弟 11期 プ ロ ・ ナ ト ゥ ー ラ ・ フ ァ ン ド 助 成 成 果 報 告 書 ( 2002)
インドネシア・イリアンジャヤのワルマメディ海岸における
オサガメ産卵巣の野生ブタによる食害率を滅らす試み
Ak i 1Yus uf 1)・菅沼弘行一)・田中真一’ )・Abudl W ahi d l )・亀崎直樹2)
イ ン ド ネ シ ア ・ イ リ ア ン ジ ャ ヤ 州 に は 世 界 有 数 の オ サ ガ メ の 繁 殖 地 が あ る 。 オ サ ガ メ は ウ ミ ガ メ 類 の 中 で も 、 最 も 絶 滅 に 瀕 し た 種 と な っ て い る ほ ど そ の 数 を 減 少 さ せ て い る 。 現 在 、 オ サ ガ メ の 産 卵 地 と し て 28ヵ 所 知 ら れ て い る が 、 3、 000巣 以 上 が 産 卵 し て い る 地 域 は 、 仏 領 ギ ア ナ 、 ス リ ナ ム 、 ガ ボ ン ( 1988年 ) 、 イ ン ド ネ シ ア の 4ヵ 所 し か な い 。 イ リ ア ン ジ ャ ヤ 州 に は 6地 区 の 繁 殖 地 が あ っ た が 、 そ の う ち 3地 区 は 既 に オ サ ガ メ の 産 卵 は 見 ら れ な く な っ て い る 。 残 り の 3地 区 で も ヽ ウ ェ ル モ ン 地 区 ! よ 150巣 程 度 ヽ ウ ェ ー ウ ェ ー ク ォ ー ル 地 区 は 20巣 程 度 し か 見 ら れ な い 。 ジ ャ ム ル ス バ メ デ ィ 地 区 で は 毎 年 ほ ぼ 3、 000巣 の 産 卵 が 見 ら れ て い る 。
し か し 、 ジ ャ ム ル ス バ メ デ ィ 地 区 の 産 卵 巣 は 平 均 し て 60%以 上 が 野 生 ブ タ ( 移 人 種 ) に よ っ て 食 書 を 受 け て い る 。 そ の た め 稚 亀 の 生 産 力 が 異 常 に 低 く な っ て お り 、 今 後 の オ サ ガ メ 個 体 群 の 減 少 が 予 測 さ れ る た め 早 急 な 対 策 が 必 要 と さ れ た 。 ジ ャ ム ル ス バ メ デ ィ の 中 で も ワ ル マ メ デ ィ 海 岸 の 食 害 率 は 83%を 超 え て お り 、 こ の 地 区 を 対 象 に 野 生 ブ タ に よ る 食 害 を 減 少 さ せ る 試 み と し て 、 電 気 枡 を 設 置 し た 。 そ の 結 果 電 気 揖 設 置 部 分 の 食 害 率 を ほ ぼ 10分 の 1で あ る 8. 8%ま で 滅 少 さ せ る こ と が で き た 。 こ れ に よ り 、 ウ ミ ガ メ 産 卵 巣 の 野 生 ブ タ に よ る 食 害 に は 電 気 柵 が 非 常 な 効 果 を 示 す こ と が 証 明 さ れ た 。 し か し 、 僅 か な が ら も 食 害 は 栂 の 両 端 か ら 175mと 350mの と こ ろ ま で 入 っ た と こ ろ に 見 ら れ て お り 、 今 後 野 生 ブ タ が 学 習 に よ り さ ら に 奥 ま で 侵 人 す る こ と が 予 測 さ れ る 。 そ の た め 今 後 さ ら な る 電 気 柵 の 拡 張 及 び 野 生 ブ タ の 捕 獲 を 検 討 す る 必 要 が あ る 。
目的
東部太平洋で唯一残されたオサガメの産卵地と なるジャムルスバメディ地区は、世界的にオサガ メが滅少している中、個体群の回復を見据えた保 護活動が必要とされている。この地区でオサガメ の再生産に及ぼしている最も重要な要因は、産卵 巣に対する野生ブタによる異常に高い食害率であ る。特にワルマメディ海岸の食害率が高いため、 この海岸に電気柵を設置し、その有効性を調査す るとともに野生ブタのオサガメ産卵巣に対する食 害率を減らすことをこの活動の目的とする。
1) イ ン ド ネ シ ア ウ ミ ガ メ 研 究 セ ン タ ー 2) 日 本 ウ ミ ガ メ 協 議 会
オ サ ガ メ 繁 殖 地 と し て の ジ ャ ム ル ス バ メ デ ィ 地 区 ジ ャ ム ル ス バ メ デ ィ 地 区 ( 図 1) は 、 イ リ ア ン ジ ャ ヤ 州 の 北 西 部 に 位 置 す る バ ー ド ヘ ッ ド 半 島 ( チ ェ ン ド ラ ワ シ 半 島 ) の 北 端 に 位 置 す る 。 こ の 地 区 は 世 界 で 3番 目 、 東 部 太 平 洋 で 唯 一 の オ サ ガ メ の 繁 殖 地 と な っ て い る 。 か つ て は マ レ ー シ ア の 東 海 岸 に あ る ト レ ン ガ ヌ 州 が 東 部 太 平 洋 で は オ サ ガ メ の 最 大 の 繁 殖 地 で あ っ た が 、 近 年 の 産 卵 数 を み る と 1999年 に は 9巣 、 2000年 に は 28巣 と 絶 滅 状 態 と な っ て い る 。 1956年 に は ト レ ン ガ ヌ 州 の 町 ラ ン タ ウ ア バ ン を 中 心 と し た 地 区 で は 10、 000巣 以 上 の 産 卵 が み ら れ 、 1961年 か ら は オ サ ガ メ の 保 護 活 動 が
行 わ れ て い た に も 関 わ ら ず 、 こ の よ う な 絶 滅 状 況 を 招 い て い る 。 こ の 減 少 の 原 因 は 、 漁 業 に よ る 混 獲 、 特 に 流 し 網 に よ る も の ( 現 在 公 海 上 で は 禁 止 さ れ て い る ) と 食 用 と し て の 卵 の 利 用 が あ げ ら れ て い る 。 こ れ 以 外 に も 産 卵 見 学 な ど ツ ー リ ズ ム の 開 発 、 海 洋 汚 染 、 人 工 ふ 化 場 に お け る ふ 化 率 の 低 下 や 性 比 の 偏 り が 複 合 し た と 考 え ら れ て い る 。 オ サ ガ メ の 繁 殖 地 域 は 現 在 世 界 中 に 28地 域 し か 残 さ れ て い な い 。 主 な 繁 殖 地 の 産 卵 巣 数 は 西 部 大 西 洋 の 仏 領 ギ ア ナ で 1992年 の 50、 000巣 か ら 1998年 の 8、 000巣 と 減 少 、 ス リ ナ ム で は 1995年 頃 に 10、 000 巣 ( 詳 細 は 不 明 ) 、 束 部 大 西 洋 の 西 ア フ リ カ の ガ ボ ン で 1988年 は 10、 000巣 ( 最 近 の 状 況 は 不 明 ) 、 東 部 太 平 洋 の コ ス タ リ カ で 1988年 は 6、 500巣 で 10年 後 の 1998年 は 600巣 と 激 減 、 同 じ く メ キ シ コ の 太 平 洋 側 で 1995年 の 4、 000巣 が 2000年 に は 1、 200巣 と 減 少 し て い る 。 オ サ ガ メ の 繁 殖 地 の う ち 産 卵 数 が 増
々さ==こt 元
加 し て い る の は ス リ ナ ム だ け で あ り 、 他 の 繁 殖 地 は 急 激 な 滅 少 を 見 せ て い る 。 し か し 、 ス リ ナ ム の 増 加 も 仏 領 ギ ア ナ の 産 卵 海 岸 の 荒 廃 に よ る も の だ
と さ れ て い る 。
イ ン ド ネ シ ア の イ リ ア ン ジ ャ ヤ 州 に は オ サ ガ メ の 繁 殖 地 が か つ て 6地 区 あ っ た 。 そ の う ち 3地 区 で は 現 在 産 卵 は 見 ら れ な く な っ て お り 、 ウ ェ ル モ ン 地 区 が 150巣 程 度 、 ウ ェ ー ウ ェ ー ク ォ ー ル 地 区 が 20巣 程 度 と な っ て い る 。 唯 一 ジ ャ ム ル ス バ メ デ ィ 地 区 が 1999年 は 3、 000巣 、 2000年 は 2、 300巣 と 前 年
に 比 較 し て 産 卵 巣 数 に 減 少 が 見 ら れ る が 、 産 卵 規 模 を 未 だ に 保 っ て い る 。 海 岸 全 長 18k mの こ の 地 区 に は 西 か ら ウ ェ ン ブ ラ ッ ク 、 バ ツ ル マ 、 ラ ポ ン 、 ワ ル マ メ デ ィ の 4つ の 海 岸 が あ り 、 オ サ ガ メ 以 外
に も タ イ マ イ 、 ア オ ウ ミ ガ メ 、 ヒ メ ウ ミ ガ メ が 産 卵 す る 。
ジ ャ ム ル ス バ メ デ ィ 地 区 も か つ て は 他 の 地 区 同
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図 1 イ ン ド ネ シ ア ・ イ リ ア ン ジ ャ ヤ 州 の オ サ ガ メ の 産 卵 地 で あ る ジ ャ ム ル ス バ メ デ ィ の 位 置
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様、産卵雌亀も卵も食用として利用していた。こ の地区の東側には人口60名ほどのワルマンディ 村、西側には人口240名ほどのソーペバ村がある。 この両村の住民はオサガメが減少しているのを感
じ、1993年に自ら長老会議を開催しオサガメの利 用を中止した。この動きにインドネシア政府の林 業省自然保護局と世界自然保護基金(WWF - l ndones i a)は、地元住民と協力してオサガメの産 卵数のモニタリング調査を開始した。モニタリン
グ調査はオサガメの産卵最盛期である4月から10 月までの間行われた。 しかし、インドネシアの 1998年の民主化運動や東南アジア諸国の通貨危機 などにより、このモニタリング調査の継続が困難 になっていた。インドネシアウミガメ研究センタ ーは、これまでジャワ海を中心としてタイマイや アオウミガメの調査や保護活動を行ってきてお
り
インドネシアで最もタイマイの産卵が多いと されていたイリアンジャヤ州の調査を1999年9月 に行った。ジャムルスバメディ地区のタイマイ調 査時にオサガメの将来的な危機を知り、2000年4 月から当研究センターも協力することとなった。 この協力によりこれまでのモニタリング調査ばか りではなく、学術的な調査研究や積極的な保護対 策を導入した。また、モニタリング調査も強化し、 調査のシステム化や監視体制の改良を行った。 調査の結果、オサガメ産卵巣の野生ブタ( 移入種) による食害率が非常に高いことが判り、中でも産 卵巣数の多いワルマメディ海岸の食害率は83. 1% にも及んでいた。オサガメの個体詳数を回復させ るためには、生息域と繁殖地におけるそれぞれの 対応が必要である。ジャムルスバメディ地区は繁 殖地として、移入動物による産卵巣食害が個体群 の減少を招く大きな要因となっている。そのため オサガメ産卵巣に対する野生ブタによる食害防止 対策が緊急の諜題となった。
材料と方法
3月27日よりワルマメディ海岸において、畜産 用に使用されているニュージーランド製の電気栂
(商品名;パワーフェンス)を設置した。設置場
所はラポン岬の東150mにあるシュジョウ川から 東のスウェン川までの直線距離で1、600mである。 スウェン川の東700mにワルマメディ海岸の監視 小屋がある(図2)。電気柵は後背地の熱帯雨林の 中5mから40m奥に入った場所に延長約2k mにわた り設置した。電源となるバッテリーは村人の畑に 置かせてもらい、電気柵は畑からシュジョウ川側 とスウェン川側の2系列とした。電圧は柵の長さ に反比例し、シュジョウ川寄りは3、700V、スウェ ン川寄りは8、000Vである。構は上下2段とし、上 段をブタの目の高さよりやや低めの45c mの高さ とし目立つようにリボンワイヤーを使用し、下段 を20c mとし柵を維持するためにステンレスワイ ヤーと電流の通しを良くするために撚りワイヤー をダブルに張った。リボンワイヤーを目立つよう にしたのは、ブタに電流が通っていることを学習 させ、ブタがそれを認知したときに接触すること なく除けさせるためである。ワイヤーの固定は長 さ30c m径1c mのファイバーグラスを立ち木に5m から30m間隔に打ち込み、その聞に1mのファイバ ーグラスを地面に立て、ワイヤーの固定間隔を 3mから5mとした。ワイヤーの固定はファイバー グラス用のクリップを使用した。バッテリーは 12V100Aのドライバッテリー2台を使用し、充電 はソーラーシステムで行った。2系列ともそれぞ
れ独立系列である。
一般にブタは学習能力が高く、一度枡に接触す るとその後楷に触ることがないと言われている。 そのため、柵の存在をブタに見やすくする必要が ある。それはブタによる揖の破壊から柵自体を維 持することになる。また柵の途中や端では、トラ ップと呼ばれる内側に10mから20mほど延長した 枝構を伸ばすことにより、ブタの習性を利用し内 側に回り込むのを防ぐことができる。
電気梅の設置はソーペバ村とワルマンディ村の 村人に手伝ってもらい、3日間で設置した。また、 電気柵で最も大切なことは、そのメンテナンスに ある。枯れ枝や倒木などが柵に掛かるのを取り除 く必要がある。下草は熱帯雨林の中では成長は遅 く密度も疎らであり、樹林のギャップの場所を管
ラ ポ ン 海 岸
図 2
ラ ポ ン 岬
シ ュ ジ ョ ウ 川
ワ ル マ メ デ ィ 海 岸
ス ウ エ ン 川
電 気 柵 は 、 直 線 距 離 で 1、 600mの シ ュ ジ ョ ウ 川 か ら ス ウ ェ ン 川 の 間 に 設 置 し た 。 図 中 の 畑 の 場 所 が バ ッ テ リ ー 置 箇 所 。 ブ タ の 進 入 は ラ ポ ン 岬 か ら シ ュ ジ ョ ウ 川 の 間 が 多 い が 、 電 気 栂 沿 い に は 300mま で し か 進 入 し な い 。 タ は 湿 地 帯 を 好 む 。 点 線 は 次 年 度 の 電 気 栂 設 置 予 定 地 。 ラ ポ ン 海 岸 側 に は 枝 楷 の ト ラ ッ プ を 仕 掛 け る 。
理することで防ぐことができる。これらの管理さ えしっかり行うことができれば、電気構の効果は 大いに期待できる。
先に紹介したようにこの地域にはオサガメの監 視員以外の住民は住んでいない。この地域で畑を 持っている人は、バッテリーを置かせていただい ているピット・イェブロ氏だけである。また、海 岸まで出現する大型動物は、ブタと同じく移入さ れたシカだけである。この地域に生息する他の大 型動物である有袋類のワラビーや走鳥類のカスア リ(ヒクイドリ)は、海岸にまで出現することは ない。また、柵の設置前と設置後に両村の人々に 電気柵の説明を行った。さらに樹林と海岸の境目 の目立つ場所に、300mおき6個所注意書きの看板 を設置した。看板には電気楕をオサガメの保護の ために設置し、高電圧が流れていることを記し、 林業省自然保護局、インドネシアウミガメ研究セ ンター、日本ウミガメ協議会、日本自然保護協会 の名を掲載した。
結果
1)食害状況
ジャムルスバメディ地区には西からウェンブラ ック、バッルマ、ラポン、ワルマメディの4つの 海岸がある。オサガメの産卵はほぼ年間を通して
設ブ
み ら れ る が 、 産 卵 最 盛 期 は 4月 か ら 9月 ま で で あ る 。 1999年 は 2、 999巣 ( 4月 か ら 10月 ま で の 合 計 値 ) 、 2000年 は 2、 309巣 ( 4月 か ら 翌 年 3月 ま で の 合 計 値 ) の オ サ ガ メ の 産 卵 巣 が 確 認 さ れ て い る 。 こ の う ち 最 も 産 卵 巣 数 が 多 く 見 ら れ る の が ワ ル マ メ デ ィ 海 岸 で あ る 。 ワ ル マ メ デ ィ 海 岸 が 占 め る 産 卵 巣 数 の 割 合 は 1999年 の 調 査 で 全 体 の 39. 6%、 2000年 で は 30. 1%、 2001年 で は 38. 5%で あ っ た 。
2000年 6月 の 調 査 時 に 海 岸 を 50mお き に 実 測 し 、 位 置 番 号 札 を 立 ち 木 に 取 り 付 け た 。 電 気 構 を 設 置
し た 場 所 は 位 置 香 号 279と 311の 間 で あ る 。 279は シ ュ ジ ョ ウ 川 の 東 側 、 311は ス ウ ェ ン 川 の 西 側 で あ る 。 ブ タ に よ る 食 害 状 況 の 調 査 は 実 際 に 海 岸 を 歩 い て 確 認 し た 。 産 卵 巣 数 の 絶 対 数 と の 違 い は 1999年 の 調 査 の も の と 比 較 す る と 、 絶 対 数 2、 999巣
( 9月 と 10月 の 産 卵 巣 数 が 含 ま れ る ) に 対 し て 、 9 月 16- 17日 の 調 査 時 で 2、 651巣 で あ り 、 高 波 に よ り 産 卵 巣 跡 が 消 失 し た 産 卵 巣 も 考 慮 す る と ほ ぼ 近 い 値
を 示 し て い る 。 た だ し 、 ブ タ に よ る 食 害 率 な ど の 相 対 的 な 比 軟 を 行 う 場 合 は 、 結 果 的 な 違 い は 大 き く な い も の と 考 え ら れ る 。
表 1 で 電 気 槽 を 設 置 し た 部 分 の 食 害 率 を 比 較 し て み る と 、 1999年 は 位 置 番 号 札 設 置 前 で あ る の で ラ ポ ン 岬 か ら ワ ル マ メ デ ィ 監 視 小 屋 ま で の 2、 450m
( 実 測 値 ) の 産 卵 巣 数 と な っ て い る が 、 ワ ル マ メ
デ ィ 海 岸 の 1、 050巣 の う ち 924巣 ( 88. 0%) が ほ ぽ 電 気 柵 部 分 と な り 、 2000年 は 178巣 の う ち 119巣
( 66. 9%) 、 2001年 は 630巣 の う ち 386巣 ( 61. 3%) と な る 。 ワ ル マ メ デ ィ 海 岸 で 産 卵 す る お よ そ 60- 70% が 電 気 楷 部 分 で 産 卵 し て い る と 考 え ら れ る 。 ジ ヤ ム ル ス バ メ デ ィ 地 区 全 体 で は 、 電 気 柵 部 分 が 占 め る 産 卵 巣 数 の 割 合 は 、 1999年 で は 34. 9%、 2000年 で は 20. 1%、 2001年 で は 23. 6%と な り 、 お よ そ 20- 25%が 電 気 構 部 分 の 産 卵 と な っ て い る 。
オ サ ガ メ の 食 害 は 、 ブ タ と イ ヌ に よ る も の が 知 ら れ て い る が 、 複 合 し て い る も の も あ る 。 1999年
の ウ ェ ン ブ ラ ッ ク 海 岸 で ブ タ 害 が 多 く 見 ら れ て い る が 、 現 地 監 視 員 は イ ヌ に よ る も の だ と し て い る 。 ブ タ と イ ヌ に よ る 食 害 の 違 い を 現 場 で 見 分 け る の は 困 難 な 場 合 が 多 く 、 こ の 報 告 で は 両 方 合 わ せ て ブ タ に よ る 食 害 と み な す 。 食 害 率 を 比 較 す る と 1999年 は 63. 3%、 2000年 は 37. 8%と な っ て い る 。 ま た 、 ワ ル マ メ デ ィ 海 岸 の 食 害 率 は そ れ ぞ れ 83. 2%
と 69. 7%と 高 い 。 ラ ポ ン 海 岸 は 1k m程 度 の 短 い 海 岸 で あ り ラ ポ ン 岬 で 区 切 ら れ て い る が 、 海 岸 側 の 距 離 は 30m程 度 し か 離 れ て な い 。 食 害 の 状 況 か ら 判 断 す れ ば 、 こ の 両 海 岸 は 一 つ に み な す こ と が で き
表1−1 産卵状況及び食害調査(1999年9月16- 17日)
海岸名 産卵巣数 害なし
フ ゛ 夕 食 害 フ ゛ 夕 食 害 率 ( %)イヌ食害
食 害 率 ( %)高波
海 岸 長 ( m)ウェンブラック バツルマ ラポン ワルマメデイ
870 493 238
1, 050
542 208 47
176
327 284 191 873
37. 6 57. 6 80. 3 83. 1
1 1 0 1
37. 7 57. 8 80. 3 83. 2
-
-
-
-
6, 053 7, 509 1, 001 4, 227
合 計
2, 651 973 1, 675 63. 2 , 3 63. 3 - 18, 790電 気 柵 部 分 ( ラ ポ ン 岬 一 監 視 小 屋 )
924 156 767 83. 0 1 83. 1 - 2, 410
* 海 岸 長 は GPSの 位 置 に よ り 算 出 さ れ た も の 。
表 1 − 2 産 卵 状 況 及 び 食 害 調 査 ( 2000年 6月 5- 7日 )
海岸名
産卵巣数 害なし フ ゛ 夕 食 害 フ ゛ 夕 食 害 率 ( %) イヌ食害 食 害 率 ( %)高波
海 岸 長 ( m)ウェンブラック バツルマ ラポン ワルマメディ
222 169 23
178
214 92 1 52
1 77 21
124 0. 5
45. 6 91. 3 69. 7
1 0 0 0
0. 9 45, 6 91. 3 69, 7
6 0 1 2
6, 505 6, 330 1, 070 4, 040
合 計
592 359 223 37. 7 1 37. 8 9 17, 945電気柵部分
(279−311)
119 18 99 83. 2 0 83. 2 2 1, 600
*海岸長は高潮線に沿って実測したもの。電気槽部分の数値は位置番号を示す。
表 1 − 3 産 卵 状 況 及 び 食 害 調 査 ( 2001年 7月 21- 22日 )
海岸名 産卵巣数
害なし フ ゛ 夕 食 害フ ゛ 夕 食 害 率 ( %) イヌ食害 食 害 率 ( %)高波
海 岸 長 ( m) ウェンブラックバツルマ ラポン ワルマメディ
619 280 106 630
544 115 45
512 0
165 51 97
0. 0
58. 9 48. 1 15. 4
66 0 0
14
10. 7 58. 9 48. 1 17. 6
9 0
1 ` 0 7
6, 505 6, 330 1, 070 4, 040
合 計
1, 635 1, 216 313 19. 1 80 24. 0 26 17, 945電気柵部分
(279−311)
386 349 21 5. 4 13 8. 8 3 1. 600
る 。 両 海 岸 合 わ せ た 食 害 率 は 、 1999年 は 82. 7%、 2000年 は 72. 1%と な る 。 電 気 構 部 分 を 比 較 す る と 、 そ れ ぞ れ 83. 1%と 83. 2%で 両 者 に 違 い は ほ と ん ど 見 ら れ な い 。 ジ ャ ム ル ス バ メ デ ィ 地 区 に お い て 、 今 回 電 気 槽 を 設 置 し た 部 分 が 最 も 食 害 率 が 高 い 区 域 で あ る 。
2) 電 気 柵 の 効 果
過 去 2回 の 調 査 で 電 気 構 部 分 の 食 害 率 は 80%以 上 見 ら れ て い た が 、 電 気 柵 設 置 後 は 8. 8%と 驚 異 的 に 激 滅 し た 。 こ れ に よ り 、 ワ ル マ メ デ ィ 全 体 の 食 害 率 も 17. 6%と 滅 少 し た 。 電 気 柵 部 分 の 産 卵 巣 数 を ジ ャ ム ル ス バ メ デ ィ 地 区 全 体 の 25%と 考 え る と 、 全 産 卵 巣 数 の 22. 8%を ブ タ に よ る 食 害 か ら 産 卵 巣 を 守 っ た こ と に な る 。 仮 に こ の 地 区 に 3、 000巣 の 産 卵 が あ る と す る と 684巣 を 保 護 し た こ と に な る 。 ま た 、 こ の 電 気 柵 部 分 か ら ブ タ を 遠 ざ け た 事 に よ る 影 響 を 見 て み る と 、 数 値 で 見 る 限 り ウ ェ ン ブ ラ ッ ク 海 岸 や バ ツ ル マ 海 岸 に ブ タ が 移 動 し た 形 跡 は な い 。 さ ら に ラ ポ ン 海 岸 の 食 害 率 が 過 去 に 80- 90% あ っ た も の が 48. 1‰こ 下 が っ て い る こ と が わ か る 。 電 気 槽 部 分 の 食 害 状 況 を 詳 細 に 見 て み る と 、 ラ ポ ン 岬 か ら 電 気 栂 ま で は 175mあ り こ の 間 に 40巣 見 ら れ る が そ の 60. 0%が 食 害 で あ る 。 シ ュ ジ ョ ウ 川 右 岸 か ら 始 ま る 電 気 楷 か ら 350m入 っ た と こ ろ ま で 食 害 が 見 ら れ る 。 そ の 間 に あ る 産 卵 巣 数 は 134巣 で 、 23. 1%に あ た る 31巣 が 食 害 に あ っ て い る 。 監 視 小 屋 側 は 、 小 屋 か ら 700m東 の ス ウ ェ ン 川 左 岸 か ら 100m入 っ た 地 点 で 14巣 の う ち 食 害 に あ っ た の は 1巣 の み で あ る 。 1、 600mあ る 電 気 横 部 分 で は 352巣 が 食 書 か ら 保 護 で き た こ と に な る 。 つ ま り 、 電 気 柵 の 中 央 部 1、 150mは 、 完 全 に 食 害 を 防 い で い る 。 仮 に 電 気 柵 が な か っ た も の と し 、 昨 年 の 食 害 率 83. 2%で 計 算 す る と 、 384巣 の う ち 319巣 が 食 害 を 受 け た こ と に な る 。
ち な み に ス ウ ェ ン 川 か ら 小 屋 ま で の 700mで は 、 110巣 の う ち 15巣 ( 13. 6%) が 食 害 に あ っ て い る 。 昨 年 は 24巣 の う ち そ の 半 分 に 当 た る 12巣 ( 50. 0%) が 食 害 に あ っ て い る 。 ラ ポ ン 海 岸 と 同 様 、 電 気 柵 の 影 響 が あ る も の と 思 わ れ る 。 監 視 小 屋 か ら 東 の
バタス岬までの2、265mは、92巣見られそのうち34 巣(37. 0%)が食害にあっている。
3)電気柵のメンテナンス
電気柵は、動物や枯れ枝などが接触することに より柵と地面が回路として繋がれ、高電圧の微量 な電流が流れる仕組みとなっている。従って下草 が構に接触したり、枯れ枝が引っかかって雨が降 ると常時電流が流れてしまうことになる。そのた め、常に柵の点検が必要となる。また、熱帯雨林 ではかなり大きな倒木も見られる。今回も径1m 程の木が倒れ、監視員が1日がかりで、蛇1本でそ
れを除去した。監視員は週に数回梢の点検と電圧 の計測を行っている。電圧は設置開始時と同じで あった。バッテリーのメンテナンスは畑の持ち主 であるピット・イェブロ氏が毎日確認してくれて いる。彼はバッテリーばかりでなく槽の点検や下 草や枯れ枝の除去も行ってくれている。我々が7 月に行ったときには、村人からは既に「電気柵お じさん;Bapak Pagar 」と呼ばれていた。
電気柵はメンテナンスさえしっかりと行えば、 ほぼ半永久的に使用できる。長期的なメンテナン スとしては3- 5年に1回のバッテリーの交換くらい である。
考察
結果で示したとおり、電気柵のメンテナンスが しっかりと行われており、ブタによる食害防止効 果も期待以上の成果を上げることができた。当初 の予定では電気柵の両端部にブタ用のトラップ
(罠)を仕掛けるつもりであったが、ブタの進入 経路や海岸での横の動きなどを知るために今後の 諜題として残してある。ブタは監視小屋側より奥 に湿地帯があるシュジョウ川寄りから進入してい る場合の方が多く、ラポン岬とシュジョウ川の間 から海岸に出ている。湿地帯はブタにとっての格 好の生息場所である。海岸に出たブタは電気柵沿 いには300m程しか入らないことが今回の調査で 判った。ワルマメディ海岸のブタの食害率をさら に下げるためには、シュジョウ川とラポン岬の間
に 電 気 柵 を 設 置 す る こ と が 望 ま れ る 。 の 横 へ の 進 入 度 合 い が 増 え て い く こ と が 予 測 さ れ ラ ポ ン 海 岸 は ラ ポ ン 岬 か ら 200mの と こ ろ か ら る 。 そ の た め , ブ タ の 捕 獲 は 是 非 と も 必 要 な 作 業 山 に な っ て お り , こ の 山 は 西 に い く に 連 れ て 急 峻 と な る 。 そ の 捕 獲 を 容 易 に す る た め に も ブ タ の 進
に な る 。 地 元 住 民 の 話 で は ブ タ は 急 峻 な 山 を 降 り 入 経 路 を 狭 め る 必 要 が あ る 。 る こ と は な い と い う 。 そ の た め , な だ ら か な 山 の
南 側 に 電 気 柵 を 設 置 し , 数 百 m ご と に 20- 30mほ ど 参 考 文 献
柵 に 垂 直 に ト ラ ッ プ ( 捕 獲 用 の 罠 で は な い ) と 呼 Chan, Eng- Heng and Hoc k - Char k L i ew. 1996. ば れ る 枝 柵 を 仲 ば す こ と に よ っ て ラ ポ ン 岬 付 近 か Dec l i ne of t he l eat her bac k popul at i on i n
ら の ブ タ の 進 入 を ほ ぼ 完 璧 に 防 ぐ こ と が で き る 。 Ter enggnu, Mal ay s i a, 1956- 1995. Chel oni an
ト ラ ッ プ の 効 用 は , ブ タ が 直 線 的 行 動 を 行 い , 柵 Cons er v at i on and Bi ol ogy , l nt emat i onal J our nal を 回 り 込 ま な い と い う 習 性 を 利 用 し た も の で あ る of Tur t l e and Tor t oi s e Res ear c h, v o12, N0. 2. が , こ の 効 果 は 非 常 に 大 き い 。 設 置 し た 電 気 構 の Gi r ondot , Mar c and J ac ques F r et ey . 1996. 両 端 は こ の ト ラ ッ プ 効 果 を 利 用 し て い る 。 ま た , L eat her bac k t ur t l es ,Der moc hel y s c or i ac ea,
ス ウ ェ ン 川 か ら 監 視 小 屋 の 束 に あ る シ ュ ガ イ 川 ま nes t i ng i nF r enc h Gui ana, 1978- 1995. Chel oni an で 電 気 柵 を 設 置 す れ ば ワ ル マ メ デ ィ 海 岸 の 産 卵 主 Cons er v at i on and Bi ol ogy , l nt emat i onaI J oumal
要 部 は 完 全 に 保 護 す る こ と が で き る 。 東 端 の バ タ of Tur t l e andTor t oi s e Res ear c h, v o12, N0. 2. ス 岬 付 近 は ラ ポ ン 海 岸 と 同 様 に 後 背 地 は 急 峻 な 山 Spot i l a, J ames R. , Ar t hur E. Dunham, Al i s on J . に な っ て い る 。 そ の た め , ブ タ の 進 入 も 監 視 小 屋 L es l i e, Ant hony C. s t ey er mar k , Pamel a T. 付 近 か ら シ ュ ガ イ 川 右 岸 側 に 限 ら れ る 。 こ れ に よ Pl ot k i n, and F r ank v . Pal adi no. Wor l dwi de り ブ タ 用 ト ラ ッ プ を 集 中 的 に 仕 掛 け る こ と が 可 能 popul at i on dec l i ne of Der moc hel y s c or i ac ea; ar e に な る 。 l eat her bac kt ur t l esgoi ng ex t i nc t ? Chel oni an ブ タ は 個 々 の 学 習 に よ り 卵 を 食 し て い る と 考 え Cons er v at i on and Bi ol ogy , l nt emat i onal J our nal ら れ て お り , 電 気 柵 も 数 年 後 に は 学 習 に よ り 海 岸 of Tur t l e and Tor t oi s e Res ear c h, v o12, N0. 2.