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群馬大学肝胆膵外科学分野の研究の流れ

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Academic year: 2021

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67 ─  ─ 2018;68:67~68

 流 れ

群馬大学肝胆膵外科学分野の研究の流れ

調   憲

1 1 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学大学院医学系研究科肝胆膵外科学  群馬大学に赴任させていただき,2年が経過しました. 私共が日頃診療している肝胆膵癌や大腸癌の肝転移の長期 的な予後は厳しく難治癌として知られています.たとえば 膵癌は本邦の罹患数と死亡数はほぼ一致しており,罹患す ればほぼ治癒することのない癌であることを意味していま す.肝癌については治癒的な治療の後に高率におこる再発 が問題です.また,胆管癌は,手術以外に確立した治療法 はなく,手術後の成績も決して満足しうるものではありま せん.また,大腸がんの肝転移は最近様々な化学療法の発 展により従来は手術適応とならなかった多発性の転移症例 の切除が増加しており,切除後に長期生存する症例がある 一方で,切除後早期に再発し,切除の意義に疑問が残る症 例も経験されます.私共はこれらの課題を解決するために 研究に取り組んでいます.今回は2つの研究について紹介 いたします. 1.大腸癌肝転移の予後予測因子としての FDG-PET   の利用  肝転移に関しては切除が最も強力な治療とされています. 現在,切除が不能であると判定された場合まず化学療法を 行い,切除可能になった時点でただちに切除を考慮するこ とが,コンセンサスとなっています.しかしながら,多発 性の肝転移に対して切除を行っても,術後早期に再発する 症例を少なからず経験します.すなわち,切除の意義が乏 しい症例があるのではないかと感じています.そのような 症例が肝切除前に予測できれば肝切除ではなくて化学療法 の継続を選択するという方向性が示せます.そこで私たち が注目したのがFDG-PETにおけるSUVmax値です.肝 転移巣のSUVmax値が悪性度を反映するのではないかと 考えました.化学療法前の肝転移巣のSUVと,化学療法後, 切除可能と判定された時点でのSUVを測定し,割り算を して変化率を算定しました(図1).結果として,SUV変 化率が0.293未満の症例は予後良好であったのに対し,変 化率がそこまで低下しない症例では予後不良でした.そこ で,今後は切除不能症例が化学療法後に切除可能となって も,すぐに切除するのではなくてFDG-PET検査でSUV 文献情報 投稿履歴:  受付 平成29年11月20日  採択 平成29年11月21日  修正 平成29年12月7日 論文別刷請求先:  調  憲  〒371-8511 群馬県前橋市昭和町3-39-22        群馬大学大学院医学系研究科肝胆膵外科学  電話:027-220-8800  E-mail: [email protected] 図1 化学療法先行例におけるFDG-PET SUV変化率

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68 ─  ─ 群馬大学肝胆膵外科学分野の研究の流れ を測定し,変化率を算定することで,切除によって恩恵を 得られる患者さんを絞り込むことができると考えていま す. 2.肝胆膵癌の治療成績の向上に関する基礎的研究  基礎的な研究についても少し触れたいと思います.膵癌 や胆管癌は豊富な線維間質を有しており,肝細胞癌は腫瘍 の周囲に線維性の被膜を有しています.近年癌の微小環境 が癌の進展に重要であることが報告されています(図2). 私 た ち は 癌 に 存 在 す る 線 維 芽 細 胞(Cancer associated fibroblasts: CAF)に注目し,研究をすすめています.以前, 教室の久保はコノフィリンという熱帯植物の葉から抽出さ れたヴィンカアルカロイドが肝の星細胞の活性化を抑制し, 結果として肝線維化モデルにおける肝線維化の進展を抑制 できることを報告しました.1 私たちはヒト膵癌細胞株と CAFを用いたモデルにおいてコノフィリンの有用性を確 認しました.この結果をもちまして,現在群馬大学から特 許申請中です.  大腸癌肝転移のSUVに関する研究は九州大学消化器・ 総合外科,熊本大学消化器外科の先生方との共同研究とし て行われ,渡辺 亮先生が論文作成中です.またCAFに 関する研究は愛知医科大学分子標的医薬寄附講座の梅澤一 夫教授にコノフィリンの供与していただき,石井範洋先生 と山中崇弘先生,モンゴルからの留学生であるDolgormaa Gantumur, 萩 原  慶 先 生 を 中 心 に 行 わ れ て い ま す. EOB-MRIやFDG-PETのデータは群馬大学の核医学や放 射線科の先生方のご協力で行われています.また,教室の 五十嵐隆通君は膵癌におけるRAB5発現の意義2 で,塚越 真梨子君は胆管癌におけるKPNA2発現の意義3 にて学位 を取得しました.この他,播本憲史先生は胆管癌における PETの意義について,新木健一郎先生は,肝機能の新た な評価法について研究を行っています.私たちの教室では それぞれのメンバーが個々の課題に取り組み新たな知見を えて,最終的に臨床の場に還元することを目標に日々臨床 と研究に取り組んでいます. 引用文献

1.Kubo N, Saito R, Hamano K, et al. Conophylline suppresses hepatic stellate cells and attenuates thioacetamide-induced liver fibrosis in rats. Liver Int 2014; 34: 1057-1067.

2.Igarashi T, Araki K, Yokobori T, et al. Association of RAB5 overexpression in pancreatic cancer with cancer progression and poor prognosis via E-cadherin suppression. Oncotarget 2017; 8: 12290-12300.

3.Tsukagoshi M, Araki K, Yokobori T, et al. Overexpression of karyopherin-α2 in cholangiocarcinoma correlates with poor prognosis and gemcitabine sensitivity via nuclear trans-location of DNA repair proteins. Oncotarget 2017; 8: 42159-42172.

図2 癌関連線維芽細胞によって形成される微小環境Cancer associated fibroblasts: CAF

参照

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