リスクマネジメントシステム
事業リスクマネジメント学習支 援教材
ティーチングノート
事業リスクマネジメント総論編 NO. 3
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リスクマネジメントシステムの概要・特徴を理解する
リスクマネジメントを定着させる仕組みを理解する
リスクマネジメントシステムの概要・特徴を理解する
リスクマネジメントを定着させる仕組みを理解する
学習にあたって
学習のポイント 学習のポイント
一般的なリスクマネジメントシステムのフレームワークおよび各プロセスの目的、 機能、手段、関係を説明できる
他のマネジメントシステム、たとえば安全管理、セキュリティマネジメント、 危機管理などとの相互関係を説明できる
リスクマネジメントシステムにおける自らの役割をコーポレートガバナンスとの 関連で説明できる
リスクマネジメントに関する歴史・経緯を説明できる
一般的なリスクマネジメントシステムのフレームワークおよび各プロセスの目的、 機能、手段、関係を説明できる
他のマネジメントシステム、たとえば安全管理、セキュリティマネジメント、 危機管理などとの相互関係を説明できる
リスクマネジメントシステムにおける自らの役割をコーポレートガバナンスとの 関連で説明できる
リスクマネジメントに関する歴史・経緯を説明できる
学習するスキル内容 学習するスキル内容
第7章です。 第7章です。 基本テキストで対応しているのは:
基本テキストで対応しているのは:
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目 次
1.リスクマネジメントとは ・・・・・ 3 2.リスクマネジメントシステムとは ・・・・・ 5 3.リスクマネジメントシステムの導入 ・・・・・ 11
4.まとめ ・・・・・ 15
本ノートについて:
本ティーチングノートは、平成15年12月に開催された
「事業リスク評価・管理人材育成システム開発事業」実証プログラムにおける 株式会社三菱総合研究所野口和彦氏のご講義
「リスクマネジメントシステム」
の内容を学習支援用教材に再編集したものです。挿入されております 図表等も原則として講師に提供していただいたものです。
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1.リスクマネジメントとは
(1)なぜリスクマネジメントが必要なのか
■ 社会の高度化
■ 必然的なリスクの増大
■ 社会運営や組織運営におけるマネジメント 技術の改革が必要
・一旦リスクが顕在化すると大きな被害発生
・直接的・間接的に影響が連鎖する社会
・公衆の要求の拡大
・最悪もまた進化する
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1.リスクマネジメントとは
(2)リスクマネジメントと危機管理の関係
■ リスクマネジメント
■ 危機管理
・事故事件が顕在化する前に実施するリスク 対応・通常の業務システム
・判断の総合性、合理性、透明性を求められ る
・事故事件が発生してから短時間で実施する対応
・優先順位が重要
・限られた時間内での判断が求められる
・リスクを保有しているという認識が必要
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2.リスクマネジメントシステムとは
(1) リスクマネジメントシステムおよびその
リスクマネジメントシステムとは
意義
■ リスクマネジメントを実施するための組織に構築された仕 組み■ リスクマネジメントに関する実施に関して以下の事項を定 める ・関連規定
・実施体制 ・実施計画
■ マネジメントシステムは、組織や対象とするリスクによっ ても、構築できる仕組みは異なる
システム化の意義
■ 対象とする経営活動を、個人能力や裁量に依存しない形で一定レ ベルに保持することが目標
■ 社内に分散するリスク情報を経営層が把握し対策を検討する仕組 みづくり 全社経営の視点から戦略的かつ効率的に予算を配分するシステム
■ 社会への情報開示の準備
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2.リスクマネジメントシステムとは
(2) リスクマネジメントシステムにおける主
主な業務
な業務
■ リスクマネジメント方針の決定
■ リスクの特定
■ リスクの算定
■ リスクの評価
■ 対策の検討
・回避、低減(最適化)、移転、保有
・単なる低減でないことに事業リスクマネジメントの 特徴がある
■ モニタリングそして改革
リスクマネジメント方針の位置づけ
■ リスクマネジメントを実施する際の組織の最高方針である
■ 構築されるシステムや実施される活動内容を基本的考え方を示 すもの■ 経営者が自らの考え方を社内外に公表するもの
■ 経営者が自らの議論で、構築することが重要
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2.リスクマネジメントシステムとは
(3) リスクマネジメントシステム構築・運営の
ための組織
■ リスクマネジメントシステム構築する時の体制
・リスクマネジメントシステム構築を実施する責任者 影響力のある役員が望ましい
・推進事務局の設置
■ リスクマネジメントシステムを運営するための組織 ・RM委員会
この企業のリスクマネジメントに関する運営の最高機関 となる。各 運営委員会により評価された内容を全社経営の 立場から最終的な 評価や対策の決定を実施し、必要に応じ て取締役会に上申する。
・RMS委員会
リスクマネジメントシステムのチェックとレビューを主 な業務とする 委員会である。
・リスク毎のRM運営組織
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2.リスクマネジメントシステムとは
(4) リスクマネジメントシステム運用体制の
イメージ
RM 委員会(委員長:社長等)
RMS 委員会(委員長:役員)
事務局:総務、企画、法務、等
各 RM 運営組織
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2.リスクマネジメントシステムとは
(5) リスクマネジメントシステム維持のため
■ リスクマネジメントプログラムの策定
の仕組み
■ リスクマネジメントパフォーマンス評価
■ システムの有効性評価と是正措置
■ その他の仕組み
�発見したリスクの監視
�要員に能力を持たせるための教育・訓練 �リスクコミュニケーション
�リスクマネジメントシステム文書の作成 �文書管理、記録の維持管理
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2.リスクマネジメントシステムとは
(6)リスクマネジメントシステムに関する規格
リスクマネジメントシステムに関する規格の動向
■ 経営者によるリスクマネジメントの概念( ISO/IEC ガイド7 3) ・リスク最適化の概念
・ ISO9000 (品質)、 ISO14000 (環境)、 OHSAS18000 シ リーズ(労働安全衛生)に続く...
■ リスクマネジメントシステム構築に関する指針( JIS Q 2001
、 2001 )
・各種マネジメントシステムをリスクの視点から統合的に捉え る■ 内部統制取締役のためのコンバインド・コードのガイダンス (イングランド・ウェールズ勅許会計士協会、 1999 )
・リスクマネジメントは取締役会の審議事項
JIS 規格におけるリスクマネジメントシステムの概要
■ PDCAモデルによるマネジメントシステム
■ 計画 (Plan) 、実施( Do) 、監視・評価 (Check) 、是正・改善 (Act) に基づき継続的に改善を行い、リスクに適正に対応するこ とを意図している。
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3.リスクマネジメントシステムの導入
(1)リスクマネジメントシステムの導入ステ
■ 経営技術革新に対するトップの意志表明
ップ
・リスクマネジメントシステムの必要性の表明
■ 初期システム定着化までの導入計画を立案・公表
・ 3 年後に完成したいシステムのイメージを具体的に描き、 3 年間程度の 中期計画と各年の単年度計画を策定する
・最初は、プロトタイプを構築し、その有効性を共有する
■ 重要なリスクマネジメント技術の導入 ・ 各階層の教育
■ 企業に大きな影響を与えるリスクを把握 ・未着手リスク、対応の急がれるリスク
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3.リスクマネジメントシステムの導入
(2)リスクマネジメントシステム導入時の要
■ 通常の業務の一環として定着させる
点
・がんばらなくても実施できる活動である必要がある ・業務活動の整理を実施する
・新しいことを実施する際は、古い業務の見直しとセットで 行う
・どの活動を優先するかが、経営判断の重要さ
■ 既存システムをなるべく活用する
・マネジメントシステムに屋上屋を重ねる概念は無い
・既にシステムが存在するリスクと無いリスクを整理する
・既存の対応体制が無いリスク 新たな仕組み ・既存の対応体制が有るリスク 既存体制の活用 ・環境リスクは、ISO14001で対応できる
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3.リスクマネジメントシステムの導入
(3)リスクマネジメントシステムにおける経
営者の役割
経営者の役割
■ 経営におけるリスク管理の重要性の表明 ・リスクマネジメント方針の策定
■ 全社経営の立場からリスクの把握
■ 重要リスクの特定
■ 対策の必要性の判断と重要対策の選定
■ リスク情報の開示
■ リスクマネジメント結果の監査
■ リスクマネジメントシステムの改善
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3.リスクマネジメントシステムの導入
(4)組織人におけるリスクマネジメントの位
置付け
組織人におけるリスクマネジメントの位置付け
■ 管理者や経営者になるためには、管理や経営の技術の習得が必要 ・優秀な社員だからといって優秀な管理者にはなれない
・優秀な管理者だからといって優秀な経営者にはなれない
■ 常に新たな技術への意欲を
・何歳までも自己改革を迫られる厳しい環境に立ち向かう 業務へのプライド
・成功体験を失敗の要因にしないためにも心の若さを持ちつづける ことも必要
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■ 人は急には強くなれません by お通 2003.1.19 放送「武蔵」より
■ 時間をかける
■ 改善のための時間を確保する
■ リスクマネジメントの心得
敵を知り己を知らば百戦危うからず
4.まとめ
■ 我々は、リスクの漂う海を航海する船の乗っている
・事故や事件とは、海面に顔を出している氷山のようなもの ・海面下に潜むリスクを考えたとき、航海の行く末に不安を 持たず にはいられない
■ しかも操船技術や、持っている海図が古そうである
■ 新たな操船技術と海図を