 の 混 用 が 一 件 、 一 二 時 制 が 一 件 、 二 四 ジ 制 が 一 件 で 、 他 は ほ と ん ど が 無 署 名 で あ る 。 藩 内 で は = 一刻 制 が 優 勢 で あ る が 、 川 手 主 水 は さ ま ざ ま な 書 き 方 を す る 。 慶 応 四 年 で は 一 二 刻 制 が 四 件 、 一 二 刻 制 と 一 二 時 制 の 混 用 が 二 件 、 一 二 時 制 が 一 件 あ り 、 明 治 年 で は 一 二 刻 制 が 二 件 、 一 二 時 制 が 一 件 、 二 四 ジ 制 が 一 件 で あ る 。 .
文林 四十号 加 賀 藩 か ら の 届 け 書 は 一 〇 件 で あ る 。 そ の う ち 一 二 刻 制 が 六 件 、 一 二 時 制 が 二 件 、 二 四 ジ 制 が 二 件 で あ る 。 届 け 人 別 に 見 る と 、 赤 座 甚 七 郎 届 に 一 二 刻 制 が 二 件 、 二 四 ジ 制 が 一 件 で 、 富 永 佐 太 郎 ・ 土 師 湊 の 連 名 の 届 に 一 二 刻 制 が 一 件 、 二 四 ジ 制 が 一 件 、 小 谷 兵 左 衛 門 届 に 一 二 時 制 が 二 件 で 、 他 は 無 署 名 で あ る 。 一 二 刻 制 が 優 勢 で あ る 。 慶 応 四 年 は 一 二 刻 制 が 三 件 、 一 二 時 制 が 二 件 で 、 明 治 一 年 で は 一 二 刻 制 が 三 件 、 二 四 ジ 制 が 二 件 で あ る 。 明 治 に 入 っ て 二 四 ジ 制 の 使 用 さ れ て い る こ と が 注 目 さ れ る 。 富 山 藩 の 届 け 書 は = 件 で 、 一 二 刻 制 が 六 件 、 一 二 時 制 が 五 件 で 、 一 二 刻 制 と 一 二 時 制 が 張 り 合 っ て い る 。 村 井 外 守 届 に = 一刻 制 が 三 件 、 一 二 時 制 が 三 件 。 浅 尾 嘉 左 衛 門 届 に 一 二 刻 制 が 三 件 あ る 。 他 は 無 署 名 。 す べ て 慶 応 四 年 で の 使 用 で あ る 。 村 井 と 浅 尾 と で は 時 刻 の 表 示 法 が 違 う 。 肥 前 藩 は = 件 の う ち 、 一 二 時 制 が 九 件 、 一 二 刻 制 と 一 二 時 制 の 混 用 が 一 件 、 二 四 ジ 制 が 一 件 で 、 一 二 時 制 が 優 勢 で あ る 。 原 口 重 蔵 届 に 一 二 時 制 が 四 件 、 一 二 刻 制 ・ 一 二 時 制 の 混 用 が 一 件 、 二 四 ジ 制 が 一 件 、 高 木 権 太 郎 届 で は 三 件 と も 一 二 時 制 。 他 は 無 署 名 。 こ れ ら は す べ て 明 治 一 年 に お け る 使 用 。 高 田 藩 か ら の 届 け 書 は 一 七 件 。 う ち 、 一 二 時 制 が 八 件 、 一 二 刻 制 が 五 件 、 一 二 刻 制 と 一 二 時 制 の 混 用 が 三 件 、 一 二 刻 制 と 二 四 ジ 制 の 混 用 が 一 件 で あ る 。 一 二 時 制 に 傾 い て い る 。 届 別 で は 、 柴 田 定 衛 門 届 に 一 二 刻 制 が 四 件 、 一 二 刻 制 と 一 二 時 制 の 混 用 が 二 件 、 丹 羽 六 大 夫 届 に 一 二 時 制 が 三 件 、 一 二 刻 制 と 一 二 時 制 の 混 用 が 一 件 で 、 他 は 無 署 名 で あ る 。 す べ て 慶 応 四 年 の 届 で あ る か ら 、 書 き 手 に よ っ て 一 二 刻 制 が 主 か 、 一 二 時 制 に 傾 く か に 分 か れ 、 藩 と し て は 時 刻 の 表 示 が さ ま ざ ま で あ る と い う こ と に な る 。
近 代語 にお ける 《時》表 示法 の位 相 岩 国 藩 の 届 は = 件 で 、 一 二 刻 制 が 四 件 、 二 四 ジ 制 が 四 件 、 一 二 時 制 が 三 件 で あ る 。 三 通 り の 表 記 法 が 鼎 立 し て い る 。 届 別 に 見 る と 、 有 福 新 輔 届 で 二 四 ジ 制 が 三 件 、 今 田 鉄 左 衛 門 届 で 一 二 刻 制 が 二 件 、 玉 乃 東 平 届 で 一 二 時 制 が 二 件 、 勝 屋 九 一 郎 届 で 一 二 時 制 が 一 件 、 二 四 ジ 制 が 一 件 、 桂 郁 太 郎 届 で 一 二 刻 制 が 一 件 、 桂 ・ 栗 原 連 名 届 で 一 二 刻 制 が 一 件 で あ る 。 こ れ ら は す べ て 明 治 一 年 に お け る 届 で あ る か ら 、 人 に よ っ て 偏 り が あ り 、 藩 全 体 と し て は 時 刻 表 示 が 一 定 し て い な い こ と に な る 。 薩 摩 藩 か ら の 届 は 一 〇 件 で 、 一 二 時 制 が 五 件 、 二 四 ジ 制 が 五 件 で 、 両 者 が 拮 抗 し て い る 。 こ の う ち 、 新 納 嘉 藤 二 届 で 一 二 時 制 が 三 件 、 二 四 ジ 制 が 一 件 、 内 田 仲 之 助 届 で は 二 四 ジ 制 が 二 件 。 他 は 無 署 名 の 届 で あ る 。 一 二 刻 制 の 使 用 は な い 。 明 治 一 年 に お け る 三 例 の 二 四 ジ 制 以 外 は す べ て 慶 応 四 年 の 使 用 で あ る 。 明 治 一 年 で の 二 四 ジ 制 の 出 現 率 は 高 い 。 大 垣 藩 の 届 は 、 一 二 件 の う ち 、 二 四 ジ 制 が 七 件 、 = 一時 制 が 三 件 、 一 二 刻 制 が 二 件 で 、 二 四 ジ 制 が 優 勢 で あ る 。 二 四 ジ 制 の 使 用 は 、 戸 田 三 弥 届 で 四 件 、 壮 合 渚 之 介 届 で 三 件 で あ る 。 = 一刻 制 は 壮 合 渚 之 介 届 と 柴 崎 秀 左 衛 門 届 で そ れ ぞ れ 一 件 ず つ 、 ま た 一 二 時 制 は 三 宅 鍬 太 郎 と 、 有 竹 ・ 壮 合 、 壮 合 ・ 柴 崎 の 連 名 報 告 書 で 使 わ れ て い る 。 な お 、 二 四 ジ 制 の 使 用 は 慶 応 四 年 で 五 件 、 明 治 一 年 で 二 件 で あ り 、 一 八 六 八 年 の 後 半 よ り 前 半 の 使 用 の ほ う が 多 い の で あ る が 、 明 治 一 年 で の 時 刻 表 示 は 二 四 ジ 制 の 二 例 の み で あ る か ら 、 慶 応 四 年 の ほ う に 二 四 ジ 制 の 使 用 が 多 い と 単 純 に は 言 え な い 。 佐 土 原 藩 で は 一 〇 件 の す べ て が 二 四 ジ 制 で 書 か れ て い る 。 特 定 の 人 が 書 い た の で は な い 。 冨 田 三 蔵 届 、 能 勢 二 郎 左 衛 門 届 、 井 上 仲 太 夫 届 で あ っ た り 、 無 署 名 の 届 で あ っ た り で あ る 。 慶 応 四 年 が 一 件 、 明 治 一 年 が 九 件 で 、 ほ と ん ど が 明 治 一 年 の 届 で あ る こ と が 二 四 ジ 制 の 使 用 数 に 反 映 し て い る の で あ ろ う 。
文林 四十号 最 後 に 、 特 別 に 安 芸 藩 の 場 合 を 見 て み る 。 安 芸 藩 は 八 件 の う ち 、 二 四 ジ 制 が 四 件 、 一 二 時 制 が 二 件 、 一 二 時 制 と 二 四 ジ 制 の 混 用 が 一 件 、 二 四 字 制 ・ 二 四 時 制 の 混 用 が 一 件 で あ る 。 届 別 で は 、 寺 西 盛 登 届 に 一 二 時 制 が 一 件 ( 明 治 一 年 ) 、 一 二 時 制 と 二 四 ジ 制 の 混 用 が 一 件 ( 慶 応 四 年 ) 、 二 四 ジ 制 が 一 件 ( 慶 応 四 年 ) あ り 、 慶 応 四 年 に 二 四 ジ 制 の 使 用 が あ る の が 目 立 つ が 、 明 治 一 年 の 二 川 主 税 届 と 野 村 帯 刀 届 に も 二 四 ジ 制 が そ れ ぞ れ 一 件 ず つ あ る 。 二 四 字 制 と 二 四 時 制 を 使 用 す る の は 増 田 雄 之 進 で 、 ﹁ 夕 三 字 頃 ヨ リ 砲 声 頻 二 起 リ 四 時 前 二 小 荒 井 村 辺 大 戦 ﹂ の よ う に 使 う 。 た だ し 、 こ れ は 明 治 二 年 で の こ と で あ る 。 藩 ご と に 、 ま た 書 き 手 に よ っ て 時 刻 表 示 が 違 う 。 傾 向 が あ る と す れ ば 、 慶 応 四 年 と 明 治 一 年 と で 、 一 二 刻 制 の 減 少 と 、 二 四 ジ 制 の 出 現 率 の 増 加 が 認 め ら れ る こ と で あ ろ う 。 民 間 層 の 時 刻 制 ・ 時 刻 表 記 で 、 も っ と も 特 異 な の は 軍 艦 か ら の 報 告 で あ る 。 こ こ で は 二 四 ジ 制 が 使 用 さ れ 、 ﹁ 時 ﹂ の 文 字 の 使 用 が 多 い 。 五 分 や 一 〇 分 の 倍 数 以 外 の 、 八 分 や 三 八 分 と い っ た 分 単 位 の 時 刻 が 記 さ れ る こ と が あ る の も 、 藩 か ら の 届 け 書 と 異 な る と こ ろ で あ る 。 明 治 二 年 六 月 三 十 日 付 ﹃ 太 政 官 日 誌 ﹄ ( 八 〇 号 ) に 記 載 の ﹁ 陽 春 艦 届 書 写 ﹂ に 次 の よ う に 時 刻 が 記 さ れ て い る 。 10 、 三 月 十 六 日 各 艦 浦 賀 港 出 帆 ︿ 中 略 ﹀ 四 月 六 日 各 艦 発 港 ︿ 中 略 ﹀ 同 十 六 日 午 後 一 時 発 港 ︿ 中 略 ﹀ 同 十 七 日 午 前 四 字 半 ヨ リ 陸 兵 応 援 ノ 為 メ 発 港 こ の 後 の 時 刻 の み を 日 付 を 記 さ ず に 示 す と 、 ﹁ 午 前 九 字 ヨ リ 十 二 字 ・ 午 後 四 字 半 頃 ・ 五 字 頃 ・ 十 字 半 過 ・ 午 前 七 字 ハマ こ マ マ 過 ・ 午 後 四 字 ・ 午 前 八 字 ・ 午 十 二 字 ・ 午 後 二 字 半 ・ 六 字 ・ 午 前 五 字 半 ・ 十 一 字 半 ・ 午 後 四 字 ・ 午 前 七 字 半 ・ 午 十 二 字