第一章 はじめに 第二章 産業特性に関する計量モデル分析 第三章 分析手法 第四章 サンプルと記述統計量 第五章 実証結果 第六章 まとめ 第一章 はじめに 近年、企業の収益性を決定する要因およびその影響の大きさが解明されつ つある。この研究は会計学、企業経済学、産業組織論など様々な分野の研究 者の関心を集めてきた1。特に、Misangyi et al.(2006)は階層線形モデルを用 いて、産業、企業、およびビジネスセグメントによる収益性への影響を定量 的に分析している。彼らの実証結果は、企業間における収益性のばらつきの 2割程度が企業の属する産業によって説明可能であることを示唆する。 また、様々な企業ファンダメンタルズが各産業内において同質性を有す ることが指摘されている(Amit and Livant,1990;Guenther and Rosman,1994; Krishnan and Press,2003;木村,2009;新谷,2010)。これらの研究は政府機関、
財務数値の産業効果とダミー変数によるコントロール
Industry Effects on Accounting Numbers and Controlling by
Dummy Variables
眞鍋和弘
証券取引所あるいはデータベース作成企業が定める産業分類を取り上げ、各 産業における財務指標の同質性の分析を通じて産業分類の信頼性を検証す る。木村(2009)の実証結果によれば、既存の産業分類において企業規模、流 動性、資金調達方法などの財務指標は各産業内において同質性を有するが、 一方で企業業績、成長性および株式市場関連の指標は同質性を有さない2。 このような財務数値の産業効果は、既存の分析手法について再検討を迫る とともに、これまでの実証結果の信頼性を失墜させうる。回帰モデルに挿入 される変数が産業特性の影響を受けており、その影響が十分にコントロール されないならば、変数間の因果関係に迫ることはできない3。内生性問題と呼 ばれるこの種の現象は経済学およびファイナンス等の研究に限らず、非実験 データから因果関係に迫る場合には頻繁に発生し、深刻な場合には見当違い な実証結果をもたらすことが指摘されている(King et al,1994)4。 このような結果は、実証会計研究のなかでも特にvalue relevance研究におい て頻繁に見受けられる。Easton and Sommers(2003)は1964年から1999年ま での36年間における米国企業を対象に、株式時価総額を株主資本簿価および 純利益と関連付ける実証モデルの推定をおこなった。彼らの実証結果によれ ば、36年間のうち11年間において株主資本簿価の回帰係数は負の値をとる。 また、Iatridis and Dimitras(2013)は2005年から2011年までの7年間における ヨーロッパ 5ヵ国の企業を対象に、株式価格を 1 株当たり株主資本簿価およ び1株当たり純利益と関連付ける実証モデルを推定した。その実証結果によ れば、2005年から2007年までの期間における伊国企業が標本であるとき、株 主資本簿価の回帰係数は負の値をとる。さらに、薄井(2015)は1965年から 2012年までの48年間における日本企業を対象に、デフレーターによる調整済 みの株式時価総額を同じく調整済みの株主資本簿価および当期純利益と関連 付ける実証モデルを推定した。その実証結果においても、48年間のうち10年 間において株主資本簿価の回帰係数は負の値をとる5。 こうした問題に対して、財務数値に含まれる産業効果を調整する実証モデ ルが先行研究により提案されている6。大日方(2003)は各産業における競争 環境の相違が会計情報のrelevanceに大きな影響を与えることから、産業特性
の調整が必要であると述べている。また具体的な調整方法として、回帰モデ ルへの産業ダミーの挿入が提案されている。産業ダミーはある企業が特定の 産業に属するならば1、それ以外の場合には0をとる二値変数である7-8。近年 では、産業効果の調整方法として産業ダミーの挿入が広く採用されている。 しかし、産業ダミーはその機能に関しては十分に理解されておらず、近年 では作法として形骸化している。先行研究において、回帰モデルへの産業 ダミーの挿入に関する合理的な説明がなされることは少ない。また、適切で ない統計量に基づき産業ダミーの有効性が確認されることにより、回帰モデ ルから省略されることも少なくないだろう。そこで本研究はコントロール変 数としての産業ダミーの機能を再検討する。具体的には、本研究は計量経済 学の分析手法を用いて産業ダミーの回帰係数の経済的意味を明らかにすると ともに、産業ダミーの挿入が求められる場合を明示する。さらに、本研究は value relevance研究において用いられる一般的な回帰モデルの推定を通じて 産業ダミーの挿入の効果を確認する。 本研究の分析を通じて次のことが明らかとなった。まず、産業ダミーの回 帰係数は、様々な産業特性を表す変数と被説明変数との関連性を表す係数と の積和に等しい。次に、本研究は計量経済学の分析手法を用いて産業特性が 実証分析の回帰係数の推定値に与える影響を明らかにした。具体的には、回 帰モデルにおける説明変数あるいは被説明変数が産業効果を受けるからと いって、必ずしも実証結果が信頼性を失うわけではない。ただし、産業特性 が説明変数および被説明変数の両方に影響を与える場合には、回帰係数の推 定量は内生性バイアスを有し、深刻な問題が生じうる。また本研究の実証結 果は、利益-簿価モデルにおける説明変数および被説明変数が無視できない 産業効果を受けていること、およびその回帰モデルに産業ダミーの挿入によ り株主資本簿価の回帰係数が企業価値評価モデルと整合する符号を持つよう に変化することが明らかとなった。 以下、本論文は次のとおり構成される。第2章において、value relevance研 究において用いられる一般的な回帰式を想定して、産業効果が実証結果に与 える影響を確認する。第3章において、産業特性がもたらすバイアスとその検
証方法について述べる。第4章において標本選択の基準と標本の特徴について 確認する。第5章において実証結果を確認し、第6章において結論を述べる。 第二章 産業特性に関する計量モデル分析 (1)コントロール変数として産業ダミー 本節では、回帰モデルにおいて産業ダミーが何をコントロールするのか、 言い換えればその回帰係数の経済的意味について考察する。議論を簡潔にす るために、任意の財務数値Xの企業間におけるばらつきが産業効果をもたら す変数(以下、「産業特性変数」と呼ぶ)F1およびF2の回帰モデルとして表 されると仮定する9。 ここでは、産業特性変数F1およびF2は観察可能であるか否かを問わない。た だし、uは攪乱項であり、以下の確率分布に従う。 また、母集団は3つの産業に属する企業から構成されており、変数F1および F2はそれぞれ3つの値F1,1,F1,2,F1,3およびF2,1,F2,2,F2,3のみをとる10。 次に、ダミー変数の挿入時と同様に、ベースグループを決定する。第1産業 をベースグループとして選択し、各産業特性変数のベースグループの値 F1,1 およびF2,1を用いれば、上記の回帰モデルは次のとおり変形される。 ただし、ΔF1およびΔF2は第1産業における変数F1およびF2の値からの差分を 表す変数である。このとき、各産業に属する企業の財務数値Xは次の分布に 従う。 産業1: 産業2:
産業3: ただし、ΔF1,2、ΔF2,2、ΔF1,3、およびΔF2,3は各変数の第1産業における値から の差分を表す定数である。これらの産業に属する企業の財務数値Xの分布は 次の単一の回帰モデルとして表される。 ただし、D1は企業が第 2 産業に属するならば 1、それ以外の場合にはゼロで ある産業ダミーである。また、同じくD2は企業が第3産業に属するならば1、 それ以外の場合にはゼロである産業ダミーである。 上式では産業効果をもたらす産業特性変数および産業数を制限したが、そ れぞれ任意の数MおよびLまで拡張すれば、財務数値Xの分布は次の回帰モ デルに従う。 このとき、産業ダミーD1,D2,…,DL–1による財務数値Xの回帰モデルを最小二 乗法により推定すれば、 各回帰係数の推定量の期待値は次のとおりである。ただし、b0,b1,…,bL–1は回 帰係数であり、uは誤差項である。
上式は産業ダミーの回帰係数に経済的な意味を与えるとともに、コント ロール変数としての産業ダミーの有効性を示唆する。切片係数はベースグ ループにおける産業特性変数の値とその係数の積和に等しい。各傾斜係数は 産業特性変数のベースグループからの偏差とその係数の積和に等しい。ま た、上記の実証モデルを定式化する際に必要な変数は産業ダミーのみであ り、産業効果をもたらす産業特定変数は不要である。このことは、仮に産業 特性が測定不能あるいは識別不能な場合であっても、産業ダミーにより財務 数値への影響が調整可能であることを意味する。 また、上式は産業ダミーの挿入が回帰モデルの当てはまりに与える影響に ついても一定の示唆をもたらす。多くの実証研究では回帰モデルに複数の産 業ダミーが挿入され、多い場合には1つの回帰モデルに約30個の産業ダミー が用いられる。一方で、産業ダミーの挿入が決定係数などの統計量にあまり 変化を与えないことが知られている。産業ダミーの回帰係数を構成する産業 特性変数の値はベースグループからの差異であり、正の値に限らず、負の値 もとりうる。また、各回帰係数も各産業特性変数の定義によるが、その符号 は正の値とは限らない。したがって、仮に各係数amおよび産業特性を表す変 数であるΔFmがゼロとは異なる値をとったとしても、それらの積の総和は相 殺し、ゼロに近い値になり得る。したがって、実証結果における産業ダミー の回帰係数は必ずしも統計的に有意にならず、また産業ダミーの挿入がモデ ルの当てはまりを著しく高めるとは限らない。 (2)産業ダミーの有効性 本節では下式のとおり株式時価総額MVEが特定の財務数値Xおよび産業ダ ミーDの回帰式として表されると仮定する。また、議論を簡潔にするために 母集団は2つの産業に属する企業から構成されると仮定する。 (1)
ただし、eは誤差項であり、以下の確率分布に従う。 またb0、b1およびb2は母集団回帰係数であり、任意の定数である。 また財務数値Xと産業ダミーDの関係が次の回帰モデルによって表される と仮定する。 (2) ただし、uは誤差項であり、一様分布に従う。またa0およびa1は母集団回帰 係数であり、任意の定数である。 財務数値あるいは株式時価総額 が産業特性の影響を受けるとして も、産業ダミーの挿入が必要とは 限らない。まず、産業特性が財務 数値 X に影響を与えるが、直接的 には株式時価総額に影響を与えな い場合を考える。言い換えれば、 上記の(1)式においてb2 = 0であ り、(2)式においてa1≠ 0の場合 である。仮にa1 > 0とすれば、母集団は次のとおり図示される。すなわち、 産業特性は財務数値Xの分布の位置に影響を与え、その影響は座標平面にお ける横方向へのシフトとして図示 される。 このとき、(1)式から産業ダ ミーを省略した実証モデルを推定 しても、各標本回帰係数の期待値 はそれぞれ母集団回帰係数に等し い。 次に、産業特性が財務数値X に 影響を与えないが、株式時価総額
には影響を与える場合を考える。言い換えれば、上記の(1)式においてb2 ≠ 0であり、(2)式においてa1 = 0の場合である。仮にb2 > 0とすれば、母集団 は次のとおり図示される。すなわち、産業特性は会計数値Xの分布に影響を 与えない。一方で、産業特性は株式時価総額MVEの分布に影響を与え、その 影響は座標平面における縦方向へのシフトとして図示される。 このとき、(1)式から産業ダミーを除いた実証モデルを推定すれば、切片 係数の期待値は母集団回帰係数に等しくないが、傾斜係数の期待値は依然と して母集団回帰係数に等しい。 また、切片係数の推定量のバイアスの大きさは次のとおり定式化される。 この式から明らかなように、産業ダミーの省略による推定量のバイアスは母 集団における産業ダミー変数の回帰係数b2と産業ダミーの平均値の積に等 しい。 最後に、産業特性が財務数値 X に影響を与えるとともに、株式時価総額 MVE にも影響を与える場合 を考える。言い換えれば、上 記の(1)式においてb2 ≠ 0で あり、(2)式においてa1 ≠ 0 の場合である。仮にb2 < 0お よびa1 > 0とすれば、母集団 は次のとおり図示される。す なわち、産業特性は財務数値 Xの分布を右方向にシフトさ せ、その影響の大きさはa1 に等しい。一方で、産業特性 は株式時価総額 MVE の分布 を下方向へシフトさせ、その影響の程度はb2に等しい。 (1)式から産業ダミーを省略した実証モデルを推定するとき、いずれの標
本回帰係数の期待値も母集団回帰係数に等しくない。 産業ダミーの省略による傾斜係数の推定量へのバイアスは次のとおり表され る。 ただし、上式における右辺の分数は、財務数値Xによる産業ダミーDの単回 帰における傾斜係数に等しい。このことは、最小二乗推定量のバイアスが産 業ダミーの回帰係数と財務変数と産業ダミーの共分散の符号および規模等に よって決定されることを意味する。 これまでの議論では産業数を制限したが、任意の数Lまで拡張すれば、上 記の(1)式および(2)式は次のとおり表される。 (3) (4) ただし、Diは特定の企業が第i番目の産業に属するならばDi = 1となり、それ 以外の場合にDi = 0となる産業ダミーである。この場合においても、最小二 乗推定量のバイアスは産業ダミーの回帰係数と財務変数と産業ダミーの共分 散の符号および規模等によって決定される。 一般的にそれらの符号および規模は産業および標本期間により異なり、産業 ダミーの省略がもたらすバイアスの符号および規模を事前に予想することは 困難である。 しかし、株式時価総額および財務数値への産業効果が一定の関係にある 場合には、最小二乗推定量への著しいバイアスが懸念される。具体的には、
財務数値の産業効果を表すa1,a2,…,aL–1と株式時価総額 MVE への産業効果 b2,b3,…,bLが強い相関関係を持つ場合である。それらの産業効果が強い正の 相関を有するならば、推定量は著しい正のバイアスを受け、また逆にそれら の産業効果が強い負の相関を有するならば、推定量は著しい負のバイアスを 受ける。これらの場合には、仮に財務数値と株式時価総額が無相関であった としても、傾斜係数の推定値は正または負の値で統計的に有意になりうる。 また同様に、財務数値と株式時価総額との間に正の関係があったとしても、 傾斜係数の推定値はバイアスの影響によりゼロまたは負の値で統計的に有意 になりうる。 第三章 分析手法 本研究は産業ダミーによる内生性問題の改善を検証するために、産業ダ ミー挿入によるvalue relevance研究の実証結果の変化を確認する。そこで、本 研究は株式時価総額を株主資本簿価および会計利益と関連づける利益-簿価 モデルを用いる。利益-簿価モデルは会計研究において最も採用されてきた 実証モデルの一つであるが、前述のとおり株主資本簿価の標本回帰係数は不 安定であり、負の値をとりうることが知られている。 value relevance研究によって採用されてきた利益-簿価モデルは変数として 一株当たり変数あるいはデフレート済み変数を用いるなど多様性を有する。 本研究はそのなかでも規模効果および誤差項の不均一分散性を考慮した下記 の実証モデルを採用する。 (5) (6) ここで、MVEtはt期末3ヶ月後の株式時価総額である。MVEt–1はt–1期末3ヶ 月後の株式時価総額である。多くの先行研究がデフレーターとして前期末株
式時価総額を採用するが、デフレーターの選択およびその必要性については 近年でも見解が一致していない。D(i = 1…31)は、日経業種分類におけるi 非金融業32業種を識別するための産業ダミーである。本研究が繊維業をベー スグループとして選択することから、産業ダミーはその他の31業種に対応す る11。BVEは株主資本簿価であり、EARNSは経常利益である。 (6)式は(5)式の利益-簿価モデルに産業ダミーを挿入したものである。 言い換えれば、(5)式の誤差項eは31個の産業ダミーを内包する。仮に産業 ダミーの回帰係数であるb3,b4,…,b33がゼロでなく、またその他の説明変数で ある会計変数が産業効果を受けるならば、(5)式における株主資本簿価およ び利益の回帰係数の推定量は内生性バイアスを有する。一方で、(6)式の各 回帰係数の推定量は産業効果が調整されており、そのバイアスが緩和されて いる。 各実証モデルは最小二乗法により推定され、また各回帰係数の統計的有意 性は分散不均一性に対して頑健な標準誤差を用いた検定により確認される。 回帰係数のうち、b0、b1、およびb2に対しては t検定が実施され、その統計 的有意性は個別に確認される。一方で、産業ダミー変数の回帰係数である b3,b4,…,b33に対してはF検定が実施され、それらの回帰係数の統計的有意性 は包括的に確認される。 第四章 サンプルと記述統計量 標本対象は、2002年から2017年までの期間に東京証券取引所第1部に上場 する企業のうち、次の条件を満たすものである。すなわち、(1)3月決算で あること、(2)会計期間が12ヶ月であること、(3)日本の会計基準を採用す ること、(4)日経業種分類において非金融業に属すること、および(5)分析 に用いる全ての財務および非財務データが入手可能であることである。 各企業のデータは日経 NEEDS 社会科学情報検索システムから取得した。 各年における外れ値を上下1%除外した後の標本数は全期間を通じて約900か ら約1100である。中分類36業種のうち、銀行、証券、保険、およびその他金 融を除く32業種に属する企業数およびその割合は標本期間を通じて概ね一定
である。 図表1は3列目から34列目までに32業種における各変数の産業平均を示して いる。各変数の産業平均は産業間において大きく異なることが確認できる。 また、次の2列にそれらの産業平均の標準偏差SDおよび変動係数CVを示し ている。標準偏差は規模の影響を受けるが、変動係数はその影響を調整する ことができる。それらの数値から明らかなように、株主資本簿価および経常 利益は一貫して株式時価総額よりもばらつきが大きい。 さらに、次の3列はデフレート済みの株式時価総額と各会計変数の相関に 関する統計量を示す。具体的には、左からピアソンの積率相関係数 r、無相 関のt検定のt値、およびその有意水準である。株式時価総額と各会計変数と の間に正の相関関係が存在すれば、それらの産業平均の相関係数も正の値を とると考えられる。しかし、実際には、産業効果を受けて必ずしも相関係数 は正の値をとらない。株主資本簿価と株式時価総額の相関係数は、2007年、 2008年、2015年、および2016年において負の値を示している。そのうち2007 年、2015年、2016年において、この相関関係は統計的に有意である。このこ とは、実証モデルに産業ダミーを挿入しなければ、2007年、2015年、2016年 における株主資本簿価の回帰係数が下方バイアスを受ける可能性があること を示唆する。一方で、利益と株式時価総額の相関係数は2008年および2015年 において負の値であるが、統計的に有意でない。ただし、これらの関係は疑 似相関であることも考えられることから、これらの記述統計は重回帰モデル の推定結果への示唆に留まる。 図表2は、図表1に示した産業平均の標本期間を通じたばらつきを表す箱ひ げ図である。株式時価総額は四分位範囲を表す箱が産業間を通じて重なって おり、データの分布が産業間を通じて類似していることが分かる。ただし、 ひげの長さは産業間において大きく異なることから、ばらつきの程度には相 違があることが確認できる。 一方で、会計変数である経常利益および株主資本簿価は産業ごとに分布が 大きく異なる。四分位範囲を表す箱は産業間で重なりを持ちながらも、株式 時価総額に比べてばらつきが著しい。また、産業を通じてひげの長さもかな
Co rr S D C .V rt Pr. 2002 M V E/ M V E 0. 936 0. 863 0. 952 0. 908 0. 868 0. 934 0. 980 0. 814 0. 796 0. 889 0. 885 0. 856 0. 898 0. 986 1. 016 0. 897 0. 921 0. 890 0. 765 0. 913 0. 909 1. 067 0. 888 1. 060 1. 137 0. 988 0. 762 1. 015 0. 756 1. 048 1. 066 0. 882 0. 09 5 0. 102 B V E/ M V E 0. 977 1. 161 1. 032 1. 004 0. 660 1. 971 1. 376 1. 151 1. 446 1. 296 1. 040 0. 897 1. 202 1. 278 1. 579 0. 944 1. 134 0. 902 1. 612 1. 736 1. 316 1. 263 0. 961 0. 445 1. 536 0. 874 0. 350 1. 511 0. 492 1. 027 1. 011 0. 806 0. 36 9 0. 328 0. 22 6 1. 580 0. 125 EA R N S/ M V E 0. 087 0. 070 0. 100 0. 081 0. 080 0. 144 0. 145 0. 051 -0. 008 0. 073 0. 044 0. 036 0. 108 0. 134 0. 109 0. 058 0. 076 0. 134 0. 009 0. 104 0. 103 0. 148 0. 157 0. 063 0. 135 0. 166 0. 003 0. 118 0. 052 0. 129 0. 109 0. 088 0. 04 5 0. 500 0. 69 1 4. 834 0. 000 2003 M V E/ M V E 0. 949 0. 919 0. 822 0. 948 0. 909 1. 040 1. 111 0. 785 0. 963 0. 878 0. 863 0. 849 0. 890 1. 053 0. 998 0. 930 0. 978 1. 092 1. 009 0. 900 0. 937 0. 934 0. 821 0. 917 1. 030 1. 158 0. 996 0. 984 0. 618 1. 004 1. 035 0. 757 0. 11 0 0. 117 B V E/ M V E 1. 023 1. 442 1. 078 1. 171 0. 837 2. 159 1. 499 1. 330 1. 887 1. 532 1. 174 1. 085 1. 537 1. 313 1. 904 0. 932 1. 216 1. 050 1. 305 1. 868 1. 442 1. 338 1. 112 0. 400 1. 396 0. 935 0. 431 1. 528 0. 725 0. 993 0. 961 0. 903 0. 39 9 0. 323 0. 20 7 1. 449 0. 158 EA R N S/ M V E 0. 101 0. 097 0. 114 0. 124 0. 083 0. 186 0. 203 0. 081 0. 110 0. 105 0. 072 0. 078 0. 188 0. 186 0. 115 0. 097 0. 112 0. 292 -0. 052 0. 120 0. 146 0. 148 0. 171 0. 077 0. 138 0. 155 0. 023 0. 161 0. 064 0. 114 0. 125 0. 111 0. 06 0 0. 496 0. 37 2 2. 600 0. 014 2004 M V E/ M V E 1. 309 1. 812 1. 464 1. 574 1. 275 1. 638 1. 585 1. 742 2. 071 1. 941 1. 852 1. 851 1. 929 1. 557 1. 603 1. 793 1. 543 1. 319 1. 757 1. 708 1. 736 1. 617 2. 148 1. 166 1. 420 2. 587 1. 631 1. 625 1. 569 1. 105 1. 064 1. 690 0. 31 1 0. 189 B V E/ M V E 1. 210 1. 624 1. 387 1. 300 0. 982 2. 113 1. 417 1. 872 2. 032 1. 714 1. 506 1. 399 1. 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148 1. 308 1. 148 1. 112 1. 040 1. 044 0. 776 1. 113 1. 556 0. 845 1. 115 0. 770 0. 763 1. 496 1. 362 1. 223 0. 918 0. 567 1. 419 0. 577 0. 592 1. 211 0. 901 0. 824 0. 980 0. 976 0. 26 7 0. 254 0. 09 6 0. 675 0. 505 EA R N S/ M V E 0. 098 0. 040 0. 066 0. 053 0. 076 0. 160 0. 031 0. 065 0. 093 0. 000 0. 042 -0 .00 3 0. 122 0. 040 0. 073 0. 020 0. 053 0. 097 0. 103 0. 120 0. 120 0. 117 0. 088 0. 075 0. 108 0. 102 0. 056 0. 095 0. 099 0. 025 0. 090 0. 115 0. 03 9 0. 507 0. 09 0 0. 626 0. 536 2010 M V E/ M V E 1. 150 1. 258 0. 986 1. 476 1. 103 1. 244 1. 420 1. 332 1. 364 1. 396 1. 471 1. 520 1. 440 1. 866 1. 429 1. 479 1. 324 1. 080 1. 487 1. 152 1. 328 1. 335 1. 346 1. 032 1. 259 1. 294 1. 024 1. 073 1. 313 0. 953 1. 071 1. 222 0. 19 5 0. 151 B V E/ M V E 1. 140 1. 567 1. 423 1. 714 0. 897 1. 801 1. 903 1. 839 1. 933 1. 744 1. 719 1. 641 1. 546 2. 131 2. 257 1. 505 1. 623 0. 873 1. 528 1. 825 2. 025 1. 644 1. 866 0. 653 1. 796 1. 283 0. 781 1. 651 1. 290 0. 894 1. 156 1. 386 0. 40 4 0. 263 0. 68 8 4. 814 0. 000 EA R N S/ M V E 0. 150 0. 075 0. 151 0. 145 0. 102 0. 150 0. 148 0. 077 0. 062 0. 067 0. 046 0. 031 0. 306 0. 163 0. 127 0. 027 0. 104 0. 127 0. 243 0. 170 0. 168 0. 220 0. 128 0. 073 0. 164 0. 036 0. 027 0. 100 0. 143 0. 077 0. 136 0. 146 0. 06 4 0. 526 0. 15 5 1. 086 0. 286 2011 M V E/ M V E 0. 910 0. 980 0. 945 0. 971 0. 967 1. 098 0. 936 1. 048 1. 071 0. 970 1. 038 0. 974 1. 043 1. 027 0. 894 0. 950 0. 965 0. 903 1. 020 1. 105 1. 008 0. 925 0. 905 0. 856 0. 900 0. 797 1. 330 0. 911 0. 918 0. 817 0. 949 0. 965 0. 09 8 0. 101 B V E/ M V E 1. 055 1. 445 1. 458 1. 266 0. 880 1. 589 1. 358 1. 494 1. 546 1. 318 1. 251 1. 141 1. 095 1. 199 1. 392 1. 084 1. 401 0. 800 1. 035 1. 686 1. 660 1. 319 1. 408 0. 668 1. 545 1. 144 0. 839 1. 611 1. 216 0. 962 1. 141 1. 171 0. 26 1 0. 208 0. 12 4 0. 871 0. 391 EA R N S/ M V E 0. 125 0. 106 0. 150 0. 148 0. 106 0. 221 0. 151 0. 121 0. 148 0. 123 0. 115 0. 100 0. 187 0. 210 0. 135 0. 083 0. 100 0. 107 0. 102 0. 142 0. 184 0. 207 0. 138 0. 079 0. 139 0. 110 0. 134 0. 132 0. 129 0. 089 0. 149 0. 137 0. 03 6 0. 266 0. 32 5 2. 273 0. 030 2012 M V E/ M V E 1. 108 1. 014 0. 977 0. 957 1. 046 0. 884 1. 014 1. 092 0. 961 1. 054 1. 025 1. 018 0. 762 1. 130 1. 163 1. 049 1. 116 1. 092 0. 853 1. 012 1. 138 1. 143 1. 189 1. 112 1. 046 0. 887 1. 010 1. 062 1. 096 0. 857 1. 022 1. 147 0. 10 1 0. 098 B V E/ M V E 1. 210 1. 546 1. 595 1. 358 0. 906 1. 526 1. 553 1. 488 1. 528 1. 476 1. 297 1. 235 1. 292 1. 316 1. 753 1. 419 1. 531 0. 895 1. 115 1. 591 1. 755 1. 474 1. 525 0. 823 1. 782 1. 366 0. 708 1. 694 1. 488 1. 092 1. 161 1. 218 0. 27 4 0. 201 0. 16 2 1. 130 0. 267 EA R N S/ M V E 0. 131 0. 112 0. 132 0. 129 0. 100 0. 190 0. 141 0. 136 0. 111 0. 115 0. 129 0. 083 0. 284 0. 165 0. 125 0. 109 0. 128 0. 119 0. 133 0. 125 0. 205 0. 221 0. 166 0. 109 0. 168 -0. 003 0. 133 0. 147 0. 166 0. 008 0. 110 0. 168 0. 05 3 0. 392 0. 14 0 0. 976 0. 337 2013 M V E/ M V E 1. 190 1. 104 0. 994 1. 164 1. 368 1. 014 0. 991 1. 097 0. 979 1. 065 1. 200 1. 056 1. 159 1. 091 1. 272 1. 374 1. 228 0. 890 1. 238 1. 121 1. 145 1. 172 1. 699 1. 339 1. 267 1. 277 1. 102 1. 420 1. 322 0. 828 1. 156 1. 368 0. 17 2 0. 146 B V E/ M V E 1. 230 1. 572 1. 686 1. 464 0. 943 1. 718 1. 577 1. 435 1. 639 1. 503 1. 321 1. 319 1. 082 1. 235 1. 562 1. 465 1. 492 0. 789 1. 287 1. 628 1. 653 1. 406 1. 437 0. 794 1. 783 1. 448 0. 886 1. 759 1. 351 1. 228 1. 207 1. 155 0. 27 0 0. 196 0. 00 3 0. 018 0. 986 EA R N S/ M V E 0. 121 0. 100 0. 127 0. 136 0. 112 0. 200 0. 124 0. 137 0. 088 0. 123 0. 134 0. 103 0. 156 0. 161 0. 135 0. 119 0. 127 0. 081 0. 169 0. 137 0. 181 0. 184 0. 190 0. 116 0. 157 0. 049 0. 140 0. 127 0. 176 -0. 023 0. 122 0. 162 0. 04 3 0. 332 0. 42 5 2. 972 0. 006 2014 M V E/ M V E 1. 101 1. 129 1. 249 1. 204 1. 181 1. 153 1. 556 1. 329 1. 209 1. 244 1. 267 1. 412 1. 201 1. 141 1. 593 1. 184 1. 208 1. 225 0. 913 1. 453 1. 191 1. 073 1. 178 1. 011 1. 040 1. 147 1. 174 1. 011 1. 425 1. 165 1. 030 1. 241 0. 15 2 0. 126 B V E/ M V E 1. 125 1. 548 1. 681 1. 422 0. 767 1. 580 1. 824 1. 468 1. 754 1. 525 1. 239 1. 398 1. 397 1. 276 1. 542 1. 207 1. 493 1. 000 1. 200 1. 619 1. 636 1. 341 0. 987 0. 661 1. 511 1. 418 0. 842 1. 355 1. 223 1. 440 1. 111 0. 953 0. 28 7 0. 216 0. 38 9 2. 719 0. 011 EA R N S/ M V E 0. 109 0. 125 0. 141 0. 152 0. 097 0. 253 0. 201 0. 154 0. 125 0. 168 0. 150 0. 145 0. 254 0. 216 0. 216 0. 124 0. 134 0. 161 0. 189 0. 187 0. 194 0. 166 0. 137 0. 103 0. 142 0. 126 0. 120 0. 108 0. 160 0. 060 0. 107 0. 138 0. 04 4 0. 292 0. 33 7 2. 357 0. 025 2015 M V E/ M V E 1. 389 1. 129 1. 029 1. 325 1. 338 1. 145 1. 255 1. 111 1. 168 1. 174 1. 232 1. 300 1. 226 1. 299 1. 319 1. 335 1. 242 1. 271 1. 006 1. 308 1. 301 1. 301 1. 285 1. 360 1. 289 1. 250 1. 237 1. 127 1. 231 1. 248 1. 271 1. 296 0. 09 1 0. 073 B V E/ M V E 1. 098 1. 375 1. 464 1. 271 0. 693 1. 459 1. 328 1. 273 1. 541 1. 350 1. 083 1. 142 1. 338 1. 244 1. 247 1. 098 1. 219 0. 895 1. 471 1. 246 1. 442 1. 188 0. 997 0. 747 1. 558 1. 464 0. 775 1. 321 1. 088 1. 367 1. 147 0. 860 0. 23 2 0. 192 -0 .51 8 3. 621 0. 001 EA R N S/ M V E 0. 102 0. 118 0. 096 0. 146 0. 087 0. 172 0. 157 0. 138 0. 134 0. 148 0. 139 0. 127 0. 168 0. 186 0. 158 0. 106 0. 103 0. 173 0. 171 0. 165 0. 172 0. 149 0. 141 0. 114 0. 165 0. 125 0. 120 0. 129 0. 124 0. 118 0. 132 0. 117 0. 02 6 0. 189 -0 .07 6 0. 531 0. 599 2016 M V E/ M V E 1. 116 0. 951 1. 105 0. 905 0. 954 0. 820 1. 026 0. 827 0. 771 0. 889 0. 833 0. 864 0. 724 0. 842 0. 748 0. 911 0. 992 1. 161 0. 774 1. 002 0. 939 1. 112 0. 978 1. 080 1. 104 0. 620 1. 122 0. 846 0. 963 1. 132 0. 939 1. 047 0. 13 8 0. 147 B V E/ M V E 0. 935 1. 268 1. 468 1. 050 0. 580 1. 256 1. 159 1. 145 1. 393 1. 175 0. 958 0. 973 1. 219 0. 987 1. 043 0. 934 1. 096 0. 795 1. 446 1. 073 1. 206 0. 973 0. 927 0. 567 1. 332 1. 063 0. 666 1. 246 0. 947 1. 129 0. 970 0. 715 0. 22 8 0. 217 -0 .33 7 2. 355 0. 025 EA R N S/ M V E 0. 097 0. 116 0. 110 0. 125 0. 066 0. 078 0. 134 0. 138 0. 095 0. 120 0. 103 0. 083 0. 127 0. 130 0. 121 0. 081 0. 093 0. 137 0. 119 0. 160 0. 135 0. 134 0. 131 0. 089 0. 151 0. 071 0. 101 0. 109 0. 116 0. 118 0. 135 0. 099 0. 02 3 0. 207 0. 24 0 1. 678 0. 104 2017 M V E/ M V E 1. 170 1. 223 1. 142 1. 296 1. 127 1. 105 1. 162 1. 427 1. 232 1. 260 1. 261 1. 271 1. 123 1. 295 1. 288 1. 239 1. 131 1. 198 1. 169 1. 121 1. 184 1. 085 1. 011 0. 946 1. 146 1. 374 0. 903 1. 148 1. 143 1. 100 0. 972 1. 227 0. 11 5 0. 098 B V E/ M V E 0. 894 1. 401 1. 391 1. 303 0. 676 1. 740 1. 374 1. 438 1. 857 1. 464 1. 239 1. 235 1. 464 1. 302 1. 515 1. 050 1. 264 0. 802 2. 133 1. 232 1. 396 1. 006 1. 062 0. 600 1. 363 1. 667 0. 641 1. 582 1. 101 1. 122 1. 083 0. 761 0. 35 3 0. 281 0. 44 6 3. 122 0. 004 EA R N S/ M V E 0. 099 0. 149 0. 123 0. 154 0. 072 0. 156 0. 153 0. 188 0. 128 0. 168 0. 119 0. 094 0. 099 0. 172 0. 151 0. 097 0. 114 0. 154 0. 129 0. 184 0. 151 0. 121 0. 153 0. 092 0. 147 0. 113 0. 089 0. 125 0. 133 0. 096 0. 092 0. 100 0. 03 1 0. 238 0. 41 6 2. 910 0. 007 SE Va r FO :F oods (食品 ), T P: Te xt ile P rod uc ts (繊 維 ), P P: Pul p & P ape r( パ ルプ ・ 紙 ), C H :C he m ic al s( 化学 ), D R :D ru gs (医 薬 品 ), P E: Pe tro le um (石油 ), R P: R ubbe r P rodu ct s( ゴム ), S C :S to ne , C la y & G la ss P roduc ts (窯業 ), IS :Iro n & S te el (鉄鋼 ), N F: N on f er rous M et al & M et al P roduc ts (非鉄 金属 製品 ), M A :M ac hi ne ry (機械 ), E E: El ec tri c & E le ct roni c E qui pm ent (電気 機器 ), SR :S hi pbu ildi ng & R epa iri ng( 造 船 業 ), M V :M ot or V ehi cl es & A ut o Pa rts (自動 車 ), T E: Tra ns po rta tio n Eq ui pm en t( 輸送 用機 器 ), P R :P re ci sio n E qui pm ent (精密 機器 ), O M :O the r M anuf ac tur in g( そ の他 製 造 ), F M :F ish & M ar ine P roduc ts (水産 ), M I:M in in g( 鉱業 ), C O :C on st ruc tion( 建設 ), W T: W ho le sa le T ra de (商社 ), R T: R et ai lT ra de (小 売 業 ), R E: R ea l E st at e( 不 動産 ), R A :R ai lroa d T ra ns po rta tio n( 鉄 道・ バ ス ), T R :T ru ck ing (陸運 ), ST :S ea T ra ns por ta tion (海運 ), A T: A ir Tr ans po rta tio n( 空 運 ), W H :W ar eho us ing & H ar bor T ra ns por ta tion( 倉庫 ), C S: C om mu ni ca tion S er vi ce s( 通信 ), U E:U til iti es - Ele ct ric (電 力 ), U G :U til itie s G as (ガス ), S E: Se rv ic es (サー ビ ス ) ST AT W H C S U E UG C O W T R T R E RA TR MV TE PR O M FM M I SC IS N F M A EE SR FO TP PP C H D R PE R P 図表 1 各変数の産業平均と産業平均の相関
(1)MVE/MVEの産業平均 (2)EARNS/MVEの産業平均 (3)BVE/MVEの産業平均 -.08 -.04 .00 .04 .08 .12 .16 .20 .24 .28 .32
FO TP P P CH DR P E RP SC IS NFMA EE SR MV TE P ROMFM MI CO WT RT RE RA TR ST ATWH CS UE UG SE
0.4 0.8 1.2 1.6 2.0 2.4 2.8
FO TP P P CH DR P E RP SC IS NFMA EE SR MV TE P R OMFM MI CO WT RT RE RA TR ST ATWH CS UE UG SE
0.0 0.4 0.8 1.2 1.6 2.0 2.4
FO TP P P CH DR P E RP SC IS NFMA EE SR MV TE P ROMFM MI CO WT RT RE RA TR ST ATWH CS UE UG SE
り異なることから、データの分布が産業間を通じて異なることが分かる。こ れらの分布から、会計変数は一般に産業特性の影響を強く受けることが確認 できる。 第五章 実証結果 図表3は利益および株主資本簿価による株式時価総額の重回帰モデルであ る(5)式およびそれに産業ダミーを挿入した(6)式の推定結果を示す。(5) 式の実証結果は3列目から6列目までに、(6)式の実証結果は7列目から11列 目までに示されている。さらに、12列目には両式の推定に用いられた標本数 が示されている。 (5)式の推定結果は、一部の期間における産業効果による内生性バイアス の発生を示唆する。株主資本簿価の回帰係数は16年間のうち4年間において 負の値であり、2015年では10%水準において、2013年および2016年では1% 水準において統計的に有意である。残りの 12 年間において、株主資本簿価 の回帰係数は正の値であり、それらの全ての期間において統計的に有意であ る。なお、その有意性は2007年および2008年において5%水準、残りの10年 間においては1 %水準である。一方、利益の回帰係数は標本期間を通じて一 貫して正の値であり、全期間において統計的に有意である。利益-簿価モデ ルの理論的根拠とされるOhlson(1995)の価値評価モデルに基づけば、利益 および株主資本簿価の回帰係数は非負の値をとると考えられ、負の値を示す 株主資本簿価の回帰係数は内生性バイアスを受けていると考えられる。 (6)式の推定結果は、産業ダミーの挿入により産業効果による内生性バイ アスが解消されることを示唆する。株主資本簿価の回帰係数は標本期間であ る16年のうち13年間において正の値であり、1年を除いた残りの12年間にお いて1%水準において統計的に有意である。また、その回帰係数は残りの3年 間において負の値であるが、全ての期間において10%水準においても統計的 に有意でない。一方、利益の回帰係数は標本期間を通じて正の値であり、全 ての期間において統計的に有意である。また、産業ダミー変数の回帰係数に 関するF検定は全期間を通じて1%水準において統計的に有意である。
2002 coefficient 0.763 0.046 1.192 0.239 0.776 0.060 1.172 0.264 6.620 868 t-statistic (54.892)*** (4.264)*** (13.345)*** (26.275)*** (4.752)*** (11.185)*** [0.000] VIF 1.301 1.272 2003 coefficient 0.675 0.066 1.312 0.283 0.737 0.075 1.328 0.327 7.157 902 t-statistic (40.624)*** (5.601)*** (13.007)*** (24.705)*** (5.757)*** (12.438)*** [0.000] VIF 1.305 1.219 2004 coefficient 1.033 0.142 2.754 0.285 0.807 0.122 2.769 0.352 44.580 918 t-statistic (24.904)*** (5.263)*** (11.853)*** (13.894)*** (4.086)*** (11.948)*** [0.000] VIF 1.223 1.113 2005 coefficient 0.802 0.175 1.750 0.272 0.867 0.171 1.882 0.292 3.766 943 t-statistic (32.912)*** (9.321)*** (11.705)*** (21.261)*** (8.244)*** (11.454)*** [0.000] VIF 1.201 1.154 2006 coefficient 1.045 -0.030 3.713 0.244 0.947 -0.032 3.933 0.323 5.969 970 t-statistic (26.879)*** (-0.863) (14.826)*** (16.868)*** (-0.835) (15.538)*** [0.000] VIF 1.117 1.108 2007 coefficient 0.694 0.051 2.307 0.202 0.759 0.077 2.343 0.288 10.986 1013 t-statistic (31.281)*** (2.207)** (12.186)*** (21.592)*** (3.283)*** (11.897)*** [0.000] VIF 1.102 1.113 2008 coefficient 0.606 0.033 0.738 0.044 0.677 0.053 0.894 0.102 5.860 1029 t-statistic (32.921)*** (1.975)** (5.988)*** (22.548)***(2.972)*** (6.622)*** [0.000] VIF 1.104 1.118 2009 coefficient 0.546 0.112 0.624 0.147 0.727 0.128 0.536 0.321 28.596 1038 t-statistic (32.994)*** (8.044)*** (8.628)*** (26.823)*** (9.842)*** (6.713)*** [0.000] VIF 1.129 1.189 2010 coefficient 0.987 0.178 0.588 0.183 0.855 0.142 0.883 0.328 11.923 1048 t-statistic (33.445)*** (9.785)*** (5.151)*** (20.480)*** (7.535)*** (7.662)*** [0.000] VIF 1.185 1.191 2011 coefficient 0.768 0.046 1.122 0.222 0.706 0.040 1.292 0.278 4.821 1056 t-statistic (47.270)*** (3.777)*** (11.850)*** (28.279)*** (3.102)*** (13.492)*** [0.000] VIF 1.206 1.216 2012 coefficient 0.839 0.029 1.306 0.262 0.882 0.041 1.348 0.304 4.778 1082 t-statistic (43.950)*** (2.513)** (12.829)*** (26.059)*** (3.501)*** (12.323)*** [0.000] VIF 1.166 1.263 2013 coefficient 1.004 -0.050 1.857 0.191 0.999 -0.024 1.823 0.281 6.950 1097 t-statistic (28.230)*** (-2.720)*** (10.795)*** (21.843)*** (-1.304) (9.897)*** [0.000] VIF 1.149 1.149 2014 coefficient 0.855 0.062 1.940 0.224 0.801 0.064 2.102 0.296 5.105 1106 t-statistic (21.229)*** (2.726)*** (10.004)*** (17.948)*** (2.735)*** (11.053)*** [0.000] VIF 1.291 1.231 2015 coefficient 1.026 -0.032 2.064 0.175 1.157 0.002 2.244 0.214 4.058 1089 t-statistic (37.524)*** (-1.755)*(11.694)*** (21.366)*** (0.116) (12.409)*** [0.000] VIF 1.223 1.179 2016 coefficient 0.841 -0.053 1.398 0.099 0.989 -0.012 1.425 0.225 9.280 1064 t-statistic (37.310)***(-2.987)*** (9.430)*** (25.156)*** (-0.663) (9.349)*** [0.000] VIF 1.227 1.203 2017 coefficient 0.945 0.052 1.487 0.185 0.945 0.052 1.811 0.282 7.260 1069 t-statistic (49.352)***(3.502)***(11.874)*** (28.975)***(3.202)***(13.508)*** [0.000] VIF 1.368 1.296 1.009 1.004 1.039 1.083 1.073 1.043 1.094 1.097 1.064 1.055 1.015 1.021 実証モデルである(5)式および(6)式は下記のとおりである。 1.135 1.102 1.067 1.136 Number of firm-years (5)式(産業ダミーなし) (6)式(産業ダミーあり) �� ��� �� �� �� �� �� ��� � ����⁄������� ��� ������⁄������� ��������⁄�������� ����⁄������� ��� ������⁄������� ��������⁄������� ������ 図表3 株主資本簿価および利益による株式時価総額の重回帰分析
以上の推定結果は、株式時価総額および会計変数が産業効果を受けてお り、それらの関係を推定する際に産業ダミーが一定の効果を有することを示 唆する。株主資本簿価および経常利益の産業効果は本研究における記述統計 および箱ひげ図から明らかである。また株式時価総額の産業効果は箱ひげ図 から直感的に明らかではないが、(6)式の推定におけるF検定の結果から確 認されている。また、それらの変数への産業効果により結果的にもたらされ る実証結果への産業効果は(5)式と(6)式の実証結果の比較により明らか である。この実証結果の変化は会計数値および株式時価総額が伴に産業効果 を受ける場合に生じることから、前述の分析と同様に各変数への産業効果を 裏付ける。 第六章 まとめ 各産業は競争環境、規制、成長性など様々な点において異なり、これらの 相違は一般的に「産業特性」と呼ばれる。また、産業特性は企業のファンダ メンタルズへの影響を通じて、結果的に財務数値に影響を与える。この影響 は一般的に「産業効果」と呼ばれる。産業効果は内生性の観点から財務数値 を用いる実証分析に深刻な問題を与えうる。本研究は産業効果のコントロー ル方法である産業ダミーについて考察する。 本研究の分析を通じて次のことが明らかとなった。まず、産業ダミーの回 帰係数は、様々な産業特性を表す変数と被説明変数との関連性を表す係数と の積和に等しい。また、仮に産業特性が測定不能あるいは識別不能な場合で あっても、産業ダミーにより財務数値への影響が調整可能である。次に、本研 究は計量経済学の分析手法を用いて産業特性が実証分析の回帰係数の推定値 に与える影響を明らかにした。具体的には、産業特性が説明変数である財務 数値にのみ影響を与え、被説明変数である株式時価総額に影響を与えない場 合には、財務数値の回帰係数の推定量はバイアスを有さない。また産業特性 が財務数値には影響を与えないが、株式時価総額に影響を与える場合にも、 同じく財務数値の係数の推定量はバイアスを有さない。一方で、産業特性が 財務数値および株式時価総額の両方に影響を与える場合には、会計数値の回
帰係数の推定量は内生性バイアスを有し、不偏性がないことが明らかとなっ た。また本研究の実証結果は、利益-簿価モデルにおける説明変数および被 説明変数が産業効果を受けていることを明らかにするとともに、回帰モデル に産業ダミーの挿入により財務数値の回帰係数が企業価値評価モデルと整合 する符号を持つように変化することが明らかとなった。 注 1 新井(2015)は近年における研究蓄積を簡潔に要約している。 2 また、木村(2009)は産業分類が実証分析において様々な要因をコントロールするため に利用されることからも、同質的な企業がグルーピングされることが重要であると述べ ている。 3 このことは、計量経済学において「内生性問題」と呼ばれ、小標本理論と比べて仮定を 緩和できる漸近理論(大標本理論)においても深刻な問題である。 4 King et al. (1994)は政治学の研究において内生性が深刻な問題であると述べ、その解決 策として4つの推定方法を提案している。 5 これらの先行研究が採用する実証モデルはOhlson (1995)の理論モデルに依拠している。 Ohlson (1995)によれば、株主資本簿価の係数は正の値になると考えられる。ただし、そ の後の理論研究により、係数が会計選択、収益性および成長性などの依存し、極端な場 合には株主本簿価の係数が負の値となりうることが指摘されている(Ohlson and Feltham (1995)、Zhang (2000)およびHao et al.(2011))。多くの場合、実証研究は広範な企業を
標本対象としており、それらの企業は必ずしも共通のファンダメンタルを有さない。し たがって、理論と一貫性を有さない実証結果が標本企業の会計選択および収益性と無関 係ではないとしても、一義的には内生性による影響が疑われるだろう。 6 このような問題に対して、パネルデータ分析または操作変数の適用が考えられるが、そ れらも一定の問題を抱えている。具体的には、クロスセクショナルな推定が前提となる 場合には企業の固有効果をコントロールするパネルデータ分析は利用できない。また、 操作変数はあくまでも代理の変数に過ぎず問題も少なくない。たとえば、一般に会計数 値は強い相関関係を有しており、理想的な代理変数を見つけるは容易ではない。会計研 究における操作変数の適用に関しては、LarckerandRusticus(2010)を参照されたい。 こうしたなかで、産業ダミーは古くから有効な手法として用いられてきた。 7 実証会計研究による産業ダミーの利用方法にはいくつかの特徴がある。第1に、産業ダ ミーは一般的に定数項ダミー変数として回帰モデルに挿入される。第2に、産業ダミー は一般的にコントロール変数であり、研究者は産業ダミーのパラメータおよびそれらの 統計的有意性にはあまり関心を寄せない。一般的な計量経済学のテキストでは、ダミー 変数のパラメータの符号およびその統計的有意性に注目が集まることを考えれば、この ことは極めて特徴的である。また、それを反映するように、産業特性が説明変数および 従属変数とどのような関係にあるかについての検討は必ずしも十分ではない。
8 そもそも、ダミー変数とは0と1のような2つの値しかとらない変数であり、このことか ら2値変数とも呼ばれる。ダミー変数は質的データを数値化する際に用いられるが、特に 計量経済学および実証会計研究では、経済主体の属性を数値化する際に用いられる。ダ ミー変数が説明変数として用いられる際には定数項(切片)ダミー変数と係数ダミー変 数に分けられる。定数項ダミー変数は質的な条件の変化による定数項(切片)の差異を 許容し、一方で係数ダミー変数は質的な条件の変化による被説明変数と説明変数との関 連性を表す傾きの差異を許容する。 9 先行研究から明らかなように、産業、企業、およびビジネスセグメントなど様々な要因が 財務数値に影響を与えるが、全ての要因をモデルに含めることは煩雑である。したがっ て、本研究は産業に焦点を当て、まず財務数値に影響を与える産業特性が2変数によっ て表される場合を考察する。 10変数Fの添え字には注意が必要である。ここで、2つ目の数字は特定の産業を示すもので あり、観測値の通し番号ではない。 11日経業種分類コードの「01」が繊維業であり、標本期間を通じて一定数の標本数が維持 されていることから、本研究は繊維業をベースグループとして選択した。 参考文献
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