給付と家計の選択
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所得維持制度
• 社会保険 (social insurance)
拠出要件 : 一定期間決められた「保険料」を支払うこ
とが給付の要件
防貧機能 : 生活の破綻を事前に防止
従前所得の一定割合であることが多い
• 公的 ( 社会 ) 扶助 (public or social assistance):
拠出要件なし
救貧機能 : 生活の破綻を事後的に救済
最低生活水準を保証する場合が多い
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保障,保証,補償
• 保障 (security)
「差し障りから保る」→障害を除去・防止する
イメージ
• 保証 (guarantee)
「大丈夫と約束する ( 証を保つ ) 」→「保証
書」のイメージ : 約束が守られないと ( 証が保
たれないと ) ,「補償」する .
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日本の生活保護
• 生活保護の目的
– 最低生活の保障=給付業務(法定受託事務)
• 資産・能力等すべてを活用してもなお生活に困窮
する者に対し,困窮の程度に応じた保護を実施
– 自立の助長(自治事務)
• 世帯の実態に応じて,年数回の訪問調査
• 就労の可能性のある者への就労指導,病院入院者
の在宅への復帰促進等
生活保護の 3 原理
• 無差別平等の原理( 2 条)
– 生活保護を請求する権利(保護請求権)はすべての国民に無 差別平等に与えられる.生活困窮原因・人種・信条・性別・社会 経済的地位などによる優先的もしくは差別的な取り扱いをし ない.
• 最低生活の原理( 3 条)
– 「保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を 維持することができるもの」とし、単なる衣食住に足りる水 準を超えた水準であることを明示されている.
• 補足性の原理( 4 条)
– 利用できる他の手段を尽くしても最低限の生活が不可能な場 合に生活保護が給付.
補足性の原則
• 生活保護の要件
– 能力活用:勤労可能な者はその能力に応じて働かなければな らない
– 資産活用:生活に直接必要のない土地、家屋などの不動産、 預貯金、生命保険、高価な貴金属類等は活用しなければなら ない
– 扶養義務の履行: 親子、兄弟姉妹など、扶養義務者の中で 援助可能な者がいれば、その援助を受けなければならない – 他法活用 : 利用可能な他の公的制度は活用しなければならな
い
生活保護の 4 つの原則
• 申請保護の原則( 7 条)
– 保護を受けるためには要保護者による申請が必要.
• 基準及び程度の原則( 8 条)
– 「健康で文化的な生活水準」の具体的な基準は、厚生労働省 大臣(国)が別途設定.
– 給付金額は必要と認められた水準のうち要保護者が自ら満た せない部分を補う程度.
• 必要即応の原則( 9 条)
– 年齢・性・健康等の違いによる個別的なニーズに応じて保護.
• 世帯単位の原則( 10 条)
– 世帯を単位として保護の要否や給付額が決定.
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生活保護給付額
10 保護基準額
収入認定額 給付額
生活保護を考慮した予算制約
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0 50 100 150 200 250 300 350
最低所得保証
• c = Wh + G(Wh)
• If Wh < S, G(Wh) = S Wh
c = Wh + G(Wh) = Wh + S Wh = S
• If Wh S, G(Wh) = 0
c = Wh
c = WH Wl
• 同額の定額補助を給付したらどうなるか?
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H WH
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H
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WH
H
負の所得税
• c = Wh + G(Wh)
• G(Wh) = S mWh
c = Wh + G(Wh) = Wh + S mWh
c = (1 m)Wh + S
• S = basic income!
• 同額の定額補助を給付したらどうなる
か?
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給付 ( 還付 ) 付き税額控除
refundable tax credits
• 給付付き税額控除の特徴 (Batchelder, L.L., Goldberg, F.T., Orszag, P.R., 2006. Effici ency and tax incentives: The case for refundable tax credits, Stanford Law Review 59(1), 23 -73)
– 租税法によって規定されていること(→ tax credits )
– 租税システムを通じて(全部もしくは部分が)運用されること
– 納税者に一定の行動を取らせること(インセンティブになること)を意 図していること
– 控除前の税負担額が控除未満の場合は,差額分が現金で還付されること
(→ refundable )
• 給付ではあるが,「税額控除」とあるのは社会保障関連法を通 じて給付するのではなく,税法の枠組内で給付することになる
(福祉事務所等が給付するのではなく税務署が給付することに なる?)
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給付付き税額控除と予算制約
• c = Wh + G(Wh)
G(Wh) = 0 if Wh = 0
= s (Wh) s.t. s > 0 for 0 < Wh < Y
L= R for Y
L Wh < Y
H= R t(Wh Y
H) s.t. t > 0 for Y
H Wh < Y
T= 0 for Y
T Wh
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