地震・噴火メカニズムの解明と防災への橋渡し

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地震・噴火メカニズムの解明と防災への橋渡し

大学院理学研究院・大学院理学院 准教授

高橋

た か は し

ひ ろ

あ き

(理学部地球惑星科学科)

専門分野 : 地震学,火山学,測地学,自然災害科学,地域防災,温泉科学

研究のキーワード : 地震,火山,津波,災害予測,プレート運動

HP アドレス : http://www.sci.hokudai.ac.jp/~hiroaki/

何について研究しているのですか?

地震や火山噴火は、地球が現在も生きていることを示しています。地震は、時には数百 kmもの広範囲にわたる地下の断層が急激にずれることであり、噴火では地下数kmにある

マグマが地表に噴出します。これらのメカニズム解明のために、研究室から飛び出して地

震や噴火の「現場」に観測機器を設置しデータを取得します。断層やマグマ溜りは地下深

くにあるため、地下に埋もれた見えないものを見えるようにする工夫が必要で、物理や数

学の手法を応用してそれに挑んでいます。地震や噴火の繰り返し間隔は数百年以上に及ぶ

ため一つの場所で得られるデータには限界があります。皆で知恵を絞り様々なアプローチ

でチャレンジすることが必要であり、国際的な共同研究も欠かすことができません。

日本は豊かな国土に恵まれていますが、これ

は太古の昔から繰り返された地震や噴火が作り

上げたものです。我々はその恩恵を受けて生活

していますが、ひとたび地震や噴火が発生し強

い揺れや津波・火砕流などが起これば、人命を

奪うような災害となります。自然災害は必ず繰

り返しますが、それらの要因や特性を自然科学

や社会科学の手法を用いて解明し災害を予測

して対策を打つことで被害を減らすことが可能

です。防災減災は、ひとつの学部、あるいは大

学内に閉じこもっているだけでは達成されず、

常に変容する社会と関わっていくことが必要です。多様な価値観を持ち複雑化した現代社

会において自然災害にどう備えるかを考えることも大きなテーマです。

どのように研究しているのですか?

地震や火山噴火を引き起こす原因はプレート運動です。プレート境界に位置する日本列

島はひずみが溜まり続けており、やがて岩板が耐えきれなくなると「ずれ」が発生して地

震が起こります。沈み込んだプレートは、地下深くではマグマを発生させます。ある場所

でのひずみの蓄積状況が明らかになれば、地震が発生する可能性を推定できるかもしれま

せん。このため、ロシア極東地域や北海道内に地面の動きを計測する機器や地震計を設置

して、北東アジア地域のプレート運動という大きな枠組みの中で、どこでどの程度の地震 出身高校:茨城県立日立第一高校 最終学歴:北海道大学大学院理学研究科

災害・防災

この100年間で北海道最大の内陸地震である1938 年屈斜路地震断層を掘り出し地層のずれの性質か ら地震の特性を調べる。調査について地元の小学 生や住民の方々に説明しているところです。

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が発生する可能性が高いのかを明らかにする国際共同研究を行っています。

地震が海底で発生すると津波が起こり大きな被害を引き起こします。従来、津波警報は

地震計のデータを基に発表されてきましたが、東日本大震災ではその限界が明らかになり

ました。北海道内に設置されたひずみ計という観測機器を用いて、津波警報を早く正確に

発令できるような手法の開発を進めています。

北海道には多くの活動的な火山がありますが、大きな噴火はめったに起こりません。噴

火を予知し災害軽減につなげるためには、噴火に至るプロセスを事前に明らかにしておく

ことが必要です。ロシアのカムチャツカ半島には多くの活動的な火山がありますが、その

中で最も活発であり、アジアの火山で最高峰でもあるクルチェフスカヤ火山(標高4850m)

に地盤の傾きを測定する観測機器を設置して、爆発的噴火や溶岩流などの様々な噴火様式

をコントロールする要因を探る国際共同研究を行っています。

これから何を目指しますか?

日本列島に住んでいる我々は地震や噴火と

うまく付き合っていくことが必要です。発生

メカニズムの解明はサイエンスとしてとても

魅力的ですが、地震や津波・噴火による災害

を軽減することも重要なテーマです。いくら

優れた研究成果が得られても、それが社会の

中で活用されるようなしくみがなければ減災

は実現されません。様々な社会的要請に沿っ

た研究を総合的に進め、成果を理解しやすい

よう翻訳して社会へ伝え減災を実現していく手法はいまだ確立されておらず、多くの解決

すべき問題が残されています。実社会での減災を実りあるものとするには、理学や工学、

社会学や心理学などの多岐にわたる研究成果の統合をはかるだけでなく、研究や大学の世

界を超えて行政や被災者になり得る住民、情報伝達を受け持つマスコミと協働し、地元の

ニーズにあった災害に強い街づくりを目指す取り組みが必要です。

ロシアのカムチャツカ半島クルチェフスカヤ火山(4850m) での国際共同観測。ヘリコプターを使って標高2300mの 観測点で機器の設置を行った。

ロシアのサハリン州南部でのGPS観測。日本海東縁部 から北海道日本海側を抜けてサハリンへ続く地震帯で の地震発生に関する調査を行った。

えりも町と協力協定を結んで、町民の防災意識の向上 を目指した講演会や出前授業、サイエンスカフェなど の取り組みを行っています。他の市町村や道とも減災 へ向けた様々な取り組みが行われています。

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参照

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