神 戸市看 護大学 紀要 Vol
.
1,
pp.
39−
47,
19974
コ マ漫画配列課題
に
お
け る
規準課題
の選
定
と
大
脳
右半
球損傷例
と
の
比較
一
状 況 判 断に関
す る検
討一
佐
々木
和
義
神戸市看 護 大学
Selecting
Standard
Tasks
ofArranging
Strip
Cartoons
andCompairing
Responses
ofRight
Hemisphere
−
damaged
Patients
withThem
:Consideration
ofSituational
Judgement
.
Kazuyoshi
SAsAKI
Kobe
City
College
QfNursing
Abstract
Right
hemispher
−
damaged
patients arelikely
to showlow
Standad
Scores
(SS
)in
picture arrangementof
WAIS −R ,
in
the
casethat
their
VIQ
are normal,
Picture
arrangementis
considered relatingto
situational
judgmennt
in
the results of studies with factor analysis,
In
daily
ユife,
thosepatients
tend toshow
inferiority
in
situationaljudgement
.
In
this study,
to select picture arrangement tasksfor
training of situationaljudgement
,20
normalsublects (male
≡
13,
female=7,
mean ageニ50,
8,
SD =7.
1
) wereinstructed
to arrangefour
pieces of each Qf25
strip cartoons according
to
one’
s own story.
These
strip cartoons were very popular toJapanese
from
children to aged people
.
Each piece(44m
皿×92m
皿)waslaminated
with afilm,
In
normal subjects,
highest
rates for each strip cartoon rangedfrorn
O.
65
to1。
00.17
strip cartoonsfulfilled
the criterion that the highest rate mustbe
O.
90
and up.
Orders
of those arrangement were sameto
orders of the original strip cartoons,
and weredetermined
as correct responses.
20normal
sublects showed the 皿 ean rate of correct responses ofO.
96
(SD =0.
08
),
rangingfrom
O,
71
to1.
00.Four
male righthemispher−damaged
patients(age羃27,
53,
59,
55
),
whoseVIQ
is 105,
112,
102,84
each ,and whQse
SS
of picture arrangementin
WAIS −R
is
1,
5,
6,
4
each,
showed rates of correct responses ofO
.
47,0,
24
,0,
41
,0.
18each .
The
damaged
group
showed significantly lower ratesthan the normal group
(
U =80
,p〈0.
01
).
Therefore
,
it
was suggested that righthemispher−damaged
patients
wouldbe
inferior
to
normal peoPle
in
situationaljudgement
.
Key words :right hemisphere
damage
(大 脳 右半 球損傷 ),
picture arrangement (絵 画 配 列 ),
situationaljudgement
(状況 判 断 )
,
neuropsychology (神経心理学 ) は じめ に脳内 出血や脳梗塞によっ て言語性非 優位半 球である 大 脳 右 半球に損傷を受け た左片マ ヒ患 者の リハ ビリテ
ー
シ ョ ン にとっ て,
注 意 障 害 や 左 半 側空間無 視 L・
xa {S ) , 疾 病観念の悪さ2 ),
系統 性の欠如 と臨 機 応変の困難6) は大 きな障 害だ が,
状況 判断の 不良も同様に大 きな問 題で ある% た と え ば,
心 理 室に予 約時間より も1
時 間 も早 く来るこ と は よくある。 そして,
時 間が来る ま で何 度 も声 を掛 けて くる。 確認に気を取ら れ ていて, 他の患 者の こと は思い及ば ない。 同じ患者がひど く遅 れて来るこ と もよくある。 本人な りの 理由はあるのだ が,
連 絡を すべ き だ とい うこ とに気づ か ない。一
般 論 と して本 人に説 明 す る と,
理 屈の 上で は 理解するのだ が, 実 際場面で守ること ができない。
その特定の場 合 につ い て話し合っ て も,
枝 葉末節 的な 理由 を 上 げて納 得しない。 した がっ て,
患 者 自身の こと と は関係のな い事態にっ いて,
状 況 をい ろい ろ な角度から客観 的に40 神戸 市看護大 学紀要
Vol.1 ,1997
検討するとい う判 断の 訓練の必 要 性が あ る と思わ れ る7 ) 。 左 片マ ヒ患 者の ウ ェ クス ラー
式 成 人 知 能 検 査 (以降WAIS
)の結 果の特 徴は, 動 作 性IQ
(以降PIQ
)が 言語性IQ
(以 降VIQ)より も有 意に低 く8・
9・
n11),
第3
因子であ る 「注 意・
記 憶 (被転 動性)」 因子の負 荷量 の高い下位 検査の成績が不良で あ るhqu ) 。 さ らに,
他 の動 作 性 検 査と ともに,
絵 画 配 列の成 績 も 不 良で あ る10・
ll) e 脳 血管 障害者に対する因 子 分 析で は,
岩 坪 と服 部12) は右 半 球 損 傷 者 と左 半 球 損 傷 者 を混 ぜて,
言 語 性 (言 語理解 )因子と動 作性 (知 覚体 制化
)因子の2
因 子構 造 を提 唱し た。Zi
皿 merman ら 13) は, び まん性損 傷 者 群 も加 えて,3
病態群 間の有意な差 を示 唆し,
右半 球損 傷 者群では絵画 配列が第5
因 子で最 も高い因子負 荷量 を示 すと報 告し た。 佐 々木ら ’e は116
名の 右半 球 損 傷 者で,
寄 与率は3,
3
%に過ぎ な い が,
絵 画 配 列に のみ 因子負荷量の高い第4
因 子 を見 出 した。 さ て,WAIS
の下 位 検 査の う ち, 絵画配 列は,
「計画 性お よ び予 測性に関する能力 」,
「複雑 微 妙な社 会 的てが か りへ の感受 性」, 「論理的で, 順序だっ た思 考 」,
「洞察力」を測定 するとさ れて おりts),
見 通し を 立て て全 体へ 統 合す る能力 や,
因 果 関 係 を把 握 する能 力,
社 会 的 状 況 を判 断 する能力 と関係がある と考え ら れ る。 し た がっ て,Zimmerman
ら t3)の 第 5因 子 と佐々 木らLOの第4
因 子 は 「状 況 判 断 」の因子と考え られる。 以 上に よ り,
WAIS の絵 画 配 列に似た課 題,
すな わ ち, ば らばら に した4
コ マ漫 画を 配 列さ せ,
ス トー
リー
を創ら せ ることに よっ て,
患 者の状 況判 断力 を把 握で きよ う。
さらに,
訓 練 材 料と し ての漫画配列は患 者 自身の こと とは関係のない事態で あ り,
各コ マ をい ろい ろ な角度か ら検 討 する とい うこと力河 能であろ う。 そ れに よっ て,
各コ マ の解 釈と全 体の ス トー
リー
との 調整を す ること を 学 習 させ るこ とができれ ば, 日常 内 の状況 を客 観的に判断する ことに寄 与で きるの では な いか と想定で きる。 た だ し, 絵画配列の課題の中に は複数の正解が あ る ものが ある。 これは, どの場 面が先に なっ て も全体の ス トー
リー
が変ら ない も の や,
配 列を変え ることによっ て別の ス トー
リー
を作ることのでき る ものが あるとい うことである。
4
コ マ 漫 画の配列課 題に おい て も,
作 者のス トー
リー
順以外の配 列が な さ れ る可能性があ る。 そこ で,
今 回は大 部 分の健常 者が同一
の配列を行う4
コ マ 漫 画 を 選 定 し,
訓 練 材 料 を決 定 す ること を 目 的 と する。 く わ えて,
少 数の右 半球 損傷者の成 績を健 常 者と比 較す るこ とによっ て, さ らに多数の右半 球損傷 者で比 較 する意 味が あ る か を検 討す る。方 法
1,
被験 者 健 常群は, 男性13
名, 女性7
名の合計20
名で, 平 均 年齢は50.
8
歳 (SD
=7.
1
)で,38
歳か ら63歳の範 囲にあっ た。 男性は全員が職業を持っ ており,
女性は全 員が主 婦であ り, いず れ も脳血 管障害の既 往 は な かっ た。 右 大 脳 半 球 損 傷 群は男 性4
名で,
リハ ビリテー
シ ョ ン訓 練の た め に入 院 中で あ っ た。WAIS −R
(改 定 版WAIS
)の成 績はTable
1
に ま とめた。 損 傷 者1
は27
歳の 男性で, 右 脳 内出血に よ る左片マ ヒ で, 短 下肢装 具にて独歩して いた。CT
像 上で右 被 殻〜
内 包〜
頭 頂一
前 頭 葉に低 吸収 域が認め ら れ た。12
課 題中6
課題に中〜
軽度の左半 側空間無視が出現し た。 全 体的に不t
意で,
構成 力 障 害 とエ ピソー
ド記 憶障害 と があ り,
状 況 判 断 と病 態 認 識が不 良で,
自己効 力 感 は高かっ た。損傷 者
2
は53
歳の男 性で,
脳出血 (右視 床, 右 被殻) に よ る左 片マ ヒ で, 長 下肢装具に て独 歩して いた。C
T
像上で右半球に広範 囲の低吸収域が 認められ た。13
課題中6
課題に中〜
軽 度の左 半 側 空 間 無 視が出現した。 全 体 的に不 注 意で, 構 成力 障害が あ り,
状況 判断と病 態認 識が不良だっ た。 身体機 能訓 練へ のこだわ りが 強 く,
訓 練に は意 欲 的であっ た。 損 傷 者3
は59
畿の男 性で,
脳 出血 (右被殻 )に よ る左 片マ ヒで,T
杖にて独 歩していた。CT
像上で右半 球 に広 範 囲の低 吸 収 域が認め られた。
13課題 中8
課 題 に 中〜
軽度の左半側 空間無視が出現 した。 全 体 的に不 注 意で,
構 成 力 障 害 が あり, 状況判 断と病態認 識が不 良 だ っ た。
諸検 査 に対 して,
教 示が終わ ら ない う ちに取 りか か りがちであっ た。 訓 練には 意 欲 的であっ た。 損 傷 者4
は55
歳の男 性で, 脳 出血(右視床 )に よ る左 片マ ヒで,
短 下 肢 装具にて独 歩して いた。CT
像上で 右視 床〜
内包〜
放 射冠に低吸収域が認め られた。13
課 題中2
課 題に中〜
軽度の左半 側空間無視が出現した。 全 体 的に不注 意で, 構 成力障 害がみられた。 状 況判 断 と病 態認 識が不良で あっ た。 状態不 安,
特性 不 安ともに高く
,
失 敗へ の不 安も高 く,
自 己効 力 感が低かっ た。 Table 1 大 脳 右 半 球 損 傷 者のWAIS・
Rの成 績 損傷者1 損傷者 2 損傷者3 損傷者4 言語性【Q
動 作 性IQ 絵画配列 10545 1 11262 5 102856 4.
34 8戸
◎ 注 ) 絵 画 配 列 は評 価 点 (平均≡10,SD ≡3
)2 .
材料 子どもか ら老 人まで人 気があ り,
大 部 分の 日本 人が 存 在 を知っ ている4 コ マ漫 画 か ら25
組 を選んだ。
選 定 の規 準は,
主 題 が 時代背景に依 存 していない こと, 主 題が どの年 齢 層に も分ること,
ス トー
リー
が難 解でな い こと,
各 絵が何の動 作を して い る か分ること,
登 場 人物の特性が分り やすい こ と, 解釈 可能な複数の配列 が ない ことで あっ た。25
組の漫 画は各コ マ 毎に切 り放 し, 1
コ マ の大 きさ が縦44
皿,
横92
皿皿に拡 大し,
ラ ミ ネー
ト板でコー
ティ ン グ して,
扱いやすい カー
ドに し たQ3.
手 続 き 実 験 者と被 験 者が机を挟ん で対面 する個 別場 面で行っ た。
被験者が 健 常者の場 合は,
実 験 者 は心 理 学 専 攻の 大学4
年生で あっ た。 被験者が損傷 者の場 合に は, 実 験 者は入 院 先の病 院の心 理科 職 員であ り,
研 修 生とい う名 目で心 理学専 攻の大 学4
年 生1
名 が 同 室 して反 応 を記 録し た。 実 験は,
健常者の場合には自宅を訪問し て行い,
損傷者の場 合に は病 院の心理室で実施し た。 実験者は教示を与え たの ち,
各組 毎に4
枚の カー
ド を 繰っ て,
ラ ンダムな順序に重ねて提示し,
被験者に 作 成した ス トー
リー
の順 序で時 系 列にカー
ドを配 列す る よ う に求め た。 健常 群で は,
左か ら横に並べ させた が,
損 傷 群の場 合に は上か ら縦に 並べ さ せ た。
これ は,
損 傷 者では 左 半 側空間 無視があ るた めに,
自分が左側 に置いたカー
ドを十分に検討するの を失 敗 す ること を 避け る た めで あっ た。 損傷 者は全 員すで にWAIS −R
を 受 けており,
配 列とい う課 題自体は 理解していた。 配列が終了すると, 配列順 序を記録 した。 こ の時,
作者のオ リジ ナルの配列の第1
カー
ドをA
と し,
第2
カー
ドをB
と し,
第3
カー
ドをC
と し, 最後のカー
ド をD
と して, 「ABCD
」や 「BCAD
」の よ うに記 録し た。 次に,
被 験 者に 自分が作っ たス トー
リー
を口述さ せ,4
コマ 漫画 配列課 題にお け る規準 課 題 と大 脳 右 半 球 損 働 例41
そ れ を一
言一
句 総て筆 記し た。 所 用 時 間は,
1時 間 単 位で,
健常 者で は2
回,
損傷者で は3 〜4
回で あっ た。4 .
教 示 健 常 者に対して は,
「これ は訓練 材 料を作る た めの 調 査です。 ばらばらに した4
コ マ 漫 画を並 び換 えて,
ス トー
リー
を作っ て下さい。 いろいろ な解 釈が可 能な の で,
特に正解はあ りま せ ん。 知 りたい の は, そ れ ぞ れの漫 画に対して,
多 くの人 は どの よ うなス トー
リー
を作るのか とい うことです。」 とい う教 示を与え た。 損傷者に対して は,
「今日 は物 事をい ろい ろな角 度 か ら見 るとい うこと をやっ て みま す。 病院の生 活は割 と単 調 なので,
っ いっ い一
定の見 方 を とりが ちです。
そ れ は,
やむ を得ない のですが,
社 会に戻ると,
いろ い ろな角 度か ら見る とい うこと が必 要になり ます。 で すから,
今日 はそれを やっ てみ ま す。
材料は,
ばらば ら に し た漫 画です。 そ れを 並べ て, ス トー
リー
を作っ て下さい。 特に正解は あ り ま せ ん。 いろ い ろ な解釈が 可 能です。 ある絵はこ うい う場 面だ な と思っ て も,
他 の絵 と一
緒にして,
ス トー
リー
にま とめ る時に は, 考 え直す 必要が あ る時があり ます。 こ れ が,
だい じなの です。」とい う教 示を与え た。 5.
分 析 方 法 まず 健 常 群にっ いて,
25
組の漫 画ごとに,
24
種 類の 配 列反 応の生起頻度を数え, 健常群の被験者数20
で割っ て,
生起 率を算 出し た。 各 組で最も高い生起 率の配列 反 応に対 す るス トー
リー
の適 切 性 を検 討 し,
かっ その 最高生起率以外の配列反応の生起率も考慮し て, 望ま しい最高生 起率の規準を定め た。 そ れによっ て, 訓練 用の規 準 課 題 を選 定 した。 選 定 さ れ た 各 漫 画の最 高 生 起率の配 列反応を 正反応として定め, 他の配 列反応 を 誤 反 応と定め た。 な お,
ス トー
リー
の 適 切性に関して は,
前 記の2
名の実 験 者が独 立に判 断 した後に,
合 議 で決 定し た。
次に,
選 定さ れ た漫画に対する各 健常者の正反応数 を 数え,
選 定 され た漫 画 数で割っ て,20
名の 健 常 者1
人 1人の正 反 応 率を算 出 し,
そ の平 均 値と標 準 偏 差 (SD
)とレ ン ジを計算した。 損 傷 群に対 して も同様の 手 続 きで計 算し,
両群の成績の差をノ ン パ ラ メ ト リッ ク法のU
検 定5> で検 討 した。
最後に, 正 反 応の漫画に対して は, 健常 群, 損傷群 ともに,
ス トー
リー
の適 切 性を前 記と同 様の手続きで 決定 し,
全 正 反 応 数の中に占め る誤っ たス トー
リー
の 比率と, 不十分なス トー
リー
の比率とを計 算し た。42
神戸 市看護大学 紀要 VoL 1,1997
結 果1.
健 常群の配 列反応1
組の漫 画につ いてあ り得 る24
種 類の 配 列の うち生 起した配列反応の種類の数 と,2
人 以 上の健 常者が示 し た配 列反応と,
そ の生起 率をTable
2
に示した。 配 列 反 応の種 類 数は1個から6
個まで であっ
た。 全員 が同一
の配列 をし た漫 画は,No .
5 ,
No .
13,
No.
14,
NQ .
16
,No .
19
の5
組であっ た。2
人以上が共 通 して 示した複数の配列反応が生 起し たの は,No ,
6
,No ,
10
,
No
.
12,
No ,
17,
No20
の5
組の漫 画で あっ た。 他 の10
組の漫 画は, 生起率の高い反 応 が1
っ あ り,
他は 個々ば ら ば らの配列反応で あっ た。
各 組の最 も高い生 起 率 はO
.
65
か ら1
.
OO
の範 囲にあ り,
レ ンジ は0.
35
であっ た。 そ れ ら は原作者の ス トー
リー
と同一
の配 列反 応A BCD であっ た。 各 組の最 高 生 起 率 が0
.
80
以 下の漫 画 をみ る と,No .
6
は,ABCD
以外の配 列で も, 説明 内 容はABCD の配 列と同様であ り,
ス トー
リー
と個々 のコ マ の対 応が不 明確で あっ た。No .
10
は,
配列反応が5
種類あ り, そ の ス トー
リー
もばらばらであっ た。No .
12
は,
配 列が でき ない健 常者もいて, 半数の者が4
コ マ 目の説明 が できな かっ た。No .
17
は,4
コ マ 目の カー
ドのD
を異 なっ た解 釈 をし て,DABC
と配 列 した健常者が複 数お り, そ のス トー
リー
も正答とみな すこと が可能であっ た。No .
20
は,
生起 率が0.
65
とO.
35
と, 2
通 りの反 応 のみ がみ られ た。
その違い は,3
コ マ 目のC
が先頭に 来るか が異なるのみで,
ど ち らの ス トー
リー
も妥 当で あっ た。
最 高生 起率が0.
85
の漫画も,No .7
は,ABCD
以 外 の配 列 反 応の説 明 内 容は ば らば らで あり,No .
15
は,
ABCD
の配列反 応で も説明 内 容に一
貫 性が な かっ た。
No .
23
は最 も生起率の高い配列反 応ABCD
以外の3
種 類の配列 反応 もABCD
の配 列反応とス トー
リー
の大 意 は同じであり,
ス トー
リー
と個々の コ マ の対応 が あい まいであっ た。 し た がっ て,
最 高 生 起 率の規準を0.
90
以上と定め,
そ の結果.
訓練に用い る規準 課題に はTable
2
に * 印をつ けた漫 画,No .1
,No .
2
,No .
3
, No.
4, No.
5,No .
8 ,
No .9 ,
No .
11,
No .
13,
No .
14,
No .
16,
No
.
18
,No
.
19
,No
.
21
,No
.
22
,
No .
24,
No .
25
の17
組 を採 用し た。 Tabb 2 健 常群の配列種類 数と配列 反 応と その生 起 率 漫画No.
種類数 配列 生起 率 配列 生 起率 辱 O寧
串
・
8宰
蓼
亭
電
摩
●
03
寧
O拿
12345678910111213141516171819202122232425
3222144235261141421232432
ABCD
O,
90
ABCD O.
95ABCD
O.
95
ABCDO.
95
ABCD 1.
00ABCD
O.
80
ABCD O,
85 ABCD O.
95
ABCD O,
90
ABCD O.
75 ABCDO.
95
ABCD O,
65 ABCD1.
00
ABCD1,
00
ABCD O,
85 ABCD 1.
00ABCD
O.
70
ABCDO,
95
ABCD 1.
00
ABCD
O.
65
ABCDO,
90 ABCD O,
95ABCD
O,
85 ABCD O.
90 ABCD O.
95 ACBD O.
10 BACD O.
10 ABDC O、
15DABC
O,
20CABD
O.
35
注 )’
は規 準 課 題と して選定さ れ た漫画2 .
規 準 課 題に対 す る 健 常 群の成 績 選定し た17
組の漫 画に対する健 常者の正 反 応 率 をTable
3
に示 した。
健 常 者の正 反 応 率は0.
71
か ら1.
00
の間にあ り, 平 均正反応率は0.
96
(SD ;
O
.
08
)で, レン ジは0,
29
で あっ た。
健 常者
20
名中13
名 が17
組の全 漫 画で正 反応を示 した。1
っ の漫画のみに誤反応 を 示し た健常 者は 4 名で あっ た。 その誤反 応が生じ た漫 画は,
健常 者2
がNo .
9
で,
健 常 者11
がNo .
21
で,
健常者15
がNo ,9
で, 健 常 者16
がNo.
3であっ た。 複数の漫 画に誤 反 応を示し た健 常 者は3
名であっ た。
その誤 反 応 が 生 じた漫 画は,
健 常 者12
がNo .1
と,
No .
2 ,
No .4
,No .
24
で, 健常 者13
がNo.
8 と,
No.
18,
No22,
No.
24,
No.
25
で,
健 常 者17
はNo .
11
とNo .
21
であっ た。Table 3 規 準課題の漫 画 に対す る 健常 者の正 反 応率 健常者 性 別 年 齢 正 反応 率
1234567891011121314151617181920
男 男 男 男 男 男 男 男 男 男 男 男 男 女 女 女 女 女 女 女38005803463286063902
65554364545655544355
10
09000000DO9770998000
04000000004710448000
ユ ー 111 ー ユ ー 00010001 ー ユ 均 D 平 S 50.
87.
1 0.
960.
083 .
規準 課 題に対 する損 傷群の成績 17課 題 各々 に対 する損 傷 群の配 列 反応 を Table4
に示し た。 損 傷者4
名の正 反 応率は それぞれ,0.
47.
0.
24
,0.
41,0.
18
で あ り,
平 均 値はO.
33
で,
レ ン ジは0.
29
であっ た。 4
人 全 員が正 答 を した漫 画は な く, 3
人 正答 も1
組に過ぎなか っ た。2
人正答は5
組,1
人 正 答は9
組であっ た。 だ れ も 正答を し な かっ た漫画は,
2
組 あっ た。 複 数の損 傷 者に共 通 した 誤 反 応がみ ら れ た漫画は4
組の み であっ た。 4.
正 反 応にお け る 健常群と損傷 群との比 較 損 傷 群の正反 応率は健 常群の正反 応率よ りも有意に 低 かっ た(U
=80
,p
〈0
.
01
)。 なお,
被験 者が作 成し たス トー
リー
の例 と して,
No .3
の漫 画に対する健 常 者2
名の ものと,
損 傷 者4
名の ものをTable
5
に 示した。5 .
ス トー
リー
の内 容の適 切 性 正反応の ス トー
リー
が適 切で ある かをみ ると, 健常 群で は, 最 高 生 起 率が1.
OO
で あっ たNo .
13
の 漫 画で は 4コ マ 漫 画 配列課 題におけ る規準課題 と大脳右半 球損傷 例 43 Table 4 規 準 課 題に対 する損 傷 者の配 列 内 容 漫画No ,
損傷 者1
損傷者2
損傷 者3
損傷 者4
ユ 23458911131416181921222425O
CABD CABD BCADO
ABDCO
BACD CABD CDABCABD
O
O
ADBC
O
ACDBBACD
O
CABD ABDCO
O
O
DACBO
DK DACB DBAC DACBO
BACD CABDABCD
BACD
CABD CDAB OO
O
ACBDO
BACD BACDO
ACBD
BCAD
ABDC DACB CABD ABDCACBD
ADBC
ABDC CBADO
ACBDACDB
BACDO
ABDC DCAB BCDA DABC BACD O BACDO
O
正 反 応率0.
470.
240
.
410
.
18
注)○は正 反 応(ABCD ),
DK は解 決不能。5
名が内容を説 明できず,1
名は内容を間違え, 1 名 は事象の説明がで き ず,
不適 切者は合計35
%であっ た。 や は り最 高 生 起 率 が1.
00
で あっ たNo .
14
で は1
名が大 意 を理解し てい る もの の, 落ちを理解し ていな かっ た。 最高生 起 率が0,
95
で あっ たNo .
25
で は4名が 大 意 を 理 解 してい た もの の, 行動の意図を 理解していな かっ た。17
組の漫 画 に対す る20
名の健 常 群の正 反応 数は合 計で325
個あっ た が,
誤っ たス トー
リー
の生 起 率は0,
02
で あ り,
不十分なス トー
リー
の生 起 率 も0
.
02
であっ た。 損 傷 者の正 反 応の 内 容はTable
6
に示 した。
損 傷 者1
で は,8
個の正 反応の うち, 4
個が適切で,4
個 は大 意はあっ ていても, 行 動の意図を 誤解した り, 落 ちを理解して い な かっ た。 損傷者2
で は,4
個の正 反 応の う ち,
1
個はス トー
リー
を誤っ て お り,
1
個は大 意はあっ ていても落ち を理解していな かっ た。 損傷者3
で は,7
個の正反応の う ち,
適 切なの は1
個で, 6
個は大意はあっ てい るものの, 感情や行動の意図を 理 解で きて いな かっ た。 損傷者4
で は,3
個の正反応の うち, 1
個はス トー
リー
を誤 っ ており, 1
個は大 意は あっ ていて も行 動の意図を誤 解していた。 損傷 群の正 反 応数は合計で22
個で あっ た が, 誤っ たス トー
リー
の44 神戸市看護大 学紀要 Vol
.
1,
1997 Table 5 漫 両No.
3の ス トー
リー
の例 [コマA] [コ マB
] [コ マC
] [コ マD
] 年取っ た大工 さ ん が道具 袋を担いで,
1人で バ ス停で立っ て い る。 眼 鏡 を か け た 咥 え タバコ の男が 右手を腰の横に あて て,
左 手に持った傘を舗道の継ぎ 目 に立て て,
バ ス停で立っ て いる。
その後ろに,
道 具 袋 を担いだ年 取っ た 大 工 さんが シカメ ッ ツラを して,
立っ ている。
眼 鏡を かけた咥え タバ コ の男が目をつむっ て,
右手を腰の横にあて て,
左手に持っ た傘を舗道の継ぎ目に立て て,
バ ス停で立って い る。 そ の後ろの道具袋を担いだ年取っ た大工 さ ん が,
怖い顔 をして,
傘の柄を金槌で強 く打っ て いる。
眼鏡をか け た男が汗 だ くになって, 舗道にめ り込 ん だ 傘 を抜こう と している。 その後ろにバ スが 走って いる。 バ ス の中から,
サ ザエ さ ん が目を 丸 く して,
そ の男を見て い る。 バ ス の中に は。
道具袋 を 担いだ大工 さ んが 後ろ向きで,
乗っ ている。
【健 常者6】 配 列ABCD お じいさ ん がバ ス停でバ スを待 ってい た ら,
若いあんちゃんが 割 り込 ん だ。
あ ん ま り腹 たった もん だ か ら.
傘 をカッー
ンとやっ て, 舗道にめり込ませて しまっ た。 バ スが来て, じいさ ん は さっ さ と乗 り込ん だけど, 無遠慮な若 者は傘が抜 けないた めに, 乗 れ な かっ た。 【健常者10】 配 列ABCD
こ れ は,
お じ さ ん がバ スを待って い た ら,
傘を持っ た人が割り込ん で来ま し た と。 そ れ で,
そ の お じ さ ん,
大工 さ ん か な,
腹 た て て,
金槌で傘を打ち 込 み まし た と。 で,
バ スが来て,
そ の人は傘 を抜くの に精一
杯で,
バ スに乗れ な か っ た が,
お じ さ ん の 方 はすいすい乗っ
てしまっ たっ て ことか な。
【損傷者1
】 配 列ABCD
お じさん がバ スを待っていると,
若いも う少し年 下の スー
ツか な ん か着た人が来て,一
緒に並んで待っ て いた ん だけど,
さっ きのお爺 さんがイ タ ズ ラを して,
道 路の繋 ぎ 目にスー
ツを 着 た 人の傘 を 押 し込 んで,
バ ス が 来 た 時に その スー
ッを 着 た 人 がバ ス に乗 り遅 れてし まった。 【損 傷者2
】 配 列ABDC
バ ス停風 景です ね。
お ば あ さん です か。
お ばさ ん です かね 。 パ ス停で待っていたとこ ろ に,
ま あ,
そ こ に,
おじ さ んが 1人い ま して,
バ スが来て,
急停 車です か 。 前の人が何して るか,
ちょ っ と分らない。 舗 道の間に傘が突き刺さっ ちゃ って, 抜けな く なっ ちゃ っ て, それで慌て ている と, で,
バ スが来て,
慌て て引っ こ抜いたけ ど,
とた ん にいろんな物が 飛ん じゃ っ て るっ てと こ ですか ね。 【損傷者3
】 配列ABCD バ ス停でバ スを待って い た ら,
前に人 が傘を持っ て い て,
頭にきて,
乗れな かっ
た。 その ブラッ クユー
モ ア ですね。 トンカ チ で叩い て地面に入 れ ちゃ っ た。 バ スが来た けど,
【損傷 者4
】 配列ACBD
まだバ ス の時 間が少しあ りそ うだね。 退 屈 しのぎに,
こ の傘でも打っ
とこうか。 傘 を 打た れ て も気がっ か ない鈍 感な人なの か なあ。
おっ とっ と,
これはど うし たわ けだ。 バ スが来た と い うの に。生 起 率は
0.
09
で,
であっ た。 不 十 分なス トー
リー
の生 起 率は0.
55
Table 6 損傷群の正反 応の内容 【損傷者1
】 漫画NQ.
1 漫 画No.
3 漫 画No .4
漫画No.
9 漫画No.
11 漫 画No.
16 漫 画No.
18 漫画No,
19 【損傷者2】 漫 画No.
8
漫画No,
13 漫 画NQ,
16 漫 画No.
22 【損傷者3
】 漫画No,
2 漫 画No.
3 漫 画No.
4 漫画No,
16 漫 画No .
19
漫画No.
24 漫 画No.
25 【損 傷者4
】 漫 画No.
2 漫画No,
5 漫 画No.
25OK
大 意はOK ;行 動の意 図を誤 解 大意 はOK
:行 動の意 図 を誤 解OK
大意はOK :行 動の意図を理解でぎずOKOK
大意 はOK
;落ち を 理解でぎず 誤 解 :ス トー
リー
を 誤っ て い る 大 意 はOK
:落ち を理解で ぎず OKOK 大意はOK :現象の理由を誤解 大 意はOK :感情の理由を 理解で ぎず 大 意 はOK :内 容 を離 れて余 分に解 釈 大 意はOK :行動の意図を誤解OK
大意はOK :内容を離れて余分に解釈 大意はOK :感情の 理由を誤解 誤 解 :ス トー
リー
を誤っ て い る OK 大意はOK :行動の意図を誤解 考 察1.
規準課題の選 定につい て 前述の選定規準で25
組の漫 画を選ん だに もか か わ ら ず,
健 常 群に実際に配列させ てみる と,
全 員が同一
の 配列をし た漫画は4
組にす ぎず,
ま た, 同一
の配 列が 最 も多 く生 起 した 反応の生起率の レン ジも大き く,
訓 練 材 料 とし て は不 適 切 な漫 画が含まれてい た。
最高生起率が0,
65
と最 も低かっ たNo .
20
に は,
生 起 率が0
,
35
と高い第2
の正 反 応 が み られ,
最 高 生 起 率が0,
70
とや は り低かっ たNo ,
17に は生 起 率が0.
20の第 2 の正反 応が み ら れ,
この2
組は複数の 正答を持っ て い 4コ マ漫画配 列課題における規準課題と大脳右半 球損傷例 45 た。 この よ うに複 数の正答が あ るの もの は訓 練を行 う うえで混 乱 を招くので,
訓練 材料と して は不適 切 と判 断さ れ る。 もう 1っ,
最 高 生 起 率が0.
65と最 も 低か っ たNQ.
12 は,
第2
の反 応 と あ わ せて, 生起率がO
.
80
と なるが,
4
枚 目のカー
ドの説 明が難しく, また解決できな かっ た被 験 者 もい る の で,
複 数の正 答がある と い うより は 困難な課 題と考え るべ きである。 最 高生 起率が0.
75
のNo .
le
はABCD
以外の配 列順序はばらばらで, かっ ス トー
リー
もばらばらで あ り,
最頻生起 率がO.
80
と比 較 的 高かっ たNo.
6
は正 反 応で もス トー
リー
とコ マ の対 応が不 明 確 だっ たので,
いず れ も困難 度の高い課題 と 考え ら れ る。 これ ら の困難な課 題は訓練 材料と して は 不 適 切と考 え られた。 最高 生 起 率が0,
85
の漫 画で も,No .7
は他の 配 列 反 応がばらばらであ り,No ,
15
は最高生起 率の配 列反 応 も含めて ス トー
リー
に一
貫 性が なく,No .
23
は最 高 生 起 率の配 列 反 応 も他の配 列 反 応で もス トー
リー
と個々 の コ マの対応があい まいなので,
いずれ も訓練 課題か らは外し たほ う が賢 明と判 断さ れ た。
し た がっ て, 最 頻 生 起 率 がO
.
90
以 上 を 採 用 規 準 と し た。2 .
規 準課題 に対する健 常群の成績 こ の ように して,
選定さ れ た17
組の漫 画に対 する健 常 群の正 反 応 率 を み る と,
値 が 高 く,
全 漫 画での正 反 応者は13名, 1 組のみの誤反応者は4 名,2
組の誤 反 応 者は4
名で,
以 上で被験者の90
%に達する。
した がっ て,
大 部分の健 常 被 験 者は成 績 が極め て良 好であっ た。 正反応 率が そ れ ぞ れ0,
77
とO.
71
で あっ た被 験 者は健 常 者と して は成績が よ く な か っ た と判断さ れ る。3 .
規準課 題 に 対 す る損 傷 群の成 績 右 半 球 損 傷 者4
名はVIQ に問題 がな かっ た。3
名は1SD
の範囲内で あっ た が,100
を越して いた。1
名は1SD
を や や下 回っ て いた が,
WAIS −R
の マ ニ ュ ア ル で は 「平 均 」に ラン クさ れて い る16〕。
した が っ て,
言 語に よ る知識や, 理解, 思考, 推理 な ど で は問題がな か っ た と判 断さ れる。 し か し,
4名と もPIQ はVIQ
よ り も有 意に16) 低 下 していた。 これは右 半 球 損 傷 者の一
般的 傾向で あるs・
9
・
1°・
t1) 。 また,WAIS −R
の絵 画配列のSS
も平均値より も有意にL6)低い。 これ も右半 球損傷者 の一
般 的傾 向である’q 11> 。 さ ら に,
注意 障 害や左半 側 空間 無視L2・
3・
‘
・
5 ) や
,
疾 病観念の悪さ2 ) もあわ せもっ て お り,
4名とも右 半球損 傷 者の典 型例と判 断される。 右半球損傷者4
名の正 反 応 率は,0.
47
か ら0.
18
の間46
神戸市 看護 大 学 紀要Vol .
1,
1997 に あ り, レン ジが大き く, 個人によってば らつ きがあっ た といえる。 ま た,
共通の 誤反応が みられ た漫 画 も少 な く, 誤 反 応 自体 もば らっ い て いた。 し た が っ て,
右 半球損 傷者4
名の場合は,
正 反 応,
誤 反 応に関わ らず 配 列反 応その もの の個人 差が大 きかっ た といえ る。 こ れ が右 半球損傷 者全体に共通 する問題である か は,
今 後被 験 者 数を増や して, 検討す る 必要が ある。4
.
健常 群 と損 傷群の成績の比較健常群と右半球損傷群の正答 率を比較す る に あ たっ て
,
右半 球損傷群の数が少ない ので,
ノン パ ラ メ ト リッ ク法のU
検定を用い ること にした’5) 。 両側検定で1
% 水準で有意な差が認められた。 し た がっ て,
右半球損 傷群は健常群よ りも漫画 配 列の能力において劣っ て い る とい う可 能性を示して いる。 漫画配列を行っ て いる ときの心理過程は,
まず各コ マの場面を解 釈 し,
ス トー
リー
にま と めて行くが,
そこでス トー
リー
に合致しな い コ マ は再解釈 をし,
ふ たた びス トー
リー
を構成す る。
最終 的に妥 当なス トー
リー
がで きるまで,
こ の過程は 繰り返 さ れ るの で,
日常場 面で状 況をいろい ろ な角 度 か ら考え て判 断 するとい うこ とにっ な がり,
重要と考 え られるσ 右半球損 傷者一
般が健 常者 よ り も漫 画 配 列 の能 力において劣っ て いるか どうか につ いて も, 今後 被験者 数を増や し て,
検討する必要が あ る。5.
健常群の ス トー
リー
の適 切 さ健 常 群の正 反応に対応 するス ト
ー
り一
が適 切で あ る かをみ る と,
内容の不 適切さ が3
組の漫 画に表 れて い たが, これ らは最 高 生 起 率が低い漫画で は な く, むし ろ最高生 起率が1.
00
と0.
95と高い もの であっ たeNo.
1
3
の漫 画で は, 説 明でき なかっ た り,
間 違 え た 健 常 者 は35
%に及 び,
困難度の高い課 題といえ る。No .
25の 漫画で は健 常者の20
%に出 現し た と い うこと か ら,
大 意は理解して も行動の意図を理 解 し難い課 題 といえる。 大 脳 右 半 球 損 傷 者に訓 練を す る場 合,
こ の 2組の漫 画 にっ い ては,
正 しい配 列を し た健常者にも内 容 を説 明 で きな か っ たり,
説 明が不十 分な ものが か な り存 在 す ること を留 意 して お く必 要が あ る。 ち な み に,No .
13
の漫 画で は, 損傷者は3
名が誤 反応で, 1
名は正反 応 な が ら も落ち を 理解し ていな か っ た。 No.
25
の漫画で は,
損 傷者は2
名が誤反 応で,2
名は正反応 な が らも, 感情の理由を誤 解して いた り,
行 動の意図を 誤解し て いた。6
.
損 傷 群のス トー
リー
の適 切さ損 傷群の正 反 応に対 応 するス ト
ー
リー
の適 切 性 をみ る と, 損傷者1
と損傷 者2
は半数の 漫 画の 内容は適 切 であっ た が,
損傷者3
で は7
組 中1
組が,
損 傷者4
で は3
組 中1
組が適 切で あっ たに留っ た。 し たが っ て,
大 脳 右 半球 損傷者の場合に は,
正 し く配列を して も,
内容の適 切 性に欠 けて い ること が多いと推 察さ れ る。 しか し, 内容を 全 く誤っ て解 釈し た漫 画は少な く, 大 意は あっ て い る漫 画が多かっ た。 不 適 切性は, 落ち を 理解して いない ことと, 内容を離れて余 分に解釈 する とい うス トー
リー
全体の問題 と,
行 動の意 図 や,
感 情 の理 由や,
現 象の理 由 を誤 解 する, あ るい は理解でき ない とい う比較 的場 面に依存し た問題と が認め られ た。 こ の不 適 切 さは,
特 定の課題に片寄らずに全般的にみ られ たの も特 徴であ る。 すなわ ち,
大脳右半 球損傷 者 は,
漫 画 配列 課 題におい て,
適 切なス トー
リー
を構成 すること に大きな問題があるのみではな く,
正し く配 列できた 場合で も,
落ちを 理解していなかっ た り,
登 場 人 物の意 図を誤 解 する傾向が あ ることが示 唆される。 今 後, 多くの症 例で検 討 す ること が必要であ る。 結 語大 脳 右 半 球 損 傷者は,
VIQ
が 健 常の場 合で も,
WAIS
−R
の絵 画 配 列の評価 点が低い傾向にある。 絵 画 配列は,
因 子 分 析で の研 究 結 果によっ て,
状況判 断に 関連 が あると考え られて いる。
本研 究で は, 状況判 断の訓 練 用の絵 画 配 列 課 題を選 定 するた めに,20
名の健常者 (男性13
名,
女 性 7名,
平 均 年 齢50.
8
,
SD7
.
1
)に25
組の4
コ マ 漫画を目分 自身 の ス トー
り一
に基づいて配 列 す るように求め た。 これ らの漫画は子どもか ら老 人 まで 日本 人に人 気の高い も のであっ た。 各コ マ (44
皿m ×92
皿 )に はフ ィ ル ム をか け てあっ た。 健常者の各漫画での最も高い生 起 率は0.
65
か ら1.
00
へ の範囲にあっ た。 その生起 率はO.
90
以 上とい う規 準 を17
組の漫画が満た した。
それ らの配 列 順 序 は原作の 配 列 順 序と同一
で あり, 正反応と決め た。20
名の健 常 者は平均0,
96
(SD
=O.
08
)の正 反 応 率 を 示 し た。
4
名の男 性の大 脳 右 半球 損傷 者 (年齢は27
歳,53
歳,59
歳,55
歳)は, それ ぞ れのVIQ
が105,112,
102,
84で,
絵 画 配列の評価点が それ ぞ れ1,
5
,
6
,
4
であっ た が,
正 反 応 率 は それぞ れ0.
47
,0,
24
,0.
41
,0.
18
で あっ た。 損傷群は健 常 群よりも有意に正 反応 率 が低かっ た(U =80
, p<0
.
01
)。 し たがっ て,
大 脳 右半球損傷 者は健 常者よ りも状 況 判 断におい て劣 ること が示唆さ れた。 文 献
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