計量経済学II ハンドアウト 9 – 系列相関 1/ 3
9 系列相関
A. かく乱現象が傷跡のように特定の期間に影響を与え続けるようなこともある B. 誤差項に過去の影響が現れることを (1) という
∃i, j, E[ϵiϵj] ̸= 0, i ̸= j ⇒ ∃i, j, Cov[ϵi, ϵj] ̸= 0, i ̸= j (9.1)
9.1 何が問題なのか
A. 系列相関の仮定は最小二乗推定に利用しないので、 (2) に影響はない B. 系列相関がある場合、分散は以下のようになる
Var[ ˆβ] = σ
2 N
∑
i=1
(xi− ¯x)2 +
∑ ∑
i̸=j
E[ϵiϵj](xi− ¯x)(xj− ¯x)
N
∑
i=1
(xi− ¯x)2
(9.2)
C. 誤差項の分散σˆ2が母数σ2i と異なるため、諸統計量に影響を与える 1. 推定量の効率性が低くなる (⇔ より効率的な推定量が存在) 2. 推定量の分散を用いる (3) で悪影響を及ぼす
3. ソフトウェア等は (4) が前提ゆえ、分散の推定値が歪んでいる
9.2 どのように検出したらいいのか
A. 誤差の差を変動量であらわし、誤差自身の変動量と比較
d=
n
∑
2
(ˆϵt− ˆϵt−1)2
n
∑
1
ˆϵ2t
= ∑(ˆϵt− ˆϵt−1)
2
∑ ˆϵ2t =
∑ ˆϵ2t +∑ ˆϵ2t−1 − 2∑ ˆϵtˆϵt−1
∑ ˆϵ2t
= 1 + ∑ ˆϵ
2t−1− 2∑ ˆϵtˆϵt−1
∑ ˆϵ2t ≈ 2 − 2
∑ ˆϵtˆϵt−1
∑ ˆϵ2t (9.3) 1. ∑ ˆϵtˆϵt−1は無相関なら0 に近い値、正なら順相関、負なら逆相関になる
plim ∑ ˆϵtˆϵt−1
∑ ˆϵ2t =
Cov[ˆϵt,ˆϵt−1]
√Var(ˆϵt)√Var(ˆϵt) (9.4) 2. d は (5) (Durbin=Watson Ratio) とよび確率分布も
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計量経済学II ハンドアウト 9 – 系列相関 2/ 3
3. 仮説は ϵt= ρϵt−1+ ξtの
(6)
を対象にする H0 : ρ = 0
H1 : ρ > 0 (9.5)
4. 有意水準 α の臨界値を 2 つ dU, dLとして仮説検定の条件が与えられる
d < dL H0を棄却 dL ≤ d ≤ dU グレーゾーン dU < d H0を受容
(9.6)
5. dLで帰無仮説H0は棄却するが、H0を受容できなければ検定が不決定
6. これを (7) という
7. 正の相関と若干異なるが、逆相関でもほぼ同様の検定を行なう H0 : ρ = 0
H1 : ρ < 0 (9.7)
4 − d < dL H0を棄却
dL ≤ 4 − d ≤ dU グレーゾーン
dU <4 − d H0を受容
(9.8)
B. ラグ付関数の系列相関
1. 自己ラグと系列相関がそろうと推定量は (8) や (9) を失う 2. ダービン=ワトソン検定ではなく、ラグ付説明変数の係数の分散の推定量
βˆLagによるDurbin-h 検定を行う
h= (
1 − d 2
)√
N
1 − N · s2βLag ∼ N (0, 1) (9.9) C. もう一つの検定方法 — Bruech=Godfrey 検定
1. (10) を持つダービン=ワトソン検定の代わりを考える
2. 誤差項をそれ自身のラグと説明変数で次のように回帰する
ˆϵi = ϕ1ˆϵi−1+ ϕ2ˆϵi−2+ · · · + ϕPˆϵi−P + ψ1x1,i+ ψ2x2,i+ · · · + ψKxK,i
(9.10) 3. 回帰係数の有意性を評価する (11) による次の仮説検定を用いる
H0 : ϕp = ψk = 0 H1 : H1ではない
(9.11) 4. これを Bruech=Godfrey 検定とよび、LM 検定と呼ばれる検定の枠組み1
1LM 検定はラグランジ乗数検定と呼ぶが、概念は複雑なので詳細は割愛。説明変数を入れるの は検出力をあげるため。
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計量経済学II ハンドアウト 9 – 系列相関 3/ 3
9.3 どのように対処したらいいのか
A. モデルが正しいかを確認する
1. もともと誤差ではない忘れられた変数がある場合が考えられる
B. 系列相関除去は、通常の推定 (レベルでの推定) ではなく、変化に着目して推 定する(階差による推定)こと
∆yt= yt− yt−1 (9.12)
1. 上記の計算を (12) と呼ぶが、これではうまく行かないので|ρ| < 1 の (13) を取って、系列相関を除去する
yt− ρyt−1 (9.13)
C. コクランオーカット法
1. 次の通常の推定式を推定する
yi = ˆα+ ˆβ1x1,i+ · · · + ˆβKxK,i+ ˆϵi (9.14) 2. その残差を利用して、相関の回帰係数を求める
ˆϵi = ˜ρˆϵi−1+ ˜ui (9.15) 3. 得られたρ を用いて、次のような計算を行なう˜
yi− ˜ρyi−1 = ˆα(1)+ ˆβ1(1)(x1,i− ˜ρx1,i−1) + · · · + ˆβK(1)(xK,i− ˜ρxK,i−1) + ˆϵ(1)i (9.16) 4. αˆ(1), ˆβ1(1),· · · , ˆβK(1)を結果として利用
5. (14) (Cochrane-Orcutt Method) という
6. 欠点は誤差項の相関の推定にラグを使う事による (15) の減少 7. 欠点を解消する方法で、実行可能な (16) を応用したも
のがあるが、一般的な手法でなく、最尤法を用いたものがが一般的2
2時系列分析の系列相関を組み込み、最小二乗法を用いたグリッド探索法とその応用もある。
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